JPH08102572A - プリント配線板用積層板 - Google Patents

プリント配線板用積層板

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JPH08102572A
JPH08102572A JP23620394A JP23620394A JPH08102572A JP H08102572 A JPH08102572 A JP H08102572A JP 23620394 A JP23620394 A JP 23620394A JP 23620394 A JP23620394 A JP 23620394A JP H08102572 A JPH08102572 A JP H08102572A
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JP
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metal foil
plate
printed wiring
poly
wiring board
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JP23620394A
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English (en)
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Satoshi Odajima
智 小田嶋
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明は板状成形体と金属箔とを積層してな
り、特には高周波特性に優れ、金属箔の接着強度が強
く、ファインパターン形成が可能なプリント配線板用積
層体の提供を目的とするものである。 【構成】 本発明のプリント配線板用積層板は、シンジ
オタクティック構造を有するスチレン系重合体に難燃剤
と難燃助剤を加えてペレットとし、これからシートを成
形し、これにガラスクロスなどの繊維状充填材を重ねて
板状成形体とし、その少なくとも片面を、ヒドロキシラ
ジカルおよび/またはヒドロペリオキシラジカルを溶解
した水で処理したのち、この面に銅箔などの金属箔を重
ね合わせ、加熱、加圧して板状成形体と金属箔とを積層
してなることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリント配線板用積層
板、特には高周波特性に優れ、金属箔の接着強度が強
く、ファインパターン形成が可能なプリント配線板用積
層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シンジオクタティック構造を有するスチ
レン系重合体(以下SPSと称する)は誘電率および誘
電損失が低く、高耐熱性である、フッ素系樹脂と比較し
て安価であるなどの利点を有していることから、高速演
算処理用、衛星放送受信用、小型通信機用など優れた高
周波特性が要求される回路基板の絶縁材料として有用な
ものとされている。
【0003】そしてこのSPSからなる板状成形体はこ
れに金属箔を張り合わせることによってプリント配線板
用積層板とされており、このSPS板状成形体と金属箔
との張り合わせは1)エポキシ樹脂などのような耐熱性
を有する熱硬化性接着剤を介する方法、2)金属箔を金
型内に載置して、成形と同時に接着する方法などによっ
て行なわれているが、近年における電気電子機器の小型
化、高密度化の要求に伴なって配線ピッチも細かくな
り、これについては1mm当たり10本以上、さらには20本
以上という高密度配線が望まれるようになってきてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の方法により積層したプリント配線板用積層板は、1)
の方法で作られたものにはエポキシ樹脂で代表される熱
硬化性樹脂は総じて誘電特性に劣るものであるために、
誘電特性の優れたSPSを使用してもその性能が劣化さ
れることになるし、また2)の方法で作られたものには
SPSがその特異なシンジオタクティック構造で高結
晶、高凝集力を有するものであるために、他の物質との
接着性に劣り、そのために導体幅の狭いファインパター
ンを形成した場合に、導体1本当りの剥離強度が不十分
なものとなり、高密度配線には不向きなものになるとい
う欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不
利、欠点を解決したプリント配線板用積層板に関するも
ので、これはシンジオタクティック構造を有するスチレ
ン系重合体と繊維状充填材とからなる板状成形体の少な
くとも片面を、ヒドロキシラジカルおよび/またはヒド
ロペリオキシラジカルを溶解した水で処理したのち、こ
の面に金属箔を重ね合わせ、加熱、加圧して板状成形体
と金属箔とを積層してなることを特徴とするものであ
る。
【0006】すなわち、本発明者は絶縁性基材として誘
電特性の優れたSPSを使用し、その性能を損なうこと
なく金属箔との接着性を改善する方法について種々検討
した結果、このSPSと繊維状充填材とからなる板状成
形体の少なくとも片面を、ヒドロキシラジカルおよび/
またはヒドロペリオキシラジカルを溶解した水で処理す
ると、板状成形体の表面にカルボニル基、カルボキシリ
ル基などの極性基が生成するので、これによって本来接
着性の乏しいSPSに接着性の付与されることを見出
し、したがってこのように処理した板状成形体に金属箔
を重ね合わせ、加熱、加圧してこれらを積層すると接着
強度が強く、ファインパターン形成が可能なプリント配
線板用積層板の得られることを確認して本発明を完成さ
せた。以下にこれをさらに詳述する。
【0007】
【作用】本発明はプリント配線板用積層板に関するもの
であり、これは上記したようにシンジオタクティック構
造を有するスチレン系重合体と繊維状充填材とからなる
板状成形体の少なくとも片面を、ヒドロキシラジカルお
よび/またはヒドロペリオキシラジカルを溶解した水で
処理したのち、この面に金属箔を重ね合わせ、加熱、加
圧して板状成形体と金属箔とを積層してなることを特徴
とするものであるが、このように板状成形体の表面をヒ
ドロキシラジカル、ヒドロペリオキシラジカルを溶解し
た水で処理すると、この板状成形体の表面にカルボニル
基、カルボキシル基などの極性基が生成し、これによっ
て本来接着性の乏しいSPSに対し接着性が付与される
ので、これが金属箔と強く接着するし、この接着性は表
面のみに生成するのでこれが誘電特性を損なうことがな
く、導体幅の狭いファインパターンを形成しても導体1
本当りの剥離強度が十分なものとなり、高密度配線が可
能なプリント配線板用積層板が容易に得られるという有
利性が与えられる。
【0008】本発明に用いられるシンジオタクティック
構造を有するポリスチレン系重合体は、立体化学構造が
シンジオタクティック構造、すなわち炭素−炭素結合か
ら形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置
換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有
するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素に
よる核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され
る。13C−NMR法により測定されるタクティシティー
は連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の
場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場
合はペンタッドによって示すことができるが、本発明に
おけるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重
合体とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好まし
くは85%以上、もしくはラセミペンタッドで30%以上、
好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有す
るポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハ
ロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポ
リ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体
およびこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする
共重合体を指称する。
【0009】なお、ここでポリ(アルキルスチレン)と
してはポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレ
ン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャ
リーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポ
リ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)など
が、ポリ(ハロゲン化スチレン)とてはポリ(クロロス
チレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロス
チレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレ
ン)としてはポリ(クロロメチルスチレン)など、ポリ
(アルコキシスチレン)としてはポリ(メトキシスチレ
ン)などがあるし、またポリ(アルコキシスチレン)と
してはポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチ
レン)などがある。さらに、これらの構造単位を含む共
重合体のコモノマー成分としては、上記スチレン系重合
体のモノマーのほか、エチレン、プロピレン、ブテン、
ヘキセン、オクテンなどのオレフィンモノマー、ブタジ
エン、イソプレンなどのジエンモノマー、環状オレフィ
ンモノマー、環状ジエンモノマー、メタクリル酸メチ
ル、無水マレイン酸、アクリロニトリルなどの極性ビニ
ルモノマーが挙げられる。
【0010】なお、これらのうち特に好ましいスチレン
系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチ
レン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、水素化ポリスチ
レンおよびこれらの構造単位を含む共重合体が挙げられ
るが、このようなシンジオタクティック構造を有するス
チレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中または
溶媒の不存在下に、チタン化合物および水とトリアルキ
ルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系
単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重
合することにより製造することができる(特開昭 62-18
7708号公報)。また。ポリ(ハロゲン化アルキルスチレ
ン)については特開平 1-46912号公報、これらの水素化
重合体は特開平1-178505号公報記載の方法などにより得
ることができる。
【0011】このスチレン系重合体は分子量について特
に制限はないが、重量平均分子量が2,000以上、好まし
くは10,000以上、とりわけ50,000以上のものが最適であ
り、さらに分子量分布についてもその広狭は制約がな
く、様々なものを充当することが可能である。また、こ
れらの樹脂成分には必要に応じて、軟化剤、加工助剤な
どの各種添加剤を添加することができるが、これらはS
PS 100重量部に対し15重量部の範囲を超えないものと
することが、SPSの持つ誘電特性に優れるという利点
を損なわないということから望ましい。
【0012】また、本発明に使用される繊維状充填材と
しては、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素、シリカ、炭化
ケイ素などのウィスカー、アルミナ繊維、セラミックス
繊維(例えば、セッコウ繊維、チタン酸カリ繊維、硫酸
マグネシウム繊維、酸化マグネシウム繊維など)、有機
合成繊維(例えば、全芳香族ポリアミド繊維、アラミド
繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維など)等が例示
されるが、これは特にガラス繊維、フッ素樹脂繊維が好
ましい。これらの形状に特に制限はないが、例えば、チ
ョップドストランド、チョップドファイバー、連続長繊
維などの不織布、織物、スワール状に積層したものおよ
びスワール状に積層したものをニードルパンチしたもの
などが挙げられる。なお、これらの繊維状充填材は単独
でも、また2種以上を組み合わせて使用することができ
る。
【0013】上記したSPSと繊維状充填材はこれを混
合し、これから板状成形体を成型するのであるが、SP
Sに対する繊維状充填材の配合割合はSPS 100重量部
に対し、繊維状充填材20〜 400重量部、好ましくは50〜
100重量部とすることがよい。これはこの範囲より少な
いと十分な強度が得られず、またこの範囲を超えると繊
維状充填材をSPSが十分に被覆することができないた
め空隙を生じ、この結果曲げ強度が測定不可能なほど弱
く、特にスルーホール加工性に著しく劣るという問題点
を招くからである。なお、これらを用いて板状成形体を
成型する方法としては従来公知の方法を適用することが
でき、これには射出成型、熱プレス成型、押し出し成型
などが例示される。
【0014】この板状成形体は本発明のプリント配線板
用積層板が、電子部品を搭載したり、他の基板との接続
を行う際に、ハンダを用いるので耐熱性、難燃性が要求
されることから、各種難燃剤を添加することが望まし
い。難燃剤としては種々のものが挙げられるが、特にハ
ロゲン系難燃剤、リン酸系難燃剤が好ましい。ハロゲン
系難燃剤としては、テトラブロモ無水フタール酸、ヘキ
サブロモベンゼン、トリブロモフェニルアリルエーテ
ル、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモフェノール、
トリブロモフェニル−2,3−ジブロモプロピルエーテ
ル、トリス(2−クロロ−3−ブロモプロピル)−ホス
フェート、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロ
モジフェニルエーテル、オクタブロモビフェニル、ペン
タクロロペンタシクロデカン、ヘキサブロモシクロデカ
ン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロトルエン、ヘ
キサブロモビフェニル、デカブロモビフェニルオキシ
ド、テトラブロモブタン、デカブロモジフェニルエーテ
ル、ヘキサブロモフェニルエーテル、エチレン−ビス−
(テトラブロモフタルイミド)、テトラクロロビスフェ
ノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロ
ロビスフェノールAまたはテトラブロモビスフェノール
Aのオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマーな
どのハロゲン化ポリカーボネートオリゴマー、ハロゲン
化エポキシ化合物、ポリクロロスチレン、ポリトリブロ
モスチレンなどのハロゲン化ポリスチレン、ポリ(ジブ
ロモフェニレンオキシド)、ビス(トリブロモフェノキ
シ)エタンなどが例示される。
【0015】一方、リン酸系難燃剤としては、リン酸ア
ンモニウム、トリクレジルホスフェート、酸性リン酸エ
ステル、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが例示
される。難燃剤としては、これらのなかでも特にポリト
リブロモスチレン、ポリ(ジブロモフェニレンオキシ
ド)、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロ
モフェノキシ)エタン、エチレン−ビス−(テトラブロ
モフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、臭
素化ポリカーボネートオリゴマーが好ましい。上記難燃
剤はSPSおよび繊維状充填材の合計 100重量部に対し
て1〜40重量部、好ましくは5〜35重量部の割合で配合
することがよい。難燃剤を40部を越えて配合しても難燃
性はその割合に応じて向上せず、逆に他の機械的特性が
損なわれるため好ましくない。
【0016】さらに本発明において、上述の難燃剤と共
に難燃助剤を用いることが好ましく、両者を併用するこ
とにより目的とする効果を十分に発現させることができ
る。このような難燃助剤としては、三酸化アンチモン、
五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、金属アン
チモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三硫化
アンチモン、五硫化アンチモンなどのアンチモン難燃助
剤が例示される。またこれら以外にも、ホウ酸亜鉛、メ
タホウ酸バリウム、酸化ジルコニウムなどを挙げること
ができるが、中でも特に三酸化アンチモンが好ましい。
この難燃助剤はSPSおよび繊維状充填材の合計 100重
量部に対して 0.1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部
の割合で配合することがよく、この範囲を超えて配合す
ると、特に誘電特性が損なわれるため好ましくないし、
この範囲より少ないと効果がない。
【0017】また本発明では力学的物性、特には耐衝撃
性を向上させるためにSPSと相溶性の熱可塑性樹脂、
例えばアタクティック構造のスチレン系重合体、アイソ
タクティック構造のスチレン系重合体、ポリフェニレン
エーテル、スチレン−ブタジエン−スチレン(SB
S)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SE
BS)などを添加することができる。
【0018】本発明のプリント配線板用積層体はこのよ
うにして成形された板状成形体に金属箔を張り合わせる
ことによって作られるが、本発明においては、このよう
にして成型された板状成形体と金属箔とを張り合わせる
前に、ヒドロキシラジカルおよび/またはヒドロペリオ
キシラジカルを溶解した水で板状成形体の表面を処理す
ることを必須条件としている。このヒドロキシラジカル
および/またはヒドロペリオキシラジカルを溶解した水
を得る方法としては、例えば特開平4-305926に示されて
いる方法が挙げられるが、この水による板状成形体の処
理はこの水を板状成形体の表面に噴射で吹き付けるか、
この水中に板状成形体を浸漬すればよい。
【0019】このヒドロキシラジカルおよび/またはヒ
ドロペリオキシラジカルを溶解した水を得る方法として
は例えば80℃に加熱した純水に、50kHz の超音波を印加
しながらO3 ガスを通過させて溶解させれば、ヒドロキ
シラジカルおよびヒドロペリオキシラジカルを溶解した
水を得ることができるが、この水で板状成形体の表面を
処理すると、この板状成形体の表面にカルボニル基、カ
ルボキシル基などの極性基が生成するので、これによっ
て本来接着性の乏しいSPSに接着性の付与されること
が見出され、この際この極性基は板状成形体の表面のみ
に生成するので、この板状成形体はその誘電特性が損な
われることがないということも見出されている。
【0020】このように処理された板状成形体には金属
箔が積層されて本発明のプリント配線板用積層材とされ
るのであるが、これはこの板状成形体に金属箔、一般的
には銅箔を重ね合わせ、加熱、加圧して一体化させれば
よい。この際、この一体化は板状成形体の溶融により接
着性が発現するので、この加熱はSPSの融点以上とす
る必要があるが、温度が高すぎると上記した表面処理の
効果が小さくなるうえ、樹脂が流れ過ぎて所望の厚さと
ならなくなるという不具合の生じるおそれがあるので、
これは融点+ 100℃以下とすることがよく、したがって
この加熱温度は 270〜 370℃、好ましくは 280〜 320℃
とし、加圧は10kgf/cm2 未満では接着不良となり、80kg
f/cm2 より高くすると流動し過ぎるので10〜80kgf/cm2
の範囲とすればよい。
【0021】なお、この加熱、加圧後の冷却は急冷する
と樹脂が結晶性の乏しいものとなるので、効率よくシン
ジオタクティック構造をとらせるためには一度 130〜 1
70℃で1分以上保持した後に室温まで冷却することが望
ましく、これによれば本来接着性の乏しいSPSと金属
箔とを接着強度強く接着した、ファインパターン形成が
可能なプリント配線板用積層枚を容易に得ることができ
るという有利性が与えられる。
【0022】
【実施例】つぎに本発明の実施例、比較例をあげる。 実施例 SPSの製造 i)トリメチルアルミニウムと水との接触生成物の調製 アルゴン置換した内容積 500mlのガラス製容器に、硫酸
銅5水塩(CuSO4・5H2O)17.8g (71ミリモル)、トルエ
ン 200mlおよびトリメチルアルミニウム24ml(250 ミリ
モル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体
部分を除去して得られた溶液から、さらにトルエンを室
温下で減圧留去して接触生成物6.7gを得た。この接触生
成物の分子量を凝固点降下法により測定したところ 610
であった。
【0023】ii)重量平均分子量(Mw)18万のSPS
の製造 内容積2リットルの反応容器に精製スチレン1リット
ル、上記i)で得られた接触生成物をアルミニウム原子
として10ミリモル、トリイソブチルアルミニウムを60ミ
リモル、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリ
メトキシド 0.075ミリモルを用いて90℃で1時間重合反
応を行った。反応終了後水酸化ナトリウムのメタノール
溶液で触媒成分を分解した後、生成物をメタノールで繰
り返し洗浄し、乾燥して重合体268gを得たので、この分
子量を1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として、
130℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測
定したところ、この重合体の重量平均分子量は18万、重
量平均分子量/数平均分子量は2.53であった。また、こ
れについては融点および13C−NMR測定により、この
重合体はシンジオタクティック構造のポリスチレンであ
ることを確認した。
【0024】樹脂コンパウンドの製造 上記で得られたSPS 100重量部に対し、難燃剤(ポリ
トリブロモスチレン)35重量部、難燃助剤(Sb2O3) 9重
量部を加え、シリンダー温度 290℃に設定した単軸押し
出し機を用いてペレット状に成形した。
【0025】板状成形体の成形 上記で得られたコンパウンドを2軸押し出し機からTダ
イを経て、厚さ 0.2mmのシートを成形した。このシート
3枚とガラスクロス「#5150」(旭シェーベル製商品
名)2枚とを交互に重ね合わせ、 290℃、30kgf/cm2
条件で5分間プレスした後、室温で10分間冷却して厚さ
0.8mmの板状成形体を得た。
【0026】成形体表面処理 80℃に加熱した純水に、50kHz の超音波を印加しながら
3 ガスを通過させて溶解し、ヒドロキシラジカルおよ
びヒドロペリオキシラジカルを生成させた。赤外線ラン
プによって 100℃に加熱した板状成形体の表裏面にこの
水を噴射した後、エアーナイフにより水滴を除去し処理
を完了した。
【0027】プリント配線板用積層板の調製 処理済みの板状成形体の両面に厚さ18μmの電解銅箔
「SQ−HTE」[三井金属鉱業(株)製商品名]を重
ね合わせ、 290℃、30kgf/cm2 の条件で5分間プレスし
た後、 140℃で30分間冷却し、さらに室温で10分間冷却
したところ、本発明のプリント配線板用積層板が得られ
たので、このものの銅箔の剥離強度を測定したところ、
これは1.7kgf/cm2であり、これに導体幅が0.04mmのファ
インパターンをピッチ0.06mmでエッチング処理により製
作したところ、容易にこれを形成することができた。
【0028】比較例 上記した実施例における板状成形体のヒドロキシラジカ
ル、ヒドロペリオキシラジカルを溶解した液による表面
処理を行なわなかったほかは実施例と同じ方法でプリン
ト配線板用積層板を製作し、このものの銅箔の剥離強度
を測定したところ、表面処理を行なっていないので接着
強度が低く、これは0.9kgf/cm2と悪く、これについては
実施例と同じように回路形成を行なったところ、これは
エッチング中に剥離が生じて回路形成することができな
かった。
【0029】
【発明の効果】本発明のプリント配線板用積層板は、板
状成形体と金属箔とを張り合わせる前に、ヒドロキシラ
ジカル、ヒドロペリオキシラジカルを溶解した水で板状
成形体表面を処理しているので、本来接着性の乏しいS
PSが接着性の付与されたものとなり、金属箔が剥離強
度の大きいものとなるし、これは表面のみに生成するの
でこれは誘電損失の損なわれることがないので、これに
導体幅の狭いファインパターンを形成した場合にも、導
体1本当たりの剥離強度が十分なものとなり、高密度配
線が可能なプリント配線板用積層板が得られるので、優
れた高周波特性が要求される、高速演算用、小型通信機
用等の用途に使用した場合、発熱が少ない、雑音が少な
いなどの利点が得られるし、これはまた従来のPTFE
やPPO基板にくらべ低価格であるので製品コストを低
くすることができるという有利性をもつものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクティック構造を有するスチ
    レン系重合体と繊維状充填材とからなる板状成形体の少
    なくとも片面を、ヒドロキシラジカルおよび/またはヒ
    ドロペリオキシラジカルを溶解した水で処理したのち、
    この面に金属箔を重ね合わせ、加熱、加圧して板状成形
    体と金属箔とを積層してなることを特徴とするプリント
    配線板用積層板。
JP23620394A 1994-09-30 1994-09-30 プリント配線板用積層板 Pending JPH08102572A (ja)

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