JPH08100637A - 排気ガス浄化用触媒劣化検査装置 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒劣化検査装置

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JPH08100637A
JPH08100637A JP6261036A JP26103694A JPH08100637A JP H08100637 A JPH08100637 A JP H08100637A JP 6261036 A JP6261036 A JP 6261036A JP 26103694 A JP26103694 A JP 26103694A JP H08100637 A JPH08100637 A JP H08100637A
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oxygen sensor
catalyst
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amplitude
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中山  昌昭
Yasuo Mukai
向井  弥寿夫
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 上流酸素センサの応答性のバラツキや運転状
態のバラツキの影響を排除して触媒劣化の検出精度を向
上する。 【構成】 第1段階の検査では下流酸素センサの出力信
号の振幅を検出し、その振幅を判定値と比較して触媒劣
化の可能性の有無を判定する(ステップ102)。ここ
では、上流酸素センサと下流酸素センサのバラツキ(振
幅,応答性)を考慮しながら、明らかに正常と判定でき
るものを振幅によって判別し、それについては第2段階
の検査を省略する(ステップ104)。一方、触媒劣化
の可能性(疑い)が有る場合には第2段階の検査を行い
(ステップ105)、上流酸素センサの応答性をセンサ
のバラツキの下限である最も遅いセンサの応答性に調整
した後、所定期間内で下流酸素センサの応答遅延時間を
積算し、その積算値を劣化判定値と比較して触媒劣化の
有無を最終的に判定する(ステップ106〜108)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、触媒の上流と下流にそ
れぞれ設けられた酸素センサの出力信号を処理して触媒
の劣化を検査するようにした排気ガス浄化用触媒劣化検
査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、触媒の上流と下流にそれぞれ
酸素センサを設けた排気ガス浄化システムでは、触媒正
常時には、触媒のストレージ効果によって下流酸素セン
サの出力信号の周期が上流酸素センサのそれより長くな
るが、触媒劣化時にはストレージ効果が低下して下流酸
素センサの出力信号の周期が短くなり、ほぼ上流酸素セ
ンサの出力信号の周期と同じになる。更に、触媒劣化時
には下流酸素センサの出力信号の振幅が触媒正常時に比
べて大きくなる。
【0003】この特性を利用して触媒の劣化を検出する
ために、特開昭61−286550号公報に示すよう
に、上流と下流の両酸素センサの出力信号の周期比を求
め、この周期比が所定値以下になったとき、或は、下流
酸素センサの出力信号の振幅が判定値を越えたときに、
触媒の劣化と判定するようにしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この装置で
は、上流酸素センサの出力特性が劣化してその応答性が
遅くなると、上流酸素センサの出力信号の周期が長くな
るため、下流酸素センサの出力信号も同じ周期でリッチ
/リーンに振れてしまう。このため、上流と下流の両酸
素センサの出力信号の周期比が小さくなって、触媒が正
常に機能するのに劣化であると誤判定してしまうことが
あった。
【0005】ところで、エンジンに供給される混合気の
空燃比を理論空燃比近傍に補正するための空燃比補正係
数FAFは、図13に示すように、上流酸素センサの出
力信号が理論空燃比を表す基準電圧VR1 になる毎にリ
ッチ側とリーン側に交互にスキップ状に反転する。上述
したように、上流酸素センサが劣化すると、上流酸素セ
ンサの出力信号の周期が図13(a)から(b)に示す
ように長くなるため、それに応じて空燃比補正係数FA
Fの振幅がW1 からW2 へと大きくなり、空燃比の変動
幅が増大する。これが原因で、下流酸素センサの出力信
号の振幅も増大するため、前記従来例のように、下流酸
素センサの出力信号の振幅が判定値を越えたときに触媒
劣化と判定すると、上流酸素センサ劣化による下流酸素
センサ出力の振幅増大を触媒劣化と誤判定してしまうこ
とがある。
【0006】そこで、これらの不具合を改善するため
に、本発明者は、下流酸素センサの応答遅延時間を測定
し、その応答遅延時間が判定値よりも短くなったときに
触媒劣化と判定するシステムを考えている。ここで、応
答遅延時間とは、空燃比補正係数FAFがリッチ/リー
ン間で反転した時点から下流酸素センサの出力信号が基
準電圧VR2 になるまでの時間である。
【0007】しかしながら、下流酸素センサの応答遅延
時間の測定開始タイミングである空燃比補正係数FAF
の反転タイミングは、上流酸素センサの応答性によって
変化し、上流酸素センサの応答性は、その劣化度合いや
センサ品質のバラツキによって変化するため、単純に下
流酸素センサの応答遅延時間を測定しただけでは、上流
酸素センサの応答性のバラツキの影響を受けてしまい、
触媒劣化の検出精度向上の効果が少なくなってしまう。
また、運転状態のバラツキによっても空燃比補正係数F
AFの反転タイミングが変化するため、運転状態のバラ
ツキの影響も受けてしまう。
【0008】この運転状態のバラツキの影響を少なくす
るために、下流酸素センサの応答遅延時間の測定回数を
増やしてその平均値を判定値と比較することも考えられ
るが、この場合でも、上流酸素センサの応答性のバラツ
キの影響を受けることには変わりない。しかも、応答遅
延時間の測定回数を増やせば、演算処理の負荷が増加
し、その分、他の処理が制限されたり、演算能力の大幅
アップが必要となったりする欠点もある。
【0009】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、上流酸素センサの応
答性や運転状態のバラツキの影響を排除して、触媒劣化
の検出精度を向上することができると共に、演算処理負
荷の増加も最小限にとどめることができて、効率的な演
算処理で触媒劣化の有無を判定することができる排気ガ
ス浄化用触媒劣化検査装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の排気ガス浄化用触媒劣化検査装置は、エン
ジンの排気系に配置された排気ガス浄化用の触媒の上流
と下流にそれぞれ配設された上流酸素センサ及び下流酸
素センサと、前記下流酸素センサの出力信号の振幅を検
出する振幅検出手段と、この振幅検出手段の検出結果に
基づいて前記触媒の劣化の可能性の有無を判定する第1
の劣化判定手段と、この第1の劣化判定手段により劣化
の可能性有りと判定されたときに更に詳しく劣化の有無
を判定する第2の劣化判定手段とを備え、前記第2の劣
化判定手段は、前記上流酸素センサの応答性を設定値に
調整する応答性調整手段と、この応答性調整手段による
前記上流酸素センサの応答性調整後に所定期間内で前記
下流酸素センサの応答遅延時間を積算する応答遅延時間
積算手段と、この応答遅延時間積算手段の積算値を劣化
判定値と比較して劣化の有無を最終的に判定する劣化最
終判定手段とを備えた構成としたものである(請求項
1)。
【0011】この構成において、前記第2の劣化判定手
段は、前記下流酸素センサの応答遅延時間を積算する期
間中に空燃比補正係数の反転回数をカウントし、その反
転回数に応じて前記劣化判定値を変えるようにしても良
い(請求項2)。
【0012】
【作用】本発明の特徴は、触媒劣化の検査を2段階に分
けて行い、第1段階の検査では下流酸素センサの出力信
号の振幅を振幅検出手段により検出し、その検出結果に
基づいて触媒劣化の可能性の有無を第1の劣化判定手段
により判定する。この第1段階の検査で、触媒劣化の可
能性無しと判定されれば、第2段階の検査は行わず、触
媒が正常と判定される。つまり、第1段階の検査では、
上流酸素センサと下流酸素センサの出力信号のバラツキ
(振幅,応答性)を考慮しながら、明らかに正常と判定
できるもの(触媒劣化の可能性の無いもの)を振幅によ
って判別し、それについては第2段階の検査を省略する
ものである。
【0013】従って、第2段階の検査に進むのは、触媒
劣化の可能性(疑い)が有る場合に限られる。この第2
段階の検査では、上流酸素センサの応答性を応答性調整
手段により設定値に調整した後、所定期間内で下流酸素
センサの応答遅延時間を応答遅延時間積算手段により積
算し、その積算値を劣化判定値と比較して触媒劣化の有
無を劣化最終判定手段により最終的に判定する。この場
合、上流酸素センサの応答性にバラツキがあっても、そ
の応答性を設定値(例えばバラツキの下限である最も遅
いセンサの応答性)に合わせることによって上流酸素セ
ンサのバラツキの影響を排除することができる。しか
も、所定期間内で下流酸素センサの応答遅延時間を積算
して、その積算値を劣化判定値と比較することによっ
て、例えば、応答遅延時間を所定回数測定してその平均
値を判定値と比較するものに比べて、運転状態のバラツ
キの影響を受け難い(請求項1)。
【0014】また、請求項2では、下流酸素センサの応
答遅延時間を積算する期間中に空燃比補正係数の反転回
数をカウントし、その反転回数に応じて劣化判定値を変
える。これにより、劣化判定値を応答遅延時間の積算回
数に応じた最適値に設定することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。まず、図1に基づいてシステム全体の概略構成
を説明する。エンジン10の吸気管11の上流側には、
エアクリーナ12と、このエアクリーナ12を通過した
吸気量Qを測定するエアフロメータ13とが設けられて
いる。更に、吸気管11には、運転者が操作するアクセ
ル14によって開度調整されるスロットル弁15が設け
られている。この吸気管11内を流れる吸気をエンジン
10の各気筒に導入する吸気マニホールド16には、燃
料供給系17から供給される燃料を噴射する燃料噴射弁
18が取り付けられている。
【0016】一方、エンジン10の排気マニホールド1
9の下流には、排気ガス中の有害成分(HC,CO,N
Ox )を同時に浄化する三元触媒等の触媒20が設けら
れている。この触媒20の上流側の排気マニホールド1
9には上流酸素センサ21が設けられ、また、触媒20
の下流側の排気管22には、下流酸素センサ23が設け
られている。これら上流と下流の両酸素センサ21,2
3は、空燃比が理論空燃比に対してリッチであるかリー
ンであるかに応じて異なる出力電圧を発生するものであ
る。
【0017】また、エンジン10のウォータジャケット
24には、冷却水温TWHを検出する水温センサ25が
設けられている。エンジン10の点火プラグ(図示せ
ず)に高圧電流を配給するディストリビュータ26に
は、720℃A毎に基準位置信号を発生する基準位置セ
ンサ27と、30℃A毎にクランク角検出信号を発生す
るクランク角センサ28が設けられている。
【0018】これら各種のセンサの出力信号が電子制御
装置(以下「ECU」という)31に入力される。この
ECU31は、マイクロコンピュータ(図示せず)を主
体として構成され、エアフロメータ13で検出される吸
気量Q、水温センサ25で検出される冷却水温THW、
クランク角センサ28から出力されるクランク角信号に
基づいて算出されるエンジン回転数NE等に応じて基本
燃料噴射量を演算する。更に、このECU31は、上流
・下流酸素センサ21,23の出力信号に応じて触媒2
0の浄化率が最大となるように上記基本燃料噴射量を補
正して燃料噴射量TAUを求め、この燃料噴射量TAU
に応じた制御信号を燃料噴射弁18に出力して燃料噴射
動作を制御する。
【0019】このECU31は、後述する図2〜図5に
示す各ルーチンを実行することにより、上流・下流酸素
センサ21,23の出力信号に基づいて触媒20の劣化
の有無を検査し、劣化が検出されたときには、アラーム
32を作動させて運転者に警告する。
【0020】本実施例における触媒20の劣化検査方法
の特徴は、触媒20の劣化の検査を2段階に分けて行
い、第1段階の検査では、下流酸素センサ23の出力信
号の振幅を検出し、その振幅を判定値REFと比較して
触媒20の劣化の可能性の有無を判定する。この第1段
階の検査で、劣化の可能性無しと判定されれば、第2段
階の検査は行わず、触媒が正常と判定される。つまり、
第1段階の検査では、上流酸素センサと下流酸素センサ
23の出力信号のバラツキ(振幅,応答性)を考慮しな
がら、明らかに正常と判定できるもの(触媒劣化の可能
性の無いもの)を振幅によって判別し、それについては
第2段階の検査を省略する。
【0021】従って、第2段階の検査に進むのは、劣化
の可能性(疑い)が有る場合に限られる。この第2段階
の検査では、上流酸素センサ21の応答性を設定値(例
えばセンサのバラツキの下限である最も遅いセンサの応
答性)に調整した後、所定期間内で下流酸素センサ23
の応答遅延時間を積算し、その積算値を劣化判定値と比
較して触媒20の劣化の有無を最終的に判定する。
【0022】以下、触媒20の劣化を検査する各ルーチ
ンの処理の流れを詳細に説明する。図2に示す触媒モニ
タリングルーチンは、空燃比フィードバック制御中に例
えば64m秒毎に割込み処理される。このルーチンで
は、まず、ステップ101で、以下の〜の触媒劣化
検査条件が全て成立しているか否かを判定する。
【0023】エンジン回転数が所定範囲内であること 吸気管圧力が所定範囲内であること 車速が所定範囲内であること 暖機後であること 過渡運転状態でないこと アイドリング中でないこと 以上の触媒劣化検査条件のうち、1つでも成立していな
いものがあれば、以下の触媒劣化検査の処理を行わず、
本ルーチンを終了する。もし、上記触媒劣化検査条件が
全て成立していれば、ステップ102に進み、下流酸素
センサ23の出力信号の振幅によって触媒20の劣化の
可能性の有無を検査する第1段階の検査を行う。この第
1段階の検査は、例えば16m秒毎に割込み処理される
図3に示す第1段階検査ルーチンによって実行される。
この第1段階検査ルーチンは、特許請求の範囲で言う
“第1の劣化判定手段”としての役割を果たす。
【0024】この第1段階検査ルーチンでは、まず、ス
テップ111で、第1段階検査条件が成立しているか否
かを判定する。ここで、第1段階検査条件は、急激な過
渡運転時でないこと、燃料カット時でないこと等であ
り、これらの条件が成立するときのみ、ステップ112
に進んで、下流酸素センサ23の出力信号の振幅を次の
ようにして測定する。
【0025】即ち、図6に示すように、振幅測定フラグ
が“1”に反転したときに振幅の測定を開始し、振幅測
定を1回行う毎に、空燃比補正係数FAFのリーン/リ
ッチの反転タイミングに同期させて第1の測定回数カウ
ンタC1を1ずつカウントアップさせる。これにより、
振幅の測定回数(第1の測定回数カウンタC1のカウン
ト値)が例えば3回になると、振幅測定フラグが“0”
に反転し、これに同期して、第1の測定回数カウンタC
1が“0”にクリアされると共に、第2の測定回数カウ
ンタC2が1ずつカウントアップされる。以上のような
処理を例えば3回繰り返すことにより、振幅の測定を例
えば3回×3回(合計9回)行い、その平均値を最終的
に振幅の測定値とする。以上の振幅測定処理を行うステ
ップ112は、特許請求の範囲で言う“振幅検出手段”
としての役割を果たす。
【0026】振幅測定後、図3のステップ113に進
み、下流酸素センサ23の出力信号の振幅を判定値RE
Fと比較する。この判定値REFは、図11に示すよう
に、下流酸素センサ23の出力信号のバラツキ(振幅,
応答性)又は上流酸素センサ21の出力信号のバラツキ
(振幅,応答性)を考慮しながら、明らかに正常と判定
できるもの(劣化の可能性の無いもの)を判別できるよ
うに設定されている。つまり、図11に示すように、正
常とすべき範囲と劣化とすべき範囲との境界線における
振幅バラツキの下限以下であれば、触媒20が劣化して
いる可能性(疑い)が無く、明らかに正常と判定でき
る。
【0027】そこで、本実施例では、判定値REFを振
幅バラツキの下限以下に設定し、図3のステップ113
において、振幅≦判定値REFと判定されれば、明らか
に正常と判定でき、第1段階の検査結果が“正常”と判
定される(ステップ114)。もし、ステップ113
で、振幅>判定値REFと判定されれば、触媒20が劣
化している可能性があるので、第1段階の検査結果が
“劣化の可能性有り”と判定される(ステップ11
5)。
【0028】以上のようにして、第1段階の検査結果が
出れば、第1段階検査ルーチンを終了し、図2のステッ
プ103に進む。このステップ103では、第1段階の
検査で“劣化の可能性有り”と判定されたか否かを判定
し、「No」であれば、触媒20は正常であると判定し
てモニタリングを終了する(ステップ104)。
【0029】従って、第1段階の検査で“劣化の可能性
有り”と判定された場合のみ、ステップ105に進み、
第2段階の検査を行う。この第2段階の検査は、例えば
64m秒毎に割込み処理される図4に示す第2段階検査
ルーチンによって実行される。この第2段階検査ルーチ
ンは、特許請求の範囲で言う“第2の劣化判定手段”と
しての役割を果たす。
【0030】この第2段階検査ルーチンでは、まず、ス
テップ121で、空燃比補正係数FAFを上流酸素セン
サ21の出力信号に基づいてフィードバック制御する主
フィードバック周波数の測定条件が成立しているか否か
を判定する。ここで、主フィードバック周波数測定条件
は、例えば上流酸素センサ21が活性状態であること等
であり、この条件が成立するときのみ、ステップ122
に進んで、主フィードバック周波数を次のようにして測
定する。
【0031】即ち、図7に示すように、周波数測定フラ
グが“1”に反転したときに主フィードバック周波数の
測定を開始し、空燃比補正係数FAFのリーン/リッチ
の反転タイミングに同期させて周波数カウンタC1を1
ずつカウントアップさせる。この周波数測定中は、タイ
マカウンタをカウントアップさせ、そのカウント値が所
定時間(例えば20秒)に達したところで、周波数測定
フラグが“0”に反転し、周波数カウンタC1のカウン
トアップを終了させる。このときの周波数カウンタC1
のカウント値が主フィードバック周波数(所定時間内の
空燃比補正係数FAFの反転回数)となる。この主フィ
ードバック周波数は、上流酸素センサ21の応答性に応
じて増減する性質があるため、主フィードバック周波数
を測定することによって上流酸素センサ21の応答性を
測定することにもなる。
【0032】以上のようにして主フィードバック周波数
を測定した後、図4のステップ123に進み、主フィー
ドバック周波数を設定値(上流酸素センサ21の応答性
のバラツキを考慮して最も応答性の遅いもの)に調整す
る。この主フィードバック周波数の調整は、例えば4m
秒毎に割込み処理される図5の空燃比フィードバック制
御ルーチンの中で次のようにして行われる。まず、ステ
ップ141で、第2段階検査実行中か否かを判定し、第
2段階検査実行中でなければ、リーン遅延時間定数TD
Lとリッチ遅延時間定数TDRを共に第1の設定値TR
にセットし(ステップ142)、第2段階検査実行中で
あれば、リーン遅延時間定数TDLとリッチ遅延時間定
数TDRの双方を上記第1の設定値TRよりも小さい第
2の設定値TSにセットする(ステップ143)。
【0033】ここで、リーン遅延時間定数TDLは、上
流酸素センサ21の出力信号がリッチからリーンへ反転
しても、リッチであるとの判断を保持する遅延処理にお
ける遅延時間に対応するカウント値であり、負の値で定
義される。このリーン遅延時間定数TDLを第1の設定
値TRよりも小さい第2の設定値TSにセットすると遅
延処理における遅延時間は、例えば12m秒から240
m秒へ変化して長くなり、空燃比補正係数FAFの反転
周期(主フィードバックの周期)が長くなる。
【0034】一方、リッチ遅延時間定数TDRは、上流
酸素センサ21の出力信号がリーンからリッチへ反転し
ても、リーンであるとの判断を保持する遅延処理におけ
る遅延時間に対応するカウント値であり、正の値で定義
される。このリッチ遅延時間定数TDRを第1の設定値
TRよりも小さい第2の設定値TSにセットすると、遅
延処理における遅延時間は、例えば64m秒から240
m秒へ変化して長くなり、空燃比補正係数FAFの反転
周期(主フィードバックの周期)が長くなる。
【0035】本実施例では、上流酸素センサ21の応答
性のバラツキを考慮して最も応答性の遅いものに合わせ
るように第2の設定値TSを小さな値に設定し、リーン
・リッチ遅延時間定数TDL,TDRをこの第2の設定
値TSにセットすることで、主フィードバック周波数
(ひいては上流酸素センサ21の応答性)を最も応答性
の遅いものに調整する。このような処理を行うステップ
143は、特許請求の範囲で言う“応答性調整手段”と
しての役割を果たす。
【0036】主フィードバック周波数の調整後、図4の
ステップ124に進み、下流酸素センサ23の応答遅延
時間TL,TRを測定する。ここで、TLは、図8に示
すように、空燃比補正係数FAFがリッチからリーンへ
反転した時点から、下流酸素センサ23の出力信号が所
定電圧V2 になるまでの時間(以下「リーン遅延時間」
という)である。一方、TRは、図9に示すように、空
燃比補正係数FAFがリーンからリッチへ反転した時点
から、下流酸素センサ23の出力信号が所定電圧V2 に
なるまでの時間(以下「リッチ遅延時間」という)であ
る。
【0037】これらリーン・リッチ遅延時間TL,TR
の測定は、図8及び図9に示すように、リーン・リッチ
遅延時間測定フラグが“1”に反転した後、安定した状
態で測定するため、下流酸素センサ23の出力信号が所
定回数(例えば1回)反転してから開始される。もし、
図8及び図9に示すA点のように、下流酸素センサ23
の出力信号が反転しないときには、リーン・リッチ遅延
時間TL,TRは主フィードバック周期となる。上記リ
ーン・リッチ遅延時間測定フラグは、所定時間(例えば
25秒)経過後に“0”に反転し、リーン・リッチ遅延
時間TL,TRの測定が終了する。
【0038】本実施例では、1周期毎にリーン・リッチ
遅延時間TL,TRの平均値AVT[=(TL+TR)
/2]を算出し(ステップ125)、この平均遅延時間
AVTを積算する(ステップ126)。ここで、リーン
・リッチ遅延時間TL,TRの平均値AVTを積算する
理由は、積算カウンタがオーバーフローするのを防止す
るためである。従って、積算カウンタの容量に余裕があ
れば、ステップ125の処理を省略して、リーン・リッ
チ遅延時間TL,TRを平均化せずに積算するようにし
ても良い。平均遅延時間AVTの積算を行うステップ1
26は、特許請求の範囲でいう“応答遅延時間積算手
段”としての役割を果たす。
【0039】平均遅延時間AVTの積算後、ステップ1
27に進み、空燃比補正係数FAFの反転回数(主フィ
ードバック周波数)に応じて劣化判定値を決定する。具
体的には、平均遅延時間AVTの積算期間中に空燃比補
正係数FAFの反転回数をカウントし、図10に示すテ
ーブルを参照して、空燃比補正係数FAFの反転回数に
対応する劣化判定値を求める。
【0040】この後、ステップ128に進んで、平均遅
延時間AVTの積算値を図10のテーブルから求めた劣
化判定値と比較し、AVTの積算値>劣化判定値であれ
ば、第2段階の検査結果が“正常”となるが(ステップ
129)、AVTの積算値≦劣化判定値であれば、第2
段階の検査結果が“劣化”となる。従って、これらステ
ップ128〜130は、劣化の有無を最終的に判定する
“劣化最終判定手段”としての役割を果たす。
【0041】以上のようにして、第2段階検査ルーチン
を終了すると、図2のステップ106に進み、第2段階
の検査で劣化が検出されたか否かを判定し、検出されな
ければ、触媒20は正常であると判定してモニタリング
を終了する(ステップ107)。もし、第2段階の検査
で劣化が検出されれば、触媒20が劣化していると判定
し(ステップ108)、アラーム32を作動させて運転
者に警告すると共に、ダイアグノーシスに触媒劣化時の
データを記憶保存する。
【0042】以上説明した本実施例によれば、触媒20
の劣化の検査を2段階に分けて行い、第1段階の検査で
は下流酸素センサ21の出力信号の振幅を検出し、その
振幅を判定値REFと比較して触媒20の劣化の可能性
の有無を判定する。この判定値REFは、図11に示す
ように下流酸素センサ23の出力信号のバラツキ(振
幅,応答性)又は上流酸素センサ21の出力信号のバラ
ツキ(振幅,応答性)を考慮しながら、明らかに正常と
判定できるもの(劣化の可能性の無いもの)を判別でき
るように設定しているので、第1段階の検査で劣化の可
能性無しと判定されれば、第2段階の検査は行わず、触
媒20が正常と判定される。つまり、第1段階の検査で
は、上流酸素センサ21と下流酸素センサ23の出力信
号のバラツキ(振幅,応答性)を考慮しながら、明らか
に正常と判定できるもの(劣化の可能性の無いもの)を
振幅によって判別し、それについては第2段階の検査を
省略する。これにより、ECU31の演算処理負荷の増
加も最小限にとどめることができて、効率的な演算処理
で触媒20の劣化の有無を判定することができる。
【0043】一方、第1段階の検査で、触媒20の劣化
の可能性(疑い)が有る場合には、第2段階の検査に進
む。この第2段階の検査では、上流酸素センサ21の応
答性(主フィードバック周波数)を、上流酸素センサ2
1の応答性のバラツキを考慮して最も応答性の遅いもの
に合わせるように調整するので、上流酸素センサ21の
応答性にバラツキがあっても、そのバラツキの影響を排
除することができる。しかも、所定期間内で下流酸素セ
ンサ23の応答遅延時間を積算して、その積算値を劣化
判定値と比較して劣化の有無を最終的に判定するように
したので、例えば、応答遅延時間を所定回数測定してそ
の平均値を判定値と比較するものに比べて、運転状態の
バラツキの影響を受け難いという利点がある。
【0044】図12(a)は本実施例における応答遅延
時間の積算値と触媒浄化率との関係を示し、図12
(b)は応答遅延時間を所定回数測定してその平均値を
判定値と比較する場合の応答遅延時間(平均値)と触媒
浄化率との関係を示している。図12(b)に示す例で
は、運転状態のバラツキの影響を受けて応答遅延時間の
バラツキが大きくなるが、図12(a)に示す本実施例
では、応答遅延時間を積算する期間をある程度長く(例
えば25秒程度に)設定することによって、運転状態の
バラツキの影響を受け難くなり、応答遅延時間の積算値
のバラツキを少なくすることができて、上流酸素センサ
21のバラツキや運転状態のバラツキの影響を受け難い
高精度な劣化検出が可能となる。
【0045】更に、本実施例では、下流酸素センサ23
の応答遅延時間を積算する期間中に空燃比補正係数FA
Fの反転回数(応答遅延時間の積算回数)をカウント
し、その反転回数に応じて劣化判定値を変えるようにし
たので、劣化判定値を応答遅延時間の積算回数に応じた
最適値に設定することができて、触媒劣化の検出精度を
一層向上することができる。
【0046】尚、本実施例では、応答遅延時間を積算す
る期間を25秒に設定したが、これより長くても短くて
も良いことは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1の構成によれば、触媒劣化の検査を2段階に
分けて行い、第1段階の検査では、下流酸素センサの出
力信号の振幅を検出し、上流酸素センサと下流酸素セン
サの出力信号のバラツキ(振幅,応答性)を考慮しなが
ら、劣化の可能性の無いものを振幅により判別できるの
で、明らかに正常と判定できるもの(劣化の可能性の無
いもの)については第2段階の検査を省略することがで
き、演算処理負荷の増加も最小限にとどめることができ
て、効率的な演算処理を行うことができる。
【0048】しかも、触媒劣化の可能性(疑い)が有る
場合に行う第2段階の検査では、上流酸素センサの応答
性を、上流酸素センサの応答性のバラツキを考慮して最
も応答性の遅いものに合わせるように調整するので、上
流酸素センサの応答性にバラツキがあっても、そのバラ
ツキの影響を排除することができる。更に、所定期間内
で下流酸素センサの応答遅延時間を積算して、その積算
値を劣化判定値と比較して劣化の有無を最終的に判定す
るようにしたので、例えば、応答遅延時間を所定回数測
定してその平均値を判定値と比較するものに比べて、運
転状態のバラツキの影響を受け難く、上流酸素センサの
バラツキや運転状態のバラツキの影響を受け難い高精度
な劣化検出が可能となる。
【0049】また、請求項2では、下流酸素センサの応
答遅延時間を積算する期間中に空燃比補正係数の反転回
数をカウントし、その反転回数に応じて劣化判定値を変
えるようにしたので、劣化判定値を応答遅延時間の積算
回数に応じた最適値に設定することができて、触媒劣化
の検出精度を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すシステム全体の概略構
成図
【図2】触媒モニタリングルーチンの処理の流れを示す
フローチャート
【図3】第1段階検査ルーチンの処理の流れを示すフロ
ーチャート
【図4】第2段階検査ルーチンの処理の流れを示すフロ
ーチャート
【図5】空燃比フィードバック制御ルーチンの一部分の
処理の流れを示すフローチャート
【図6】下流酸素センサの出力信号の振幅測定方法を示
すタイミングチャート
【図7】主フィードバック周波数の測定方法を示すタイ
ミングチャート
【図8】リーン遅延時間TLの測定方法を示すタイミン
グチャート
【図9】リッチ遅延時間TRの測定方法を示すタイミン
グチャート
【図10】空燃比補正係数FAFの反転回数と劣化判定
値との関係を示す図
【図11】触媒浄化率と下流酸素センサ出力の振幅のバ
ラツキとの関係を説明する図
【図12】(a)は本発明の実施例における応答遅延時
間の積算値と触媒浄化率との関係を示す図、(b)は応
答遅延時間を所定回数測定してその平均値を判定値と比
較する場合の応答遅延時間(平均値)と触媒浄化率との
関係を示す図
【図13】(a)は上流酸素センサ正常時の出力,空燃
比補正係数FAF,下流酸素センサ出力の関係を示す
図、(b)は上流酸素センサ劣化時の出力,空燃比補正
係数FAF,下流酸素センサ出力の関係を示す図
【符号の説明】
10…エンジン、19…排気マニホールド、20…触
媒、21…上流酸素センサ、22…排気管、23…下流
酸素センサ、31…ECU(振幅検出手段,第1の劣化
判定手段,第2の劣化判定手段,応答性調整手段,応答
遅延時間積算手段,劣化最終判定手段)。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの排気系に配置された排気ガス
    浄化用の触媒の劣化を検査する排気ガス浄化用触媒劣化
    検査装置において、 前記触媒の上流と下流にそれぞれ配設され、空燃比が理
    論空燃比に対してリッチかリーンかを検出する上流酸素
    センサ及び下流酸素センサと、 前記下流酸素センサの出力信号の振幅を検出する振幅検
    出手段と、 この振幅検出手段の検出結果に基づいて前記触媒の劣化
    の可能性の有無を判定する第1の劣化判定手段と、 この第1の劣化判定手段により劣化の可能性有りと判定
    されたときに更に詳しく劣化の有無を判定する第2の劣
    化判定手段とを備え、 前記第2の劣化判定手段は、 前記上流酸素センサの応答性を設定値に調整する応答性
    調整手段と、 この応答性調整手段による前記上流酸素センサの応答性
    調整後に所定期間内で前記下流酸素センサの応答遅延時
    間を積算する応答遅延時間積算手段と、 この応答遅延時間積算手段の積算値を劣化判定値と比較
    して劣化の有無を最終的に判定する劣化最終判定手段と
    を備えたことを特徴とする排気ガス浄化用触媒劣化検査
    装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の劣化判定手段は、前記下流酸
    素センサの応答遅延時間を積算する期間中に空燃比補正
    係数の反転回数をカウントし、その反転回数に応じて前
    記劣化判定値を変えることを特徴とする請求項1に記載
    の排気ガス浄化用触媒劣化検査装置。
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