JPH0799429A - Igbtのサージ電圧抑制回路と過電流遮断回路 - Google Patents

Igbtのサージ電圧抑制回路と過電流遮断回路

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JPH0799429A
JPH0799429A JP24077193A JP24077193A JPH0799429A JP H0799429 A JPH0799429 A JP H0799429A JP 24077193 A JP24077193 A JP 24077193A JP 24077193 A JP24077193 A JP 24077193A JP H0799429 A JPH0799429 A JP H0799429A
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JP
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igbt
circuit
negative
voltage
terminal
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JP24077193A
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Inventor
Kiyoaki Sasagawa
清明 笹川
Masato Mochizuki
昌人 望月
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】IGBTを電力変換装置のスイッチング素子に
使用してオン・オフ動作させる際に、高いサージ電圧の
発生を抑制して半導体素子の破壊を防止する。又は、高
いサージ電圧を発生させることなく過電流を遮断する。 【構成】負極側第1ZD43と負極側第2ZD44とを
逆極性で直列接続して負極側主エミッタ端子26と負極
側制御ゲート端子27との間に接続し(正極側IGBT
11の場合も同様)、ターンオフ時に当該負極側IGB
T21を再度オンさせて電流変化率を緩和し、サージ電
圧を抑制する。ターンオン時はゲート電圧VGEを低下さ
せて対向アームのFWD逆回復時のサージ電圧を抑制す
る。或いは負極側第2ZD44とスイッチ53との直列
回路を負極側主エミッタ端子26と負極側制御ゲート端
子27の間に接続し、過電流検出時にスイッチ53をオ
ンにし、サージ電圧を抑制しつつ過電流を遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、絶縁ゲートバイポー
ラトランジスタとダイオードとの逆並列接続でなるスイ
ッチング回路が動作する際に生じるサージ電圧を抑制す
る回路と、このスイッチング回路に流れる過電流を遮断
する回路に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以
下ではIGBTと略記する)は、バイポーラトランジス
タが備えている高耐圧性と大電流化が容易であるという
長所と、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(通称
MOSFET)が備えている高速でのスイッチング動作
が可能である長所とを合わせて有している新しいデバイ
スである。
【0003】図10はIGBTを電力変換装置用に構成
したIGBTモジュールの第1従来例を示した回路図で
ある。この図10の第1従来例回路に示すように、IG
BT3にはフリーホイーリングダイオード(以下ではF
WDと略記する)4を逆並列接続してケースに収納し、
その表面には主回路電流が流れる主コレクタ端子6と主
エミッタ端子7、及び制御用の制御ゲート端子8と制御
エミッタ端子9とを備えてIGBTモジュール10を構
成している。尚、IGBT3のエミッタ極から主エミッ
タ端子7までの間の配線には内部インダクタンス5が存
在する。図10に図示のIGBTモジュール10を組み
合わせれば、電力変換装置を簡単に組み立てることがで
きる。
【0004】図11はIGBTを電力変換装置用に構成
したIGBTモジュールの第2従来例を示した回路図で
あって、前述した図10の第1従来例回路に図示してい
る回路の2組を直列接続した構成である。即ち、正極側
IGBT11と正極側FWD12との逆並列接続回路に
正極側内部インダクタンス13を直列接続した正極側の
スイッチング回路と、負極側IGBT21と負極側FW
D22との逆並列接続回路に負極側内部インダクタンス
23を直列接続した負極側スイッチング回路とを直列に
接続してケースに収納することで、IGBTモジュール
20を構成している。このIGBTモジュール20の表
面には、直流電源の正電位側を接続して主回路電流を流
す正極側主コレクタ端子15、負電位側を接続して主回
路電流を流す負極側主エミッタ端子26、変換した電力
を取り出す主中間端子16、正極側IGBT11を制御
するための正極側制御ゲート端子17と正極側制御エミ
ッタ端子18、負極側IGBT21を制御するための負
極側制御ゲート端子27と負極側制御エミッタ端子28
とを設けている。
【0005】図12は図11で既述のIGBTモジュー
ル20を使った電力変換装置の例を示した回路図であ
る。この電力変換装置は、3組のIGBTモジュール2
0R,20S,20Tを並列にして直流電源2に接続す
ることで、3相インバータを構成し、各IGBTモジュ
ールにはスナバ回路30R,30S,30Tを別個に並
列接続している。このような構成で、各IGBTモジュ
ールを構成している正極側と負極側のIGBTを順次オ
ン・オフ動作させることにより、直流電源2からの直流
を3相交流に変換して、主中間端子16R,16S,1
6Tから取り出すことができる。尚IGBTモジュール
20Sと20Tの構成はIGBTモジュール20Rと同
じであるから、これらの内部回路の図示は省略してい
る。
【0006】スナバ回路30Rはスナバ抵抗31とスナ
バダイオード32とスナバコンデンサ33とで構成し
て、IGBTがターンオフする際に、主回路の配線イン
ダクタンスにより生じるサージ電圧がIGBTに印加さ
れて、このIGBTが過電圧破壊される危険を防いでい
る。尚、スナバ回路30Sと30Tの構成はスナバ回路
30Rと同じであるから、これらの内部回路の図示は省
略している。
【0007】図13は図12の3相インバータが電力変
換する際の動作を説明する回路図である。前記の図12
に図示している電圧形3相インバータの負荷としては、
誘導性負荷(例えば誘導電動機)を接続することが多
い。この電圧形インバータをパルス幅変調制御する場合
は、例えばIGBTモジュール20Sの正極側IGBT
をオン状態にしておき、IGBTモジュール20Rの負
極側IGBTを高い周波数でオン・オフ動作させるが、
これは基本的にチョッパ回路の動作と同じである。即ち
図13に図示のように、負極側IGBT21をオンにす
ると、図示していないIGBTモジュール20Sの正極
側IGBTがオンしているので、直流電源2→主回路配
線インダクタンス61→負荷60→負極側IGBT21
→負極側内部インダクタンス23→直流電源2の経路
で、負荷電流I60が増加しつつ流れる。このときの負荷
電流I60は、負極側IGBT21のコレクタ電流IC
同じである。次いで負極側IGBT21をオフにする
と、負荷60を流れていた負荷電流I60は、負荷60→
正極側内部インダクタンス13→正極側FWD12→負
荷60の経路で減少しつつ還流する。このときの負荷電
流I60は正極側FWD12を流れる電流I12と等しい。
【0008】負極側IGBT21がオンして主回路配線
インダクタンス61に負荷電流I60が流れると、この電
流I60に対応したエネルギーが当該主回路配線インダク
タンス61に蓄えられている。次いで負極側IGBT2
1がターンオフしてそのコレクタ・エミッタ間電圧VCE
が直流電源電圧ED (直流電源2の電圧)に達すると、
スナバダイオード32が導通して主回路配線インダクタ
ンス61の蓄積エネルギーはスナバコンデンサ33へ吸
収される。
【0009】図14は図13で図示の電力変換動作説明
回路が動作する際の各部の波形を示した動作波形図であ
って、図14は負極側IGBT21のオン・オフ動
作、図14は負荷電流I60の変化、図14は負極側
IGBT21を流れるコレクタ電流IC の変化、図14
は正極側FWD12の電流I12の変化をそれぞれが表
している。
【0010】この図14で明らかなように、負極側IG
BT21がオンしている期間は、負荷電流I60は増加し
つつ流れるが、このときの負荷電流I60は即ち負極側I
GBT21のコレクタ電流IC である。t1 時点でオン
していた負極側IGBT21はターンオフするが、負極
側IGBT21がオフしている期間では負荷電流I60
減少しつつ流れるが、このときの負荷電流I60は即ち正
極側FWD12の電流I12である。一般的なチョッパ回
路では、正極側FWD12の電流I12が流れている間
に、オフしている負極側IGBT21をターンオンさせ
るが、このターンオン時点がt2 である。
【0011】図15は図13に図示の負極側IGBT2
1がターンオフする際のコレクタ電流IC とコレクタ・
エミッタ間電圧VCEの変化を示したグラフであって、図
14で既述した動作波形図ではt1 時点の近傍である。
尚、図15のグラフは横軸が時間を、縦軸は電流又は電
圧を表しており、コレクタ電流IC は一点鎖線で図示
し、コレクタ・エミッタ間電圧VCEは実線で図示してい
る。
【0012】図16は図13に図示の負極側IGBT2
1がターンオンする際の正極側FWD12の電流I12
電圧V12の変化を示したグラフであって、図14で既述
した動作波形図ではt2 時点の近傍である。尚、図16
のグラフも横軸が時間を、縦軸は電流又は電圧を表して
おり、電流I12は一点鎖線で図示し、電圧V12は実線で
図示している。この図16に図示のように、正極側FW
D12の電流I12が流れている間に負極側IGBT21
をオンにすると、正極側FWD12の電流I12は減少し
てt11時点で零となるが、更に逆方向へ流れたてt12
点で逆方向の最大値となり、その後は減少してt13時点
で零となる。このt11時点からt13時点までが逆回復期
間であり、この逆回復期間を経過した後に正極側FWD
12はオフとなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】IGBTは前述したよ
うに極めて高速なスイッチング動作が可能であるが、高
速スイッチングのために、IGBTがターンオフする際
やFWDが逆回復動作する際に過大なサージ電圧を発生
させ、このサージ電圧が各半導体素子を破壊する恐れが
あるが、その理由を以下において説明する。
【0014】先ずIGBTがターンオフする際の過大な
サージ電圧であるが、図13において、負極側IGBT
21がオフしてそのコレクタ・エミッタ間電圧VCEが直
流電源電圧ED に達すると、この負極側IGBT21に
流れていた電流はスナバ回路30へ流れ込むことにな
る。このスナバ回路30への流入電流は、負極側IGB
T21がターンオフする際の電流減少率(−dIC /dt )
(図15参照)と同じであるから、スナバ回路30と負
極側IGBT21と正極側FWD12とで形成する閉ル
ープの配線インダクタンスをLC とすると、この配線イ
ンダクタンスLCと前述の電流減少率とから、下記の数
1に示す電圧ΔVCEが誘起される。尚、閉ループの配線
インダクタンスLC は、正極側内部インダクタンス13
の値L13と、負極側内部インダクタンス23の値L23
及びスナバ回路配線インダクタンス62の値L62との和
である。
【0015】
【数1】
【0016】図15に図示のように、負極側IGBT2
1には、直流電源電圧ED に誘起電圧ΔVCEを加算した
サージ電圧VCEP が印加されることになる。即ち、負極
側IGBT21がターンオフする際の電流減少率(−dI
C /dt )が非常に高いのが原因で過大なサージ電圧V
CEP が発生し、負極側IGBT21がターンオフすると
きに安全動作領域を逸脱してしまう。その結果、当該負
極側IGBT21が破壊されてしまう不具合を生じる。
【0017】図17はIGBTがターンオフする際の電
流・電圧軌跡を示したグラフであって、横軸はコレクタ
・エミッタ間電圧VCEを表し、縦軸はコレクタ電流IC
を表している。尚グラフの実線はIGBTの電流・電圧
軌跡を表し、一点鎖線はIGBTの安全動作領域を表し
ている。この図17に図示のように、電圧が安全動作領
域を逸脱すると過電圧破壊を生じる。
【0018】そこで誘起電圧ΔVCEを低減させるべく、
スナバ回路配線インダクタンス62の値L62を減少させ
るのであるが、そのためにはスナバ回路の複数を並列接
続する等の対策が必要であり、スナバ回路の部品点数が
増加して回路が複雑化し、組立に手間がかかる不都合を
生じてしまう。次に負極側IGBT21がターンオンす
る際の正極側FWD12の逆回復動作であるが、従来の
バイポーラトランジスタなどの半導体スイッチ素子は、
スイッチング時間が逆回復時間よりも遅かったので、ダ
イオードの逆回復時間における電流・電圧の急激な変化
は、遅いスイッチング時間によって抑制されていた。し
かしながらIGBTでは、そのスイッチング時間はダイ
オードの逆回復時間とほぼ同程度であるため、逆回復時
間内での電流・電圧の変化は抑制されず、逆に増加する
方向にある。よって、逆回復時間が終了するときに、ダ
イオードの逆回復電流の変化率、(dI12/dt )と、前述
のスナバ回路30と負極側IGBT21と正極側FWD
12とでなる閉ループ(図13参照)の配線インダクタ
ンスLC とで、数2に示す電圧ΔVが誘起される。
【0019】
【数2】
【0020】この誘起電圧ΔVが直流電源電圧ED に重
畳されて、非常に高い電圧VDPを生じる(図16参
照)。この電圧VDPが半導体素子の耐電圧を越えると、
素子を破壊してしまう不具合がある。そこでこの発明の
目的は、IGBTを電力変換装置のスイッチング素子に
使用してオン・オフ動作させる際に、高いサージ電圧の
発生を抑制して半導体素子の破壊を防止することにあ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めにこの発明のIGBTのサージ電圧抑制回路と過電流
遮断回路は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタとダイ
オードとの逆並列接続でなるスイッチング回路の1組を
ケースに封入し、或いは前記スイッチング回路の2組を
直列接続してケースに封入し、このケースの表面に主回
路用コレクタ端子,主回路用エミッタ端子,制御用ゲー
ト端子,及び制御用エミッタ端子を備えてIGBTモジ
ュールを構成し、このIGBTモジュールに並列にスナ
バ回路を接続している装置において、複数のツェナーダ
イオードを相互に逆方向に直列接続し、このツェナーダ
イオード逆直列回路を前記IGBTモジュールの制御用
ゲート端子と主回路用エミッタ端子との間に接続するも
のとする。
【0022】又は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
とダイオードとの逆並列接続でなるスイッチング回路の
1組をケースに封入し、或いは前記スイッチング回路の
2組を直列接続してケースに封入し、このケースの表面
に主回路用コレクタ端子,主回路用エミッタ端子,制御
用ゲート端子,及び制御用エミッタ端子を備えているI
GBTモジュールにおいて、ツェナーダイオードとスイ
ッチとの直列接続回路を前記IGBTモジュールの制御
用ゲート端子と主回路用エミッタ端子との間に接続し、
当該IGBTモジュールに過電流が流れたことを検出す
る過電流検出手段を設け、過電流検出時には前記絶縁ゲ
ートバイポーラトランジスタへオフ信号を与えると共
に、常時は開路している前記スイッチを閉路させるもの
とする。
【0023】
【作用】IGBTとFWDとの逆並列接続回路をケース
に収納したモジュール構造では、IGBT素子のエミッ
タ部からモジュール表面の主エミッタ端子までの配線に
はインダクタンスLM が存在する。コレクタ電流IC
変化するとこのコレクタ電流IC の変化率(dIC /dt )
にインダクタンスLM を乗じた量の電圧ΔVLMが発生す
る。そこで本発明は、この発生電圧ΔVLMとツェナーダ
イオードを利用して、IGBTがターンオフする際に発
生するサージ電圧や、FWDの逆回復時に発生するサー
ジ電圧を低減させるものである。
【0024】IGBTがターンオフする際のサージ電圧
を抑制するために、ツェナーダイオードのカソード極を
IGBTモジュールの主エミッタ端子に接続し、このツ
ェナーダイオードのアノード極をIGBTモジュールの
制御ゲート端子に接続する。IGBTのターンオフ時の
電流変化(−dIC /dt )により、IGBTモジュール内
部配線のインダクタンスLM には、ツェナーダイオード
と対抗したΔVLMなる電圧が生じる。この電圧ΔVLM
ツェナー電圧を越えると、ツェナーダイオードを介して
IGBTのゲート部を充電する電流が流れる。この充電
電流がIGBTを再度オンさせるので、大きな電流変化
(−dIC /dt )が抑制され、ターンオフ時のサージ電圧
を抑制する。
【0025】図18はIGBTの出力特性を示したグラ
フであって、横軸はコレクタ・エミッタ間電圧VCE、縦
軸はコレクタ電流IC であり、ゲート電圧VGEをパラメ
ータにしたVCEとIC との関係を表している。この図1
8から、ゲート電圧VGEを高くするとコレクタ電流IC
も増えるが、ゲート電圧VGEを低くすればコレクタ電流
C を小さく抑制できることが分かる。そこでゲート電
圧VGEを低く抑制してIGBTのターンオン時の電流変
化率を抑制することにより、このIGBTに対向してい
るアームのFWDが逆回復する際の電流変化率を抑制し
ようとするものである。
【0026】即ち、ツェナーダイオードのアノード極を
IGBTモジュールの主エミッタ端子に接続し、且つ当
該ツェナーダイオードのカソード極をIGBTモジュー
ルの制御ゲート端子に接続する。これは前述したIGB
Tのターンオフ時のサージ電圧抑制用のツェナーダイオ
ードとは逆極性の接続である。IGBTのターンオン時
にIGBTモジュールの内部配線インダクタンスLM
電圧が誘起していると、ツェナー電圧VZ は下記の数3
で表される。但しVGEはゲート電圧である。
【0027】
【数3】VZ =VGE+ΔVLM ここでΔVLMは、前述したようにコレクタ電流IC の変
化率(dIC /dt )にインダクタンスLM を乗じた値であ
る。この数3から明らかなように、IGBTへ印加され
るゲート電圧VGEは、ツェナー電圧VZ と誘起電圧ΔV
LMの値に制約される。そこでIGBTのターンオン時に
はゲート電圧VGEを低くすれば、当該IGBTに対向し
たアームのFWDが逆回復する際に生じるサージ電圧を
低減させることができる。
【0028】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を表した回路図で
あって、図12で既述の第2従来例回路に対応してい
る。この図1の第1実施例回路に図示の正極側IGBT
11,正極側FWD12,正極側内部インダクタンス1
3,正極側主コレクタ端子15,主中間端子16,正極
側制御ゲート端子17,正極側制御エミッタ端子18,
IGBTモジュール20,負極側IGBT21,負極側
FWD22,負極側内部インダクタンス23,負極側主
エミッタ端子26,負極側制御ゲート端子27,及び負
極側制御エミッタ端子28の名称・用途・機能は、図1
1で既述の第2従来例回路の場合と同じであるから、こ
れらの説明は省略する。尚、図1の第1実施例回路で
は、このIGBTモジュール20へ直流電力を供給する
直流電源2、正極側IGBT11と負極側IGBT21
へゲート信号を与える正極側ゲート駆動回路14と負極
側ゲート駆動回路24、及びスナバ抵抗31とスナバダ
イオード32とスナバコンデンサ33で構成してIGB
Tモジュール20に並列接続したスナバ回路30を記載
している。尚、スナバ回路30は一つの例であって、こ
れとは異なる構成のスナバ回路であっても差し支えない
ことは勿論である。
【0029】本発明では、ツェナーダイオード(以下で
はZDと略記する)を相互に逆方向に直列接続した回
路、即ち正極側第1ZD41と正極側第2ZD42との
極性を逆にして直列接続した回路を、主中間端子16
(即ち正極側IGBT11の主エミッタ端子)と正極側
制御ゲート端子17との間に接続し、同じく負極側第1
ZD43と負極側第2ZD44との極性を逆にして直列
接続した回路を、負極側主エミッタ端子26と負極側制
御ゲート端子27との間に接続する。
【0030】図2は図1の第1実施例回路で負極側IG
BT21がターンオフする際のサージ電圧の抑制動作を
説明する動作説明回路図である。負極側IGBT21が
オン状態のときにはコレクタ電流IC が流れているが、
この負極側IGBT21のターンオフ時の電流変化(−
dIC /dt )によって、負極側内部インダクタンス23に
は電圧ΔV23が誘起される。この誘起電圧ΔV23が負極
側主エミッタ端子26と負極側制御ゲート端子27の間
に接続した負極側第2ZD44のツェナー電圧V44を越
えると、負極側内部インダクタンス23の誘起電圧ΔV
23を電源にして、負極側内部インダクタンス23→負極
側第2ZD44→負極側第1ZD43→負極側IGBT
21のゲート極→負極側IGBT21のエミッタ極のル
ープ(点線で図示)で電流が流れる。この電流は負極側
IGBT21のゲート極を充電するので当該負極側IG
BT21は再度オンとなる。その結果、過大なサージ電
圧を発生させる電流変化(−dIC /dt )が抑制され、こ
の電流変化(−dIC /dt )の抑制で誘起電圧ΔV23が減
少する。この誘起電圧ΔV23が負極側第2ZD44のツ
ェナー電圧V44以下になれば、負極側IGBT21の再
度のオンも終了して負極側IGBT21は完全にターン
オフする。
【0031】図3は図2の動作説明回路図で説明した本
発明の効果を表したグラフであって、横軸は時間を表
し、縦軸は電流又は電圧を表している。尚このグラフで
一点鎖線は本発明の結果のコレクタ電流IC であり、実
線は本発明の結果のコレクタ・エミッタ間電圧VCEであ
り、点線部分は本発明を適用しない場合のIC とVCE
表している。この図3で明らかなように、コレクタ電流
C が大きな電流変化で減少する途中で再度オンするた
めに、減少する電流の変化率が緩やかになり、これに対
応してコレクタ・エミッタ間電圧VCEのピーク値が抑制
されている。
【0032】図4は図1の第1実施例回路で負極側IG
BT21がターンオンする際のサージ電圧の抑制動作を
説明する動作説明回路図である。図5は図4の動作回路
説明図と等価な回路を表した等価回路図であって、負極
側IGBT21のターンオン時であるから負極側第2Z
D44の図示は省略し、負極側IGBT21は21Cな
る負極側IGBT21の入力容量CGEに対応するコンデ
ンサに置き換え、負極側内部インダクタンス23は直流
起電力に置き換えている。
【0033】図5の等価回路において、負極側IGBT
21がターンオンする際に負極側内部インダクタンス2
3に電圧を誘起していると、下記の数4の関係が成立す
る。但しV43は負極側第1ZD43のツエナー電圧、V
GEは負極側IGBT21のゲート電圧、ΔV23は負極側
内部インダクタンス23の誘起電圧である。
【0034】
【数4】V43=VGE+ΔV23 ここでΔV23は、コレクタ電流IC の変化率(dIC /dt
)に負極側内部インダクタンス23の値L23を乗じた
値である。この数4から明らかなように、負極側IGB
T21のターンオン時に当該負極側IGBT21に印加
されるゲート電圧VGEは、負極側第1ZD43のツエナ
ー電圧V43と、負極側内部インダクタンス23の誘起電
圧ΔV23で制約される。その制約は次のとおりである。
【0035】a)負極側第1ZD43のツエナー電圧V
43が大の場合は、ゲート電圧VGEが増加する。従ってコ
レクタ電流IC の変化率(dIC /dt )も増加する。 b)負極側第1ZD43のツエナー電圧V43が小の場合
は、ゲート電圧VGEが抑制される。従ってコレクタ電流
C の変化率(dIC /dt )も抑制される。 上述の関係から、負極側IGBT21のターンオン時に
はゲート電圧VGEを低減してコレクタ電流IC の変化率
(dIC /dt )を抑制させればよい。負極側IGBT21
がターンオンする時のコレクタ電流IC の変化率(dIC
/dt )と、対向するアームのFWDの電流減少率(−dI
12/dt )とは同じである。FWDの電流減少率(−dI12
/dt )が抑制されれば逆回復時の電流変化率も抑制でき
る。その結果、FWD逆回復時のサージ電圧を低減する
ことができる。
【0036】図6は本発明の第2実施例を表した回路図
であるが、この図6の第2実施例回路の各部の名称・用
途・機能は、すべて図1で既述の第1実施例回路の場合
と同じである。よって動作説明は省略する。図6の第2
実施例回路が図1の第1実施例回路と異なる点は、正極
側IGBT11の主中間端子16と正極側制御ゲート端
子17との間に接続する正極側第1ZD41と正極側第
2ZD42との逆直列回路と、負極側IGBT21の負
極側主エミッタ端子26と負極側制御ゲート端子27と
の間に接続する負極側第1ZD43と負極側第2ZD4
4との逆直列回路を、いずれもスナバ回路34に収納し
ていることである。このような構成にすることで、サー
ジ電圧抑制用の機能部品が一括されるので結線が容易に
なるし、結線ミスも回避できる。尚、スナバ抵抗31は
スナバコンデンサ33へ吸収したエネルギーを消費する
際に温度が上昇するので、スナバ回路とは分離して配置
することが多い。
【0037】図7は本発明の第3実施例を表した回路図
であるが、この図7の第3実施例回路の各部の名称・用
途・機能は、すべて図1で既述の第1実施例回路の場合
と同じである。よって動作説明は省略する。図7の第3
実施例回路が図1の第1実施例回路と異なる点は、正極
側IGBT11の主中間端子16と正極側制御ゲート端
子17との間に接続する正極側第1ZD41と正極側第
2ZD42との逆直列回路と、負極側IGBT21の負
極側主エミッタ端子26と負極側制御ゲート端子27と
の間に接続する負極側第1ZD43と負極側第2ZD4
4との逆直列回路を、いずれもIGBTモジュール40
の内部に収納していることであるが、このような構成に
することで得られる効果は図1の第1実施例回路の場合
と同じである。又、正極側第2ZD42のカソード極を
主中間端子16に近い位置に接続するか、それとも正極
側IGBT11のエミッタ極に近い位置に接続するか
で、正極側内部インダクタンス13の値L 13を調整でき
る。同様に、負極側第2ZD44のカソード極の接続位
置で負極側内部インダクタンス23の値L23を調整でき
る。
【0038】図8は本発明の第4実施例を表した回路図
であって、図11の第2従来例回路の負極側IGBT2
1に対応する部分を図示しており、負極側第2ZD44
のカソード極にスイッチ53を接続し、このスイッチ5
3の他方の端子を負極側主エミッタ端子26に接続し、
負極側第2ZD44のアノード極を負極側制御ゲート端
子27に接続する。更に負極側IGBT21のコレクタ
極に過電流検出手段としての電圧監視ダイオード51
と、電圧監視ダイオード51の出力で動作する故障判別
回路52を設け、前記のスイッチ53を故障判別回路5
2の出力信号でオン・オフさせる構成にしている。
【0039】図9は図8の第4実施例回路の動作を説明
するタイムチャートであって、図9は負極側IGBT
21のコレクタ・エミッタ間電圧VCEの変化、図9は
故障判別回路52の出力信号の変化、図9は負極側I
GBT21に与えられるオフ指令信号の変化、図9は
負極側IGBT21のコレクタ電流IC の変化を、それ
ぞれが表している。これらの図8,図9とで第4実施例
回路の動作を以下に説明する。
【0040】負極側IGBT21がオンしているとき
に、例えば対向アームの正極側IGBT11が誤オンす
ると、直流電源2は正極側IGBT11と負極側IGB
T21とで短絡されてしまう(図1参照)。所謂アーム
短絡である。このアーム短絡でコレクタ電流IC が過大
になるとコレクタ・エミッタ間電圧VCEも増大する。故
障判別回路52は、電圧監視ダイオード51を介してコ
レクタ・エミッタ間電圧VCEを常時監視しており、この
電圧VCEが故障レベルを越えたt0 時点で(図9参
照)、障判別回路52は短絡故障と判断してスイッチ5
3へ閉路信号を与えるが、これと同時に、図示していな
い制御装置へも異常信号を出力する(図9参照)。制
御装置はこの異常信号を受けて負極側IGBT21へオ
フ信号を出力(図9参照)して、コレクタ電流IC
遮断するのであるが、このときスイッチ53はオンして
いて、負極側IGBT21の負極側主エミッタ端子26
と負極側制御ゲート端子27とは負極側第2ZD44を
介して結合されている。即ち図2で既述したように、I
GBTがターンオフする際のサージ電圧抑制動作がなさ
れるので、過大なコレクタ電流IC を遮断する場合で
も、半導体素子を破壊させるような高いサージ電圧が発
生するのを抑制できる。
【0041】
【発明の効果】IGBTを電力変換装置に使用すると、
このIGBTの動作が高速であることから、ターンオフ
時の大きな電流減少率が原因で過大なサージ電圧が発生
し、ターンオン時にはこのIGBTに対向するアームの
FWD逆回復時に高いサージ電圧を発生し、電力変換装
置を構成する各半導体素子を破壊させる恐れがある。
【0042】本発明では、IGBTの主エミッタ端子と
制御ゲート端子との間に、ツエナーダイオードを相互に
逆極性で直列接続した逆直列回路を挿入する。IGBT
のターンオフ時のコレクタ電流IC の変化率が過大にな
ると、IGBTの主エミッタ端子側にカソード極を接続
しているツエナーダイオードの動作で当該IGBTを再
度オンにして、コレクタ電流IC の変化率を緩和させる
ことにより、サージ電圧を抑制する。一方、IGBTの
ターンオン時のコレクタ電流IC の変化率が過大になる
と、IGBTの制御ゲート端子側にカソード極を接続し
ているツエナーダイオードの動作で当該IGBTのゲー
ト電圧VGEを低下させて、コレクタ電流IC の変化率を
緩和させることにより、対向アームのFWD逆回復時に
発生するサージ電圧を抑制する。
【0043】よって本発明の請求項1によれば、いくつ
かのツエナーダイオードをIGBTに追加することで、
容易に且つ確実にサージ電圧を抑制できる効果が得られ
るし、高速動作するIGBTの性能を充分に発揮させる
こともできる。本発明の請求項2によれば、前述した追
加のツエナーダイオードをスナバ回路内に収納するの
で、サージ電圧抑制用の部品を一括して纏めることがで
きるので、装置の小形化と、取付け・配線の誤りを回避
出来る効果が得られる。
【0044】本発明の請求項3によれば、前述した追加
のツエナーダイオードをIGBTモジュール内部に収納
しているので、電力変換装置の構成部品の点数を減らせ
るし、内蔵したツエナーダイオードの接続位置を変える
ことで、IGBTモジュールの内部インダクタンスを所
望値に調整できる効果も得られる。本発明の請求項4に
よれば、アーム短絡のような過大なコレクタ電流IC
流れた場合でも、この短絡電流をIGBTのターンオフ
動作で遮断する際に発生するサージ電圧を抑制できるの
で、半導体素子の破損を心配せずに過大電流を手段でき
る効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を表した回路図
【図2】図1の第1実施例回路で負極側IGBT21が
ターンオフする際のサージ電圧の抑制動作を説明する動
作説明回路図
【図3】図2の動作説明回路図で説明した本発明の効果
を表したグラフ
【図4】図1の第1実施例回路で負極側IGBT21が
ターンオンする際のサージ電圧の抑制動作を説明する動
作説明回路図
【図5】図4の動作回路説明図と等価な回路を表した等
価回路図
【図6】本発明の第2実施例を表した回路図
【図7】本発明の第3実施例を表した回路図
【図8】本発明の第4実施例を表した回路図
【図9】図8の第4実施例回路の動作を説明するタイム
チャート
【図10】IGBTを電力変換装置用に構成したIGB
Tモジュールの第1従来例を示した回路図
【図11】IGBTを電力変換装置用に構成したIGB
Tモジュールの第2従来例を示した回路図
【図12】図11で既述のIGBTモジュール20を使
った電力変換装置の例を示した回路図
【図13】図12の3相インバータが電力変換する際の
動作を説明する回路図
【図14】図13で図示の電力変換動作説明回路が動作
する際の各部の波形を示した動作波形図
【図15】図13に図示の負極側IGBT21がターン
オフする際のコレクタ電流IC とコレクタ・エミッタ間
電圧VCEの変化を示したグラフ
【図16】図13に図示の負極側IGBT21がターン
オンする際の正極側FWD12の電流I12と電圧V12
変化を示したグラフ
【図17】IGBTがターンオフする際の電流・電圧軌
跡を示したグラフ
【図18】IGBTの出力特性を示したグラフ
【符号の説明】
2 直流電源 10,20,40 IGBTモジュール 11 正極側IGBT 12 正極側FWD 13 正極側内部インダクタンス 14 正極側ゲート駆動回路 15 正極側主コレクタ端子 16 主中間端子 17 正極側制御ゲート端子 18 正極側制御エミッタ端子 21 負極側IGBT 21C 負極側IGBTの入力容量 22 負極側FWD 23 負極側内部インダクタンス 23D 直流起電力 24 負極側ゲート駆動回路 26 負極側主エミッタ端子 27 負極側制御ゲート端子 28 負極側制御エミッタ端子 30,34 スナバ回路 31 スナバ抵抗 32 スナバダイオード 33 スナバコンデンサ 41 正極側第1ZD 42 正極側第2ZD 43 負極側第1ZD 44 負極側第2ZD 51 過電流検出手段としての電圧監視ダイオード 52 故障判別回路 53 スイッチ 60 負荷 61 主回路配線インダクタンス 62 スナバ回路配線インダクタンス IC コレクタ電流 ED 直流電源電圧 VCE コレクタ・エミッタ間電圧 VGE ゲート電圧 ΔV23 誘起電圧 V43 ツエナー電圧 V44 ツェナー電圧

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁ゲートバイポーラトランジスタとダイ
    オードとの逆並列接続でなるスイッチング回路の1組を
    ケースに封入し、又は前記スイッチング回路の2組を直
    列接続してケースに封入し、このケースの表面に主回路
    用コレクタ端子,主回路用エミッタ端子,制御用ゲート
    端子,及び制御用エミッタ端子を備えてIGBTモジュ
    ールを構成し、このIGBTモジュールに並列にスナバ
    回路を接続している装置において、 複数のツェナーダイオードを相互に逆方向に直列接続
    し、このツェナーダイオード逆直列回路を前記IGBT
    モジュールの制御用ゲート端子と主回路用エミッタ端子
    との間に接続することを特徴とするIGBTのサージ電
    圧抑制回路。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のIGBTのサージ電圧抑
    制回路において、前記制御用ゲート端子と主回路用エミ
    ッタ端子との間に接続した前記ツェナーダイオード逆直
    列回路を、前記スナバ回路の内部に収納することを特徴
    とするIGBTのサージ電圧抑制回路。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のIGBTのサージ電圧抑
    制回路において、前記制御用ゲート端子と主回路用エミ
    ッタ端子との間に接続した前記ツェナーダイオード逆直
    列回路を、前記IGBTモジュールの内部に収納するこ
    とを特徴とするIGBTのサージ電圧抑制回路。
  4. 【請求項4】絶縁ゲートバイポーラトランジスタとダイ
    オードとの逆並列接続でなるスイッチング回路の1組を
    ケースに封入し、又は前記スイッチング回路の2組を直
    列接続してケースに封入し、このケースの表面に主回路
    用コレクタ端子,主回路用エミッタ端子,制御用ゲート
    端子,及び制御用エミッタ端子を備えているIGBTモ
    ジュールにおいて、 ツェナーダイオードとスイッチとの直列接続回路を前記
    IGBTモジュールの制御用ゲート端子と主回路用エミ
    ッタ端子との間に接続し、当該IGBTモジュールに過
    電流が流れたことを検出する過電流検出手段を設け、過
    電流を検出すれば前記絶縁ゲートバイポーラトランジス
    タへオフ信号を与えると共に、常時は開路している前記
    スイッチを閉路させることを特徴とするIGBTの過電
    流遮断回路。
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