JPH0797468A - ハードコート層を有する成形品、及びその製造方法 - Google Patents

ハードコート層を有する成形品、及びその製造方法

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JPH0797468A
JPH0797468A JP5238859A JP23885993A JPH0797468A JP H0797468 A JPH0797468 A JP H0797468A JP 5238859 A JP5238859 A JP 5238859A JP 23885993 A JP23885993 A JP 23885993A JP H0797468 A JPH0797468 A JP H0797468A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(例えば、ノル
ボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物)で形成さ
れた基材の表面をコロナ放電処理等の処理により、表面
張力が50dyne/cm以上に改質し、または、ビニ
ル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体(水素添加
物)に極性基を導入した変性物(例えば、無水マレイン
酸をグラフト付加したスチレン・エチレン・ブタジエン
・スチレン・ブロック共重合体水素添加物)等の一次プ
ライマー層を形成し、シリコーン系ハードコート剤用の
プライマー層を形成した後、シリコーン系ハードコート
層を形成する。 【効果】 碁盤目剥離試験での密着製が100目中50
目以上であり、70℃の温水中に1時間保持した後で
も、碁盤目剥離試験で100目中40目以上、テーバー
摩耗試験後のヘーズ値が1.0%以下、鉛筆硬度は2H
以上の成形品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂から成る成形品表面とハードコート層の接着性に
優れた成形品、表面改質処理とプライマー層形成処理を
併用するそのような成形品の製造方法、及び多重プライ
マー層形成処理を行うそのような成形品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】眼鏡レンズ、自動車用ルームミラーなど
では、表面に傷があると、乱反射等により目に悪い、画
像が不正確になるなどの問題が生じるため、硬度の高い
ガラスか、透明樹脂の表面にハードコート層を設けて表
面硬度を上げて用いている。しかし、ガラスには、重
く、可撓性がないという欠点があった。
【0003】樹脂に用いられるハードコート剤はシリコ
ーン系ハードコート剤と有機系ハードコート剤に大別で
きる。しかし、有機系ハードコート剤は、一般に、硬度
が低く、耐摩耗性が悪いため、表面の傷つきやすい成型
品に用いるには、性能が不十分であった。
【0004】近時、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は透明
性、耐熱性、耐湿性、低複屈折性に優れた光学材料とし
て注目されている。しかし、表面が熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂からなる成形品では、シリコーン系ハードコー
ト剤との濡れが悪く、密着性が不十分であり、硬化した
後のハードコート層が成形品から剥がれてしまうという
問題があった。また、極性基を有していない熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂は、耐薬品性が高いため表面処理を行
いにくく、薬品処理のみでは、十分に接着性を上げるこ
とも困難であった。一方、極性基を含有させて密着性を
改良した熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合は、ある程
度の密着性を有するハードコート層を形成できる場合が
あったが、実用上密着性が不十分であり、極性基を含有
させることにより耐湿性が低下するため、高温高湿など
過酷な条件下では剥離しやすくなる、また、耐薬品性が
低下するために一般のシリコーン系ハードコート剤に用
いられる溶剤では表面が溶解し透明性が失われやすいな
どの問題があった。
【0005】したがって、従来、成形品表面との接着性
に優れたシリコーン系ハードコート層を有する熱可塑性
ノルボルネン系樹脂からなる成形品は得られていなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、熱可塑
性ノルボルネン系樹脂から成る成形品とシリコーン系ハ
ードコート層の接着性について鋭意研究の結果、表面改
質処理とプライマー層形成処理を併用することにより、
または多重プライマー層形成処理を行うことにより、ハ
ードコート層と成形品表面が強固に接着できることを見
い出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された基材の表
面に碁盤目剥離試験での密着性が100目中50目以上
であるシリコーン系ハードコート層を有する熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂から成る成型品、熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂基材の表面を表面張力が50dyne/cm以
上になるように改質し、該表面にプライマー層を形成
し、シリコン系ハードコート層を形成することを特徴と
する該成型品の製造方法、及び熱可塑性ノルボルネン系
樹脂基材の表面に、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類
の共重合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物、
またはプロピレン・エチレン共重合体に極性基を導入し
た変性物からなる一次プライマー層を形成し、一次プラ
イマー層上にシリコーン系ハードコート剤用プライマー
層を形成し、シリコーン系ハードコート層を形成するこ
とを特徴とする該成形品の製造方法が提供される。
【0008】(基材)本発明においては、ハードコート
層を形成する基材は、少なくともハードコート層を形成
する表面が熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成された成
形品である。
【0009】本発明で用いる熱可塑性ノルボルネン系樹
脂は、特開平3−14882号や特開平3−12213
7号、特開平4−63807号などで公知の樹脂であ
り、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、
その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合
体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合
体、これらの重合体の変性物などが挙げられる。
【0010】ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開
平2−227424号、特開平2−276842号など
で公知の単量体であって、例えば、ノルボルネン、その
アルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれ
ら置換または非置換のオレフィンのハロゲン、水酸基、
エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミ
ド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボ
ルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメ
チル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネ
ン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−
2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノル
ボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル
−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フ
ェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル
−2−ノルボルネン等; シクロペンタジエンの多量
体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシク
ロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエ
ン、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノナフタ
レン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,
2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,1
0a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアン
トラセン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロイン
デン等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、
例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,
8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等; 等
が挙げられる。
【0011】ノルボルネン系単量体の重合は公知の方法
でよく、必要に応じて、他の共重合可能な単量体と共重
合したり、水素添加することにより熱可塑性飽和ノルボ
ルネン系樹脂である熱可塑性ノルボルネン系重合体水素
添加物とすることができる。また、重合体や重合体水素
添加物を特開平3−95235号などで公知の方法によ
り、α,β−不飽和カルボン酸および/またはその誘導
体、スチレン系炭化水素、オレフィン系不飽和結合およ
び加水分解可能な基を持つ有機ケイ素化合物、不飽和エ
ポキシ単量体を用いて変性させてもよい。なお、耐湿
性、耐薬品性に優れたものを得るためには、極性基を含
有しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂が好ましい。ま
た、極性基を含有しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂
は、本発明の製造方法により、シリコーン系ハードコー
ト層と基材の密着性の改良効果が大きく好ましい。
【0012】分子量はシクロヘキサンを溶媒とするGP
C(ゲル・パーミエション・クロマトグラフィー)分析
により測定した数平均分子量で1〜20万が適当であ
る。また、水素添加する場合、耐光劣化性や耐候劣化性
を向上させるために、水素添加率は90%以上、好まし
くは95%以上、より好ましくは99%以上である。
【0013】本発明で用いる熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂には、所望により、フェノール系やリン系などの
老化防止剤; フェノール系などの熱劣化防止剤; ベ
ンゾフェノン系などの紫外線安定剤; アミン系などの
帯電防止剤; 脂肪族アルコールのエステル、多価アル
コールの部分エステル及び部分エーテルなどの滑剤;な
どの各種添加剤を添加してもよい。また、本発明の目的
を損なわない範囲で、他の樹脂などを混合して用いるこ
ともできる。
【0014】本発明で用いる成形品を成形する方法は、
特に限定されない。射出成形、溶融押し出し、熱プレ
ス、溶剤キャスト、延伸など、熱可塑性樹脂の一般の成
形方法を用いることができる。ハードコート層を形成す
る面が熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成るものであれ
ばよく、他の部分は他の樹脂から成るものや、金属など
を挿入して一体に成形したものであっても構わない。
【0015】(表面改質処理)未処理の熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂の表面張力は、通常、25〜40dyne
/cm程度である。本発明の製造方法の一つにおいて
は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる成形品のハー
ドコート層を形成しようとする表面を表面張力が50d
yne/cm以上、好ましくは60dyne/cm以
上、より好ましくは70dyne/cm以上になるよう
に改質する。表面改質処理としては、特に限定されず、
その具体例として、エネルギー線照射処理と薬品処理な
どが挙げられる。
【0016】エネルギー線照射処理としては、コロナ放
電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処
理などが挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処
理とプラズマ処理、特にコロナ放電が好ましい。エネル
ギー線照射処理条件は、目的の表面改質がなされる限
り、特に限定されず、公知の方法でよい。例えば、コロ
ナ放電処理の場合、特公昭58−5314号公報、特開
昭60−146078号公報などで公知の条件でよい。
また、プラズマ処理の場合も特公昭53−794号公
報、特開昭57−177032号公報などで公知の条件
でよい。
【0017】また、薬品処理としては、重クロム酸カリ
ウム溶液、濃硫酸などの酸化剤水溶液中に、浸漬し、充
分に水で洗浄すればよい。浸漬した状態で状態で振盪す
ると効率的であるが、長期間処理すると表面が溶解する
などの透明性が低下するといった問題があり、特に、極
性基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂においては、
用いる薬品の反応性、濃度などに応じて、処理時間など
を調製する必要がある。
【0018】(一次プライマー層形成処理)本発明の製
造方法においては、表面改質処理の代わりに、または表
面改質処理後に、ハードコート層を形成する基材表面に
一次プライマー層形成処理を行う。
【0019】一次プライマー層を形成するのに用いる一
次プライマーは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の
共重合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物、ま
たはプロピレン・エチレン共重合体に極性基を導入した
変性物から成る。
【0020】本発明で用いる一次プライマーのベースポ
リマーであるビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と
の密着性に優れている。良好な密着性等の観点からビニ
ル芳香族化合物由来の繰り返し構造単位を好ましくは1
0〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%、特
に好ましくは25〜60重量%含み、また、良好な作業
性等の観点から、メルトインデックス(200℃、5k
g)が好ましくは0.1〜60g/10min、より好
ましくは0.3〜40g/10minのものである。ま
た、長期間の使用での変色を避けるために、共役ジエン
類由来繰り返し構造単位中の二重結合が水素添加されて
いるものが好ましく、水素添加率70%以上が好まし
く、80%以上がより好ましい。
【0021】ビニル芳香族化合物としては、スチレン、
o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニル
トルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、イソプロ
ピルスチレン、エチルビニルトルエン、第3級ブチルス
チレン、ジエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレン
が好ましい。
【0022】共役ジエン類としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チルブタジエン等が挙げられ、特に1,3−ブタジエ
ン、イソプレンが好ましい。
【0023】なお、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類
の共重合体(水素添加物)としては、は、例えば、スチ
レン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチ
レン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチ
レン・エチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重
合体、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体、スチ
レン・イソプレン・ランダム共重合体等や、これらの水
素添加物が例示される。直鎖構造のものでも、分枝構造
を有するものでもよい。ランダム共重合体(水素添加
物)でもよいが、熱可塑性ノルボルネン系樹脂との密着
性の点から、ブロック共重合体(水素添加物)が好まし
い。また、ブロック共重合体は、テーパー部分や一部ラ
ンダム共重合部分を含有していてもよい。
【0024】さらに、本発明で用いる別の一次プライマ
ーのベースポリマーであるプロピレン・エチレン共重合
体も、熱可塑性ノルボルネン系樹脂との密着性に優れた
樹脂である。作業性や熱可塑性ノルボルネン系樹脂との
密着性の観点から、プロピレン由来の繰り返し構造単位
を好ましくは50〜75モル%、より好ましくは60〜
70モル%含有しており、135℃のデカリン中で測定
した極限粘度〔η〕は好ましくは0.2〜30dl/
g、より好ましくは0.3〜20dl/gであり、X線
回析により測定した結晶化度が好ましくは2〜20%、
より好ましくは5〜18%である。
【0025】本発明においては、ベースポリマーに極性
基を導入して、一次プライマー層として用いる。導入さ
れる極性基としては、−COOHまたはその誘導体が好
ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、テトラヒドロフタール酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナ
ジック酸等の不飽和カルボン酸; 塩化マレニル、マレ
イミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン
酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、ギリシルマレート
等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミ
ド、無水物、エステル等の誘導体; 等による変性物が
挙げられ、密着性に優れることから、不飽和カルボン酸
または不飽和カルボン酸無水物による変性物が好まし
く、アクリル酸、メタクリル酸、ナジック酸、無水ナジ
ック酸、マレイン酸、または無水マレイン酸による変性
物がより好ましく、特にマレイン酸、または無水マレイ
ン酸による変性物が好ましい。これらの不飽和カルボン
酸等を、2種以上を混合して用い、変性してもよい。
【0026】ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)またはプロピレン・エチレン共重合
体に極性基を導入する方法は、特に限定されないが、ビ
ニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体水素添加物
を十分に変性することができる点等から、極性基を有す
る化合物をグラフト付加することが好ましい。グラフト
付加させる方法は、特に限定されず、公知の方法でよ
い。例えば、ラジカル発生剤を加えて溶融混練機中で、
または溶媒中で加熱反応させればよい。ラジカル発生剤
を用いた場合、一般に未反応のモノマーが多量に残留す
ることがあるが、未反応モノマーは真空乾燥等の方法に
より、除去することが好ましい。なお、モノマーの付加
量はベースポリマー100重量部に対して、1〜15重
量部、好ましくは2〜10重量部にする。
【0027】一次プライマーには、ビニルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカッ
プリング剤; カーボン、ガラスファイバー、ガラスビ
ーズ等のフィラー; 等を添加してもよい。
【0028】一次プライマー層を形成する方法は特に限
定されず、例えば、プライマー溶液をハケ塗り、ディッ
ピング、吹き付け、スピンコート、ロールコーター等の
方法で基材表面に塗布し、溶媒を揮発させる。プライマ
ー層中に溶媒が残留していると、本発明の成形品を用い
た完成品を高温下で使用する場合などに、フクレ、発泡
等の問題を生じることがあるので、溶媒は実質的に残留
しないように充分に揮発させることが好ましい。通常、
20〜120℃で3分間〜1時間程度乾燥する。
【0029】溶媒は、基材表面を溶解して変形させた
り、変質させたりしない限りにおいて、特に限定され
ず、通常、基材表面を実質的に侵食しない熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂にとっての貧溶媒を用いる。そのような
溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤; 酢酸
ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチル等のエステル系溶
剤; 等が挙げられ、これらを単独、または混合して用
いる。また、例えば、トルエンやキシレンは熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂の良溶媒であるが、メチルイソブチル
ケトンのような貧溶媒で70重量%以下に希釈すると、
熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形品に塗布しても実質的
に侵食しない場合があり、このような希釈液は、一次プ
ライマー溶液の溶媒として用いることが可能である。
【0030】プライマー溶液の濃度は、通常1〜20重
量%、好ましくは2〜15重量%である。濃度が高すぎ
ると粘度が高くなり、濃度が低すぎると所定の厚さに塗
ることが困難となり、共に作業性に欠ける。
【0031】塗布量は溶媒を除去したプライマー層の厚
さが1〜20μm、好ましくは2〜15μmになるよう
にする。
【0032】(シリコーン系ハードコート剤用プライマ
ー層形成処理)本発明においては、熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂からなる成形品表面を表面改質処理後、または
一次プライマー層形成処理後、さらにシリコーン系ハー
ドコート剤用プライマー層形成処理をする。
【0033】本発明で用いるシリコーン系ハードコート
剤用プライマーとしては、ポリカーボネートやポリメチ
ルメタクリレートなどに対してシリコーン系ハードコー
ト剤用のプライマーとして用いられているものであれ
ば、特に限定されずに使用できる。このようなプライマ
ーとして一般的なものは、熱可塑性アクリル樹脂(特開
昭52−138565号公報、特公昭61−27184
号公報、特公昭61−27185号公報など)であり、
耐久性を向上させるためにアミノ基、ヒドロキシ基、カ
ルボキシル基、またはアミド基などを導入したアクリル
樹脂(特開昭53−138476号公報、特開昭57−
137154号公報、特公昭61−27183号公報な
ど)や、密着性を向上させるためにケイ素原子を含有し
たアクリル樹脂(特開平1−149879号公報)、エ
ポキシ基含有のアクリル樹脂と紫外線吸収剤の反応物な
どでもよい。また、アクリル樹脂以外でも、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィンなども用いら
れており、エポキシシランとアミノシランの反応物、エ
ポキシシランとアミノシランの付加物をアミド化したも
の(特開昭56−16573号公報、特開平1−149
879号公報など)なども使用できる。
【0034】一般には、シリコーン系ハードコート剤用
プライマーを溶剤に濃度1〜20重量%程度に溶解して
シリコーン系ハードコート剤用プライマー溶液として用
いる。シリコーン系ハードコート剤用プライマー溶液に
用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、ジ
アセトンアルコール等のアルコール系溶剤; メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;
ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール類溶
剤; トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤; クロロホルム、
塩化メチル等のクロル系溶剤; 等を単独で、または混
合した溶剤を用いる。
【0035】この際、一次プライマー層形成処理を行わ
ない場合は、前述の一次プライマー層形成処理において
用いた溶媒のように、基材表面を実質的に侵食しない溶
媒を選択する必要がある。また、一次プライマー層形成
処理を行った場合も、同様に一次プライマー層を実質的
に侵食しない溶媒を選択する必要がある。そのため、予
め、侵食の有無を調べて、用いる溶媒を決めることが推
奨される。
【0036】なお、シリコーン系ハードコート剤用プラ
イマー溶液として、市販品のPC−7A(信越シリコー
ン社製)、PH91(東芝シリコーン社製)、PH93
(東芝シリコーン社製)なども使用できる。
【0037】シリコーン系ハードコート剤用プライマー
溶液の使用方法は、ポリカーボネートやポリメチルメタ
クリレートなどに対してシリコーン系ハードコート剤を
用いる場合と同様である。例えば、シリコーン系ハード
コート剤用プライマー溶液をロール、ハケ、スプレー等
を用いたり、ディッピングなどの方法により塗布し、2
0〜60℃で10分〜2時間程度乾燥する。通常、乾燥
後のシリコーン系ハードコート剤用プライマー層の厚さ
が1〜20μm程度、好ましくは2〜15μmとなるよ
うにする。
【0038】(シリコーン系ハードコート剤)本発明に
おいては、表面改質処理とシリコーン系ハードコート剤
用プライマー層形成処理を施した後、シリコーン系ハー
ドコード剤を用いて、シリコーン系ハードコート層を形
成させる。
【0039】本発明に用いるシリコーン系ハードコート
剤は、特公昭52−39691号公報、特公昭54−2
8429号公報、特開昭55−94971号公報、特公
昭62−5554号公報、特公昭62−9265号公
報、特公昭63−9538号公報などで、ケイ素系塗料
やコーティング組成物として公知のものである。このハ
ードコート剤は、官能基を有するケイ素化合物の加水分
解物及びその部分縮合物であるポリシロキサンを主成分
として、粒径1〜100μmのシリカ微粒子を水、また
はメタノール、エタノール、イソブタノール、ジアセト
ンアルコールなどのアルコール系溶剤に分散させたコロ
イダルシリカ、必要に応じて、硬化触媒、溶剤、シラン
カップリング剤、硬化促進剤、レベリング剤、すべり向
上剤、ぬれ向上剤、平滑剤、増粘剤、着色剤などの添加
剤を加えた組成物である。
【0040】本発明で用いる官能基を有するケイ素化合
物は下記一般式1で示される。
【0041】一般式1:
【化1】 または、一般式2:
【化2】
【0042】一般式1中のR1、一般式2中のR3は炭素
数1〜8の炭化水素、ハロゲン化炭化水素基、または、
アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、アクリル基、あ
るいはメタクリル基などを有する有機基を示し、また、
一般式1中のR2、一般式2中のR4は炭素数1〜6の炭
化水素基を示し、一般式1中のm、一般式2中のnは
0、1、または2である。
【0043】シリコーン系ハードコート剤に用いられる
官能基を有するケイ素化合物として例えば、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リブトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、グリシ
ドキシメチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0044】シリコーン系ハードコート剤用溶剤として
は、例えば、前述のシリカ微粒子を分散させるのに用い
られるアルコール系溶剤; メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ等のセロソルブ系溶剤; 蟻酸、酢酸等のア
ルキルカルボン酸系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香
族系溶剤; 酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
剤; 等を単独で、または混合して用いることができ
る。ただし、特に光学用途に用いる場合、シリコーン系
ハードコート剤用溶剤がシリコーン系ハードコート剤用
プライマー層を侵食すると均一性が失われるので、使用
したシリコーン系ハードコート剤用プライマーを溶解し
ない溶媒を選択する。
【0045】シロキサンは、硬化触媒がなくとも硬化さ
せることが可能であるが、比較的低温でも硬化するよう
に、また、硬化速度を早め硬化効率を上げるために、硬
化触媒を添加することが好ましい。硬化触媒としては、
酢酸ナトリウム、ギ酸カリウムなどの有機酸アルカリ金
属; ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンア
セテート、ジメチルアニリルホルメートなどのアミンカ
ルボキシレート; 酢酸テトラメチルアンモニウム、酢
酸ベンジルトリメチルアンモニウムなど第四級アンモニ
ウム塩; オクタン酸スズなどのカルボン酸金属塩;
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンな
どのアミン類; などや、水酸化ナトリウムや水酸化ア
ンモニウムなどが例示される。特に、低温で硬化させる
ためには、第四級アンモニウム塩や有機酸アルカリ金属
塩が好ましい。添加量は特に限定されないが、一般に
は、ハードコート剤の0.01〜0.1重量%程度であ
る。
【0046】レベリング剤としては、ポリエーテル変性
シリコーン化合物やフッ素系レベリング剤が例示され
る。
【0047】塗布方法は特に限定されず、例えば、スプ
レー、浸漬、スピンコート、ロールコーター、ディッピ
ング等が可能である。溶剤を用いた場合は、塗布後、実
質的に溶剤が含まれなくなるように、十分に乾燥する。
乾燥方法は特に限定されない。
【0048】この乾燥状態で、ハードコート層の厚さが
1〜30μm程度、好ましくは3〜10μmにする。以
下の硬化処理を施しても、ハードコート層の厚さは、実
質的に変化しない。
【0049】(硬化方法)本発明においては、シリコー
ン系ハードコート剤層を硬化させる方法は、特に限定さ
れない。一般的には、80〜140℃、好ましくは10
0〜120℃で1時間〜2時間加熱して硬化させる。
【0050】(ハードコート層を有する成形品)本発明
のハードコート層を有する成形品はハードコート層と基
材の密着性に優れ、碁盤目剥離試験(実用塗装・塗料用
語辞典、実用塗装・塗料用語辞典編集委員会編集、昭和
58年12月10日、日本塗装技術協会発行、第106
頁)で100目中50目以上、好ましくは70目以上、
より好ましくは90目以上が剥離しない。また、耐熱性
にも優れ、例えば、70℃の温水中に1時間保持した後
でも、碁盤目剥離試験で、100目中40目以上、好ま
しくは60目以上、より好ましくは80目以上が剥離し
ない。また、テーバー摩耗試験(ASTMD 1044
−73)後のヘーズ値が1.0%以下になる。また、鉛
筆硬度は2H以上、好ましくは3H以上である。
【0051】本発明に用いる熱可塑性ノルボルネン系樹
脂の内、極性基を含有するものから成る成形品に本発明
で行う表面改質処理を行わず、本発明で行うシリコーン
系ハードコート剤用プライマー層形成処理のみを行って
も、シリコーン系ハードコート層を有する成形品を得る
ことは可能であるが、密着性が不十分である。また、極
性基を含有しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合
は、本発明の方法によって、初めて、十分な密着性を有
するシリコーン系ハードコート層を有する成形品が得ら
れ、その意味で、極性基を含有しないノルボルネン系樹
脂において、本発明の効果が大きい。
【0052】本発明のハードコート層を有する成形品の
内、例えば、特公昭60−11727号公報、特開昭6
1−166861号公報、特開平2−163178号公
報、特開平2−261826号公報等で開示されたシリ
コーン系ハードコート剤のような可染性シリコーン系ハ
ードコート剤を用いて製造されたものは、必要に応じ
て、いわゆる分散染料を用いてハードコート層を染色す
ることが可能である。
【0053】分散染料としては、可染性シリコーン系ハ
ードコート剤を用いて製造されたハードコート層を染色
できるものであれば、特に限定されず、公知のものでよ
く、例えば、市販品のブラウン−D(セイコー社製)、
サファイヤブルー4G(チバガイギー社製)、MLブル
ーVF(三井東圧染料社製)、MLレッドVF−2(三
井東圧染料社製)、MLゴールドイエローVF(三井東
圧染料社製)、MLイエローVF−2(三井東圧染料社
製)、ブラウンAF(日本化薬社製)等が挙げられる。
【0054】染色する方法も染色できる限りにおいては
特に限定されない。一般には、分散染料0.1〜2重量
部、好ましくは0.2〜1重量部を水100重量部に分
散、溶解させ、60〜100℃、好ましくは70〜95
℃に保った染色液に、本発明のハードコート層を有する
成形品を2〜30分間、好ましくは5〜15分間浸漬し
て染色し、後処理として、十分に水洗して染色液を除去
する。なお、本発明において染色する場合は、一般に、
染色処理によるハードコート層と基材の密着性への影響
はほとんどなく、通常、密着性は低下しない。
【0055】(用途)本発明のハードコート層を有する
成形品は、一般の窓ガラスやガラス扉等のガラスの代替
のほかに、一般の眼鏡や着色されたサングラスなどの眼
鏡類; ルームミラー、フェンダーミラー、サンルー
フ、キャノピーなどの自動車部品; 等、表面硬度と軽
量であることが要求される分野でガラスの代替品として
用いることができる。
【0056】
【実施例】以下に参考例、実施例、比較例を挙げて、本
発明を具体的に説明する。なお、光線透過率は紫外線分
光硬度計を用いて400nmの光線の透過率を、表面張
力はぬれ指数標準液を用いて、密着性は碁盤目剥離試験
により、ヘーズ値はASTMD 1003−61により
測定した。また、碁盤目剥離試験、熱水処理、摩耗試験
は下記の方法で行った。
【0057】(碁盤目剥離試験)成形品表面に形成され
たハードコート層の上からカッターにより1mm間隔で
縦横互いに直角に交わる各11本の切れ目を入れ、1m
m四方の碁盤目を100個作り、セロハン粘着テープ
(積水化学社製)を貼り、粘着テープを表面に対し垂直
な方向に引っ張って剥す。結果は、剥離しなかった目の
割合で示す。
【0058】(熱水処理)70℃に保温した熱水中に1
時間保持し、取り出した後、水分を完全に拭き取り、室
温になるまで放置した。
【0059】(テーバー摩耗試験)ASTMD 104
4−73に準じ、摩耗輪をCS−10にし、荷重500
g、回転数100回転で行った。
【0060】参考例1 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 28
0、日本ゼオン株式会社製、ガラス転移温度約140
℃、数平均分子量約28,000)を金型温度100
℃、樹脂温度290℃で射出成形して、3.0mm×9
0mm×55mmの板を得た。
【0061】この板の表面張力は32dyne/cmで
あった。
【0062】実施例1 比較例1で得た試験片を高周波発信機(コロナジェネレ
ーターHV05−2、Tamtec社製)を、出力電圧
100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー
電極を用い、電極長240mm、ワーク電極間1.5m
mで3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が72dy
ne/cmになるように表面改質した。
【0063】表面改質した試験片をシリコーン系ハード
コート剤用プライマー溶液PH91(東芝シリコーン社
製、アクリル系樹脂とダイアセトンアルコールをエチレ
ングリコールモノエチルエーテルに溶解したもの)にデ
ィッピングし、取り出した後、40℃で10分間乾燥
し、溶剤を除去してシリコーン系ハードコート剤用プラ
イマー層を形成した。なお、この溶剤による試験片の侵
食は認められず、シリコーン系ハードコート剤用プライ
マー層の厚さは約5μmであった。
【0064】このシリコーン系ハードコート剤用プライ
マー層を形成した試験片をシリコーン系ハードコート剤
溶液トスガード510(東芝シリコーン社製、C1〜C
20のアルキルを有するポリアルキルシロキサンをエタノ
ール、イソブチルアルコール、エチレングリコールモノ
エチルエーテルアセテート、水に溶解したもの)にディ
ッピングし、取り出した後、110℃で2時間保持し、
硬化させてハードコート層を形成した。なお、この溶剤
によるプライマー層の侵食は認められず、ハードコート
層の厚さは約5μmであった。
【0065】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.4%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中100目、熱水処理後でも100目中100目と
変わらず、テーバー摩耗試験後のヘーズ値は0.8%で
あった。
【0066】実施例2 シリコーン系ハードコート剤用プライマー溶液としてP
C−7A(信越シリコーン製)を、シリコーン系ハード
コート剤溶液としてKP−85(信越シリコーン製)を
用いる以外は実施例1と同様に試験片にハードコート層
を形成した。基材にもプライマー層にも侵食は認められ
ず、プライマー層もハードコート層も厚さは約5μmで
あった。
【0067】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.4%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中100目、熱水処理後でも100目中100目と
変わらず、摩耗試験後のヘーズ値は0.8%であった。
【0068】実施例3 シリコーン系ハードコート剤用プライマー溶液としてP
C−7A(信越化学工業社製)を、シリコーン系ハード
コート剤溶液としてKP−64(信越化学工業社製)を
用いる以外は実施例1と同様に試験片にハードコート層
を形成した。基材にもプライマー層にも侵食は認められ
ず、プライマー層もハードコート層も厚さは約5μmで
あった。
【0069】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.4%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中100目、熱水処理後でも100目中100目と
変わらず、摩耗試験後のヘーズ値は1%であった。
【0070】実施例4 無水マレイン酸変性スチレン・エチレン・ブタジエン・
スチレン・ブロック共重合体の水素添加物(タフテック
M1913、旭化成製、メルトインデックス値は20
0℃、5kgで4.0g/10min、スチレン・ブロ
ック含量30重量%、水素添加率80%以上、無水マレ
イン酸付加量2%)2重量部を、キシレン8重量部とメ
チルイソブチルケトン40重量部の混合溶媒に溶解し、
孔径1μmのテフロンフィルターを濾過して、完全な溶
液のみを一次プライマー溶液として調製した。
【0071】参考例1で得た試験片を一次プライマー溶
液中に浸漬し、取り出した後、100℃で10分間乾燥
して一次プライマー層を形成した。基材に侵食は認めら
れず、一次プライマー層の厚さは約4μmであった。
【0072】この試験片をシリコーン系ハードコート剤
用プライマー溶液PC−7A中に浸漬し、取り出した
後、40℃で10分間乾燥してシリコーン系ハードコー
ト剤用プライマー層を形成した。一次プライマー層に侵
食は認められず、シリコーン系ハードコート剤用プライ
マー層の厚さは約4μmであった。
【0073】このシリコーン系ハードコート剤用プライ
マー層を形成した試験片をシリコーン系ハードコート剤
溶液KP−64(信越化学工業製)にディッピングし、
取り出した後、110℃で2時間保持し、硬化させてハ
ードコート層を形成した。シリコーン系ハードコート剤
用プライマー層に侵食は認められず、ハードコート層の
厚さは約5μmであった。
【0074】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.4%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中100目、熱水処理後でも100目中100目と
変わらず、テーバー摩耗試験後のヘーズ値は0.8%で
あった。
【0075】実施例5 実施例3で得た試験片を、分散染料カロヤン−ポリエス
テル ブラウンAF(日本化薬社製)0.5重量部を水
100重量部に溶解して90℃に保持した染色液に10
分間浸漬して染色し、純水で洗浄して試験片から染色液
を除いた。
【0076】この染色された試験片の光線透過率は6
4.5%、基材とハードコート層の密着製は100目中
100目、熱水処理後でも100目中100目と変わら
ず、摩耗試験後のヘーズ値は1%であった。また、SM
カラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定
した染色前の試験片と染色後の試験片の全光線透過率変
化は41.2%であった。
【0077】比較例1 シリコーン系ハードコート剤用プライマー層を形成しな
い以外は実施例1と同様に試験片にハードコート層を形
成した。
【0078】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.2%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中20目、熱水処理後は100目中0目と密着性が
なく、摩耗試験により完全に剥離した。
【0079】比較例2 コロナ放電処理をしない以外は実施例1と同様に試験片
にハードコート層を形成した。
【0080】このハードコートされた試験片の光線透過
率は91.4%、基材とハードコート層の密着性は10
0目中0目で密着性がなく、摩耗試験により完全に剥離
した。
【0081】
【発明の効果】本発明により、剥離しにくく、また、耐
摩耗性に優れたシリコーン系ハードコート層を有する熱
可塑性ノルボルネン系樹脂成形品が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日 本ゼオン株式会社研究開発センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂で形成され
    た基材の表面に碁盤目剥離試験での密着性が100目中
    50目以上であるシリコーン系ハードコート層を有する
    熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成る成形品。
  2. 【請求項2】 該シリコーン系ハードコート層が染色さ
    れたものである請求項1記載の成形品。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂基材の表面
    を表面張力が50dyne/cm以上になるように改質
    し、該表面にシリコーン系ハードコート剤用プライマー
    層を形成し、シリコーン系ハードコート層を形成するこ
    とを特徴とする請求項1、または2記載の成形品の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 基材表面の改質をエネルギー線照射処理
    により行うことを特徴とする請求項3記載の成形品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂基材の表面
    に、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体(水
    素添加物)に極性基を導入した変性物、またはプロピレ
    ン・エチレン共重合体に極性基を導入した変性物からな
    る一次プライマー層を形成し、一次プライマー層上にシ
    リコーン系ハードコート剤用プライマー層を形成し、シ
    リコーン系ハードコート層を形成することを特徴とする
    請求項1、または2記載の成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 極性基を導入した変性物が−COOH、
    またはその誘導体を導入した変性物である請求項5記載
    の成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 極性基を導入した変性物がマレイン酸ま
    たは無水マレイン酸のグラフト付加物である請求項6記
    載の成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】 シリコーン系ハードコート層を形成した
    後、分散染料0.1〜2重量部を水100重量部に分
    散、溶解させ、60〜100℃に保った染色液に2〜3
    0分間浸漬して染色し、十分に水洗して染色液を除去す
    ることを特徴とする請求項3、4、5、6、または7記
    載の成形品の製造方法。
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