JP3303465B2 - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形品

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JP3303465B2 JP23885893A JP23885893A JP3303465B2 JP 3303465 B2 JP3303465 B2 JP 3303465B2 JP 23885893 A JP23885893 A JP 23885893A JP 23885893 A JP23885893 A JP 23885893A JP 3303465 B2 JP3303465 B2 JP 3303465B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハードコート層や金属
化合物層等との密着性に優れた熱可塑性ノルボルネン系
樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、耐熱
性、耐湿性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、透明性、低
複屈折性などに優れた樹脂として公知である。しかし、
ハードコート層を形成する場合や、金属や金属化合物を
蒸着させる場合などにおいて、接着性や密着性が不十分
な場合があり、比較的良好な接着性・密着性を示す極性
基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂でも、高温・高
湿条件下や温度変化の激しい環境下においては、接着面
の剥離等を起こすことがあった。
【0003】この問題を解消するため、プライマー層形
成処理、プラズマ処理やコロナ放電処理等の表面改質処
理等を単独、または組み合わせて表面の接着性を改良す
ることが試みられ、特に、これらの表面改質処理等の中
でも、特別な施設や機器を必要としない点から、プライ
マー層形成処理による接着性・密着性の改良が望まれて
いる。しかし、従来から知られているプライマーを用い
てプライマー層形成処理を行っても、必ずしも十分な接
着性・密着性は得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、熱可塑
性ノルボルネン系樹脂成形品の表面の接着性・密着性の
改良を目的に鋭意努力の結果、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂成形品の表面に不飽和カルボン酸変性ビニル芳香族
・共役ジエン共重合体から成る層を形成することによ
り、ハードコート層や金属化合物層と強固に接着させる
ことができることを見いだし、本発明を完成させるに至
った。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、 熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成る基材の表面
にビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体または
その水素添加物に極性基を導入した変性物から成る層を
形成している成形品が提供される。
【0006】(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)熱可塑性
ノルボルネン系樹脂は、特開昭51−80400号公
報、特開昭60−26024号公報、特開平1−168
725号公報、特開平1−190726号公報、特開平
3−14882号公報、特開平3−122137号公
報、特開平4−63807号公報などで公知の樹脂であ
り、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、
その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合
体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合体
などが挙げられる。
【0007】ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開
平2−227424号公報、特開平2−276842号
公報などで公知の単量体であって、例えば、ノルボルネ
ン、そのアルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体お
よびこれら置換または非置換のオレフィンのハロゲン、
水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド
基、イミド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2
−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,
5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノ
ルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチ
リデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−
2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5
−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネ
ン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−
5−メチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノ
ルボエルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−
オクタデシル−2−ノルボルネン等; ノルボルネンに
一つ以上のシクロペンタジエンが付加した単量体、その
上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8
−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−
2,3−シクロペンタジエノオクタヒドロナフタレン、
6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、
1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,2,3,
4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ド
デカヒドロー2,3−シクロペンタジエノアントラセン
等; シクロペンタジエンの多量体である多環構造の単
量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシ
クロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジ
エン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン
等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例え
ば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8
a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−
2,3−シクロペンタジエノナフタレン等; 等が挙げ
られる。
【0008】ノルボルネン系単量体の重合は公知の方法
でよく、必要に応じて、他の共重合可能な単量体と共重
合したり、水素添加することにより熱可塑性飽和ノルボ
ルネン系樹脂である熱可塑性ノルボルネン系重合体水素
添加物とすることができる。また、重合体や重合体水素
添加物を特開平3−95235号などで公知の方法によ
り、α,β−不飽和カルボン酸および/またはその誘導
体、スチレン系炭化水素、オレフィン系不飽和結合およ
び加水分解可能な基を持つ有機ケイ素化合物、不飽和エ
ポキシ単量体を用いて変性させてもよい。なお、耐湿
性、耐薬品性に優れたものを得るためには、極性基を含
有しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂が好ましい。ま
た、極性基を含有しないものは、極性基を含有している
ものに比較して、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の
共重合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物層を
設けることによる金属化合物層等との密着性の改良の程
度が大きい。
【0009】本発明においては、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂の数平均分子量は、トルエン溶媒によるGPC
(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法で測
定したポリスチレン換算値で、10,000〜200,
000、好ましくは15,000〜100,000、よ
り好ましくは20,000〜50,000のものであ
る。また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が分子構造中に
不飽和結合を有している場合は、水素添加することによ
り、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とすることができ
る。水素添加する場合、水素添加率は耐熱劣化性、耐光
劣化性などの観点から、90%以上、好ましくは95%
以上、より好ましくは99%以上である。
【0010】また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂には、
本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤を添加し
てもよい。例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場
合、フェノール系やリン系等の老化防止剤; フェノー
ル系等の熱劣化防止剤; ベンゾフェノン系等の紫外線
安定剤; アミン系等の帯電防止剤; 脂肪族アルコー
ルのエステル、多価アルコールの部分エステル及び部分
エーテル等の滑剤; 等の各種添加剤を添加してもよ
く、他の樹脂、ゴム、フィラー等を混合して用いること
もできる。特に線膨張係数を小さくすることができるた
め、フィラーを添加することが好ましい。ただし、フィ
ラーを添加すると熱可塑性ノルボルネン系樹脂の軽量
性、透明性などが損なわれる場合もあるので、接着物の
用途によって注意する必要がある。
【0011】(基材)本発明で用いる基材は熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂を成形したものである。成形方法は、
特に限定されない。熱可塑性樹脂の一般的成形法であ
る、射出成形、溶融押し出し、熱プレス、溶剤キャス
ト、延伸などを用いることができる。
【0012】成形品の形状も特に限定されず、用途に応
じ、目的とする形状でよい。例えば、金属層や金属化合
物層である金属反射膜を有する光学ディスクに用いる場
合は、光学ディスク基板として、使用される光学ディス
クの構成部品として適した形状とすればよい。
【0013】(表面改質処理)本発明の成形品の製造に
おいて、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体
(水素添加物)に極性基を導入した変性物層を形成する
に先だって、形成しようとする表面に表面改質処理を行
ってもよい。未処理の熱可塑性ノルボルネン系樹脂の表
面張力は、通常、25〜40dyne/cm程度であ
る。本発明の成形品の製造方法の一つにおいては、熱可
塑性ノルボルネン系樹脂からなる成形品の密着性を改良
しようとする表面を表面張力が50dyne/cm以
上、好ましくは60dyne/cm以上、より好ましく
は70dyne/cm以上になるように改質してもよ
い。表面改質処理としては、特に限定されず、その具体
例として、エネルギー線照射処理と薬品処理などが挙げ
られる。
【0014】エネルギー線照射処理としては、コロナ放
電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処
理などが挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処
理とプラズマ処理、特にコロナ放電が好ましい。エネル
ギー線照射処理条件は、目的の表面改質がなされる限
り、特に限定されず、公知の方法でよい。例えば、コロ
ナ放電処理の場合、特公昭58−5314号公報、特開
昭60−146078号公報などで公知の条件でよい。
また、プラズマ処理の場合も特公昭53−794号公
報、特開昭57−177032号公報などで公知の条件
でよい。
【0015】また、薬品処理としては、重クロム酸カリ
ウム溶液、濃硫酸などの酸化剤水溶液中に、浸漬し、充
分に水で洗浄すればよい。浸漬した状態で状態で振盪す
ると効率的であるが、長期間処理すると表面が溶解する
などの透明性が低下するといった問題があり、特に、極
性基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂においては、
用いる薬品の反応性、濃度などに応じて、処理時間など
を調製する必要がある。
【0016】(ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共
重合体(水素添加物))本発明においては、密着性を改
良しようとする基材表面に、ビニル芳香族化合物と共役
ジエン類の共重合体(水素添加物)に極性基を導入した
変性物の層を形成する。
【0017】本発明で用いるビニル芳香族化合物と共役
ジエン類の共重合体(水素添加物)は、熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂との密着性に優れたものである。良好な密
着性等の観点からビニル芳香族化合物由来の繰り返し構
造単位を好ましくは10〜80重量%、より好ましくは
20〜70重量%、特に好ましくは25〜60重量%含
み、また、良好な作業性等の観点から、メルトインデッ
クス(200℃、5kg)が好ましくは0.1〜60g
/10min、より好ましくは0.3〜40g/10m
inのものである。また、長期間の使用での変色を避け
るために、共役ジエン由来繰り返し構造単位中の二重結
合が水素添加されているものが好ましく、水素添加率7
0%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
【0018】ビニル芳香族化合物としては、スチレン、
o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニル
トルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、イソプロ
ピルスチレン、エチルビニルトルエン、第3級ブチルス
チレン、ジエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレン
が好ましい。
【0019】共役ジエン類としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チルブタジエン等が挙げられ、特に1,3−ブタジエ
ン、イソプレンが好ましい。
【0020】なお、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類
の共重合体(水素添加物)としては、は、例えば、スチ
レン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチ
レン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチ
レン・エチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重
合体、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体、スチ
レン・イソプレン・ランダム共重合体等や、これらの水
素添加物が例示される。直鎖構造のものでも、分枝構造
を有するものでもよい。ランダム共重合体(水素添加
物)でもよいが、熱可塑性ノルボルネン系樹脂との密着
性の点で、ブロック共重合体(水素添加物)が好まし
い。また、ブロック共重合体は、テーパー部分や一部ラ
ンダム共重合部分を含有していてもよい。
【0021】(共重合体(水素添加物)変性物)本発明
においては、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)に極性基を導入して用いる。導入さ
れる極性基としては、−COOHまたはその誘導体が好
ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、テトラヒドロフタール酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナ
ジック酸等の不飽和カルボン酸; 塩化マレニル、マレ
イミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン
酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、ギリシルマレート
等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミ
ド、無水物、エステル等の誘導体; 等による変性物が
挙げられ、密着性に優れることから、不飽和カルボン酸
または不飽和カルボン酸無水物による変性物が好まし
く、アクリル酸、メタクリル酸、ナジック酸、無水ナジ
ック酸、またはマレイン酸、無水マレイン酸による変性
物がより好ましく、マレイン酸、または無水マレイン酸
による変性物が特に好ましい。これらの不飽和カルボン
酸等を、2種以上を混合して用い、変性してもよい。
【0022】ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)に極性基を導入する方法は特に限定
されないが、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体水素添加物を十分に変性することができる点から、
グラフト付加することが好ましい。グラフト付加させる
方法は、特に限定されず、公知の方法でよい。例えば、
ラジカル発生剤を加えて溶融混練機中で、または溶媒中
で加熱反応させればよい。ラジカル発生剤を用いた場
合、一般に未反応のモノマーが多量に残留することがあ
るが、未反応モノマーは真空乾燥等の方法により、除去
することが好ましい。なお、モノマーの付加量はビニル
芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体(水素添加物)
100重量部に対して、1〜15重量部、好ましくは2
〜10重量部にする。
【0023】ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物には、ビ
ニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
等のシランカップリング剤; カーボン、ガラスファイ
バー、ガラスビーズ等のフィラー; 等を添加してもよ
い。
【0024】ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重
合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物を形成す
る方法は特に限定されず、例えば、ビニル芳香族化合物
と共役ジエン類の共重合体(水素添加物)の変性物をハ
ケ塗り、ディッピング、吹き付け、スピンコート、ロー
ルコーター等の方法で基材表面に塗布し、溶媒を揮発さ
せる。共重合体(水素添加物)変性物層中に溶媒が残留
していると、本発明の成形品を用いた完成品を高温下で
使用する場合などに、フクレ、発泡等の問題を生じるこ
とがあるので、溶媒は実質的に残留しないように充分に
揮発させることが好ましい。通常、20〜120℃で3
分間〜1時間程度乾燥する。
【0025】溶媒は、基材表面を溶解して変形させた
り、変質させたりしない限りにおいて、特に限定され
ず、通常、基材表面を実質的に侵食しない熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂にとっての貧溶媒を用いる。そのような
溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤; 酢酸
ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチル等のエステル系溶
剤; 等が挙げられ、これらを単独、または混合して用
いる。また、例えば、トルエンやキシレンは熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂の良溶媒であるが、メチルイソブチル
ケトンのような貧溶媒で70重量%以下に希釈すると、
熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形品に塗布しても実質的
に侵食しない場合があり、このような希釈液は、共重合
体(水素添加物)変性物溶液の溶媒として用いることが
可能である。
【0026】共重合体(水素添加物)変性物溶液の濃度
は、通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%で
ある。濃度が高すぎると粘度が高くなり、濃度が低すぎ
ると所定の厚さに塗ることが困難となり、共に作業性に
欠ける。
【0027】塗布量は溶媒を除去した共重合体(水素添
加物)変性物層の厚さが1〜20μm、好ましくは2〜
15μmになるようにする。
【0028】(2次プライマー層形成品)本発明の成形
品の使用にあたって、特に密着性等が要求される場合
は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合体(水
素添加物)に極性基を導入した変性物の層の上にさらに
2次プライマー層を形成してもよい。
【0029】2次プライマー層を形成する2次プライマ
ーは、特に限定されず、ビニル芳香族と共役ジエン類の
共重合体(水素添加物)に極性基を導入した変性物を除
き従来からプライマーとして使用されてきたものが例示
される。例えば、アクリル系の紫外線硬化型ハードコー
ト層を形成する場合は、アクリル系紫外線硬化型ハード
コート剤用のプライマーを用いればよい。
【0030】2次プライマー層を形成する方法も特に限
定されず、用いる2次プライマーに応じた方法でよく、
通常は、基本的に本発明の成形品の共重合体(水素添加
物)変性物層の形成方法と同じである。ただし、2次プ
ライマー溶液の溶媒としては、共重合体(水素添加物)
変性物層を実質的に侵食しないものを選択する必要があ
る。
【0031】(完成品)本発明の成形品は、ビニル芳香
族化合物と共役ジエン類の共重合体(水素添加物)に極
性基を導入した変性物の層の上の接着剤層を介して被着
体と接着したり、この共重合体(水素添加物)変性物層
上にハードコート層を形成したり、共重合体(水素添加
物)変性物層上に金属や金属化合物を蒸着して金属層や
金属化合物層を形成したりすることにより、目的物であ
る完成品とすることができる。なお、接着剤層やハード
コート層を形成する場合、特に、光学的均一性が要求さ
れる場合、溶剤を用いるのであれば、共重合体(水素添
加物)変性物層、またはそれに積層された二次プライマ
ー層を侵食しない溶剤を選択する。
【0032】
【実施例】以下に、参考例、実施例、比較例を挙げて、
本発明を具体的に説明する。なお、光線透過率は分光光
度計(U−4000型、日立製)を用いて、波長400
nmで、密着性はいわゆる碁盤目剥離試験により、すな
わち、蒸着膜やハードコート層の上からカッターにより
1mm間隔で縦横互いに直角に交わる各11本の切れ目
を入れ、1mm四方の碁盤目を100目作り、セロハン
粘着テープ(積水化学製)を貼り、粘着テープを表面に
対して垂直方向に引っ張って剥す試験により、100目
中の剥離しなかった目の数で表した。高温試験は、試験
片を80℃のオーブン中に96時間放置した後、室温に
戻して積層した膜の状態を目視で観察し、ヒートサイク
ル試験は、得られた試験片を−30℃・30分間、80
℃・30分間、その間に、一定速度で昇温、降温各30
分の1サイクル2時間のヒートサイクル試験を24サイ
クル実施後、金属膜のマイクロクラックの発生の有無を
光学顕微鏡で観察した。
【0033】参考例1 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 28
0、日本ゼオン株式会社製、数平均分子量約28,00
0、ガラス転移温度140℃)を90℃で3時間予備乾
燥したものを、金型温度100℃、樹脂温度290℃で
射出成形して、3.0mm×90mm×55mmの試験
片を得た。
【0034】この板の表面張力は32dyne/cmで
あった。
【0035】参考例2 参考例1で得た試験片を高周波発信機(コロナジェネレ
ーターHV05−2、Tamtec社製)を、出力電圧
100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー
電極を用い、電極長240mm、ワーク電極間1.5m
mで3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が72dy
ne/cmになるように表面改質した。
【0036】参考例3 無水マレイン酸変性スチレン・エチレン・ブタジエン・
スチレン・ブロック共重合体の水素添加物(タフテック
M1913、旭化成製、メルトインデックス値は20
0℃、5kgで4.0g/10min、スチレン・ブロ
ック含量30重量%、水素添加率80%以上、無水マレ
イン酸付加量2%)2重量部を、キシレン8重量部とメ
チルイソブチルケトン40重量部の混合溶媒に溶解し、
孔径1μmのテフロンフィルターを濾過して、完全な溶
液のみを不飽和カルボン酸変性ビニル芳香族・共役ジエ
ン共重合体溶液として調製した。
【0037】実施例1 参考例1で得た試験片を参考例3で得た溶液中に浸漬
し、取り出した後、100℃で10分間乾燥して不飽和
カルボン酸変性ビニル芳香族・共役ジエン共重合体層を
有する試験片を得た。基材には侵食は認められず、層の
厚さは約4μmであった。
【0038】実施例2 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬
製、DPHA)20重量部と1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン(チバガイギー製、イルガキュアー
184)1重量部を酢酸エチル80重量部に溶解して、
アクリル系ハードコート剤溶液を調整した。
【0039】実施例1で得た試験片をアクリル系ハード
コート剤溶液中に浸漬して、取り出した後、120℃で
30分間乾燥して、溶媒を除去して、試験片上に厚さ約
3μmのアクリル系ハードコート剤層を形成した。その
後、試験片の一方の面に80mWの高圧水銀灯で紫外線
を150mW/cm2の強度で20秒間照射し、アクリ
ル系ハードコート剤層を硬化させてハードコート層を形
成した。
【0040】この試験片のハードコート層を有している
面について、碁盤目剥離試験により密着性を調べたとこ
ろ、100目中100目が残存した。また、90℃に1
0分間保持した後でも、密着性に変化は認められなかっ
た。
【0041】比較例1 実施例1で得た試験片の代わりに参考例1で得た試験片
を用いる以外は、実施例2と同様に処理して、厚さ約3
μmのアクリル系ハードコート剤層を形成させ、硬化さ
せた。この試験片のハードコート層を有している面につ
いて、碁盤目剥離試験により密着性を調べたところ、残
存数は100目中0目の成績だった。
【0042】比較例2 実施例1で得た試験片の代わりに参考例2で得た試験片
を用いる以外は、実施例2と同様に処理して、厚さ約3
μmのアクリル系ハードコート剤層を形成させ、硬化さ
せた。この試験片のハードコート層を有している面につ
いて、碁盤目剥離試験により密着性を調べたところ、1
00目中100目が残存した。しかし、90℃に10分
間保持した後では、同じ試験において、残存数は100
目中0目の成績であった。
【0043】実施例3 実施例1で得た試験片に、蒸着材料としてアルミニウム
(純度99.9%以上)を使用し、酸素ガスを導入して
チャンバー内の圧力を8×10-6Torrにし、真空蒸
着法により、アルミニウムの蒸着膜を形成した。膜厚は
約1000オングストロームであった。
【0044】この試験片について、碁盤目剥離試験によ
り密着性を調べたところ、100目中100目が残存
し、高温試験で異常は認められず、ヒートサイクル試験
でもマイクロクラックの発生は認められなかった。
【0045】比較例3 実施例1で得た試験片の代わりに参考例1で得た試験片
を用いる以外は実施例3と同様に処理し、試験片上に膜
厚約1000オングストロームのアルミニウムの蒸着膜
を形成した。
【0046】この試験片について、碁盤目剥離試験によ
り密着性を調べたところ、100目中13目のみが残存
し、高温試験で一部が剥離し、ヒートサイクル試験でも
マイクロクラックの発生が認めらた。
【0047】
【発明の効果】本発明の成形品は、ハードコート層、金
属膜、接着剤層等との密着性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 禎二 神奈川県川崎市川崎区夜光1−2−1 日本ゼオン株式会社 研究開発センター 内 審査官 ▲吉▼澤 英一 (56)参考文献 特開 昭61−192743(JP,A) 特開 平3−223341(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 B32B 27/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂から成る基
    材の表面にビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共重合
    体またはその水素添加物に極性基を導入した変性物から
    成る層を形成している成形品。
  2. 【請求項2】 ビニル芳香族化合物と共役ジエン類の共
    重合体がブロック共重合体である請求項1記載の成形
    品。
  3. 【請求項3】 極性基を導入した変性物が−COOHま
    たはその誘導体を導入した変性物である請求項2記載の
    成形品。
  4. 【請求項4】 極性基を導入した変性物がマレイン酸変
    性物または無水マレイン酸変性物である請求項1、2、
    または3記載の成形品。
  5. 【請求項5】 極性基を導入した変性物が極性基を有す
    る化合物をグラフト付加したものである請求項1、2、
    3、または4記載の成形品。
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