JPH0796612B2 - 芳香族ポリエステルポリカ−ボネ−トの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエステルポリカ−ボネ−トの製造方法

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JPH0796612B2
JPH0796612B2 JP61184242A JP18424286A JPH0796612B2 JP H0796612 B2 JPH0796612 B2 JP H0796612B2 JP 61184242 A JP61184242 A JP 61184242A JP 18424286 A JP18424286 A JP 18424286A JP H0796612 B2 JPH0796612 B2 JP H0796612B2
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智也 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は芳香族ポリエステルポリカーボネートの新規な
製造法に関するものであり、更に詳しくは、ビス炭酸エ
ステル類と芳香族ポリカルボン酸エステルを縮合させる
ことにより、芳香族ポリエステルポリカーボネートを製
造する方法に関するものである。
[従来の技術] 芳香族ポリエステルポリカーボネート樹脂はポリカーボ
ネートよりも耐熱性、低温特性、耐疲労特性等に優れ、
またポリアクリレートよりも透明性、耐衝撃性に優れた
樹脂であり、従来よりその製造方法が検討されてきてい
る。
例えばビスフェノールAとテレフタル酸クロライドをピ
リジンの存在下にホスゲンと反応させる方法(特公昭52
-128992号)、ビスフェノールAとテレフタル酸クロラ
イドの塩化メチレン溶液と水酸化ナトリウム水溶液をホ
スゲンを導入しながら攪拌する方法(特公昭59-38232号
他)やテレフタル酸とジフェニルカーボネート、ビスフ
ェノールAを反応させる方法(特公昭55-98228号,特公
昭60-156924号)などがある。又重合方法も種々検討さ
れ、界面重合法、溶液重合法、塊状重合法が前記の反応
と組合せた製造方法が検討されている。しかしながらホ
スゲンを用いる反応は、ホスゲンの毒性、発生する
塩化水素による装置の腐食、中和後のNaClの樹脂への
混入、使用する溶剤の分離、回収等の困難な問題があ
る。又、同時に使用する酸クロライドもホスゲンと同様
の問題がある上にコストも高い。
一方、テレフタル酸とジフェニルカーボネートを用いる
反応は、ホスゲンや酸クロライドを用いた場合のような
問題点はないが、カーボネート合成におけるエステル交
換法と同様に重合度が上がりにくく、又高温で長時間の
反応の為製品の品質の低下等の問題点がある。さらに原
料として使用するジフェニルカーボネートもホスゲンと
フェノールとから合成されるものである為、ホスゲン使
用上の問題点も前記方法と同様に存在する。以上の如き
現状から、ホスゲンを使用せず高品質かつ低コストのポ
リエステルポリカーボネート樹脂の製造方法の開発が望
まれている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明者らは、このような実情に鑑み、非ホスゲン法に
よる芳香族ポリエステルポリカーボネートの製法を鋭意
検討した結果、工業的に多くの利点を有する新規な芳香
族ポリエステルポリカーボネートの製造法を見い出し、
本発明を完成するに至った。
[問題点を解決するための手段] 即ち本発明は、一般式(I)又は(II)で表わされるビ
ス炭酸エステルから選ばれた1種以上のビス炭酸エステ
ルと、1種以上の芳香族ポリカルボン酸エステルを重合
触媒の存在下に重縮合させることを特徴とする芳香族ポ
リエステルポリカーボネートの製造方法に関するもので
ある。
(式中R1,R4はそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基ま
たはアリール基、R2,R3はそれぞれ炭素数が1〜10のア
ルキル基、シクロアルキル基または で炭素数5〜12の環状炭化水素基、水素原子、ハロゲン
化アルキル基、置換または非置換のアリール基、X1
X2,Y1,Y2はそれぞれアルコキシル基、水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはシクロ
アルキル基、lは1を表わす。) [式中R1,R4は式(I)における定義と同一、X3,X4
X5,Y3,Y4,Y5はそれぞれアルコキシル基、水素原子、
ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはシ
クロアルキル基、ZはCO,S,SO2,SO,O,OCH2 kO(k
は1〜4の整数)またはCH2 i(iは1〜10の整数)
を表し、m,nはそれぞれ0または1を表す。] 本発明におけるビス炭酸エステルと芳香族カルボン酸エ
ステルの縮合とは、次の反応式に示されるものである。
ここで(1)はオリエステルポリカーボネートのカーボ
ネートブロック共重合体を、(2)はエステルブロック
共重合体を、また(3)はランダム又は交互共重合体を
示してる。つまり本反応はビスカーボネートと芳香族カ
ルボン酸エステルが触媒の存在下で縮合して、ポリエス
テルポリカーボネートと炭酸ジエステル(例えば炭酸ジ
メチル)が生成する反応である。生成するポリエステル
ポリカーボネート中のカーボネート単位とエステル単位
の組成は、原料であるビスカーボネートとカルボン酸エ
ステルの比〔以下(カーボネート単位)/(エステル単
位)=Kとする〕で決まり、プロダクトの組成の制御が
可能となる。また、本反応で副生する炭酸ジエステルは
ビスカーボネートの原料であり、再使用が可能である。
さらに工業的に極めて有利な特徴として、原料が安価で
あること、副生物である炭酸ジエステルの分離、回収が
容易であること、さらにはホスゲン法で見られるような
生成物中へのNaCl等の電解質、塩素成分等の不純物の混
入がないこと、必ずしも溶媒を使用する必要がないため
不純物及び溶媒の分離、回収の工程が省略できること等
が挙げられる。
このように本発明の目的は芳香族ポリエステルポリカー
ボネートを製造するに際し、ビス炭酸エステルと芳香族
ポリカルボン酸エステルの縮合という出発原料が全く新
しい製造方法を提供することにある。
本発明の方法におけるビス炭酸エステルとは一般式
(I),(II)で示される。
(式中R1,R4はそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基ま
たはアリール基を表わし、R2,R3はそれぞれ水素原子、
炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、R2
R3が同じ環を構成する要素であって として炭素数5〜12の環状炭化水素基、ハロゲン化アル
キル基、置換または非置換のアリール基を表わし、X1
X2,Y1,Y2はそれぞれアルコキシル基、水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基またはシクロアル
キル基、lは1を表わす。) [式中R1,R4は式(I)における定義と同一であり、
X3,X4,X5,Y3,Y4,Y5はそれぞれアルコキシル基、水
素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基
またはシクロアルキル基、ZはCO,S,SO2,SO,O,OCH2
kO(kは1〜4の整数)またはCH2 i(iは1〜10
の整数)を表し、m,nはそれぞれ0または1を表す。] 本発明において上記一般式(I)又は(II)で表わされ
るビス炭酸エステルは、 これらの原料は公知の方法で容易に合成することができ
る。即ち、脂肪族ジアルキルカーボネートと芳香族ジヒ
ドロキシ化合物をSn,Ti,Zr等の触媒の存在下でエステル
交換させる方法や、芳香族ジヒドロキシ化合物とクロロ
ギ酸アルキルを水酸化ナトリウムで処理する方法であ
る。
具体的に式(I),(II)を満たす物質を挙げると、次
に示すものとなる。
4−ヒドロキシフェノール−ビス(メチルカーボネー
ト)、3−ヒドロキシフェノール−ビス(メチルカーボ
ネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブ
タン−ビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−メタン−ビス(メチルカーボネー
ト)、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパン−ビス(メチルカーボネート)、2,2−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プ
ロパン−ビス(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン−ビス
(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)−エーテル−ビス(メチルカーボ
ネート)4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン−ビス
(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−エタン−ビス(メチルカーボネート)、1
−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プ
ロパン−ビス(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン−ビス(メチ
ルカーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−シクロドデカン−ビス(メチルカーボネート)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン−ビ
ス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−ナフチルメタン−ビス(メチルカーボネー
ト)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプ
ロピルフェニル)−メタン−ビス(メチルカーボネー
ト)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパ
ン−ビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−ブタン−ビス(メチルカーボネー
ト)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサ
ン−ビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3,5−ジ
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン−ビス
(メチルカーボネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル−ペンタン−ビス(メチルカーボネート)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ノナン−ビス
(メチルカーボネート)、ジフェニル−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−メタン−ビス(メチルカーボネー
ト)、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−ペンタン−ビス(メチルカーボネート)、4,4−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−ビス(メ
チルカーボネート)、1−ナフチル−1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−エタン−ビス(メチルカーボネ
ート)、1−フエニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−エタン−ビス(メチルカーボネート)、2−
シクロヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)イソ
プロピルフェノール−ビス(メチルカーボネート)、2
−メトキシ−4−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロ
ピルフェノール−ビス(メチルカーボネート)、1,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン−ビス(メチ
ルカーボネート)、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)−プロパン−ビス(メチルカーボネー
ト)、2−イソプロピル−4−(4−ヒドロキシフェニ
ル)イソプロピルフェノール−ビス(メチルカーボネー
ト)2,2−ビス(3−3メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパン−ビス(メチルカーボネート)、2,2−
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロ
パン−ビス(メチルカーボネート)、1,10−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−デカン−ビス(メチルカーボネ
ート)、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)−メタン−ビス(メチルカーボネート)、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロ
パン−ビス(メチルカーボネート)、1,1−ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン
−ビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド−ビス(メチルカーボネート)、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド−ビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホキシド−ビス(メチルカーボネー
ト)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン−ビ
ス(メチルカーボネート)、ビス(3−クロロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)−スルホン−ビス(メチルカーボネ
ート)、エチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エーテル−ビス(メチルカーボネート)、1,4
−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン−ビス
(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキシ
フェニルイソプロピル)−ベンゼン−ビス(メチルカー
ボネート)、1,4−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)−ベンゼン−ビス(メチルカーボネート)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル−ビス(メチ
ルカーボネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノ
キシ)−ベンゼン−ビス(メチルカーボネート)、1,4
ビス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−ベンゼン−ビ
ス(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニルスルホニル)−ベンゼン−ビス(メチルカー
ボネート)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)−メタン−ビス(メチルカーボネート)、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフ
ィド−ビス(メチルカーボネート)、3,3′,5,5′−テ
トラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン−ビ
ス(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−シクロヘキサン−ビス−(メチルカーボ
ネート)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−シクロヘキサン−ビス(メチルカーボネー
ト)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5′
−トリメチルシクロヘキサン−ビス(メチルカーボネー
ト)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,5,5′−トリメチルシクロヘキサン−ビス
(メチルカーボネート)、及び上記ビスメチル炭酸エス
テルのメチル基をエチル基、ブチル基、フェニル基に変
えたビス炭酸エステルなどを代表的に挙げることができ
る。また、これらのビス炭酸エステルは、ここに示した
もの以外のものでもよく、又メチルエチル、メチルブチ
ルなど非対称のものであってもよい。
これらのビス炭酸エステルを2種類以上使用する場合、
その混合割合は任意でよく特に制限はない。
本発明の方法における芳香族ポリカルボン酸エステルと
は、芳香族ポリカルボン酸とヒドロキシル化合物を反応
させて生成する物質をいい、好ましくは芳香族ジカルボ
ン酸であり、中でも、フタル酸エステル、イソフタル酸
エステル、テレフタル酸エステル、及び、メチルエステ
ル、エチルエステル、ブチルエステル、フェニルエステ
ルが好ましい。代表的なものとしては、以下のものを挙
げることができる。フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジ
メチル、テレフタル酸ジメチル、ベンゾフェノン−4,
4′−ジカルボン酸ジメチル及びその2,2′−2,3−、2,
4′−3,3′−、3,4−異性体、ジフェニルスルフィド4,
4′−ジカルボン酸ジメチル、及びその2,2′−、2,3′
−、2,4′−、3,3′−、3,4′−異性体、ジフェニルス
ルホン−4,4′−ジカルボン酸ジメチル及びその2,2′
−、2,3′−、2,4′−、3,3′−、3,4′−異性体、ジフ
ェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸ジメチル及びそ
の2,2′−、2,3′−、2,4′−、3,3′−、3,4′−異性
体、ジフェニルスルホキシド−4,4′−ジカルボン酸ジ
メチル及びその2,2′−、2,3′−、2,4′−、3,3′−、
3,4′−異性体、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン
酸ジメチル及びその2,2′−、2,3′−、2,4′−、3,3′
−、3,4′−異性体、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸ジ
メチル及びその異性体、ベンゼン−1,3,5−ドリカルボ
ン酸トリメチル及びその1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−異
性体、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラメ
チル、ベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボン酸テトラメ
チル及び上記芳香族ポリカルボン酸エステルのメチル基
をエチル基、ブチル基、フェニル基に変えた芳香族ポリ
カルボン酸エステルなどを代表的に挙げることができ
る。又これらの芳香族ポリカルボン酸エステルはここに
示した以外のものでも良く、又メチルエチル、メチルブ
チル、ジメチルエチルなど非対称のものであっても良
い。これらの芳香族ポリカルボン酸エステルを2種以上
使用する場合、その混合割合は任意で良く、特に制限は
ない。
本発明の方法における、上記ビス炭酸エステルと芳香族
ポリカルボン酸エステルの縮合反応は、通常は無溶媒で
行なうが、反応不活性で生成するコポリマーを溶解する
溶媒を用いても良い。このような溶剤としては、塩化メ
チレン、1,2−ジクロロエタン、ジオキサン、ジクロロ
ベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロエタン、
ジフェニルメタン、ジフェニルスルホン等が挙げられ、
生成物が溶媒に対して1〜90wt%になる範囲で用いられ
る。
また本反応に用いられる反応温度は、原料であるビス炭
酸エステルと芳香族ポリカルボン酸エステルの種類によ
って異なるが、通常20℃〜400℃、好ましくは150℃〜35
0℃の範囲である。
又、本反応においては、生成するジアルキルカーボネー
トを反応系から除去することが望ましい為、不活性ガス
例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を系中に導入するか
もしくは、減圧下で反応を行なうことが好都合である。
本発明の反応時間は、反応の各種の条件によって一概に
はいえないが、数分〜数十時間、通常は10分〜10時間で
ある。
本発明に用いられる重合触媒は、この種の重合に通常用
いられる触媒なら特に制限はないが、特にポリエステ
ル、ポリアミド、ポリウレタン等の重合に用いられる重
縮合触媒が好ましく、例えば周期律表におけるI族では
Li,K,Na,Cu,Ag,Cs,Au,Fr等の金属及びその化合物、II族
ではMg,Ca,Zn,Sr,Cd,Ba等の金属及びその化合物、III族
ではAl,Sc,Ga,Y等の金属及びその化合物、IV族ではTi,G
e,Zr,Sn,Pb等の金属及びその化合物、V族ではV,Sb,Ta,
Bi等の金属及びその化合物、VI族ではCr,Mo,Te,W等の金
属及びその化合物、VIII族ではFe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Pt,O
s,Ir等の金属及びその化合物から選ばれた1種又は2種
以上を組合せたものであって、詳しくは、Li(acac),
LiN(C4H9)2,CH3COOLi・2H2O,NaOPh,CH3COONa,NaOH,CuC
l,CuCl2,CuBr,CuBr2,CuI,CuI2,Cu(OAc)2,Cu(acac)2
オレイン酸銅、(C4H9)2Cu,(CH3O)2Cu,TiO(acac)2,Ti
(OPh)4,Ti(OBu)4,Ti(π−C5H5)2Cl2,[Ti−π−C5H5
Cl2]2O,Ti(OCH3)4,Zr(acac)4,ジルコノセン、フェロ
セン、Fe(acac)3,Fe2(C10H8)(CO)5,Fe(CO)5,Fe(C
4H6)(CO)3,Zr(OPh)4,TiCl4・O(C2H5)2,KOBut,Sn(OA
c)2,Sn(C2H5)4,Sn(C6H5)4,[Sn(CH3)3]2O,(C4H9)2Sn
O,ジブチルスズラウリレート、(C4H9)2Sn(OAc)2,[(C4
H9)2SnO]n,[(C8H17)2SnO]n,[(C4H9)(C6H5)SnO]
[(CH3)(C3H7)SnO]n,Sb2O3,Sb(OCH3)3,Pb(OAc)2,Pb
(OAc)4,Pb(OH)2・2PbCO3,PbO2,Mn(OAc)2・4H2O,Mn
(acac)2,Zn(OAc)2・2H2O,ZnCl2,Mg(OAc)2・4H2O,Ca
(OAc)2・H2O,Ni(OAc)2・4H2O,Ni(acac)2,GeO2,Ge(O
CH3)2,Cd(OAc)2,Co(OAc)2,Cd(acac)2,(C4H9)2Cd,A
lCl3,Al(OAc)3,Cr(OAc)2,CoC5F6(CO7,AgNO3,AgC6H
6ClO4,[AuC≡C−t−(C4H9)],CsOH,Mo2O3,MoC
l2,WCl4などである。(ここにおいて「acac」はアセチ
ルアセナート基を、「Ac」はアシル基を、「OPh」はフ
ェノキシ基を、「π−C5H5」はシクロペンタジエニル基
にπ−配位していることを示している)又これらの触媒
の使用量は原料に対して、0.0001wt%〜5wt%、好まし
くは0.005wt%〜1wt%の範囲である。
本反応を行なうに当って、反応槽は回分式でも流通式で
も良く又多段反応槽の流通反応においては、各反応器ご
とに温度変化、減圧的変化をつけて、反応を行なっても
良い。
[実施例] 次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明
はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 攪拌機付2l3つ口フラスコに2,2′−ビス(4−ヒドロキ
シジフェニル)プロパン(0.5mol,114g)、クロロ炭酸
メチル(1.1mol、104g)、ベンゼン(800ml)を入れ、
そこに50%水酸化ナトリウム(88g)を滴下し強く攪拌
した。滴下終了後水を100ml加え、ベンゼン層を分離
し、無水硫酸ナトリウム中で乾燥させた。その後ベンゼ
ンを留去することによって純度が99%の2,2′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(メチルカ
ーボネート) を得た。
次に前記方法で得たビスカーボネートを用いてポリエス
テルポリカーボネートの合成を行なった。蒸留器及び温
度計、攪拌機付きの200ml SUS リアクターに、2,2′−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン−ビス(メ
チルカーボネート)(0.1mol,34.4g)とテレフタル酸ジ
メチル(0.1mol,19.4g)を入れ、触媒としてジブチルス
ズオキシド(Bu2SnO)0.02gを加え、反応温度を270℃、
減圧度を250mmHgとして反応を開始させた。ただちに蒸
留器トップよりジメチルカーボネートの留出が始まっ
た。2時間後反応を終了し、ボトム生成物をジクロロメ
タン、ジクロロメタン−d2にそれぞれ溶解させて、GPC,
NMR,LC分析を行なった。その結果、重量平均分子量25,0
00のポリエステルポリカーボネートが得られた。この物
質はカーボネート単位とエステル単位が1.23:1で構成さ
れたエステル結合が90%、カーボネート結合が11%の共
重合体であった。
実施例2 2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン−
ビス(ジメチルカーボネート)(0.1mol,34.4g)とテレ
フタル酸ジメチル(0.05mol,9.7g)、ジブチルスズオキ
シド(0.02g)を実施例1と同様の条件下で反応させ
た。同様の分析の結果、生成物は重量平均分子量31,000
のポリエステルポリカーボネートであった。又このコポ
リマーは、カーボネート単位とエステル単位が2.46:1で
構成されており、その結合比率はエステルが61%、カー
ボネートが39%であった。
実施例3 2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン−
ビス(ジメチルカーボネート)(0.1mol,34.4g)とテレ
フタル酸ジメチル(0.01mol,0.97g)、ジブチルスズオ
キシド(0.02g)を実施例1と同様の条件下で反応を行
なった。同様の分析の結果、生成物は重量平均分子量2
9,000のポリエステルポリカーボネートであり、その組
成はカーボネート単位(11.1)とエステル単位(1)で
あった。又その結合比率はエステルが26%、カーボネー
トが74%であった。
実施例4 反応温度を290℃、減圧度を300mmHgとする以外は、実施
例1と同様の条件で反応を行なった結果、重量平均分子
量が42,000で、組成がカーボネート単位(1.28)、エス
テル単位(1)のポリエステルポリカーボネートが得ら
れた。又、その結合比率はエステルが84%、カーボネー
トが16%であった。
実施例5 テレフタル酸ジメチルをイソフタル酸ジメチルにするこ
と以外は実施例1と同様の条件下で反応を行なった結
果、重量平均分子量が35,000で組成がカーボネート単位
(1.4)エステル単位(1)のポリエステルポリカーボ
ネートが得られた。このコポリマーの結合比率は、エス
テル80%、カーボネート20%であった。
実施例6 2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン−
ビス(ジメチルカーボネート)(0.1mol,34.4g)とテレ
フタル酸ジメチル(0.05mol,9.7g)、イソフタル酸ジメ
チル(0.05mol,9.7g)、ジブチルスズオキシド(0.02
g)を実施例1と同様の条件下で反応させた結果、重量
平均分子量が31,000でその組成がカーボネート単位(1.
32)、エステル単位(1)のポリエステルポリカーボネ
ートが得られた。又このコポリマーの結合比率はエステ
ルが84%、カーボネートが16%であった。
実施例7 テレフタル酸ジメチルをフタル酸ジメチルにすること以
外は実施例1と同様の条件下で反応を行なった結果、重
量平均分子量が12,000で組成がカーボネート単位(1.
9)エステル単位(1)のポリエステルポリカーボネー
トが得られた。このコポリマーの結合比率は、エステル
が70%、カーボネート30%であった。
実施例8〜19 テレフタル酸ジメチル(0.1mol,19.4g)、ジブチルスズ
オキシド0.02gと種々のビス炭酸エステル(0.1mol)を
実施例2の条件下に反応させた結果を表1に示す。
[発明の効果] 本発明は、ビス炭酸エステルと芳香族ポリカルボン酸エ
ステルを原料とするため、原料コストが低いこと、ま
た、副生物である炭酸ジエステルの分離回収が容易であ
ることに加え、ホスゲン法で見られるような生成物中へ
のNaCl等の電解質、塩素成分等の不純物の混入がないこ
と、必ずしも溶媒を使用する必要がないため不純物及び
溶媒の分離、回収の工程が省略できること、また、本反
応で副生する炭酸ジエステルはビスカーボネートの原料
であり、再使用が可能であること等の工業的に極めて有
利な特徴を有し、その工業的意義は大きい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)又は(II)で表わされるビス
    炭酸エステルから選ばれた1種以上のビス炭酸エステル
    と、1種以上の芳香族ポリカルボン酸エステルを重合触
    媒の存在下に重縮合させることを特徴とする芳香族ポリ
    エステルポリカーボネートの製造方法。 (式中R1,R4はそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基又
    はアリール基を表し、R2,R3はそれぞれ水素原子、炭素
    数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、R2,R3
    同じ環を構成する要素であって として炭素数5〜12の環状炭化水素基、ハロゲン化アル
    キル基、置換または非置換のアリール基を表し、X1
    X2,Y1,Y2はそれぞれアルコキシル基、水素原子、ハロ
    ゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはシクロ
    アルキル基を表し、lは1を表す。) [式中R1,R4は式(I)における定義と同一であり、
    X3,X4,X5,Y3,Y4,Y5はそれぞれアルコキシル基、水
    素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基また
    はシクロアルキル基、ZはCO,S,SO2,SO,O,OCH2 k
    (kは1〜4の整数)またはCH2 i(iは1〜10の整
    数)を表し、m,nはそれぞれ0または1を表す。]
  2. 【請求項2】一般式(I)又は(II)で表わされるビス
    炭酸エステルが、 (R1,R4はそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基又はア
    リール基を表わす。)から選ばれた少なくとも1種以上
    のものである特許請求の範囲第1項記載の芳香族ポリエ
    ステルカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】一般式(I)又は(II)で表わされるビス
    炭酸エステルのR1,R4がエチル基又はメチル基から選ば
    れたものである特許請求の範囲第1項記載の芳香族ポリ
    エステルカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】芳香族ポリカルボン酸エステルが、芳香族
    ジカルボン酸エステルである特許請求の範囲第1項記載
    の芳香族ポリエステルカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】芳香族ジカルボン酸エステルが、フタル酸
    エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステ
    ルである特許請求の範囲第4項記載の芳香族ポリエステ
    ルカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族ジカルボン酸エステルがメチルエス
    テル、エチルエステル、ブチルエステル、フェニルエス
    テルである特許請求の範囲第4項又は第5項記載の芳香
    族ポリエステルカーボネートの製造方法。
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