JPH0796581A - 熱可塑性エラストマー積層体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー積層体

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JPH0796581A
JPH0796581A JP5242535A JP24253593A JPH0796581A JP H0796581 A JPH0796581 A JP H0796581A JP 5242535 A JP5242535 A JP 5242535A JP 24253593 A JP24253593 A JP 24253593A JP H0796581 A JPH0796581 A JP H0796581A
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JP
Japan
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block
weight
thermoplastic elastomer
copolymer
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JP5242535A
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English (en)
Inventor
Yuichi Ito
藤 雄 一 伊
Kyoko Kobayashi
林 恭 子 小
Akira Uchiyama
山 晃 内
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の熱可塑性エラストマー積層体は、結晶
性ポリオレフィン樹脂で形成されてなる基材層[I]
と、結晶性ポリオレフィン樹脂、スチレン等の重合体ブ
ロックおよび特定のイソプレン重合体ブロック等からな
るブロック共重合体またはその水添物を特定の割合で含
有してなる熱可塑性エラストマーで形成されてなる表皮
層[II]とで構成されてなる。 【効果】上記積層体は、機械的強度、耐熱性、耐熱老化
性、耐候性および耐傷付き性に優れ、軽量でリサイクル
が容易であり、しかも、焼却しても有害なガスを発生す
ることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性エラストマー積
層体に関し、さらに詳しくは、たとえば自動車外装部品
の用途に好適な、耐傷付き性に優れたオレフィン系熱可
塑性エラストマー積層体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、自動車のサイドプロテクシ
ョンモールには、塩化ビニル樹脂が広く用いられてい
る。塩化ビニル樹脂は、耐傷付き性に優れ、かつ安価で
あるため、上記用途には非常に好適な材料である。しか
しながら、塩化ビニル樹脂は、焼却時に有害なガスを発
生するため、環境を汚染するという問題がある。
【0003】ところで、オレフィン系樹脂、オレフィン
系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易で
あることから、省エネルギー、省資源タイプの材料とし
て、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材
等に広く使用されている。
【0004】また近年、地球環境保護の観点から、焼却
時に有害なガスを発生する塩化ビニル樹脂に代わって、
有害なガスが発生しないオレフィン系樹脂あるいはオレ
フィン系熱可塑性エラストマーが使われるようになって
きている。
【0005】しかしながら、従来のオレフィン系樹脂あ
るいはオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる成形
体は、塩化ビニル樹脂からなる成形体と比較して、耐傷
付き性が劣るという欠点があり、その改良が強く望まれ
ている。
【0006】そこで、本発明者らは、耐傷付き性に優れ
た熱可塑性エラストマー成形体を得るべく鋭意研究し、
結晶性ポリオレフィン樹脂で形成されてなる基材層、お
よび結晶性ポリオレフィン樹脂と、特定のブロック共重
合体とを特定の割合で含有する熱可塑性エラストマーで
形成されてなる表皮層からなる積層体を調製したとこ
ろ、軽量でリサイクルが容易であり、しかも、焼却して
も有害なガスを発生しない、耐傷付き性および耐熱性に
優れた熱可塑性エラストマー積層体が得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、軽量でリサイ
クルが容易であり、しかも、焼却しても有害なガスを発
生しない、耐傷付き性および耐熱性に優れた熱可塑性エ
ラストマー積層体を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る第1の熱可塑性エラストマ
ー積層体は、[I]結晶性ポリオレフィン樹脂からなる
基材層と、[II]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)20
〜85重量部、およびスチレンまたはその誘導体の重合
体ブロック(a)と、イソプレン重合体ブロックまたは
イソプレン・ブタジエン共重合体ブロックであって、イ
ソプレン重合体部分における1,2結合および3,4結
合含有量が40%以上である重合体または共重合体ブロ
ック(b)とからなる水素添加されていてもよいブロッ
ク共重合体(B)15〜80重量部[成分(A)および
(B)の合計量は100重量部である]を含有する熱可
塑性エラストマー[1]からなる表皮層とで構成されて
いることを特徴としている。
【0009】また、本発明に係る第2の熱可塑性エラス
トマー積層体は、[I]結晶性ポリオレフィン樹脂から
なる基材層と、[II]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)
20〜85重量部、スチレンまたはその誘導体の重合体
ブロック(a)と、イソプレン重合体ブロックまたはイ
ソプレン・ブタジエン共重合体ブロックであって、イソ
プレン重合体部分における1,2結合および3,4結合
含有量が40%以上である重合体または共重合体ブロッ
ク(b)とからなる水素添加されていてもよいブロック
共重合体(B)12〜79重量部、およびスチレンまた
はその誘導体の重合体ブロック(c)と、イソプレン重
合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブ
ロックであって、イソプレン重合体部分における1,2
結合および3,4結合含有量が30%以下である重合体
または共重合体ブロック(d)、またはブタジエン重合
体ブロック(e)とからなる水素添加されていてもよい
ブロック共重合体(C)1〜30重量部[成分(A)、
(B)および(C)の合計量は100重量部である]を
含有する熱可塑性エラストマー[2]からなる表皮層と
で構成されていることを特徴としている。
【0010】上記の熱可塑性エラストマー中に、オレフ
ィン系ゴム(D)、軟化剤(E)を、本発明の目的を損
なわない範囲で配合させることができる。たとえば上記
の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)、ブロック共重合体
(B)およびブロック共重合体(C)を含有する熱可塑
性エラストマー[2]では、結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)、ブロック共重合体(B)およびブロック共重合
体(C)の合計量100重量部に対して、オレフィン系
ゴム(D)1〜40重量部および/または軟化剤(E)
1〜40重量部を配合することができる。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る熱可塑性エラ
ストマー積層体について具体的に説明する。本発明に係
る熱可塑性エラストマー積層体は、結晶性ポリオレフィ
ン樹脂からなる基材層と、特定の熱可塑性エラストマー
からなる表皮層とから構成されてなる。
【0012】基材層形成用ポリオレフィン樹脂 本発明に係る熱可塑性エラストマー積層体の基材層に用
いられる結晶性ポリオレフィン樹脂としては、以下のよ
うな炭素原子数2〜20のα- オレフィンの単独重合体
または共重合体が挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 (10)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリエチ
レン (11)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリエチ
レン15〜40重量%と、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にある
ポリエチレン60〜85重量%とからなり、135℃デ
カリン中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3d
l/gの範囲内にある超高分子量ポリエチレン組成物 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0013】上記の結晶性ポリオレフィン樹脂の中で
も、プロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以
下の他のα- オレフィンとのランダム共重合体、あるい
はプロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィンと
のブロック共重合体を用いることが特に好ましい。
【0014】結晶性ポリオレフィン樹脂のメルトフロー
レート(MFR;ASTM D 1238、230℃、
2.16kg荷重、以下同じ)は、好ましくは50g/
10分以下、さらに好ましくは、20g/10分以下の
範囲にある。
【0015】また、結晶性ポリオレフィン樹脂は、X線
法により求めた結晶化度が通常5〜100%、好ましく
は20〜80%の範囲にある。上記の結晶性ポリオレフ
ィン樹脂には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安
定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、
着色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目的を損なわな
い範囲で配合することができる。
【0016】表皮層形成用熱可塑性エラストマー
[1]、[2] 本発明に係る熱可塑性エラストマー積層体の表皮層に用
いられる熱可塑性エラストマーとしては、結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)および特定のブロック共重合体
(B)を特定の割合で含有する熱可塑性エラストマー
[1]、または結晶性ポリオレフィン樹脂(A)、特定
のブロック共重合体(B)および特定のブロック共重合
体(C)を特定の割合で含有してなる熱可塑性エラスト
マー[2]から形成されている。
【0017】また、これらの熱可塑性エラストマー中
に、必要に応じて、オレフィン系ゴム(B)、軟化剤
(E)を特定の割合で配合することができる。これらの
熱可塑性エラストマーは、非架橋の熱可塑性エラストマ
ーであってもよいし、部分的に架橋された熱可塑性エラ
ストマーであってもよい。 [結晶性ポリオレフィン樹脂(A)]上記の熱可塑性エ
ラストマー[1]および[2]を構成する結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)としては、炭素原子数2〜20のα
- オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられ
る。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 (10)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリエチ
レン (11)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリエチ
レン15〜40重量%と、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にある
ポリエチレン60〜85重量%とからなり、135℃デ
カリン中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3d
l/gの範囲内にある超高分子量ポリエチレン組成物 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0018】上記の結晶性ポリオレフィン樹脂の中で
も、プロピレン単独重合体とプロピレンを主成分とした
プロピレン・α- オレフィン共重合体が特に好ましい。
上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂(A)は、単独
で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0019】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)は、メル
トフローレート(MFR;ASTMD 1238、23
0℃、2.16kg荷重、以下同じ)が好ましくは10
0g/10分以下、さらに好ましくは50g/10分の
範囲にある。
【0020】また、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)
は、X線法により求めた結晶化度が通常5〜100%、
好ましくは20〜80%の範囲にある。上述した熱可塑
性エラストマー[1]、[2]において、結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)は、結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)およびブロック共重合体(B)の合計量100重
量部に対して、または結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)、ブロック共重合体(B)およびブロック共重合
体(C)の合計量100重量部に対して、20〜85重
量部、好ましくは30〜80重量部、さらに好ましくは
35〜75重量部の割合で用いられる。
【0021】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)を上記の
ような割合で用いると、耐傷付き性に優れるとともに、
耐熱性に優れた表皮層を提供し得る、成形性に優れた熱
可塑性エラストマーが得られる。 [ブロック共重合体(B)]上記の熱可塑性エラストマ
ー[1]および[2]を構成するブロック共重合体
(B)は、スチレンまたはその誘導体の重合体ブロック
(a)と、特定のイソプレン重合体または特定のイソプ
レン・ブタジエン共重合体からなるブロック(b)とか
らなり、水素添加されていてもよい。
【0022】上記ブロック(a)を構成する重合体成分
は、スチレンまたはその誘導体である。スチレンの誘導
体としては、具体的には、α- メチルスチレン、1-ビニ
ルナフタレン、2-ビニルナフタレン、3-メチルスチレ
ン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、
4-ドデシルスチレン、2-エチル-4- ベンジルスチレン、
4-(フェニルブチル)スチレンなどが挙げられる。ブロ
ック(a)を構成する重合体成分としては、スチレン、
α- メチルスチレンが好ましい。
【0023】上記ブロック(b)を構成する重合体また
は共重合体は、イソプレン重合体またはイソプレン・ブ
タジエン共重合体であって、下記に示すイソプレン重合
体部分における1,2結合および3,4結合含有量が4
0%以上、好ましくは45%以上である。
【0024】
【化1】
【0025】本発明において、イソプレン重合体部分に
おける1,2結合および3,4結合の含有量が40%以
上であるとき、耐傷付き性に優れた表皮層を提供し得る
熱可塑性エラストマーを得ることができる。
【0026】ブロック共重合体(B)におけるスチレン
またはその誘導体の重合体ブロック(a)の割合は、好
ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜45
重量%の範囲である。すなわち、上記のイソプレン重合
体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック(b)の割合は、好ましくは95〜50重量%、さ
らに好ましくは90〜55重量%の範囲である。
【0027】本発明においては、水素添加されたブロッ
ク共重合体(B)が好ましい。水素添加されたブロック
共重合体(B)を用いると、耐候性と耐熱性により優れ
た表皮層を提供し得る熱可塑性エラストマーが得られ
る。
【0028】本発明で用いられるブロック共重合体
(B)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1
238、230℃、2.16kg荷重、以下同じ)は、
好ましくは0.01〜30g/10分、さらに好ましく
は0.01〜10g/10分の範囲にある。メルトフロ
ーレートが上記のような範囲にあるブロック共重合体
(B)を用いると、耐傷付き性に優れた表皮層を提供し
得る熱可塑性エラストマーが得られる。
【0029】本発明で用いられるブロック共重合体
(B)のブロック形態としては、ブロック(a)−ブロ
ック(b)−ブロック(a)の形態が最も好ましいが、
これに限られるものではない。
【0030】このようなブロック共重合体(B)は、た
とえば、以下のような方法により製造することができ
る。 (1) アルキルリチウム化合物を開始剤としてスチレンま
たはその誘導体、イソプレンまたはイソプレン・ブタジ
エン混合物を逐次重合させる方法。 (2) スチレンまたはその誘導体、次いで、イソプレンま
たはイソプレン・ブタジエン混合物を重合し、これをカ
ップリング剤によりカップリングする方法。 (3) ジリチウム化合物を開始剤としてイソプレンまたは
イソプレン・ブタジエン混合物、次いで、スチレンまた
はその誘導体を逐次重合させる方法。
【0031】上記ブロック共重合体(B)の製造方法の
詳細は、たとえば特開平2−300250号公報、特開
平3−45646号公報等に記載されている。また、上
記のような方法により得られたブロック共重合体(B)
に水添処理を行なえば、水素添加されたブロック共重合
体(B)が得られる。水添されるブロックは、イソプレ
ン重合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合
体ブロック(b)である。
【0032】上述した熱可塑性エラストマー[1]にお
いて、ブロック共重合体(B)は、上記の結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)およびブロック共重合体(B)の合
計量100重量部に対して、15〜80重量部、好まし
くは20〜70重量部、さらに好ましくは25〜65重
量部の割合で用いられる。
【0033】また上述した熱可塑性エラストマー[2]
において、ブロック共重合体(B)は、上記の結晶性ポ
リオレフィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)およ
びブロック共重合体(C)の合計量100重量部に対し
て、12〜79重量部、好ましくは17〜67重量部、
さらに好ましくは20〜60重量部の割合で用いられ
る。
【0034】ブロック共重合体(B)を上記のような割
合で用いると、耐熱性に優れるとともに耐傷付き性に優
れた表皮層を提供し得る熱可塑性エラストマーが得られ
る。 [ブロック共重合体(C)]上記の熱可塑性エラストマ
ー[2]を構成するブロック共重合体(C)は、スチレ
ンまたはその誘導体の重合体ブロック(c)と、特定の
イソプレン重合体または特定のイソプレン・ブタジエン
共重合体からなるブロック(b)、またはブタジエン重
合体ブロック(e)とからなり、水素添加されていても
よい。
【0035】上記ブロック(c)を構成する重合体成分
は、スチレンまたはその誘導体である。スチレンの誘導
体の具体例としては、上記共重合体(B)の項で例示し
た化合物と同じ化合物が挙げられる。ブロック(c)を
構成する重合体成分としては、スチレン、α- メチルス
チレンが好ましく、特にα- メチルスチレンが好まし
い。
【0036】上記ブロック(d)を構成する重合体また
は共重合体は、イソプレン重合体ブロックまたはイソプ
レン・ブタジエン共重合体ブロックであって、イソプレ
ン重合体部分における1,2結合および3,4結合含有
量が30%以下、好ましくは25%以下である。
【0037】本発明において、イソプレン重合体部分に
おける1,2結合および3,4結合の含有量が30%以
下であるとき、良好な外観を有する表皮層を提供し得る
熱可塑性エラストマーを得ることができる。
【0038】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)は、ブロック(c)とブロック(d)とからなっ
ていてもよいし、また、ブロック(c)とブタジエン重
合体からなるブロック(e)とからなっていてもよい。
【0039】ブロック共重合体(C)におけるスチレン
またはその誘導体の重合体ブロック(c)の割合は、好
ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜45
重量%の範囲である。すなわち、上記のイソプレン重合
体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック(d)、またはブタジエン重合体ブロック(e)の
割合は、好ましくは95〜50重量%、さらに好ましく
は90〜55重量%の範囲である。
【0040】本発明においては、水素添加されたブロッ
ク共重合体(C)が好ましい。水素添加されたブロック
共重合体(C)を用いると、耐候性と耐熱性により優れ
た表皮層を提供し得る熱可塑性エラストマーが得られ
る。
【0041】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1
238、230℃、2.16kg荷重、以下同じ)は、
好ましくは0.01〜100g/10分、さらに好まし
くは0.01〜50g/10分の範囲にある。メルトフ
ローレートが上記のような範囲にあるブロック共重合体
(C)を用いると、耐傷付き性に優れた表皮層を提供し
得る熱可塑性エラストマーが得られる。
【0042】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)のブロック形態としては、ブロック(c)−ブロ
ック(d)または(e)−ブロック(c)の形態が最も
好ましいが、これに限られるものではない。
【0043】このような水素添加されていてもよいブロ
ック共重合体(C)は、たとえば上述したようなブロッ
ク共重合体(B)の製造方法と同様の方法により製造す
ることができる。
【0044】なお、水素添加されたブロック共重合体を
調製する際に、水添されるブロックは、イソプレン重合
体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック(d)またはブタジエン重合体ブロック(e)であ
る。
【0045】上述した熱可塑性エラストマー[2]にお
いて、ブロック共重合体(C)は、上記の結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)およびブ
ロック共重合体(C)の合計量100重量部に対して、
1〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、さらに好
ましくは5〜20重量部の割合で用いられる。
【0046】ブロック共重合体(C)を上記のような割
合で用いると、耐傷付き性に優れるとともに、外観に優
れた表皮層を提供し得る熱可塑性エラストマーが得られ
る。 [オレフィン系ゴム(D)]本発明において必要に応じ
て用いられるオレフィン系ゴム(D)としては、炭素原
子数2〜20のα- オレフィンを主成分とする無定形ラ
ンダムな弾性共重合体であって、2種以上のα- オレフ
ィンからなる非晶性α- オレフィン共重合体、2種以上
のα- オレフィンと非共役ジエンとからなるα- オレフ
ィン・非共役ジエン共重合体などがあり、具体的には、
以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α- オレフィン共重合体ゴム[エチレ
ン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/
50] (2)エチレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム[エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90
/10〜50/50] (3)プロピレン・α- オレフィン共重合体ゴム[プロ
ピレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜5
0/50] (4)ブテン・α- オレフィン共重合体ゴム[ブテン/
α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/5
0] 上記α- オレフィンとしては、具体的には、上記した結
晶性ポリオレフィン樹脂(A)を構成するα- オレフィ
ンの具体的な例と同様のα- オレフィンを挙げることが
できる。
【0047】また、上記非共役ジエンとしては、具体的
には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シク
ロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノ
ルボルネンなどが挙げられる。
【0048】このような非共役ジエンが共重合している
上記(2)のエチレン・α- オレフィン・非共役ジエン
共重合体ゴムのヨウ素価は、25以下が好ましい。上記
(1)〜(4)の共重合体ゴムのムーニー粘度[ML
1+4 (100℃)]は、10〜250、特に30〜15
0が好ましい。
【0049】上記のようなオレフィン系ゴム(D)は、
必要に応じて、上述した熱可塑性エラストマー[1]ま
たは[2]中に、本発明の目的を損なわない範囲で配合
することができる。たとえば、上述した熱可塑性エラス
トマー[2]において、オレフィン系ゴム(D)は、上
記の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)、ブロック共重合
体(B)およびブロック共重合体(C)の合計量100
重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは3〜35
重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で用い
られる。
【0050】オレフィン系ゴム(D)を上記のような割
合で用いると、柔軟性に優れるとともに、耐傷付き性に
優れた表皮層を提供し得る熱可塑性エラストマーが得ら
れる。
【0051】また、本発明においては、本発明の目的を
損なわない範囲で、オレフィン系ゴム(D)と、オレフ
ィン系ゴム(D)以外のゴムとを組合わせて用いること
もできる。
【0052】このようなオレフィン系ゴム(D)以外の
ゴムとしては、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(S
BR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、
ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、ポリイソブチ
レンゴムなどが挙げられる。 [軟化剤(E)]本発明において必要に応じて用いられ
る軟化剤(E)としては、通常ゴムに使用される軟化剤
が適当であり、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、
パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセ
リン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッ
チ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ
油、大豆油、椰子油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カ
ルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸またはその金属
塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポ
リプロピレン等の合成高分子;ジオクチルフタレート、
ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエス
テル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、
液状ポリブタジエンまたはその変性物あるいは水添物、
液状チオコールなどが挙げられる。
【0053】上記のような軟化剤(E)は、必要に応じ
て、上述した熱可塑性エラストマー[1]または[2]
中に、本発明の目的を損なわない範囲で配合することが
できる。たとえば、上述した熱可塑性エラストマー
[2]において、軟化剤(E)は、上記の結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)およびブ
ロック共重合体(C)の合計量100重量部に対して、
1〜40重量部、好ましくは3〜35重量部、さらに好
ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
【0054】軟化剤(E)を上記のような割合で用いる
と、成形時の流動性に優れた熱可塑性エラストマーが得
られる。この熱可塑性エラストマーからなる表皮層は、
耐傷付き性に優れている。 [その他の成分]本発明においては、熱可塑性エラスト
マー中に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応
じて無機充填剤、あるいはフェノール系、サルファイト
系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系
安定剤の如き公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定
剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤など
の添加剤を添加することができる。
【0055】このような無機充填剤としては、具体的に
は、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリ
ン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベス
ト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊
維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミ
ナなどが挙げられる。
【0056】本発明においては、熱可塑性エラストマー
[1]および[2]は、架橋構造を有していなくてもよ
いが、架橋構造を有している方が好ましい。上記のよう
な熱可塑性エラストマー[1]は、上記の結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)およびブロック共重合体(B)の各
成分を混合した後、有機過酸化物の存在下または不存在
下で動的に熱処理することにより製造することができ
る。
【0057】また、上記のような熱可塑性エラストマー
[2]は、上記の結晶性ポリオレフィン樹脂(A)、ブ
ロック共重合体(B)およびブロック共重合体(C)、
さらにはオレフィン系ゴム(D)、軟化剤(E)の各成
分を混合した後、有機過酸化物の存在下または不存在下
で動的に熱処理することにより製造することができる。
上記の動的な熱処理を有機過酸化物の存在下に行なうこ
とにより、架橋構造を有する熱可塑性エラストマーが得
られる。また、上記の動的な熱処理を有機過酸化物の不
存在下に行なうことにより、架橋構造を有しない熱可塑
性エラストマーが得られる。
【0058】上記有機過酸化物としては、具体的には、
ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、
2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオ
キシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-
4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベ
ンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチ
ルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエ
ート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0059】これらの内では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチル
ペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブ
チル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート
が好ましく、中でも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0060】本発明においては、有機過酸化物は、結晶
性ポリオレフィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)
および必要に応じて用いられるオレフィン系ゴム(D)
の合計量100重量%に対して、または結晶性ポリオレ
フィン樹脂(A)、ブロック共重合体(B)、ブロック
共重合体(C)および必要に応じて用いられるオレフィ
ン系ゴム(D)の合計量100重量%に対して0.05
〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の割合で用い
られる。
【0061】本発明においては、上記有機過酸化物によ
る部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,
p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジ
ニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグア
ニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジ
マレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジ
ビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレング
リコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリ
ルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノ
マー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような
多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0062】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
である結晶性ポリオレフィン樹脂(A)、ブロック共重
合体(B)およびブロック共重合体(C)との相溶性が
良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有
し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理によ
る架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれ
た熱可塑性エラストマーが得られる。
【0063】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多
官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量%を超える
と、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反
応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑性エラスト
マーは、流動性に劣り、一方、有機過酸化物の配合量が
少ない場合には、架橋助剤および多官能性ビニルモノマ
ーが、熱可塑性エラストマー中に未反応のモノマーとし
て残存し、熱可塑性エラストマーは、加工成形の際に熱
履歴による物性の変化が生じたりする。したがって、架
橋助剤および多官能性ビニルモノマーは、過剰に配合す
べきではない。
【0064】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の中では、非開放型の混練装置が好ましい。また混練
は、窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で
行なうことが好ましい。
【0065】混練温度は、通常結晶性ポリオレフィン樹
脂(A)の融点から250℃までの範囲、好ましくは1
60〜230℃であり、混練時間は、1〜10分が好ま
しい。また、加えられる剪断力は、剪断速度で102
5×104sec-1の範囲が望ましい。
【0066】上記のようにして部分的に架橋している熱
可塑性エラストマー、あるいは架橋していない熱可塑性
エラストマーを得ることができる。ここに、「部分的に
架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量(シ
クロヘキサン不溶解分)がたとえば10%以上、特に2
0%以上98%未満である場合をいう。本発明において
は、ゲル含量が30%以上であることが好ましい。
【0067】[ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)の
測定法]熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤
量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁
断し、次いで、得られた細片を、密閉容器中にて30m
lのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
【0068】次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温
にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。この乾燥残
渣の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性
成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じ
た値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
【0069】一方、試料の重量からポリマー成分以外の
シクロヘキサン可溶性成分(たとえば軟化剤)の重量お
よびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊
維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、
「補正された初期重量(X)」とする。
【0070】ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解
分)は、次式により求められる。 ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)]÷
[補正された初期重量(X)]×100 上記の基材層形成用結晶性ポリオレフィン樹脂および表
皮層形成用熱可塑性エラストマーは、共押出積層加工が
行なえるため、本発明に係る熱可塑性エラストマー積層
体の製造に際し、フィルム(シート)成形工程を経るこ
となく、直接、基材層と表皮層とを積層することがで
き、経済的である。
【0071】熱可塑性エラストマー積層体 本発明に係る熱可塑性エラストマー積層体は、上述した
ように、結晶性ポリオレフィン樹脂で形成されてなる基
材層と、熱可塑性エラストマー[1]または[2]で形
成されてなる表皮層とで構成されている。
【0072】したがって、本発明に係る熱可塑性エラス
トマー積層体は、上記の基材層と表皮層とを積層させる
ことによって得ることができる。基材層と表皮層との積
層方法は、最終製品の形状、大きさ、要求物性により異
なり、特に限定されないが、たとえば以下のような積層
方法が挙げられる。 (1)予め成形された基材層および表皮層の少なくとも
一方の層が溶融する温度以上の温度でカレンダーロール
成形機、圧縮成形機などを用いて両層を熱融着する方
法。 (2)予めどちらか一方がシート成形された基材層ある
いは表皮層を押出成形、カレンダー成形をしている他方
の層に熱融着する方法。 (3)多層押出成形機で基材層と表皮層とを同時に押出
成形して熱融着する方法(共押出成形)。
【0073】これらの中では、上記(3)の共押出成形
が好ましい。なお本発明においては、2種類の溶融樹脂
を、射出のタイミングをずらして金型内に射出する成形
法(2層射出成形法)により基材層と表皮層とからなる
積層体を得ることもできる。さらには、2層射出成形法
の場合と同様に、2種類の溶融樹脂を射出のタイミング
をずらして金型内に射出する、いわゆるサンドイッチ射
出成形法により表皮層、基材層、表皮層という順に構成
された3層積層体を得ることができる。
【0074】本発明においては、基材層の厚さは0.1
〜50mm、また、表皮層の厚さは5μm〜20mmで
あることが、一般的に好ましい。本発明に係る熱可塑性
エラストマー積層体において、基材層は、結晶性ポリオ
レフィン樹脂からなるため、耐熱性、耐熱老化性および
剛性に優れている。
【0075】また表皮層は、結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)およびブロック共重合体(B)、さらにはブロッ
ク共重合体(C)、オレフィン系ゴム(D)、軟化剤
(E)を特定の割合で含有してなる熱可塑性エラストマ
ーからなるため、耐傷付き性、変形回復性、ソフトタッ
チ感に優れている。
【0076】
【発明の効果】本発明に係る熱可塑性エラストマー積層
体は、結晶性ポリオレフィン樹脂で形成されてなる基材
層と、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)および特定のブ
ロック共重合体(B)、さらには特定のブロック共重合
体(C)、オレフィン系ゴム(D)、軟化剤(E)を特
定の割合で含有してなる熱可塑性エラストマーで形成さ
れてなる表皮層とで構成されているので、基材層と表皮
層との層間接着性が著しく優れ、しかも、機械的強度、
耐熱性、耐熱老化性、耐候性、耐傷付き性および寸法安
定性に優れている。
【0077】また、本発明に係る熱可塑性エラストマー
積層体は、ポリ塩化ビニル樹脂と比較して軽量でリサイ
クルが容易であり、しかも、焼却しても有害なガスを発
生することがなく、可塑剤などの滲出による表面のベタ
付きもない。
【0078】したがって、本発明に係る熱可塑性エラス
トマー積層体は、特に耐傷付き性が要求される用途、た
とえばサイドプロテクションモール、ウィンドモール等
の自動車外装部品、自動車内装部品等の用途だけでな
く、家具、建材、家電用ハウジング、鞄、スーツケー
ス、スポーツ用品、事務用品、雑貨などの用途にも有効
に用いることができる。
【0079】以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもので
はない。
【0080】
【実施例1】 [表皮層形成用熱可塑性エラストマーの調製]結晶性ポ
リオレフィン樹脂(A)としてプロピレンホモポリマー
[メルトフローレート:20g/10分、X線法により
求めた結晶化度:73%、以下(A−1)と略す]のペ
レット50重量部と、ブロック共重合体(B)としてス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体[スチ
レン含有量:20重量%、イソプレン重合体部分におけ
る1,2結合および3,4結合含有量:55%、メルト
フローレート:2.5g/10分、以下(B−1)と略
す]のペレット50重量部とを充分に混合した後、22
0℃に設定した一軸押出機を通して熱可塑性エラストマ
ー[以下、TPE−(1)と略す]のペレットを製造し
た。
【0081】[積層体の調製]基材層形成用の結晶性ポ
リオレフィン樹脂としてポリプロピレンホモポリマー
[メルトフローレート:0.5g/10分、X線法によ
り求めた結晶化度:70%]を230℃の温度で押出成
形するとともに、その表面に得られた上記のTPE−
(1)を共押出積層してポリプロピレンホモポリマーか
らなる基材層の厚みが10mm、TPE−(1)からな
る表皮層の厚みが1.0mm、幅5.2mmの共押出積
層体を得た。
【0082】得られた積層体について、層間接着強度と
表皮層表面の耐傷付き性の指標となる光沢度の変化を下
記の方法に従って測定を行なった。 (a)層間接着強度試験 試験方法:180度剥離試験 試験片:幅25mm、長さ100mm 引張速度:25mm/分 層間接着強度:剥離荷重を試験片の幅で除した値[単位
kgf/cm] (b)耐傷付き性試験 積層体の表皮層表面に20mm角のフェルト布を置き、
さらにその上に200g/cm2 の圧力が掛かるように
重りを乗せて100回表皮層表面を往復させ、その往復
操作の前後で光沢度(JIS K 7105)を測定し
た。この光沢度の変化をもって耐傷付き性の評価した。
【0083】その結果を第1表に示す。
【0084】
【実施例2】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)として
(A−1)のペレット40重量部と、ブロック共重合体
(B)として(B−1)のペレット50重量部と、ブロ
ック共重合体(C)としてスチレン・イソプレン・スチ
レンブロック共重合体[スチレン含有量:30重量%、
イソプレン重合体部分における1,2結合および3,4
結合含有量:7%、メルトフローレート:8g/10
分、以下(C−1)と略す]のペレット10重量部とか
ら、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー[以
下、TPE−(2)と略す]のペレットを製造した。
【0085】[積層体の調製]実施例1において、TP
E−(1)の代わりにTPE−(2)を用いた以外は、
実施例1と同様にしてプロピレンホモポリマーからなる
基材層とTPE−(2)からなる表皮層とで構成された
積層体を得た。
【0086】得られた積層体について、層間接着強度と
表皮層表面の耐傷付き性の指標となる光沢度の変化を上
記の方法に従って測定を行なった。その結果を第1表に
示す。
【0087】
【実施例3】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)としてプ
ロピレン・エチレンコポリマー[エチレン含有量:3.
2モル%、メルトフローレート:25g/10分、X線
法により求めた結晶化度:66%、以下(A−2)と略
す]のペレット64.3重量部と、ブロック共重合体
(B)としてスチレン重合体ブロックとイソプレン・ブ
タジエン共重合体ブロックとスチレン重合体ブロックと
からなるブロック共重合体の水添処理物[スチレン含有
量:20重量%、イソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ックにおけるブタジエン含有量:12重量%、イソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロックのイソプレン重合体部
分の1,2結合および3,4結合含有量:60%、メル
トフローレート:2.1g/10分、以下(B−2)と
略す]のペレット28.6重量部と、ブロック共重合体
(C)としてスチレン・ブタジエン・スチレンブロック
共重合体の水添処理物[スチレン含有量:40重量%、
メルトフローレート:15g/10分、以下(C−2)
と略す]のペレット7.1重量部と、オレフィン系ゴム
(D)としてエチレン・ブテン共重合体ゴム[エチレン
含有量:84モル%、ムーニー粘度ML1+4 (100
℃):15、以下(D−1)と略す]14.3重量部
と、軟化剤(E)として鉱物油系プロセスオイル[出光
興産社製、PW−380、以下、(E−1)と略す]2
8.6重量部とから、実施例1と同様にして熱可塑性エ
ラストマー[以下、TPE−(3)と略す]のペレット
を製造した。
【0088】[積層体の調製]実施例1において、TP
E−(1)の代わりにTPE−(3)を用いた以外は、
実施例1と同様にしてプロピレンホモポリマーからなる
基材層とTPE−(3)からなる表皮層とで構成された
積層体を得た。
【0089】得られた積層体について、層間接着強度と
表皮層表面の耐傷付き性の指標となる光沢度の変化を上
記の方法に従って測定を行なった。その結果を第1表に
示す。
【0090】
【実施例4】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)として
(A−2)のペレット50重量部と、ブロック共重合体
(B)として(B−2)のペレット37.5重量部と、
ブロック共重合体(C)として(C−2)のペレット1
2.5重量部と、オレフィン系ゴム(D)としてエチレ
ン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合
体ゴム[エチレン含有量:70モル%、ヨウ素価:1
4、ムーニー粘度ML1+4 (100℃):62、以下
(D−2)と略す]25重量部と、ジクミルペルオキシ
ド0.375重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部
とから実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー[以
下、TPE−(4)と略す]のペレットを製造した。得
られたTPE−(4)のゲル含量は、58%であった。
【0091】[積層体の調製]実施例1において、TP
E−(1)の代わりにTPE−(4)を用いた以外は、
実施例1と同様にしてプロピレンホモポリマーからなる
基材層とTPE−(4)からなる表皮層とで構成された
積層体を得た。
【0092】得られた積層体について、層間接着強度と
表皮層表面の耐傷付き性の指標となる光沢度の変化を上
記の方法に従って測定を行なった。その結果を第1表に
示す。
【0093】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[I]結晶性ポリオレフィン樹脂からなる
    基材層と、[II]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)20
    〜85重量部、およびスチレンまたはその誘導体の重合
    体ブロック(a)と、 イソプレン重合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエ
    ン共重合体ブロックであって、イソプレン重合体部分に
    おける1,2結合および3,4結合含有量が40%以上
    である重合体または共重合体ブロック(b)とからなる
    水素添加されていてもよいブロック共重合体(B)15
    〜80重量部[成分(A)および(B)の合計量は10
    0重量部である]を含有する熱可塑性エラストマー
    [1]からなる表皮層とで構成されていることを特徴と
    する熱可塑性エラストマー積層体。
  2. 【請求項2】[I]結晶性ポリオレフィン樹脂からなる
    基材層と、[II]結晶性ポリオレフィン樹脂(A)20
    〜85重量部、 スチレンまたはその誘導体の重合体ブロック(a)と、 イソプレン重合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエ
    ン共重合体ブロックであって、イソプレン重合体部分に
    おける1,2結合および3,4結合含有量が40%以上
    である重合体または共重合体ブロック(b)とからなる
    水素添加されていてもよいブロック共重合体(B)12
    〜79重量部、およびスチレンまたはその誘導体の重合
    体ブロック(c)と、 イソプレン重合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエ
    ン共重合体ブロックであって、イソプレン重合体部分に
    おける1,2結合および3,4結合含有量が30%以下
    である重合体または共重合体ブロック(d)、またはブ
    タジエン重合体ブロック(e)とからなる水素添加され
    ていてもよいブロック共重合体(C)1〜30重量部
    [成分(A)、(B)および(C)の合計量は100重
    量部である]を含有する熱可塑性エラストマー[2]か
    らなる表皮層とで構成されていることを特徴とする熱可
    塑性エラストマー積層体。
  3. 【請求項3】前記表皮層が、結晶性ポリオレフィン樹脂
    (A)、ブロック共重合体(B)およびブロック共重合
    体(C)の合計量100重量部に対して、オレフィン系
    ゴム(D)1〜40重量部および/または軟化剤(E)
    1〜40重量部を含有する熱可塑性エラストマー[2]
    からなることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性エ
    ラストマー積層体。
JP5242535A 1993-07-08 1993-09-29 熱可塑性エラストマー積層体 Pending JPH0796581A (ja)

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