JPH0794605B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

Info

Publication number
JPH0794605B2
JPH0794605B2 JP5506486A JP5506486A JPH0794605B2 JP H0794605 B2 JPH0794605 B2 JP H0794605B2 JP 5506486 A JP5506486 A JP 5506486A JP 5506486 A JP5506486 A JP 5506486A JP H0794605 B2 JPH0794605 B2 JP H0794605B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block copolymer
weight
styrene
copolymer
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5506486A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62212458A (ja
Inventor
林一 角田
明紘 和田
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Priority to JP5506486A priority Critical patent/JPH0794605B2/ja
Publication of JPS62212458A publication Critical patent/JPS62212458A/ja
Publication of JPH0794605B2 publication Critical patent/JPH0794605B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、肉薄成形品でも落鐘衝撃強度の著しく優れた
ポリアミド樹脂組成物に関する。
[従来の技術] ポリアミド樹脂の性質を改良するために種々の試みがな
されている。
例えば、ポリアミドにポリスチレン、スチレンアクリロ
ニトリル共重合体を溶融混合することが提案されている
(特公昭40−7380号)が、これらはポリアミドとの相溶
性が悪く、成形品が層状剥離(成形品においては例えば
杉の皮がむけるように表面層が皮状に剥離する現象)状
態を示し機械的強度が著しく低下(従って、耐衝撃性も
低下)して良好な成形材料とはならないことが知られて
いる。
また、オレフィン系重合体とポリアミドを混合するに際
し、該オレフィン系重合体として酸、エステルアミド、
酸無水物、エポキシド基の少なくとも1つを導入した変
性オレフィン系重合体を使用することにより分散性良好
な重合体組成物の製造方法が提案されている(特公昭45
−30954)がこの提案は、紡糸の際の雨ふり、糸ゆれ性
等の改良を目的としたものであって耐衝撃性の改良には
役立たないものである。
一方、特開昭56−62844にはスチレン系化合物とα,β
不飽和カルボン酸からなる共重合体又はスチレン系化合
物とα,β不飽和カルボン酸およびα,β不飽和カルボ
ン酸エステルからなる共重合体20〜80重量%(樹脂成分
基準)とポリアミド樹脂80〜20重量%(樹脂成分基準)
よりなる樹脂組成物に対してガラス繊維を5〜60重量%
(善組成物基準)添加してなる樹脂組成物が開示されて
いる。しかしながら、この樹脂組成物は吸湿性が低下
し、寸法精度が改良され、耐衝撃性も改良されるが、樹
脂部分の本質的な耐衝撃性が改良されたわけではなかっ
た。
また特開昭60−210660にはスチレン系化合物とα,β不
飽和カルボン酸からなる共重合体20〜52重量%ポリアミ
ド樹脂70〜45重量%からなり更にビニル芳香族炭化水素
−共役ジエンブロック共重合体又はその水添物3〜20重
量%からなることを特徴とする耐衝撃ポリアミド樹脂組
成物が開示されている。しかしながらこの樹脂組成物は
実用タフネスの落鐘衝撃値の成形品肉厚さ3mmの場合は2
88kg−cmと耐衝撃性が改良されるが成形品薄肉の場合具
体的には2mmの場合は20kg−cmと低く複雑な成形品又は
及び肉厚変化の激しい成形品の場合は実用タフネスが改
良されたとは言いがたい。
本発明者らは上記の問題を解決するために鋭意検討した
結果、スチレン系化合物とα,β不飽和カルボン酸から
なる特定の共重合体とポリアミド樹脂を特定組成範囲で
配合し、かつビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロッ
ク共重合体又はその水添物に不飽和ジカルボン酸または
その誘導体が付加した変性ブロック共重合体を配合する
ことにより、ポリアミドが海の状態でかつ連続相であ
り、その内にスチレン系化合物とα,β不飽和カルボン
酸からなる共重合体が安定的にミクロ分散した構造を有
すること、しかも、スチレン系化合物とα,β不飽和カ
ルボン酸からなる共重合体の島の相が、ビニル芳香族炭
化水素−共役ジエンブロック共重合体を配合した場合又
はしない場合にくらべてビニル芳香族炭化水素−共役ジ
エンブロック共重合体体に不飽和ジカルボン酸またはそ
の誘導体が付加した変性ブロック共重合体を配合した場
合はより微細にミクロに均一分散しており、かつビニル
芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体が従来に
くらべて1/8〜1/30ぐらいに微細になりかつ全体的に均
一に分散しており、肉薄成形品、具体的には150mmの角
の平板で厚み2mmにおいても落鐘衝撃強度が著しく改良
されることを発見し、本発明に到達したものである。
しかるに、本発明によれば、スチレン系化合物とα,β
不飽和カルボン酸からなる共重合体15〜52重量%とポリ
アミド樹脂65〜45重量%とビニル芳香族炭化水素−共役
ジエンブロック共重合体に不飽和ジカルボン酸またはそ
の誘導体が付加した変性ブロック共重合体3〜20重量%
とからなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物が提
供される。
本発明の樹脂組成物は、上記のように肉薄成形品の落鐘
衝撃強度に著しく優れるだけでなく、ポリアミド特有の
機械的強靭性,耐久性を保持するとともに、吸湿性,寸
法安定性,流動性のバランスが改良された成形性が良好
であるといった特徴をも有するものである。
具体的には、本発明の樹脂組成物は下記の物性を示す: (イ)落鐘衝撃強度 厚み2mmt:100kg・cm以上 厚み3mmt:400kg・cm以上 (ロ)引張強さ:500kg/cm2以上 (ハ)伸び15%以上 (ニ)吸水率:1.2%以下 (ホ)成形収縮率(A側/B側):両方とも1.0%以下 (ヘ)加熱変形温度(18.5kg荷重):80℃以上 スチレン系化合物とα,β不飽和カルボン酸からなる共
重合体はスチレン系単量体とα,β不飽和カルボン酸を
共重合させることにより得ることができる。スチレン系
単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレンなどが単独又は混合して使用でき、α,β
不飽和カルボン酸としてメタアクリル酸、アクリル酸な
どが用いられる。
本発明の組成物に用いられるポリアミドはくり返し構成
単位、 又は、 又はそれらの入りまじった構造からなり、ポリアミド又
はポリアミド共重合体からなる(ここで、x,y,zは各々
1〜10の整数を示す。)このようなポリアミドとして
は、ポリカプロラクタム(ナイロン−6)、ポリヘキサ
メチレンアミパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメ
チレンセバサミド(ナイロン−6,10)、ナイロン−6,6/
ナイロン−6,10共重合体、ナイロン−6/ナイロン−6,6
共重合体などがある。
本発明に用いる好適なポリアミドとしては、ポリカプロ
ラクタム(ナイロン−6)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン−6,6)が挙げられる。
ポリアミドが海の状態で、スチレン系化合物とα,β不
飽和カルボン酸からなる共重合体が島の状態でミクロ分
散した構造にすることにより、ナイロンの特徴である優
れた耐久性例えば耐油性,耐薬品性,滑り性が保持で
き、また、優れた機械的強靭性が保持できる。
つぎに、変性ブロック共重合体は少なくとも1個のビニ
ル芳香族化合物共重合体ブロックAと少なくとも1個の
共役ジエン化合物重合体ブロックBを有するブロック共
重合体(これを「基体となるブロック共重合体F」と呼
ぶ)に、ジカルボ酸基またはその誘導体基を含有する分
子単位が結合した変性ブロック共重合体または、少なく
とも1個のビニル芳香族化合物重合体ブロックAと少な
くとも1個のオレフィン化合物重合体ブロックB′(ブ
ロックB′は、不飽和度が20%を越えないオレフィン化
合物重合体ブロックである)を有するブロック共重合体
(これを、「基体となるブロック共重合体H」と呼ぶ)
に、ジカルボン酸基またはその誘導体基を有する分子単
位が結合した変性ブロック共重合体である。
「基体となるブロック共重合体F」は、少なくとも1
個、好ましくは2個以上のビニル芳香族化合物重合体ブ
ロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合
体ブロックとを含有するものである。ここで共役ジエン
を主体とする重合体ブロックは、ビニル芳香族化合物と
共役ジエン化合物との重量比が0/100〜50/50、好ましく
は0/100〜20/70の組成範囲からなる重合体ブロックであ
り、このブロックにおけるビニル芳香族化合物の分布
は、ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー成分
が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこ
れらの任意の組合せのいずれであってもよい。なお、本
発明における「基体となるブロック共重合体F」中に
は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化
合物を主体とする重合体ブロックとの繊維部等にビニル
芳香族化合物の含有量が50重量%を越えるビニル芳香族
化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが存在
してもよいが、かかる重合体ブロックは前記の共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックに含めるものとす
る。
「基体となるブロック共重合体F」において、ビニル芳
香族化合物の含有量と共役ジエン化合物の含有量の重量
比は、10/90〜90/10の範囲が好ましく、15/85〜85/15の
範囲が更に好ましい。かかるブロック共重合体は、ビニ
ル芳香族化合物の含有量が約60重量%以下、好ましくは
55重量%以下の場合には熱可塑性弾性体としての特性を
示し、「基体となるブロック共重合体F」として好適に
用いられる。
「基体となるブロック共重合体F」を構成するビニル芳
香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン等のうちから1種または2種以上が選ば
れ、中でもスチレンが特に好ましい。また共役ジエン化
合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエン等のうちから1種または2種以上選ばれ、中でも
ブタジエンおよび/またはイソプレンが特に好ましい。
上記ブロック共重合体は、数平均分子量が20,000〜500,
000の範囲であり、分子量分布(重量平均分子量と数平
均分子量の比)は、1.05〜10の範囲が好ましい。またブ
ロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状
またはこれらの組合せなどいずれでもよい。さらに、ブ
ロック共重合体において共役ジエン化合物として、ブタ
ジエンを使用した場合は、ブタジエン部分のミクロ構造
の1,2結合量が5〜80%の範囲が好ましい。
上記ブロック共重合体が、ビニル芳香族化合物重合体ブ
ロックまたは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックを2個以上含有する場合においては、各ブロックは
同一の構造であってもよいし、モノマー成分含有量、そ
れらの分子鎖における分布、ブロックの分子量、ミクロ
構造などの各構造が異なるものであってもよい。
「基体となるブロック共重合体F」の製造方法として
は、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−14979号
公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公
報、特公昭48−4106号公報などに記載された方法があげ
られる。これらはすべて、炭化水素溶剤中でアニオン重
合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、必要に応
じてビニル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランの如きエーテル化合物、トリエチルアミン、N,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンの如き第3級
アミン、ヘキサメチルホスホアミドの如きホスフィン化
合物などのルイス塩基、カップリング剤として四塩化ケ
イ素やエポキシ化ダイズ油の如き多官能性化合物を用
い、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物をブロック
共重合する方法であり、直鎖状、分岐状あるいは放射状
の構造を有するブロック共重合体として得られる。本発
明においては、いかなる重合法で得られたものであって
も、上記の範囲のものであれば使用可能である。更に、
ブロック共重合体は1種のみならず2種以上の混合物と
して使用することも可能である。
「基体となるブロック共重合体H」のオレフィン化合物
重合体ブロックB′は、エチレン、プロピレン、1−ブ
テン、イソブチレン等のモノオレフィン、あるいはブタ
ジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の共役ジオ
レフィン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルネン、ノルボ
ルネン誘導体等の非共役ジオレフィンのうちから選ばれ
た1種以上のオレフィン化合物が重合あるいは共重合し
た形態を有する重合体ブロックであり、しかも該ブロッ
クの不飽和度は20%以下である。従ってオレフィン化合
物重合体ブロックの構成モノマーとして上記のジオレフ
ィン類を用いた場合には、該ブロック部分の不飽和度が
20%を越えない程度にまで水添等の方法により不飽和度
を減らす処置が施されていなければならない。またオレ
フィン化合物重合体ブロックにはビニル芳香族化合物が
ランダムに共重合されていてもよい。本発明において、
「基体となるブロック共重合体H」としてはビニル芳香
族化合物と共役ジエン化合物からなるブロック共重合体
の水添物、ビニル芳香族化合物とモノオレフィンとのブ
ロック共重合体等があげられる。
本発明において、「基体となるブロック共重合体H」と
して特に好ましいものは、前記の「基体となるブロック
共重合体F」の共役ジエン部分の不飽和度が20%を越え
ない程度にまで選択的に水添されたものである。かかる
場合において、変性ブロック共重合体にゴム弾性を持た
せることを必要とする場合には、1,2結合量が25〜65
%、好ましくは35〜55%の範囲のブロック共重合体を水
添前の重合体として用いることが推奨される。
「基体となるブロック共重合体H」は、上記の「基体と
なるブロック共重合体F」を、公知の方法、例えば特公
昭42−8704号公報に記載の方法で水添することによって
も「基体となるブロック共重合体H」が得られる。「基
体となるブロック共重合体H」は、「基体となるブロッ
ク共重合体F」の共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロック中における共役ジエン化合物に基づく脂肪族二
重結合の少なくとも80%が水素添加されていること、換
言すれば、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロッ
クの水素添加によって形態的にオレフィン化合物重合体
ブロックBに変換されたブロック中の不飽和度が20%を
越えないことが好ましい。オレフィン化合物重合体ブロ
ックの不飽和度が20%を越えないブロック共重合体を
「基体となるブロック共重合体H」とする場合、耐候性
や耐熱老化性が要求される用途に好適な組成物が得られ
る。一方、ビニル芳香族化合物重合体ブロック中のビニ
ル芳香族化合物および必要に応じて共役ジエン化合物を
主体とする重合体ブロック中に共重合されているビニル
芳香族化合物に基づく芳香族二重結合の水素添加率につ
いては特に制限はないが、水素添加率を20%以下にする
のが好ましい。オレフィン化合物重合体ブロックの不飽
和度は、赤外分光光度計(IR)や核磁気共鳴装置(NM
R)等を用いた機器分析、ヨード滴定法等による滴定分
析などにより測定できる。
「基体となるブロック共重合体FまたはH」は、次い
で、不飽和ジカルボン酸またはその誘導体との付加反応
により変性され、本発明で使用する変性ブロック共重合
体が合成される。不飽和ジカルボン酸またはその誘導体
の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハ
ロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2
−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]−
5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等や、これらジカル
ボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなどが挙
げられる。これらは1種のみならず2種以上混合しても
使用できる。これらの中ではとりわけ無水マレイン酸が
好ましい。これらの不飽和ジカルボン酸はモノカルボン
酸より高反応性であり、高付加率で均一な変性ブロック
共重合体が得やすいため好ましい。
変性ブロック共重合体は、「基体となるブロック共重合
体FまたはH」に不飽和ジカルボン酸またはその誘導体
を、溶液状態または溶融状態において、ラジカル開始剤
を使用あるいは使用せずして付加せしめることによって
得られる。これら変性ブロック共重合体の製造方法に関
しては、本発明においては特に限定はしないが、得られ
た変性ブロック共重合体がゲル等の好ましくない成分を
含んだり、その溶融粘度が著しく増大して加工性が悪化
したりする製造方法は好ましくない。好ましい方法とし
ては、たとえば押出機中で、ラジカル開始剤存在下又は
不存在下で、「基体となるブロック共重合体Fまたは
H」と不飽和ジカルボン酸またはその誘導体と反応させ
る方法が挙げられる。
変性ブロック共重合体に含まれるジカルボン酸基または
その誘導体基を含有する分子単位の量、即ち不飽和ジカ
ルボン酸またはその誘導体の付加量は、ビニル芳香族炭
化水素−共役ジエンブロック共重合体100重量部あたり
平均0.05〜20重量部付加した範囲のもので、付加量が0.
05重量部未満では本発明の樹脂組成物の特性が失われ
る。特に本発明の樹脂組成物の均一性あるいは重合体組
成物の均一な機械的強度,耐衝撃性,表面接着性,塗装
性を得る上で上記条件は必要である。
変性ブロック共重合体中のジカルボン酸基またはその誘
導体基を含有する分子単位の含有量は、赤外分光光度計
や滴定等による方法により容易に把握することができ
る。また、本発明においては、変性ブロック共重合体中
の不飽和ジカルボン酸またはその誘導体の付加量が全体
の平均値として上記範囲を満たす範囲内において未変性
のブロック共重合体が含まれてもよい。
前記の如き変性ブロック共重合体の製造方法において、
未反応の不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が変性ブ
ロック共重合体中に残るのが一般的であるが、この未反
応物を完全に除去してもよいし、あるいはそのまま残存
させてもよい。
樹脂組成物において、ポリアミドを海の状態にするには
ポリアミド45〜65重量%とスチレン系化合物−α,β不
飽和カルボン酸共重合52〜15重量%と変性ブロック共重
合体3〜20重量%の範囲の配合とする必要がある。
この配合割合とすることにより、吸湿性低下による寸法
安定性、成形安定性も同時に改良することができる。ポ
リアミドが45〜65重量%の領域では上記改良効果が大き
い。
ポリアミドの海の中にスチレン系化合物とα,β不飽和
カルボン酸からなる共重合体をミクロ分散させるには、
スチレン系化合物70〜97重量%、α,β不飽和カルボン
酸30〜3重量%からなる組成比で可能であるが、好まし
くはスチレン系化合物88〜93重量%、α,β不飽和カル
ボン酸12〜7重量%がよい。スチレン系化合物とα,β
不飽和カルボン酸からなる共重合体中のα,β不飽和カ
ルボン酸の割合が3重量%未満であればポリアミドとの
相溶性が悪くなり成形材料として成形品剥離などの現象
がみられる。一般的にいって本発明の組成物における共
重合体の分散は約3μ以下の共重合体粒子がポリアミド
の海の中に分散した安定した均一な状態にある。また、
α,β不飽和カルボン酸の割合が30重量%を越える場合
は共重合体を製造する際ゲル状物質が生成するための高
分子量化が難しい欠点をもっている。
スチレン系化合物−α,β不飽和カルボン酸共重合体の
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量
測定によるスチレン系化合物ポリマー換算分子量で重量
平均分子量100,000〜500,000、好ましくは150,000〜40
0,000の範囲が望ましい。またポリアミドは種類として
ポリカプロラクタムとポリヘキサメチレンアジパミドで
重量平均分子量として40,000〜90,000好ましくは45,000
〜80,000の範囲が望ましい。すなわちスチレン系化合物
−α,β不飽和カルボン酸共重合体とポリアミドの重量
平均分子量の比として1.1〜12.5、好ましくは1.9〜8.9
の範囲であれば射出成形品の物性が良くなる。
ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体又
はその水添物に不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が
付加した変性ブロック共重合体を配合することにより、
ポリアミドが海の状態でかつ連続相であり、その内にス
チレン系化合物とα,β不飽和カルボン酸からなる共重
合体が安定にミクロ分散した構造を有すること、しか
も、スチレン系化合物とα,β不飽和カルボン酸からな
る共重合体の島の相が、ビニル芳香族炭化水素−共役ジ
エンブロック共重合体を配合した場合又はしない場合に
くらべてビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共
重合体又はその水添物に不飽和ジカルボン酸またはその
誘導体が付加した変性ブロック共重合体を配合した場合
はより微細にミクロに均一分散しており、かつビニル芳
香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体又はその水
添物が従来にくらべて1/8〜1/30ぐらいに微細になりか
つ全体的に均一に分散しており一般的に実用タフネスの
評価としての落鐘衝撃強度の値が薄肉形成品具体的には
150mmの角の平板で厚み2mmにおいても大幅に上昇するこ
と、かつ成形品外観フローマークが消滅することを発見
した。変性ブロック共重合体の配合量としては3重量%
未満の場合は落鐘衝撃強度の値は大幅には上がらない。
又20重量%以上では剛性,耐熱性が大幅に低下して射出
成形用樹脂として実用的でない。
[実施例] 次に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明する。
なお、以下の実施例及び比較例においては、混合物を射
出成形にて試験片を作成し、引張強さ及び伸び(ASTM−
D 638)、アイゾット衝撃強さ(ASTM−D 256)、加熱変
形温度(ASTM−D 648)、メルトフローインデックス(2
30℃、3.5kg荷重、ISO−R 1133)、吸水率(ASTM−D 57
0)、成形収縮率(第5図参照但し、A=150mm、B=15
0mm、厚み3mm、片ピンゲートの条件である。)を測定し
た。
落鐘衝撃試験法(旭化成法)平板150mm角、厚み2mm及び
3mm、片ピンゲートの成形品にミサイル(R=3/4inch)
を使用し、ミサイルにのせる荷重とミサイルの落下させ
る距離(ミサイル先端から成形品の面までの距離)をか
えて、成形品が割れるところの破壊エネルギーを計算す
る。
また、成形品の剥離状態は試験片破断面に接着テープを
付着させ、後にとりはずすという方法で剥離試験を行っ
た後の状態を肉眼にて観察した。実施例1,比較例1,比較
例3及び比較例4ポリカプロラクタム(2300,旭化成工
業(株))50重量部と重量平均分子量210,000のスチレ
ン−メタアクリル酸共重合体(メタアクリル酸含有量8
重量%)40重量部とスチレン含有量40重量%のBSBS型の
スチレン−ブタジエンブロック共重合体(重量平均分子
量約75,000)に無水マレイン酸を0.4重量%付加した変
性ブロック共重合体10重量部(実施例1)、ポリカプロ
ラクタム(2300)50重量部とスチレン−メタアクリル酸
共重合体(メタアクリル酸含有量8重量%)50重量部
(比較例1)、ポリカプロラクタム(2300)50重量部と
スチレン−メタアクリル酸共重合体(メタアクリル酸含
有量8重量%)40重量部及びスチレン含有量40重量%の
BSBS型のスチレン−ブタジエンブロック共重合体(重量
平均分子量約75,000)10重量部(比較例3)、ポリカプ
ロラクタム(2300)50重量部とスチレン−アクリロニト
リル共重合体(アクリロニトリル含有量30重量%)50重
量部(比較例4)よりなる樹脂配合物をペレット状態に
て混合し、250℃で40mmφ単軸押出機にて溶融混練し
た。この各々の混合物について電子顕微鏡により観察し
た。
第1図は本発明(実施例1)のスチレン−メタアクリル
酸共重合体とポリカプロラクタム及び変性ブロック共重
合体との混合物の電子顕微鏡写真を、第2図にスチレン
−メタアクリル酸共重合体とポリカプロラクタムとの混
合物(比較例1)の電子顕微鏡写真を、第3図にスチレ
ン−メタクリル酸共重合体とポリカプロラクタム及びタ
フプレンとの混合物(比較例3)の電子顕微鏡写真を、
第4図にスチレン−アクリロニトリル共重合体とポリカ
プロラクタムの混合物(比較例4)の電子顕微鏡写真を
示す。ミクロ分散状況としては第1図ではスチレン−メ
タアクリル酸共重合体0.1〜1μ、変性ブロック共重合
体0.05〜0.5μ、第2図ではスチレン−メタアクリル酸
共重合体0.5〜3μ、第3図ではスチレン−メタアクリ
ル酸共重合体0.1〜1.2μ、タフプレン1.5〜4μ、第4
図では10〜20μであり、また海−島の関係はナイロンが
海の状態である。
実施例1の樹脂組成物の成形品外観及び剥離も無く極め
て良好であり、かつ機械的物性バランス特に一般的に実
用タフネス評価項目の落鐘衝撃強度がBSBS型のスチレン
−ブタジエンブロック共重合体に無水マレイン酸を付加
した変性ブロック共重合体の場合は薄肉成形品具体的に
は150mm角の平板で厚み2mmにおいても277kg・cmと大幅
に向上し、かつ成形材料として好ましい。吸水率も0.75
%と低減し、かつ成形収縮率もA側0.66%,B側0.64%と
低減していた。比較例1の場合は実用タフネスの落鐘衝
撃強度は150mm角の平板で厚み2mmにおいて3kg・cmと低
い。比較例3の場合は実用タフネスの落鐘衝撃強度は15
0mm角の平板で厚み3mmの場合は288kg・cmと高いが厚み2
mmの薄肉の場合は20kg・cmと大幅に低下して薄肉成形材
料としては使用すると破れが発生するので好ましくな
い。また比較例4のスチレン−アクリロニトリル共重合
体とポリアミドからなる樹脂組成物の場合は成形品外観
にフローマークが出、かつ剥離が目立ち成形材料として
使用不可であった。
実施例2,3 実施例1におけるBSBS型のスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体に無水マレイン酸を付加した変性ブロック共
重合体の配合量をかえて、実施例1と同様に溶融混練し
た。その物性試験の結果を表−1に示した。
実施例4 実施例1におけるポリカプロラクタムの代りにポリヘキ
サメチレンアジパミド[レオナ(登録商標)1200S,旭化
成工業(株)]を用いて、溶融混練温度を280℃にする
以外は実施例1と同様に実施例した。その物性試験の結
果を表−1に示した。
比較例2 実施例1におけるポリカプロラクタムの代りにポリヘキ
サメチレンアジパミド[レオナ(登録商標)1200S,旭化
成工業(株)]を用いて、溶融混練温度を280℃にする
以外は実施例1と同様に実施例した。その物性試験の結
果を表−1に示した。
比較例5,6 実施例1の変性ブロック共重合体を比較例5では2部に
減らし、比較例6では25部に増やした場合は、まず比較
例5の場合は実用タフネスが150mmで厚み2mmの平板の落
鐘衝撃強度は25kg・cmとなりタフネスが低くなり補強効
果がみとめられない。又比較例6の場合は実用タフネス
が150mmで厚み2mmの平板での落鐘衝撃強度490kg・cmに
なるが耐熱性が大幅に下がり、かつ剛性が低下して射出
成形材料として実用的でない。
比較例7,8 実施例1のポリカプロラクタムの配合量を30重量%に減
らした比較例7では電子顕微鏡の観察ではスチレン−メ
タアクリル酸共重合体が海になりポリカプロラクタムが
島になるため実用タフネスの落鐘衝撃強度のみならずア
イゾット衝撃強度も低いので射出成形材料としては実用
的でない。また逆にカプロラクタムの配合量を80重量%
に増やした比較例8では耐熱性が大幅に下がりかつ、吸
水率低下効果及び成形収縮率の低減化がはかれなかっ
た。
実施例6 実施例1で使用したスチレン−メタアクリル酸共重合体
のかわりにスチレン80重量%、メタアクリル酸20重量
%、重量平均分子量3.4×105のスチレン−メタアクリル
酸共重合体にする以外は実施例1と同様に実施した。そ
の物性試験の結果を表−1に示した。
実施例7 実施例1のBSBS型のスチレン−ブタジエンブロック共重
合体をスチレン含有量が30重量%で(S−B4X型のス
チレン−ブタジエンブロック共重合体(重量平均分子量
約170,000)に無水マレイン酸を0.4重量%付加した変性
ブロック共重合体にする以外は実施例1と同様に実施し
た。その物性試験を結果を表−1に示した。
実施例8,9 実施例1のBSBS型のスチレン−ブタジエンブロック共重
合体の変性化剤として実施例8ではフマル酸、実施例9
ではマレイン酸にする以外は実施例1と同様に実施し
た。その物性試験の結果を表−1に示した。
実施例10 実施例1におけるBSBS型のスチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体に無水マレイン酸を付加する量を0.6重量%
にした変性ブロック共重合体にかえる以外は実施例1と
同様に溶融混練した。その物性試験の結果を表−1に示
した。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の実施例としてのスチレン−メタアクリ
ル酸共重合体とポリカプロラクタムとスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体に無水マレイン酸を付加した変性
ブロック共重合体よりなる樹脂組成物(実施例1)のポ
リカプロラクタム中に分散したスチレンメタアクリル酸
共重合体粒子及び変性ブロック共重合体粒子の粒子構造
を示す電子顕微鏡写真、第2図はスチレン−メタアクリ
ル酸共重合体とポリカプロラクタムとスチレン−ブタジ
エンブロック共重合体よりなる樹脂組成物(比較例3)
のポリカプロラクタム中に分散したスチレン−メタアク
リル酸共重合体粒子及びスチレン−ブタジエンブロック
共重合体粒子の粒子構造を示す電子顕微鏡写真、第3図
はスチレン−メタアクリル酸共重合体とポリカプロラク
タムとからなる樹脂組成物(比較例1)のポリカプロラ
クタム中に分散したスチレン−メタアクリル酸共重合体
粒子の粒子構造を示す電子顕微鏡写真、第4図はスチレ
ン−アクリロニトリル共重合体とポリカプロラクタムよ
りなる樹脂組成物(比較例4)のポリカプロラクタム中
に分散したスチレン−アクリロニトリル共重合体粒子の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真、第5図は成形収縮率測
定のための試料及び落鐘衝撃強度測定用成形品形状を示
す平面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系化合物とα,β不飽和カルボン
    酸からなる共重合体15〜52重量%とポリアミド樹脂65〜
    45重量%とビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック
    共重合体に不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が付加
    した変性ブロック共重合体3〜20重量%とからなること
    を特徴とするポリアミド樹脂組成物。
JP5506486A 1986-03-14 1986-03-14 ポリアミド樹脂組成物 Expired - Fee Related JPH0794605B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5506486A JPH0794605B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリアミド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5506486A JPH0794605B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリアミド樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62212458A JPS62212458A (ja) 1987-09-18
JPH0794605B2 true JPH0794605B2 (ja) 1995-10-11

Family

ID=12988253

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5506486A Expired - Fee Related JPH0794605B2 (ja) 1986-03-14 1986-03-14 ポリアミド樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0794605B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0317144A (ja) * 1989-06-14 1991-01-25 Daicel Chem Ind Ltd 耐薬品性と耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62212458A (ja) 1987-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5371141A (en) High impact resistant blends of thermoplastic polyamides and modified block copolymers
USRE36347E (en) Impact-resistant polyamide composition
JPS62174262A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JPH0616899A (ja) エンジニアリングレジンープロピレンポリマーグラフト組成物
JPS6211760A (ja) ゴム変性ナイロン組成物
EP0034704A1 (en) Toughened polyamide blends and process for preparing the same
JPH01121343A (ja) ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物
CA2035827A1 (en) Thermoplastic resin composition
JPS6317297B2 (ja)
JP2885507B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物からなる高剛性部品
AU613760B2 (en) Polymer compositions
JPH0149419B2 (ja)
JPH0496957A (ja) 高衝撃性部品用ポリプロピレン組成物
JPH0794605B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JPH02240158A (ja) 耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH0517940B2 (ja)
JPH0218701B2 (ja)
EP0081015B1 (en) Improved heat resistant high impact polymer compositions and method of making same
JPS6286048A (ja) ポリアミド組成物
JPS61126164A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP3049753B2 (ja) ポリアミド吹込成形品
RU2129134C1 (ru) Термопластичная композиция
JP2979615B2 (ja) 塗装用熱可塑性樹脂組成物
JPH0331354A (ja) 耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH0496956A (ja) ポリプロピレン組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees