JPH0794029A - 架橋ポリオレフィン絶縁電線 - Google Patents

架橋ポリオレフィン絶縁電線

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JPH0794029A
JPH0794029A JP5241712A JP24171293A JPH0794029A JP H0794029 A JPH0794029 A JP H0794029A JP 5241712 A JP5241712 A JP 5241712A JP 24171293 A JP24171293 A JP 24171293A JP H0794029 A JPH0794029 A JP H0794029A
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JP
Japan
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ethylene
copolymer
insulating layer
radical
acid
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JP5241712A
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English (en)
Inventor
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
Yasuhiro Mikawa
泰広 三河
Yukio Okamoto
幸夫 岡本
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性及び機械的強度に優れ且つリサイクル
使用の可能な、架橋ポリオレフィン絶縁電線を提供す
る。 【構成】 (a)エチレン、ラジカル重合性酸無水物及
び必要に応じて他のラジカル重合性コモノマーを共重合
してなるエチレン系共重合体、(b)多価アルコール化
合物及び(c)反応促進剤からなる可逆性架橋樹脂を絶
縁層として用いた架橋ポリオレフィン絶縁電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れ且つリサ
イクル使用が可能な可逆性架橋樹脂を絶縁層に使用した
架橋ポリオレフィン絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】送電用絶縁電線は、一般に導体の上にま
ず電界緩和のための内部半導電層が密着して被覆形成さ
れ、その上に絶縁層が形成されて構成される。更に必要
に応じて絶縁層の上に外部半導電層が形成されてなるも
のもある。従来、この絶縁層としては一般に、低密度ポ
リエチレンのごときポリオレフィン系樹脂に有機過酸化
物及び必要に応じて抗酸化剤を所定の割合で混入して導
体上に押出して絶縁層を形成し、押出成形後窒素等の不
活性雰囲気下で架橋反応を進行させる方法が広く採用さ
れている。更に、同様にポリオレフィン系樹脂の絶縁層
を成形した後に電子線や放射線を照射して架橋させる方
法も、用いられている。また、グラフト変性もしくはエ
チレンとの共重合によってポリエチレン鎖中にアルコキ
シシラン基を予め導入した水架橋性ポリエチレンに所定
量の反応触媒を混練したものを導体上に押出成形して絶
縁層を形成した後に、高圧水蒸気等を接触させることに
より架橋させる方法も採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにして架橋さ
れた絶縁層を用いた絶縁電線は、耐熱性に優れている一
方で、電線を構成する導線は再利用が可能であるもの
の、絶縁層については一旦架橋工程を経た後は再び加熱
溶融して成形再利用することが不可能であった。また、
再利用可能な絶縁層用材料として塩化ビニル樹脂を使用
した絶縁電線も用いられているが、近年の環境問題の高
まりによって非ハロゲン系の材料への代替が望まれてい
る。しかしながら、再利用可能でかつ充分な耐熱性を有
するポリオレフィン系の絶縁材料を用いた絶縁電線に関
する提案はこれまで報告例がない。これは、絶縁層を再
度加熱溶融して再利用する事を可能にするためには、架
橋の程度を極めて低く抑えるかもしくは全く架橋させな
い事が必要になるのであるが、そうすると加熱変形率が
40%を越えてしまう事となり、JIS C 3605
の規格を満足しなくなるためである。本発明は、上記
の問題点を解決するために、充分な耐熱性を有しかつ架
橋成形後も再び加熱溶融して使用することが可能な可逆
性架橋樹脂を絶縁層に用いた絶縁電線を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決のため種々検討した結果、特定の樹脂組成物を絶
縁層として用いた絶縁電線が、導体だけでなく絶縁樹脂
層も再度加熱溶融して再利用できると共に耐熱性にも優
れた材料になることを見いだした。
【0005】即ち、(a)エチレン、ラジカル重合性酸
無水物及び必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー
とを共重合してなる共重合体であり、該共重合体中のラ
ジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜10重
量%であり、その他のラジカル重合性コモノマーに由来
する単位が多くとも30重量%であるエチレン系共重合
体、及び(b)分子内に水酸基を少なくとも二つ以上有
する多価アルコ−ル化合物、及び(c)反応促進剤、と
からなる可逆性架橋樹脂を絶縁層として用いることを特
徴とする、可逆性架橋樹脂絶縁電線である。
【0006】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
に関わる可逆性架橋樹脂絶縁電線の絶縁層を形成する、
可逆性架橋樹脂の成分(a)であるエチレン系共重合体
は、少なくともエチレンとラジカル重合性酸無水物とを
共重合してなる共重合体である。本エチレン系共重合体
は必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下第
3モノマーと言う)を共重合させてもよい。ここで用い
られるラジカル重合性酸無水物としては、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラ
コン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭
素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアル
ケニル無水コハク酸、炭素数が多くとも18である末端
に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸等を挙
げることができる。これらは2種類以上同時に併用して
も差し支えない。このうち、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸が好適に用いられる。
【0007】本発明に関する可逆性架橋樹脂の(a)成
分であるエチレン系共重合体において、ラジカル重合性
酸無水物に由来する単位は0.1〜10重量%の範囲で
あり、好ましくは0.3〜5.0重量%の範囲である。
該ラジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1重量
%よりも少なくなると、成形後に形成される絶縁層の架
橋度が小さくなり結果としてJIS C 3605に規
定されている加熱変形率を満足する耐熱性が得られなく
なる。また、10重量%を越えると、コストが高くなる
ばかりでなく本共重合体を一成分として用いる絶縁層の
伸びが著しく低下しJIS C 3605に規定されて
いる引張特性が得られなくなるため好ましくない。
【0008】本発明に関する可逆性架橋樹脂の(a)成
分であるエチレン系共重合体は、前記ラジカル重合性酸
無水物の他に、エチレンと共重合可能なラジカル重合性
酸無水物以外のラジカル重合可能な第3モノマーを共重
合して用いる事ができる。第3モノマーを共重合して得
られるエチレン系共重合体を使用する事により、本樹脂
を構成成分の一つとして含む絶縁層の柔軟性や透明性を
向上させることができる。このような前記ラジカル重合
性酸無水物と併用することができる第3モノマーとして
は、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽
和アミド化合物、エチレン系不飽和酸化合物、エチレン
系不飽和エーテル化合物、エチレン系不飽和炭化水素化
合物等を挙げることができる。
【0009】これらを具体的に記せば、エチレン系不飽
和エステル化合物としては、酢酸ビニル、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ベンジ
ル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジエチル、マレイン酸メチル、マレイン酸
エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、等
を例示する事ができる。
【0010】エチレン系不飽和アミド化合物としては、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロ
ピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アク
リルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N
−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−
N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等を
例示することができる。
【0011】エチレン系不飽和カルボン酸化合物として
は(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、等を例
示することができる。エチレン系不飽和エーテル化合物
としてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテ
ル、等を例示することができる。エチレン系不飽和炭化
水素化合物及びその他の化合物としてはスチレン、α−
メチルスチレン、ノルボルネン、ブタジエン、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロト
ンアルデヒド等を挙げることができる。これらの第3モ
ノマーは、必要に応じて2種類以上同時に併用してもよ
い。
【0012】上記第3モノマーを併用する場合、本エチ
レン系共重合体中の該第3モノマー成分の含量は30重
量%以下の範囲、好ましくは25重量%以下の範囲であ
る。30重量%を越えると、樹脂の柔軟性が高くなりす
ぎるためにたとえ架橋構造が導入されても加熱変形率が
JIS C 3605記載の規格値を越えて大きくなる
ため好ましくない。
【0013】また、本エチレン系共重合体のMFR(J
IS K−7210 表1の条件4に従う)については
必ずしも明確な制限があるわけではないが、できれば
0.1〜50g/10分の範囲であることが好ましい。
これは、エチレン系共重合体の分子量が小さくなりすぎ
ると、絶縁電線に要求される耐熱性が充分でなくなる恐
れがあるためである。しかし、分子量が小さくなること
による耐熱性の低下は、先に述べたエチレン系共重合体
に含まれる酸無水物基の量や後に述べる多価アルコール
化合物の種類及びその使用量を変えることによって改善
することも可能である。
【0014】本エチレン系共重合体は、一般的に知られ
ている方法、即ち、塊状、溶液、懸濁、またはエマルジ
ョン等の重合プロセスにより製造することができるが、
基本的に通常の低密度ポリエチレンの製造設備および技
術を利用して製造することができる。
【0015】本発明に関わる可逆性架橋樹脂の(b)成
分である、少なくとも分子内に水酸基を2つ以上有する
多価アルコ−ル化合物の例としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
等のグリコール類;1,4ブタンジオール、1,6ヘキ
サンジオール、1,8オクタンジオール、1,10デカ
ンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、等のアルコール化合
物;アルビト−ル、ソルビト−ル、キシロ−ス、アラミ
ノ−ス、グルコ−ス、ガラクト−ス、ソルボ−ス、フル
クト−ス、パラチノ−ス、アルトトリオロ−ス、マレジ
ト−ス等の糖類;エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化
物、ポリビニルアルコール、水酸基を複数有するポリオ
レフィン系オリゴマー、エチレン−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート共重合体等の分子内に水酸基を複
数有する重合体、以上のごときアルコール化合物にエチ
レンオキシド或いはプロピレンオキシド等を付加して得
られるポリオキシアルキレン化合物;ポリエチレングリ
コ−ルのステアリン酸エステル等のポリグリセリンエス
テル;ソルビタンのアルキルエステル等の分子内に水酸
基を複数有する糖類のエステル;等が挙げられる。これ
らの多価アルコ−ル化合物の融点は、300℃以下であ
る事が望ましい。また、これらの多価アルコール化合物
は2種類以上同時に併用しても差し支えない。特に、ポ
リオキシアルキレン化合物或いはポリグリセリンエステ
ルが好適に用いられる。
【0016】ここで用いられる多価アルコール化合物の
使用量は、エチレン系共重合体中に含まれる不飽和カル
ボン酸無水物に由来する単位に対して多価アルコール化
合物中に含まれる水酸基のモル比が0.01〜10の範
囲、より好ましくは0.05〜5の範囲であることが望
ましい。このモル比が0.01よりも少ない場合は、本
樹脂組成物からなる絶縁層に架橋構造を効果的に導入で
きず充分な耐熱性を得ることができなくなるため好まし
くなく、該モル比が10よりも多いときには、場合によ
っては加熱成形を行なう際架橋構造が完全に解離せず成
形が極めて困難となるため好ましくない。
【0017】本発明に関わる可逆性架橋樹脂の(c)成
分である反応促進剤としては、カルボキシル基を含む重
合体の金属塩または有機カルボン酸の金属塩、有機カル
ボン酸の金属塩が挙げられる。有機カルボン酸の金属塩
の例としては、炭素数1〜30の脂肪酸である酢酸、酪
酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン
酸、コハク酸、安息香酸、テレフタル酸、ピロメリット
酸等のカルボン酸と、周期表のIA属、IIA属、IIB
属、 IIIB属の金属(例えばLi、Na、K、Mg、C
a、Zn、Al等)との金属塩である。有機カルボン酸
の金属塩の他の例としては、カルボキシル基を含む重合
体の金属塩がある。このような樹脂としては、エチレン
とラジカル重合性不飽和カルボン酸のIA属、IIA属、
IIB属、 IIIB属の金属(例えばLi、Na、K、M
g、Ca、Zn、Al等)塩とを共重合した構造を持つ
物、或いはエチレンと該ラジカル重合性カルボン酸の金
属塩と他のラジカル重合性不飽和カルボン酸及び/また
はその誘導体とを多元共重合した構造を持つ物が挙げら
れる。
【0018】更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、遊
離エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系
樹脂に、該ラジカル重合性不飽和カルボン酸の金属塩
(遊離の不飽和カルボン酸を重合し、後で中和しても良
い。)をグラフト重合させた構造を持つ物、ポリオレフ
ィン系樹脂に該ラジカル重合性カルボン酸の金属塩と他
のラジカル重合性不飽和カルボン酸及び/またはその誘
導体を同時に共グラフト重合した構造を持つ物が挙げら
れる。ここで用いられるラジカル重合性不飽和カルボン
酸及びその誘導体の例としては、(メタ)アクリル酸、
マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノメチル、フマル
酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノエ
チル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノブチル、
(メタ)アクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマ
ル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチ
ル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル等を挙げる
事ができる。
【0019】反応促進剤の他の例としては、トリメチル
アミン、トリエチルアミン等の三級アミン化合物やテト
ラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラ
メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テト
ラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニ
ウムブロミド等の四級アンモニウム塩等も挙げる事がで
きる。以上に例示した反応促進剤の内、好適には有機カ
ルボン酸の金属塩が用いられる。また以上に例示した反
応促進剤は、必要に応じて2種類以上同時に併用しても
差し支えない。
【0020】ここで用いられる反応促進剤の使用量は反
応促進剤の種類によって異なるため一概に規定すること
は難しいが、一般にエチレン系二元共重合体もしくはエ
チレン系多元共重合体100重量部に対して0.001
重量部以上20重量部以下の範囲、より好ましくは0.
01重量部以上15重量部の範囲であることが望まし
い。この量が0.001重量部よりも少ない場合は、反
応が遅くなり過ぎて可逆性架橋樹脂を導線上に押出被覆
して形成される絶縁層に架橋構造を効果的に導入するこ
とが困難となる恐れがある。またこの量が20重量部よ
りも多い場合は反応速度を向上させる点においてもはや
無意味であるだけでなく、本可逆性架橋樹脂を用いて形
成される絶縁層の電気特性を低下させる恐れがあるため
好ましくない。
【0021】本発明に関する可逆性架橋樹脂を絶縁層に
使用する際に、該組成物の特徴を損なわない範囲で必要
に応じて一般に用いられる老化防止剤、難燃剤、電圧安
定剤、銅害防止剤等の通常の添加剤を加えることができ
る。この樹脂組成物の製造法には、通常知られている種
々の樹脂の混合方法を用いることができる。その具体的
方法を例示すれば、各成分を溶融状態で混合する方法、
すなわち一般に用いられている加圧ニーダー、ロール、
バンバリーミキサー、スタティックミキサー、スクリュ
ー式押出機等を用いる方法を挙げることができる。
【0022】上記のようにして得られた可逆性架橋樹脂
を、180℃以上好ましくは200℃以上の樹脂温度で
導体上に押出被覆することによって、目的とする架橋ポ
リオレフィン絶縁電線を製造する事ができる。この際の
押出成形方法は通常の方法でよく、特に制限されるもの
ではない。製造された絶縁電線は、押出被覆された可逆
性架橋樹脂が冷却される過程で絶縁層に架橋構造を形成
する。従って、架橋構造を形成させるために改めて電子
線を照射したり、再度加熱したり、或いは高温水蒸気に
触れさせる等の二次加工が必要ない。このような特性を
有する本発明に関わる架橋ポリオレフィン絶縁電線は、
JIS C 3605記載の加熱変形率及び引っ張り特
性の規格を満足する充分な耐熱性と強度を有している。
しかも、この絶縁層は再び200℃以上に加熱すること
によって架橋構造が失われ溶融成形性を回復させる事が
できるため、容易にリサイクル使用することができる。
【0023】
【作用】本発明は、充分な耐熱性を有し且つリサイクル
使用が可能な架橋ポリオレフィン絶縁層を有する絶縁電
線を提供するものである。本発明に関わる可逆性架橋樹
脂を用いた絶縁層は、エチレン系共重合体に含まれる酸
無水物基と多価アルコール化合物との反応によって絶縁
電線成形時の冷却過程で架橋構造が形成され、JIS
C 3605に規定されている加熱変形率、引張強度、
引張伸度等の規格をみたす。しかも、形成された架橋構
造は可逆性を有するために再び加熱成形するとエチレン
系共重合体と多価アルコールを再生し、従ってリサイク
ル使用が可能となる。
【0024】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。尚、各実施例で使用したエチレン系共重合体、多
価アルコール及び反応促進剤は以下に示す通りである。 エチレン系共重合体 E−MAh:エチレン−無水マレイン酸二元共重合体
(無水マレイン酸に由来する単位=2.0重量%、MF
R(JIS K 7210 表1の条件4に従う)=1
0g/10分) E−MAh−MA:エチレン−無水マレイン酸−メチル
アクリレート多元共重合体(無水マレイン酸に由来する
単位=2.5重量%、メチルアクリレートに由来する単
位=18重量%、MFR(JIS K 7210 表1
の条件4に従う)=12g/10分) E−MAh−MMA:エチレン−無水マレイン酸−メチ
ルメタクリレート多元共重合体(無水マレイン酸に由来
する単位=1.0重量%、メチルメタクリレートに由来
する単位=8重量%、MFR(JIS K7210 表
1の条件4に従う)=6g/10分) 多価アルコール TMP:トリメチロールプロパン TMP−PO:トリメチロールプロパンにプロピレンオ
キシドを3.5モル付加させて得られた化合物 DG
S:ジグリセリンモノステアレート 反応促進剤 Na−St:ステアリン酸ナトリウム HI1605:三井デュポンケミカル社製アイオノマー
【0025】実施例1 エチレン系共重合体であるE−MAh100重量部に対
して、多価アルコール化合物であるTMPを1.5重量
部、反応促進剤であるNa−Stを5重量部をヘンシェ
ルミキサ−でドライブレンドした後、30mmφの異方
向2軸押出機を用いて、230℃で溶融混練りした。混
練して得られた樹脂を押出機(50mmφ、スクリュー
L/D=20)を用い、樹脂温度230℃で導体(断面
積 2.0mm2 、外径 1.6mm の軟銅線)に厚
さ1.0mmになるように押出被覆成形して、絶縁電線
(A)とした。また、絶縁層のリサイクル性を確認する
ために、混練して得られた樹脂を被覆電線成形条件とほ
ぼ同じ条件(30mmφ、スクリューL/D=15、樹
脂温度230℃)で押出成形してペレタイズし60日間
常温で保管した後、この保管樹脂をポリオレフィン系架
橋絶縁電線(A)と同様に押出機(50mmφ、スクリ
ューL/D=20)を用い、樹脂温度230℃で導体
(断面積 2.0mm2 、外径 1.6mm の軟銅
線)に厚さ1.0mmになるように押出被覆成形して、
絶縁電線(B)とした。上記のようにして得られた絶縁
電線(A)及び(B)の絶縁層の密度、引張伸度、引張
強度、及び加熱変形率の試験の試験を行った。結果を表
1に示す。得られた絶縁電線は、充分な引張特性及び耐
熱性を有していることが判る。また、絶縁層をリサイク
ルしたものも同様な引張特性及び耐熱性を保持している
ことが判る。
【0026】実施例2〜6 絶縁層の樹脂組成各々表1に示すように変えた他は、実
施例1と同様にして絶縁電線を得た。得られた各絶縁電
線の絶縁層の密度、引張伸度、引張強度、及び加熱変形
率の試験を行った。結果を表1に示す。
【0027】比較例1 実施例1において、多価アルコールであるTMPを用い
なかった他は、実施例1と同様にして絶縁電線(A)及
び(B)を得た。得られた各絶縁電線の絶縁層の密度、
引張伸度、引張強度、及び加熱変形率の試験の試験を行
った。結果を表2に示す。加熱変形率が40%を越え、
JISC 3605の規定を満たさないことが判る。
【0028】比較例2 実施例1において、エチレン系共重合体としてE−MA
hの代わりにエチレン−メチルメタクリレート二元共重
合体(E−MMA:メチルメタクリレートに由来する単
位=15重量%、MFR(JIS K 7210 表1
の条件4に従う)=5g/10分)を用いた他は、実施
例1と同様にして絶縁電線(A)及び(B)を得た。得
られた各絶縁電線の絶縁層の密度、引張伸度、引張強
度、及び加熱変形率の試験の試験を行った。結果を表2
に示す。加熱変形率が40%を越え、JISC 360
5の規定を満たさないことが判る。
【0029】比較例3 ビニルアルコキシシラングラフト化ポリエチレン〔ビニ
ルトリメトキシシラン含有量=0.5重量%、MFR
(JIS K 7210 表1の条件4に従う)=2g
/10分、架橋触媒マスターバッチ(ポリエチレン10
0重量部と架橋触媒1重量部とからなる)を5重量%含
む〕を押出機(50mmφ、スクリューL/D=20)
を用い、樹脂温度200℃で導体(断面積 2.0mm
2 、外径1.6mm の軟銅線)に厚さ1.0mmにな
るように押出被覆成形した。ついで、この被覆電線を8
0℃の温水に6時間浸漬して絶縁電線(A)を得た。得
られた絶縁電線(A)の絶縁層の密度、引張伸度、引張
強度、及び加熱変形率の試験の試験を行った。結果を表
2に示す。また、絶縁層のリサイクル性を確認するため
に、上記絶縁電線成形条件とほぼ同じ条件(30mm
φ、スクリューL/D=15、樹脂温度230℃)で押
出成形してペレタイズし、このペレットを80℃の温水
に6時間浸漬した後、2日間常温で保管した。この保管
樹脂を、押出機(50mmφ、スクリューL/D=2
0)を用いて導線上に被覆成形しようとしたが、300
℃に設定温度を上げても樹脂が全く溶融せず成形は不可
能であった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】エチレンと少なくともラジカル重合性酸
無水物基とを共重合してなるエチレン系共重合体、多価
アルコール化合物及び反応促進剤からなる可逆性架橋樹
脂を絶縁層として用いた絶縁電線は、絶縁電線として使
用するに充分な耐熱性と強度を有する。さらに、本絶縁
電線の絶縁層は可逆架橋性樹脂である事から、再び加熱
成形する事が可能であり、従ってリサイクル使用が可能
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)エチレン、ラジカル重合性酸無水
    物及び必要に応じて他のラジカル重合性コモノマーとを
    共重合してなる共重合体であり、該共重合体中のラジカ
    ル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜10重量%
    であり、その他のラジカル重合性コモノマーに由来する
    単位が多くとも30重量%であるエチレン系共重合体、
    及び、(b)分子内に水酸基を少なくとも二つ以上有す
    る多価アルコ−ル化合物、及び、(c)反応促進剤、と
    からなる可逆性架橋樹脂を絶縁層として用いることを特
    徴とする、架橋ポリオレフィン絶縁電線。
  2. 【請求項2】 成分(b)の多価アルコ−ル化合物が、
    下記一般式(1) (R1a C(CH2 OH)b …………… (1) (但し、式中R1 は水素もしくは炭素原子数1から12
    の鎖状或いは環状のアルキル基或いはアラルキル基を表
    わし、aは0〜2の整数を表わし、bは2〜4の整数を
    表わし、且つa+b=4を満足するように選択され
    る。)又は、一般式(2) 【化1】 (但し、式中nは0〜10の整数を表わす8。)で表わ
    される多価アルコール化合物に、エチレンオキシドまた
    はプロピレンオキシドを付加させた構造を有するポリオ
    キシアルキレン化合物及び/又は、一般式(3) R2 −COOH …………… (3) (但し、式中R2 は炭素原子数2〜25の鎖状アルキル
    基、環状アルキル基或いはアラルキル基を表わす。)で
    表わされる有機カルボン酸化合物と、前記一般式(2)
    で現される多価アルコール化合物とを脱水縮合して得ら
    れる、少なくとも分子内に2個以上の水酸基を有するポ
    リグリセリンエステルであることを特徴とする請求項1
    記載の架橋ポリオレフィン絶縁電線。
  3. 【請求項3】 成分(c)の反応促進剤がカルボキシル
    基を含む重合体の金属塩または有機カルボン酸の金属塩
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の架
    橋ポリオレフィン絶縁電線。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006066238A (ja) * 2004-08-27 2006-03-09 Yazaki Corp 電線・ケーブル
JP2006316230A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Yazaki Corp 難燃性樹脂組成物
JP2015154004A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 日本ポリエチレン株式会社 太陽電池封止材用樹脂組成物、当該樹脂組成物を用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール

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