JP2006316230A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生ようにする。
【解決手段】 ベース材料の熱可逆性ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、無機金属水酸化物を100〜300重量部配合して構成されることによって実現する。そして、この難燃性樹脂組成物には、必要に応じてノンハロゲン化物からなる添加剤が配合されていてもよい。

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物に係り、特に難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生しない難燃性樹脂組成物に関する。
近年、ビルなどの高層建築物、発電所、各種プラントなどにおいて火災が発生した場合を想定して、電線・ケーブルの絶縁体やシース材料には、難燃性の樹脂組成物が用いられている。しかし、従来の難燃性の樹脂組成物には、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂にハロゲン系難燃剤が添加されたものや、ポリ塩化ビニル樹脂およびクロロプレンゴムなどの塩素系樹脂が用いられていた。そのため、従来の難燃性樹脂組成物が用いられた電線・ケーブルの絶縁体やシース材料は、火災が起きた場合には塩化水素ガスなどのハロゲン系ガスを発生することがあった。このハロゲン系ガスは、人体に有害なガスであり、機器を腐食する腐食性の強いガスである。そこで、この絶縁体やシース材料には、電線・ケーブルに火災が起きても有害なハロゲン系ガスが発生しない難燃性樹脂組成物の開発が要望されていた(たとえば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載されたオレフィン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂100重量部、水酸化マグネシウム5〜450重量部およびシリコーン変性スチレン系エラストマー0.1〜100重量部からなる構成となっている。
このように構成されたオレフィン系樹脂組成物は、電気絶縁性、白化防止性、流動性、難燃性にすぐれ、電線・ケーブル等の絶縁層またはシース層、その他各種成形品を高い成形性で与える材料である。そして、このオレフィン系樹脂組成物が用いられた電線・ケーブル等の絶縁層(絶縁体)またはシース層(シース材料)には、ハロゲン化物が含まれていないため、ハロゲン系ガスは発生しない。
特開平5−186644号公報(第2〜3頁)
しかし、電線・ケーブル等の絶縁体またはシース材料には、現在規格化されている75℃耐熱よりも高い耐熱特性が要求されている。この要求に対し、特許文献1に記載されたオレフィン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂、すなわち、ポリエチレン、エチレンとオレフィン(プロピレン、ブテン)からなるエチレン−αオレフィン共重合体、エチレンとビニル系化合物(酢酸ビニル、アクリル酸エステル)との共重合体(コポリマー)であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などをベース材料としているために、75℃耐熱よりも高い耐熱特性を得ることができないという問題点を有している。
本発明の目的は、難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生しない難燃性樹脂組成物を提供することにある。
請求項1に記載の難燃性樹脂組成物は、熱可逆性ポリオレフィン樹脂をベース材料に用いた難燃性樹脂組成物であって、前記ベース材料100重量部に対し、無機金属水酸化物が100〜300重量部配合される構成としたものである。
この難燃性樹脂組成物のベース材料に用いられる熱可逆性ポリオレフィン樹脂は、架橋構造を有しているため、耐熱特性のよい樹脂である。また、熱可逆性ポリオレフィン樹脂は、架橋構造を有しているにもかかわらず、熱可塑性を有し、押出し成形などの加工を行うことができる。この熱可塑性は、熱可逆性ポリオレフィン樹脂が熱可逆架橋性を有しているためである。ここで、熱可逆架橋性とは、高温での架橋解離反応とその架橋解離温度以下での架橋結合反応とが可逆的に行われるため、高温での架橋解離反応により樹脂の架橋構造が壊され、高温でこの樹脂が溶融される性質をいう。
また、無機金属水酸化物には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、ドーソナイトなどが少なくとも1種類以上用いられているとよい。
ここで、ベース材料の熱可逆性ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、無機金属水酸化物を100〜300重量部配合するとしたのは、無機金属水酸化物が100重量部未満では、この難燃性樹脂組成物に要求されている難燃性が得られないからである。一方、無機金属水酸化物が300重量部を超えると、この難燃性樹脂組成物はコンパウンディングができなくなり、押出し成形などの加工ができないからである。なお、コンパウンディングとは、樹脂組成物のベース材料の樹脂と、そのベース材料に必要に応じて配合され添加剤とがニーダやミキサで混練され、混練りされた樹脂がそのまま押出し成形などの加工に用いられるようにすることをいう。
請求項2に記載の難燃性樹脂組成物は、前記ベース材料に、ノンハロゲン化物からなる添加剤が必要に応じて配合されていることを特徴とする。
ここで、添加剤には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、分散剤、増粘剤、金属劣化防止剤、防カビ剤、流動調整剤、無機充填剤、中和剤などが少なくとも1種類以上用いられているとよい。
請求項1に記載の発明によれば、難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生せずに、コンパウンティングが可能な難燃性樹脂組成物を得ることができる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生せずに、必要に応じて配合された添加剤の特性が生かされた難燃性樹脂組成物を得ることができる。
本発明は、熱可逆性ポリオレフィン樹脂をベース材料に用いた難燃性樹脂組成物であって、ベース材料の熱可逆性ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、無機金属水酸化物を100〜300重量部配合して構成されることによって実現する。そして、この難燃性樹脂組成物には、必要に応じてノンハロゲン化物からなる添加剤が配合されていてもよい。
この難燃性樹脂組成物には、ベース材料として、熱可逆性ポリオレフィン樹脂が用いられている。熱可逆性ポリオレフィン樹脂は、架橋構造を有しているため、耐熱特性のよい樹脂である。また、熱可逆性ポリオレフィン樹脂は、架橋構造を有しているにもかかわらず、熱可塑性も有しているため、押出成形などの成形加工を行うことができる。この熱可塑性は、熱可逆性ポリオレフィン樹脂が熱可逆架橋性を有しているためである。ここで、熱可逆架橋性とは、高温での架橋解離反応とその架橋解離温度以下での架橋結合反応とが可逆的に行われるため、高温での架橋解離反応により樹脂の架橋構造が壊され、高温でこの樹脂が溶融される性質をいう。なお、この熱可逆性ポリオレフィン樹脂には、公知のものが何ら制限なく用いられる。
また、ベース材料の熱可逆性ポリオレフィン樹脂に配合される無機金属水酸化物には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、ドーソナイトなどが少なくとも1種類以上用いられているとよい。この無機金属水酸化物が配合された熱可逆性ポリオレフィン樹脂は、無機金属水酸化物が燃焼時に脱水吸熱反応を起こすため、燃焼され難くなる。また、この無機金属水酸化物には、熱可逆性ポリオレフィン樹脂が燃焼された際に、この燃え殻を炭化させて保形性を持たせる作用がある。なお、これらの無機金属水酸化物には、公知のものが何ら制限なく用いられる。
ここで、ベース材料の熱可逆性ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、無機金属水酸化物を100〜300重量部配合するとしたのは、無機金属水酸化物が100重量部未満では、この難燃性樹脂組成物に要求された難燃性が得られないからである。一方、無機金属水酸化物が300重量部を超えると、この難燃性樹脂組成物はコンパウンディングができなくなり、成形できないからである。なお、コンパウンディングとは、樹脂組成物のベース材料の樹脂と、そのベース材料に必要に応じて配合され添加剤とがニーダやミキサで混練され、混練りされた樹脂がそのまま押出し成形に用いられるようにすることをいう。
また、この難燃性樹脂組成物には、ノンハロゲン化物からなる添加剤とその添加される量がそれぞれの目的に応じて配合される。ここで、添加剤には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、分散剤、増粘剤、金属劣化防止剤、防カビ剤、流動調整剤、無機充填剤、中和剤など少なくとも1種類以上用いられているとよい。なお、これらの添加剤には、公知のものが何ら制限なく用いられる。
ここで、これらの添加剤の代表的なものについて説明する。酸化防止剤は、樹脂が成形されるときに熱分解されたり、樹脂が酸素によって酸化されて劣化されたりするのを防止するために用いられ、フェノール系、チオエーテル系、芳香族アミン系などがある。紫外線吸収剤は、樹脂には光を吸収する官能基を持っているため、この樹脂が特有の波長を吸収して劣化されるのを防止するために用いられ、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サルチル酸エステル系などがある。また、顔料は、装飾効果、耐候性付与、特定波長の光カット、組立や配線の間違い防止のための色分けなどの目的のために用いられ、染料、無機顔料、有機顔料などがある。さらに、帯電防止剤は、静電気の発生が抑えられるために用いられ、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤や高分子型の永久帯電防止剤(例、ポリエーテルエステルアミド)などがある。
以下、本発明に係る難燃性樹脂組成物について、実施例に基づいて詳しく説明する。
実施例1は、ベース材料として熱可逆性ポリオレフィン(具体的には、三菱化学(株)製TRCポリマーCPA550)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
実施例2は、ベース材料として熱可逆性ポリオレフィン(具体的には、三菱化学(株)製TRCポリマーCPA550)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)200重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
実施例3は、ベース材料として熱可逆性ポリオレフィン(具体的には、三菱化学(株)製TRCポリマーCPA550)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)300重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
[比較例1]
比較例1は、ベース材料として熱可逆性ポリオレフィン(具体的には、三菱化学(株)製TRCポリマーCPA550)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)80重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
[比較例2]
比較例2は、ベース材料として熱可逆性ポリオレフィン(具体的には、三菱化学(株)製TRCポリマーCPA550)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)320重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
[比較例3]
比較例3は、ベース材料としてエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)(具体的には、日本ポリオレフィン(株)製A1150)100重量部に対して、水酸化マグネシウム(具体的には、協和化学工業(株)製 キスマ5P)100重量部、酸化防止剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)1重量部、紫外線吸収剤(具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製チノビン783)1重量部、を配合したものである。
これらの実施例1〜3に基づく難燃性樹脂組成物と、比較例1〜3に基づく難燃性樹脂組成物のそれぞれについて、(1)難燃性、(2)コンパウンティングの可否、(3)室温での引張り強さ、(4)室温での伸び、(5)加熱後の引張り強さ、(6)加熱後の伸びを判定評価した。その判定評価された結果が表1に示されてある。
Figure 2006316230
(1)難燃性:この表1中の難燃性の評価は、IEEEA(米国電気電子技術者協会)383の規格に準拠した方法により行われる。この難燃性の評価方法は、「垂直トレイ燃焼試験」と呼ばれ、以下の手順にて行われる。
先ず、評価用試験試料として、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の組成に基づいて作製された難燃性樹脂組成物をシース材料に用いたケーブルが作製される。このケーブルのシース材料は、通常のケーブル製造に用いられる押出し加工により成形されたものである。評価用試験試料には、このケーブルから約2400mmの長さをとったものが用いられる。
次に、この評価用試験試料のケーブルは、高さ約2400mm、幅約300mm、奥行約75mmの金属製ラダーオーブントレイ(以下、「トレイ」という)に取り付けられる。取り付けられたケーブルは、ケーブルの外径の1/2の間隔をあけてトレイの中央部に一層に配列され、その幅が150mm以上となる本数が用いられる。そして、このケーブルは、トレイに所定の間隔(通常は約300mm)が得られるようにバインド線で固定される。
そして、トレイに取り付けられたケーブルは、燃焼試験に供される。この燃焼試験は、バーナの火炎を所定の条件(火炎の長さ:約380mm、火炎の中心温度:815℃以上)に調整し、調整後の火炎をケーブルの所定の位置(トレイ低部から約600mmの高さ)に当てて20分間燃焼し、20分間燃焼後にバーナの燃焼を停止し、そのまま放置してケーブルの燃焼が自然に停止するまで行われる。この燃焼試験終了後、トレイ低部から約600mmの高さにある位置を起点とし、そこから上方へのケーブルシースの最大燃焼位置が測定される。
ここで、IEEEA(米国電気電子技術者協会)383による難燃性の判定基準は、試料に用いられたケーブルの上端まで延焼しないこととされている。すなわち、難燃性は、最大燃焼位置がケーブルの上端まで到達しているか否かで判定される。
表1において、『○』と判定された試料はIEEEA383による難燃性の判定基準を満たしていると、『×』と判定された試料はIEEEA383による難燃性の判定基準を満たしていないということが示されている。なお、『―』と判定された試料は、コンパウンティングができないために試料が作製されず、評価がなされていないことが示されている。
(2)コンパウンティングの可否:この表1中のコンパウンティングの可否の評価は、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の組成に基づいて配合された難燃性樹脂組成物がニーダで混練されて各試料とされ、この混練された試料が、そのまま押出機で押出されて成形されるか否かを判定することによって行われる。
表1において、『○』と判定された試料は押出機で押出し成形されるためコンパウンティングができると、『×』と判定された試料は、そのまま押出機で押出し成形されないためコンパウンティングができないということが示されている。
(3)室温での引張り強さ:この表1中の室温での引張強さの評価は、日本工業規格のJIS C3005に準拠した方法により行われる。この引張強さの評価方法は、引張試験と呼ばれ、以下の手順にて行われる。なお、室温での伸びの評価もこの引張試験によって行われる。
先ず、評価用試験試料として、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の組成に基づいて作製された難燃性樹脂組成物を押出機で押し出して1〜2mmの厚さのシートが作製される。作製されたシートは、常温で押出後24時間以上放置された後に、評価用試験試料として所定の試験片(JIS3号ダンベル片)の形状に作製される。
次に、この試験片は、試験中に試験片が歪みその他の不都合を生じないように、引張り試験機のチャックに正しく、かつ、確実に一端が取り付けられる。そして、試験機に取り付けられた試験片は、所定の引張速さ(200mm/min)で引張られ、やがて破断される。この破断された試験片に基づいて、引張強さと伸びを求めることができる。
引張強さは、どの程度の力で試験片を引張ったときに、試験片が引き千切れるかを示したものであり、引き千切れたときの荷重、すなわち最大引張荷重(N)を試験片の断面積(mm)で割ったもので示される。この引張強さを評価することによって、試験片に用いられた難燃性樹脂組成物の機械的強さが評価される。この難燃性樹脂組成物の引張強さの目標値は、『10MPa以上』である。
ここで、この引張強さの目標値を10MPa以上としたのは、引張強さが10MPaを下回るようでは、引張強さが小さいため、機械的強さが充分に確保された難燃性樹脂組成物を得ることができないからである。表1において、『○』と判定された試料は引張強さが10MPa以上であるため、目標値を満たしていると、『×』と判定された試料は引張強さが10MPaを下回るため、目標値を満たしていないということが示されている。なお、『―』と判定された試料は、コンパウンティングができないために試料が作製されず、評価がなされていないことが示されている。
(4)室温での伸び:この表1中の伸びの評価は、以下の手順によって行われる。
先ず、試験は、日本工業規格のJIS C3005に準拠した上記引張試験によって行われ、この引張試験にて破断された試験片から、試験片の標線間の長さが測定される。次に、この測定された長さは、予め試験前に測定された標線間の長さ(元の長さ)で除される。そして、この除された後の長さを元の長さで割って、伸び(%)が百分率で表される。すなわち、伸び(%)は、試験片が引き伸ばされたときの最大の伸びを元の長さに対する相対的な割合として百分率で表されたものである。なお、標線間の長さとは、伸び(ひずみ)を測定する目的で試験前に試験片の平行部に付けられた二つの標線の間の長さ(距離)をいう。
ここで、この難燃性樹脂組成物の伸びの目標値は『350%以上』である。伸びの目標値を350%以上としたのは、伸びが350%を下回るようでは、可撓性が優れた難燃性樹脂組成物を得ることができないからである。表1において、『○』と判定された試料は伸びが350%以上であるため、目標値を満たしていると、『×』と判定された試料は伸びが350%を下回るため、目標値を満たしていないということが示されている。なお、『―』と判定された試料は、コンパウンティングができないために試料が作製されず、評価がなされていないことが示されている。
(5)加熱後の引張り強さ残率:この表1中には加熱後の引張り強さ残率の評価が示されている。この加熱後の引張り強さ残率の評価は、難燃性樹脂組成物の熱的特性を評価するために行われるものであり、日本工業規格のJIS C3005に準拠した上記引張試験による方法が用いられ、以下の手順にて行われる。 先ず、上記引張試験で作製された試験片と同じ形状の試験片が、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の組成に基づいて作製された難燃性樹脂組成物に対応して作製される。次に、この作製された試験片は、所定の温度(150℃)で所定時間(360時間)加熱される。そして、加熱された試験片は、常温に4時間以上放置され、96時間以内に上記の引張試験が行われて、引張り強さが測定される。この測定された引張り強さ(加熱後引張り強さ)と常温で測定された引張り強さ(加熱前引張り強さ)に基づいて加熱後の引張り強さ残率(%)が求められる。すなわち、加熱後の引張り強さ残率(%)は、各試料における加熱後に測定された引張り強さを各試料の加熱前に測定された引張り強さでそれぞれ割り、百分率で表したものである。
ここで、加熱後の引張強さ残率の目標値を『50%以上』としたのは、加熱後の引張強さ残率が50%を下回るようでは、耐熱性が劣るため、高温において機械的強さが充分に確保された難燃性樹脂組成物を得ることができないからである。表1において、『○』と判定された試料は加熱後の引張強さ残率が50%以上であるため、目標値を満たしていると、『×』と判定された試料は加熱後の引張強さ残率が50%を下回るため、目標値を満たしていないということが示されている。なお、『―』と判定された試料は、コンパウンティングができないために試料が作製されず、評価がなされていないことが示されている。
(6)加熱後の伸び残率:この表1中には加熱後の伸び残率の評価が示されている。この加熱後の伸び残率の評価は、難燃性樹脂組成物の熱的特性を評価するために行われるものであり、日本工業規格のJIS C3005に準拠した上記引張試験による方法が用いられ、上記加熱後の引張強さ残率を求める場合と同じ手順にて行われる。
先ず、上記引張試験にて破断された試験片から、試験片の標線間の長さが測定され、この測定値に基づいて上記室温での伸びと同じ方法により加熱後の伸びが求められる。そして、この測定された伸び(加熱後伸び)と常温で測定された伸び(加熱前伸び)に基づいて加熱後の伸び残率(%)が求められる。すなわち、加熱後の伸び残率(%)は、各試料における加熱後に測定された伸びを各試料の加熱前に測定された伸びでそれぞれ割り、百分率で表したものである。
ここで、この加熱後の伸び残率の目標値を『50%以上』としたのは、加熱後の伸び残率が50%を下回るようでは、耐熱性が劣るため、高温において可撓性が優れた難燃性樹脂組成物が得ることができないからである。表1において、『○』と判定された試料は加熱後の伸び残率が50%以上であるため、目標値を満たしていると、『×』と判定された試料は加熱後の伸び残率が50%を下回るため、目標値を満たしていないということが示されている。なお、表1において、『―』と判定された試料は、コンパウンティングができないために試料が作製されず、加熱後の伸び残率の評価がなされていないということが示されている。
[評価の判定結果]
(1)難燃性評価:難燃性については、実施例1が『○』、実施例2が『○』、実施例3が『○』で、実施例1〜実施例3については、いずれの実施例も難燃性の基準値を満足しており、難燃性は十分確保されている。比較例も比較例3は『○』で、難燃性の基準値を満足しており、難燃性は十分確保されている。しかし、比較例1は『×』で、難燃性の基準値を満足しておらず、難燃性は確保されていない。この比較例1と実施例1を比較すると、比較例1はベース材料100重量部に配合された無機金属水酸化物が80重量部であるのに対し、実施例1はベース材料100重量部に配合された無機金属水酸化物が100重量部である。すなわち、比較例1が難燃性の基準値を満足していないのは、ベース材料に配合された無機金属水酸化物の量が実施例1と比べて少ないため、難燃性が充分に確保されないからである。なお、比較例2は評価が『―』で、コンパウンティングができないため(後述されたコンパウンティングの評価結果では、比較例2は『×』である)、難燃性の評価をすることができない。
(2)コンパウンティングの評価:コンパウンティングの評価は、実施例1〜実施例3がいずれも『○』と、いずれの実施例もコンパウンティングができることが示されている。これに対し、比較例は、比較例1、比較例3がいずれも『○』と、コンパウンティングができるが、比較例2は『×』でコンパウンティングができない。この比較例2と実施例3を比較すると、比較例2はベース材料100重量部に配合された無機金属水酸化物が320重量部であるのに対し、実施例1はベース材料100重量部に配合された無機金属水酸化物が300重量部である。すなわち、比較例2でコンパウンティングができないのは、ベース材料に配合された無機金属水酸化物の量が実施例3と比べて多いため、混練が充分にされないからである。
(3)引張強さの評価:引張強さの評価については、実施例1〜実施例3がいずれも『○』と、いずれの実施例も引張強さの目標値『10MPa以上』を満足している。これに対し、比較例は、比較例1、比較例3がいずれも『○』と、引張強さの目標値『10MPa以上』を満足しているが、比較例2は評価が『―』で、コンパウンティングができないため(コンパウンティングの評価は『×』である)、引張強さの評価をすることができない。
(4)伸びの評価:伸びの評価については、実施例1〜実施例3がいずれも『○』と、いずれの実施例も伸びの目標値『350%以上』を満足している。これに対し、比較例は、比較例1と比較例3は『○』と伸びの目標値『350%以上』を満足しているが、比較例2は評価が『―』で、コンパウンティングができないため(コンパウンティングの評価は『×』である)、伸びの評価をすることができない。
(5)加熱後の引張強さ残率の評価:加熱後の引張強さ残率については、実施例1〜実施例3がいずれも『○』と、いずれの実施例も加熱後の引張強さ残率の目標値『50%以上』を満足している。これに対し、比較例は、比較例1は『○』と加熱後の引張強さ残率の目標値『50%以上』を満足しているが、比較例3は『×』であり、加熱後の引張強さ残率の目標値『50%以上』を満足していない。この比較例3と実施例1〜実施例3を比較すると、比較例1のベース材料にはエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)が用いられているのに対し、実施例1〜実施例3のベース材料には熱可逆性ポリオレフィンが用いられている。すなわち、比較例3が加熱後の引張強さ残率の目標値『50%以上』を満足することができないのは、比較例3には、架橋構造を有していないエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)が用いられているため、架橋構造を有する熱可逆性ポリオレフィンが用いられている実施例1〜実施例3と比べて耐熱特性が劣るからである。なお、比較例2は評価が『―』で、コンパウンティングができないため(コンパウンティングの評価は『×』である)、加熱後の引張強さ残率の評価をすることができない。
(6)加熱後の伸び残率の評価:加熱後の伸び残率については、実施例1〜実施例3がいずれも『○』と、いずれの実施例も加熱後の伸び残率の目標値『50%以上』を満足している。これに対し、比較例は、比較例1は『○』と加熱後の伸び残率の目標値『50%以上』を満足しているが、比較例3は『×』であり、加熱後の伸び残率の目標値『50%以上』を満足していない。この比較例3と実施例1〜実施例3を比較すると、比較例1のベース材料にはエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)が用いられているのに対し、実施例1〜実施例3のベース材料には熱可逆性ポリオレフィンが用いられている。すなわち、比較例3が加熱後の伸び残率の目標値『50%以上』を満足することができないのは、比較例3には、架橋構造を有していないエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)が用いられているため、架橋構造を有する熱可逆性ポリオレフィンが用いられている実施例1〜実施例3と比べて耐熱特性が劣るからである。なお、比較例2は評価が『―』で、コンパウンティングができないため(コンパウンティングの評価は『×』である)、加熱後の伸び残率の評価をすることができない。
このようにように、本発明によると、難燃性があって高い耐熱性を有するとともに、燃焼時にハロゲン系ガスを発生せずに、コンパウンティングが可能な難燃性樹脂組成物を得ることができる。また、本発明によると、必要に応じて配合された添加剤の特性が生かされた難燃性樹脂組成物を得ることができる。

Claims (2)

  1. 熱可逆性ポリオレフィン樹脂をベース材料に用いた難燃性樹脂組成物であって、
    前記ベース材料100重量部に対し、無機金属水酸化物が100〜300重量部配合されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記ベース材料には、ハロゲン化物含まれていない添加剤が必要に応じて配合されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
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