JPH0790980A - コンクリート合成構造用鋼材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート合成構造に適用する鋼材のコン
クリートとの一体性および応力伝達能力の向上、コンク
リートの充填姓の向上を図る。 【構成】 板状辺の一部を起立させて突起部および開口
を形成したコンクリート合成構造用鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は例えば建築、土木、橋梁
などの構造物で、コンクリート合成構造に適用する鋼材
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建築、土木、橋梁などの構造物で、鋼材
とコンクリートで構成するコンクリート合成構造は、柱
や梁の断面を小さくすることができ、粘りのある耐震構
造として多用されている。このため使用する鋼材の表面
にコンクリートが確実に付着して一体性を向上するこ
と、滑動抵抗が増加すること等を目的として、鋼材に種
々の工夫が施されている。図６（ａ）〜図６（ｃ）は，
例えばコンクリート合成構造に使用する鋼材１として、
平行な板状辺２（以下フランジと称する）と、前記フラ
ンジ２の中央を結ぶ平面部３（以下ウエブと称する）と
で構成されるＨ形鋼を用いた場合を示す。図６（ａ）の
ものはフランジ２の外表面へ、規則的に配列された多数
の凸部４または凸条５を設けることにより、コンクリー
トに対する一体性の向上を図ったものである。また、図
６（ｂ）のものはフランジ２の内表面を横切る方向に、
平行な半円形の凸条５を多数設けることにより、コンク
リートに対する一体性の向上を図ったものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のコンクリート合成構造用鋼材においては、コン
クリートに対する一体性の向上が望めるものであるが、
これを合成構造用に用いる場合には、凸部４を構造強度
上必要な高さに形成することが圧延技術上困難であるこ
とから十分な高さが得られず合成構造として必要な剪断
力の伝達が不十分になりやすく、また相互にボルトによ
り接合される場合、添接板が重接される部位の凸部、ま
たは凸条を除去する必要があり、工費および工期を増大
させる。また溶接による接合では、平面部に凸部または
凸条が接合される場合には所望の溶接継手性能を得るた
めに、凸部または凸条を除去する必要がり、ボルト接合
の場合と同様の欠点がある。このような欠点を解決する
べく、実開昭５９−１３１４２１号公報には、図６
（ｃ）〜図６（ｄ）に示すように、フランジ２の側縁板
厚面に凹凸部６を形成したものが記載されている。しか
しながら、上記実開昭５９−１３１４２１号公報に記載
された鋼材においては、コンクリートとのひっかかりが
フランジ端面に設けた凹凸でフランジ板厚分しか無いた
め、コンクリートとの応力伝達能力に乏しく、また鋼材
が打ち込まれたコンクリートの流動性を阻害し、コンク
リートのよく回らないところが出来やすいという難点に
ついて何等考慮していない。

【０００４】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、コンクリートとの一体性およ
び応力伝達能力に優れ、コンクリートを打ち込んで一体
的に鋳造する際のコンクリートの充填姓を向上させたコ
ンクリート合成構造用鋼材を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るコンクリー
ト合成構造用鋼材は、板状辺の一部を起立させて突起部
および開口を形成したものである。

【０００６】

【作用】本発明においては、鋼材の板状辺の一部を起立
させて形成した突起部および開口が、コンクリートとの
一体性を向上させるとともに、ウエブの長手方向と平行
な方向のスベリを阻止して応力伝達能力を向上させる。
またコンクリートを打ち込んだ際に開口部を通してコン
クリートが流入するので、その充填姓が向上する。

【０００７】

【実施例】図１〜図５は本発明の一実施例に係るコンク
リート合成構造用鋼材の構成を示す斜視図、正面図、お
よび側面図であり、１はコンクリート合成構造用鋼材
で、コンクリートで一体的に鋳造されて建築、土木、橋
梁などの構造物を構成する。２はフランジでコンクリー
ト合成構造用鋼材１を構成する平行な板状辺を成し、３
はウエブで、平行な板状辺を結んでＨ形鋼を形成する。
前記ウエブ２には、鋸歯状の三角形に切れ目を入れて、
切れ目端を結ぶ線上を屈曲させて形成される突起部７が
設けられている。突起部７を設けた後に開口８が形成す
ることとなる。前記突起部７はその平面がウエブの長手
方向と直角な方向に突起させる。

【０００８】その際のウエブ２に形成された開口８の寸
法は、コンクリートの粗骨材の最大粒径の１．２５倍、
且つ２５mm以上で、ウエブ高さの１／４以下の円ｄ₀ が
内接するものとする。また折り曲げられた突起部７とウ
エブ２とが成す角度θは、コンクリートの粗骨材の最大
粒径の１．２５倍、且つ２５mm以上の隙間ｄ₁ となるよ
うにする。さらに、前記突起部７とウエブ２とが成す角
度θは、コンクリートとのひっかかりを有効なものとす
るために４５°以上、９０°以下とすることが望まし
い。そして前記突起部７および開口８は、形状が極めて
シンプルで加工がし易いことから、プレス方式または圧
延方式の何れによっても容易に成形し得る。上記のよう
に構成されたコンクリート合成構造用鋼材においては、
突起部７が、剥離抵抗を確保し、開口８がコンクリート
打ち込み時にコンクリートを通過させることによる充填
性の向上にも寄与し、応力伝達能力および一体性の優れ
たものとなる。なお本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、例えば使用する鋼材をＨ形鋼以外の山形
鋼に変更する等、その他の構成要件をも同様な機能を有
するものに変更することは当業者が適宜成し得る設計変
更である。

【０００９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、板状辺の
一部を起立させて形成した突起部および開口がコンクリ
ートの充填性および応力伝達能力を向上させ、且つ一体
性の優れたものとなり、また鋼材の一部を加工するもの
であり、鋼材全体の物理的特性が低下することもない。
また突起部および開口は形状がシンプルなものであるか
らプレス方式または圧延方式等による製造が容易で、生
産性に優れたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る斜視図である。

【図２】本発明の一実施例に係る正面図である。

【図３】本発明の一実施例に係る側面図である。

【図４】本発明の一実施例に係る拡大図である。

【図５】本発明の一実施例に係る断面図である。

【図６】従来の一実施例に係る説明図である。

【符号の説明】

１ コンクリート合成構造用鋼材 ２ フランジ ３ ウエブ ７ 突起部 ８ 開口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板状辺の一部を起立させて突起部および
   開口を形成したことを特徴とするコンクリート合成構造
   用鋼材。