JPH0790648A - 鋼帯の脱スケール前処理方法及び装置 - Google Patents

鋼帯の脱スケール前処理方法及び装置

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JPH0790648A
JPH0790648A JP23493893A JP23493893A JPH0790648A JP H0790648 A JPH0790648 A JP H0790648A JP 23493893 A JP23493893 A JP 23493893A JP 23493893 A JP23493893 A JP 23493893A JP H0790648 A JPH0790648 A JP H0790648A
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earth metal
alkaline earth
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chloride solution
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Masaharu Ikeda
雅晴 池田
Genichi Ishibashi
源一 石橋
Kuniaki Sato
邦昭 佐藤
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Kawasaki Steel Corp
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】多孔性弾性樹脂表面の中空給液ロールにより、
アルカリ金属土類塩化物溶液を熱間圧延後の酸化スケー
ルが形成された鋼帯の表面に、短時間で十分、且つ均一
に塗布し、酸化スケール層中に均一に浸透させ、その後
の脱スケール工程の簡略化を可能とする鋼帯の脱ケール
前処理方法及び装置を提供する。 【構成】鋼帯の連続焼鈍酸洗装置の焼鈍炉の入側に、ア
ルカリ金属土類塩化物溶液槽と2本を一対とした供給ロ
ール11とでなる脱酸化スケール前処理装置を配設す
る。供給ロール11は、一方が中空となっているロール
軸16により支持され、溶液が溶液槽から供給される中
空部分17と、その溶液を供給ロール11の表面に吐出
する吐出孔18と、溶液を保持して、鋼帯の表面に塗布
する多孔性弾性樹脂19ロール表面とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延後の酸化スケ
ールが形成された鋼帯を連続焼鈍酸洗処理するに当た
り、焼鈍処理を施す前に鋼帯の表面にアルカリ土類金属
塩化物溶液を塗布し、その溶液を酸化スケール層中に浸
透させる鋼帯の脱スケール前処理方法及び装置に係り、
特に、多孔性弾性樹脂表面を有する中空の給液ロールを
用いてアルカリ土類金属塩化物溶液を鋼帯の表面に塗布
することにより、短時間で十分、且つ均一に前記溶液を
鋼帯の表面に塗布し、酸化スケール層中に均一に浸透さ
せて、その後の脱スケール工程を十分に簡略化すること
のできる鋼帯の脱スケール前処理及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延後の鋼帯は、その圧延時に生成
される酸化スケールの除去と歪み除去のため、連続焼鈍
酸洗装置で、連続的に焼鈍と酸洗処理が施されていた。
また、その焼鈍に際して、焼鈍炉に鋼帯を送り入れる前
に、当該鋼帯の表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を塗
布し、酸化スケール層中に、毛細管現象により当該溶液
を鋼帯の地金部に至るまで浸透させる鋼帯の脱スケール
前処理を施し、その後当該鋼帯を焼鈍することにより、
非常に強固な酸化スケールを塩化物に変化せしめて機械
的強度を低下させ、もって脱スケール工程を簡略化し、
生産能力の向上、コストダウン並びに製品品質の向上を
図ることが行われている。
【0003】すなわち、鋼帯を焼鈍炉に導入し焼鈍する
工程において、酸化スケール層中に浸透したアルカリ土
類金属塩化物溶液中の水分が100℃において蒸発し、
前記溶液は溶質の結晶を生じて固形物となる。この固形
物は700〜800℃前後で溶融状態となり、酸化スケ
ール層中に密に拡散する。そして、焼鈍工程中の昇温過
程において、その溶融した固形物と酸化スケールとが固
−液反応を起こす。この固−液反応により、熱間圧延工
程中で鋼帯表面に生成したスピネル構造を有する非常に
強固な酸化スケール、例えばCr2 3 、FeCr2
4 等は、不定形で非常に機械的強度の弱いアルカリ土類
金属を含有するFe、Crの塩化物に変化する。この鋼
帯表面に生じた機械的強度が弱くなった前記塩化物は、
簡単に鋼帯表面から剥離することができる。
【0004】さらに、最近では、焼鈍後に発生する酸化
スケールの機械的強度の低下にムラが生じないように、
鋼帯の表面にアルカルリ土類金属塩化物溶液を塗布する
に際し、当該溶液内に浸漬された状態の鋼帯を加圧する
ことにより、短時間で均一に当該溶液を酸化スケール層
中に浸透させる装置についても提案されている(特開平
4−191333号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
あっては、短時間で、十分、且つ均一にアルカルリ土類
金属塩化物溶液を鋼帯の表面に塗布し、これを酸化スケ
ール層中に浸透させるのは困難であった。すなわち、前
記の脱スケール促進効果を焼鈍後の鋼帯において均一に
得るためには、焼鈍前の鋼帯表面に、所定の濃度に調整
したアルカリ土類金属塩化物溶液を、ある適量範囲内で
塗布して浸透させる必要があり、それには、鋼帯表面に
ある程度の膜厚の前記溶液を均一に塗布しなければらな
い。
【0006】例えば、10%CaCl2 水溶液をオース
テナイト系ステンレス熱延鋼帯に塗布する場合は、10
〜40g/m2 の塗布量が必要であり、そのためには1
0%CaCl2 水溶液を10〜40μmという比較的厚
い膜厚で鋼帯表面に塗布することを要する。しかし、1
0%CaCl2 水溶液の粘性は、水とほぼ同様に低粘度
であるために、通常の塗装設備のロールコータを適用す
るのは困難である。なお、10%CaCl2 水溶液の塗
布量が、10〜40g/m2 の範囲外の場合には、溶質
不足あるいは過剰により、前記の脱スケール促進効果が
得られない。
【0007】また、一般に、かかる鋼帯は、その板幅方
向の最エッジ部50〜70mmの部分の板厚が、鋼帯中
央部に比較して100〜200μm程薄くなっている。
したがって、一般的なゴム、あるいはポリウレタン樹脂
を用いたロールコータやリンガーロールを使用したので
は、前記水溶液の塗布量を10〜40g/m2 の適量範
囲内におさめることは不可能である。かかる板クラウン
に起因する課題は、前記の鋼帯を加圧する装置によって
も解決するのは困難である。また、かかる装置の場合に
は、鋼帯をアルカリ土類金属塩化物溶液槽内に浸漬した
状態で加圧するので、そのアルカリ土類金属塩化物溶液
槽内が、酸化スケールで汚れるという問題が発生する可
能性があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために、鋼帯の連続焼鈍酸洗方法及び装置にお
いて、アルカリ土類金属塩化物溶液を焼鈍前の鋼帯の表
裏面の長手方向及び板幅方向に均一、且つ十分に、短時
間で塗布し、酸化スケール層中に均一に浸透せしめる技
術を提供するものである。
【0009】すなわち、本発明は、請求項1に記載した
ように、熱間圧延後の酸化スケールが形成された鋼帯を
連続焼鈍酸洗処理するに当たり、焼鈍処理を施す前に、
前記鋼帯の表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を塗布
し、その溶液を酸化スケール層中に浸透させる鋼帯の脱
スケール前処理方法において、アルカリ土類金属塩化物
溶液を内部から表面に所定の液量で浸出させることがで
きるように多孔性弾性樹脂でなる表面構造を有する給液
ロールの少なくとも2本を一対としたアルカリ土類金属
塩化物溶液塗布装置に、酸化スケールが形成された前記
鋼帯を送り込み、前記多孔性弾性樹脂の弾性変形の範囲
内で前記一対の給液ロールにより前記鋼帯を挟圧しなが
ら、前記給液ロールを回転させて前記鋼帯を繰り出し移
動させ、前記鋼帯が前記一対の給液ロールの間を通過す
る時に、前記給液ロールの内部からその表面にアルカリ
土類金属塩化物溶液を浸出させることにより、前記鋼帯
の表面に前記アルカリ土類金属塩化物溶液を所定の液量
で塗布し、そのアルカリ土類金属塩化物溶液を前記酸化
スケール層中に浸透させることを特徴とする鋼帯の脱ス
ケール前処理方法に係る。
【0010】ここで、給液ロール表面に用いる多孔性弾
性樹脂とは、例えばクロロプレンゴム、弾性体ウレタン
ゴム、ウレタンフォーム等のように、ロールコータある
いはゴムロールに使用されている一般的なゴムやポリウ
レタン樹脂等の硬度(ショア硬さ60〜90°)に比較
して、その硬度が低く、弾力に富むものである。かかる
鋼帯の脱スケール前処理方法は、請求項2に記載したよ
うに、鋼帯の連続焼鈍酸洗装置を構成する焼鈍炉の入り
側に備えられた鋼帯の脱スケール前処理装置において、
前記脱スケール前処理装置は、少なくとも2本を一対と
して組み合わせた給液ロールと、前記給液ロールにアル
カリ土類金属塩化物溶液を所定の液量で供給するアルカ
リ土類金属塩化物溶液槽とを備えたアルカリ土類金属塩
化物溶液塗布装置でなり、前記給液ロールは、前記焼鈍
炉の工程手前に配置され、アルカリ土類金属塩化物溶液
が供給される中空部分と、前記中空部分内に供給された
アルカリ土類金属塩化物溶液をロール表面に吐出する吐
出孔と、そのアルカリ土類金属塩化物溶液を保持し、鋼
帯表面に塗布する多孔性弾性樹脂ロール表面とを備えた
ことを特徴とする鋼帯の脱スケール前処理装置により行
うことができる。
【0011】
【作用】本発明によれば、熱間圧延後の酸化スケールが
形成された鋼帯の表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を
塗布し、その溶液を酸化スケール層中に浸透させるに当
たり、アルカリ土類金属塩化物溶液を内部から表面に所
定の液量で浸出させることができるように多孔性弾性樹
脂でなる表面構造を有する給液ロールの少なくとも2本
を一対としたアルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置に、
酸化スケールが形成された鋼帯を送り込み、多孔性弾性
樹脂の弾性変形の範囲内で一対の給液ロールにより鋼帯
を挟圧しながら、給液ロールを回転させて鋼帯を繰り出
し移動させ、鋼帯が一対の給液ロールの間を通過する時
に、給液ロールの内部からその表面にアルカリ土類金属
塩化物溶液を浸出させることにより、鋼帯の表面にアル
カリ土類金属塩化物溶液を所定の液量で塗布し、そのア
ルカリ土類金属塩化物溶液を酸化スケール層中に浸透さ
せ、以て、所定濃度のアルカリ土類金属塩化物溶液を例
えば10〜40g/m2 の適量範囲内で鋼帯の表裏面の
長手方向及び板幅方向に均一に塗布し、酸化スケール層
中に均一に浸透させる。
【0012】すなわち、給液ロールの中空部分にアルカ
リ土類金属塩化物溶液槽から所定の液量でアルカリ土類
金属塩化物溶液を供給することにより、給液ロール内部
に所定の液量の溶液が蓄えられる。そして、所定の径を
有する吐出孔により、アルカリ土類金属塩化物溶液は、
所定の液量で給液ロール内部から多孔性弾性樹脂ロール
表面に供給され、多孔性弾性樹脂ロール表面に保持され
るアルカリ土類金属塩化物溶液も所定の液量となる。し
たがって、かかる多孔性弾性樹脂ロール表面により塗布
されるアルカリ土類金属塩化物溶液も所定の液量であ
る。
【0013】ここで、多孔性弾性樹脂の硬度は、一般の
ロールコータに使用されるゴム等に比べて低く、鋼帯の
エッジドロップあるいはC反りと呼ばれる板幅方向の反
りに対しても、その形状が追従するために、均一な塗布
が可能となる。また、鋼帯を直接アルカリ土類金属塩化
物溶液槽に浸す必要がないので、アルカリ土類金属塩化
物溶液槽内が、酸化スケールで汚れることもなくなる。
【0014】このように、焼鈍前の鋼帯表面に、所定の
液量のアルカリ土類金属塩化物溶液を均一に塗布するこ
とにより、熱間圧延中に鋼帯の表面に生じた多孔性の酸
化スケール層中に、前記溶液を鋼帯の地鉄部に至るまで
均一に浸透させることができる。そして、かかる鋼帯に
焼鈍処理を施すことで、酸化スケールの機械的強度は均
一に低下し、前記の脱スケール促進効果は、鋼帯の表裏
面の長手方向及び板幅方向についても均一に得ることが
できるようになる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は、本実施例の鋼帯の脱スケール前処
理装置を備えた鋼帯の連続焼鈍酸洗装置の構成を示した
ものである。図中1はペイオフリールであり、熱間圧延
後の鋼帯Sが巻かれている。2はペイオフリール1から
巻き戻された鋼帯Sを切断する入側シャー、3はウェル
ダーであり、一のペイオフリール1から巻き戻された鋼
帯Sの後端部を、他のペイオフリール1に巻かれた鋼帯
Sの先端部に溶接して接続するものである。また、4は
入側ルーパ、5は焼鈍炉であり、これは加熱部6と冷却
部7とを備えている。この焼鈍炉5の入側、すなわち入
側ルーパ4と加熱部6との間に、脱スケール前処理装置
としてアルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置8が配置さ
れている。
【0016】図2は、前記のアルカリ土類金属塩化物溶
液塗布装置8の詳細を示すものであり、所定濃度に調整
したアルカリ土類金属塩化物溶液9を入れたアルカリ土
類金属塩化物溶液槽である循環タンク10と、アルカリ
土類金属塩化物溶液塗布装置8を通過する鋼帯Sに、ア
ルカリ土類金属塩化物溶液9を塗布する上下一対の供給
ロール11とを備えている。かかる供給ロール11は、
必ずしも一組とは限らず、必要に応じて二組以上を設け
ても良い。
【0017】また、循環タンク10と供給ロール11と
の間には、アルカリ土類金属塩化物溶液9を送液する送
液ポンプ12と、その送液量を調節する流量調節弁13
と、供給ロール11にアルカリ土類金属塩化物溶液9を
供給する供給配管14と、過剰なアルカリ土類金属塩化
物溶液9を供給ロール11から循環タンク10へと排出
する排出配管15とが配設されている。
【0018】図3は、前記供給ロール11の概要を示す
ものであるが、図中16は、ロール軸であり、供給ロー
ル11を図示しないフレームに支持している。そのロー
ル軸16の一方は、供給ロール11内部にアルカリ土類
金属塩化物溶液9を供給できるように中空となってい
る。また、供給ロール11は、アルカリ土類金属塩化物
溶液9を蓄えられるように中空部分17を有し、その中
空部分17の長さ方向および円周方向には、板幅方向に
アルカリ土類金属塩化物溶液9を均一に供給するための
直径0.2 mmの吐出孔18を均一に多数開けてあ
る。そして、中空部分17の外周には、アルカリ土類金
属塩化物溶液9を保持して鋼帯表面にこれを塗布するた
めにクロロプレンゴムの多孔性弾性樹脂19が巻かれて
いる。なお、多孔性弾性樹脂19は、本実施例にとらわ
れることなく、他の樹脂を用いても良いのは勿論であ
る。
【0019】また、焼鈍炉5の出側には、順に、上下に
対向配置された研削ブラシ20と、硝酸を蓄えた酸洗槽
21とを備えた脱酸化スケール装置22、洗浄槽23、
ドライヤ24、出側ルーパ25、分割シャー26、分割
シャー26の前後のピンチロール27、巻き取りリール
28が配設されている。なお、鋼帯の状態に合わせて適
宜、酸洗槽21を硫酸槽、硝弗酸槽及び硝酸槽を組み合
わせた構成としても良く、研削ブラシ20も必要に応じ
てショットブラストと組み合わせて使用しても良いのは
勿論である。また、各装置を全て配設し、各装置をバイ
パスしてその組み合わせを変えても良い。
【0020】この鋼帯の連続焼鈍酸洗装置において、先
ずペイオフリール1により巻き戻された熱間圧延後の鋼
帯Sは、入側シャー2で先端部または後端部を切断さ
れ、ウェルダー3により先行コイルまたは後行コイルと
接続される。次に鋼帯Sは、入側ルーパ4を経て、アル
カリ土類金属塩化物溶液塗布装置8内に搬送される。ア
ルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置8内では、循環タン
ク10の所定濃度に調整したアルカリ土類金属塩化物溶
液9が、送液ポンプ12により加圧され、流量調節弁1
3を経て、供給配管14を通り供給ロール11の中空と
なっているロール軸16から中空部分17に供給され
る。この際に、供給ロール11への供給量は、流量調節
弁13の開度によって調節される。中空部分17に供給
されたアルカリ土類金属塩化物溶液9は、吐出孔18か
ら外周部分の多孔性弾性樹脂19の組織内に侵入して、
ロール長さ方向に所定液量が均一にに保持される。
【0021】そして、かかるアルカリ土類金属塩化物溶
液塗布装置8内に搬送された鋼帯Sの表裏面の長手方向
及び板幅方向は、前記供給ロール11により、同時に所
定液量のアルカリ土類金属塩化物溶液9が塗布され、こ
のアルカリ土類金属塩化物溶液9は、鋼帯Sの表面の酸
化スケール層中に均一に浸透する。また、過剰なアルカ
リ土類金属塩化物溶液9は、排出配管15を通じて循環
タンク10へと排出される。ここで、鋼帯Sが、いわゆ
るエッジドロップまたはC反りにより、板幅方向に反り
を有していても、供給ロール11表面の多孔性弾性樹脂
19は、板面形状に追従変形するので、均一な塗布が可
能となる。
【0022】その後、鋼帯Sは焼鈍炉5の加熱部6に送
られ、所定温度で熱処理される。ここで、酸化スケール
層中に均一に浸透しているアルカリ土類金属塩化物溶液
9は水分の蒸発で固形状となり、次いで溶融状態となっ
て酸化スケール層中に均一に拡散する。そしてアルカリ
土類金属塩化物溶液9と酸化スケールとの間に固−液反
応が進行するが、本実施例では、アルカリ土類金属塩化
物溶液9が酸化スケール層中に均一に浸透しているの
で、かかる反応も鋼帯Sの表裏面の長手方向及び板幅方
向において均一に進行する。
【0023】続いて鋼帯Sは焼鈍炉5の冷却部7に送ら
れ、所定温度で冷却処理される。その後、鋼帯Sは脱酸
化スケール装置22に送られる。この装置の上下に対向
配設された研削ブラシ20は、鋼帯Sの進行方向とは反
対方向に回転しており、これにより生じる研削力により
鋼帯Sの上下面に均一に付着しているアルカリ土類金属
塩化物と酸化スケールとの反応生成物が除去される。当
該反応生成物は、強固な酸化スケールが不定形で機械的
強度が弱くなったアルカリ土類金属含有塩化物に変化し
たものであり、したがって研削ブラシ20の研削力によ
り、簡単に鋼帯表面から剥離することができる。
【0024】次に、槽内に低濃度の硝酸を蓄えた酸洗槽
21で、鋼帯Sに僅かに残った前記塩化物が溶解除去さ
れ、さらに、洗浄槽23により鋼帯Sの表面が清浄にさ
れ、ドライヤ24で乾燥されてから、鋼帯Sは出側ルー
パ25を経て分割シャー26に送られ、所定長さに切断
された後に、巻き取りリール28に送られ、巻き取られ
る。
【0025】以下に、本実施例に係る鋼帯の連続焼鈍酸
洗装置を用いて行った鋼帯表面へのアルカリ土類金属塩
化物溶液の塗布量及び脱酸化スケール前処理による脱酸
化スケール促進効果の均一性試験について説明する。鋼
帯表面へのアルカリ土類金属塩化物溶液の塗布量の均一
性の試験は、鋼帯表面の中央部とエッジ部分50〜70
mmとのアルカリ土類金属塩化物溶液の塗布量を測定す
ることにより行った。また、脱酸化スケール促進効果の
試験は、脱酸化スケール装置22の各装置をバイパスし
た場合の、鋼帯表面の中央部とエッジ部分50〜70m
mとの各酸化スケール残留率で評価した。
【0026】表1に本試験の条件を示す。
【0027】
【表1】
【0028】鋼帯表面へのアルカリ土類金属塩化物溶液
の塗布量の均一性については、本試験に供したステンレ
ス鋼帯の形状は、C反りとなっており、板幅方向に反り
を有していたが、板幅方向の塗布量は、鋼帯中央部で1
0〜12g/m2 、エッジ部分においても11〜13g
/m2 と、ほぼ均一な塗布が可能であった。次に、表2
に酸化スケールの残留率を示す。
【0029】
【表2】
【0030】なお、本実施例のアルカリ土類金属塩化物
溶液塗布装置8を用いた脱酸化スケール前処理による脱
酸化スケール促進効果についても評価するために、比較
例1として一般的なポリウレタンゴムによるリンガーロ
ールタイプのアルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置を使
用した鋼帯、及び比較例2としてアルカリ土類金属塩化
物溶液を塗布しない鋼帯についても同様の試験を行っ
た。なお、本試験においては、比較例2の脱酸化スケー
ルを行うために前記の脱酸化スケール装置22に、ショ
ットブラスト、硫酸槽、硝弗酸槽も組み合わせた。
【0031】表2より、本実施例によりアルカリ土類金
属塩化物溶液を中央部とエッジ部分とに均一に塗布され
たステンレス鋼帯の表面は、前述のように、焼鈍過程に
おいて強固なFeCr2 4 構造から機械的強度の弱い
アルカリ土類金属含有Cr、Fe塩化物に均一に変化
し、その脱酸化スケール促進効果は、中央部とエッジ部
分とにおいて、均一であることがわかる。すなわち、冷
却部出側にスタンド設置された研削ブラシで鋼帯表面の
中央部とエッジ部分とにおいて、共にほぼ95%の反応
生成物が除去されている。また、酸洗も硝酸浸漬のみで
十分であり、両部分において、均一、且つ容易に脱酸化
スケールが完了した。
【0032】一方、一般的なリンガーロールタイプのア
ルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置を用いた比較例1の
鋼帯は、中央部とエッジ部分とで脱酸化スケール促進効
果に差異が生じていた。また、アルカリ土類金属塩化物
溶液を塗布しない比較例2の鋼帯は、FeCr2 4
の緻密で強固なスピネル構造を有する酸化スケールが成
長しているため、ショットブラスト、研削ブラシ、硫
酸、硝弗酸、硝酸浸漬といった機械的および化学的な重
酸洗処理が必要である。
【0033】以上の結果より、本実施例による鋼帯の脱
スケール前処理による脱酸化スケール促進効果は、その
鋼帯の中央部とエッジ部分とにおいて均一であり、ま
た、その脱酸化スケール促進効果は飛躍的なものである
ことがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱間圧延後の酸化スケールが形成された鋼帯の表面にア
ルカリ土類金属塩化物溶液を塗布し、これを酸化スケー
ル層中に浸透させるに当たり、アルカリ土類金属塩化物
溶液を内部から表面に所定の液量で浸出させることがで
きるように多孔性弾性樹脂でなる表面構造を有する給液
ロールの少なくとも2本を一対としたアルカリ土類金属
塩化物溶液塗布装置に、酸化スケールが形成された鋼帯
を送り込み、多孔性弾性樹脂の弾性変形の範囲内で一対
の給液ロールにより鋼帯を挟圧しながら、給液ロールを
回転させて鋼帯を繰り出し移動させ、鋼帯が一対の給液
ロールの間を通過する時に、給液ロールの内部からその
表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を浸出させることに
より、鋼帯の表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を所定
の液量で塗布し、そのアルカリ土類金属塩化物溶液を酸
化スケール層中に浸透させたので、その脱酸化スケール
促進効果は、鋼帯の表裏面の長手方向及び板幅方向にお
いて均一、且つ十分となり、熱間圧延後の鋼帯の脱酸化
スケール工程を十分に簡略化し、生産能力の向上、コス
トダウン並びに製品品質の向上が達成できるという効果
が得られた。
【0035】さらに、酸化スケールによるアルカリ土類
金属塩化物溶液槽内の汚染防止も可能となり、鋼帯の連
続焼鈍酸洗装置の維持管理を簡略化することができると
いう効果も得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る鋼帯の連続焼鈍酸洗装置の全体図
である。
【図2】本実施例の脱スケール前処理装置の概要図であ
る。
【図3】本実施例の供給ロールの拡大断面図である。
【符号の説明】
S 鋼帯 5 焼鈍炉 8 脱スケール前処理装置(アルカリ土類金属塩化物溶
液塗布装置) 9 アルカリ土類金属塩化物溶液 10 アルカリ土類金属塩化物溶液槽(循環タンク) 11 供給ロール 17 中空部分 18 吐出孔 19 多孔性弾性樹脂

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延後の酸化スケールが形成された
    鋼帯を連続焼鈍酸洗処理するに当たり、焼鈍処理を施す
    前に、前記鋼帯の表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を
    塗布し、その溶液を酸化スケール層中に浸透させる鋼帯
    の脱スケール前処理方法において、 アルカリ土類金属塩化物溶液を内部から表面に所定の液
    量で浸出させることができるように多孔性弾性樹脂でな
    る表面構造を有する給液ロールの少なくとも2本を一対
    としたアルカリ土類金属塩化物溶液塗布装置に、酸化ス
    ケールが形成された前記鋼帯を送り込み、前記多孔性弾
    性樹脂の弾性変形の範囲内で前記一対の給液ロールによ
    り前記鋼帯を挟圧しながら、前記給液ロールを回転させ
    て前記鋼帯を繰り出し移動させ、前記鋼帯が前記一対の
    給液ロールの間を通過する時に、前記給液ロールの内部
    からその表面にアルカリ土類金属塩化物溶液を浸出させ
    ることにより、前記鋼帯の表面に前記アルカリ土類金属
    塩化物溶液を所定の液量で塗布し、そのアルカリ土類金
    属塩化物溶液を前記酸化スケール層中に浸透させること
    を特徴とする鋼帯の脱スケール前処理方法。
  2. 【請求項2】 鋼帯の連続焼鈍酸洗装置を構成する焼鈍
    炉の入り側に備えられた鋼帯の脱スケール前処理装置に
    おいて、 前記脱スケール前処理装置は、少なくとも2本を一対と
    して組み合わせた給液ロールと、前記給液ロールにアル
    カリ土類金属塩化物溶液を所定の液量で供給するアルカ
    リ土類金属塩化物溶液槽とを備えたアルカリ土類金属塩
    化物溶液塗布装置でなり、前記給液ロールは、前記焼鈍
    炉の工程手前に配置され、アルカリ土類金属塩化物溶液
    が供給される中空部分と、前記中空部分内に供給された
    アルカリ土類金属塩化物溶液をロール表面に吐出する吐
    出孔と、そのアルカリ土類金属塩化物溶液を保持し、鋼
    帯表面に塗布する多孔性弾性樹脂ロール表面とを備えた
    ことを特徴とする鋼帯の脱スケール前処理装置。
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