JP2588995B2 - 鋼帯の脱スケール方法 - Google Patents

鋼帯の脱スケール方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フェライト系ステンレス鋼帯の脱スケール
方法に係り、特にバッチ焼鈍を施した後の鋼帯表面の脱
スケール効率を改善した鋼帯の脱スケール方法に関す
る。
〔従来の技術〕
従来、ステンレス鋼帯は普通鋼と比較して加工硬化し
易く、冷間圧延での付加を軽減するために熱間圧延後に
焼鈍処理を行っている。
特に、フェライト系ステンレス鋼帯は、オーステナイ
ト系ステンレス鋼帯の場合と異なり、長時間の焼鈍を必
要とするためバッチ焼鈍が行われる。そこでフェライト
系ステンレス鋼帯の場合には、バッチ式のベル型焼鈍炉
を用いて、H24%,N296%の雰囲気中で、60〜80時間の焼
鈍が行われる。この時、熱間圧延時に前記ステンレス鋼
帯表面に生じた厚さ5μm程度の酸化スケールは、還元
性雰囲気ガス中に微量に存在するH2Oにより更に酸化が
進行し、その厚さが10〜15μm程度の緻密な酸化スケー
ル層に成長する。この酸化スケールは、普通鋼帯の表面
に生成する酸化スケールと比べ、その除去が極めて困難
であることから、ショットブラスト等の機械的脱スケー
ルと複数の酸洗槽による酸洗が必要となり、APライン
(Annealing and Pickling Line)を利用して酸化スケ
ールの除去を行っている。
更に、このステンレス鋼帯の脱スケール工程では、前
記酸洗を行う際に、濃度が20wt%程度の高濃度な硫酸,
硝弗酸(硝酸と弗酸との混酸)及び硝酸等の強酸が必要
であり、しかも長時間の処理が要請されていた。このた
め、脱スケール工程が律速段階となり、脱スケールに時
間がかかり、生産性を向上させることができない等の問
題があった。
また、ショットブラスト工程では、ショット粒により
鋼帯表面に凹凸が形成され、当該鋼帯の表面粗度が大き
くなり、更に、酸洗工程で硝弗酸を使用すると、当該鋼
帯の表面が肌荒れし、表面粗度が悪化するという問題も
あった。
そして、鋼帯の表面に凹凸が存在すると、次工程の冷
間圧延において、当該鋼帯表面の凸部が倒れてかぶさり
が発生し、キラキラ傷が発生する原因となるという問題
があった。
そこで、このような問題を解決するために、当該問題
と主原因となる脱スケール工程の軽減を図る従来例とし
て、特開昭54−93620号及び特開昭55−47318号が知られ
ている。
特開昭54−93620号に記載されている従来例は、冷間
圧延鋼板コイルを箱型焼鈍する際、当該焼鈍前にアルカ
リ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物及びほう酸
の酸素化合物のうち少なくとも1つを主体とする薬剤を
前記鋼板コイルに付着してから焼鈍し、酸化スケールと
前記化合物を反応させ、当該酸化スケールを除去し易く
することで脱スケール工程の軽減を図っている。
一方、特開昭55−47318号に記載されている従来例
は、Crを10%以上含有するCr系ステンレス鋼材料を塩化
鉄水溶液中に浸漬もしくは塗布した後に当該Cr系ステン
レス鋼材料を焼鈍することで、当該Cr系ステンレス鋼の
熱処理時に形成される酸化スケールをその後の酸洗工程
で容易に除去可能とし、脱スケール工程の軽減を図って
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、特開昭54−93620号に記載されている
従来例は、冷間圧延鋼板コイルに塗布するアルカリ又は
アルカリ土類金属の化合物は、一般的に融点が高いた
め、特に、フェライト系ステンレス鋼帯の焼鈍温度(60
0〜900℃)においては、前記化合物が鋼帯表面上で安定
した固体として存在してしまい、酸化スケールとの反応
が進行しにくい。そして、前記化合物が前記鋼帯表面に
付着しているだけでは、当該酸化スケールとの反応効率
が非常に悪い。このため、脱スケールの軽減を十分に図
ることができないという課題があった。
また、特開昭55−47318号に記載されている従来例
は、Cr系をステンレス鋼材料を塩化鉄水溶液中に浸漬も
しくは塗布した後に焼鈍するため、熱間圧延後、コイル
状のままバッチ焼鈍されるフェライト系ステンレス鋼帯
の表面に、前記溶液をコイル全長に渡り均等に塗布する
ことは非常に困難である。この結果、脱スケールが十分
出来ないという課題があった。
そこで本発明は、このような課題を解決するために、
脱スケールの向上を図り、もって脱スケール後の鋼帯の
表面性状を向上し、さらには表面性状が良好なフェライ
ト系ステンレス鋼帯の生産性を向上する脱スケール方法
を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、このような目的を達成することにより前記課
題を解決するために、本発明は、コイル状でバッチ焼鈍
が施されたフェライト系ステンレス鋼帯の表面に生成し
ている酸化スケールを、焼鈍炉と酸洗装置とを有する連
続焼鈍酸洗ラインにて除去する鋼帯の脱スケール方法に
おいて、コイル巻き戻された前記鋼帯表面の酸化スケー
ル中にAl,Fe,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロ
ゲン元素とからなる塩の溶液を浸透させ、次いで前記焼
鈍炉にて前記溶液に含有される塩の融点以上の温度で加
熱した後、前記酸化スケールをショットブラスト以外で
機械的に除去し、その後、前記酸洗装置にて硝弗酸以外
の酸で酸洗することを特徴とするものである。
〔作用〕
この発明に係わる鋼帯の脱スケール方法によれば、フ
ェライト系ステンレス鋼帯のバッチ焼鈍後であれば、A
l,Fe,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン元
素とからなる塩溶液を、フェライト系ステンレス鋼帯コ
イルを例えば巻き戻す際に塗布する等して、前記熱間圧
延及び焼鈍中に当該鋼帯表面に生じた全ての酸化スケー
ル層中に、毛細管現象により鋼帯の地鉄部に至るまで浸
透させることが可能となる。
次いで、前記溶液が塗布された鋼帯を脱スケールする
前に、当該溶液に含有される塩の融点以上の温度(300
〜500℃以上)でフェライト系ステンレス鋼帯を熱処理
することにより、酸化スケールと塩の溶融物との反応効
率が向上し脱スケールし易くなる。
即ち、前記熱処理により、前記酸化スケール層中に浸
透した前記溶液中の水分が、先ず100℃において蒸発し
て当該溶液は塩の固形物となる。そして、前記固形物の
融点は、アルカリ土類金属等の融点に比べ非常に低いた
め、当該固形物は200〜300℃前後の非常に低い温度で溶
融状態となり、酸化スケール中に密に拡散していく。こ
の時塩の溶融温度が低いため、塩溶液浸透後の加熱に必
要なエネルギーを節約することができ経済的である。次
いで、前記鋼帯が300〜500℃まで加熱されると、前記溶
融した固形物と前記酸化スケールとの間に個−液反応が
生じる。
この個−液反応により、前記熱間圧延工程及びバッチ
焼鈍工程中に前記フェライト系ステンレス鋼帯表面に発
生したスピネル構造を有する非常に強固な酸化スケー
ル、例えば、Cr2O3、Fe3O4、FeCr2O4等は、不定形で非
常に機械的強度の弱いCr、Feのハロゲン化物に変化す
る。また、バッチ焼鈍は高温で長時間(例えば、2〜3
日)に渡って行われるため、そのバッチ焼鈍が行われた
後のスケール直下の鋼帯の地鉄中には、焼鈍中の高温に
よるスケール成長に伴い耐蝕性の低いクロム欠乏層が発
達しており、そのクロム欠乏層に対して前記溶融した固
形物が作用するから、クロム欠乏層上に形成されている
スケールが剥がれやすくなる。このため、特に、ステン
レス鋼帯の脱スケール工程に必要不可欠であったショッ
トブラスト及び硝弗酸による酸洗処理を省略しても簡単
に前記鋼帯表面から前記酸化スケールを除去できる。こ
の結果、ショットブラスト,硝弗酸での酸洗処理により
生じていた鋼帯表面の品質低下を防ぐことができ、特に
ステンレス鋼帯に最も重要な表面粗度が大幅に改善され
たフェライト系ステンレス鋼帯を提供することができ
る。また、脱スケール効率を向上できるため、生産性が
向上し、さらに、作業環境も改善することができる。
また、鋼帯への前記溶液の塗布・浸透は、既設のAPラ
インを利用すれば良く、さらに当該溶液塗布後の鋼帯の
熱処理もAPラインで直火雰囲気で行えるため、経済的で
ある。ここで、前記溶液を当該鋼帯の地鉄部に至るまで
浸透させているため、前記熱処理中に、前記溶融状態と
なった固形物が当該鋼帯の酸化スケール層中に密に拡散
する。このため、前記熱処理中に使用する雰囲気ガス中
の酸化性成分(O2,H2O,CO2)が当該鋼帯の地鉄部にまで
進入することは物理的に不可能であり、新たに酸化スケ
ールが成長することはない。
〔実施例〕
次に、図面に従って本発明の実施例について説明す
る。
第1図は本発明の一実施例に係る脱スケールラインの
構成図であり、第2図はこのラインの途中に配置された
塩溶液塗布・浸透装置の構成図である。
第1図に示すラインの開始点には、熱間圧延後バッチ
焼鈍したフェライト系ステンレス鋼帯(以下、ステンレ
ス鋼帯)Sがペイオフリール1に巻回されている。この
巻回されたステンレス鋼帯Sは、既存のAPラインの開始
点に配置され、この開始点において巻き戻されて入側シ
ャー2により先端部又は後端部が切断される。この時、
ウエルダ3において、その後段のステンレス鋼帯の先端
部が前段のステンレス鋼帯の後端部と溶接されて、連続
脱スケールが行われる。
ステンレス鋼帯Sは、入側ルーパ4を経て、溶液塗布
・浸透装置21に搬送される。この溶液塗布・浸透装置21
においては、第2図に示すように、入側案内ロール25A
により案内されたステンレス鋼帯Sをタンク22内のAl,F
e,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン元素と
からなる塩溶液(以下、単に「塩溶液」という)23中に
浸漬しながら、ステンス鋼帯Sを上下一対の加圧ロール
24A,B間で加圧する。
第3図はこの加圧後のステンレス鋼帯Sの表層部の性
状の拡大図であり、この第3図に示すように、ステンレ
ス鋼帯Sの地鉄部に至るまで、塩溶液23を表面酸化スケ
ール50中に浸透させる。ここで、表面酸化スケール50に
は亀裂52が生じているため、塩溶液23はこの亀裂52を介
して、毛細管現象により、ステンレス鋼帯Sの素地のダ
ル目部分51まで浸透することになる。なお、表面酸化ス
ケール50の亀裂52は、主として、ステンレス鋼帯Sがペ
イオフリール1から巻き戻される際にコイル状態から真
っ直ぐな状態に移行することにより生じ、また、ステン
レス鋼帯Sが入側ルーパ4を通過する際に屈曲状態と真
っ直ぐな状態とを繰り返すことにより生じるが、本実施
例では、特に加圧ロール24A及び24Bによってステンレス
鋼帯Sを加圧するため、亀裂52をより確実に生じさせる
ことができる。
その後、ステンレス鋼帯Sは、出側案内ロール25Bを
経てAPラインでは焼鈍炉5を構成する加熱部6に送ら
れ、燃焼ガス雰囲気で塩の融点を越える300〜500℃以上
の温度で熱処理される。ここで、酸化スケール50中に浸
透している塩溶液23の水分が、先ず100℃において蒸発
し、塩が固形状になる。さらに加熱温度が上がると固形
物は溶融し、酸化スケール50中に密に拡散していき、酸
化スケール50との間で、個−液反応が進行し、機械的強
度が弱い反応生成物(塩化物)が生じるとともに、バッ
チ焼鈍中の高温によるスケール成長に伴い発達した耐蝕
性の低いクロム欠乏層に対して上記溶融した固形物が作
用し、上記反応生成物は剥がれやすい状態となる。次い
で、ステンレス鋼帯Sは冷却部7に送られ、所定温度ま
で冷却される。
その後、ステンレス鋼帯Sは酸化スケール除去装置31
に送られる。この装置は第4図に示すように、ステンレ
ス鋼帯Sの表面の反応生成物33を除去するために直列に
上下2組の研削ブラシ32が対向配置されている。この研
削ブラン32が、前記ステンレス鋼帯Sの進行方向に対向
して回転することにより生じる研削ブラシ32の研削力に
より、当該ステンレス鋼帯Sから前記反応生成物33を除
去し、除去された当該反応生成物33は水スプレーノズル
34により洗い流され、除去装置31の下端に配置された排
出配管35から排出される。このように、前記反応生成物
33を研削ブラシ32の研削力によりステンレス鋼帯Sから
簡単に除去することができる。このため、ショットブラ
ストの必要が無い。
次いで、表面が美麗な金属光沢及び白色度を呈するス
テンレス鋼帯を得るための表面処理を行う目的で、ステ
ンレス鋼帯Sは、酸洗槽41に搬送され、硫酸,塩酸等の
硝弗酸以外の酸により鋼帯S表面に微量残存する塩化物
(反応生成物)を酸洗し、その後、硝酸槽42に搬送さ
れ、仕上げ酸洗,不動態処理が施される。この時、酸洗
層41でステンレス鋼帯Sを酸洗する際、硝弗酸を使用し
ないため、ステンレス鋼帯Sの地鉄部表面が浸食される
ことはない。
次に、ステンレス鋼帯Sは、洗浄装置12、ドライヤ13
を通過し、出側ルーパ14を経て分割シャー15にて所定寸
法に切断されてテンションロール16に巻き取られる。
このように、以上の実施例では、ステンレス鋼帯をバ
ッチ焼鈍した後巻き戻しながら塩溶液を塗布しているた
め、表裏面の酸化スケールの全面に塩溶液を十分塗布す
ることができる。この結果、脱スケール効率を大幅に向
上することができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
第1図に示すAPラインを使用して、ステンレス鋼帯
(SUS430;板厚4.0mm,板幅1500mm)の脱スケールを第1
表記載の溶液を使用して行った。また、第2表に示す各
設備の出側で、脱スケール状況を調査し面積率で表現し
た。この結果を第2表に示す。
熱間圧延後、バッチ焼鈍したステンレス鋼帯を溶液塗
布・浸透装置21に搬送し、第1表に示す成分の塩溶液を
バッチ焼鈍後の鋼帯表面に塗布した後、加熱部6に搬送
した(鋼帯A〜E)。尚、加熱部6の温度は、塩が溶融
して前記ステンレス鋼帯の酸化スケールと個−液反応を
促進するために、第1表に示すような温度とした。
次いで、加熱部6を出た鋼帯は、冷却部7に搬送さ
れ、その後、酸化スケール除去装置31に至り、研削ブラ
シ32を2パス通過させた後、酸洗槽41に搬送されてH2SO
4(15%)で酸洗処理された。
その後、鋼帯は硝酸槽42に搬送され、不動態処理が施
された後、洗浄装置12、ドライヤ13を通過し、出側ルー
パ14を経て分割シャー15にて所定寸法に切断されてテン
ションロール16に巻き取られ、鋼帯A〜Eが得られた。
次に、比較として、前記と同じ鋼帯(SUS430;板厚4.0
mm,板幅1500mm)を使用し、従来の脱スケール方法であ
る以下の方法で比較品を作製した。
熱間圧延後、バッチ焼鈍されたステンレス鋼帯に第1
表に示す溶液を塗布せずに加熱部6に搬送し、次いで冷
却部7を経た後、ショットブラスト、機械的脱スケール
を施した。
次いで、鋼帯は酸洗槽41に搬送されてH2SO4(15%)
で酸洗処理された後、さらに硝弗酸槽(HF−HNO3;15
%)で酸洗処理が施された。
その後、鋼帯は硝酸槽42に搬送され、不動態処理が施
された後、洗浄装置12、ドライヤ13を通過し、出側ルー
パ14を経て分割シャー15にて所定寸法に切断されてテン
ションロール16に巻き取られた(比較品)。
第2表より、表1に示す成分の溶液を鋼帯に塗布した
後、脱スケール工程を行った鋼帯(鋼帯A〜E)は、シ
ョットブラスト,機械的脱スケール及び硝弗酸処理を行
わなくても、前記溶液を塗布しなかった比較品に比べ、
十分に脱スケールされることが実証された。
次に、鋼帯A〜E及び比較品の表面粗度(Ra:μm)
を測定した。この結果を第3表に示す。
第3表より、ショットブラスト,機械的脱スケール及
び硝弗酸処理を行わなかった鋼帯A〜Eは比較品に比
べ、表面粗度が1〜2μmと低減することが実証され
た。また、表面粗度が低減したことで、次工程の冷間圧
延,調質圧延において、鋼帯表面にキラキラ傷が発生す
ることを抑制する等、冷間圧延,調質圧延での負荷を低
減することができる。このため、鋼帯表面の品質低下を
無くすことができ、特にステンレス鋼帯に最も重要な表
面粗度が大幅に改善され、商品価値の高い良好な鋼帯を
提供することができた。
本実施例では、陽イオン及び陰イオンとして、第1表
に示すイオンを使用した溶液を鋼帯に塗布したが、これ
に限らず、Al,Fe,Mn及びZn元素を2つ以上組み合わせ
て、陽イオン群としても良く、ハロゲン元素を2つ以上
組み合わせて陰イオン群としても良いのは勿論である。
また、本実施例では鋼帯として、SUS430を使用した
が、これに限らず、他の鋼帯でも効果を上げることがで
きる。
そして、本実施例では、溶液塗布・浸透装置21は、第
2図に示すような構造のものを使用したが、これに限定
されるものではなく、スプレー式,ファウンテン式,バ
ーコート式等でも良い。
また、酸化スケール除去装置31では、研削ブラシ32に
よる機械的脱スケールを行ったが、ベンディングロー
ル,砥石,研削ブラシとベンディングロールを兼用した
もの等、鋼帯の表面品質に悪影響を与えないものであれ
ば良い。
また、酸洗槽41では、硫酸を使用したが、塩酸、硝酸
等を使用しても良く、また前記機械的脱スケールと組み
合わせることで、より効率良く脱スケールを行うことが
可能となる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、バッチ焼鈍を施
した後のフェライト系ステンレス鋼帯表面に形成された
酸化スケールAl,Fe,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つ
ハロゲン元素とからなる塩の溶液を浸透させ次いで前記
溶液に含有させる塩の融点以上の温度で加熱して冷却し
た後、酸化スケールをショットブラスト以外で機械的に
除去し、その後、前記酸洗装置にて硝弗酸以外の酸で酸
洗することによって脱スケールしているため、脱スケー
ル性を向上でき、もって脱スケール後の鋼帯の表面性状
を良好にし、さらに表面性状が良好なフェライト系ステ
ンレス鋼帯の生産効率を向上することができる。また、
バッチ焼鈍された後のコイル状の鋼帯を、連続焼鈍酸洗
ライン(APライン)にて巻き戻しながら鋼帯表面の酸化
スケール中に塩の溶液を浸透させ、その加熱は当該APラ
インの焼鈍炉で行い、酸洗は当該APラインの酸洗装置で
行うため、コイル状であるバッチ焼鈍後の鋼帯の取扱い
が容易であるとともに、既設のAPラインを利用すれば設
備コストが嵩むこともない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例に係る脱スケールラインの構
成図、第2図は、第1図における溶液塗布・浸透装置の
構成図、第3図は、鋼帯表面に形成された酸化スケール
層中に塩溶液が浸透する状態を示す断面図、第4図は第
1図における酸化スケール除去装置の構成図である。 図中、Sはステンレス鋼帯、5は焼鈍炉、6は加熱部、
7は冷却部、21は溶液塗布・浸透装置、22はタンク、23
は塩溶液、24は加圧ロール、31は酸化スケール除去装
置、32は研削ブラシ、33は反応生成物、41は酸洗槽、50
は酸化スケール、51はダル目部分、52は亀裂を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−47318(JP,A) 特公 昭54−27827(JP,B2) 特公 昭53−1733(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コイル状でバッチ焼鈍が施されたフェライ
    ト系ステンレス鋼帯の表面に生成している酸化スケール
    を、焼鈍炉と酸洗装置とを有する連続焼鈍酸洗ラインに
    て除去する鋼帯の脱スケール方法において、 コイルから巻き戻された前記鋼帯表面の酸化スケール中
    にAl,Fe,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン
    元素とからなる塩の溶液を浸透させ、次いで前記焼鈍炉
    にて前記溶液に含有される塩の融点以上の温度で加熱し
    て冷却した後、前記酸化スケールをショットブラスト以
    外で機械的に除去し、その後、前記酸洗装置にて硝弗酸
    以外の酸で酸洗することを特徴とする鋼帯の脱スケール
    方法。
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