JP2583366B2 - ステンレス鋼帯の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼帯の製造方法

Info

Publication number
JP2583366B2
JP2583366B2 JP3171261A JP17126191A JP2583366B2 JP 2583366 B2 JP2583366 B2 JP 2583366B2 JP 3171261 A JP3171261 A JP 3171261A JP 17126191 A JP17126191 A JP 17126191A JP 2583366 B2 JP2583366 B2 JP 2583366B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel strip
stainless steel
descaling
pickling
oxide scale
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3171261A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0517888A (ja
Inventor
源一 石橋
雅晴 池田
邦昭 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP3171261A priority Critical patent/JP2583366B2/ja
Publication of JPH0517888A publication Critical patent/JPH0517888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2583366B2 publication Critical patent/JP2583366B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼帯の製造
方法に係り、特に、熱間圧延及びバッチ焼鈍を施したフ
ェライト系ステンレス鋼帯の脱スケール工程及び冷間圧
延工程の生産性及び表面品質を改善したステンレス鋼帯
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス鋼帯は普通鋼と比較し
て加工硬化し易く、冷間圧延での負荷を軽減するために
熱間圧延後に焼鈍処理を行っている。特に、フェライト
系ステンレス鋼帯は、オーステナイト系ステンレス鋼帯
の場合と異なり、長時間の焼鈍を必要とするためバッチ
焼鈍が行われる。このバッチ焼鈍は、バッチ式のベル型
焼鈍炉を用いて、前記フェライト系ステンレス鋼帯を、
2 4%,N2 96%の雰囲気中で、60〜80時間焼
鈍する。この時、熱間圧延時に前記ステンレス鋼帯表面
に生じた厚さ5μm程度の酸化スケールは、還元性雰囲
気ガス中に微量に存在するH2 Oにより更に酸化が進行
し、その厚さが10〜15μm程度の緻密な酸化スケー
ル層に成長する。この酸化スケールは、普通鋼帯の表面
に生成する酸化スケールと比べ、その除去が極めて困難
であることから、ショットブラスト等の機械的脱スケー
ルと複数の酸洗槽による酸洗が必要となり、APライン
(Annealing and Pickling L
ine)を利用して酸化スケールの除去を行っている。
【0003】更に、このステンレス鋼帯の脱スケール工
程では、前記酸洗を行う際に、濃度が20wt%程度の
高濃度な硫酸,硝弗酸及び硝酸等の強酸が必要であり、
しかも長時間の処理が要請されているため、脱スケール
工程が律速段階となり、脱スケールに時間がかかり、生
産性を向上することができない等の問題があった。ま
た、ショットブラスト工程では、ショット粒により鋼帯
表面に凹凸が形成され、当該鋼帯の表面粗度が大きくな
り、更に、酸洗工程で硝弗酸を使用すると、当該鋼帯の
表面が肌荒れし、表面粗度が悪化するという問題もあっ
た。
【0004】また、製品として必要な粗度、光沢、板厚
を得るため、脱スケール工程に続いて行われる冷間圧延
工程では、従来一般に、生産性の向上を図ることが困難
なゼンジマー圧延機が用いられているため、生産性が低
下するという問題があった。即ち、ゼンジマー圧延機
は、APライン通板後の鋼帯表面に生じた大きな凹凸を
低減し、所定の光沢を得るために、小径ロールを使用し
てリバース方式で複数回圧延を繰り返すため、大径ロー
ルを用いたタンデム圧延機による普通鋼の場合に比べ生
産性が悪く、ステンレス鋼帯の冷間圧延工程の生産能力
の向上が妨げられているという問題があった。このよう
に効率の悪い小径ロールで冷間圧延を行う理由は、大径
ロールでは、表面に大きい凹凸が生じたステンレス鋼帯
の表面を美麗に保って薄板に圧延することは困難なため
である。
【0005】そこで、このような問題を解決するため
に、前記問題の主原因となる脱スケール工程の軽減を図
る従来例として、特開昭54−93620号及び特開昭
55−47318号が知られている。特開昭54−93
620号に記載されている従来例は、冷間圧延鋼板コイ
ルを箱型焼鈍する際、当該焼鈍前にアルカリ金属の化合
物、アルカリ土類金属の化合物及びほう酸の酸素化合物
のうち少なくとも1つを主体とする薬剤を前記鋼板コイ
ルに付着してから焼鈍し、酸化スケールと前記化合物を
反応させ、当該酸化スケールを除去し易くすることで脱
スケール工程の軽減を図っている。
【0006】一方、特開昭55−47318号に記載さ
れている従来例は、Crを10%以上含有するCr系ス
テンレス鋼材料を塩化鉄水溶液中に浸漬もしくは塗布し
た後に当該Cr系ステンレス鋼材料を焼鈍することで、
当該Cr系ステンレス鋼の熱処理時に形成される酸化ス
ケールをその後の酸洗工程で容易に除去可能とし、脱ス
ケール工程の軽減を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
54−93620号に記載されている従来例は、冷間圧
延鋼板コイルに塗布するアルカリ又はアルカリ土類金属
の化合物は、一般的に融点が高いため、特に、フェライ
ト系ステンレス鋼帯の焼鈍温度(600〜900℃)に
おいては、前記化合物が鋼帯表面上で安定した固体とし
て存在してしまい、酸化スケールとの反応が進行しにく
い。そして、前記化合物が前記鋼帯表面に付着している
だけでは、当該酸化スケールとの反応効率が非常に悪
い。このため、脱スケールの軽減を十分に図ることがで
きないという問題があった。
【0008】また、特開昭55−47318号に記載さ
れている従来例は、Cr系ステンレス鋼材料を塩化鉄水
溶液中に浸漬もしくは塗布した後に焼鈍するため、熱間
圧延後、コイル状のままバッチ焼鈍されるフェライト系
ステンレス鋼帯の表面に、前記溶液をコイル全長に渡り
均等に塗布することは非常に困難であるため、脱スケー
ルが十分出来ないという問題があった。
【0009】さらに、前記特開昭54−93620号及
び特開昭55−47318号に記載されている従来例
は、いずれも脱スケール後の表面品質(特に粗度)に対
する考慮、及び、冷間圧延での考慮がなされておらず、
脱スケールにおけるコストの低減及び品質の改善、冷間
圧延の効率化等、不十分な点があった。本発明は、この
ような問題を解決することを課題とするものであり、従
来の機械的脱スケール処理及び重酸洗処理を排して脱ス
ケール工程の簡略化を実現し、抜本的なステンレス鋼帯
の品質改善を果たすと共に、生産性の悪いゼンジマー圧
延機の使用を不要とし、ステンレス鋼帯の冷間圧延に普
通鋼と同様のタンデム圧延機の使用を可能として、もっ
てAPラインとその後の冷間圧延工程との双方において
効果的に生産性を向上し、且つ、製品品質を改善可能な
ステンレス鋼帯の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、コイル状でバッチ焼鈍が施されたフェラ
イト系ステンレス鋼帯を焼鈍炉と酸洗装置とを有する連
続焼鈍酸洗ラインにおいてコイルから巻き戻し、前記鋼
帯の表面に生成している酸化スケール中にAl,Fe,
Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン元素
とからなる塩の溶液を浸透させ、次いで前記焼鈍炉にて
前記溶液に含有される塩の融点以上の温度で加熱して冷
却した後、前記酸化スケールをショットブラスト以外で
機械的に除去し、その後、前記酸洗装置にて硝弗酸以外
の酸で酸洗し、しかる後、当該鋼帯をタンデム圧延機に
て冷間圧延することを特徴とするステンレス鋼帯の製造
方法を提供するものである。
【0011】
【作用】熱間圧延後、コイル状でバッチ焼鈍が施された
フェライト系ステンレス鋼帯をコイルから巻き戻し、該
鋼帯の表面に、Al,Fe,Mn及びZn元素のうち少
なくとも一つとハロゲン元素とからなる塩溶液を塗布す
ることで、前記熱間圧延及び焼鈍中に当該鋼帯表面に生
じた全ての酸化スケール層中に、毛細管現象により鋼帯
の地鉄部に至るまで前記溶液を浸透させることが可能と
なる。次いで、前記溶液が塗布された鋼帯を脱スケール
する前に、当該溶液に含有される塩の融点以上の温度
(300〜500℃以上)で前記ステンレス鋼帯を熱処
理することにより、酸化スケールと塩の溶融物との反応
効率が向上し脱スケールし易くなる。
【0012】即ち、前記熱処理により、前記酸化スケー
ル層中に浸透した前記溶液中の水分が、先ず100℃で
蒸発して当該溶液は塩の固形物となり、前記固形物の融
点は、アルカリ土類金属等の融点に比べ非常に低いた
め、当該固形物は200〜300℃前後の非常に低い温
度で溶融状態となり、酸化スケール中に密に拡散してい
く。この時、塩の溶融温度が低いため、塩溶液浸透後の
加熱に必要なエネルギーを節約でき経済的である。次い
で、前記鋼帯が300〜500℃まで加熱されると、前
記溶融した固形物と前記酸化スケールとの間に固−液反
応が生じる。
【0013】この固−液反応により、前記熱間圧延工程
及びバッチ焼鈍工程中に前記フェライト系ステンレス鋼
帯表面に発生したスピネル構造を有する非常に強固な酸
化スケール、例えば、Cr2 3 、Fe3 4 、FeC
2 4 等は、不定形で非常に機械的強度の弱いCr、
Feのハロゲン化物に変化する。また、バッチ焼鈍は高
温で長期間(例えば、2〜3日)に渡って行われるた
め、そのバッチ焼鈍が行われた後のスケール層直下の鋼
帯の地鉄中には、焼鈍中の高温によるスケール成長に伴
い耐蝕性の低いクロム欠乏層が発達しており、そのクロ
ム欠乏層に対して前記溶融した固形物が作用するから、
クロム欠乏層上に形成されているスケールが剥がれやす
くなる。このため、特に、ステンレス鋼帯の脱スケール
工程に必要不可欠であったショットブラスト及び硝弗酸
による酸洗処理を省略しても簡単に前記鋼帯表面から前
記酸化スケールを除去できる。この結果、ショットブラ
スト,硝弗酸での酸洗処理により生じていた鋼帯表面の
品質低下を防ぐことができ、特にステンレス鋼帯に最も
重要な表面粗度が大幅に改善されたフェライト系ステン
レス鋼帯を提供することができる。また、脱スケール効
率を向上できるため、生産性が向上し、さらに、作業環
境も改善することができる。
【0014】また、鋼帯への前記溶液の塗布・浸透は、
既設のAPラインを利用すればよく、さらに当該溶液塗
布後の鋼帯の熱処理もAPラインで直火雰囲気で行える
ため、経済的である。ここで、前記溶液を当該鋼帯の地
鉄部に至るまで浸透させているため、前記熱処理中に、
前記溶融状態となった固形物が当該鋼帯の酸化スケール
層中に密に拡散する。このため、前記熱処理中に使用す
る雰囲気ガス中の酸化性成分(O2 ,H2 O,CO2
が当該鋼帯の地鉄部にまで進入することは物理的に不可
能であり、新たに酸化スケールが成長することはない。
【0015】これより、バッチ焼鈍を施した後のフェラ
イト系ステンレス鋼帯表面の酸化スケールを除去する脱
スケール工程において、ショットブラストや硝弗酸のよ
うに、ステンレス鋼の表面品質を著しく低下させる脱ス
ケール設備が不要となり、特に、ステンレス鋼帯にとっ
て最も重要な表面粗度が大幅に改善される。即ち、従来
の脱スケール設備を使用したステンレス鋼帯の表面粗度
は、Ra=4〜6μmであったが、前記脱スケール設備
を使用しないステンレス鋼帯の表面粗度は、Ra=3μ
m以下に低減することができる。従って、次工程の冷間
圧延、調質圧延の負荷も低減することができる。
【0016】ここで、前記ハロゲン化物を除去する方法
としては、ステンレス鋼帯の表面品質に悪影響を及ぼす
ものでなければ、特に限定するものではないが、発明者
等が検討したところ、ブラシ,ベンディング,砥石等を
用いた機械的脱スケール方法、H2 SO4 ,HNO3
HCl等を用いた化学的脱スケール方法等が挙げられ
る。また、前記機械的脱スケール方法と化学的脱スケー
ル方法とを適宜組み合わせることで効率的な脱スケール
が可能となる。
【0017】また、前記鋼帯をタンデム圧延機の大径ロ
ールにて冷間圧延することで、生産性をさらに向上する
ことができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について図面を参
照して説明する。図1は、本発明の実施例に係る脱スケ
ールラインの構成図、図2は、図1に示すラインの途中
に設置された塩溶液塗布・浸透装置の構成図、図3は、
図2に示す塩溶液がステンレス鋼帯の酸化スケール層中
に存在する亀裂のダル目部分にまで浸透した状態を示す
拡大部分断面図、図4は、図1に示すラインの途中に設
置された酸化スケール除去装置の構成図である。
【0019】図1に示す脱スケールラインでは、熱間圧
延後バッチ焼鈍が施されたステンレス鋼帯Sがペイオフ
リール1に巻かれている。このコイル状に巻回されたス
テンレス鋼帯Sは、APラインにおいて巻き戻されて入
側シャー2により先端部または後端部が切断され、次
に、ウエルダー3において先端部または後端部を溶接さ
れる。次いで、ステンレス鋼帯Sは、入側ルーパ4を経
て溶液塗布・浸透装置21に搬送される。この溶液塗布
・浸透装置21は、図2に示すように、入側案内ロール
25Aにより案内されたステンレス鋼帯Sをタンク22
内のAl,Fe,Mn及びZn元素のうち少なくとも一
つとハロゲン元素とからなる塩溶液(以下、単に「塩溶
液」という)23中に浸漬し、ステンレス鋼帯Sの表面
に塩溶液23を均一に塗布する。その後、ステンレス鋼
帯Sを上下一対の加圧ロール24A,B間で加圧する。
この加圧により、図3に示すように、ステンレス鋼帯S
の地鉄部に至るまで、塩溶液23を表面酸化スケール5
0中に拡散・浸透させる。ここで、表面酸化スケール5
0には亀裂52が生じているため、塩溶液23はこの亀
裂52を介して、毛細管現象により、ステンレス鋼帯S
の素地のダル目部分51まで浸透することになる。な
お、表面酸化スケール50の亀裂52は、主として、ス
テンレス鋼帯Sがペイオフリール1から巻き戻される際
にコイル状態から真っ直ぐな状態に移行することにより
生じ、また、ステンレス鋼帯Sが入側ルーパ4を通過す
る際に屈曲状態と真っ直ぐな状態とを繰り返すことによ
り生じるが、本実施例では、特に加圧ロール24A及び
24Bによってステンレス鋼帯Sを加圧するため、亀裂
52をより確実に生じさせることができる。
【0020】その後、ステンレス鋼帯Sは、出側案内ロ
ール25Bを経て焼鈍炉5を構成する加熱部6に送ら
れ、燃焼ガス雰囲気で塩の融点を越える温度、例えば、
300〜500℃以上の温度で熱処理される。ここで、
酸化スケール50中に浸透している塩溶液23の水分
が、先ず100℃において蒸発し、塩が固形状になる。
さらに加熱温度が上がると固形物は溶融し、酸化スケー
ル50中に密に拡散していき、酸化スケール50との間
で、固−液反応が進行し、機械的強度が弱い反応生成物
(塩化物)33が生じるとともに、バッチ焼鈍中の高温
によるスケール成長 に伴い発達した耐蝕性の低いクロム
欠乏層に対して上記溶融した固形物が作用し、上記反応
生成物は剥がれやすい状態となる。次いで、ステンレス
鋼帯Sは冷却部7に送られ、所定温度まで冷却される。
【0021】次いで、ステンレス鋼帯Sは酸化スケール
除去装置31に送られる。この装置31は、図4に示す
ように、ステンレス鋼帯Sの表面に付着している塩溶液
23と酸化スケール50との反応生成物33を除去する
ための研削ブラシ32が上下に対向して配置されてい
る。この研削ブラシ32がステンレス鋼帯Sの進行方向
に対して回転することにより生じる研削ブラシ32の研
削力により、当該ステンレス鋼帯Sから前記反応生成物
33を除去し、除去された反応生成物33は、水スプレ
ーノズル34により洗い流され、除去装置31の下端に
設置された排出配管35から排出される。このように、
反応生成物33を研削ブラシ32の研削力によりステン
レス鋼帯Sから簡単に除去することができる。このた
め、ショットブラストの必要が無い。
【0022】その後、ステンレス鋼帯Sは、酸洗41
に搬送され、硫酸,塩酸等の硝弗酸以外の酸によりステ
ンレス鋼帯S表面に微量残存する反応生成物33を酸洗
する。次いで、このステンレス鋼帯Sを硝酸槽42に搬
送し、仕上げ酸洗,不動態処理を施す。この時、酸洗
41でステンレス鋼帯Sを酸洗する際、硝弗酸を使用し
ないため、ステンレス鋼帯Sの地鉄部表面が浸食される
ことはない。
【0023】次に、ステンレス鋼帯Sは、洗浄装置1
2、ドライ13を通過し、出側ルーパ14を経て分割
シャー15にて所定寸法に切断されてテンションリール
16に巻き取られる。このように、本実施例では、ステ
ンレス鋼帯Sをバッチ焼鈍した後、巻き戻しながら塩溶
液23を塗布しているため、表裏面の酸化スケール50
の全面に塩溶液23を十分塗布することができる結果、
脱スケール効率を大幅に向上することができる。
【0024】前記脱スケール方法において得られるステ
ンレス鋼帯Sは、表面品質、特に、粗度が優れており、
従来のゼンジマー圧延機等の小径ロールによるリバース
圧延の必要がなく、普通鋼と同じタンデム圧延機の大径
ロールによる圧延が可能となる。このため、冷間圧延に
おいても生産能力の向上が図れる。次に、本発明の具体
的な実施例について説明する。
【0025】図1に示すAPラインを使用して、ステン
レス鋼帯(SUS430;板厚4.0mm,板幅1500
mm)の脱スケールを表1に記載の塩溶液23を使用して
行った。また、表2に示す各設備の出側で、脱スケール
状況を調査し面積率で表現した。この結果を表2に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】熱間圧延後、バッチ焼鈍したステンレス鋼
帯を溶液塗布・浸透装置21に搬送し、表1に示す成分
の塩溶液23をバッチ焼鈍後のステンレス鋼帯表面に塗
布した後、加熱部6に搬送した(鋼帯A〜E)。尚、加
熱部6の温度は、塩が溶融して前記ステンレス鋼帯Sの
酸化スケール50と固−液反応を促進するために、前記
表1に示すような温度とした。
【0028】次いで、加熱部6を出た鋼帯は、冷却部7
に搬送され、その後、酸化スケール除去装置31に至
り、研削ブラシ32を2パス通過させた後、酸洗槽41
に搬送されてH2 SO4 (15%)で酸洗処理された。
その後、ステンレス鋼帯は、硝酸槽42に搬送され、不
動態処理が施された後、洗浄装置12、ドライ13を
通過し、出側ルーパ14を経て分割シャー15にて所定
寸法に切断されてテンションリール16に巻き取られ、
鋼帯A〜Eが得られた。
【0029】次に、本実施例との比較として、前記と同
じステンレス鋼帯(SUS430;板厚4.0mm,板幅
1500mm)を使用し、従来の脱スケール方法である以
下の方法で比較品を作製した。熱間圧延後、バッチ焼鈍
されたステンレス鋼帯に前記表1に示す塩溶液23を塗
布せずに加熱部6に搬送し、次いで冷却部7を経た後、
ショットブラスト、機械的脱スケールを施した。次い
で、鋼帯は酸洗槽41に搬送されてH2 SO4 (15
%)で酸洗処理された後、さらに硝弗酸槽(HF−HN
3 ;15%)で酸洗処理が施された。
【0030】その後、ステンレス鋼帯は、硝酸槽42に
搬送され、不動態処理が施された後、洗浄装置12、ド
ライ13を通過し、出側ルーパ14を経て分割シャー
15にて所定寸法に切断されてテンションリール16に
巻き取られた(比較品)。
【0031】
【表2】
【0032】表2より、表1に示す成分の溶液をステン
レス鋼帯に塗布した後、脱スケール工程を行った鋼帯
(鋼帯A〜E)は、ショットブラスト,機械的脱スケー
ル及び硝弗酸処理を行わなくても、前記溶液を塗布しな
かった比較品に比べ、十分に脱スケールされることが実
証された。これより、ステンレス鋼帯の脱スケール工程
で、ショットブラスト等の機械的脱スケール及び硝弗酸
による酸洗を省略することができる結果、脱スケール工
程の簡略化が可能となり、生産能力を向上することがで
きる。また、前記酸洗処理に使用していた酸を購入する
必要がないため、低コスト化も実現できる。
【0033】次に、鋼帯A〜E及び比較品の表面粗度
(Ra:μm)を測定した。この結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3より、ショットブラスト,機械的脱ス
ケール及び硝弗酸処理を行わなかった鋼帯A〜Eは比較
品に比べ、表面粗度が1〜2μmに低減することが実証
された。この結果、脱スケール後の表面粗度が大幅に改
善されたことがわかる。次に、脱スケール処理を施した
鋼帯A〜Eに、タンデム圧延機60により冷間圧延を施
した後の表面粗度(Ra:μm)を測定した。この時、
板厚が4mmの鋼帯A〜Eを1mmまで圧延した。ま
た、比較として、従来の脱スケール工程後、ゼンジマー
圧延機を使用して冷間圧延した鋼帯(比較品)について
も測定した。この結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】表4より、鋼帯A〜Eの冷間圧延後の粗度
は、従来品と比べ何ら劣ってないことが確認された。こ
れより、冷間圧延において、従来のゼンジマー圧延機の
ような小径ロールによるリバース圧延を施す必要はな
く、普通鋼と同様のタンデム圧延機の大径ロールによる
圧延で、鋼帯に必要な粗度、光沢を得ることができるた
め、生産性を大幅に向上することができる。
【0038】本実施例では、陽イオン及び陰イオンとし
て、表1に示すイオンを使用した塩溶液を鋼帯に塗布し
たが、これに限らず、Al,Fe,Mn及びZn元素を
2つ以上組み合わせて、陽イオン群としても良く、ハロ
ゲン元素を2つ以上組み合わせて陰イオン群としても良
い。また、本実施例では鋼帯として、SUS430を使
用したが、これに限らず、他の鋼帯でも同様の効果を上
げることができる。
【0039】そして、本実施例では、溶液塗布・浸透装
置21は、図2に示すような構造のものを使用したが、
これに限定されるものではなく、スプレー式,ファウン
テン式,バーコート式等でも良い。また、酸化スケール
除去装置31では、研削ブラシ32による機械的脱スケ
ールを行ったが、べンディングロール,砥石,研削ブラ
シとベンディングロールを兼用したもの等、鋼帯の表面
品質に悪影響を与えないものであれば良い。
【0040】また、酸洗槽41では、硫酸を使用した
が、塩酸、硝酸等を使用しても良く、また前記機械的脱
スケールと組み合わせることで、より効率良く脱スケー
ルを行うことが可能となる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
バッチ焼鈍を施した後のフェライト系ステンレス鋼を連
続焼鈍酸洗ラインにおいてコイルから巻き戻し、ステン
レス鋼帯表面に形成された酸化スケール中にAl,F
e,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン
元素とからなる塩の溶液を浸透させ、次いで前記溶液に
含有される塩の融点以上の温度で加熱して冷却した後、
前記酸化スケールをショットブラスト以外で機械的に除
去し、その後、硝弗酸以外の酸洗することによって脱ス
ケールすることで、鋼帯の酸化を防止し、酸化スケール
の機械的強度を低下することができる。このため、ショ
ットブラスト、強酸による酸洗処理を省略して脱スケー
ル工程を簡略化することができる結果、生産性を向上す
ることができ、且つ、脱スケール後の鋼帯の表面品質を
極めて良好にすることができる。
【0042】また、前記鋼帯をタンデム圧延機の大径ロ
ールにて冷間圧延することが可能となるので、生産性を
さらに向上することができる。さらに、バッチ焼鈍され
た後のコイル状の鋼帯を、連続焼鈍酸洗ライン(AP
イン)にて巻き戻しながら鋼帯表面の酸化スケール中に
塩の溶液を浸透させ、その加熱は当該APラインの焼鈍
炉で行い、酸洗は当該APラインの酸洗装置で行うた
め、コイル状であるバッチ焼鈍後の鋼帯の取扱が容易で
あるとともに、既設のAPラインを利用すれば設備コス
トが嵩むこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る脱スケールラインの構成
図である。
【図2】図1における溶液塗布浸透装置の拡大構成図で
ある。
【図3】鋼帯表面に構成された酸化スケール層中に塩溶
液が浸透する状態を示す拡大断面図である。
【図4】図1における酸化スケール除去装置の拡大構成
図である。
【符号の説明】
5 焼鈍炉 6 加熱部 7 冷却部 21 溶液塗布浸透装置 22 タンク 23 塩溶液 24 加圧ロール 31 酸化スケール除去装置 32 研削ブラシ 33 反応生成物 41 酸洗槽 50 酸化スケール 51 ダル目部分 52 亀裂 60 タンデム圧延機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−47318(JP,A) 特公 昭53−1733(JP,B2) 特公 昭54−27827(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コイル状でバッチ焼鈍が施されたフェラ
    イト系ステンレス鋼帯を、焼鈍炉と酸洗装置とを有する
    連続焼鈍酸洗ラインにおいてコイルから巻き戻し、前記
    鋼帯の表面に生成している酸化スケール中にAl,F
    e,Mn及びZn元素のうち少なくとも一つとハロゲン
    元素とからなる塩の溶液を浸透させ、次いで前記焼鈍炉
    にて前記溶液に含有される塩の融点以上の温度で加熱し
    て冷却した後、前記酸化スケールをショットブラスト以
    外で機械的に除去し、その後、前記酸洗装置にて硝弗酸
    以外の酸で酸洗し、しかる後、当該鋼帯をタンデム圧延
    機にて冷間圧延することを特徴とするステンレス鋼帯の
    製造方法。
JP3171261A 1991-07-11 1991-07-11 ステンレス鋼帯の製造方法 Expired - Lifetime JP2583366B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3171261A JP2583366B2 (ja) 1991-07-11 1991-07-11 ステンレス鋼帯の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3171261A JP2583366B2 (ja) 1991-07-11 1991-07-11 ステンレス鋼帯の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0517888A JPH0517888A (ja) 1993-01-26
JP2583366B2 true JP2583366B2 (ja) 1997-02-19

Family

ID=15920053

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3171261A Expired - Lifetime JP2583366B2 (ja) 1991-07-11 1991-07-11 ステンレス鋼帯の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2583366B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4824825A (en) * 1986-11-18 1989-04-25 Mitsubishi Paper Mills, Ltd. Color developer sheet for pressure-sensitive recording
DE19750817C2 (de) * 1997-11-17 2003-03-20 Sms Demag Ag Verfahren zur Verbesserung der Oberflächenqualität einer stranggegossenen Bramme
KR100481371B1 (ko) * 2000-12-13 2005-04-07 주식회사 포스코 산세조의 쌍방향 와류발생장치

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS531733A (en) * 1976-06-28 1978-01-10 San Toreedeingu Kk Noise preventing apparatus for ignition energy augument apparatus
JPS5427827A (en) * 1977-07-29 1979-03-02 Hiroshi Nasuda Method of working cattail far
JPS5547318A (en) * 1978-10-02 1980-04-03 Nippon Steel Corp Pretreating method for annealing of cr stainless steel

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0517888A (ja) 1993-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2613317B2 (ja) ステンレス鋼帯の焼鈍・脱スケール方法
JP3888396B2 (ja) 圧延ステンレス鋼板の連続製造方法と、それを実施するための製造ライン
US8057604B2 (en) Method and device for descaling metal strip
EP0664340A2 (en) Continuous method for producing final gauge stainless steel product
US5804056A (en) Process and apparatus for producing strip products from stainless steel
JP2583366B2 (ja) ステンレス鋼帯の製造方法
US5725696A (en) Process and plant for production of raw stainless steel castings
CN107923050B (zh) 用于优化高强度碳钢合金的氧化皮调节方法
JP2588995B2 (ja) 鋼帯の脱スケール方法
JP3506127B2 (ja) 酸洗後の表面性状に優れる熱延鋼帯の酸洗方法
JP2001026826A (ja) ステンレス熱延鋼帯の製造方法
JP3598981B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼板及びその製造法
JP3370618B2 (ja) ステンレス鋼冷間圧延鋼帯の酸洗方法
JP2006502003A (ja) 金属ストリップを連続的に製造する方法と装置
JP2726173B2 (ja) ステンレス鋼帯の焼鈍・脱スケール方法及び装置
JPH0525666A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法
JPH07122101B2 (ja) ステンレス鋼帯の製造方法
JP2001314912A (ja) 熱間圧延された金属ストリップ或いは薄板を表面処理する方法と装備
JPH07102315A (ja) ステンレス鋼帯のデスケーリング方法
JPH08108210A (ja) 薄スケール熱延フェライト系ステンレス鋼帯の製造方法
JP2768221B2 (ja) 金属ストリップ用コイルグラインダー装置
JPS6324035A (ja) 鋼板の製造方法
JPH09125150A (ja) 表面光沢に優れたステンレス冷延鋼板の製造方法及び その製造装置
JPS61153291A (ja) ステンレス鋼の処理方法
JPH10146601A (ja) 熱延連続化プロセスを用いた薄スケール熱延鋼板の製造方法