JPH0790603A - 加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料 - Google Patents
加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料Info
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- JPH0790603A JPH0790603A JP19741693A JP19741693A JPH0790603A JP H0790603 A JPH0790603 A JP H0790603A JP 19741693 A JP19741693 A JP 19741693A JP 19741693 A JP19741693 A JP 19741693A JP H0790603 A JPH0790603 A JP H0790603A
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- aluminum material
- corrosion resistance
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Abstract
(57)【要約】
【目的】加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優
れた表面処理アルミニウム材料の提供。 【構成】表面酸化膜厚を１５０Å以下に調節したアルミ
ニウム合金基板上に、金属Ｃｒ換算で５〜５０ｍｇ／ｍ
2 のクロメート層を有し、さらにその上に比表面積が８
００ｍ2 ／ｇ以上のカーボンブラックを１〜４０重量部
含有し、さらに粉末状潤滑剤を１〜３０重量部含有する
固形潤滑皮膜を乾燥膜厚として０．１〜５．０μｍ有す
る加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表
面処理アルミニウム材料。クロメート層中のアルカリ可
溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ水溶液、６０℃、５分間浸漬）
量が３ｍｇ／ｍ2 以下である。固形潤滑皮膜が、アルカ
リ脱脂によって容易に除去され得るプレコートワックス
またはアクリル樹脂共重合体を主成分とした皮膜であ
る。粉末状潤滑剤は、平均粒径が０．１〜１０μｍのワ
ックスおよび／またはフッ素系樹脂でありかつその平均
粒径が前記乾燥膜厚の１．０〜１０倍である。
れた表面処理アルミニウム材料の提供。 【構成】表面酸化膜厚を１５０Å以下に調節したアルミ
ニウム合金基板上に、金属Ｃｒ換算で５〜５０ｍｇ／ｍ
2 のクロメート層を有し、さらにその上に比表面積が８
００ｍ2 ／ｇ以上のカーボンブラックを１〜４０重量部
含有し、さらに粉末状潤滑剤を１〜３０重量部含有する
固形潤滑皮膜を乾燥膜厚として０．１〜５．０μｍ有す
る加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表
面処理アルミニウム材料。クロメート層中のアルカリ可
溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ水溶液、６０℃、５分間浸漬）
量が３ｍｇ／ｍ2 以下である。固形潤滑皮膜が、アルカ
リ脱脂によって容易に除去され得るプレコートワックス
またはアクリル樹脂共重合体を主成分とした皮膜であ
る。粉末状潤滑剤は、平均粒径が０．１〜１０μｍのワ
ックスおよび／またはフッ素系樹脂でありかつその平均
粒径が前記乾燥膜厚の１．０〜１０倍である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、主としてプレス成形加
工およびスポット抵抗溶接により加工される自動車、家
電、建材、缶材用等のアルミニウムまたはアルミニウム
合金板（以下アルミニウム合金板とする）の加工性、溶
接性、耐食性を向上させたアルミニウム合金板などのア
ルミニウム材料に関する。
工およびスポット抵抗溶接により加工される自動車、家
電、建材、缶材用等のアルミニウムまたはアルミニウム
合金板（以下アルミニウム合金板とする）の加工性、溶
接性、耐食性を向上させたアルミニウム合金板などのア
ルミニウム材料に関する。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウム合金板は自動車、家電、建
材、ＯＡ機器、缶材用等の分野で広く使用されており、
これらの製造工程においてプレス加工およびスポット抵
抗溶接されることが多い。一般にこれらのプレス加工時
には潤滑油を塗布して加工しており、以下の問題点があ
った。
材、ＯＡ機器、缶材用等の分野で広く使用されており、
これらの製造工程においてプレス加工およびスポット抵
抗溶接されることが多い。一般にこれらのプレス加工時
には潤滑油を塗布して加工しており、以下の問題点があ
った。
【０００３】（１）潤滑油はスプレーで塗布されること
が多く、潤滑油が周辺に飛散し作業環境が悪くなる。 （２）プレス加工後は潤滑油を除去する必要があるが、
この脱脂工程に溶剤（フロン、１，１，１−トリクロル
エタン等）を使用したり、アルカリ洗浄剤を使用するた
め公害防止対策が必要でコストアップとなりかつ作業環
境も悪くなり易い。
が多く、潤滑油が周辺に飛散し作業環境が悪くなる。 （２）プレス加工後は潤滑油を除去する必要があるが、
この脱脂工程に溶剤（フロン、１，１，１−トリクロル
エタン等）を使用したり、アルカリ洗浄剤を使用するた
め公害防止対策が必要でコストアップとなりかつ作業環
境も悪くなり易い。
【０００４】このような背景の下で塗油、脱脂工程を省
略できる技術として缶材用に開発されたワックスのみを
表面に塗布した従来技術（例えば特開平２−３１０３
６、特開平３−１８０２１８号公報）では、ワックスの
塗布量が少ないと加工性が充分でなく、また塗布量が多
いと金型を汚染するため、幅広い分野に使用できずかつ
プレス後にアルミニウム合金板の金属表面が露出するた
め、そのまま使用すると耐食性に問題を生じる場合もあ
った。またこれら固形潤滑剤の塗布はスポット抵抗溶接
性を低下させる欠点もあった。
略できる技術として缶材用に開発されたワックスのみを
表面に塗布した従来技術（例えば特開平２−３１０３
６、特開平３−１８０２１８号公報）では、ワックスの
塗布量が少ないと加工性が充分でなく、また塗布量が多
いと金型を汚染するため、幅広い分野に使用できずかつ
プレス後にアルミニウム合金板の金属表面が露出するた
め、そのまま使用すると耐食性に問題を生じる場合もあ
った。またこれら固形潤滑剤の塗布はスポット抵抗溶接
性を低下させる欠点もあった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】これらワックスを塗布
することによる加工性の改善を行う従来技術では、種々
の異なる加工条件で安定的効果を得ることが困難で、か
つ加工後の耐食性が問題となる場合があった。さらにス
ポット抵抗溶接性を低下させる欠点もあった。
することによる加工性の改善を行う従来技術では、種々
の異なる加工条件で安定的効果を得ることが困難で、か
つ加工後の耐食性が問題となる場合があった。さらにス
ポット抵抗溶接性を低下させる欠点もあった。
【０００６】本発明はこれらの従来技術の欠点を克服す
るため、優れた加工性を確保するとともに、充分なスポ
ット抵抗溶接性、耐食性を有する表面処理アルミニウム
材料を提供することを目的とする。
るため、優れた加工性を確保するとともに、充分なスポ
ット抵抗溶接性、耐食性を有する表面処理アルミニウム
材料を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記従来技
術の欠点を克服するため鋭意研究を行った結果、導電性
改善のため添加する導電剤のうちで加工性に与える影響
が最も小さいものがカーボンブラックで、かつカーボン
ブラックの比表面積と加工性及び導電性との間に一定の
関係があることを見いだして本発明に至ったものであ
る。
術の欠点を克服するため鋭意研究を行った結果、導電性
改善のため添加する導電剤のうちで加工性に与える影響
が最も小さいものがカーボンブラックで、かつカーボン
ブラックの比表面積と加工性及び導電性との間に一定の
関係があることを見いだして本発明に至ったものであ
る。
【０００８】すなわち、本発明によれば、表面酸化膜厚
を１５０Å以下に調節したアルミニウム合金基板上に、
金属Ｃｒ換算で５〜５０ｍｇ／ｍ2 のクロメート層を有
し、さらにその上に比表面積が８００ｍ2 ／ｇ以上のカ
ーボンブラックを１〜４０重量部含有し、さらに粉末状
潤滑剤を１〜３０重量部含有する固形潤滑皮膜を乾燥膜
厚として０．１〜５．０μｍ有することを特徴とする加
工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処
理アルミニウム材料が提供される。
を１５０Å以下に調節したアルミニウム合金基板上に、
金属Ｃｒ換算で５〜５０ｍｇ／ｍ2 のクロメート層を有
し、さらにその上に比表面積が８００ｍ2 ／ｇ以上のカ
ーボンブラックを１〜４０重量部含有し、さらに粉末状
潤滑剤を１〜３０重量部含有する固形潤滑皮膜を乾燥膜
厚として０．１〜５．０μｍ有することを特徴とする加
工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処
理アルミニウム材料が提供される。
【０００９】ここで、クロメート処理は塗布型、反応型
または電解型等、通常使用されているいずれの方法でも
よいが、クロメート皮膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％
ＮａＯＨ水溶液、６０℃、５分間浸漬）量が３ｍｇ／ｍ
2 以下であることが好ましい。このために安定化処理を
施す。
または電解型等、通常使用されているいずれの方法でも
よいが、クロメート皮膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％
ＮａＯＨ水溶液、６０℃、５分間浸漬）量が３ｍｇ／ｍ
2 以下であることが好ましい。このために安定化処理を
施す。
【００１０】また固形潤滑皮膜の基体はアルカリ可溶性
のプレコートワックスまたはアクリル共重合体樹脂であ
るのが好ましく、粉末状潤滑剤は平均粒径が０．１〜１
０μｍのワックスおよび／またはフッ素系樹脂でありか
つその平均粒径が前記乾燥膜厚の１．０〜１０倍である
ことが好ましい。
のプレコートワックスまたはアクリル共重合体樹脂であ
るのが好ましく、粉末状潤滑剤は平均粒径が０．１〜１
０μｍのワックスおよび／またはフッ素系樹脂でありか
つその平均粒径が前記乾燥膜厚の１．０〜１０倍である
ことが好ましい。
【００１１】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明におけるアルミニウム材料とは、ＪＩＳ Ｈ４００
０に規定されるアルミニウム材料、および自動車、家
電、建材、缶材用等のプレス成形加工により加工される
アルミニウムまたはアルミニウム合金板を広く包含する
ものである。
発明におけるアルミニウム材料とは、ＪＩＳ Ｈ４００
０に規定されるアルミニウム材料、および自動車、家
電、建材、缶材用等のプレス成形加工により加工される
アルミニウムまたはアルミニウム合金板を広く包含する
ものである。
【００１２】本発明においては、スポット抵抗溶接性を
向上させるために、アルミニウム合金板表面に存在する
酸化膜の厚さを１５０Å以下に調節する必要がある。こ
のための処理方法としては特に規定しないが、例えばカ
セイソーダ、カセイカリ等のアルカリ水溶液中に浸漬す
るアルカリエッチング処理、硝酸、硫酸、フッ酸、硝酸
＋フッ酸等の酸性水溶液中に浸漬する酸洗処理等があ
る。
向上させるために、アルミニウム合金板表面に存在する
酸化膜の厚さを１５０Å以下に調節する必要がある。こ
のための処理方法としては特に規定しないが、例えばカ
セイソーダ、カセイカリ等のアルカリ水溶液中に浸漬す
るアルカリエッチング処理、硝酸、硫酸、フッ酸、硝酸
＋フッ酸等の酸性水溶液中に浸漬する酸洗処理等があ
る。
【００１３】アルミニウム合金板は一般に耐食性に優れ
ているが、糸錆とよばれる糸状の塗膜下腐食の発生が問
題となる。糸錆が発生すると外観が悪くなるため、商品
価値を著しく低下させることから、本発明では上記のよ
うに酸化膜の厚さを１５０Å以下に調節したアルミニウ
ム合金板上にクロメート処理を行う。
ているが、糸錆とよばれる糸状の塗膜下腐食の発生が問
題となる。糸錆が発生すると外観が悪くなるため、商品
価値を著しく低下させることから、本発明では上記のよ
うに酸化膜の厚さを１５０Å以下に調節したアルミニウ
ム合金板上にクロメート処理を行う。
【００１４】クロメート処理は塗布型、反応型または電
解型等、通常使用されているいずれの方法でもよいが、
クロメート皮膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ
水溶液、６０℃、５分間浸漬）量が３ｍｇ／ｍ2 を越え
ると未塗装での使用や塗装前処理工程で６価クロムの溶
出が問題となるため、安定化処理を行ってクロメート皮
膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ水溶液、６０
℃、５分間浸漬）量を３ｍｇ／ｍ2 以下とする。クロメ
ートの安定化処理はクロメートの溶出量を減少できれば
よく特に限定しないが、例えばクロメート処理後に５％
Ｈ2 Ｏ2 水溶液で洗浄後乾燥する方法や加温したエタノ
ール溶液で洗浄後乾燥する等の方法がある。
解型等、通常使用されているいずれの方法でもよいが、
クロメート皮膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ
水溶液、６０℃、５分間浸漬）量が３ｍｇ／ｍ2 を越え
ると未塗装での使用や塗装前処理工程で６価クロムの溶
出が問題となるため、安定化処理を行ってクロメート皮
膜中のアルカリ可溶性Ｃｒ（３％ＮａＯＨ水溶液、６０
℃、５分間浸漬）量を３ｍｇ／ｍ2 以下とする。クロメ
ートの安定化処理はクロメートの溶出量を減少できれば
よく特に限定しないが、例えばクロメート処理後に５％
Ｈ2 Ｏ2 水溶液で洗浄後乾燥する方法や加温したエタノ
ール溶液で洗浄後乾燥する等の方法がある。
【００１５】またクロメート量が金属Ｃｒ換算で５ｍｇ
／ｍ2 未満では糸錆防止効果が充分でなく、５０ｍｇ／
ｍ2 を越えるとスポット抵抗溶接性が低下するため、金
属Ｃｒ換算で５ｍｇ／ｍ2 〜５０ｍｇ／ｍ2 とした。
／ｍ2 未満では糸錆防止効果が充分でなく、５０ｍｇ／
ｍ2 を越えるとスポット抵抗溶接性が低下するため、金
属Ｃｒ換算で５ｍｇ／ｍ2 〜５０ｍｇ／ｍ2 とした。
【００１６】次に固形潤滑層としては金属板との密着性
が良好なプレコートワックスまたはアクリル樹脂共重合
体を主成分とした混合物もしくは共重合体が好ましい。
これらの固形潤滑皮膜の乾燥膜厚は０．１μｍ未満では
充分な加工性を確保できず、また５．０μｍを超えると
導電性の確保が困難になるので０．１〜５．０μｍの範
囲に限定した。より好ましい範囲は０．２〜１．０μｍ
である。
が良好なプレコートワックスまたはアクリル樹脂共重合
体を主成分とした混合物もしくは共重合体が好ましい。
これらの固形潤滑皮膜の乾燥膜厚は０．１μｍ未満では
充分な加工性を確保できず、また５．０μｍを超えると
導電性の確保が困難になるので０．１〜５．０μｍの範
囲に限定した。より好ましい範囲は０．２〜１．０μｍ
である。
【００１７】次に樹脂中に添加されるカーボンブラック
は比表面積が８００ｍ2 ／ｇ未満では充分な加工性、ス
ポット抵抗溶接性を確保するのが困難であり、添加量と
しては樹脂１００重量部に対して１重量部未満では充分
な加工性、スポット抵抗溶接性向上効果が得られず、４
０重量部を超える添加は樹脂の凝集力を低下させパウダ
リングを発生させ易くするため比表面積は８００ｍ2 ／
ｇ以上に、添加量は１〜４０重量部に限定した。
は比表面積が８００ｍ2 ／ｇ未満では充分な加工性、ス
ポット抵抗溶接性を確保するのが困難であり、添加量と
しては樹脂１００重量部に対して１重量部未満では充分
な加工性、スポット抵抗溶接性向上効果が得られず、４
０重量部を超える添加は樹脂の凝集力を低下させパウダ
リングを発生させ易くするため比表面積は８００ｍ2 ／
ｇ以上に、添加量は１〜４０重量部に限定した。
【００１８】粉末状潤滑剤は合成ワックスまたはフッ素
系樹脂あるいはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
系樹脂あるいはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【００１９】合成ワックスとしては例えばポリエチレン
ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワック
ス等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、例
えばポリ４フッ化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹
脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等を挙げることができ
る。
ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワック
ス等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、例
えばポリ４フッ化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹
脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等を挙げることができ
る。
【００２０】これらの潤滑剤の平均粒径が０．１〜１０
μｍでかつ固形潤滑皮膜の乾燥膜厚の１．０〜１０倍の
範囲で用いるのが好ましい。潤滑剤の平均粒径が前記乾
燥膜厚に比べて過小では潤滑性が不十分であり、また過
大では潤滑剤の脱落が起こり易くなり充分な加工性が得
られなくなる。より好ましい範囲は乾燥膜厚の１．５〜
５倍である。
μｍでかつ固形潤滑皮膜の乾燥膜厚の１．０〜１０倍の
範囲で用いるのが好ましい。潤滑剤の平均粒径が前記乾
燥膜厚に比べて過小では潤滑性が不十分であり、また過
大では潤滑剤の脱落が起こり易くなり充分な加工性が得
られなくなる。より好ましい範囲は乾燥膜厚の１．５〜
５倍である。
【００２１】また添加量としては１重量部未満の添加で
は加工性、潤滑性向上の効果が充分でなく３０重量部超
の添加では塗布液の粘度を上げ、塗布作業に不都合を生
じるため１〜３０重量部の範囲に限定した。
は加工性、潤滑性向上の効果が充分でなく３０重量部超
の添加では塗布液の粘度を上げ、塗布作業に不都合を生
じるため１〜３０重量部の範囲に限定した。
【００２２】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 （実施例）試験片としてはＪＩＳ Ａ５１８２ 板厚１
ｍｍのアルミニウム合金板を用いた。上記アルミニウム
合金板を１，１，１−トリクロルエタンで蒸気脱脂した
後、下記の（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す酸化膜調整処
理、表１に示すクロメート処理および安定化処理を行っ
た。クロメート処理はロールコーターでクロメートを塗
布し１２０℃で乾燥・焼付けを行った。この表の酸化膜
厚はＥＳＣＡを用いて測定した値である。表１の処理を
行った後、さらに表２に示す固形潤滑皮膜処理を行っ
た。 （ａ）５％ＮａＯＨ，６０℃，３０ｓｅｃ （ｂ）３０％ＨＮＯ3 ，室温，３０ｓｅｃ （ｃ）１０％Ｈ2 ＳＯ4 ，室温，３０ｓｅｃ なお本実施例で使用したクロメート、カーボンブラッ
ク、有機樹脂、潤滑剤は以下のものを使用した。また、
得られた材料につき下記の評価試験を行なった。
する。 （実施例）試験片としてはＪＩＳ Ａ５１８２ 板厚１
ｍｍのアルミニウム合金板を用いた。上記アルミニウム
合金板を１，１，１−トリクロルエタンで蒸気脱脂した
後、下記の（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す酸化膜調整処
理、表１に示すクロメート処理および安定化処理を行っ
た。クロメート処理はロールコーターでクロメートを塗
布し１２０℃で乾燥・焼付けを行った。この表の酸化膜
厚はＥＳＣＡを用いて測定した値である。表１の処理を
行った後、さらに表２に示す固形潤滑皮膜処理を行っ
た。 （ａ）５％ＮａＯＨ，６０℃，３０ｓｅｃ （ｂ）３０％ＨＮＯ3 ，室温，３０ｓｅｃ （ｃ）１０％Ｈ2 ＳＯ4 ，室温，３０ｓｅｃ なお本実施例で使用したクロメート、カーボンブラッ
ク、有機樹脂、潤滑剤は以下のものを使用した。また、
得られた材料につき下記の評価試験を行なった。
【００２３】 （クロメート） 塗布型クロメート；日本パーカライジング社製 ４５１３Ｈ （固形潤滑皮膜樹脂） プレコートワックス 花王株式会社製 カオールーブ Ｗ−２ アクリル樹脂 日本油脂株式会社製 ミルボンド ＭＣ−５６０Ｊ （カーボンブラック） ；三菱化成社製 ＣＦ９ 比表面積 ６０ｍ2 ／ｇ ；三菱化成社製 ＭＡ８ １３７ｍ2 ／ｇ ；三菱化成社製 ＃１０００ ２００ｍ2 ／ｇ ；三菱化成社製 ＃２４００ ２８０ｍ2 ／ｇ ；三菱化成社製 ＃３７５０ ８００ｍ2 ／ｇ ；三菱化成社製 ＃３９５０ １５００ｍ2 ／ｇ ；ケッチェンブラック社製 ＥＣ ８００ｍ2 ／ｇ ；ケッチェンブラック社製 ＥＣ６００ＪＤ １２７０ｍ2 ／ｇ ；自家製 アセチレンブラック ５６０ｍ2 ／ｇ なお比表面積は窒素吸着法により求めたものである。 （潤滑剤） ワックス１ サンノプコ社製 ＳＬ９２ 平均粒径 ２７μｍ ワックス２ サンノプコ社製 ＳＬ４１７ １４μｍ ワックス３ サンノプコ社製 ＳＬ５３０ ６μｍ ワックス４ サンノプコ社製 ＳＬ６００ １．２μｍ フッ素樹脂１ 旭ガラス社製 ＡＤ１ ８μｍ フッ素樹脂２ ダイキン工業社製 ルブロン ０．２μｍ
【００２４】（加工性および摺動性の試験と評価方法）
表面処理後の試験片の加工性は、塗油なしで平面摺動試
験（２００ｋｇ／ｃｍ2 、１００ｍｍ／ｓｅｃ）と径３
３ｍｍφの高速円筒絞り加工（加工速度５００ｍｍ／ｓ
ｅｃ）を行い、摩擦係数（μ）と限界絞り比（ＬＤＲ）
により評価した。 μによる評価 ○；０．１５未満 △；０．１５以上０．２未満 ×；０．２以上 ＬＤＲによる評価 ○；１．９６以上 △；１．９０以上１．９６未満 ×；１．９０未満
表面処理後の試験片の加工性は、塗油なしで平面摺動試
験（２００ｋｇ／ｃｍ2 、１００ｍｍ／ｓｅｃ）と径３
３ｍｍφの高速円筒絞り加工（加工速度５００ｍｍ／ｓ
ｅｃ）を行い、摩擦係数（μ）と限界絞り比（ＬＤＲ）
により評価した。 μによる評価 ○；０．１５未満 △；０．１５以上０．２未満 ×；０．２以上 ＬＤＲによる評価 ○；１．９６以上 △；１．９０以上１．９６未満 ×；１．９０未満
【００２５】（溶接性試験と評価方法）溶接性は下記の
溶接機、電極、及び溶接条件にて試験した。評価は溶着
するまでの打点数またはナゲット径が４√ｔ（ｔ：板
厚）を下回るまでの打点数のいずれかの少ない打点数で
その効果を判定した。 （溶接機）インバータ式直流溶接機 （電極） ・形状：円錘台頭（ＣＦ）型 ・先端径；５．０ｍｍφ ・材質：Ｃｕ−Ｃｒ （溶接条件） ・加圧：１５０ｋｇｆ ・初期加圧時間：２０／５０秒 ・通電時間：６／５０秒 ・保持時間：５／５０秒 ・溶接電流：１５ｋＡ ○；１０００点以上 △；５００以上１０００点未満 ×；５００点未満
溶接機、電極、及び溶接条件にて試験した。評価は溶着
するまでの打点数またはナゲット径が４√ｔ（ｔ：板
厚）を下回るまでの打点数のいずれかの少ない打点数で
その効果を判定した。 （溶接機）インバータ式直流溶接機 （電極） ・形状：円錘台頭（ＣＦ）型 ・先端径；５．０ｍｍφ ・材質：Ｃｕ−Ｃｒ （溶接条件） ・加圧：１５０ｋｇｆ ・初期加圧時間：２０／５０秒 ・通電時間：６／５０秒 ・保持時間：５／５０秒 ・溶接電流：１５ｋＡ ○；１０００点以上 △；５００以上１０００点未満 ×；５００点未満
【００２６】（Ｃｒ溶出性試験と評価法）試料を１００
×２００ｍｍに切断後、端面をシールし、３％ＮａＯ
Ｈ、６０℃、５分間浸漬し、試料表面より溶出したＣｒ
イオン量を原子吸光分析法にて測定し、以下の基準で評
価した。 ○；Ｃｒ溶出量が３ｍｇ／ｍ2 以下 ×；Ｃｒ溶出量が３ｍｇ／ｍ2 超
×２００ｍｍに切断後、端面をシールし、３％ＮａＯ
Ｈ、６０℃、５分間浸漬し、試料表面より溶出したＣｒ
イオン量を原子吸光分析法にて測定し、以下の基準で評
価した。 ○；Ｃｒ溶出量が３ｍｇ／ｍ2 以下 ×；Ｃｒ溶出量が３ｍｇ／ｍ2 超
【００２７】（耐食性試験と評価法）カチオン電着塗装
（日本ペイント社製Ｕ−６００、２０μｍ）、中塗り
（関西ペイント社製ＫＰＸ５０、３５μｍ）、上塗り塗
装（関西ペイント社製Ｂ５３１、３５μｍ）を施した試
験片（７０×１５０ｍｍ）に、ＡＳＴＭ Ｄ２８０３に
規定されている糸錆腐食試験法に準拠して、素地に達す
るクロスカット傷を施し、６週間試験を行い、クロスカ
ット傷部からの糸錆長さで評価した。 ○；糸錆長さ １ｍｍ未満 △；糸錆長さ １以上２ｍｍ未満 ×；糸錆長さ ２ｍｍ以上 評価試験結果を表３に示す。
（日本ペイント社製Ｕ−６００、２０μｍ）、中塗り
（関西ペイント社製ＫＰＸ５０、３５μｍ）、上塗り塗
装（関西ペイント社製Ｂ５３１、３５μｍ）を施した試
験片（７０×１５０ｍｍ）に、ＡＳＴＭ Ｄ２８０３に
規定されている糸錆腐食試験法に準拠して、素地に達す
るクロスカット傷を施し、６週間試験を行い、クロスカ
ット傷部からの糸錆長さで評価した。 ○；糸錆長さ １ｍｍ未満 △；糸錆長さ １以上２ｍｍ未満 ×；糸錆長さ ２ｍｍ以上 評価試験結果を表３に示す。
【００２８】
【表１】
【００２９】
【表２】
【００３０】
【表３】
【００３１】
【表４】
【００３２】
【００３３】
【００３４】
【００３５】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば酸
化膜厚を調節したアルミニウム合金板表面上にクロメー
ト皮膜を形成し、この上にカーボンブラックと粉末状潤
滑剤を含み、アルカリ脱脂によって容易に除去され得る
固形潤滑皮膜を形成することによって、摺動性、プレス
加工性、スポット溶接性、耐食性が著しく改善される。
これによって、プレス加工およびスポット抵抗溶接され
る自動車、家電、建材、缶材用等の生産性が著しく向上
し、かつ塗油・脱脂工程の省略も可能となるので環境改
善にも有効である。
化膜厚を調節したアルミニウム合金板表面上にクロメー
ト皮膜を形成し、この上にカーボンブラックと粉末状潤
滑剤を含み、アルカリ脱脂によって容易に除去され得る
固形潤滑皮膜を形成することによって、摺動性、プレス
加工性、スポット溶接性、耐食性が著しく改善される。
これによって、プレス加工およびスポット抵抗溶接され
る自動車、家電、建材、缶材用等の生産性が著しく向上
し、かつ塗油・脱脂工程の省略も可能となるので環境改
善にも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸 塚 信 夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 上 杉 康 治 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 馬 渕 昌 樹 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 橋 口 耕 一 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 難波江 元 広 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河アルミニウム工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項１】表面酸化膜厚を１５０Å以下に調節したア
ルミニウム合金基板上に、金属Ｃｒ換算で５〜５０ｍｇ
／ｍ2 のクロメート層を有し、さらにその上に比表面積
が８００ｍ2 ／ｇ以上のカーボンブラックを１〜４０重
量部含有し、さらに粉末状潤滑剤を１〜３０重量部含有
する固形潤滑皮膜を乾燥膜厚として０．１〜５．０μｍ
有することを特徴とする加工性、スポット抵抗溶接性お
よび耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料。 - 【請求項２】前記クロメート層中のアルカリ可溶性Ｃｒ
（３％ＮａＯＨ水溶液、６０℃、５分間浸漬）量が３ｍ
ｇ／ｍ2 以下である請求項１に記載の加工性、スポット
抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム
材料。 - 【請求項３】前記固形潤滑皮膜が、アルカリ脱脂によっ
て容易に除去され得るプレコートワックスまたはアクリ
ル樹脂共重合体を主成分とした皮膜である請求項１また
は２に記載の加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性
に優れた表面処理アルミニウム材料。 - 【請求項４】前記粉末状潤滑剤は、平均粒径が０．１〜
１０μｍのワックスおよび／またはフッ素系樹脂であり
かつその平均粒径が前記乾燥膜厚の１．０〜１０倍であ
る請求項１〜３のいずれかに記載の加工性、スポット抵
抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材
料。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19741693A JPH0790603A (ja) | 1993-08-09 | 1993-08-09 | 加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19741693A JPH0790603A (ja) | 1993-08-09 | 1993-08-09 | 加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0790603A true JPH0790603A (ja) | 1995-04-04 |
Family
ID=16374159
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19741693A Withdrawn JPH0790603A (ja) | 1993-08-09 | 1993-08-09 | 加工性、スポット抵抗溶接性および耐食性に優れた表面処理アルミニウム材料 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0790603A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007050578A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-03-01 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
| JP2007098582A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
-
1993
- 1993-08-09 JP JP19741693A patent/JPH0790603A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007050578A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-03-01 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
| JP4579791B2 (ja) * | 2005-08-17 | 2010-11-10 | 住友軽金属工業株式会社 | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
| JP2007098582A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
| JP4603452B2 (ja) * | 2005-09-30 | 2010-12-22 | 住友軽金属工業株式会社 | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成形品の製造方法 |
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