JPH0789918B2 - プルラナ−ゼ活性を有するアミラ−ゼ及びその製造法 - Google Patents

プルラナ−ゼ活性を有するアミラ−ゼ及びその製造法

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JPH0789918B2
JPH0789918B2 JP21550787A JP21550787A JPH0789918B2 JP H0789918 B2 JPH0789918 B2 JP H0789918B2 JP 21550787 A JP21550787 A JP 21550787A JP 21550787 A JP21550787 A JP 21550787A JP H0789918 B2 JPH0789918 B2 JP H0789918B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なプルラナーゼ活性を有するアミラーゼ及
びその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
現在までにプルランのα−1,6−グルコシド結合を分解
できるプルラナーゼ活性を有するアミラーゼは殆どど見
出されておらず、1987年高崎の発見したバチルスサチル
スTU(Bacillus subtilis)起源のプルラナーゼ−アミ
ラーゼ複合酵素(Complex enzyme)が唯一の酵素でしか
なかった(Y.Takasaki,Agric.Biol.Chem.,51 9(198
7))。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的はプルラナーゼ活性を有するアミラーゼ及
びその製造法であるが、従来のプルラナーゼ活性を有す
るアミラーゼとはその理化学的性質が異なる新規アミラ
ーゼ及びその製造法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは上記問題点を解決すべく研究の結果、バチ
ルスサーキュランスに属するバチルスサーキュランスF
−2を培養したものより新規なプルラナーゼ活性を有す
るアミラーゼが得られることを見出し、本発明を完成し
た。
すなわち、本発明のプルラナーゼ活性を有するアミラー
ゼの理化学的性質を詳細に説明すると以下の通りであ
る。
可溶性基質に対する作用 可溶性澱粉及びプルランに同等の初速度で作用し前者か
ら主としてG4,G5,G6、後者からは主としてG3を生成する
(表1及び表3参照)。
生澱粉に対する作用 生澱粉に対してほとんど作用しないが、バチルスサーキ
ュランスF−2起源の生澱粉分解活性を有するアミラー
ゼと併用とした場合、生澱粉分解活性を増大させる(表
2参照)。
基質特異性 可溶性澱粉もしくは澱粉系糖質及びプルランに作用し、
デキストラン、G4,G2イソマルトースには殆んど作用し
ない(表1参照)。
至適pH及び安定pH 本酵素の可溶性澱粉に対する至適pHはpH7.0〜8.5(第1
図参照)、その安定pHは5.0〜9.0である(第2図参
照)。
またプルランに対する至適pHは、pH7.0(第1図参照)
であり、その安定pHは5.0〜8.0である(第2図参照)。
至適温度及び熱安定性 本酵素の可溶性澱粉及びプルランに対する至適作用温度
は50℃である(第3図参照)。また本酵素は40℃までは
安定であるが、それ以上の温度では活性が低下し、60℃
30分間ではほとんど失活する(第4図参照)。
等電点 本酵素をアンホライン(脂肪族ポリアミノポリカルボン
酸、LKB社製)存在下で電気泳動を行い等電点を測定し
たところ4.13であった。
分子量 本酵素の分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
法により約218000であった。
このように本酵素は従来のプルラナーゼ活性を有するア
ミラーゼとは明らかに理化学的性質で異なる新規な酵素
である。
ここで、本発明の酵素の新規な点をさらに明らかにする
ために、従来報告されているプルラナーゼ活性を有する
アミラーゼの理化学的性質を表3に比較して示す。
この表から本発明の酵素はバチルスサチルスTU起源のプ
ルラナーゼ−アミラーゼ複合酵素とその理化学的性質が
明らかに異なるものである。
アミラーゼ活性は酵素液と可溶性澱粉をpH7.0、30℃に
て30分間反応させ、生じた還元糖量をグルコースを標準
としてジニトロサルチル酸法にて測定した。アミラーゼ
活性1単位(ユニット)は上記条件下で1分間に1μmo
lのグルコースに相当する量の還元糖を遊離する酵素量
として表わした。プルラナーゼ活性は上記条件下におい
て基質としてプルランを用い、同様な操作を行った。プ
ルラナーゼ活性1単位(ユニット)は上記条件下で1分
間に1μmolのグルコースに相当する量の還元糖を遊離
する酵素量として表わした。
つぎに本発明の新規なプルラナーゼ活性を有するアミラ
ーゼの製造方法について説明する。
本発明の製造法において使用される微生物は、上記新規
なアミラーゼの生産能を有するバチルス属に属する微生
物であり、その一例として、バチルスサーキュランス
(Bacillus circulans)F−2(微工研菌寄第7361号)
を挙げることができる。
本発明による微生物の培養方法は、表4に示す基本培地
組成のうち、炭素源として他の栄養源とは別途酸化エチ
レンで滅菌した起源の異なる各種生澱粉やエピクロルヒ
ドリンで架橋したトウモロコシ及びバレイショ澱粉をオ
ートクレーブ処理したもの培地100g当たり1gを必要と
し、窒素源としては、硫酸アンモニウム、酵母エキス、
肉汁エキス、大豆粉、コーンスチープカー等が、無機塩
類としては、リン酸1カリウム、リン酸2カリウム、硫
酸マグネシウム等が用いられ、培養は、振とう培養もし
くは通気撹拌培養を行う。また、マルトオリゴ糖などの
可溶性澱粉系基質を低流量で添加する流加培養も有効で
ある。
培地pHは7付近、培養温度は37℃付近が好ましく、培養
時間1〜7日で微生物の培養液中に多種類のアミラーゼ
を分泌生産する。
従って、目的とする酵素を得るには、培養液を遠心分離
による除菌操作後、培養上清液からプルラナーゼ活性を
有するアミラーゼ画分を分離採取しなければならない。
本酵素は既知の分離精製手段、具体的には例えば、硫安
等の塩による塩析、アルコール又はアセトン等の親水性
有機溶媒による分画、沈澱、イオン交換樹脂等による吸
着、疎水性クロマトグラフィー等を分離精製手段とする
ことができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
実施例1 バチルスサーキュランスF−2(微工研菌寄第7361号)
を硫酸アンモニウム0.2%、硫酸マグネシウム7水塩0.0
2%、リン酸二カリウム1.4%、リン酸一カリウム0.6
%、酵母エキス0.1%、エピクロルヒドリン架橋バレイ
ショ澱粉1.0%を含有する培地100mlを120℃20分間滅菌
後、植菌し、37℃5日間培養を行った。培養3日目で培
地中のアミラーゼ活性及びプルラナーゼ活性が最高とな
り、それぞれ0.46ユニット/ml及び0.06ユニット/mlであ
った。その培養液を遠心分離により除菌後、上清として
得た粗酵素液に硫酸アンモニウムを30%飽和添加し、生
ずる沈澱を遠心分離で除去する。次に遠心上清にトウモ
ロコシ澱粉を加え37℃1時間撹拌後、遠心分離にて澱粉
を除去する。得られた上清液に硫酸アンモニウムを80%
になるように加え、生ずる沈澱を遠心分離で集め、50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解する。この溶液を
同緩衝液にて透析後、得られた酵素液を予め50mMトリス
−塩酸緩衝液(pH8.0)に平衡化しておいたDEAE−トヨ
パール650M(東洋遭達(株)製)のカラム(20×300m
m)に通液する。常法に従い0〜0.25Mの塩化ナトリウム
を含む上記緩衝液でイオン濃度勾配法を用いてプルラナ
ーゼ活性を有するアミラーゼを溶出する。さらにこの活
性画分を限外濾過膜YM−10(アミコン社製)を用いて約
20倍に濃縮後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)で透析す
る。得られた酵素液を1M硫酸アンモニウムを含む同緩衝
液で平衡化したTSK Gel Phenyl−5PW(東洋遭達(株)
製)のカラム(7.5×50mm)に通液し酸素をカラムに吸
着させる。1M硫酸アンモニウムを含む0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.5)でカラムを充分洗浄後、同緩衝液を0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.5)の極性濃度勾配によってプルラナー
ゼ活性を有するアミラーゼを溶出させ、0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.5)にて透析し精製酵素を得た。前記精製酵素
の収量は2.0%であった。
実施例2 実施例1で得られた酵素標品を用いて生トウモロコシ及
びバレイショ澱粉の分解を行った。
精製酵素(アミラーゼ活性として0.3単位)もしくは、
バチルスサーキュランスF−2の生澱粉分解活性を有す
るアミラーゼ(0.3単位)と1%生澱粉及び0.02%ペニ
シリンGを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)500μを37
℃11日間反応させた。反応後、加熱(100℃10分間)失
活させフェノール硫酸法により溶出した可溶性糖より生
澱粉の分割率を算出した。
結果を表5に示すが、本酵素は単独では生澱粉分解活性
は殆んど有しないが、生澱粉分解活性を有するアミラー
ゼと併用すると、それ以上の性澱粉分解活性を示すこと
が明らかにされた。
〔発明の効果〕
本発明により、新規なプルラナーゼ活性を有するアミラ
ーゼを容易に効率よく製造することができ、また生澱粉
分解能を有するアミラーゼと併用することにより生澱粉
分解率を著しく増大させることができ、無蒸煮醗酵等の
効率よい生澱粉分解促進作用を示すものとして期待で
き、その工業的意義は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本酵素の至適pHを示す図であって酵素溶液と可
溶性澱粉もしくはプルランを各pHで反応させた時の相対
活性を示したものであり、第2図は本酵素のpH安定性を
示す図であって酵素溶液と可溶性澱粉もしくはプルラン
を各pHで30℃1時間放置した後の相対活性を示したもの
であり、第3図は本酵素の至適温度を示す図であって、
酵素溶液と可溶性澱粉もしくはプルランを各温度で反応
させた時の相対活性を示したものであり、第4図は本酵
素の熱安定性を示す図であって酵素溶液と可溶性澱粉も
しくはプルランを各温度で30分間維持後の残存活性を相
対活性として示したものである。 図中の記号の説明:○−○;可溶性澱粉を基質とした場
合の本酵素のアミラーゼ活性、●−●;プルラン基質と
した場合の本酵素のプルラナーゼ活性。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の理化学的性質を有するアミラーゼ。 可溶性基質に対する作用 可溶性澱粉及びプルランに同等の初速度で作用し、前者
    から主としてマルトテトラオース(G4)、マルトペンタ
    オース(G5)、マルトヘキサオース(G6)を、後者から
    は主としてマルトトリオース(G3)を生成する。 生澱粉に対する作用 生澱粉に対して殆んど作用しないが、生澱粉分解活性を
    有するアミラーゼとの併用にて生澱粉分解活性を著しく
    増大させる。 基質特異性 可溶性澱粉もしくは澱粉系糖質及びプルランに作用し、
    デキストラン、マルトテトラオース、マルトース、イソ
    マルトースには殆んど作用しない。 至適pH及びpH安定性 本酵素の可溶性澱粉に対する至適pHはpH7.0〜8.5であ
    り、その安定pHは5.0〜9.0である。さらに、プルランに
    対する至適pHはpH7.0.であり、その安定pHは5.0〜8.0で
    ある。 至適温度及び熱安定性 本酵素の可溶性澱粉及びプルランに対する至適温度は50
    ℃であり、40℃までは安定であるが、それ以上の温度で
    は活性が低下し、60℃30分間でほとんど失活する。 等電点 本酵素の等電点は電気泳動より測定すると4.13である。 分子量 本酵素の分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
    法により約218000である。
  2. 【請求項2】以下の理化学的性質を有するアミラーゼ生
    産能を有するバチルス属に属する微生物を培地に培養
    し、培養物から前記プルラナーゼ活性を有するアミラー
    ゼを採取することを特徴とするアミラーゼの製造方法。 可溶性基質に対する作用 可溶性澱粉及びプルランに同等の初速度で作用し、前者
    から主としてマルトテトラオース(G4)、マルトペンタ
    オース(G5)、マルトヘキサオース(G6)を、後者から
    は主としてマルトトリオース(G3)を生成する。 生澱粉に対する作用 生澱粉に対して殆んど作用しないが、生澱粉分解活性を
    有するアミラーゼとの併用にて生澱粉分解活性を著しく
    増大させる。 基質特異性 可溶性澱粉もしくは澱粉系糖質及びプルランに作用し、
    デキストラン、マルトテトラオース、マルトース、イソ
    マルトースには殆んど作用しない。 至適pH及びpH安定性 本酵素の可溶性澱粉に対する至適pHはpH7.0〜8.5であ
    り、その安定pHは5.0〜9.0である。さらに、プルランに
    対する至適pHはpH7.0であり、その安定pHは5.0〜8.0で
    ある。 至適温度及び熱安定性 本酵素の可溶性澱粉及びプルランに対する至適温度は50
    ℃であり、40℃までは安定であるが、それ以上の温度で
    は活性が低下し、60℃30分間でほとんど失活する。 等電点 本酵素の等電点は電気泳動より測定すると4.13である。 分子量 本酵素の分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
    法により約218000である。
  3. 【請求項3】バチルス属に属する微生物がバチルスサー
    キュランスF−2(微工研菌寄第7361号)であることを
    特徴とする特許請求の範囲第2項記載のアミラーゼの製
    造方法
JP21550787A 1987-08-31 1987-08-31 プルラナ−ゼ活性を有するアミラ−ゼ及びその製造法 Expired - Lifetime JPH0789918B2 (ja)

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JPH0632613B2 (ja) 1989-09-19 1994-05-02 花王株式会社 α―アミラーゼ活性を有する新規なアルカリプルラナーゼY、これを産生する微生物及び新規なアルカリプルラナーゼYの製造法

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