JPH0788734B2 - パワーウインド装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、リニアモータを用いたパワーウインド装置に
関する。

（従来の技術） 自動車のドア窓開口部に設けられた窓ガラスの昇降（開
閉）は、手動型から電動型に移りつつある。

窓ガラスの昇降を電動でなすパワーウインド装置の代表
例は、窓ガラスの下部に固定したブラケット内を回動自
在な対のローラにリフトアーム及びイコライザアームの
一端を夫々枢着させ、イコライザアームの他端をドア側
に固定されたブラケット内を回動自在なローラに枢着さ
せ、且つリフトアームの他端をウインドレギュレータに
結合させる。両アームをその中間部で回転ピンを介して
回転自在に結合させてＸ型とする。

ウインドレギュレータは、ドア側に固定されたベース板
に支持された回転型電動モータ、該電動モータの出力軸
に固定されたギヤと噛合うセクタギヤを有す。このセク
タギヤをリフトアームの端部に固定し、且つ該リフトア
ームをベース板に対してピンを介して枢着させる。

自動車の乗員が窓の開閉をなすべくスイッチを入れる
と、電動モータが作動し、該電動モータの回転が減速さ
れてセクタギヤに伝達される。この結果、セクタギヤ
は、スイッチにより指示された方向に、リフトアームと
ベース板とを結ぶピンまわりに回動し、リフトアームを
このピンまわりに時計方向又は反時計方向に回動させ
る。このリフトアームの回動は、ローラを介して、窓ガ
ラスの下部に固定されたブラケットに上向き又は下向き
の力を与え、窓ガラスの昇降を可能にさせる。

（本発明が解決しようとする課題） 前述した如きウインドレギュレータは、ドア側に固定さ
れたベース板に対し、その軸線が直交するように回転型
電動モータを固定し、その出力軸に対し直交するように
セクタギヤを配設させる。このため、ウインドレギュレ
ータの厚みが、電動モータの長さに依存することとな
り、大きな寸法となる。ウインドレギュレータの厚み
は、ドア本体内の寸法が限られていることから、出来る
限り小さいことが望ましいが、パワーアップと共に、ウ
インドレギュレータの厚みが大きくなるのみでその改善
が望まれている。

一方、電動モータを、その軸線がベース板に沿うように
して、ベース板に固定し、該電動モータの出力軸からの
出力トルクの向きを90度変換させてセクタギヤに伝達さ
せることで、ウインドレギュレータの厚みを小さくし、
ドア本体内への納りをよくすることが試みられる。しか
し、この試みは、部品点数を多くし、摩耗やその他の原
因による故障を誘発する。

それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消
させることを解決すべき課題とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前述した課題を解決するために、基本的に
は、ドア側に対のリンクを枢着し、これらリンクにドア
側に支持されたリニアモータの出力側を結合させ、さら
に、これらリンクをロッドを介して窓ガラスに連結させ
る技術的手段を用いる。

より具体的には、本発明は、自動車ドアの窓開口部を開
閉する窓ガラスを昇降させるパワーウインド装置におい
て、該パワーウインド装置が窓ガラスの下部前後にその
一端が枢着された前後ロッドと、前ロッドの他端に枢着
され且つ自動車用ドア側に回転自在に支持された前リン
クと、後ロッドの他端に枢着され且つ自動車用ドア側に
回転自在に支持された後リンクと、前後リンクに結合さ
れたシャフトを有するリニアモータとを有することを特
徴とするパワーウインド装置を提供する。

（作 用） リニアモータに通電すると、その通電方向に応じて、リ
ニアモータの出力側のシャフトは、一方向に直線運動を
し、一方のリンクが時計方向に、他方のリンクが反時計
方向に回動する。これらリンクの回動がロッドを介して
窓ガラスに伝達され、窓ガラスの昇降を可能にする。

（実施例） 自動車用のドア１は、自動車ボデー12に対しヒンジ止め
され、乗員の乗降の際、自動車ボデー12に対して開閉さ
れる。第２図に示すように、ドア11は、本体13、窓開口
部14及び窓ガラス２を有す。窓ガラス２は、窓開口部の
両側縁に設けたガイドに沿って昇降するが、サッシレス
のハードトップ型の窓ガラスにおいては、この種のガイ
ドを必ずしも必要としない。窓開口部14の縁には、シー
ル部材11を固定し、雨水等の室内への浸入を防止する。

窓ガラス２の下部にブラケット等を固定し、離間させて
前ロッド３と後ロッド４の一端をこのブラケットに枢着
させる。後ロッド４は、前ロッド３より長くする。ドア
本体13側に、前リンク７と後リンク８とをピン5,6を用
い枢着させる。ピン5,6は、第１図に示すようなＴ型の
結びリンク7,8の水平片と脚片との交点部に挿入され
る。この前リンク７の水平片の一端に前ロッド３の下端
部を枢着させ、水平片の他端に窓ガラス２の重量の1/2
に相当する重みのカウンタウエイト15を取付ける。後リ
ンク８の水平片の一端に後ロッド４の下端部を枢着さ
せ、その水平片の他端に窓ガラス２の重量の1/2に相当
する重みのカウンタウエイト16を取付ける。

Ｔ型前後リンク7,8の枢支点となるピン5,6の位置は、前
後方向に離すと共に、後方のピン６の位置は、前方のピ
ン５の位置より下方とし、又、前ロッド３はＴ型前リン
ク７の水平片の前部に且つ後ロッド４はＴ型後リンク８
の水平片の後部に、夫々、枢着される。この結果、第１
図でみて、前リンク７を反時計方向に且つ後リンク８を
時計方向に、ピン5,6まわりに、回動させると、前後ロ
ッド3,4は下方に動き、窓ガラス２の下降を可能にす
る。一方、前リンク７を時計方向に且つ後リンク８を反
時計方向に、ピン5,6まわりに、回動させると、前後ロ
ッド3,4は上方に動き、窓ガラス２の上昇を可能にす
る。

前後Ｔ型リンク7,8の前述した如き動きを与えるウイン
ドレギュレータは、リニアモータ10よりなる。リニアモ
ータ10、励磁することにより移動磁界を発生する一次側
の固定子10′とシート状のAlとFeとの複合二次導体９を
有し、二次導体９の各端部を、前後Ｔ型リンク7,8の各
脚片の端部に枢着させる。即ち、第１図でみて、二次導
体９を右方へ移動させると、前Ｔ型リンク７が反時計方
向に且つ後Ｔ型リンク８が時計方向に回動し、窓ガラス
２の下降を可能にする。二次導体９を左方へ移動させる
と、前Ｔ型リンク７が時計方向に且つ後Ｔ型リンク８が
反時計方向に回動し、窓ガラス２の上昇を可能にする。

リニアモータ10は、その出力側の二次部材である二次導
体９の直線運動を可能にするものであれば、どのような
タイプのものでもよい。

使用者が窓ガラス２の昇降に応じたステータ巻線への通
電方向を選択すると、指定された方向にシャフト９が動
き、前後Ｔ型リンク7,8を回動させて窓ガラス２の昇降
が行なわれる。使用者は、窓ガラス２が志望する位置に
きた時、通電を止めれば窓ガラス２をその位置に保持で
きる。

（効 果） リニアモータの使用は、一次側のモータ本体の長手方向
が車の走行方向に沿わせ、この方向に二次側のシャフト
を配設できるので、リニアモータの厚みを小さくし、ド
アの厚みを薄くさせることができる。又、ドアの厚みを
変えない時には、ドア内の他の部品のためのスペースを
余分に確保して、設計の自由度を高めることができる。

動力伝達機構としては、（Ｔ型の）前後リンクとこれに
枢着される前後ロッドのみであるから、構造が簡単で、
保守点検が容易である。さらに、リンクへのカウンタウ
エイトの取付は、ガラスの重量をこのウエイトで相殺さ
せて、リニアモータへの負荷を少くし、ガラス窓の昇降
を軽くさせ得る。ドアの厚みは、第２図に示す仮想線の
従来の内壁を、実線で示す外側にずらして薄くできるの
で、その分室内を広く利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一例の正面図、第２図はドアの縦断面
図である。 図中:1……ドア、２……窓ガラス、3,4……ロッド、5,6
……ピン、7,8……リンク、９……二次導体、10……リ
ニアモータ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車ドアの窓開口部を開閉する窓ガラス
   を昇降させるパワーウインド装置において、該パワーウ
   インド装置が窓ガラスの下部前後にその一端が枢着され
   た前後ロッドと、前ロッドの他端に枢着され且つ自動車
   用ドア側に回転自在に支持された前リンクと、後ロッド
   の他端に枢着され且つ自動車用ドア側に回転自在に支持
   された後リンクと、前後リンクに結合されたシャフトを
   有するリニアモータとを有することを特徴とするパワー
   ウインド装置。
2. 【請求項２】前後リンクがＴ型をなし、その脚片がリニ
   アモータに結合され且つ水平片の一端にカウンタバラン
   スを設けている請求項（１）のパワーウインド装置。