JPH078807B2 - エルカトニン組成物 - Google Patents

エルカトニン組成物

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JPH078807B2
JPH078807B2 JP2240277A JP24027790A JPH078807B2 JP H078807 B2 JPH078807 B2 JP H078807B2 JP 2240277 A JP2240277 A JP 2240277A JP 24027790 A JP24027790 A JP 24027790A JP H078807 B2 JPH078807 B2 JP H078807B2
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elcatonin
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仁 山田
健 遠藤
喜久男 小谷
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旭化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、エルカトニンを有効成分とする注射用水溶液
組成物の安定化法に関する。
〔従来の技術及びその課題〕
エルカトニンは化学名1−ブチル酸−7−(L−2−ア
ミノブチル酸)−26−L−アスパラギン酸−27−L−バ
リン−29−L−アラニンカルシトニン(サケ)〔1-buty
ric acid-7-(L-2-aminobutyric acid)-26-L-aspartic a
cid-27-L-valine-29-L-alaninecalcitonin(salmon)〕
で、高カルシウム血症,骨ページェット病あるいは骨粗
鬆症における疼痛改善に用いられる医薬である。この医
薬は、水溶液製剤とした場合、激しい振盪によりエルカ
トニンの活性が低下することがあり、振盪に対する安定
性まで考慮した製剤としては、必ずしも満足の行くもの
ではなかった。
〔問題点を解決するための手段〕
従来より、ペプタイド類水溶液の振盪による活性低下に
ついての機構が十分解明されていない現状にあって、本
発明者らは、上記問題点に鑑み、且つ従来克服されてい
る注射剤としての熱安定性,光安定性,人体への接種時
の疼痛の低減の現状維持又はそれ以上の改善を目指し、
また、従来ペプタイド類水溶液の振盪による活性低下に
ついて界面活性剤を添加することによる解決が報告され
ていたが、安全性の面から問題となる場合があり、界面
活性剤無添加でも上記問題点を対処すべく鋭意研究をお
こなった。
そこで、本発明者らは、エルカトニンを有効成分とする
注射用水溶液組成物において、モル濃度が0.05〜20ミリ
モルの乳酸、L−ヒスチジン又はその水可溶性塩からな
る群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含み、か
つpHを5.0〜6.5、イオン強度をμ=0.01〜0.5に調整せ
しめることによってエルカトニンの振盪に対する安定性
良好な注射液組成物を得、しかも、従来克服されている
注射剤としての熱安定性、光安定性、人体への接種時の
疼痛の軽減についても、従来品と勝るとも劣らない組成
物を調製できることを見出した。
本発明は係る知見に基づいてなされたもので、即ち本発
明は、エルカトニンを有効成分とし、モル濃度が0.05〜
20ミリモルの乳酸、L−ヒスチジン又はその水可溶性塩
からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含
み、pHを5.0〜6.5且つイオン強度をμ=0.01〜0.5に調
整することを特徴とするエルカトニン注射用水溶液組成
物の振盪に対する安定化法に関する。
本発明のエルカトニン注射用水溶液組成物の主な製法
は、例えばエルカトニンを有効成分とする注射用水溶液
組成物において、モル濃度が0.05〜20ミリモルの乳酸、
L−ヒスチジン又はその水可溶性塩からなる群より選ば
れた1種又は2種以上の化合物を含み、pHが5.0〜6.5且
つイオン強度がμ=0.01〜0.5である水性媒体に有効量
のエルカトニンを溶解してエルカトニン注射液組成物を
調製することにより安定化されたものが得られるもの
で、さらに詳しくは、乳酸又はL−ヒスチジン及び/又
はその水可溶性塩を含む緩衝液にて、pHを調整し、且つ
このイオン強度を算出し、必要に応じて塩化ナトリウ
ム,塩化カリウム等の非毒性の強電解質無機塩類を添加
し、イオン強度を調整した水性媒体を得、さらに有効成
分であるエルカトニンの有効量を溶解することが簡便で
あり、適宜目的とする水性媒体の調製の段階にてエルカ
トニンの有効量を溶解してもよく、必ずしもその調製順
序を特定するものではなく、また必要に応じて注射用と
しての他の製剤成分である等張化剤、無痛化剤、安定化
剤、吸収促進剤、防腐剤等を加えることができる。
乳酸又はL−ヒスチジン及び/又はその水可溶性塩を含
む緩衝液は、医療上添加が可能なものを含む緩衝液で最
終組成物のpHを5.0〜6.5の範囲に保つことが可能な緩衝
作用を有すればよい。また、医療上添加が可能な、例え
ば乳酸,L−ヒスチジン又はその塩である乳酸ナトリウ
ム,乳酸カリウム,L−ヒスチジン塩酸塩等を好ましい態
様として挙げられる。これらの乳酸又はL−ヒスチジン
及び/又はその水可溶性塩において、これらの1種また
は2種以上、または酢酸及び/又はその水可溶性塩であ
るナトリウム塩、カリウム塩と適宜混合して用いてもよ
く、これをpH5.0〜6.5に調整するもので、適宜必要に応
じて水酸化ナトリウム,塩酸等でpHの微調整を行っても
よい。pH緩衝剤の使用量は、エルカトニン注射用水溶液
組成物のpHを5.0〜6.5に緩衝しえる最低量でよく、本組
成物が注射剤に使用される場合、その使用量(モル濃度
として)は0.05〜20ミリモルであり、更に好ましくは、
0.1〜5ミリモルである。
イオン強度は、下記の計算式に従い、算出し、イオン強
度が、μ=0.01〜0.5になるように、必要に応じて、塩
化ナトリウム,塩化カリウム等を添加して調整すること
が挙げられ、更にμ=0.04〜0.3に調整することが好ま
しい態様として挙げられる。
μ=1/2Σri・zi 2(ri:イオンのモル濃度zi:そのイオン
価) 塩化ナトリウム,塩化カリウム等を添加する場合の使用
量は、例えば、0.2〜1.2%用いることが好ましい態様と
して挙げられる。有効成分であるエルカトニンの有効含
有量は、例えば溶液1ml当り通常1〜100μgであり、好
ましくは注射剤の場合は溶液1ml当り通常10μgであれ
ばよい。
このようにして得られた組成物は、例えばアンプル、バ
イアルビン等の医薬用ガラス容器またはプラスチック容
器に注入して常法により水溶液注射剤とすることができ
る。しかしながら、例えばホウケイ酸ガラスやソーダ石
灰ガラスにて成形された容器内に水や酸が作用すると、
その表面からのアルカリ成分の溶出等の外的要因によ
り、水溶液組成物のpHの変動を生ずる場合がある。この
ような場合には、ガラス容器表面のアルカリ成分を選択
的に洗浄、除去する方法として、例えば250〜800℃程度
の高温状態のガラス表面に亜硫酸ガスや硫酸アンモニウ
ム等の水溶性イオウ酸化物を接触させて、表面のアルカ
リ成分を微細な硫酸塩結晶となし、その後洗浄する脱ア
ルカリ処理等の特殊加工した容器或いは外的にpH変動を
引き起こさない特殊容器を用いることが望ましい。
斯くして得られたエルカトニン注射用水溶液組成物は、
エルカトニンの振盪に対する安定性を得、しかも、従来
克服されている注射剤としての熱安定性,光安定性,人
体への接種時の疼痛の低減についても、従来品と勝ると
も劣らない組成物であった。
〔実施例〕
以下、実施例により、本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例に限られるものではない。
参考例1 酢酸ナトリウム(3水和物)0.544g,塩化ナトリウム1.8
gを水に溶解して200mlの溶液を得、これをA液とする。
別に酢酸0.24g,塩化ナトリウム1.8gを水に溶解して200m
lの溶液を得、これをB液とする。A液200mlにB液25ml
を加えて混合し、pH5.5、イオン強度0.17に調整した。
このようにして得られた溶液200mlにエルカトニン1.4mg
を溶解して、エルカトニン水溶液組成物を得た。次にこ
のエルカトニン水溶液組成物を1ccガラスアンプルに1ml
ずつ充填してエルカトニン7μgを含有する注射剤を製
造した。
参考例2 酢酸ナトリウム(3水和物)0.544g,塩化ナトリウム1.8
gを水に溶解して200mlの溶液を得、これを1ml取り、0.9
%(w/v)の塩化ナトリウム溶液にて200mlに希釈する。
これに0.002Nの塩酸を0.7ml加えて混合し、pH5.5、イオ
ン強度0.15に調整した。このようにして得られた溶液20
0mlにエルカトニン1.4mgを溶解して、エルカトニン水溶
液組成物を得た。当該エルカトニン水溶液組成物のpH緩
衝液は、希薄なため通常のガラスアンプルではpH変動を
生じやすいことから、脱アルカリ処理を施したアンプル
(約600℃の高温状態のアンプル内壁面に0.5%硫酸アン
モニウム水溶液を接触せしめ、次いで超音波洗浄後注射
用蒸留水で洗浄し、250℃で乾燥した)を使用し、エル
カトニン水溶液組成物を1cc脱アルカリ処理ガラスアン
プルに1mlずつ充填してエルカトニン7μgを含有する
注射剤を製造した。尚、実施例1,2とも操作は無菌的に
行った。
実施例1〜3 参考例1,参考例2と同様にして、各種モノカルボキシ化
合物及び/又はその塩を用いて第1表に示すエルカトニ
ン水溶液組成物を得、同様にしてエルカトニン7μgを
含有する注射剤を製造した。
対照例A〜D 本発明以外のエルカトニン水溶液組成物を対照として調
製し、、同様にしてエルカトニン7μgを含有する注射
剤を製造した。その組成等を第1表に併せて示す。
試験例1 参考例1、2および実施例1〜3にて得られた本発明の
エルカトニン水溶液組成物の入ったエルカトニン注射剤
と対照例A〜Dにて得られた本発明以外のエルカトニン
水溶液組成物の入ったエルカトニン注射剤を紙箱に入
れ、恒温振盪機中にて、振盪し、その安定性を高速液体
クロマトグラフィーにて測定し、残存率を求めた。その
結果を第2表に示す。
振盪条件 振幅: 10cm 振盪回数: 120回/分 温度: 25℃ 高速液体クロマトグラフィー測定条件 カラム: ODSカラム 4.6×150mm 検出: UV 220nm 移動相: CH3CN-0.1%TFA(34:66) 以上の結果から、本発明のエルカトニン水溶液組成物は
振盪に対して極めて安定であった。
試験例2 参考例2で得たpH5.5,0.1mM酢酸ナトリウムpH緩衝剤の
調製において、塩化ナトリウムの濃度を3mM,10mM,154m
M,500mMとなるよう4種の溶液を調製した。これに、エ
ルカトニンを7μg/mlになるように溶解し、参考例1と
同様にアンプル充填し、4種のイオン強度をもつエルカ
トニン注射剤を製造した。得られたエルカトニン注射剤
を、45℃,3ケ月間保存し、試験例1で行った測定条件
で、残存率を求めた。その結果を以下に示す。
上表に示す通り、イオン強度が、0.01〜0.500のエルカ
トニン注射剤は、熱に対する苛酷試験の結果、安定であ
った。
同様に、酢酸ナトリウムの代わりにpH5.5,0.1mM乳酸ナ
トリウム(実施例2に基づく組成である)、pH5.5,20.0
mML−ヒスチジン・塩酸塩(実施例3に基づく組成であ
る)にて、塩化ナトリウムの濃度を3mM,10mM,154mM,500
mMとなるよう4種の溶液を調製し、以下同様に調製し
て、エルカトニン注射剤の45℃,3ケ月間の保存安定性
は、酢酸ナトリウムの場合と同様に、イオン強度が0.01
〜0.5において認められた。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、振盪に対して安
定であり、かつ熱,光に対しても安定で良好なエルカト
ニン注射用水溶液組成物を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エルカトニンを有効成分とし、モル濃度が
    0.05〜20ミリモルの乳酸、L−ヒスチジン又はその水可
    溶性塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合
    物を含み、pHを5.0〜6.5且つイオン強度をμ=0.01〜0.
    5に調整することを特徴とするエルカトニン注射用水溶
    液組成物の振盪に対する安定化法。
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