JPH0788028A - 羽毛布団及びその布団の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】中地と側生地との接合及び中地とマチ布との接
合等を扁平状態で熱プレスで接合することができ、使用
に際しての接着部の剥離を防止するようにした羽毛布団
とその製造法を提供することにある。 【構成】布団の側生地１，２間に中地３をジグザグ状態
になるように取り付けて一方向に複数個の区画室４を形
成し、上記側生地と中地間の上記区画室と交差する方向
に所定の間隔をおいてマチ布５を配置し、該マチ布の両
端を側生地と中地のそれぞれに取り付けて上記区画室を
分割した多数の羽毛収容室６を形成した羽毛布団Ａにお
いて、上記マチ布５は一端部に接着芯地テープ７を取り
付けた２枚のマチ布テープ１５を重合して他端部同士を
縫着連結１５ａして構成し、２つ折り状態でその両端を
側生地１，２と中地３のそれぞれに接着芯地テープ７で
接着して羽毛収容室６内に羽毛Ｕを収容した状態では該
マチ布５が垂直状態となるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、完全マチ入り羽毛布団
とその製造法に係り、特に、中地を使用すると共に該中
地にマチ布を取り付けて羽毛収容室を形成する形式の羽
毛布団とその製造法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、布団の表地と裏地との間に中
地を介装すると共に該中地に取り付けたマチ布で羽毛収
容室を形成する形式の羽毛布団及びその製造法が提案さ
れており（例えば、特公平４−６２７３０号公報等）、
布団の表裏の側生地間に中地を該中地がジグザグ状態に
なるように取り付けて一方向に複数個の区画室を形成す
ると共に上記側生地と中地間の上記区画室と交差する方
向に所定の間隔をおいてマチ布を配置し、該マチ布の両
端を側生地と中地のそれぞれに取り付けることにより上
記区画室を分割して多数の羽毛収容室を形成し、該羽毛
収容室に羽毛を充填した状態ではマチ布が斜めになるよ
うにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来提案の羽
毛布団及びその製造法は、羽毛を充填しない状態の布団
の袋地の製作時に接着芯地テープ等を使用することによ
り、布団の側生地と中地或はマチ布を扁平状態で熱プレ
スして取り付けることができるという利点がある。

【０００４】ところが、この提案のものでは羽毛を充填
した状態においてもマチ布が斜めになるようにして製作
時に扁平状態で熱プレスできるようにしたものである
が、実際の羽毛布団の使用時においては、表地や裏地だ
けをもって持ち上げたりすることは少なく、むしろ布団
を蹴ったり引っ張ったりすることにより表地と裏地が水
平方向にずれることの方が多いから、マチ布が垂直状態
となる位置から更に逆方向に引っ張られるとマチ布を剥
離する状態となり、マチ布接着部の強度が低下するおそ
れがある。

【０００５】また、従来より側生地の生地がジャガード
やベルベット等のように内部に羽毛を直接充填するには
適さない生地の場合には中地を使用し、上下の中地間に
羽毛を充填してこれを布団の袋地内に収容しているが、
中地と側生地とをキルティングした場合には外形上も好
ましくなく、また、キルティングしない場合には使用に
際して中地と側生地とがずれてしまう欠点があった。

【０００６】本発明の第１の目的は、上記した従来の羽
毛布団の欠点を解消し、中地と側生地とのキルトパター
ン状の接合及び中地とマチ布との接合等を扁平状態で熱
プレスで接合することができると共に使用に際しての接
着部の剥離を防止するようにした羽毛布団とその製造法
を提供することにある。また、本発明の第２の目的は、
表裏側の中地間に羽毛を充填してこれを袋地内に収容す
る形式の羽毛布団を完全なノンキルティングで製造する
ことができる羽毛布団の製造法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の羽毛布団は、布
団の表裏の側生地間に中地を該中地がジグザグ状態にな
るように取り付けて一方向に複数個の区画室を形成する
と共に上記側生地と中地間の上記区画室と交差する方向
に所定の間隔をおいてマチ布を配置し、該マチ布の両端
を側生地と中地のそれぞれに取り付けることにより上記
区画室を分割して多数の羽毛収容室を形成してなる羽毛
布団において、上記マチ布は一端部に長手方向に沿って
接着芯地テープを取り付けた２枚のマチ布テープを重合
してその他端部同士を長手方向に沿って縫着連結するこ
とにより構成すると共に２つ折り状態でその両端を側生
地と中地のそれぞれに接着芯地テープを介して接着し、
上記羽毛収容室内に羽毛を収容した状態では該マチ布が
垂直状態となるように構成したものである。

【０００８】各羽毛収容室を連通させるようにマチ布と
中地との接着部には羽毛充填パイプを挿入すための筒状
布を接着しておいて羽毛の充填作業を容易になし得るよ
うにする。

【０００９】上記の羽毛布団の製造法としては、一端部
に長手方向に沿って接着芯地テープを取り付けた２枚の
マチ布テープを重合してその他端部側同士を縫着連結す
ることによりマチ布を形成し、中地には所定間隔をおい
て表裏交互になるように巾方向に接着芯地テープを取り
付けると共に、上記のようにして形成されたマチ布の一
端側を該マチ布の一端部の上記接着芯地テープを介して
接着することにより、中地の表裏面に複数枚のマチ布を
長さ方向に所定間隔をおいて取り付け、この中地を布団
の表裏の側生地間に配置して該中地の上記巾方向の接着
芯地テープを介して側生地にジグザグ状に接着すること
により一方向に複数個の区画室を形成すると共に、該中
地の表裏に取り付けられたそれぞれのマチ布を２つ折り
状態でその他端部を該他端部の接着芯地テープを介して
側生地にそれぞれ接着して取り付けることにより上記区
画室を分割して多数の羽毛収容室を形成し、各羽毛収容
室内に羽毛を充填する。

【００１０】布団地がジャガードやベルベット等の羽毛
布団の場合には、布団の表地と裏地のそれぞれに両面接
着芯地テープをキルトパターン状に取り付け、中地にマ
チ布テープの一端部を取り付けることにより該中地に上
記キルトパターンに対応するパターンの区画壁を形成
し、このように区画壁を形成した２枚の中地を対向的に
配置すると共に対向する各マチ布テープの他端部同士を
縫着連結することにより表裏の中地間に複数個の羽毛収
容室をキルトパターン状に形成し、表裏の中地を上記両
面接着芯地テープを介して表地と裏地のそれぞれに接着
し、上記各羽毛収容室内に羽毛を充填する。

【００１１】

【作用】マチ布は一端部に長手方向に沿って接着芯地テ
ープを取り付けた２枚のマチ布テープを重合してその他
端部側同士を縫着連結することにより構成されているか
ら、中地と側生地への接着前の状態及び羽毛充填前の状
態では扁平状態となっている。中地には所定間隔をおい
て表裏交互になるように巾方向に接着芯地テープが取り
付けられ、また、上記のようにして形成されたマチ布の
一端側をその一端部の接着芯地テープを介して接着する
ことにより、中地の表裏面に複数枚のマチ布を長さ方向
に所定間隔をおいて設ける。この中地を布団の表裏の側
生地間に配置し、この状態で熱プレスすると中地が上記
巾方向の接着芯地テープを介して側生地にジグザグ状に
接着されて一方向に複数個の区画室が形成され、また、
中地の表裏に取り付けられたそれぞれのマチ布は重合状
態のままその他端部が該他端部の接着芯地テープを介し
て側生地にそれぞれ接着され、これにより上記区画室を
分割して多数の羽毛収容室が形成されるから、側生地と
中地をその周縁部において縫合又は接着して袋地を作成
し、各羽毛収容室内に羽毛を充填する。羽毛が充填され
ると各マチ布は垂直状態となり、表地又は裏地の水平方
向への移動による接着部の剥離を可及的防止することが
できる。従って、布団の袋地を扁平状態で熱プレス作業
だけで作成することができると共に使用に際しては何等
の支障もない羽毛布団を簡単に得ることができる。

【００１２】布団地がジャガードやベルベット等の羽毛
布団の場合には、布団の表地と裏地のそれぞれに両面接
着芯地テープがキルトパターン状に取り付けられ、中地
にマチ布テープの一端部を取り付けることにより該中地
に上記キルトパターンに対応するパターンの区画壁を形
成する。このように区画壁を形成した２枚の中地を対向
的に配置すると共に対向する各マチ布テープの他端部同
士を縫着連結すると表裏の中地間に複数個の羽毛収容室
がキルトパターン状に形成される。この表裏の中地をシ
ャガードやベルベットからなる側生地の間に介装して熱
プレスすると、上記両面接着芯地テープを介して表地と
裏地のそれぞれにキルトパターン状に接着される。その
後は従来と同様に側生地と中地をその周縁部において縫
合又は接着し、上記各羽毛収容室内に羽毛を充填して羽
毛布団が完成する。従って、袋地は側生地と中地を扁平
状態で熱プレスだけで作成することができ、完成した羽
毛布団は中地と側生地とがキルトパターン状に接着され
ていてずれたりするおそれはなく、しかも、ノンキルト
であるため外観を損なったりすることはない。

【００１３】

【実施例】図１〜図３において、Ａは羽毛布団全体を示
し、羽毛布団の側生地である表地１と裏地２との間に中
地３を該中地がジグザグ状態になるように取り付けて一
方向に複数個の区画室４を形成すると共に上記側生地
１，２と中地３間の上記区画室４と交差する方向に所定
の間隔をおいてマチ布５を配置し、該マチ布の両端を側
生地と中地のそれぞれに取り付けることにより上記区画
室４を分割して多数の羽毛収容室６を形成してこの羽毛
収容室６内に羽毛Ｕを充填してなるものである。

【００１４】図１及び図２に示すように、上記マチ布５
は一端部に長手方向に沿って接着芯地テープ７を取り付
けた２枚のマチ布テープ１５，１５を重合してその他端
部同士を長手方向に沿って縫着連結１５ａすることによ
り構成され、この状態、即ち、２つ折り状態でその両端
を側生地１，２と中地３のそれぞれに上記接着芯地テー
プ７を介して接着される。従って上記羽毛収容室６内に
羽毛Ｕを収容した状態では該マチ布５が垂直状態となる
ように構成されている。

【００１５】また、各羽毛収容室６を連通させるように
マチ布５と中地３との接着部には羽毛充填パイプ（図示
しない）を挿入すための筒状布９を接着しておいて羽毛
の充填作業を容易になし得るようにする。

【００１６】上記の羽毛布団の製造法としては、一端部
に長手方向に沿って上記接着芯地テープ７を取り付けた
２枚のマチ布テープ１５，１５を重合してその他端部側
同士を縫着連結１５ａすることによりマチ布５を形成
し、中地３には所定間隔をおいて表裏交互になるように
巾方向に接着芯地テープ８を取り付けると共に、上記の
ようにして形成されたマチ布５の一端側を上記接着芯地
テープ７を介して接着することにより、中地３の表裏面
に複数枚のマチ布５，５・・・を長さ方向に所定間隔を
おいて取り付ける。この中地３を上記側生地１，２間に
配置すると共に、各マチ布５と中地３との間に羽毛充填
パイプ（図示しない）を挿入すための所定長さの筒状布
９を配置する。この状態で熱プレスすると中地３が上記
接着芯地テープ８を介して側生地にジグザグ状に接着さ
れて一方向に複数個の区画室４が形成され、また、中地
３の表裏に取り付けられたそれぞれのマチ布５は重合状
態のままその他端部が上記接着芯地テープ７を介して側
生地にそれぞれ接着され、これにより上記区画室４を分
割して多数の、例えば、３×４個の羽毛収容室６が形成
される。また、各羽毛収容室６には筒状布９を備えるこ
ととなりる。その後は従来と同様に、側生地１，２と中
地３をその周縁部において縫合して袋地Ｂを作成し、上
記筒状布９から各羽毛収容室６内に羽毛Ｕを充填する。
一般に、羽毛は扁平状態に押し潰された筒状布９内を往
来することはないから、従来のように充填の都度各羽毛
収容室の充填用開口部を封止する必要はない。このよう
にして羽毛が充填されると各マチ布５は垂直状態とな
る。

【００１７】図４は側生地がジャガードやベルベット等
の羽毛布団の場合の例であり、図６に示すように、側生
地１１，１２のそれぞれに両面接着芯地テープ１０を例
えば３×４のキルトパターン状に取り付け、図５に示す
ように、中地１３，１３にマチ布テープ１５の一端部を
取り付けることにより該中地に上記キルトパターンに対
応するパターンの区画壁２５を形成する。なお、一方の
中地、好ましくは裏側（下側）の中地には図６に示すよ
うに筒状布９を取り付けておく。このように区画壁２５
を形成した２枚の中地１３，１３を対向的に配置すると
共に対向する各マチ布テープ１５，１５の他端部同士を
縫着連結１５ａすると表裏の中地１３，１３間に複数個
の羽毛収容室１６，１６・・・がキルトパターン状に形
成される。この表裏の中地１３，１３をシャガードやベ
ルベットからなる側生地１１，１２の間に介装して熱プ
レスすると、上記両面接着芯地テープ１０を介して側生
地のそれぞれにキルトパターン状に接着される。その後
は従来と同様に側生地１１，１２と中地１３，１３をそ
の周縁部において縫合し、上記各羽毛収容室１６内に羽
毛Ｕを充填して羽毛布団が完成する。従って、袋地Ｂは
側生地１１，１２と中地１３，１３を扁平状態で熱プレ
スだけで作成することができ、完成した羽毛布団は中地
１３，１３と側生地１１，１２とがキルトパターン状に
接着されていてずれたりするおそれはなく、しかも、ノ
ンキルトであるため外観を損なったりすることはない。

【００１８】

【発明の効果】本発明の羽毛布団によれば、袋地の作成
に際してはすべての生地を扁平状態で熱プレスするだけ
の作業で作成することができ、羽毛を充填した状態では
各マチ布は垂直状態となり、表地又は裏地の水平方向へ
の移動による接着部の剥離を可及的防止することができ
る。また、このような羽毛布団の製造法においては生地
を扁平状態で熱プレスするだけで袋地を作成することが
できるからノンキルトンの羽毛布団を著しく簡単に製造
することができる。しかも各羽毛収容室を連通するよう
に筒状布が取り付けられており、羽毛の充填作業が容易
であると共に、従来のように羽毛収容室に羽毛を充填し
た後にその都度各羽毛収容室の羽毛充填用開口部を熱プ
レス等で封止する必要はない。

【００１９】更に、布団の側生地がシャガードやベルベ
ット等の布団においても、側生地と中地を扁平状態で熱
プレスだけで袋地を作成することができ、完成した羽毛
布団は中地と側生地とがキルトパターン状に接着されて
いてずれたりするおそれはなく、しかも、ノンキルトで
あるため外観を損なったりすることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る羽毛布団の要部の断面図。

【図２】中地とマチ布と側生地の取付状態を示す袋地の
一方向の断面図。

【図３】中地を側生地にジグザグに取り付けた状態を示
す袋地の他方向の断面図。

【図４】側生地がシャガードやベルベット等の場合の羽
毛布団の要部の断面図。

【図５】両面接着芯地テープをキルトパターン状に取り
付けた状態を示す側生地の平面図。

【図６】マチ布の取付状態を概略的に示す裏側（下側）
の中地の斜視図。

【符号の説明】

Ａ 羽毛布団 Ｂ 袋地 １，１１ 表地 ２，１２ 裏地 ３，１３ 中地 ４ 区画室 ５ マチ布 １５ マチ布テープ １５ａ 縫着連結部 ６，１６ 羽毛収容室 ７，８ 接着芯地テープ ９ 筒状布 １０ 両面接着芯地テープ ２５ 区画壁

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 布団の表裏の側生地間に中地を該中地が
   ジグザグ状態になるように取り付けて一方向に複数個の
   区画室を形成すると共に上記側生地と中地間の上記区画
   室と交差する方向に所定の間隔をおいてマチ布を配置
   し、該マチ布の両端を側生地と中地のそれぞれに取り付
   けることにより上記区画室を分割して多数の羽毛収容室
   を形成してなる羽毛布団において、 上記マチ布は一端部に長手方向に沿って接着芯地テープ
   を取り付けた２枚のマチ布テープを重合してその他端部
   同士を長手方向に沿って縫着連結して構成されると共に
   ２つ折り状態でその両端が側生地と中地のそれぞれに接
   着芯地テープを介して接着されることにより、上記羽毛
   収容室内に羽毛を収容した状態では該マチ布が垂直状態
   となるように構成されていることを特徴とする羽毛布
   団。
2. 【請求項２】 各羽毛収容室を連通させるようにマチ布
   と中地との接着部には羽毛充填パイプを挿入すための筒
   状布が接着されていることを特徴とする請求項１記載の
   羽毛布団。
3. 【請求項３】 一端部に長手方向に沿って接着芯地テー
   プを取り付けた２枚のマチ布テープを重合してその他端
   部側同士を縫着連結することによりマチ布を形成し、中
   地には所定間隔をおいて表裏交互になるように巾方向に
   接着芯地テープを取り付けると共に、上記のようにして
   形成されたマチ布の一端側を該マチ布の一端部の上記接
   着芯地テープを介して接着することにより、中地の表裏
   面に複数枚のマチ布を長さ方向に所定間隔をおいて取り
   付け、この中地を布団の表裏の側生地間に配置して該中
   地の上記巾方向の接着芯地テープを介して側生地にジグ
   ザグ状に接着することにより一方向に複数個の区画室を
   形成すると共に、該中地の表裏に取り付けられたそれぞ
   れのマチ布を２つ折り状態でその他端部を該他端部の接
   着芯地テープを介して側生地にそれぞれ接着して取り付
   けることにより上記区画室を分割して多数の羽毛収容室
   を形成し、各羽毛収容室内に羽毛を充填することを特徴
   とする羽毛布団の製造法。
4. 【請求項４】 布団の表地と裏地のそれぞれに両面接着
   芯地テープをキルトパターン状に取り付け、中地にマチ
   布テープの一端部を取り付けることにより該中地に上記
   キルトパターンに対応するパターンの区画壁を形成し、
   このように区画壁を形成した２枚の中地を対向的に配置
   すると共に対向する各マチ布テープの他端部同士を縫着
   連結することにより表裏の中地間に複数個の羽毛収容室
   をキルトパターン状に形成し、表裏の中地を上記両面接
   着芯地テープを介して表地と裏地のそれぞれに接着し、
   上記各羽毛収容室内に羽毛を充填することを特徴とする
   羽毛布団の製造法。