JPH1128140A - 羽毛ふとん - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が簡素であり、且つ、襠布の高さに比較
して広い羽毛充填パイプ挿入径路を形成でき、羽毛充填
の作業性が良好であると共に、羽毛の移動も起こり難い
羽毛ふとんを得る。 【解決手段】 表地と裏地との間に格子状に配置した適
宜高さの襠布を介在させ、該襠布によって区画された複
数の小区画室を形成し、該小区画室内に羽毛を充填して
なる羽毛ふとんにおいて、各小区画に面した襠布に略水
平方向に延在するスリットを形成し、該スリットを介し
て隣接する小区画室を相互に連通させ、各小区画室に羽
毛充填パイプを挿入可能とすると共に、該部分の襠布の
一側に前記スリットを被覆する伸縮性シート材料からな
る弁布を設け、該弁布はその上縁，下縁において襠布と
共に表地，裏地に接合されているものとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は羽毛ふとんに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、羽毛ふとんは、表地と裏地との間
に形成されるふとん内空間を複数の小区画に区画し、羽
毛を各小区画室に均等に充填すると共に、羽毛の移動と
それによる偏りを防止している。このふとん内空間を区
画する方法としては、ふとんの表地と裏地との間に格子
状に配置した適宜高さの襠布を介在させ、該襠布によっ
て区画された複数の小区画室を形成し、該小区画室に羽
毛を充填，封入した立体キルトの羽毛ふとんが知られて
いる。

【０００３】この立体キルトの羽毛ふとんに羽毛を充填
する手段としては、経緯いずれか一方の襠布を２重に
し、それらの間に羽毛充填パイプを挿入可能な通路を形
成すると共に、襠布には隣接する小区画室同士が直接連
通しないように位置をずらせてスリット等の小開口を設
け、前記通路に挿入した羽毛充填パイプ先端の吹出口を
各小区画室に順次挿入し、羽毛を充填した後、通路の入
口を閉鎖する方法がある。この方法によれば、上記通路
の入口を除いてふとんの縫製を完了した後に羽毛を充填
でき、縫製と羽毛の充填とを並行して行う方法に比べて
作業性は格段に向上された。

【０００４】上記羽毛ふとんは、高価なダウンのコスト
を抑えると共に嵩高性を付与する目的でダウンに適宜比
率でスモールフェザーを混入するのが一般的で、襠布の
高さは５〜６cm程度あり、該襠布に形成するスリットや
羽毛充填パイプ挿入用通路にも充分な寸法を確保でき
る。

【０００５】一方、最高級品であり通常のダウンに比べ
て羽毛が細かく、且つ、凝集する傾向が強いアイダーダ
ウン（ｅｉｄｅｒ ｄｏｗｎ）の場合、ダウン自体の保
温性や、それを充填したふとんのドレープ性は優れてい
るが、アイダーダウンを多量に使用して嵩高のふとんに
形成するのは困難であり、従来、アイダーダウンの羽毛
ふとんには襠布を用いず通常のキルティングの手法で表
裏側地を通して縫製するのが一般的であった。しかし、
通常のキルティングでは、縫合された部分の保温性が必
然的に低下し、その分ふとん全体としての保温性がスポ
イルされることになるため、通常のダウン同様に立体キ
ルトとすることが望まれている。ところが、アイダーダ
ウンの羽毛ふとんは先述の理由により、立体キルトにす
る場合、襠布の高さは３cm程度に止めざるを得ない。こ
のため、このような低い襠布では、羽毛充填パイプ挿入
用の通路やスリットに充分な寸法を確保できず、それら
による羽毛充填方法を適用し難いという問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
のこれらの点に鑑みて、構成が簡素であり、且つ、襠布
の高さに比較して広い羽毛充填パイプ挿入径路を形成で
き、羽毛充填の作業性が良好であると共に、羽毛の移動
も起こり難い羽毛ふとんを得ることを目的としてなされ
たものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】表地と裏地との間に格子
状に配置した適宜高さの襠布を介在させ、該襠布によっ
て区画された複数の小区画室を形成し、該小区画室内に
羽毛を充填してなる羽毛ふとんにおいて、各小区画に面
した襠布に略水平方向に延在するスリットを形成し、該
スリットを介して隣接する小区画室を相互に連通させ、
各小区画室に羽毛充填パイプを挿入可能とすると共に、
該部分の襠布の一側に前記スリットを被覆する伸縮性シ
ート材料からなる弁布を設け、該弁布はその上縁，下縁
において襠布と共に表地，裏地に接合されているものと
した。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１乃至図３に本発明羽毛ふとん
の実施形態を示し、以下に説明する。

【０００９】図において、本発明の羽毛ふとんは、表地
１と裏地２との間にふとん長手方向及び幅方向に格子状
に配置した襠布３，４を介在させ、ふとん内部にこれら
襠布３，４によって区画された複数の小区画室５，５…
…を形成し、該小区画室５内の羽毛６を充填してなるも
のである。

【００１０】ふとん長手方向に配向されている襠布３
は、何れもふとん長手方向全長に亘り延在する１枚の帯
状布片からなる。一方、上記襠布３と交差するふとん幅
方向に配向されている襠布４は、各小区画５毎に別体の
帯状布片で構成され、夫々の襠布４の中間部には、水平
方向に延在するスリット４０を形成している。

【００１１】スリット４０の長さｓは、該スリット４０
に挿通されるべき羽毛充填パイプ７の外径をｄとした場
合、その周長πｄの１／２以上でなければならない。例
えば、羽毛充填パイプ７の外径ｄが２５mmであれば、ス
リット４０の長さｓは３９．３mm以上でなければならな
い。一方、従来、スリットは襠布の高さ方向に配向され
るのが一般的であった。それは、襠布がふとん内に立体
的空間を確保するのと同時に高さ方向への引張力、即
ち、ふとんの表地と裏地とを引き離そうとする外力に抗
して、ふとんの厚さ形状を一定に保持する機能を満足さ
せる必要があり、このような襠布に垂直方向以外のスリ
ットを形成した場合、上述の外力によってスリットが拡
開しふとんの形状を維持できないばかりか羽毛が移動し
てしまうからである。

【００１２】しかしながら、アイダーダウンの羽毛ふと
んの場合、襠布４の高さｈが３０mm程度であり、先述し
たスリット４０の長さｓを垂直方向に確保することは不
可能である。そこで、本発明の羽毛ふとんにおいては、
スリット４０を水平方向に配向し、スリット４０に充分
な長さｓを確保すると共に、該スリット４０が上述の外
力によって上下方向に拡開するのを防止しつつも、該ス
リット４０に羽毛充填パイプ７を挿通可能とするため
に、襠布４の一側に伸縮性シート材料からなる弁布４１
を設けている。

【００１３】弁布４１は、スリット４０を被覆できるよ
う、該スリット４０の長さｓと同じか、またはそれによ
りやや長い長方形をなし、その上縁４１ａ，下縁４１ｂ
において襠布４と共にふとんの表地１，裏地２に縫着さ
れている。

【００１４】弁布４１に使用する伸縮性シート材料とし
ては、ナイロン，ポリエステル等、合成繊維のストレッ
チ加工糸（嵩高加工糸）、若しくはポリウレタン弾性糸
或いはそのカバリング糸等伸縮性を有する糸を編成また
は製織してなる伸縮性編物、伸縮性織物からなる基布、
若しくは、上記ストレッチ加工糸，ポリウレタン弾性糸
以外の伸縮性を特に有さない糸を編成し、編組織により
伸縮性を有する基布の少なくとも一面に合成ゴム，天然
ゴム等のエラストマーの層を形成したもの、例えば、伸
縮性基布に薄いシート状のポリウレタンゴムを熱融着、
または接着等の手段で積層するか、溶液状のポリウレタ
ンゴムを塗布してなる伸縮性コーティング布，ラミネー
ト布が好適である。これらは、伸縮性の基布によって必
要な強度が確保され且つ羽毛充填時等に破れ難いという
利点があると共に、エラストマーの層によって形態が安
定し基布の目がコーティング或いはラミネートしたポリ
ウレタンゴム等エラストマーによって塞がれているた
め、拡張された基布の目に羽毛が詰まる、或いは、通過
するようなことが無い。

【００１５】そして、ふとんは、表地１，裏地２，襠布
３，４、及び、伸縮性シート材料からなる弁布４１を縫
製し、羽毛充填パイプ７の挿入口（図示せず）を除いた
ふとん周縁部を縫合した後、羽毛充填パイプ７を前記挿
入口より挿入し各小区画室５に羽毛６を充填する。

【００１６】即ち、羽毛充填パイプ７を前記挿入口から
一番手前側の小区画室５に挿入し、更に、その対面に位
置した襠布４に突き当ったならば羽毛充填パイプ７の先
端を側方に移動させ、弁布４１の一方の側縁４１ｃに引
っ掛け該弁布４１を弾性変形させつつ前進させれば、羽
毛充填パイプ７はスリット４１に挿通され次の小区画室
５に達する。このようにして羽毛充填パイプ７を順次隣
接する小区画室５に貫通させ一番奥の小区画室５まで挿
通し、該一番奥の小区画室５に羽毛を充填した後、羽毛
充填パイプ７を後退させながら、順次手前側の小区画室
５，５……に羽毛を充填する。そして、全部の小区画室
５に羽毛を充填した後、ふとん周縁部の挿入口を閉鎖す
る。

【００１７】このように構成された羽毛ふとんは、スリ
ット４０が水平方向に配向されているので、襠布４の高
さｈとは無関係にスリット４０の長さｓを充分に確保で
き、該スリット４０の長さｓの如何によっては図３に２
点鎖線で示す如く、襠布４の高さｈ以上にスリット４０
を拡開することもできる。従って、襠布３，４の高さが
２〜３cm程度のアイダーダウン用立体キルトや、夏掛け
ふとん等薄手の立体キルト羽毛ふとんであっても、容易
且つ確実に羽毛の充填作業を行うことができ、尚且つ、
羽毛充填パイプ７を引抜いた後には弁布４１の弾性回復
によってスリット４０は確実に閉鎖されるので、羽毛６
の移動も確実に阻止でき且つ、ふとんの形状も一定に保
持される。また、弁布４１の弾性によってふとんを折畳
する際等においてもスリット４０が開き難いばかりか、
万一スリット４０に羽毛が介入してもエラストマー特有
の粘着性によって羽毛が捕着され小区画室５間での羽毛
の移動が一層防止されるという効果も有る。

【００１８】尚、上記実施形態の羽毛ふとんにおいて、
弁布４１はその上縁４１ａ，下縁４１ｂにおいてのみ襠
布４，表地１，裏地２に縫着されている場合を示した
が、いずれか一方の側縁（例えば４１ｃ）を襠布４と縫
合し、閉鎖しても良い。また、弁布４１の略中央にスリ
ット４０と交差する方向、例えば垂直方向に配向された
スリットを形成しても良く、その場合、弁布４１の両側
縁４１ｃ，４１ｄは閉鎖しても良い。

【００１９】また、上記実施形態では、幅方向の襠布４
にスリット４０を形成し、弁布４１を設ける場合を示し
たが、長手方向の襠布３に弁布及びスリットを設け羽毛
充填パイプ７を幅方向に挿入することもでき、更に、襠
布を斜格子状や六角格子状に配置することもできる。ま
た、表地１，裏地２，襠布３，４及び弁布４１を縫製以
外の熱融着，接着等の手段で一体とすることも本発明の
範囲内において可能である。

【００２０】

【発明の効果】本発明の羽毛ふとんは、上述の通り、表
地と裏地との間に格子状に配置した適宜高さの襠布を介
在させ、該襠布によって区画された複数の小区画室を形
成し、該小区画室内に羽毛を充填してなる羽毛ふとんに
おいて、各小区画に面した襠布に略水平方向に延在する
スリットを形成し、該スリットを介して隣接する小区画
室を相互に連通させ、各小区画室に羽毛充填パイプを挿
入可能とすると共に、該部分の襠布の一側に前記スリッ
トを被覆する伸縮性シート材料からなる弁布を設け、該
弁布はその上縁，下縁において襠布と共に表地，裏地に
接合されているものとしたので、構造が簡素で製造が容
易であると共に、襠布の高さ寸法より長いスリットを得
ることができ、且つ、弁布の弾性変形によって該スリッ
トを広く拡開できるため、アイダーダウン用立体キルト
や夏掛けふとん等薄手の立体キルト羽毛ふとんであって
も、羽毛充填作業を容易且つ確実に行え、更に、羽毛充
填後においては弁布の弾性回復によりスリットが確実に
閉鎖されるため小区画室間での羽毛の移動も起り難く、
生産性，実用性の両面での効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明羽毛ふとんの実施形態を示す要部斜視図
である。

【図２】スリット及び弁布を示す要部斜視図である。

【図３】スリットに羽毛充填パイプを挿通した状態を示
す羽毛ふとんの要部断面図である。

【符号の説明】

１ 表地 ２ 裏地 ３，４ 襠布 ５ 小区画室 ６ 羽毛 ７ 羽毛充填パイプ ４０ スリット ４１ 弁布 ４１ａ 上縁 ４１ｂ 下縁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表地と裏地との間に格子状に配置した適
   宜高さの襠布を介在させ、該襠布によって区画された複
   数の小区画室を形成し、該小区画室内に羽毛を充填して
   なる羽毛ふとんにおいて、各小区画に面した襠布に略水
   平方向に延在するスリットを形成し、該スリットを介し
   て隣接する小区画室を相互に連通させ、各小区画室に羽
   毛充填パイプを挿入可能とすると共に、該部分の襠布の
   一側に前記スリットを被覆する伸縮性シート材料からな
   る弁布を設け、該弁布はその上縁，下縁において襠布と
   共に表地，裏地に接合されていることを特徴とする羽毛
   ふとん。