JP2020183603A - スペーサファブリック - Google Patents

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Abstract

【課題】使用範囲を拡張することが可能な、良好な機械的な特性及び良好な通気性を提供するスペーサファブリックを提供する。【解決手段】第1の平坦なファブリック層と、第2の平坦なファブリック層3と、これらファブリック層を結合するスペーサ糸(4)とを有するスペーサファブリックであって、第1のファブリック層が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部を備えており、第2のファブリック層3が、少なくとも1つの第1及び第2の糸システムを備えており、第1の糸システムの糸が、生産方向Pに沿って、割り当てられたちょうど1つのウェールにおいて延びており、第2の糸システムの糸が、生産方向Pに延び互いに隣り合う少なくとも2つのウェールを介して案内されている、スペーサファブリックにおいて、第2のファブリック層3が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部12’を備えている。【選択図】図5

Description

本発明は、第1の平坦なファブリック層と、第2の平坦なファブリック層と、これらファブリック層を結合するスペーサ糸とを有するスペーサファブリックであって、第1のファブリック層が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部を備えており、第2のファブリック層が、少なくとも1つの第1及び第2の糸システムを備えており、第1の糸システムの糸が、生産方向に沿って、割り当てられたちょうど1つのウェールにおいて延びており、第2の糸システムの糸が、生産方向に延び互いに隣り合う少なくとも2つのウェールを介して案内されている、スペーサファブリックに関するものである。スペーサファブリックは、特に、車両用シート又は内装パネルにおける弾性的な層として設けられている。
生産方向及び横方向の割り当ては、織られた織物においては通常のことであり、生産方向は、織り方向又は長手方向とも呼ばれる。スペーサファブリックにおいては、個々にファブリックを形成する糸は、生産方向あるいは織り方向に沿って延びているとともに、これに基づき、通常は反復状の織りパターン(織り模様)を備えており、これにより、例えば、スペーサ糸は、両ファブリック層の間で、場合によっては横方向に沿ったずれをもって、前後に延びている。
通常の用語定義によれば、両平坦なファブリック層は、生産方向に沿って延びるウェールと、横方向に沿って延びるコースとを備えている。
スペーサファブリックは、軽量で通気性の構造により傑出しており、スペーサファブリックは、両ファブリック層の間で延びるスペーサ糸によってその厚さ方向において弾性を有している。このために、スペーサ糸として、通常はモノフィラメント糸が設けられており、モノフィラメント糸は、その構造に基づき、比較的大きな復帰作用を有している。
スペーサファブリックは、弾性的な特性により、ソフトで弾性的な、空気循環を可能とする層として、マットレス、室内装飾家具、衣類又は靴において設けられることができる。スペーサファブリックは、技術的な織物として、自動車分野において、例えば空調シート及びシートカバーのために用いられ、スペーサファブリックは、そのクッション特性及び非常に良好な復帰特性に基づき、良好な輪郭適合を可能とするものである。
さらに、自動車分野におけるスペーサファブリックは、例えば家具製作のような他の用途においても、特に下部詰め物に適している。したがって、自動車分野におけるスペーサ織物は内装パネルに用いられ、スペーサ織物とラミネートされた織物層、例えば皮革、合成皮革又はルーフライナ、ダッシュボード、センターコンソール及びドア内側の装飾フィルムとの結合材料を用いることが可能である。
このとき、スペーサファブリック及びカバー・装飾層との結合材料あるいは結合配置構造は、通常、その下に位置する剛直な基礎構造又はフレキシブルな基礎構造に結合されている。例えば、結合配置構造は、内装パネルのために、又は家具製作においては、剛直な下部構造へ適用されることができるか、又はシート若しくはシート面の形成時には、可撓性の下部構造へ適用されることができる。
剛直な下部構造においても、また可撓性の下部構造においても、スペーサファブリック前で、丸み、湾曲又は他の三次元的な成形をある程度補整され、多くの場合には、過剰な変形及び特にカバー・装飾層の折り曲げを防止することが可能であるという利点が得られる。加えて、スペーサファブリックの可撓性により快適でソフトな触感が得られるが、スペーサファブリックの弾性的な復帰力により、少なくとも弾性的な復帰後にあらかじめ設定された形状も維持される。
スペーサファブリックが当該特性に関して他の弾性材料よりも部分的に優れているとしても、複雑に、あるいは要求が多く成形される製品の場合、及び特に寿命の長い製品の場合には、スペーサファブリックの機械的な特性を更に改善する必要がある。
特許文献1から、スペーサファブリックと、これに基づき形成される、スペーサ糸及びカバー・装飾層を有する結合配置構造とが開示されており、結合配置構造は、エアバッグ又はエアバッグフラップを覆う配置構造のために、複数の箇所において、低減された引裂き強度を提供する。
この目的のために、スペーサファブリックの両平坦なファブリック層は、それぞれ、基本糸システム及び別の糸システムで形成されており、コースの第1の部分は少なくとも基本糸システムで形成されており、コースの第2の部分は第2の糸システムで形成されており、糸あるいは基本糸システムの糸は、コースの第2の部分において、編み目を形成することなく案内されており、ファブリック層は、コースの第2の部分では、生産方向において、コースの第1の部分におけるよりもわずかな引裂き強度を有している。したがって、編み目を省略することで横方向に延びる予定破断線が形成され、両平坦なファブリック層では、適当な予定破断線が重なり合って、又はわずかなずれをもって配置され、その結果、両平坦なファブリック層がその機能性について同一に形成されている。相応して、両ファブリック層は、その引裂き強度に関してのみならずその曲げ剛性及び延性に関しても、少なくとも比較可能な同一の機械的な特性を有している。
請求項1の前提部分によるスペーサファブリックが特許文献2から知られており、スペーサファブリックの両ファブリック層は、その構造及び機械的な特性に関して基本的に異なっている。スペーサファブリックを有する結合配置構造においては、異なる機械的な特性が特に有利に利用される。両ファブリック層のうち1つが生産方向及び横方向において良好に延びることができる一方、対向するカバー層は、生産方向(織り方向)及び横方向における極端にわずかな延性のみを有している。わずかな延性を有するファブリック層はカバー・装飾層に隣接して配置されているため、良好に延びることが可能なファブリック層は、スペーサ糸を介してカバー・装飾層に対向している。
特許文献2から知られたスペーサファブリックあるいはこれにより形成される結合材料の曲げに関して、統一的な層材料の場合よりも完全に異なる特性が得られる。統一的な層材料、例えば厚い合成樹脂フィルム又はカットフォームにおいては、通常、曲げ時に中立の繊維が厚さの中央に位置する一方、特許文献2によるスペーサファブリックにおいては、曲げ時に、本質的な延び又は圧縮ひずみが生じない中立の繊維は、わずかな延性を有する、カバー・装飾層の直下に位置するファブリック層にある。スペーサファブリックの特性、及び特にわずかな延びを有する直接つづくファブリック層の特性により、カバー・装飾層が、折り曲げ、拘束又はこれらに類するものに対して最適に保護されている。均等な凹状又は凸状の曲げ時には、良好に延びることが可能な対向するファブリック層は、相応して延びることができるか又は縮むことができ、このことは、カバー・装飾層の最適な保護に寄与するものである。
特許文献2から知られた結合配置構造は、均等に曲げられ、あるいは湾曲された大きな面が提供されるべきか、あるいは詰め物が入れられるべき場合に、優れた特性によって傑出している。
しかし、代替的な空間的な配置構造に関しては更なる改善が必要である。
独国特許発明第102010010524号明細書 独国特許発明第102016125881号明細書
Marcus Oliver Weber/Klaus−Peter Weber著、「Wirkerei und Strickerei,Technologien−Bindungen−Produktionsbeispiele」、第6版、deutscher Fachbuchverlag,2014年、p.188,189
この背景から、本発明の基礎となる課題は、使用範囲を拡張することが可能な、良好な機械的な特性及び良好な通気性を提供するスペーサファブリックを提供することにある。
本発明の対象及び課題の解決手段は、請求項1によるスペーサファブリックである。ここで、請求項1の前提部分を出発点として、本発明によれば、ここでは第2のファブリック層と呼ばれるよりわずかに延び得るファブリック層が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部を備えるようになっている。このような構成の範囲では、両ファブリック層は、異なるように構成された適当な開口部を備えている。すなわち、第2のファブリック層では、開口部の形成により過剰な延性が提供されないことに留意する必要がある。
本発明によれば、両ファブリック層は、それぞれ複数の編み目によって形成された開口部を備えている。各テクスチャ構造は完全に密ではないため、個々の糸の間には常にある程度の開口部が残っている。このとき、ファブリック層がそれぞれ複数の編み目で形成される開口部を備えているという特徴は、この通常のテクスチャ構造に関するものではなく、対応するファブリック層あるいは両ファブリック層の特別な構成に関するものであり、その結果、そこには、編み目あるいは単一の2つの編み目の間の中間空間よりも大きな開口部が形成される。
実際には、対応する開口部は、フィレット配置によって得られ、このために、典型的には、完全には覆われていない2つのガイドバーによって作業される。対応する配置パターン又は網パターンは、例えば、非特許文献1に示されている。
適当な開口部によって、厚さ方向においても、特に良好な空気搬送又は一般的に流体搬送を達成することが可能である。適当な開口部は、特許文献2によれば、より大きな延性を有するファブリック層に対してのみ知られている。この従来技術によれば、この構成は、通常の配置パターンでは格子状又は網状の構造に基づき延性の改善が達成され得るという認識も基礎とするものである。
当該認識にもかかわらず、本発明によれば、両ファブリック層がそれぞれ複数の編み目によって形成される開口部を備えるようになっている。しかし、本発明の範囲ではより延びづらい第2のファブリック層では、適当な開口部の形成にもかかわらず比較的わずかな延性のみを有する織りパターンを設けることができ、したがって、開口部は、延性の本質的な向上には寄与しない。
このために、本質的に、本発明の範囲では、第2のファブリック層が第1の糸システムを備えており、第1の糸システムの糸が生産方向に沿ってちょうど1つの割り当てられたウェールにおいて延びており、第1の糸システムの当該糸によって生産方向における大きな引張力が達成されることに寄与する。
特許文献2から知られているように、第1の糸システムの第1の糸は、生産方向において交互に外べり編み目を形成することができるか、又は編み目の形成なしに案内されることが可能である。例えば、それぞれ2つのコースについて、一方では外べり編み目の形成が設定されることができ、他方では、編み目の形成を伴わない糸の案内が設定されることができる。編み目の形成を伴わずに糸が案内される場合には、当該糸は、織りプロセスにおいて、対応する針の周囲を案内されることができ、その結果、実際には「1未満の緯糸」とも呼ばれる。
わずかに延びることが可能な第2のファブリック層において上述の開口部を形成するために、第2の糸システムは、第1の部分糸システム及び相補的な第2の部分糸システムを有するフィレット配置として形成されることができる。このとき、本発明の範囲では、典型的には割り当てられたそれぞれ1つのガイドバーによって形成される部分糸システムは、本質的には同一であるが逆の配置パターンに基づき、共通に第2の糸システムと呼ばれる。このとき、本質的に通常のフィレット配置によれば、両部分糸システムが、それぞれ1つの満たされた経糸通しと1つの空の経糸通し又は2つの満たされた経糸通しと2つの空の経糸通しをもつ2つのガイドレールによって形成されるようにすることが可能である。さらに、基本的には、本発明においても考慮に値する別の配置パターンが知られている。このとき、個々の開口部は、例えば2つのコースを介して延在することが可能である。
開口部の形成にかかわらず生産方向及び横方向におけるできる限りわずかな延びを達成するために、本発明の特に好ましい形態によれば、第2の糸システムの糸が、一方では外べり編み目を、他方ではトリコット、クロス、サテン、ビロード及び繻子のグループから選択される編み目を生産方向に沿って交互に形成するようになっている。トリコット、クロス、サテン、ビロード及び繻子のグループから選択される編み目により、横方向における個々のウェールの結合が達成され、その結果、横方向においてわずかな延性が生じる。しかし、このとき、第2の糸システム、すなわち第1の部分糸システム及び相補的な第2の部分糸システムの糸も追加的な外べり編み目を形成する場合には、さらに、生産方向における引張強度が高められ、これに伴い延性も低減される。
第2のファブリック層がそれぞれ複数の編み目により形成された開口部を備えているとしても、当該開口部は、合目的には、第1のファブリック層の開口部よりも小さい。第2の糸システムの糸は、生産方向に沿って交互に、トリコット、クロス、サテン、ビロード及び繻子のグループから選択される、n>1の外べり編み目と、他方ではm>1の編み目を形成することが可能である。単純な場合には、上述のタイプのそれぞれ2つの編み目が生産方向において連続して設けられているが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。
本発明の範囲では、スペーサファブリックは、例えば生産方向に沿って、1センチメートル当たり10〜35、特に18〜28の編み目を備えることが可能である。
横方向に沿っては、通常、1センチメートル当たり4〜13、好ましくは6〜10のウェールが設けられている。
割り当てられたガイドバーのスペーサファブリックによる好ましい完全被覆時には、1平方センチメートル当たり144〜728、好ましくは200〜560の堆積編み目密度(Polstaebchen−Dichte)が生じる。コース及びウェールの数は、DIN EN14971に従って決定され得る。
単位面積当たりの質量は、典型的には、200〜750g/m、好ましくは350〜600g/cmであり得る。
本発明によれば、また特許文献2による従来技術とは異なり、カバー・装飾層に対向する第1の平坦なファブリック層は、生産方向及び横方向において第2のファブリック層よりも大きな延性を有している。スペーサファブリックが引張の下で曲げられるときに、異なる延性は容易に認識され得る。そして、両ファブリック層のうちどちらが容易に延びることができるかを手で直接確認することができる。
このとき、第2のファブリック層のより大きな延性は、材料が破損しない通常の引張力に関するものである。
本発明の範囲では、生産方向及び横方向についての延性あるいは延びは、DIN EN ISO13934−1:2013−08によっても定量化され得る。従来技術によりスペーサファブリック全体の延び特性が算出されるべき場合には、「織物−テクスチャ面形成の引張特性−第1部」という規格を基礎とする。しかし、ここでは、一方では、両平坦なファブリック層のために延び特性が決定されるべきであり、最大引張力は決定される必要はないということが考慮されるべきである。
むしろ、本発明の範囲では、両ファブリック層の比較のために、例えば25N(ニュートン)のあらかじめ設定された引張力における延びが決定及び比較される。このために、あらかじめ設定された規格によれば、50mmの幅を有するスペーサファブリックのストリップを形成することが可能である。そして、初期長さを当該ストリップの長手方向に沿って設定することができ、初期長さをもって、その後、延び装置の試験側面間に固定部が設けられている。そして、最終的に第1の平坦なファブリック層と第2の平坦なファブリック層を互いに分離しその延び特性について試験することができるように、スペーサ糸を切断することが可能である。
本発明の好ましい一形態によれば、生産方向及び横方向についての上述の試験を考慮して、DIN EN ISO13934−1により25Nの引張力において決定される延びが、第1の平坦なファブリック層では、第2の平坦なファブリック層におけるよりも少なくとも2倍であり、その結果、少なくとも2:1の比率が生じるようになっている。当該比率は、容易に例えば3:1、5:1又は7:1であり得る。しかし、10:1又はこれより大きな比率も容易に達成可能である。
このとき、生産方向及び横方向について、DIN EN ISO13934−1に従い25Nの引張力において決定される延びが、第1の平坦なファブリック層においては、25〜60%であり、特に30〜48%であるようになっている。
これに対して、生産方向及び横方向について、DIN EN ISO13934−1に従い25Nの引張力において決定される延びが、第2の平坦なファブリック層においては、1.5〜10%であり、特に2〜7%である。
第2のファブリック層についての具体的な織りパターンにかかわらず特にわずかな延びを達成するために、本発明の好ましい発展形成によれば、第2のファブリック層がマルチフィラメント扁平糸及び/又はモノフィラメント糸を備えているか、あるいはこれから形成されるようになっている。そして、特に糸がポリエステル、ポリアミド又はポリオレフィン、ポリエチレン又はポリプロピレンのような通常の熱可塑性の合成樹脂から形成されていれば、対応する糸がその長手方向に沿って比較的わずかな延びのみを有する。
これに対して、第1のファブリック層に関して良好な延性を達成するために、好ましくは、第1のファブリック層は、織られたマルチフィラメント糸を備えているか、あるいはマルチフィラメント糸から形成されるようになっている。製織時には、マルチフィラメント糸は、その長手方向に沿ってある程度変形され、かつ、曲げられるため、引張応力なしに糸の短縮が生じる。そして、引張応力の適用時には、織られた個々のマルチフィラメント糸を再びある程度まっすぐに引っ張ることができるため、非弾性の熱可塑性物質の通常の、及び好ましい使用時には良好な延び特性が得られるとともに、限定された規模では、織られたマルチフィラメント糸の長手方向に沿って弾性的な復帰特性も得られる。
第1のファブリック層のためにも、また第2のファブリック層のためにも、典型的には40〜190dtexの繊細さを有するマルチフィラメント糸が考慮に値する。マルチフィラメント糸は例えば24のフィラメントを備えることができるが、マイクロファイバを基礎とするマルチフィラメントを含む他の糸構成も考慮に値する。
通常、スペーサ糸はモノフィラメント糸から形成されており、繊細さは、特に、所望される圧縮硬度に依存して選択されることが可能である。
本発明によるスペーサファブリックは、本発明の範囲において、多目的に使用されることができ、まさに原動機付き車両における使用が特に好ましい。
上述のように、特許文献2に基づくスペーサファブリックの特性と部分的に一致する特性が得られ、両ファブリック層における、それぞれ複数の編み目によって形成される開口部により、厚さ方向における大幅に改善された通気が可能となる。したがって、このような厚さ方向における通気が原動機付き車両のシートの範囲又は内装パネルの範囲に設けられれば、特別な利点が得られる。
これに関して、本発明によるスペーサファブリックは異なる結合配置構造あるいは異なるように成形された結合配置構造にも非常にフレキシブルに使用可能であることに留意すべきである。第1に、例えば皮革、合成皮革又は織物から成る、スペーサファブリックにより支持されるカバー層が均等に変形し、折り曲げられることなく、特許文献2と一致して内装パネル又は同様の結合配置構造において湾曲部及び/又はアーチ部を提供するために、スペーサファブリックは非常に良好に適している。したがって、このような大きなアーチ部又は丸み部が提供されることとなるため、わずかにのみ延びることが可能な第2のファブリック層を有するスペーサファブリックが、適当なカバー・装飾層へ接続する。このとき、本発明の一発展形成によるスペーサファブリックが、第2のファブリック層においてわずかにのみ延びることが可能であるとしても、比較的わずかな曲げ剛性を備えていれば、特に有利である。
第2のファブリック層のわずかな曲げ剛性は、第1の糸システムあるいは第2の糸システムの第1の配置パターン及び第2の配置パターンによって可能となり得る。第1の配置パターンにより個々の糸が修正された外べり配置においてそれぞれ1つのウェールに沿ってのみ延びる場合には、個々のウェールは、横方向において互いに容易に曲げられることができるが、同時に、第2の糸システムにより、横方向において、過剰な延び又は収縮が回避される。生産方向(織り方向)に関するわずかな曲げ剛性は、意図があらかじめ設定された長さで編み目を形成することなく案内されることで、第1の糸システムでは、規則的な間隔において外べり編み目が省かれることによって達成される。
スペーサファブリックあるいはスペーサファブリックにより形成される複合材料の曲げに関して、上述の実施形態の範囲では、統一的な層材料の場合とは完全に異なる特性が得られる。統一的な層材料、例えば厚い合成樹脂フィルムにおいては、通常、曲げ時に中立の繊維が厚さの中央に位置する一方、本発明によるスペーサファブリックにおいては、曲げ時に、本質的な延び又は圧縮ひずみが生じない中立の繊維は、第2のファブリック層にある。曲げあるいは湾曲に必要な延び及び拘束は、これを出発点として第1のファブリック層において提供される。
上述の結合配置構造によれば、第2のファブリック層は、カバー・装飾層の方向において配置されているとともに、好ましくはこれに直接接続している。第2のファブリック層のわずかな延性により、カバー・装飾層は、大きな曲げ時に、不都合な折り曲げに対して保護されることが可能である。さらに、車両用シートのシート面及び背もたれ又は他の内装部分を装飾縫い目によって三次元的に成形することが自動車分野においても知られており、適当なカバー・装飾層の下方では、良好な変形性及び大きな延性が合目的である。驚くことに、より大きな延性を有するファブリック層がカバー・装飾層に割り当てられていれば、本発明によるスペーサファブリックは、このような用途にも特に適している。
驚くことに、上述の構成に比してちょうど逆の配置により、カバー・装飾層の、特に良好な比較的小規模の三次元的な構成が、圧縮範囲におけるスペーサファブリックの圧縮により達成され得る。
このとき、スペーサファブリックは、合目的には、圧縮範囲において、カバー・装飾層と第2のファブリック層の間の結合部によって圧縮されている。このとき、本発明の特に好ましい構成によれば、カバー・装飾層は、圧縮範囲において、第2のファブリック層を統合しつつスペーサファブリックに縫合されることが可能である。縫合部では、カバー・装飾層は、スペーサファブリックが少なくとも部分的に圧縮されつつ第2のファブリック層の方向へ引っ張られるため、そこでは、初めは平坦な構造からくぼみが形成される。そして、隣り合う圧縮範囲の間では、スペーサファブリックは圧縮されないか、又は少なくともよりわずかに圧縮されるため、カバー・装飾層に関して、圧縮範囲に比べて高められた部分が生じる。
したがって、結合配置構造は、特に魅力的な構造を備えることが可能である。
当該構造は、例えば車両シートにおける使用時に乗員への通気を改善するように寄与することも可能である。まず、三次元的な構造によって、圧縮範囲に沿ったある程度の空気搬送をあらかじめ達成することが可能である。しかし、特に好ましくは、結合配置構造を空調シートのアクティブな通気と組み合わせることも可能である。
縫合又は他の結合によって、圧縮範囲は、リブパターン、長方形パターン、ひし形パターン及び三角形パターンのグループから選択されるパターンを形成することが可能である。具体的な形状に応じて、三角形パターンは、ダイヤモンドパターンとも呼ばれる。記載されたパターンは単に例示的なものであり、当然、弓状、円形状又は不規則なパターン及び湾曲部も考慮に値する。当然、異なるパターンを部分的に互いに組み合わせるか、あるいは互いに移行させることも可能である。
例えば、リブパターンにおいて、隣り合う圧縮範囲及び特に縫い目が交差しない場合には、隣り合う圧縮範囲の間の間隔あるいはそれぞれ隣り合う圧縮範囲の中央の間隔が典型的には15〜100mm、特に20〜70mmであり得る。
圧縮範囲では、したがって例えば縫合部では、スペーサファブリックは、少なくとも部分的に圧縮されている。通常、スペーサファブリックは、非圧縮状態におけるスペーサファブリックの厚さの70%未満、特に50%未満に圧縮されている。特に好ましくは、スペーサファブリックは、完全に、又はほぼ完全に圧縮されているため、両ファブリック層の厚さのみがその間の圧縮されたスペーサ糸と共に残る。そして、このとき、スペーサファブリックは、例えば圧縮範囲では、非圧縮状態における厚さの40%未満、特に20%未満に圧縮され、すなわち縮められている。
スペーサファブリック及びカバー・装飾層が圧縮範囲において例えば糸によって互いに結合され、すなわち縫合されているとしても、カバー・装飾層と第1のファブリック層の間に更に特に接着剤を用いた材料結合式の結合部を設けることも可能である。このような接着は、追加的な固定に寄与するとともに、製造プロセスを容易にすることが可能である。
冒頭で既に説明したように、カバー・装飾層は、好ましくは皮革又は合成皮革で形成されることが可能である。しかし、基本的には、用途に応じて、例えば装飾フィルム又は織物のような別の材料も考慮に値する。
上述のように、スペーサファブリックの厚さは、通常、2〜20mmであり、この記載は、当然、非圧縮状態に関するものである。スペーサファブリックの厚さによって、例えば、どのくらいの強さでカバー・装飾層がスペーサファブリックの圧縮によって三次元的にパターンを備えることができるかがあらかじめ設定されている。
上述したように、結合配置構造は、車両用シート又は内装パネルのために設けられることができるか、あるいはシートカバー又は内装パネルを形成することが可能である。したがって、例えば結合配置構造が車両用シートのために設けられていれば、通常、圧縮弾性的な下部構造、例えばより大きな厚さを有する別のスペーサファブリックが第2のファブリック層へ接続される。すなわち、スペーサファブリックによって車両シートにおける流体分配を達成することができることが知られている。適当な下部構造、例えば別のスペーサファブリックによって、面における空気分配も達成することができ、当該追加的なスペーサファブリックは、圧縮範囲によって損傷されず、これにより空気分配が妨害されない。そして、第1のスペーサファブリックにおいて接続されるカバー・装飾層を有する上述のスペーサファブリックは、本質的に、厚さ方向における通気のために設けられており、まさにここでは、両ファブリック層において開口部を有する開放された構造が特に有利である。
結合配置構造が例えば車両用シートのために設けられているか、あるいは車両用シートのシートカバー又はシート面を形成していれば、圧縮弾性的な下部構造は、特に有利な態様で換気装置を備えることができるか、又は換気装置に接続されることが可能である。
しかし、基本的には、原動機付き車両の他の範囲、家具、いすの座面又はこれらに類するものも本発明による結合配置構造を備えることが可能である。このような場合には、第2のファブリック層は、例えば支持部、特に形状安定的な支持部に接続されることが可能である。
縫い目は、まっすぐかつ互いに平行に延びることができる。これに代えて、リブは、正確にまっすぐではない、例えば波状又はジグザグ状に延びる縫い目によってもトレースあるいは形成されることが可能である。
これに対して、圧縮範囲によって個々の面が分離されている場合には、当該面は、典型的には3〜100cm、特に8〜50cmの大きさを有し得る。ここでも、示された面積は、例えば縫合によって形成され得る各圧縮範囲の中心に関するものである。個々の部分の記載された面積は、特に、長方形パターン、ひし形パターン又は三角形パターンに関するものである。
スペーサファブリックの特に良好な成形性は、様々な態様に帰するものである。まず、カバー・装飾層に対向する第1の平坦なファブリック層は、その良好な延性により特に容易に変形され得る。したがって、圧縮範囲の生成時にスペーサファブリックがそこで圧縮されるときには、良好な延性により、実際には第1のファブリック層の平面に沿って力分配がなされない。したがって、カバー・装飾層は、第1の平坦なファブリック層において非常に良好に押し込まれることが可能である。
スペーサファブリックに関して、カバー・装飾層に対向する第2の平坦なファブリック層は、よりわずかな、好ましくは明らかによりわずかな延性を有している。圧縮範囲において特に縫合によって第2のファブリック層へ加えられる引張力は、わずかな延性に基づき、より大きな範囲へ分配されることが可能である。
第2の平坦なファブリック層及びその上に配置されたカバー・装飾層は、隣り合う2つの圧縮範囲の間では、断面において弓状に延びている。これにより、圧縮範囲における復帰力によって、第2のファブリック層の平面において作用する引張力が第2のファブリック層へも加わる。しかし、第2のファブリック層は第1のファブリック層に比してわずかな、特に明らかにわずかに延びることができるため、当該引張力を受け止めることできる。したがって、結合配置構造に関して、隣り合う2つの圧縮範囲の間では断面において弓状に延びるカバー・装飾層は、ある程度保持され、あるいは張られることが可能である。
弾性的に支持されるカバー・装飾層を所望の三次元的に構造化された形状で維持するためには、わずかに延びることができる第2のファブリック層のおかげで、スペーサファブリックのみで十分である。したがって、ファブリック又はこれに類するものから成る追加的な耐張性の層は不要であり、このことは、できる限り容易な構造及び良好な通気性に関して有利である。
本発明による結合配置構造に関して、両ファブリック層における適当な開口部の形成は有利であるものの、強制的なものではない。したがって、例えば、特許文献2からも知られたスペーサファブリックは、基本的に、本発明による結合配置構造を形成するために適している。しかし、この従来技術から知られた複合(結合)材料とは異なり、スペーサファブリックはちょうど逆に配置されることができるため、本発明によれば、本発明の範囲では第1のファブリック層と呼ばれるより大きな延性を有するスペーサファブリックは、カバー・装飾層に対向しているとともに、好ましくはカバー・装飾層に直接接続されている。
それ自体公知のスペーサファブリックに関して、本発明による結合配置構造の1つの態様によれば、第2のファブリック層が、第1の配置パターンを有する少なくとも1つの第1の糸システムと、第2の配置パターンを有する少なくとも1つの第2の糸システムとから形成されており、第1の配置パターンとして、修正された外べり配置が設けられており、外べり配置では、第1の糸システムの糸が生産方向において交互に外べり編み目を形成するとともに、編み目形成なしにガイドされており、第2の糸システムの糸が、それぞれ織り方向に延び、互いに隣り合う少なくとも2つのウェールを介してガイドされているようになっている。
このようなスペーサファブリックの別の構成可能性については、特許文献2の開示内容が明確に参照される。
以下に、1つの実施例のみを示す図面に基づいて本発明を説明する。
第1のスペーサファブリック及びカバー・装飾層を有する結合配置構造の斜視図であり、スペーサファブリック及びカバー・装飾層は、互いに縫合されている。 縫合前後のカバー・装飾層及びスペーサファブリックを単に側面図で示す図である。 空気分配層としての追加的なスペーサファブリックを有する、図1による配置構造を示す図である。 スペーサファブリックの第1のファブリック層を示す図である。 スペーサファブリックの第2のファブリック層を示す図である。 第2のファブリック層の第1の糸システムについての配置パターンを示す図である。 第1の部分糸システム及び第2の糸システムを有する第2のファブリック層の第2の糸システムの配置パターンを示す図である。 図1による結合配置構造の代替的な構成を示す図である。 図1による結合配置構造の代替的な構成を示す図である。
図1には、車両用シート、例えば乗用車シートの最上の層を形成する結合配置構造が示されている。当該結合構造は、通常のように生産方向Pとこれに対して垂直な横方向Qを割り当てることができるスペーサファブリック1を含んでいる。以下に、スペーサファブリック1の構成を、生産方向P及び横方向Qを参照しつつ更に説明する。生産方向Pは、製造方法に基づき、作用方向又は長手方向とも呼ばれる。
スペーサファブリック1は、第1の平坦なファブリック層2と、第2の平坦なファブリック層3と、ファブリック層2,3を結合するスペーサ糸4とを備えている。両平坦なファブリック層2,3においては、生産方向Pにおいてウェールが割り当てられることができ、横方向Qにおいてコースが割り当てられることができる。織りプロセスでは、割り当てられたガイドバーによってコースの編み目が同時に形成され、個々の糸は、そのそれぞれ割り当てられた織りパターン(模様)をもって、すなわち場合によっては個々のウェール間のずれをもって生産方向Pへ延びる。
スペーサ糸4は、両ファブリック層2,3を結合するとともに、厚さの方向における圧縮時にスペーサファブリック1の圧縮弾性的な復帰特性に影響を与える。昇降な弾性特性を得るために、スペーサ糸4のために好ましくはモノフィラメント糸が設けられている。このとき、圧縮硬度は、糸材料、スペーサ糸4の密度及び厚さによって決定され得る。
図1によれば、第2のファブリック層2にはカバー・装飾層5が配置されており、これは、特に好ましくは皮革又は合成皮革である。しかし、基本的には、フィルム材料、織物(布地)又はこれらに類するものも考えられる。以下に詳述する通気機能を可能とするために、図1に図示された、皮革又は合成皮革から成るカバー・装飾層5には穿孔6が設けられている。
結合配置構造の特に良質な構成を達成するために、スペーサファブリック1は圧縮範囲7を備えており、当該圧縮範囲では、少なくとも部分的に、スペーサファブリック1が、カバー・装飾層5を構造化(組織化)するために永続的に圧縮されている。圧縮範囲7では、カバー・装飾層5は、第2のファブリック層3をそれぞれ1つの飾り糸8と統合しつつスペーサファブリック1と縫合され、その結果、飾り糸8によって、カバー・装飾層5と第2のファブリック層3の間の結合部9が形成されている。
圧縮範囲7では、スペーサファブリック1がその厚さの非圧縮状態における50%未満において圧縮されていることも図1から明らかである。
図1による実施例では、圧縮範囲7が互いに平行に延びているため、リブパターンが生じる。このとき、各中央に関して隣り合う圧縮範囲7の間隔は、典型的には、15〜100mmであり得る。
後に、圧縮範囲の更に別の可能なパターンが示され、当然、様々な種類のパターン及び組合せが考慮に値する。特に、座面は、様々なパターンあるいはパターン部分の組合せによって、技術的な要求及び美観上の基準に従って構成されることが可能である。
図1によれば、スペーサファブリック1は、圧縮範囲7における第1のファブリック層2において押し込まれる一方、第2のファブリック層3は1つの平面内に位置している。これについて、図1がその図示において理想化されているとしても、このような非対称な特性は、本発明の対象であるとともに、カバー・装飾層5の三次元的な構成が明らかかつ永続的に露見されることにもつながる。
当該特性は、本発明の範囲において、カバー・装飾層5に対向する第1のファブリック層2が生産方向P及び横方向Qにおいて第2のファブリック層3よりも大きな延性を有していることによって達成される。したがって、カバー・装飾層5が、圧縮範囲7における飾り糸8によって形成された結合部9において第2のファブリック層3の方向へ引っ張られると、第1のファブリック層2がそこでやや変形し、特に延びることもできる一方、第2のファブリック層3のより大きな剛性あるいはより小さな延性により、そこではよりわずかな変形がなされる。
スペーサ糸4によって生じる復帰力は、カバー・装飾層5を圧縮範囲7間で直立させ、これにより、第2のファブリック層3の引張負荷も平面内で生じる。第2のファブリック層3のわずかな延性により、当該引張力が受け止められ得る。異なる延性特性及び特に第2のファブリック層3のわずかな延性により、カバー・装飾層5がスペーサファブリック1全体の復帰力によってある程度「緊張」され得る。
このとき、本発明の意味合いにおいて、延性という用語は、あらかじめ設定された引張力における延びに関するものであり、当該引張力は、損傷を引き起こすが、好ましくはスペーサファブリック1及び特に両ファブリック層2,3の本質的なリバーシブルな変更を引き起こさないことが考慮されるべきである。
したがって、例えばDIE EN ISO 13934−1による生産方向P及び横方向Qについての延性は、25Nの引張力において決定されることが可能である。このような試験のために、スペーサファブリックから50mmの幅を有するストリップを切断することができ、そして、まず、スペーサファブリック1において、後に適当なテスト装置においてはめ込まれる初期長さがマークされる。そして、両平坦なファブリック層2,3を個別に試験することができるように、スペーサ糸4は、ファブリック層2,3に対して平行に延びる切断部によって寸断され得る。このとき、両平坦なファブリック層2,3におけるスペーサ糸4のまだ残る残留部の影響は、無視できるとともに、延性に対しても実際には下位の役割のみを担う。そして、このように形成されたパターン、すなわち試験に応じて生産方向P又は横方向Qに延びるストリップは、25Nの引張力で負荷を受け、長さの増大が%で決定される。このとき、通常、本発明の範囲では、第1の平坦なファブリック層の、第2の平坦なファブリック層に比べて明らかに大きな延びが観察される。当該比率は、少なくとも2:1であるが、容易に3:1、5:1、7:1又は10:1以上さえもあり得る。
したがって、例えば生産方向P及び横方向Qについて、上述のように25Nの引張力で決定される延びが、第1の平坦なファブリック層2において25〜60%となり得る。このような良好な延性により、第1のファブリック層2が結合部9において容易に押し込まれ得ることが保証される。特に、良好な延性により、実際には、第1のファブリック層2に沿った本質的な力配分がなされない。
第2の平坦なファブリック層3は、25Nの引張力及びDIN EN ISO 13934−1による試験において、生産方向P及び横方向Qにおける明らかに小さな延びを有している。当該延びは、例えば1.5〜10%、特に2〜7%であり得る。当該小さな延びにより、図1に示されるように、第2のファブリック層3がわずかにのみ変形し、カバー・装飾層5が張られ得ることが保証される。
最後に、図1では、カバー・装飾層5が材料結合式に、特に接着剤10によって第1のファブリック層2と結合され得ることも示唆されており、このことは、製造プロセスも容易にするものである。
スペーサファブリック1の上述の特性は、1つの断面においてのみ縫合前後の結合配置構造を示す図2においても明らかにされ得る。
圧縮範囲7における飾り糸8による適当な結合部9の生成前には、カバー・装飾層5及びスペーサファブリック1は、本質的に平坦に存在する。そして、圧縮範囲7が各中心部に関して互いに間隔Lを生じさせる場合には、第2のファブリック層3における当該長さLが維持される一方、第1のファブリック層2は、その良好な延性により弓状に伸長され得る。
第1のファブリック層2及び第2のファブリック層3に関して異なる延び特性を生成する措置を以下に更に説明する。
図3には、第一に結合配置構造の別の図が示されており、カバー・装飾層5は、スペーサファブリック1と共に追加的な空気分配層11上に配置されている。空気分配層11は、別のスペーサファブリックで形成されることができ、空気分配層11は、平面における冷却空気の分配のために設けられている。この目的のために、空気分配層11は、不図示の通気装置、例えばブロワに接続されている。
そして、冷却及びユーザの空調のための空気は、スペーサファブリック1及びカバー・装飾層5の穿孔6を通して吹き出されることが可能である。まさにこの関係において、圧縮範囲7もユーザの快適性に関して特に有利であり得る。なぜなら、このように形成されたリブによって、吹き込まれる空気が循環あるいは導出され得るためである。したがって、この背景から、スペーサファブリック1についても、厚さ方向における非常に良好な通気性が有利である。
図4には、良好な延性を有する第1のファブリック層2の構成が例示的に示されている。第1のファブリック層2はフィレットパターンを有しているため、第1のファブリック層2は、それぞれ複数の編み目で形成された開口部12を備えている。通常、フィレット配置は2つのガイドバーで形成されており、開口部12によって第1のファブリック層2の良好な延性が達成される。
当該特性を更に改善するために、第1のファブリック層2のために比較的わずかな糸張力も織りプロセスにおいて設定することが可能である。
さらに、第1のファブリック層2は、ソフトなだけではなくテクスチャ構造により長手方向に沿ってある程度リバーシブルに伸長可能なテクスチャマルチフィラメント糸で形成されることも可能である。このことは、第1のファブリック層2及び好ましくはスペーサファブリック1全体が例えばポリエステル、ポリアミド又はポリオレフィンのような非弾性の熱可塑性ポリマで形成されている場合にも当てはまる。
図5には、同様に開口部12’を備えた第2のファブリック層3が図示されている。図4及び図5が互いに縮尺どおりとなっていないとしても、編み目サイズの比較において、第2のファブリック層3の開口部12’がこの実施例では第1のファブリック層2の開口部12よりも明らかに小さいことが既に見て取れる。
第2のファブリック層3が一種の格子構造を有していることが図5において既に見て取れ、当該格子構造においては、生産方向P及び横方向Qにおいて延びる糸が第1のファブリック層2におけるよりもわずかな延性を生じさせる。このことは、特に、第2のファブリック層3のために設けられた特別な織りパターンにも由来するものである。このとき、図6によれば、第2のファブリック層3が、修正された外べりの形態の第1の配置パターンを有する第1の糸システム13を備えていることが生産方向Pにおけるわずかな延びにとって本質的である。図6によれば、第1の糸システム13の糸のために、当該糸が生産方向Pにおいて交互に外べり編み目14を形成し、編み目形成なしにガイドされているようになっている。図6によれば、生産方向Pに沿って交互に常に2つの外べり編み目14が形成され、そして、2つの編み目が省かれるが、個々の糸は、割り当てられた針の周囲でウェールに沿ってずらされる。
さらに、第2のファブリック層3を形成するために、第1の部分糸システム15a及び相補的な第2の部分糸システム15bを有する第2の糸システム15が設けられている。両部分糸システム15a,15bが、本来、一致するものの相補的な配置パターンを備えているとともに、共通にフィレット配置を形成するため、作用プロセスにおいて、各部分糸システム15a,15bについてガイドバーが設けられているとしても、これら部分糸システムは、本発明の範囲では共通に第2の糸システム15と呼ばれる。両部分糸システム15a,15bは、例えば、それぞれ1つの満たされた経糸通しと1つの空の経糸通しをもつ2つのガイドレールによって形成され得る。
図7によれば、第2の糸システム15の糸は、生産方向Pに沿って交互に外べり編み目14’及びクロス配置16を形成する。具体的には、クロス配置16の2つの編み目を有する2つの外べり編み目14’が交互となる。クロス配置16の編み目により、横方向Qに沿ったわずかな延びが得られる。
2つの外べり編み目14’及びクロス配置の2つの編み目16の順序は単に例示的なものであり、両編み目タイプについてのより多くの数を設けることも可能である。図示のクロス配置も単に例示的なものである。そのほか、トリコット、サテン、ビロード及び繻子のグループから選択される編み目も考慮に入れられる。
全体的にできる限りわずかな延性を達成するために、第1の糸システム13及び第2の糸システム15を有する第2のファブリック層3が完全にマルチフィラメント扁平糸で形成されている。
スペーサファブリック1の厚さは、典型的には2〜20mm、特に3〜15mmである。
図1によれば例示的に圧縮範囲7のリブ構造が図示されている一方、図8a及び図8bには別の可能な構成形態が示されており、これによれば、図8aでは、ダイヤモンドパターンとも呼ばれる三角形パターンが図示されている。様々な幾何形状又は少なくとも異なる大きさの部分が圧縮範囲7によって形成されることができることも既に図示されている。
図8bによれば、ひし形パターンが設けられている。
図1の場合と異なり、飾り糸8による圧縮範囲7では、図8a及び図8bによれば、本質的に閉じた平面が形成される。それぞれ飾り糸8内で延びる基礎面は、例えば3〜100cmの面積を有することができる。
図3によれば、カバー・装飾層5及びスペーサファブリック1が、圧縮弾性的な下部構造を形成する空気分配層11上に配置されていることが例示的に図示されている。しかし、これに代えて、例えば原動機付き車両のインストルメントパネル、サイドパネル又は他の種類の内装パネルも形成するために、第2のファブリック層3に形状安定的な支持部も接続することができる。当然、良質な外観あるいは魅力的な構成が所望される他の範囲においても対応する構成が考えられる。
本発明によるスペーサファブリック1の特別な利点を示すために、実施例では、圧縮範囲7を備えた結合配置構造が単に例示的に述べられており、このために、比較的延びることが可能な第1のファブリック層2がカバー・装飾層5に接続されている一方、比較的わずかのみの延性を有する第2のファブリック層3は、スペーサ糸によって弾性的に支持されるカバー・装飾層5を張ることが可能である。
これに対して、比較的大きく均等に曲げられた面を提供すべき場合には、本発明によるスペーサファブリック1は、ファブリック層2,3のちょうど逆の配置構造において設けられることができ、よりわずかな延性を有する第2のファブリック層3がカバー・装飾層5を支持している。可能な形態に関して、特許文献2の実施例3が参照され、有利には、スペーサファブリック1の本発明による構成により、結合配置構造の適当な実施形態においても、厚さ方向における、すなわちカバー・装飾層5を通過する換気機能を設定することが可能である。このために、カバー・装飾層5は、上述の一種の穿孔6の形態での開口部も備えることが可能である。

Claims (12)

  1. 第1の平坦なファブリック層(2)と、第2の平坦なファブリック層(3)と、これらファブリック層(2,3)を結合するスペーサ糸(4)とを有するスペーサファブリック(1)であって、第1のファブリック層(2)が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部(12)を備えており、第2のファブリック層(3)が、少なくとも1つの第1及び第2の糸システム(13,15)を備えており、第1の糸システム(13)の糸が、生産方向(P)に沿って、割り当てられたちょうど1つのウェールにおいて延びており、第2の糸システム(15)の糸が、生産方向(P)に延び互いに隣り合う少なくとも2つのウェールを介して案内されている、スペーサファブリックにおいて、
    第2のファブリック層(3)が、それぞれ複数の編み目で形成された開口部(12’)を備えていることを特徴とするスペーサファブリック。
  2. 第2の糸システム(15)が、第1の部分糸システム(15a)及び相補的な第2の部分糸システム(15b)を有するフィレット配置として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサファブリック(1)。
  3. 両部分糸システム(15a,15b)が、それぞれ1つの満たされた経糸通しと1つの空の経糸通し又は2つの満たされた経糸通しと2つの空の経糸通しをもつ2つのガイドレールによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスペーサファブリック(1)。
  4. 第2の糸システム(15)の糸が、一方では外べり編み目(14’)を、他方ではトリコット、クロス、サテン、ビロード及び繻子のグループから選択される、編み目(16)を生産方向(P)に沿って交互に形成していることを特徴とする請求項2又は3に記載のスペーサファブリック(1)。
  5. 第1の糸システム(13)の糸が、生産方向(P)において交互に外べり編み目(14’)を形成し、編み目を形成することなく案内されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスペーサファブリック(1)。
  6. 第1の平坦なファブリック層(2)が、生産方向(P)及び横方向(Q)において、第2のファブリック層(3)よりも大きな延性を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスペーサファブリック(1)。
  7. 生産方向(P)及び横方向(Q)について、DIN EN ISO13934−1に従い25N(ニュートン)の引張力において決定される延びが、第1の平坦なファブリック層(2)においては、第2の平坦なファブリック層(3)の場合に比べて少なくとも2倍であることを特徴とする請求項6に記載のスペーサファブリック(1)。
  8. 生産方向(P)及び横方向(Q)について、DIN EN ISO13934−1に従い25Nの引張力において決定される延びが、第1の平坦なファブリック層(2)においては、25〜60%であることを特徴とする請求項6又は7に記載のスペーサファブリック(1)。
  9. 生産方向(P)及び横方向(Q)について、DIN EN ISO13934−1に従い25Nの引張力において決定される延びが、第2の平坦なファブリック層(3)においては、1.5〜10%であることを特徴とする請求項6又は7に記載のスペーサファブリック(1)。
  10. 厚さが2〜20mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスペーサファブリック(1)。
  11. 第2のファブリック層(3)がマルチフィラメント扁平糸及び/又はモノフィラメント糸を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のスペーサファブリック(1)。
  12. 第1のファブリック層(2)がテクスチャマルチフィラメント糸を備えていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のスペーサファブリック(1)。
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