JPH078747A - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents
湿式排煙脱硫装置Info
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- JPH078747A JPH078747A JP5141644A JP14164493A JPH078747A JP H078747 A JPH078747 A JP H078747A JP 5141644 A JP5141644 A JP 5141644A JP 14164493 A JP14164493 A JP 14164493A JP H078747 A JPH078747 A JP H078747A
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- spray nozzle
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ガス分散板を設置せずに、吸収塔内のガス流
の偏流を抑制することにより、吸収塔の圧力損失および
塔高を低くすること。 【構成】 湿式排煙脱硫装置の吸収塔本体1内に複数段
設置されるスプレヘッダー11〜14のガス流と向流方
向に吸収液を噴出するスプレノズル4群のうち、少なく
とも一段のスプレヘッダー11(ガス入口ダクト2の近
傍のものが望ましい)の中の一部分のスプレノズル4の
向きをガス流と同じ向きに吸収液が噴出するように設置
することで、ガス分散板を設置しないでもガス流の偏流
を抑制し整流することができる。
の偏流を抑制することにより、吸収塔の圧力損失および
塔高を低くすること。 【構成】 湿式排煙脱硫装置の吸収塔本体1内に複数段
設置されるスプレヘッダー11〜14のガス流と向流方
向に吸収液を噴出するスプレノズル4群のうち、少なく
とも一段のスプレヘッダー11(ガス入口ダクト2の近
傍のものが望ましい)の中の一部分のスプレノズル4の
向きをガス流と同じ向きに吸収液が噴出するように設置
することで、ガス分散板を設置しないでもガス流の偏流
を抑制し整流することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式排煙脱硫装置に係
わり、特に吸収塔において吸収液を循環するスプレノズ
ルの配置と噴霧方法を適正化することにより、吸収塔を
コンパクトにすると共に脱硫性能を向上させて設備コス
トおよび運転コストを低減する湿式排煙吸収塔に関する
ものである。
わり、特に吸収塔において吸収液を循環するスプレノズ
ルの配置と噴霧方法を適正化することにより、吸収塔を
コンパクトにすると共に脱硫性能を向上させて設備コス
トおよび運転コストを低減する湿式排煙吸収塔に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】火力発電所などにおいて、化石燃料の燃
焼に伴って発生する排煙中の硫黄酸化物、中でも特に二
酸化硫黄(SO2)は大気汚染、酸性雨などの地球的環
境問題の主原因の一つである。このため、排煙中からS
O2を除去する排煙脱硫法の研究および脱硫装置の開発
は極めて重要な課題となっている。上記脱硫法として
は、最近低コストでシステムが簡単な簡易型の乾式脱硫
装置の開発が進められているが、脱硫率がせいぜい70
〜80%と低いこともあり、未だ湿式法が主流を占めて
いる。この湿式法には、吸収剤にソーダ化合物を用いる
ソーダ法、カルシウム化合物を用いるカルシウム法およ
びマグネシウム化合物を用いるマグネシウム法などがあ
る。このうち、ソーダ法は吸収剤とSO2との反応性に
優れている反面、使用するソーダ類が非常に高価であ
る。このため、発電用の大型のボイラ等の排煙脱硫装置
には、比較的安価な炭酸カルシウムなどのカルシウム化
合物を用いる方法が最も多く採用されている。
焼に伴って発生する排煙中の硫黄酸化物、中でも特に二
酸化硫黄(SO2)は大気汚染、酸性雨などの地球的環
境問題の主原因の一つである。このため、排煙中からS
O2を除去する排煙脱硫法の研究および脱硫装置の開発
は極めて重要な課題となっている。上記脱硫法として
は、最近低コストでシステムが簡単な簡易型の乾式脱硫
装置の開発が進められているが、脱硫率がせいぜい70
〜80%と低いこともあり、未だ湿式法が主流を占めて
いる。この湿式法には、吸収剤にソーダ化合物を用いる
ソーダ法、カルシウム化合物を用いるカルシウム法およ
びマグネシウム化合物を用いるマグネシウム法などがあ
る。このうち、ソーダ法は吸収剤とSO2との反応性に
優れている反面、使用するソーダ類が非常に高価であ
る。このため、発電用の大型のボイラ等の排煙脱硫装置
には、比較的安価な炭酸カルシウムなどのカルシウム化
合物を用いる方法が最も多く採用されている。
【0003】このカルシウム化合物を吸収液として用い
る脱硫システムは、気液接触方法の違いによりスプレー
方式、濡れ壁方式およびバブリング方式の3種類に大別
される。各方式ともそれぞれ特徴を有しているが、実績
が多く信頼性の高いスプレー方式が世界的にも多く使用
されている。このスプレー方式の脱硫システムとして
は、従来から排ガスの冷却・除塵を行う冷却塔、吸収液
を噴霧して排ガス中のSO2と反応させる吸収塔、吸収
塔で生成した亜硫酸カルシウムを酸化する酸化塔の3塔
で構成されていた。しかし、近年になって吸収塔に冷却
・酸化の機能を持たせた1塔型吸収塔の開発が進み、最
近では1塔型脱硫システムがスプレー方式の主流になっ
ている。
る脱硫システムは、気液接触方法の違いによりスプレー
方式、濡れ壁方式およびバブリング方式の3種類に大別
される。各方式ともそれぞれ特徴を有しているが、実績
が多く信頼性の高いスプレー方式が世界的にも多く使用
されている。このスプレー方式の脱硫システムとして
は、従来から排ガスの冷却・除塵を行う冷却塔、吸収液
を噴霧して排ガス中のSO2と反応させる吸収塔、吸収
塔で生成した亜硫酸カルシウムを酸化する酸化塔の3塔
で構成されていた。しかし、近年になって吸収塔に冷却
・酸化の機能を持たせた1塔型吸収塔の開発が進み、最
近では1塔型脱硫システムがスプレー方式の主流になっ
ている。
【0004】図5に従来技術のスプレ方式による1塔型
脱硫装置の一例を示す。1塔型の吸収塔は、主に塔本体
1、入口ダクト2、出口ダクト3、スプレノズル4、吸
収液循環ポンプ5、酸化タンク6、酸化用撹拌機7、空
気吹き込み管8、ミストエリミネータ9などから構成さ
れる。スプレノズル4は水平方向に複数個、さらに高さ
方向に複数段設置されている。スプレノズル4の段数と
しては、一般に4〜6段程度設置されることが多いが、
本図では簡略化のため4段で表している。また、酸化用
撹拌機7および空気吹き込み管8は吸収塔下部の吸収液
が滞留する酸化タンク6に設置され、ミストエリミネー
タ9は吸収塔内最上部あるいは出口ダクト3内に設置さ
れる。図示していないボイラから排出される排ガスは、
入口ダクト2より吸収塔本体1に導入され、出口ダクト
3より排出される。この間、吸収塔には循環ポンプ5か
ら送られる炭酸カルシウムを含んだ吸収液が複数のスプ
レノズル4から噴霧され、吸収液と排ガスの気液接触が
行われる。このとき吸収液は排ガス中のSO2を選択的
に吸収し、亜硫酸カルシウムを生成する。亜硫酸カルシ
ウムを生成した吸収液は酸化タンク6に溜まり、酸化用
撹拌機7によって撹拌されながら、空気吹き込み管8か
ら供給される空気中の酸素により吸収液中の亜硫酸カル
シウムが酸化され石膏を生成する。炭酸カルシウムおよ
び石膏が共存する酸化タンク6内の吸収液の一部は、循
環ポンプ5によって再びスプレノズル4に送られ、一部
は吸収液抜き出し管10より図示していない廃液処理・
石膏回収系へと送られる。また、スプレノズル4から噴
霧され微粒化された吸収液の中で、液滴径の小さいもの
は排ガスに同伴されるが、吸収塔上部に設けられたミス
トエリミネータ9によって回収される。
脱硫装置の一例を示す。1塔型の吸収塔は、主に塔本体
1、入口ダクト2、出口ダクト3、スプレノズル4、吸
収液循環ポンプ5、酸化タンク6、酸化用撹拌機7、空
気吹き込み管8、ミストエリミネータ9などから構成さ
れる。スプレノズル4は水平方向に複数個、さらに高さ
方向に複数段設置されている。スプレノズル4の段数と
しては、一般に4〜6段程度設置されることが多いが、
本図では簡略化のため4段で表している。また、酸化用
撹拌機7および空気吹き込み管8は吸収塔下部の吸収液
が滞留する酸化タンク6に設置され、ミストエリミネー
タ9は吸収塔内最上部あるいは出口ダクト3内に設置さ
れる。図示していないボイラから排出される排ガスは、
入口ダクト2より吸収塔本体1に導入され、出口ダクト
3より排出される。この間、吸収塔には循環ポンプ5か
ら送られる炭酸カルシウムを含んだ吸収液が複数のスプ
レノズル4から噴霧され、吸収液と排ガスの気液接触が
行われる。このとき吸収液は排ガス中のSO2を選択的
に吸収し、亜硫酸カルシウムを生成する。亜硫酸カルシ
ウムを生成した吸収液は酸化タンク6に溜まり、酸化用
撹拌機7によって撹拌されながら、空気吹き込み管8か
ら供給される空気中の酸素により吸収液中の亜硫酸カル
シウムが酸化され石膏を生成する。炭酸カルシウムおよ
び石膏が共存する酸化タンク6内の吸収液の一部は、循
環ポンプ5によって再びスプレノズル4に送られ、一部
は吸収液抜き出し管10より図示していない廃液処理・
石膏回収系へと送られる。また、スプレノズル4から噴
霧され微粒化された吸収液の中で、液滴径の小さいもの
は排ガスに同伴されるが、吸収塔上部に設けられたミス
トエリミネータ9によって回収される。
【0005】吸収塔におけるSO2の除去率すなわち脱
硫率は、吸収液と排ガスの流量比すなわち液ガス比が小
さくなると低下する。したがって、吸収塔内でガスの偏
流が生じると、ガス流速の大きい領域は液/ガス比が小
さくなるため、脱硫率が低下することになる。事実、従
来から吸収塔内ではガスの偏流が生じることが推測され
ていたため、図5に示したようにガス分散板15を設置
し、ガス流を整流していた。しかし、このガス分散板1
5を設置すると吸収塔内での圧力損失が大きくなり、ま
た塔高も高くなるため、現在ではガス分散板15を設置
しない傾向にあり、すでにガス分散板15を設置しない
で稼動している脱硫装置もある。ただし、ガス分散板1
5を設置しない場合には、ガスの偏流による局部的なガ
ス流速の増大に見合うだけの吸収液を多く噴霧し、局部
的な液/ガス比の低下を防止しなければならない。
硫率は、吸収液と排ガスの流量比すなわち液ガス比が小
さくなると低下する。したがって、吸収塔内でガスの偏
流が生じると、ガス流速の大きい領域は液/ガス比が小
さくなるため、脱硫率が低下することになる。事実、従
来から吸収塔内ではガスの偏流が生じることが推測され
ていたため、図5に示したようにガス分散板15を設置
し、ガス流を整流していた。しかし、このガス分散板1
5を設置すると吸収塔内での圧力損失が大きくなり、ま
た塔高も高くなるため、現在ではガス分散板15を設置
しない傾向にあり、すでにガス分散板15を設置しない
で稼動している脱硫装置もある。ただし、ガス分散板1
5を設置しない場合には、ガスの偏流による局部的なガ
ス流速の増大に見合うだけの吸収液を多く噴霧し、局部
的な液/ガス比の低下を防止しなければならない。
【0006】しかしながら、従来技術では局部的に吸収
液を多く噴霧させる手段を持っていないため、脱硫率が
定格値になるように各スプレ段に接続されている全ての
循環ポンプ5の吐出量を多くしているのが実状である。
これでは、せっかくガス分散板15を撤去し、吸収塔内
の圧力損失を小さくすることによって脱硫ファン動力を
低減しても、循環ポンプ5の動力が増大してしまうた
め、それほど運転コストを安価にすることはできない。
したがって、液ガス比を増大させずに脱硫ファン動力を
低減するためには、ガス分散板15に代わる方法でガス
偏流を抑制する方策を講ずればよい。この具体的な手段
に関する公知例としては、例えば、実開昭60−144
927号公報ではスプレ部の下部に気液接触媒体となる
パイプを設置し、実開昭61−183101号公報およ
び実開昭58−73317号公報では充填剤を設置する
ことによりガスの偏流を防止しようとしているが、内挿
物を入れるという意味ではガス分散板15と何ら変わり
なく、むしろ塔高を低くすることを考えれば、ガス分散
板15の方が有利である。また、実開昭58−1972
9号公報には内挿物を用いずにスプレヘッダーの塔内へ
の挿入方向を各段ごとに120度ずつずらすことにより
整流効果を持たせた発明が開示されているが、この方法
は10m/s以上の流速で入ってくるガスの流れに対し
てはほとんど効果はない。
液を多く噴霧させる手段を持っていないため、脱硫率が
定格値になるように各スプレ段に接続されている全ての
循環ポンプ5の吐出量を多くしているのが実状である。
これでは、せっかくガス分散板15を撤去し、吸収塔内
の圧力損失を小さくすることによって脱硫ファン動力を
低減しても、循環ポンプ5の動力が増大してしまうた
め、それほど運転コストを安価にすることはできない。
したがって、液ガス比を増大させずに脱硫ファン動力を
低減するためには、ガス分散板15に代わる方法でガス
偏流を抑制する方策を講ずればよい。この具体的な手段
に関する公知例としては、例えば、実開昭60−144
927号公報ではスプレ部の下部に気液接触媒体となる
パイプを設置し、実開昭61−183101号公報およ
び実開昭58−73317号公報では充填剤を設置する
ことによりガスの偏流を防止しようとしているが、内挿
物を入れるという意味ではガス分散板15と何ら変わり
なく、むしろ塔高を低くすることを考えれば、ガス分散
板15の方が有利である。また、実開昭58−1972
9号公報には内挿物を用いずにスプレヘッダーの塔内へ
の挿入方向を各段ごとに120度ずつずらすことにより
整流効果を持たせた発明が開示されているが、この方法
は10m/s以上の流速で入ってくるガスの流れに対し
てはほとんど効果はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、吸
収塔内でのガス偏流による脱硫性能の低下を防止する方
法に関して、脱硫ファンおよび吸収液循環ポンプの動力
費および運転費の削減、並びに吸収塔のコンパクト化を
図ることについては考慮されておらず、設備費および運
転費が高くなる問題があった。本発明の目的は、ガス分
散板を設置せずに、吸収塔内のガス流の偏流を抑制する
ことにより、吸収塔の圧力損失および塔高を低くすると
ともに、吸収液循環量を低減し、安価な設備費および運
転費で高い脱硫性能を得ることにある。
収塔内でのガス偏流による脱硫性能の低下を防止する方
法に関して、脱硫ファンおよび吸収液循環ポンプの動力
費および運転費の削減、並びに吸収塔のコンパクト化を
図ることについては考慮されておらず、設備費および運
転費が高くなる問題があった。本発明の目的は、ガス分
散板を設置せずに、吸収塔内のガス流の偏流を抑制する
ことにより、吸収塔の圧力損失および塔高を低くすると
ともに、吸収液循環量を低減し、安価な設備費および運
転費で高い脱硫性能を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、次
の構成によって達成される。すなわち、ボイラなどの燃
焼装置から排出される排ガスを吸収塔内でガス流方向に
複数段設置されたスプレノズルからガス流に逆らった向
きに噴出される吸収液と気液接触させることにより排ガ
ス中の硫黄酸化物を吸収除去する湿式脱硫装置におい
て、複数段設置されるスプレノズル群のうち、少なくと
も一つのスプレ段の中の一部分のスプレノズル群の向き
をガス流と同じ向きに吸収液が噴出するように配置する
湿式排煙脱硫装置である。
の構成によって達成される。すなわち、ボイラなどの燃
焼装置から排出される排ガスを吸収塔内でガス流方向に
複数段設置されたスプレノズルからガス流に逆らった向
きに噴出される吸収液と気液接触させることにより排ガ
ス中の硫黄酸化物を吸収除去する湿式脱硫装置におい
て、複数段設置されるスプレノズル群のうち、少なくと
も一つのスプレ段の中の一部分のスプレノズル群の向き
をガス流と同じ向きに吸収液が噴出するように配置する
湿式排煙脱硫装置である。
【0009】上記湿式排煙脱硫装置において、ガス流と
同じ向きに吸収液が噴出するように配置する少なくとも
一つのスプレ段の中の一部分のスプレノズル群を吸収塔
のガス入口ダクトの近傍に設けること、または、少なく
とも一つのスプレ段のスプレノズルの向きをガス流と同
じ向きに吸収液が噴出するように配置するスプレノズル
群とガス流に逆らった向きに吸収液が噴出するように配
置するスプレノズル群とでは別個の吸収液循環ポンプを
設けることができる。
同じ向きに吸収液が噴出するように配置する少なくとも
一つのスプレ段の中の一部分のスプレノズル群を吸収塔
のガス入口ダクトの近傍に設けること、または、少なく
とも一つのスプレ段のスプレノズルの向きをガス流と同
じ向きに吸収液が噴出するように配置するスプレノズル
群とガス流に逆らった向きに吸収液が噴出するように配
置するスプレノズル群とでは別個の吸収液循環ポンプを
設けることができる。
【0010】
【作用】吸収塔における脱硫性能は、液ガス比が小さく
なると低下する。そのため、吸収塔内でガスの流れに偏
流が生じると、ガス流速の大きい部分は液ガス比が小さ
くなり、脱硫性能が低下することになる。一方、ホロコ
ーン型スプレノズルを用いてガス流に対して向流方向に
吸収液を噴霧すると、ガスがスプレ部を通過するときの
圧力損失が大きくなるためガス流の偏流を抑制する整流
効果が生じる。しかしながら、逆にガス流に対して並流
方向に吸収液を噴霧すると、ガスがスプレ部を通過する
ときの圧力損失は小さいため向流噴霧ほどガス流に対す
る整流効果はない。したがって、ガス流速の大きい部分
に配置されるスプレノズルは圧力損失の大きい向流噴霧
にしてガスを通過し難くし、ガス流速の小さい部分に配
置されるスプレノズルは圧力損失の小さい並流噴霧にし
てガスを通過しやすくすれば、吸収塔全体の圧力損失を
増大させることなく効率よくガス流の偏流を抑制するこ
とが可能となる。
なると低下する。そのため、吸収塔内でガスの流れに偏
流が生じると、ガス流速の大きい部分は液ガス比が小さ
くなり、脱硫性能が低下することになる。一方、ホロコ
ーン型スプレノズルを用いてガス流に対して向流方向に
吸収液を噴霧すると、ガスがスプレ部を通過するときの
圧力損失が大きくなるためガス流の偏流を抑制する整流
効果が生じる。しかしながら、逆にガス流に対して並流
方向に吸収液を噴霧すると、ガスがスプレ部を通過する
ときの圧力損失は小さいため向流噴霧ほどガス流に対す
る整流効果はない。したがって、ガス流速の大きい部分
に配置されるスプレノズルは圧力損失の大きい向流噴霧
にしてガスを通過し難くし、ガス流速の小さい部分に配
置されるスプレノズルは圧力損失の小さい並流噴霧にし
てガスを通過しやすくすれば、吸収塔全体の圧力損失を
増大させることなく効率よくガス流の偏流を抑制するこ
とが可能となる。
【0011】また、ガスがスプレ部を通過するときの圧
力損失は、スプレノズルから噴出する吸収液量に比例す
る。したがって、一つのスプレ段に設置されるスプレノ
ズル群を向流噴霧部分と並流噴霧部分の二つの領域に分
け、それぞれの領域ごとに吸収液循環ポンプを別々に設
けることにより、向流噴霧の領域の吸収液循環量を多く
し、並流噴霧の領域の吸収液循環量を少なくした運転が
できるため、さらにガス流の偏流を抑制する効果を高め
ることが可能となる。
力損失は、スプレノズルから噴出する吸収液量に比例す
る。したがって、一つのスプレ段に設置されるスプレノ
ズル群を向流噴霧部分と並流噴霧部分の二つの領域に分
け、それぞれの領域ごとに吸収液循環ポンプを別々に設
けることにより、向流噴霧の領域の吸収液循環量を多く
し、並流噴霧の領域の吸収液循環量を少なくした運転が
できるため、さらにガス流の偏流を抑制する効果を高め
ることが可能となる。
【0012】
【実施例】本発明による一実施例を図面と共に説明す
る。図1に示す吸収塔は、図5の従来技術の吸収塔と同
様に塔本体1、入口ダクト2、出口ダクト3、スプレノ
ズル4、吸収液循環ポンプ5、酸化タンク6、撹拌機
7、空気吹き込み管8、ミストエリミネータ9などから
構成されるが、本実施例では、吸収塔内のスプレ部の最
下段である第1スプレヘッダー11の特に入口ダクト2
近傍に設置されるスプレノズル4を、ガス流と同じ向き
に吸収液を噴霧する並流噴霧になるように取り付けてい
る。本実施例と従来法との大きな違いは、ガス分散板な
どの内挿物をまったく用いずにスプレ式吸収塔の必要最
小限の構成であるスプレノズル4に着目し、特にホロコ
ーン型スプレノズル4の特性をうまく利用することによ
りガス流の偏流を抑制し、各々のスプレノズル4の近傍
での液/ガス比をほぼ均一な状態に保ちながら排ガスと
吸収液を接触・反応させることにある。
る。図1に示す吸収塔は、図5の従来技術の吸収塔と同
様に塔本体1、入口ダクト2、出口ダクト3、スプレノ
ズル4、吸収液循環ポンプ5、酸化タンク6、撹拌機
7、空気吹き込み管8、ミストエリミネータ9などから
構成されるが、本実施例では、吸収塔内のスプレ部の最
下段である第1スプレヘッダー11の特に入口ダクト2
近傍に設置されるスプレノズル4を、ガス流と同じ向き
に吸収液を噴霧する並流噴霧になるように取り付けてい
る。本実施例と従来法との大きな違いは、ガス分散板な
どの内挿物をまったく用いずにスプレ式吸収塔の必要最
小限の構成であるスプレノズル4に着目し、特にホロコ
ーン型スプレノズル4の特性をうまく利用することによ
りガス流の偏流を抑制し、各々のスプレノズル4の近傍
での液/ガス比をほぼ均一な状態に保ちながら排ガスと
吸収液を接触・反応させることにある。
【0013】図示していないボイラから排出される排ガ
スは、10m/s以上の高い流速で入口ダクト2よりほ
ぼ水平方向に吸収塔本体1に導入された後、直ちに90
度向きを変えて上昇するため、スプレ部の最下段すなわ
ち第1スプレヘッダー11近傍ではガス流の偏流が非常
に激しい状態で排ガスと吸収液が接触することになる。
しかしながら、本実施例では、第1スプレヘッダー11
の入口ダクト2近傍に設置されるスプレノズル4を、ガ
ス流と同じ向きに吸収液を噴霧する並流噴霧になるよう
に取り付けているため、ガス流の偏流を抑制する整流効
果が生じ、各々のスプレノズル4の近傍における液/ガ
ス比の変動を防止することができる。
スは、10m/s以上の高い流速で入口ダクト2よりほ
ぼ水平方向に吸収塔本体1に導入された後、直ちに90
度向きを変えて上昇するため、スプレ部の最下段すなわ
ち第1スプレヘッダー11近傍ではガス流の偏流が非常
に激しい状態で排ガスと吸収液が接触することになる。
しかしながら、本実施例では、第1スプレヘッダー11
の入口ダクト2近傍に設置されるスプレノズル4を、ガ
ス流と同じ向きに吸収液を噴霧する並流噴霧になるよう
に取り付けているため、ガス流の偏流を抑制する整流効
果が生じ、各々のスプレノズル4の近傍における液/ガ
ス比の変動を防止することができる。
【0014】このとき起きている現象について、図2を
用いて吸収塔内の圧力損失に及ぼす吸収液の噴霧方法の
影響を説明する。ホロコーン型スプレノズル4を用いて
吸収塔内に吸収液を噴霧したときの圧力損失は、噴霧の
向きによって大きく異なり、ガス流に対して並流方向に
吸収液を噴霧する場合に比べて、ガス流に対して向流方
向に吸収液を噴霧した方が大きくなる。一方、吸収塔内
の特に第1スプレヘッダー11部でのガス流は、入口ダ
クト2近傍はガス流速が小さく、反対側は逆にガス流速
が大きい。したがって、ガス流速の大きい部分に配置さ
れるスプレノズル4を圧力損失の大きい向流噴霧にすれ
ばガスを通過し難くすることができる。また、ガス流速
の小さい部分に配置されるスプレノズル4を圧力損失の
小さい並流噴霧にすることによりガスを通過しやすくす
ることができる。こうして、向流噴霧用と並流噴霧用の
スプレノズル4を領域を分けて単一のスプレヘッダー1
1に設けることにより、全体として、吸収塔全体の圧力
損失を増大させることなく効率よくガス流の偏流を抑制
することが可能となる。また、本実施例のように第1ス
プレヘッダー11の入口ダクト2側に設置されるスプレ
ノズル4を並流噴霧にすると、直接入口ダクト2の中へ
吸収液が侵入することによって生じるスケーリングを軽
減することもできる。
用いて吸収塔内の圧力損失に及ぼす吸収液の噴霧方法の
影響を説明する。ホロコーン型スプレノズル4を用いて
吸収塔内に吸収液を噴霧したときの圧力損失は、噴霧の
向きによって大きく異なり、ガス流に対して並流方向に
吸収液を噴霧する場合に比べて、ガス流に対して向流方
向に吸収液を噴霧した方が大きくなる。一方、吸収塔内
の特に第1スプレヘッダー11部でのガス流は、入口ダ
クト2近傍はガス流速が小さく、反対側は逆にガス流速
が大きい。したがって、ガス流速の大きい部分に配置さ
れるスプレノズル4を圧力損失の大きい向流噴霧にすれ
ばガスを通過し難くすることができる。また、ガス流速
の小さい部分に配置されるスプレノズル4を圧力損失の
小さい並流噴霧にすることによりガスを通過しやすくす
ることができる。こうして、向流噴霧用と並流噴霧用の
スプレノズル4を領域を分けて単一のスプレヘッダー1
1に設けることにより、全体として、吸収塔全体の圧力
損失を増大させることなく効率よくガス流の偏流を抑制
することが可能となる。また、本実施例のように第1ス
プレヘッダー11の入口ダクト2側に設置されるスプレ
ノズル4を並流噴霧にすると、直接入口ダクト2の中へ
吸収液が侵入することによって生じるスケーリングを軽
減することもできる。
【0015】本発明による他の実施例を図3および図4
に示す。図3に示す実施例は、図1の実施例において第
1スプレヘッダー11に適用した入口ダクト2近傍への
並流噴霧ノズル4の部分的配置を第2スプレヘッダー1
2にも適用したものであり、図1で示した実施例とほぼ
同等の効果が得られるものである。また、図4に示す実
施例は、図1の実施例に対してさらに、一つのスプレ段
に設置されるスプレノズル4群を向流噴霧と並流噴霧の
部分の二つの領域に分け、それぞれの領域ごとに吸収液
循環ポンプを1台ずつ設けている。図2で示した吸収液
噴霧量と圧力損失の関係からも分かるように、ガスがス
プレ部を通過するときの圧力損失は、スプレノズル4か
ら噴出される吸収液量に比例する。したがって、向流噴
霧の領域の吸収液循環量を多くし、並流噴霧の領域の吸
収液循環量を少なくした運転を行うことにより、さらに
ガス流の偏流を抑制する効果を高めることが可能とな
る。
に示す。図3に示す実施例は、図1の実施例において第
1スプレヘッダー11に適用した入口ダクト2近傍への
並流噴霧ノズル4の部分的配置を第2スプレヘッダー1
2にも適用したものであり、図1で示した実施例とほぼ
同等の効果が得られるものである。また、図4に示す実
施例は、図1の実施例に対してさらに、一つのスプレ段
に設置されるスプレノズル4群を向流噴霧と並流噴霧の
部分の二つの領域に分け、それぞれの領域ごとに吸収液
循環ポンプを1台ずつ設けている。図2で示した吸収液
噴霧量と圧力損失の関係からも分かるように、ガスがス
プレ部を通過するときの圧力損失は、スプレノズル4か
ら噴出される吸収液量に比例する。したがって、向流噴
霧の領域の吸収液循環量を多くし、並流噴霧の領域の吸
収液循環量を少なくした運転を行うことにより、さらに
ガス流の偏流を抑制する効果を高めることが可能とな
る。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、ガス偏流防止用のガス
分散板を設置していないため、吸収塔内の圧力損失が低
くなり、脱硫ファン動力を低減できる。また、吸収塔内
のガスの偏流を抑制することにより必要最小限の吸収液
循環量で高い脱硫性能を得ることができるため、吸収液
循環ポンプの動力低減が可能となる。さらに、吸収塔の
塔高が低くなるため、設備費のコンパクト化を図ること
も可能となる。
分散板を設置していないため、吸収塔内の圧力損失が低
くなり、脱硫ファン動力を低減できる。また、吸収塔内
のガスの偏流を抑制することにより必要最小限の吸収液
循環量で高い脱硫性能を得ることができるため、吸収液
循環ポンプの動力低減が可能となる。さらに、吸収塔の
塔高が低くなるため、設備費のコンパクト化を図ること
も可能となる。
【図1】 本発明による一実施例の湿式排煙脱硫装置の
吸収塔を示す図。
吸収塔を示す図。
【図2】 吸収塔内の圧力損失に及ぼす吸収液の噴霧方
法の影響を示す図。
法の影響を示す図。
【図3】 本発明による一実施例の湿式排煙脱硫装置の
吸収塔を示す図。
吸収塔を示す図。
【図4】 本発明による一実施例の湿式排煙脱硫装置の
吸収塔を示す図。
吸収塔を示す図。
【図5】 従来の技術の湿式脱硫装置の吸収塔を示す
図。
図。
1…吸収塔本体、2…入口ダクト、3…出口ダクト、4
…スプレノズル、5…吸収液循環ポンプ、6…酸化タン
ク、7…酸化用撹拌機、8…空気吹き込み管、 9…ミ
ストエリミネータ、10…吸収液抜き出し管、11〜1
4…スプレヘッダー
…スプレノズル、5…吸収液循環ポンプ、6…酸化タン
ク、7…酸化用撹拌機、8…空気吹き込み管、 9…ミ
ストエリミネータ、10…吸収液抜き出し管、11〜1
4…スプレヘッダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/77 (72)発明者 吉川 博文 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 ボイラなどの燃焼装置から排出される排
ガスを吸収塔内でガス流方向に複数段設置されたスプレ
ノズルからガス流に逆らった向きに噴出される吸収液と
気液接触させることにより排ガス中の硫黄酸化物を吸収
除去する湿式脱硫装置において、 複数段設置されるスプレノズル群のうち、少なくとも一
つのスプレ段の中の一部分のスプレノズル群の向きをガ
ス流と同じ向きに吸収液が噴出するように配置すること
を特徴とする湿式排煙脱硫装置。 - 【請求項2】 ガス流と同じ向きに吸収液が噴出するよ
うに配置する少なくとも一つのスプレ段の中の一部分の
スプレノズル群を吸収塔のガス入口ダクトの近傍に設け
ることを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。 - 【請求項3】 少なくとも一つのスプレ段のスプレノズ
ルの向きをガス流と同じ向きに吸収液が噴出するように
配置するスプレノズル群とガス流に逆らった向きに吸収
液が噴出するように配置するスプレノズル群とでは別個
の吸収液循環ポンプを設けることを特徴とする請求項1
または2記載の湿式排煙脱硫装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5141644A JPH078747A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 湿式排煙脱硫装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5141644A JPH078747A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 湿式排煙脱硫装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH078747A true JPH078747A (ja) | 1995-01-13 |
Family
ID=15296842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5141644A Pending JPH078747A (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | 湿式排煙脱硫装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH078747A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103537173A (zh) * | 2013-11-07 | 2014-01-29 | 中国海洋石油总公司 | 串并联可切换的气液传质塔器中试实验装置 |
CN105833668A (zh) * | 2015-01-15 | 2016-08-10 | 北京中天元环境工程有限责任公司 | 一种烟气脱硫塔 |
CN107673430A (zh) * | 2016-08-02 | 2018-02-09 | 中国石油化工股份有限公司 | 用于油气田采出水的处理装置 |
-
1993
- 1993-06-14 JP JP5141644A patent/JPH078747A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103537173A (zh) * | 2013-11-07 | 2014-01-29 | 中国海洋石油总公司 | 串并联可切换的气液传质塔器中试实验装置 |
CN105833668A (zh) * | 2015-01-15 | 2016-08-10 | 北京中天元环境工程有限责任公司 | 一种烟气脱硫塔 |
CN107673430A (zh) * | 2016-08-02 | 2018-02-09 | 中国石油化工股份有限公司 | 用于油气田采出水的处理装置 |
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