JPH078657U - マニュアルトランスミッションのディテント装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シンクロコーンとシンクロリングとの間の油
切りを諸条件下において十分に行なうことを目的とす
る。 【構成】 メインシャフトと一体のシンクロハブ（１）
にディテント要素（４）とスプリング（６）を介してシ
ンクロプランジャ（３）を設け、その半径方向にシンク
ロスリーブ（２）を設け、ギヤ（９）と一体のシンクロ
コーン（７）の半径方向外方にシンクロリング（５）を
設けたディテント構造を有するマニュアルトランスミッ
ションのディテント装置において、第１群のディテント
構造（ディテントＡ）と、第２群のディテント構造（デ
ィテントＢ）を有し、第１群のディテント構造（ディテ
ントＡ）のディテント要素（４）のメインシャフト方向
の幅寸法（Ｌ）と第２群のディテント構造（ディテント
Ｂ）のディテント要素（４）のメインシャフト方向の幅
寸法（Ｌ）とが異なっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、メインシャフトと一体のシンクロハブにディテント要素とスプリン グを介してシンクロプランジャを設け、その半径方向にシンクロスリーブを設け 、ギヤと一体のシンクロコーンの半径方向外方にシンクロリングを設けたディテ ント構造を有するマニュアルトランスミッションのディテント装置に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

従来は図３、図４、図５に示すようにシンクロハブ１の全周の３箇所に同じ構 造のものが付いていた。また図６をも使ってスリーブストロークとディテント力 の関係を説明すると、まず図５において、図示しないシフトレバーを操作し、シ ンクロスリーブ２を左方向に移動させると、移動量がＳに達するまではシンクロ プランジャ３に保持されたディテント４はシンクロプランジャ３の先端をシンク ロスリーブ２の凹２１に収めたままシンクロスリーブと一体で移動する（図６に おけるＯ−ａ１´）。

【０００３】 そしてディテント４の左端面がシンクロリング５の右端面５１に突き当たると ディテント力は急激に立ち上がりａ２を示す（図６におけるａ１−ａ２）。

【０００４】 さらにシンクロスリーブ２を左方向に移動しようとすると、シンクロスリ−ブ ２の凹２１の開口端の角２２がシンクロハブ１に埋設されたスプリング６により 上向きの力を付勢されたシンクロプランジャ３を下方に押し下げつつ該シンクロ プランジャ頭部の斜面３１を滑り上がり、ディテント力はａ３´まで増加する（ 図６におけるａ２´−ａ３´）。 この間、図示しないメインシャフトに固定されたシンクロハブ１と一体で回転 するディテント４に左方向に押し付けられたシンクロリング５は、そのテーパ状 の内径５２により油膜８を介してシンクロコーン７のテーパ状の外径に押し付け られるので、油膜８が切れシンクロリング５はメインギア９の回転方向に引きず られる。そして、シンクロリング５のストッパ部５４がシンクロハブ１のストッ パ部１１に衝突し（図７）、シンクロリング５のスプライン５３とシンクロスリ ーブ２のスプライン２３の位置関係は図８のようになり、シフト操作力がスリー ブ２を介してシンクロリング５のテーパ状内径５２をシンクロコーン７のテーパ 状外径に押し付けメインギア９を増速または減速させるための位置決めが完了す る。

【０００５】 従って、油の粘度が高い冷間時、あるいは高速シフト時にディテント力により シンクロリング５とシンクロコーン７の間の油膜８を充分に切れないと、図８の ようなシンクロリング５の位置決めが行われず、シンクロスリーブ２のスプライ ン２３はシフト操作力によりシンクロリング５のスプライン５３の間をすり抜け 、メインギア９の増速または減速による同期作用が行われないまま、シンクロス リーブ２のスプライン２３とメインギア９のスプライン９１が衝突し、ギヤ鳴り を生ずることとなる。

【０００６】 なお、トランスミッションの同期装置に関連した従来技術としては、例えば実 開昭６２−１７６５４０号公報、実開昭５７−１４１２３２号公報がある。また 、シンクロメッシュ機構のディテント構造に関しては、実願平４−２５２７６号 公報がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、シンクロコーンとシンクロリングとの間の油切りを諸条件下におい て十分に行なうことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば、メインシャフトと一体のシンクロハブにディテント要素とス プリングを介してシンクロプランジャを設け、その半径方向にシンクロスリーブ を設け、ギヤと一体のシンクロコーンの半径方向外方にシンクロリングを設けた ディテント構造を有するマニュアルトランスミッションのディテント装置におい て、第１群のディテント構造と、第２群のディテント構造を有し、第１群のディ テント構造のディテント要素のメインシャフト方向の幅寸法と第２群のディテン ト構造のディテント要素のメインシャフト方向の幅寸法とが異なっている。

【０００９】

【作用】

本考案では、ディテント要素の幅寸法の長い方の群が最初にディテント力を生 じ、次いで短いほうがディテント力を生ずるので、ディテント力を２段階に且つ 十分作用させ得ることが出来、摺動面の油切れを十分に生ぜしめられるため、滑 らかで迅速なシフトが可能となる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付図面によって説明する。なお、ディテント装置の 要部の構造は従来例とほとんど同じであるので異なる箇所についてのみ説明を加 える。本考案では、図１に示すように従来のディテント（図５においてＬ寸法が Ｌａとする）をディテントＡとすると三つのディテントＡの間にＬ寸法がＬａよ りも短いＬｂなるディテントＢを三つ設置したものである。

【００１１】 こうすることによりディテント力は図２で示すように、ディテントＡだけの線 図Ｏ−ａ１−ａ２−ａ３−ａ４−ａ５によるディテント力に、長さが短くなった ことによる位相のずれｅを生じさせた、ディテントＢだけの線図Ｏ−ｂ１−ｂ２ −ｂ３−ｂ４−ｂ５によるディテント力を加えたもの、即ち、Ｏ−ａ１−ａ２− ｃ１−ｃ２−ｃ３−ｃ４−ａ４−ｂ３−ｂ４−ｂ５の特性となる。

【００１２】

【考案の効果】

以上のように、本考案によると、ディテント要素の幅寸法の長い方の群が最初 にディテント力を生じ、次いで短いほうがディテント力を生ずるので、ディテン ト力を２段階に且つ十分作用させ得ることが出来、摺動面の油切れを十分に生ぜ しめられるため、滑らかで迅速なシフトが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のディテントの配置を示す模式図

【図２】本考案のディテント力を示すグラフ

【図３】従来例のディテントの配置を示す模式図

【図４】従来のディテント装置の正面図

【図５】従来のディテント装置の側断面図

【図６】従来のディテント力を示すグラフ

【図７】従来のシンクロリングのストップを示す円周方
向から見た図

【図８】従来のシンクロリングの位置決めを示す模式図

【符号の説明】

１・・・シンクロハブ ２・・・シンクスリーブ ３・・・シンクロプランジャ ４・・・ディテント ５・・・シンクロリング ６・・・スプリング ７・・・シンクロコーン ８・・・油膜 ９・・・メインドギア ２１・・・凹 ２２・・・角 ２３・・・スプライン ３１・・・斜面 ５１・・・右端面 ５２・・・内径 ５３、９１・・・スプライン １１、５４・・・ストッパ ７１・・・外径 Ｌ・・・ディテント幅寸法 ａ１、ａ２、ａ３、ａ４、ａ５、ａ１´、ａ２´、ａ３
´、ａ４´、ａ５´、ｂ１、ｂ２、ｂ３、ｂ４、ｂ５、
ｃ１、ｃ２、ｃ３、ｃ４・・・ディテント力

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】メインシャフトと一体のシンクロハブにデ
   ィテント要素とスプリングを介してシンクロプランジャ
   を設け、その半径方向にシンクロスリーブを設け、ギヤ
   と一体のシンクロコーンの半径方向外方にシンクロリン
   グを設けたディテント構造を有するマニュアルトランス
   ミッションのディテント装置において、第１群のディテ
   ント構造と、第２群のディテント構造を有し、第１群の
   ディテント構造のディテント要素のメインシャフト方向
   の幅寸法と第２群のディテント構造のディテント要素の
   メインシャフト方向の幅寸法とが異なっていることを特
   徴とするマニュアルトランスミッションのディテント装
   置。