JPH0786272B2 - Ｆｒｐ製スターラップ筋の配筋方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は鉄筋コンクリート造の
柱、梁あるいは橋脚等の構造物の主筋あるいは鉄骨の外
周にＦＲＰ製のスターラップ筋を配筋する方法に関す
る。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】近年、炭素繊維、ガラ
ス繊維、あるいは芳香族ポリアミド繊維等を強化繊維と
し、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を母材樹
脂とする繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）製のロッド、
テープ等を補強筋としたコンクリート構造物が実用化さ
れている。ＦＲＰの補強筋は高引張強度、高引張弾性率
を有し、鉄筋に比べ軽量、耐食性の長所を備えている。

【０００３】しかし、ＦＲＰ製のスターラップ筋を主筋
あるいは鉄骨の外周に嵌め、コンクリートを打設する場
合、ＦＲＰ製のスターラップ筋は鉄筋のそれに比べ、剛
性が低く、変形や位置の移動を起し易く、精度高く配筋
するためには、多くの位置で主筋あるいは鉄骨に固定す
る必要があり、配筋に手間がかかった。また、固定する
主筋の数が少なく、充分な数の固定位置をとれない場合
もあり、大寸法のスターラップ筋の配筋精度を高める点
で特に問題があった。

【０００４】この発明は上記問題点に着目しなされたも
のである。その目的は作業能率よく、高い精度をもって
配筋できるＦＲＰ製スターラップ筋の配筋方法を提案す
るにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このＦＲＰ製スターラッ
プ筋の配筋方法は、並列する複数本の主筋あるいは鉄骨
の外周にＦＲＰ製スターラップ筋を配筋する方法におい
て、環状あるいは螺旋状をなし連続する複数のＦＲＰ製
スターラップ筋を複数のピッチ保持用の連結材で所定の
配筋間隔に合せ一連に連結し、これを一束にまとめ主筋
あるいは鉄骨の外周に嵌挿し、一端のスターラップ筋を
主筋あるいは鉄骨の所定位置に固定した後、連結材を伸
長し配筋することを特徴とする。

【０００６】

【作用】この配筋方法は加工工場で複数のＦＲＰ製のス
ターラップ筋を複数のピッチ保持用の連結材で一連に連
結しておいて直接施工現場に運び込み、主筋、鉄骨等の
外周に嵌挿した後、連結材を伸長し配筋できるので、１
本単位で嵌挿したり、主筋に固定する必要がなく配筋作
業を著しく能率化できる。複数の連結材を用いることに
より変形を防止し、大寸法のスターラップ筋であっても
容易に精度の高い配筋ができる。

【０００７】また、ＦＲＰ製スターラップ筋は鉄筋のそ
れに比べ軽量であり、一施工ロッド単位として大数量の
取扱ができ、かつ上記のように大寸法であっても容易に
高い配筋精度とすることができるので、橋脚等の大形構
造物のスターラップ筋の配筋に応用し作業能率および配
筋精度の向上に著しく寄与できる。

【０００８】

【実施例】この実施例はアラミド長繊維を強化繊維、エ
ポキシ樹脂を母材樹脂とするＦＲＰ製であって、螺旋状
をなし連続する複数の方形のスターラップ筋を配筋する
ものである。

【０００９】図１は上記の螺旋状をなし連続する複数の
スターラップ筋１（長辺６ｍ、短辺４ｍ）であり、配筋
に先だち隣合うスターラップ筋１、１間を配筋間隔に合
せ、ピッチ保持用のワイヤ２で連結し、複数のスターラ
ップ筋１を一連に連結する。

【００１０】この実施例ではワイヤ２を１０本用い、各
スターラップ筋１の長辺３ケ所、短辺２ケ所、合計１０
ケ所において連結した。それぞれのワイヤ２の一端に
は、先端に係止リング４がある係止ワイヤ３を取付け
る。

【００１１】この一連に連結した複数のスターラップ筋
１を図２のようにロープ５で束ね、束ねたスターラップ
筋１を図３のように吊金具６の玉掛ワイヤ７を係止リン
グ４に係止し、吊上げ装置で吊上げ、先行施工ロッドの
直方体形の既設の構築物８の上面４隅から立上った４本
の鉄筋の縦主筋９の外周に嵌挿して吊下す。なお図示し
ないが縦主筋９の上端は支持部材で支持されている。

【００１２】この際に、縦主筋９の一施工ロッド高さ
（ｈ）の上端位置内側に、予め図４のごとく釣形の係止
金物１０を取付けておき、スターラップ筋１を束ねたロ
ープ５を係止する。また、上端位置のスターラップ筋１
を縦筋９の所定高さ位置に固定する。図示しないが、固
定は番線による結束、止め金具による固定等の常套の手
段を採用できる。

【００１３】次いで、玉掛ワイヤ７を係止リング４から
外し、吊金具６を撤去する。玉掛ワイヤ７を外した係止
ワイヤ３は縦主筋９に仮固定しておく。この状態で係止
金物１０に係止してあるロープ５をほどき、徐々に緩
め、束ねたスターラップ筋１を自重、あるいはワイヤ２
を下方に引張り降下させ、ワイヤ２の下端を既設の構築
物８に固定する。複数のスターラップ筋１はそれぞれ所
定の位置、間隔を保ち配筋される。

【００１４】スターラップ筋の配筋が終ったら、その周
囲に型枠を組立て、コンクリートを打設して一施工ロッ
ドの施工が終了する。型枠の組立に当り、係止ワイヤ３
を型枠に固定し、構築物８に下端を固定したワイヤ２を
緊張し、各スターラップ筋の位置を強く拘束すると、配
筋精度を高める上で一層有効である。

【００１５】この配筋方法は螺旋状に連続するスターラ
ップ筋のほか、環状の不連続のスターラップ筋の配筋に
も、前記実施例と同様にして適用できる。スターラップ
筋の連結材により連結する連結位置および連結個所数
は、スターラップ筋の変形を防止し、精度高く配筋する
上で重要であり、剛性、重量、配筋長さ等を勘案し決定
する。ピッチ保持用の連結材としては、スターラップ筋
の変形を拘束するに充分な強伸度を有し、変形し易く、
連結したスターラップ筋を一束にまとめることができ、
かつコンクリート中に埋設できるものであり、細い、ワ
イヤ等が好適である。また、前記実施例は縦主筋が立上
った柱状の構造物を対象としたが、梁等の横方向に長い
構造物にも適用できることは云うまでもない。また、上
記実施例では束ねたすたーらっぷ筋を上から下に引下げ
配筋したが、下端のスターラップ筋を固定し、下から上
に引上げ配筋することもできる。

【００１６】

【発明の効果】この発明は以上の通りであり、ＦＲＰ製
のスターラップ筋を予め加工工場等で配筋間隔に合せ連
結材で連結しておき、これを施工現場に運び込み主筋あ
るいは鉄筋の外周に嵌挿し、連結材を伸長することによ
り作業能率よくかつ、精度よく配筋することを可能とす
る。就中、橋脚等の大形構造物に応用しその効果は顕著
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】ピッチ保持用のワイヤで連結した螺旋状に連続
する複数のＦＲＰ製スターラップ筋の斜視図である。

【図２】ロープで束ねた連結したスターラップ筋の斜視
図である。

【図３】立上った縦主筋の外周に嵌挿した束ねたスター
ラップ筋の斜視図である。

【図４】縦主筋に取付けた係止金具に係止したロープで
束ねたスターラップ筋の部分拡大図である。

【図５】縦主筋の外周にスターラップ筋を配筋した状態
の斜視図である。

【符号の説明】

１…ＦＲＰ製スターラップ筋、２…ピッチ保持用のワイ
ヤ、３…係止ワイヤ、４…係止リング、５…ロープ、６
…吊金具、７…玉掛ワイヤ、８…既設の構築物、９…縦
主筋、１０…釣形の係止金物。

フロントページの続き (72)発明者 阿部 和之 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内 (56)参考文献 実開 昭59−160743（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列する複数本の主筋あるいは鉄骨の外
   周にＦＲＰ製スターラップ筋を配筋する方法において、
   環状あるいは螺旋状をなし連続する複数のＦＲＰ製スタ
   ーラップ筋を複数のピッチ保持用の連結材で所定の配筋
   間隔に合せ一連に連結し、これを一束にまとめ主筋ある
   いは鉄骨の外周に嵌挿し、一端のスターラップ筋を主筋
   あるいは鉄骨の所定位置に固定した後、連結材を伸長し
   配筋することを特徴とするＦＲＰ製スターラップ筋の配
   筋方法。