JP2004232298A - コンクリート補強用frp部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維強化樹脂とされるFRPにて形成されたコンクリート補強用FRP部材において、コンクリートとの定着を効率よく、そして確実にしたコンクリート補強用FRP部材を提供する。
【解決手段】本発明のコンクリート補強用FRP部材100は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋1と、FRP筋1の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、FRP筋1と同じ材質で形成された突出部分2と、を有し、突出部分2のFRP筋1との突出開始部分2bからの突出長さAは、突出部分2の突出方向における、FRP筋1の幅wの0.5倍以上2倍以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のコンクリート補強用FRP部材100は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋1と、FRP筋1の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、FRP筋1と同じ材質で形成された突出部分2と、を有し、突出部分2のFRP筋1との突出開始部分2bからの突出長さAは、突出部分2の突出方向における、FRP筋1の幅wの0.5倍以上2倍以下である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状の繊維強化樹脂(FRP)部材に関するものであり、特に、例えば、コンクリート構造物、例えば、梁、柱、桁、壁、床板、煙突、給水槽等の鉄筋代替の補強材として、又は、それらコンクリート構造物の補修、補強にも好適に使用し得るコンクリート補強用FRP部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
土木分野のコンクリート構造物の補強用つまり鉄筋代替として、引張強度が高い、錆びにくい、軽量である、シールドマシンの刃で切削しやすい、用途に合わせて各種の繊維を用いることができる、等の特長を生かして、FRP材料が広く使われている。特に、線状に成形されたものは、棒状や、それを曲げた形のループ状やバネ状、伸縮自在のアコーデオン形状に形成可能であり、又、その断面も円形や四角や三角とあらゆる形に成型可能であり、被補強物の形状に合わせて、コンクリート構造物、例えば、梁、柱、桁、壁、床板、煙突、給水槽等の鉄筋代替としての補強材として、あらゆる部分に適用されている。
【0003】
従来のこうした線状に成型されたコンクリート補強用FRP部材として、特に鉄筋代替として用いられる棒状部材では、(1)撚り線状や(2)組み紐状、それに、(3)強化繊維を一方向に束ねて固めたFRP部材表面に凸部を付けた製品が一般的である。
【0004】
(1)撚り線状FRP部材は、図9(a)に示したものであり、強化繊維の束をロープ状に撚って成型したものであり、ケーブルが軽量であることにより架空線やステー等に使用する場合のケーブルのたるみを大幅に抑制することができたり、自重による耐力のロスを低減できるので、鋼撚り線では不可能であった超長スパンの構造物建設に適用可能であり、更に、運搬や仮設の作業向上も期待できる。又、低クリープ性や低リラクセーション、低線膨張、高引張疲労性、耐食性等の特徴がある。
【0005】
(2)図9(b)に示す組み紐状FRP部材は、強化繊維を編み、樹脂を含浸、硬化したプレストコンクリート用緊張材である。組み紐特有の表面形状により、コンクリートとの付着性能が優れている。又、(1)と同様に、低クリープ性や低リラクセーション、低線膨張、高引張疲労性、耐食性等の特徴がある。
【0006】
(3)図9(c)に示す繊維を一方向に束ねて樹脂で固めたFRP部材は、(1)や(2)に比べ、強度発現率が高く、同一強度の場合は、より細径のもので対応できるという特徴がある。尚、繊維の束ねる方法や硬化処理の方法によって、例えば、プレスされた場合は、断面が四辺形となり、シートを細長くした形状である棒状となることが多い。コンクリートとの定着性を強化するために、このFRP部材の表面に凸部を設けたものが一般化されている。凸部を設ける方法としては、繊維束に外側から、同じ材料である繊維を巻き付けて硬化させる方法や、粒状物を散布して硬化させる方法等がある。
【0007】
図5に、橋梁において、ここでは、(3)における、強化繊維を一方向に配向させたコンクリート補強用FRP部材300を使用し、鉄筋代替に使用した例を示す。本例では、炭素繊維とされるFRP部材300を橋梁床板4に使用した態様を示す。
【0008】
ここでは、図5に示されるように、ここでは橋桁の床板部分4のコンクリートにFRP部材300を埋め込んで鉄筋代替としてコンクリート構造物を補強する。棒状FRP部材300の引張特性により、効果的な補強が実現できる。尚、図5は、床板部分4’において床板コンクリート4から透かして、FRP部材300が内部に埋め込まれている様子を示したものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリートをFRP部材で補強する場合、その補強材とコンクリートとの定着が大変重要であるが、従来の(1)撚り線状や(2)組み紐状、(3)凸部を設けた一方向配向型のFRP部材等は、通常の鉄筋の代替として用いる新設のコンクリート構造物や大規模な補修工事等に施工する場合等に用いる、太径の筋材において、コンクリートとの定着が不足し、その筋材の持っている引張強度が生かされなかったり、長めの定着長さを必要とするため使いづらいという欠点があった。
【0010】
従って、本発明の目的は、繊維強化樹脂とされるFRPにて形成されたコンクリート補強用FRP部材において、コンクリートとの定着を効率よく、そして確実にしたコンクリート補強用FRP部材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るコンクリート補強用FRP部材にて達成される。要約すれば、本発明は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋と、該FRP筋の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、前記FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、該突出部分の前記FRP筋との突出開始部分からの突出長さは、前記突出部分の突出方向における、前記FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であることを特徴とするコンクリート補強用FRP部材を提供する。
【0012】
本発明の一実施態様によると、前記FRP筋は、幅が3〜30mm、厚さが1〜30mmとされ、前記突出部分は、前記FRP筋の幅方向に平行な方向に向けて、前記FRP筋の長手方向において互いに3〜20cmの間隔をおいて、複数設けられる。
【0013】
本発明の他の実施態様によると、前記繊維強化樹脂は、強化繊維を一方向に配列した強化繊維束にマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成され、前記強化繊維の配向方向が前記FRP筋の軸方向である。
【0014】
本発明の他の実施態様によると、前記繊維強化樹脂は、繊維目付100〜1000g/m、樹脂含浸量が30〜70wt%であり、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされ、前記マトリクス樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含む。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記FRP筋部分が直線状であるか、又は、前記FRP筋は、曲線状部分を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート補強用FRP部材を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1は、本発明に係るコンクリート補強用FRP部材(以下、「FRP部材」と称す。)の一実施例である直線状品の斜視図である。本発明のFRP部材100は、強化繊維を一方向に配向させてそれを樹脂にて硬化させて形成した、直線状の棒状形状の繊維強化樹脂(FRP)を材質とするFRP筋1に、その長手方向に対してそれ以外の方向に、突起部分2を設けた構成に特徴を有する。
【0018】
本実施例にて、棒状FRP部材100を構成するFRP筋1は、図1に示すように、断面が長方形の細板状である。即ち、所定単位の数の繊維を束ねて、その強化繊維束にマトリクス樹脂を含浸させて平面上にプレスして製造され、厚みと幅を有する、断面が略四辺形の四角棒状に形成されたものである。
【0019】
本実施例にて、FRP筋1は、本実施例では、主にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた強化繊維を複数積層し、硬化して形成された繊維強化樹脂である。
【0020】
突起部分2は、FRP筋1と同様の材料である繊維強化樹脂(FRP)にて作製されるものとする。本実施例では、FRP筋1を短くしたFRP短筋2aを、FRP筋1の長手方向に所定の間隔をおいて、交差させた形状となっている。
【0021】
そして、突起部分2の、FRP筋1からの突起開始位置2bからの突起長さAは、突起部分2を取り付けた方向に平行方向のFRP筋1の幅wの0.5倍以上2倍以下である。つまり、0.5×w≦A≦2×wである。
【0022】
突起部分2の直角方向の突起長さAは、このように、筋材幅wの0.5倍以上2倍以下が望ましい。0.5倍より小さければ、十分なコンクリート定着性が得られず、2倍以上では、配筋作業を行う場合、突出部分2が他の部材の引っかかり作業に支障がある場合もある。
【0023】
本実施例では、突起部分2がFRP筋1の両側に線対称に突起している。そしてその取り付け方向は、直角である。
【0024】
このFRP部材100は、本実施例では、図3に示すFRP格子材100’を先ず形成してから、それを一方向に切断して形成される。
【0025】
FRP格子材100’は、図3、4を参照すると理解されるように、交差させて格子状に配置された複数のFRP筋1と同じ材質、即ち、主に炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた帯状強化繊維を複数積層して形成された、縦補強筋101と横補強筋102とを有する。又、各補強筋101、102は、補強筋幅(w)3〜30mm、厚さ(t)1〜30mm、であり、縦補強筋101長手方向における横補強筋102の間の距離(W1)3〜20mmの格子板状に成形硬化され、全体としてシート状のFRP格子材100’を形成する。このFRP格子材100’は、図4に示すように筋101と102の交差部分の厚さが他の部分の厚さと等しくなるように成形硬化されている。
【0026】
このFRP格子材100’において、各補強筋101の両脇にてそれに平行に図3にては直線Xで各補強筋102部分を切断して、FRP部材100が形成される。補強筋101部分がFRP筋1部分となり、補強筋101に交差し、切断されたことによって補強筋101より突出した形状となる補強筋102が突出部分2となる。
【0027】
そして、FRP筋1の短手方向の筋幅wの5倍以下の長さのFRP短筋2aを、その中央部分にてFRP筋1に交差させた形状のFRP部材100が形成される。
【0028】
このように、FRP筋1の両側に線対称に突起部分を設けた場合は、その両側のFRP短筋2aの先端から先端までの長さBは、FRP筋1の幅wの2倍以上5倍以下となる。つまり、2×w≦B≦5×wとなる。
【0029】
FRP筋1は、通常、筋幅(w)3〜30mm、厚さ(t)1〜30mm、であり、突起部分2を設置する間隔(W1)は、3〜20cmとされる。上述のように、突起部分2はFRP筋1に、直角に配置される。
【0030】
通常、強化繊維としてガラス繊維を使用した場合には、棒状FRP部材100は、500N/mm2以上の引張強度、30000N/mm2以上の引張弾性率を有している。
【0031】
又、このような構成のコンクリート補強用FRP部材100は、軽量で、耐食性であり、又、曲げ成型ができ、施工性に優れている。又、突起部分2はFRP筋1の厚さ部分から突起しているが、本実施例のように、上記に説明したFRP格子材100’を切断して形成された場合、図4に示すように、突起部分2との交差部分がFRP筋1部分と略同一平面上にある。
【0032】
棒状FRP部材100の作製方法は、上記のものに限定されるものではなく、種々の方法を採用し得る。
【0033】
断面形状も四辺形以外でもよく、補強するコンクリート構築物の形状によって、適当な断面形状とする。
【0034】
FRP部材100における繊維目付は、100〜1000g/m、樹脂含浸量は30〜70wt%とされる。
【0035】
本発明におけるFRP部材100に使用する強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとし得る。マトリクス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を使用することができる。
【0036】
本発明の棒状FRP材100は、FRP筋1に、突起部分2を設置することによって、コンクリート構造物に取り付けた場合、コンクリートとの定着性が強化され、確実なコンクリート補強が実現できる。
【0037】
以上説明したように、繊維強化樹脂にて棒状に形成されたFRP筋と、FRP筋の長手方向に対して直角に向けて突出した、FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、突出部分のFRP筋との突出開始部分からの突出長さは、突出部分の突出方向における、FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であることによって、コンクリートとの定着を効率よく且つ確実にできるようになった。
【0038】
又、本構成のFRP部材は、軽量で耐食性に優れ、又、FRP筋1部分において、強化繊維がその軸方向に一方向に配列できるため、高い引張強度を有し、更に、コンクリートとの定着性に優れているので、高耐力の補強材、或いは、緊張材としても利用可能である。そして本実施例のように断面が四辺形の場合は、筋幅wが30mm、厚さtが30mmの太径のFRP部材を使用する場合でも、強固な定着が実現できる。
【0039】
本実施例のFRP部材100を、従来例にて説明した方法で、図5に示すように、鉄筋代替として、橋梁の床板4に適用した場合、高い引張強度にて強固に固定され、更にコンクリートに対する定着が強固になされる。図6に橋桁の床板4内部を詳しく示す。このように、鉄筋代替として、直線状の棒状FRP部材100を複数本交差させて橋桁の床板4内部に適用することで強固な補強ができる。
【0040】
そして、本発明のFRP部材100は、図7に示すように、橋梁の床板4においては、その補強における緊張材として使用することもできる。その場合、強力なコンクリートへの定着性の特長を生かして、楔状の円筒を使わなくとも、簡単な定着具にて強固な定着が実現できる。
【0041】
そして、FRP部材100が簡単な定着具30によって固定されていれば、図7に示すように、橋桁の床板4においては、固定されたFRP部材100の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタル5を塗付して増厚させ、補強され、緊張材として用いられる。そして、棒状FRP部材100の引張特性により、効果的な補強が実現できる。
【0042】
ここで、棒状FRP部材100は樹脂やモルタル等5によって強力に固定されるので、従来のように補強材を締め付ける定着具を必要とせず、FRP部材100端部を床板4に止めるだけの単純な構成のものが使用できる。
【0043】
そして、橋桁床板以外のあらゆるコンクリート構造物の緊張材として適用できることはいうまでもない。
【0044】
つまり、本発明のFRP部材は、緊張材として用いる場合には、特徴部分であるFRP部材の突出部分が定着部において有効に働くため、複雑な構成の定着具を用いずに、樹脂や膨張モルタルで容易に強力に固定することができる。
【0045】
実施例2
図2は、本実施例のFRP部材であり、実施例1における棒状のFRP部材100を曲げて形成した、曲線状FRP部材200である。
【0046】
本実施例では、実施例1に説明した強化棒状FRP部材100を、形成時に曲げた状態で硬化して製造したものである。
【0047】
せん断補強筋や幅止め筋としての曲線形状では、従来の材料に比べ、成型時引っ張り方向に均一に硝子や炭素繊維を配向できるため、引っ張り強度を有効に発揮することができる。
【0048】
本実施例のように、直線状以外の形状に形成することによって、更に使用用途を広げることができる。
【0049】
こうしたFRP部材100の曲げ成型性を生かして、例えば、図5に示す橋桁の床板4に応用した場合、図8のように、FRP部材100を自在に曲げて、埋め込むことで、コンクリートの鉄筋の役割を担うことができる。
【0050】
このように、あらゆる形状にも成型させることができ、あらゆる形状のコンクリート構造物の補強ができる。又、FRP筋において、強化繊維が一方向に配列可能であるため、それに沿って曲げた場合、直線状のものに近い引張強度が得られる。
【0051】
このように、通常の鉄筋の代替として用いる場合に、FRP部材の突出部によってコンクリートとの定着が確実に行われるために、筋材の引張特性が有効に働く。
【0052】
【発明の効果】
本発明のコンクリート補強用FRP部材は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋と、FRP筋の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、突出部分のFRP筋との突出開始部分からの突出長さは、突出部分の突出方向における、FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であるので、軽量、可撓性、耐食性、を備え、更に、引張強度を損なうことなく、コンクリートとの定着性を強化でき、特に大きい断面の補強材を必要とされる場合、その効果は顕著であり、又、曲線状部を有するものにおいて、その強化繊維の配向を曲線に沿って、平行に成型できるため、直線状に近い引張性能を発揮でき、より多様な形状のコンクリート構築物の補強が可能となった。
【0053】
そして、通常の鉄筋として用いる場合には、突出部によって、コンクリートとの定着が確実に行われるために、筋材の引張特性が有効に働く。又、直線状のFRP部材を緊張材として用いる場合にも、突出部が定着部において有効に働くため、簡易な定着法が可能となり、簡易な定着具を用いて、樹脂や膨張モルタルで容易にコンクリートに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の他の例を示す斜視図である。
【図3】コンクリート補強用FRP部材の材料であるFRP格子材を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るFRP筋と突出部分との交差部分拡大斜視図である。
【図5】本発明及び従来のコンクリート補強用FRP部材の橋桁床板における橋桁床板における鉄筋代替としての一施工態様を説明する施工図である。
【図6】本発明のコンクリート補強用FRP部材の鉄筋代替としての一施工態様を示す拡大図である。
【図7】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の緊張材としての一施工態様を示す施工図である。
【図8】本発明のコンクリート補強用FRP部材の鉄筋代替としての他の施工態様を示す拡大図である。
【図9】従来のコンクリート補強用FRP部材の一例及び他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 FRP筋
2 突出部分
2a FRP短筋
4 橋桁床板(コンクリート)
5 コンクリートモルタル
30 定着具
100 直線状FRP部材
100’ FRP格子部材
200 曲線状FRP部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状の繊維強化樹脂(FRP)部材に関するものであり、特に、例えば、コンクリート構造物、例えば、梁、柱、桁、壁、床板、煙突、給水槽等の鉄筋代替の補強材として、又は、それらコンクリート構造物の補修、補強にも好適に使用し得るコンクリート補強用FRP部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
土木分野のコンクリート構造物の補強用つまり鉄筋代替として、引張強度が高い、錆びにくい、軽量である、シールドマシンの刃で切削しやすい、用途に合わせて各種の繊維を用いることができる、等の特長を生かして、FRP材料が広く使われている。特に、線状に成形されたものは、棒状や、それを曲げた形のループ状やバネ状、伸縮自在のアコーデオン形状に形成可能であり、又、その断面も円形や四角や三角とあらゆる形に成型可能であり、被補強物の形状に合わせて、コンクリート構造物、例えば、梁、柱、桁、壁、床板、煙突、給水槽等の鉄筋代替としての補強材として、あらゆる部分に適用されている。
【0003】
従来のこうした線状に成型されたコンクリート補強用FRP部材として、特に鉄筋代替として用いられる棒状部材では、(1)撚り線状や(2)組み紐状、それに、(3)強化繊維を一方向に束ねて固めたFRP部材表面に凸部を付けた製品が一般的である。
【0004】
(1)撚り線状FRP部材は、図9(a)に示したものであり、強化繊維の束をロープ状に撚って成型したものであり、ケーブルが軽量であることにより架空線やステー等に使用する場合のケーブルのたるみを大幅に抑制することができたり、自重による耐力のロスを低減できるので、鋼撚り線では不可能であった超長スパンの構造物建設に適用可能であり、更に、運搬や仮設の作業向上も期待できる。又、低クリープ性や低リラクセーション、低線膨張、高引張疲労性、耐食性等の特徴がある。
【0005】
(2)図9(b)に示す組み紐状FRP部材は、強化繊維を編み、樹脂を含浸、硬化したプレストコンクリート用緊張材である。組み紐特有の表面形状により、コンクリートとの付着性能が優れている。又、(1)と同様に、低クリープ性や低リラクセーション、低線膨張、高引張疲労性、耐食性等の特徴がある。
【0006】
(3)図9(c)に示す繊維を一方向に束ねて樹脂で固めたFRP部材は、(1)や(2)に比べ、強度発現率が高く、同一強度の場合は、より細径のもので対応できるという特徴がある。尚、繊維の束ねる方法や硬化処理の方法によって、例えば、プレスされた場合は、断面が四辺形となり、シートを細長くした形状である棒状となることが多い。コンクリートとの定着性を強化するために、このFRP部材の表面に凸部を設けたものが一般化されている。凸部を設ける方法としては、繊維束に外側から、同じ材料である繊維を巻き付けて硬化させる方法や、粒状物を散布して硬化させる方法等がある。
【0007】
図5に、橋梁において、ここでは、(3)における、強化繊維を一方向に配向させたコンクリート補強用FRP部材300を使用し、鉄筋代替に使用した例を示す。本例では、炭素繊維とされるFRP部材300を橋梁床板4に使用した態様を示す。
【0008】
ここでは、図5に示されるように、ここでは橋桁の床板部分4のコンクリートにFRP部材300を埋め込んで鉄筋代替としてコンクリート構造物を補強する。棒状FRP部材300の引張特性により、効果的な補強が実現できる。尚、図5は、床板部分4’において床板コンクリート4から透かして、FRP部材300が内部に埋め込まれている様子を示したものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリートをFRP部材で補強する場合、その補強材とコンクリートとの定着が大変重要であるが、従来の(1)撚り線状や(2)組み紐状、(3)凸部を設けた一方向配向型のFRP部材等は、通常の鉄筋の代替として用いる新設のコンクリート構造物や大規模な補修工事等に施工する場合等に用いる、太径の筋材において、コンクリートとの定着が不足し、その筋材の持っている引張強度が生かされなかったり、長めの定着長さを必要とするため使いづらいという欠点があった。
【0010】
従って、本発明の目的は、繊維強化樹脂とされるFRPにて形成されたコンクリート補強用FRP部材において、コンクリートとの定着を効率よく、そして確実にしたコンクリート補強用FRP部材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るコンクリート補強用FRP部材にて達成される。要約すれば、本発明は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋と、該FRP筋の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、前記FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、該突出部分の前記FRP筋との突出開始部分からの突出長さは、前記突出部分の突出方向における、前記FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であることを特徴とするコンクリート補強用FRP部材を提供する。
【0012】
本発明の一実施態様によると、前記FRP筋は、幅が3〜30mm、厚さが1〜30mmとされ、前記突出部分は、前記FRP筋の幅方向に平行な方向に向けて、前記FRP筋の長手方向において互いに3〜20cmの間隔をおいて、複数設けられる。
【0013】
本発明の他の実施態様によると、前記繊維強化樹脂は、強化繊維を一方向に配列した強化繊維束にマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成され、前記強化繊維の配向方向が前記FRP筋の軸方向である。
【0014】
本発明の他の実施態様によると、前記繊維強化樹脂は、繊維目付100〜1000g/m、樹脂含浸量が30〜70wt%であり、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされ、前記マトリクス樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含む。
【0015】
本発明の他の実施態様によると、前記FRP筋部分が直線状であるか、又は、前記FRP筋は、曲線状部分を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート補強用FRP部材を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1は、本発明に係るコンクリート補強用FRP部材(以下、「FRP部材」と称す。)の一実施例である直線状品の斜視図である。本発明のFRP部材100は、強化繊維を一方向に配向させてそれを樹脂にて硬化させて形成した、直線状の棒状形状の繊維強化樹脂(FRP)を材質とするFRP筋1に、その長手方向に対してそれ以外の方向に、突起部分2を設けた構成に特徴を有する。
【0018】
本実施例にて、棒状FRP部材100を構成するFRP筋1は、図1に示すように、断面が長方形の細板状である。即ち、所定単位の数の繊維を束ねて、その強化繊維束にマトリクス樹脂を含浸させて平面上にプレスして製造され、厚みと幅を有する、断面が略四辺形の四角棒状に形成されたものである。
【0019】
本実施例にて、FRP筋1は、本実施例では、主にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた強化繊維を複数積層し、硬化して形成された繊維強化樹脂である。
【0020】
突起部分2は、FRP筋1と同様の材料である繊維強化樹脂(FRP)にて作製されるものとする。本実施例では、FRP筋1を短くしたFRP短筋2aを、FRP筋1の長手方向に所定の間隔をおいて、交差させた形状となっている。
【0021】
そして、突起部分2の、FRP筋1からの突起開始位置2bからの突起長さAは、突起部分2を取り付けた方向に平行方向のFRP筋1の幅wの0.5倍以上2倍以下である。つまり、0.5×w≦A≦2×wである。
【0022】
突起部分2の直角方向の突起長さAは、このように、筋材幅wの0.5倍以上2倍以下が望ましい。0.5倍より小さければ、十分なコンクリート定着性が得られず、2倍以上では、配筋作業を行う場合、突出部分2が他の部材の引っかかり作業に支障がある場合もある。
【0023】
本実施例では、突起部分2がFRP筋1の両側に線対称に突起している。そしてその取り付け方向は、直角である。
【0024】
このFRP部材100は、本実施例では、図3に示すFRP格子材100’を先ず形成してから、それを一方向に切断して形成される。
【0025】
FRP格子材100’は、図3、4を参照すると理解されるように、交差させて格子状に配置された複数のFRP筋1と同じ材質、即ち、主に炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維を一方向に並べて、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させた帯状強化繊維を複数積層して形成された、縦補強筋101と横補強筋102とを有する。又、各補強筋101、102は、補強筋幅(w)3〜30mm、厚さ(t)1〜30mm、であり、縦補強筋101長手方向における横補強筋102の間の距離(W1)3〜20mmの格子板状に成形硬化され、全体としてシート状のFRP格子材100’を形成する。このFRP格子材100’は、図4に示すように筋101と102の交差部分の厚さが他の部分の厚さと等しくなるように成形硬化されている。
【0026】
このFRP格子材100’において、各補強筋101の両脇にてそれに平行に図3にては直線Xで各補強筋102部分を切断して、FRP部材100が形成される。補強筋101部分がFRP筋1部分となり、補強筋101に交差し、切断されたことによって補強筋101より突出した形状となる補強筋102が突出部分2となる。
【0027】
そして、FRP筋1の短手方向の筋幅wの5倍以下の長さのFRP短筋2aを、その中央部分にてFRP筋1に交差させた形状のFRP部材100が形成される。
【0028】
このように、FRP筋1の両側に線対称に突起部分を設けた場合は、その両側のFRP短筋2aの先端から先端までの長さBは、FRP筋1の幅wの2倍以上5倍以下となる。つまり、2×w≦B≦5×wとなる。
【0029】
FRP筋1は、通常、筋幅(w)3〜30mm、厚さ(t)1〜30mm、であり、突起部分2を設置する間隔(W1)は、3〜20cmとされる。上述のように、突起部分2はFRP筋1に、直角に配置される。
【0030】
通常、強化繊維としてガラス繊維を使用した場合には、棒状FRP部材100は、500N/mm2以上の引張強度、30000N/mm2以上の引張弾性率を有している。
【0031】
又、このような構成のコンクリート補強用FRP部材100は、軽量で、耐食性であり、又、曲げ成型ができ、施工性に優れている。又、突起部分2はFRP筋1の厚さ部分から突起しているが、本実施例のように、上記に説明したFRP格子材100’を切断して形成された場合、図4に示すように、突起部分2との交差部分がFRP筋1部分と略同一平面上にある。
【0032】
棒状FRP部材100の作製方法は、上記のものに限定されるものではなく、種々の方法を採用し得る。
【0033】
断面形状も四辺形以外でもよく、補強するコンクリート構築物の形状によって、適当な断面形状とする。
【0034】
FRP部材100における繊維目付は、100〜1000g/m、樹脂含浸量は30〜70wt%とされる。
【0035】
本発明におけるFRP部材100に使用する強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとし得る。マトリクス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を使用することができる。
【0036】
本発明の棒状FRP材100は、FRP筋1に、突起部分2を設置することによって、コンクリート構造物に取り付けた場合、コンクリートとの定着性が強化され、確実なコンクリート補強が実現できる。
【0037】
以上説明したように、繊維強化樹脂にて棒状に形成されたFRP筋と、FRP筋の長手方向に対して直角に向けて突出した、FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、突出部分のFRP筋との突出開始部分からの突出長さは、突出部分の突出方向における、FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であることによって、コンクリートとの定着を効率よく且つ確実にできるようになった。
【0038】
又、本構成のFRP部材は、軽量で耐食性に優れ、又、FRP筋1部分において、強化繊維がその軸方向に一方向に配列できるため、高い引張強度を有し、更に、コンクリートとの定着性に優れているので、高耐力の補強材、或いは、緊張材としても利用可能である。そして本実施例のように断面が四辺形の場合は、筋幅wが30mm、厚さtが30mmの太径のFRP部材を使用する場合でも、強固な定着が実現できる。
【0039】
本実施例のFRP部材100を、従来例にて説明した方法で、図5に示すように、鉄筋代替として、橋梁の床板4に適用した場合、高い引張強度にて強固に固定され、更にコンクリートに対する定着が強固になされる。図6に橋桁の床板4内部を詳しく示す。このように、鉄筋代替として、直線状の棒状FRP部材100を複数本交差させて橋桁の床板4内部に適用することで強固な補強ができる。
【0040】
そして、本発明のFRP部材100は、図7に示すように、橋梁の床板4においては、その補強における緊張材として使用することもできる。その場合、強力なコンクリートへの定着性の特長を生かして、楔状の円筒を使わなくとも、簡単な定着具にて強固な定着が実現できる。
【0041】
そして、FRP部材100が簡単な定着具30によって固定されていれば、図7に示すように、橋桁の床板4においては、固定されたFRP部材100の側からセメントモルタルか、又は、ポリマーモルタル5を塗付して増厚させ、補強され、緊張材として用いられる。そして、棒状FRP部材100の引張特性により、効果的な補強が実現できる。
【0042】
ここで、棒状FRP部材100は樹脂やモルタル等5によって強力に固定されるので、従来のように補強材を締め付ける定着具を必要とせず、FRP部材100端部を床板4に止めるだけの単純な構成のものが使用できる。
【0043】
そして、橋桁床板以外のあらゆるコンクリート構造物の緊張材として適用できることはいうまでもない。
【0044】
つまり、本発明のFRP部材は、緊張材として用いる場合には、特徴部分であるFRP部材の突出部分が定着部において有効に働くため、複雑な構成の定着具を用いずに、樹脂や膨張モルタルで容易に強力に固定することができる。
【0045】
実施例2
図2は、本実施例のFRP部材であり、実施例1における棒状のFRP部材100を曲げて形成した、曲線状FRP部材200である。
【0046】
本実施例では、実施例1に説明した強化棒状FRP部材100を、形成時に曲げた状態で硬化して製造したものである。
【0047】
せん断補強筋や幅止め筋としての曲線形状では、従来の材料に比べ、成型時引っ張り方向に均一に硝子や炭素繊維を配向できるため、引っ張り強度を有効に発揮することができる。
【0048】
本実施例のように、直線状以外の形状に形成することによって、更に使用用途を広げることができる。
【0049】
こうしたFRP部材100の曲げ成型性を生かして、例えば、図5に示す橋桁の床板4に応用した場合、図8のように、FRP部材100を自在に曲げて、埋め込むことで、コンクリートの鉄筋の役割を担うことができる。
【0050】
このように、あらゆる形状にも成型させることができ、あらゆる形状のコンクリート構造物の補強ができる。又、FRP筋において、強化繊維が一方向に配列可能であるため、それに沿って曲げた場合、直線状のものに近い引張強度が得られる。
【0051】
このように、通常の鉄筋の代替として用いる場合に、FRP部材の突出部によってコンクリートとの定着が確実に行われるために、筋材の引張特性が有効に働く。
【0052】
【発明の効果】
本発明のコンクリート補強用FRP部材は、繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋と、FRP筋の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、突出部分のFRP筋との突出開始部分からの突出長さは、突出部分の突出方向における、FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であるので、軽量、可撓性、耐食性、を備え、更に、引張強度を損なうことなく、コンクリートとの定着性を強化でき、特に大きい断面の補強材を必要とされる場合、その効果は顕著であり、又、曲線状部を有するものにおいて、その強化繊維の配向を曲線に沿って、平行に成型できるため、直線状に近い引張性能を発揮でき、より多様な形状のコンクリート構築物の補強が可能となった。
【0053】
そして、通常の鉄筋として用いる場合には、突出部によって、コンクリートとの定着が確実に行われるために、筋材の引張特性が有効に働く。又、直線状のFRP部材を緊張材として用いる場合にも、突出部が定着部において有効に働くため、簡易な定着法が可能となり、簡易な定着具を用いて、樹脂や膨張モルタルで容易にコンクリートに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の他の例を示す斜視図である。
【図3】コンクリート補強用FRP部材の材料であるFRP格子材を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るFRP筋と突出部分との交差部分拡大斜視図である。
【図5】本発明及び従来のコンクリート補強用FRP部材の橋桁床板における橋桁床板における鉄筋代替としての一施工態様を説明する施工図である。
【図6】本発明のコンクリート補強用FRP部材の鉄筋代替としての一施工態様を示す拡大図である。
【図7】本発明に係るコンクリート補強用FRP部材の緊張材としての一施工態様を示す施工図である。
【図8】本発明のコンクリート補強用FRP部材の鉄筋代替としての他の施工態様を示す拡大図である。
【図9】従来のコンクリート補強用FRP部材の一例及び他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 FRP筋
2 突出部分
2a FRP短筋
4 橋桁床板(コンクリート)
5 コンクリートモルタル
30 定着具
100 直線状FRP部材
100’ FRP格子部材
200 曲線状FRP部材
Claims (8)
- 繊維強化樹脂にて線状に形成されたFRP筋と、該FRP筋の長手方向に対して両側に線対称に直角方向に向けて突出した、前記FRP筋と同じ材質で形成された突出部分と、を有し、該突出部分の前記FRP筋との突出開始部分からの突出長さは、前記突出部分の突出方向における、前記FRP筋の幅の0.5倍以上2倍以下であることを特徴とするコンクリート補強用FRP部材。
- 前記FRP筋は、幅が3〜30mm、厚さが1〜30mmとされ、前記突出部分は、前記FRP筋の厚さ部分に、前記FRP筋の長手方向で互いに3〜20cmの間隔をおいて、複数設けられることを特徴とする請求項1のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記繊維強化樹脂は、強化繊維を一方向に配列した強化繊維束にマトリクス樹脂を含浸し、硬化して形成され、前記強化繊維の配向方向が前記FRP筋の軸方向であることを特徴とする請求項1又は2のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記繊維強化樹脂は、繊維目付100〜1000g/m、樹脂含浸量が30〜70wt%であることを特徴とする請求項3のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維を含む無機繊維;ボロン、チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;等から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされることを特徴とする請求項3又は4のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記マトリクス樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことを特徴とする請求項3、4又は5のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記FRP筋部分が直線状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載のコンクリート補強用FRP部材。
- 前記FRP筋は、曲線状部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載のコンクリート補強用FRP部材。
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