JP7461700B2 - プレキャストコンクリート版の接合構造 - Google Patents
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Description
隣り合うプレキャストコンクリート版の間に接合部コンクリートを打設した接合構造では、接合部コンクリートとプレキャストコンクリート版との境界部に雨水等が浸入することがある。また、接合部コンクリートはプレキャストコンクリートに比べて微小なひび割れが生じやすく、生じたひび割れ等から雨水が浸入することがある。雨水が浸入することによって鉄筋がさびやすくなり、コンクリートの耐久性が劣化する。
一方、特許文献2に記載されているようにループ状の鉄筋の内側に鋼板を配置するときには、鉄筋を矩形に近い状態に曲折することになり、曲げ半径を大きく維持することが難しくなる。
また、補強部材の湾曲する部分で、断面が扁平となって接合部コンクリートに対して接触する面積が拡大されているので、引張力が作用したときに接合部コンクリートに作用する支圧応力度が低減され、曲げ半径を小さく設定しても接合部コンクリートの圧壊が抑制される。
さらに、プレキャストコンクリート版の接合部における補強部材として鉄筋を用いると、鉄筋の強度の維持及び接合部コンクリートに対する支圧応力度を抑制するために曲げ半径が制限され、コンクリート版の厚さを小さく設定するのが難しくなるが、本接合構造では、補強部材にFRP材を用い、湾曲する部分すなわち接合部コンクリートに圧接される部分で幅が拡大されているので曲げ半径を小さくし、コンクリート版の厚さを薄く設定することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態であるプレキャストコンクリート版の接合構造を示す概略断面図及び接合部コンクリートの打設前における平面図である。また、図2は、図1に示す構造で接合されるプレキャストコンクリート版の接合端部を示す概略斜視図である。
この接合構造では、互いに接合する2つのプレキャストコンクリート版1は接合端面1aが対向するように配置され、双方の接合端面1aから複数のループ状の補強部材2が突き出している。そして、上記補強部材2が突き出す方向とほぼ直角方向に複数の横方向補強部材3が配置され、これらの補強部材2及び横方向補強部材3を埋め込むように接合部コンクリート4が打設されたものである。
なお、図2では横方向補強部材の一部の描出を省略している。
この補強部材5は、図3及び図4に示す補強部材2と同様に連続繊維を束ね、合成樹脂によって結着したFRP材である。そして、同様に両端部がプレキャストコンクリート版1に埋め込まれるとともに、プレキャストコンクリート版1の接合端面から突き出した部分がループ状になっている。この補強部材5は、図5に示すように、プレキャストコンクリート版に埋め込まれる直線状の部分21も断面が扁平な形状となっており、ループ状に湾曲した部分22では、幅が拡大するものである。
このような補強部材5をプレキャストコンクリート版1の接合構造に用いても、図3及び図4に示す補強部材2を用いたときと同様の効果を得ることができる。
この補強部材6は、束ねられた連続繊維を合成樹脂によって結着したFRP材であるが、プレキャストコンクリート版1に埋め込まれる直線状の部分31では、連続繊維がほぼ平行に配列された状態で束ねられ、断面の形状はほぼ円形となっている。そして、プレキャストコンクリート版1の接合端面から突き出してループ状に湾曲する部分32では連続繊維が幅方向に拡がるように配列されて扁平な断面形状となっている。
なお、図8に曲線で示す連続繊維6aは,束ねられた多数の連続繊維の一部を代表して示すものであり、実際の補強部材6では、図8中に示す複数の連続繊維6aの間にも多数の連続繊維が存在している。
また、このような湾曲する部分32で幅が拡大されたFRP材をプレキャストコンクリート版の接合構造に補強部材として用いることによって、図3及び図4に示す補強部材2を用いたときと同様の効果を得ることができる。
この補強部材7では、連続繊維が複数の束7aに別けられ、図9(b)に示すようにこれらの束7aが平たく並べられている。そして、これらの束7aは、扁平な形状が維持されるように横糸43で拘束され、柔軟に変形する薄い筒状体44の内側に挿入されている。このような補強部材7が、図9(a)示すように扁平な面が曲面を形成するように湾曲し、筒状体44の内側には連続繊維を結着するための合成樹脂が充填されて連続繊維の束7aに含浸されている。
上記連続繊維の束7aのそれぞれは、連続繊維がほぼ平行に配列されたものであってもよいが、湾曲した部分42の軸線が描く円弧とほぼ同じ長さで、軸線回りに180°回転するピッチで撚りが入れられているものとするのが望ましい。このように撚りを導入することにより、湾曲する部分42で連続繊維のそれぞれの長さの差が小さく抑えられる。これにより、連続繊維間の応力度の差を小さく抑えることが可能となる。
例えば、接合する2つのプレキャストコンクリート版の対向する接合面は、鉛直な面に限らず、下側で間隔が縮小されるように傾斜してものであってもよいし、下部が両側から突き出して接合部のコンクリートを打設するときの型枠として機能するものであってもよい。
2:補強部材, 2a:連続繊維を束ねた紐状体, 3:横方向補強部材, 4:接合部コンクリート, 5:補強部材, 5a:連続繊維を束ねた紐状体, 6:補強部材,
6a:連続繊維 7:補強部材, 7a:連続繊維の束,
11:補強部材のプレキャストコンクリート版に埋め込まれる直線状の部分, 12:補強部材の湾曲した部分,
21:補強部材の直線状の部分, 22:補強部材の湾曲した部分,
31:補強部材の直線状の部分, 32:補強部材の湾曲した部分,
41:補強部材の直線状の部分, 42:補強部材の湾曲した部分, 43:横糸, 44:筒状体,
51:鉄筋
Claims (3)
- 互いに接合される2つのプレキャストコンクリート版の対向する接合端面の双方から複数の補強部材が突き出し、
対向する前記接合端面間には、前記補強部材を埋め込むように接合部コンクリートが打設されており、
前記補強部材は、
束ねられた多数の連続繊維を合成樹脂によって結着したFRP材であり、
両端部が前記プレキャストコンクリート版中に埋め込まれ、中間部が前記接合端面の上部及び下部から突き出して湾曲し、ループ状に連続しており、
一方の前記プレキャストコンクリート版から突き出してループ状となった複数のFRP材が、他方の前記プレキャストコンクリート版から突き出してループ状となった複数のFRP材の間に突き入れられ、
双方のプレキャストコンクリート版から突き出した前記FRP材の少なくとも湾曲する部分の一部では、断面形状が該FRP材の軸線に対して横方向に張り出すように拡大された扁平な形状となっており、
前記FRP材は、複数の連続繊維を束ねた紐状体を、複数組み合わせて組み紐状に編まれており、前記湾曲する部分では前記紐状体の間隔を粗くして扁平な形状としたものであることを特徴とするプレキャストコンクリート版の接合構造。 - 前記補強部材の湾曲する部分の中心軸線の形状が半円形状となっており、該湾曲する部分の全域で断面が扁平な形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート版の接合構造。
- 前記接合部コンクリートに埋め込まれ、該接合部コンクリートを補強する前記補強部材を含む棒状又は線状の部材のすべてが非導電性の連続繊維を用いたFRP材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレキャストコンクリート版の接合構造。
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