JPH0783313A - ウェブ付傘歯車 - Google Patents

ウェブ付傘歯車

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JPH0783313A
JPH0783313A JP14453394A JP14453394A JPH0783313A JP H0783313 A JPH0783313 A JP H0783313A JP 14453394 A JP14453394 A JP 14453394A JP 14453394 A JP14453394 A JP 14453394A JP H0783313 A JPH0783313 A JP H0783313A
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JP
Japan
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web
bevel gear
strength
tooth
root
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JP14453394A
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Kenji Takita
賢二 滝田
Yasuhiro Suzuki
康宏 鈴木
Toshiro Kimura
敏郎 木村
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ウェブを必要最小限に形成し、傘歯車の小型
化を図り、機械的強度をさらに向上させる。さらに、ウ
ェブの欠損を防止してウェブを設けることによる歯元強
度向上の効果を維持しつつ、歯元の強度、歯面の強度、
耐摩耗性をさらに向上させる。 【構成】 傘歯車の外端部で、歯と歯との間の歯元底部
に、歯相互を接続するように基礎円錐を起点とした凹状
曲面形にウェブが形成してあるウェブ付傘歯車2,2a
〜2cであって、ウェブの高さhを傘歯車のモジュール
mで除した値が、0.2≦h/m≦0.6を満足する。
ウェブにおける基礎円錐の母線方向の幅wを、傘歯車に
おける基準ピッチ円錐の母線方向の幅wで除した値が、
0.04≦w/W≦0.20を満足する。ウェブの部分
に表面処理防止剤を塗布した状態で、浸炭および/また
は窒化などの表面処理が施され、あるいは、ウェブの部
分以外の歯元や歯面の表面に超硬材料からなる硬質層が
コーティングされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば自動車のディ
ファレンシャルギヤなどとして用いられる傘歯車に係
り、さらに詳しくは、傘歯車の外端部にウェブを形成す
ることにより機械的強度の向上を図ったウェブ付傘歯車
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、傘歯車の小型化、すなわち傘歯
車箱の小型化、あるいは高出力エンジンの機種への傘歯
車の共用化などを考えた場合には、歯車の強度が問題と
なる。傘歯車強度と傘歯車製作コスト(すなわち傘歯車
の小型化)とは、一般に相反する関係にあり、歯車を大
きくすることなく、如何にして所定の強度を満足する傘
歯車を得るかが、近年重要な課題となっている。
【0003】そこで、特開昭63−215,329号公
報に示すように、傘歯車の外端部にウェブを形成するこ
とにより機械的強度の向上を図ったウェブ付傘歯車が開
発されている。この公報に開示されたウェブ付傘歯車に
よれば、傘歯車の小型化を図りつつ、その機械的強度の
向上が期待される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】歯車の損傷は、歯の折
損、歯面のピッチング、スコーリングなどが多く、これ
を防ぐため、歯元、歯面の強度向上が図られている。こ
のうち歯元からの折損が起こると、動力が伝達できず、
歯車としての機能を失う。このため、歯元応力を緩和し
歯元強度向上を目的に、傘歯車では、外端部にウェブを
設け、実用に供されている。
【0005】この歯元応力を緩和した従来例として、図
7に示すウェブ付傘歯車30があるが、ウェブのない従
来品に対し、重量増加が大きいうえ、相手歯車との干渉
を避けるため、歯当り面を内端側に寄せなければなら
ず、伝達可能なトルクが減少し、さらに負荷能力も期待
程増加しないという問題があった。
【0006】また、図8に示す背面にウェブを残した傘
歯車32では、寸法が大きくなるため歯車箱も大きくな
り差動歯車系の重量増加を招いていた。さらに、図9に
示す背円錐に沿って歯先までウェブを設けた傘歯車34
では、相手歯車との干渉を避けるため歯車径を大きくせ
ざるを得ず、同じく重量増加を招いていた。
【0007】本発明者らは、前記公報に開示されたウェ
ブ付傘歯車を前提として、ウェブ形状を種々に変更した
場合の強度を実験及び計算によって調べたところ、ウェ
ブの形状、高さおよび幅を所定の範囲内に設定すること
により、傘歯車の機械的強度が向上すると共に、傘歯車
の小型化にも寄与することを見い出した。
【0008】本発明は、このような発見の結果に基づい
てなされ、ウェブを必要最小限に形成し、傘歯車の小型
化を図ると共に、その機械的強度をさらに向上させるこ
とができるウェブ付傘歯車を提供することを第1の目的
とする。この種のウェブ付傘歯車には、さらに、以下に
示される課題もある。
【0009】歯車の耐摩耗性や強度を向上させるために
は、一般に、歯切後に浸炭焼入れやショットピーニング
などが行われており、ウェブ付傘歯車にあっても歯元強
度や歯面強度を向上させるために、浸炭焼入れなどの表
面処理が行われている。しかしながら、小径のウェブ付
傘歯車などではウェブが小さく、ウェブ全体が浸炭など
によって硬化ないし脆化してしまい、ウェブの欠損が生
じ易くなる。ウェブを所定寸法に形成すべく浸炭焼入れ
後に外端部を施削、研摩するような場合にもウェブの欠
損が生じ易い。また、歯元および歯面に残留応力を付与
するためにショットピーニングを行うと、ウェブを破壊
してしまうことにもなる。このようにウェブ部に欠損が
生じると、ウェブが本来の効果を発揮することができ
ず、歯元強度の向上に寄与できなくなる。
【0010】また、ウェブを設けることによる歯元強度
の向上に加えて、歯元強度や歯面強度をさらに高める要
請もあるが、この場合にあっても、ウェブの欠損を防止
し、ウェブを設けることによる歯元強度向上の効果を維
持する必要がある。そこで本発明者らは、歯元応力を緩
和して歯元強度の向上を図るウェブは、噛み合う相手歯
車と接しないため歯面を要求される程の硬さは必要がな
い点に着目し、ウェブの部分に表面処理が施されないよ
うにすれば、ウェブの欠損がなくウェブ本来の効果が維
持され、歯元の強度、歯面の高度、耐摩耗性をさらに向
上できることを見い出した。
【0011】本発明は、このような発見の結果に基づい
てなされ、ウェブの欠損を防止してウェブを設けること
による歯元強度向上の効果を維持しつつ、歯元の強度、
歯面の強度、耐摩耗性を向上したウェブ付傘歯車を提供
することを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のウェブ付傘歯車は、傘歯車の外端部にウェ
ブを形成したウェブ付傘歯車であって、上記ウェブの歯
元からの高さ(h)を傘歯車のモジュール(m)で除し
た値が、以下の関係式(1) 0.2≦h/m≦0.6 … (1) を満足する。
【0013】また、上記ウェブを隣り合う歯の外端部基
礎円位置を起点とする凹状曲面形に成形することが好ま
しい。尚、歯元丈の小さな傘歯車で、歯面とウェブの接
続部が滑らかに成形しにくい場合は、歯面との接続を基
礎円位置から移動させ、滑らかに接続して良い。
【0014】また、上記ウェブにおける背円錐に平行に
移動した基礎円錐方向の幅(w)を、傘歯車における基
準ピッチ円錐の母線方向の幅(W)で除した値が、以下
の関係式(2) 0.04≦w/W≦0.20 … (2) を満足することが好ましい。
【0015】さらに、上記第2の目的を達成するため
に、本発明のウェブ付傘歯車は、上記ウェブの部分に表
面処理防止剤を塗布した状態で、浸炭および/または窒
化などの表面処理を施してなる。また、歯元の表面に超
硬材料からなる硬質層をコーティングすると良い。硬質
層の厚さ(t1)は、傘歯車のモジュール(m)に対し
て、t1≧0.03mとすることが好ましい。
【0016】また、硬質層のウェブの部分にはコーティ
ングせず、ウェブの部分以外にコーティングされた噛み
合い面の上記硬質層の厚さ(t2)は、傘歯車モジュー
ル(m)に対して、t2≧0.15mとすることが好ま
しい。さらに、歯元の表面に硬質層がコーティングされ
ていることが好ましい。
【0017】
【作用】本発明のウェブ付傘歯車にあっては、上記ウェ
ブの歯元からの高さ(h)を傘歯車のモジュール(m)
で除した値が、以下の関係式(1) 0.2≦h/m≦0.6 … (1) を満足させることで歯元応力を小さくできる。
【0018】すなわち、従来では、ウェブの高さが高い
ほど、歯元応力が低下し、傘歯車の機械的強度が向上す
るものと考えられていたが、本発明者らの実験によれ
ば、歯元応力を小さくするウェブの高さには最適な範囲
があることが判明した。ウェブを高く設定する必要がな
ければ、傘歯車に噛み合う他の歯車との干渉を避けるた
めに、傘歯車を大きく設計する必要もなく、傘歯車の小
型化にも寄与する。
【0019】本発明のウェブ付傘歯車にあっては、ウェ
ブの起点及び形状を傘歯車のモジュール、歯数、圧力
角、歯幅によって規定している。なお、モジュールmに
対する歯数z、圧力角αおよび基礎円直径dgの関係
は、次の関係式(3)で表わされる。
【0020】m=dg/z・cosα … (3) ウェブを例えば基礎円を起点として設け、歯数、モジュ
ールに対応した形状とし、さらに圧力角による垂直応
力、剪断応力の変化に相応したウェブ寸法、配置とする
ことで、歯元、ウェブ双方の生成応力を極小化し、歯車
の実体強度を極大化し得ることを見出した。このこと
は、ウェブの高さが歯先円まで必要でなく、歯先変位を
抑制し、歯元応力及びウェブ部応力を低下させるには、
基礎円を起点とすれば十分であることがわかった。
【0021】すなわち、ウェブは歯幅方向の曲げ力を受
けると共に、圧力角によって決まる歯丈方向分力を受け
るため、ウェブの寸法が大きくなれば、歯元に生成する
応力は単調に低下する。また、ウェブの幅、高さが増大
すると供にウェブ内に生成する応力も当然減少する。し
かし、ウェブの幅が大きくなると、曲げ応力を受け持つ
歯幅が減少し、またウェブ幅、高さの増大によって外端
側の剛性が高くなると、相手歯車との噛み合い面が内端
側に移動する。このため、ウェブの幅、高さがある値を
越えると歯元に生成される応力が増加に転ずる。
【0022】本来、圧力角によって定まる歯丈、歯厚方
向の力を歯元とウェブが受け持つので、この分力に応じ
たウェブ剛性があれば良く、このためウェブ寸法に対し
て歯車強度を最大にする最適範囲があるという知見に至
った。この結果から、ウェブ寸法の最適範囲が基礎円を
起点とする円弧形状にすれば良く、ウェブが小さくなり
相手歯車との干渉を避けるために、相手歯車の外端側歯
先を一部切除するのみで、歯車箱の大きさ、構造を基本
的に変える必要がなくなる。さらに歯元強度が向上した
ことで、歯元からの折損が発生しにくくなり、あるいは
伝達トルクを増大させることが可能である。
【0023】本発明者らによる実験と強度解析の結果、
本発明のウェブ付傘歯車では、上記関係式(1)を満足
するように、ウェブの高さと幅を設定することで、傘歯
車における歯元強度が最大となることが判明した。すな
わち、従来では、ウェブの高さが高いほどまた、幅が広
いほど、歯元応力が低下し、傘歯車の機械的強度が向上
するものと考えられていたが、本発明者らの実験によれ
ば、歯元強度を大きくするウェブの高さには最適な範囲
があることが判明した。
【0024】さらに、本発明のウェブ付傘歯車は、ウェ
ブの部分に表面処理防止剤を塗布した状態で、浸炭およ
び/または窒化などの表面処理を施してあるため、ウェ
ブが硬化ないし脆化してしまうことがない。これによ
り、ウェブの欠損がなくなって歯元の強度を維持しつ
つ、さらに歯面の強度、耐摩耗性が高められる。
【0025】また、歯元の表面に生じる曲げ応力を超硬
材料によって支持することができる。また、ウェブの部
分には硬質層がコーティングされないため、ウェブの欠
損を防止しつつ、硬質層により、歯元の強度、歯面の強
度、耐摩耗性をさらに高めることができる。硬質層の厚
さは、接触面形状およびヘルツ応力の各々がモジュール
対比でほぼ一様に決定されることから、ある比率によっ
て規定される。
【0026】
【実施例】以下、本発明に係るウェブ付傘歯車を図面に
示す実施例に基づき、詳細に説明する。図1は本発明の
一実施例に係るウェブ付傘歯車の要部断面図、図2はウ
ェブの要部斜視図、図3(A),(B)はそれぞれ強度
比を最大にする無次元化されたウェブの高さおよび幅を
示すグラフ、図4は本発明の他の実施例に係るウェブ付
傘歯車の要部断面図である。
【0027】図1に示すように、本発明の一実施例に係
る傘歯車2は、たとえば鍛造法により成形され、ボス部
4と、このボス部4の外周に傘歯車状に形成された複数
の歯6とを有する。ボス部4の内周には、シャフトなど
が嵌合する嵌合孔8が形成してある。
【0028】本発明では、傘歯車2の具体的形状および
寸法は、特に限定されない。ただし、本実施例では、歯
数は16であり、基準ピッチ円錐の母線P(「ピッチ円
錐P」と称す)に沿ったコーンディスタンスlは、6
3.1mmである。また、ピッチ円錐Pの円錐角θは、5
5°29′であり、歯6のピッチ円錐方向幅Wは、2
2.5mmである。また、歯先円錐角は、62°59′で
あり、歯底円錐角は、44°46′である。
【0029】本実施例では、図1,2に示すように、傘
歯車2の外端部で、歯6と歯6との間の歯元底部10
に、歯6相互を接続するようにウェブ12が形成してあ
る。なお、ウェブ12の高さhは、歯元底部10から基
礎円錐の母線b(「基礎円錐b」と称す)に対して直角
方向の高さとして定義される。
【0030】本実施例では、図2に示すように、ウェブ
12の頂部は、たとえば半径Rの凹状曲面で構成してあ
り、ウェブ12と歯6との接合部において、応力集中が
小さくなるように構成してある。半径Rは、基礎円錐b
とウェブ高さhの三点で決まる円弧で、本実施例では
5.4mmである。
【0031】上述したような寸法形状のウェブ付傘歯車
2において、ウェブ12の高さhを変化させ、ウェブ1
2の高さの最適値を調べた結果を図3(A)に示す。こ
の図では、ウェブ12の高さhを傘歯車のモジュールm
で除すことにより、無次元化した。図3(A)では、無
次元化された高さh/mに対して、強度比の変化を調べ
た。強度比は、ウェブが形成されていない以外は同一条
件の傘歯車の強度を1とし、高さhのウェブが形成され
た傘歯車の強度を求めた。
【0032】図3(A)に示すように、歯元応力が最小
となり強度比が最大となるウェブの高さhがあることが
見い出された。強度比を約1.5倍以上程度に設定する
には、無次元化された高さh/mの範囲は、以下の関係
式(1) 0.2≦h/m≦0.6 … (1) を満足すれば良いことが判明した。すなわち、従来で
は、ウェブの高さが高いほど、歯元応力が低下し、傘歯
車の機械的強度が向上するものと考えられていたが、本
発明者らの実験によれば、歯元応力を小さくするウェブ
の高さには最適な範囲があることが判明した。ウェブを
高く設定する必要がなければ、傘歯車に噛み合う他の歯
車との干渉を避けるために、傘歯車を大きく設計する必
要もなく、傘歯車の小型化にも寄与する。なお、本実施
例では、ウェブ12の高さhの具体的寸法は、3mm程度
が好ましい。
【0033】また、上述したような寸法形状のウェブ付
傘歯車2において、ウェブ12の基礎円錐b方向の幅w
を変化させ、ウェブ12の幅wの最適値を調べた結果を
図3(B)に示す。この図では、ウェブ12の幅wを歯
6のピッチ円錐方向幅Wで除すことにより、無次元化し
た。図3(B)では、無次元化された幅w/Wに対し
て、強度比の変化を調べた。強度比は、ウェブが形成さ
れていない以外は同一条件の傘歯車の強度を1とし、幅
wのウェブが形成された傘歯車の強度を求めた。図3
(B)は、無次元化された高さh/mが0.42の場合
の特性曲線である。
【0034】図3(B)に示すように、歯元応力が最小
となり強度比が最大となるウェブの幅wがあることが見
い出された。h/mが0.42の場合に、強度比を約
1.5倍以上程度に設定するには、無次元化された幅w
/Wの範囲は、以下の関係式(2) 0.04≦w/W≦0.20 … (2) を満足すれば良いことが判明した。
【0035】すなわち、従来では、ウェブの幅が大きい
ほど、歯元応力が低下し、傘歯車の機械的強度が向上す
るものと考えられていたが、本発明者らの実験によれ
ば、歯元応力を小さくするウェブの幅には最適な範囲が
あることが判明した。ウェブ12の幅wを大きく設定す
る必要がなければ、傘歯車に噛み合う他の歯車との干渉
を避けるために、傘歯車を大きく設計する必要もなく、
傘歯車の小型化にも寄与する。本実施例では、ウェブ1
2の幅wの具体的寸法は、約2mm程度が好ましい。な
お、この実施例では、ウェブ12を設けたことから、相
手歯車との干渉を避ける必要が生じ、そのために、相手
歯車の外端部歯先を一部切除し、歯当り面を内端側へ若
干移動させた。この歯当り面の移動による伝達トルクの
損失を、図3(B)に示すが、わずか1. 5%程度減少
するのみで、歯元の強度が向上したことにより伝達トル
クを増大させても、十分補える値であり、ウェブ形成に
よる機能の低下はない。
【0036】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変するこ
とができる。本発明では、傘歯車に形成するウェブの具
体的形状および寸法は特に限定されない。たとえば図1
に示すウェブ12の背面に製作上必要な歯元すみ肉部ま
るみ半径程度のまるみを有するリブ14を形成すること
も当然可能である。また、図2に示す円弧Rは、他の応
力集中を緩和する形状、例えば円弧列形であっても良
い。またウェブの幅Wは、関係式(2)のほか、製造可
能な最小値によって、下限値が定まる。また、図4に示
すように、ウェブ12aの背面20を基礎円錐bに対し
て直角に形成した傘歯車2aも本発明の範囲である。図
4に示す実施例では、図1に示す部材と共通する部材に
は、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0037】次に、上述したウェブ形状を有する傘歯車
に表面処理を施した実施例について説明する。図5に示
すウェブ付傘歯車2bは、上述した関係式(1)および
(2)を満足するようにウェブ12bの高さhと幅wと
が最適な範囲で設定されており、歯元強度が高められて
いる。当該歯車2bは、その母材が鋼製で、鍛造方法に
より成形されている。しかし、特に小径のウェブ付傘歯
車では、そのまま浸炭焼入れなどを行えば、硬化、脆化
し、ウェブを破損する可能性がある。
【0038】このウェブ付傘歯車2bに対して歯面の強
度、歯元の強度、耐摩耗性の向上を目的として表面処理
の一例としての浸炭焼入れを施す際には、まず、図5に
示されるように、ウェブ12bの部分に表面処理防止剤
21を塗布する。表面処理防止剤21としては、市販さ
れているB2O3系防炭剤が挙げられる。次いで、表面
処理防止剤21を塗布したままの状態で、約930℃で
所定の浸炭処理を行った後に約850℃まで降温し、約
30分保持した後に焼入れを行う。
【0039】このような手順により浸炭焼入れを行う
と、歯面の強度、歯元の強度、耐摩耗性が高められる一
方、表面処理防止剤21によりウェブ12bの部分に対
する浸炭が防止されてウェブ12bが硬化ないし脆化し
てしまうことがなく、ウェブ12bの欠損が防止され
る。したがって、ウェブ12bの表面処理を防止したウ
ェブ付傘歯車2bによれば、ウェブ12bの欠損がなく
ウェブ12b本来の効果が十分に発揮されるので、歯元
強度を維持しつつ、耐摩耗性を向上させることができ
る。
【0040】なお、ウェブ12bの部分は、相手歯車と
接しないため歯面に要求される程の耐摩耗性は必要がな
く、歯に作用する力の一部を受け持つ機能さえ有してい
れば良い。このため、本実施例のようにウェブ12b部
分の浸炭を防止しても、歯元強度や歯面強度が低下する
ことはない。
【0041】また、ウェブ12bの形状が小さく製造上
の制約を受ける場合などにあっては、外端円錐距離を予
め大きくしてウェブ12bを厚く成形しておき、その後
に、ウェブ12bの高さhと幅wとが上述した関係式
(1)および(2)を満足するように外端部を施削、研
摩する必要がある。この場合にも、表面処理防止剤21
によりウェブ12bの部分に対する浸炭を防止して浸炭
焼入れを行えば、外端部を施削などする際にウェブ12
bが欠損することはなく、歯元強度を維持しつつ、耐摩
耗性を向上させることができる。
【0042】さらに、表面ロール、転造、シェービング
あるいはウェブ部をマスキングした状態でショットピー
ニングなどの表面加工により残留応力を付与することに
よっても、ウェブの欠損を防止して歯元の強度を維持し
つつ、表面硬化を行うことができる。
【0043】なお、以上説明した実施例は、本発明の理
解を容易にするために記載されたものであって、本発明
を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施例の開示された各要素は、本発明の技術
的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨で
ある。例えば、ウェブ以外の部分に施される表面処理は
上述した浸炭焼入れ以外にも窒化処理、溶射等により硬
質層をコーティングしたウェブ付傘歯車、母材、硬化層
を別の材質とするウェブ付傘歯車についても同様に適用
することができる。
【0044】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、傘歯車に形成するウェブを必要最小限にすることが
でき、傘歯車の小型、軽量化を図ると共に、その機械的
強度をさらに向上させることができる。さらに、本発明
のウェブ付傘歯車は、ウェブの部分に表面処理防止材を
塗布した状態で、浸炭および/または窒化などの表面処
理を施してあるため、ウェブの欠損を防止してウェブを
設けることによる歯元強度向上の効果を維持しつつ、耐
摩耗性を高めることができる。
【0045】また、歯元の表面に超硬材料からなる硬質
層をコーティングした本発明のウェブ付傘歯車によれ
ば、ウェブによる歯元強度向上に加えて、伝達トルクに
基づいて歯車の表面に生じる最大曲げ応力を超硬材料に
よって支持することができ、前記曲げ応力の原因となる
伝達トルクが大きい場合であっても、歯に十分な強度を
持たせることができる。したがって、軽量で伝達トルク
の大きなウェブ付傘歯車を得ることができる。
【0046】また、ウェブの部分には硬質層がコーティ
ングされないため、ウェブの欠損を防止してウェブによ
る歯元強度向上の効果を維持しつつ、硬質層により、歯
元の強度、歯面の強度、耐摩耗性をさらに高めたウェブ
付傘歯車を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係るウェブ付傘歯車
の要部断面図である。
【図2】図2はウェブの要部斜視図である。
【図3】図3(A),(B)はそれぞれ強度比を最大に
する無次元化されたウェブの高さおよび幅を示すグラフ
である。
【図4】図4は本発明の他の実施例に係るウェブ付傘歯
車の要部断面図である。
【図5】図5は本発明の他の実施例に係わるウェブ付傘
歯車の要部断面図である。
【図6】図6は本発明の他の実施例に係わるウェブ付傘
歯車の部断面図である。
【図7】図7は従来から行われている外端部にウェブを
設けたウェブ付傘歯車の例1の要部断面図である。
【図8】図8は従来から行われている外端部にウェブを
設けたウェブ付傘歯車の例2の要部断面図である。
【図9】図9は従来から行われている外端部にウェブを
設けたウェブ付傘歯車の例3の要部断面図である。
【符号の説明】
2,2a,2b,2c… ウェブ付傘歯車 6… 歯 12,12a,12b,12c… ウェブ 21…表面処理防止剤 22…マスキング治具 h… ウェブの高さ w… ウェブの幅

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 傘歯車の外端部にウェブを形成したウェ
    ブ付傘歯車であって、 上記ウェブの歯元からの高さ(h)を傘歯車のモジュー
    ル(m)で除した値が、以下の関係式(1) 0.2≦h/m≦0.6 … (1) を満足することを特徴とするウェブ付傘歯車。
  2. 【請求項2】 上記ウェブを隣り合う歯の外端部基礎円
    位置を起点とする凹状曲面形に成形したことを特徴とす
    る請求項1に記載のウェブ付傘歯車。
  3. 【請求項3】 上記ウェブにおける背円錐に平行に移動
    した基礎円錐方向の幅(w)を、傘歯車における基準ピ
    ッチ円錐の母線方向の幅(W)で除した値が、以下の関
    係式(2) 0.04≦w/W≦0.20 … (2) を満足する請求項1または2に記載のウェブ付傘歯車。
  4. 【請求項4】 上記ウェブの部分に表面処理防止剤を塗
    布した状態で、浸炭および/または窒化などの表面処理
    を施してなる請求項1〜3のいずれかに記載のウェブ付
    傘歯車。
  5. 【請求項5】 歯元の表面に硬質層がコーティングされ
    てなる請求項1〜4のいずれかに記載のウェブ付傘歯
    車。
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