JPH07824B2 - 溶接用高靭性鋼 - Google Patents

溶接用高靭性鋼

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JPH07824B2
JPH07824B2 JP59101732A JP10173284A JPH07824B2 JP H07824 B2 JPH07824 B2 JP H07824B2 JP 59101732 A JP59101732 A JP 59101732A JP 10173284 A JP10173284 A JP 10173284A JP H07824 B2 JPH07824 B2 JP H07824B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶接性の優れた鋼材に係り、特に溶接熱影響
部の切欠靭性の優れた鋼材に関するものである。
〔従来技術及び問題点〕
近年、船舶、貯槽、海洋構造物など大型鋼構造物の材質
特性に対する要求値は厳しくなっており、とくに溶接部
の低温靭性を向上することが望まれている。一般に鋼材
をサブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接、ないし
はエレクトロスラグ溶接などの自動溶接法で溶接する
と、溶接部のうち母材と溶接金属との境界部(以後溶接
ボンド部と称する)、ならびに溶接ボンド部近傍の溶接
熱影響部(以後HAZと称する)の靭性が最も低下するの
が普通であり、その原因は主としてオーステナイト結晶
粒の粗大化にあるとされている。
そこで従来溶接ボンド部とHAZの靭性向上対策として、
これら部分の組織を微細化する方法が各種提案されてい
る。
その一つとして、例えば鉄と鋼第65年第8号1282頁に見
られるようにTiNを微細析出させて50kg/mm2級鋼板の大
入熱溶接時のHAZ靭性を改善する手段がとられている。
しかしこれら析出物を有効活用するためには、製鋼、も
しくは、圧延工程を厳密に制御して鋼中に該析出物を均
一微細に分散させる必要がある。さらに折角このように
分散させても溶接時、特に大入熱溶接時に析出物が溶
解、もしくは粗大化してしまい溶接ボンド部、HAZ、特
にHAZ粗粒域において所期の効果が得られないという問
題があつた。
また、溶接学会誌第52巻第2号49頁には、TiNに加えCa
を添加して、微細CaOを形成させ、オーステナイト粒の
微細化をはかるとともに、酸化物の周囲にフェライトを
核生成させ、フェライトを微細化する手段も提案されて
いる。しかしTiNが上述の如く溶接熱サイクル時に溶解
してオーステナイト粒粗大化防止の効力を失う一方、十
分な量の微細酸化物を粗大介在物の生成を誘起せずに鋼
中に存在させることが困難なため、溶接ボンド部が脆化
する問題を完全に解決するにいたっていない。
一方特公昭55-31389号公報には、REM+B添加によりオ
ーステナイト粒内のフェライトの微細化をはかることの
できる入熱100,000ジュール/cm以上の大入熱用非調質鋼
のボンド靭性向上効果が開示されている。しかしこの鋼
の溶接ボンド部の靭性は、入熱100kJ/cm以上では0℃に
おいて25〜80kg・mと比較的良好な値を示す一方、入熱
30,60kJ/cmの場合、0℃においてそれぞれ6および10kg
・mとかなららずしも十分な靭性ではない。
昨今の海洋構造物溶接部の靭性要求値はますますシビア
化していて、−40℃で3.5kg・m程度の靭性値が要求さ
れることを考慮するとREM+B効果では十分な対応がで
きないことは明らかである。
また本発明者らの一部は、溶接用鋼にTiOx(X:0.65〜1.
3)を存在させることにより溶接ボンド、HAZ部の靭性を
著しく改良できることを先に特開昭57-51243号公報にお
いて開示した。
しかしTiOxを含む鋼の大入熱溶接部のボンド部の靭性は
何れも従来鋼のそれにくらべれば良好であるが、母材靭
性にくらべれば不十分なものであった。また検討の対象
をAlキルド鋼としていて、Ti酸化物の有効な成分系を十
分に検討したとはいいがたい。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、このような問題点を解決するためにな
されたもので、溶接熱サイクル時、高温で安定に存在
し、かつγ→a変態時に粒内フェライトの核生成を促進
してフェライトの微細化能を持つ化合物を含有する溶接
用鋼を提供することにある。
本発明者らは鋼中に存在する各種酸化物とフェライト核
生成能との関係を明らかにするため、次の如き実験を行
った。
即ち、0.08C-1.4Mnを主成分とし、残部が鉄および不可
避的不純物からなる溶鋼を作り、酸素濃度を60±30ppm
に調整した後、Ti,Si,Al,La,Ca,Y,Ta,Zrを各々単独に0.
02重量%相当添加して各々の酸化物を形成せしめ、ただ
ちに造塊して計8本の小鋼塊を得た。ついで該鋼塊を12
00℃にて30分加熱後950℃で仕上圧延し、12.5mm厚の鋼
板を得、ついでこの鋼板を入熱70kJ/cmにてビードオン
プレートのサブマージアーク溶接を行って、溶接ボンド
部、ならびにHAZ粗粒域のミクロ組織を詳細に観察した
ところ、Ti酸化物を含有する鋼の場合、溶接ボンドから
HAZ粗粒域にかけて該化合物からの顕著なフェライト核
生成現象が観察された。一方他の酸化物を含む鋼にはこ
の現象は観察されなかった。なお酸化物の同定はX線マ
イクロアナリシス法で行ったが、Ti酸化物とTi窒化物と
の複合体であってもフェライト核生成が顕著であった。
〔発明の構成〕
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものであ
って、その要旨とするところは、 (1)重量%でC:0.18%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.40
〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.020%以下、Ti:0.003〜
0.05%、O:0.001〜0.005%、Al:0.0060%以下、N:0.005
0%以下を基本成分とし、残部はFe及び不可避的不純物
からなり、且つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103
〜1×107ケ/mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒
化物との複合体のいずれか1種あるいは2種を含有する
ことを特徴とする溶接用高靭性鋼、 (2)重量%でC:0.18%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.40
〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.020%以下、Ti:0.003〜
0.05%、O:0.001〜0.005%、Al:0.0060%以下、N:0.005
0%以下を基本成分とし、さらに鋼の強度を調整するた
めにCr:2%以下、Ni:5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.15%
以下、Nb:0.15%以下、B:0.003%以下、Cu:2%以下の1
種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的不純物
からなり、且つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103
〜1×107ケ/mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒
化物との複合体のいずれか1種あるいは2種を含有する
ことを特徴とする溶接用高靭性鋼、 (3)重量%でC:0.18%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.40
〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.020%以下、Ti:0.003〜
0.05%、O:0.001〜0.005%、Al:0.0060%以下、N:0.005
0%以下を基本成分とし、さらにTiよりも酸化力が強
く、介在物の形態制御などのために添加される、希土類
元素、Ca,Mg,Zrの1種又は2種以上を合計で0.0050%以
下含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、且つ
粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103〜1×107ケ/mm
3のTi酸化物あるいはTi酸化物とTi窒化物との複合体の
いずれか1種あるいは2種を含有することを特徴とする
溶接用高靭性鋼、 (4)重量%でC:0.18%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.40
〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.020%以下、Ti:0.003〜
0.05%、O:0.001〜0.005%、Al:0.0060%以下、N:0.005
0%以下を基本成分とし、さらに鋼の強度を調整するた
めにCr:2%以下、Ni:5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.15%
以下、Nb:0.15%以下、B:0.003%以下、Cu:2%以下の1
種又は2種以上を含有し、又はさらにTiよりも酸化力が
強く、介在物の形態制御などのために添加される、希土
類元素、Ca,Mg,Zrの1種又は2種以上を合計で0.0050%
以下含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、且
つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103〜1×107ケ/
mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒化物との複合
体のいずれか1種あるいは2種を含有することを特徴と
する溶接用高靭性鋼にある。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
先ず、本発明鋼における各成分の限定理由は次の通りで
ある。
Cを0.18%以下とした理由は、鋼の溶接性の点からはC
の低いことが望ましいが、所要の強度を確保するため、
0.18%まで許容し、上限を0.18%とした。
Siは強度確保、溶鋼の予備脱酸のために添加されるが、
0.80%を超すと靭性を損うため、上限を0.80%とした。
Mnを0.40〜2.0%としたのは、母材の強度と靭性を与え
るためにはMnは0.40%以上必要であるが、溶接割れ性等
の許容できる範囲で最高2.0%とした。
Pについては、母材靭性を確保する上から低い方が望ま
しく、上限を0.020%とした。
Sについては、母材靭性確保のためにも低いことが望ま
しく、上限を0.020%とした。
Alは予備脱酸、母材の靭性向上のために添加されるが、
0.0060%超の場合、フェライト核生成能に効果あるTi酸
化物が生成し難くなるとともにTiNが独立に生成し易く
なって大入熱溶接時の溶接ボンド部の靭性を劣化させる
ので、Alは0.0060%以下とすべきである。
Nを0.0050%以下とした理由は、溶接ボンド部の靭性を
確保する上から低い方が望ましく、上限を0.0050%とし
たもので、0.0050%超の場合、TiNが独立に生成し易く
なり、これが溶接熱サイクル時に分解して固溶Nが生成
し、靭性を劣化させるので、Nは0.0050%以下とすべき
である。
以上が本発明鋼の基本成分であるが、母材の組織を改善
し、強度・靭性を与える目的でCr,Ni,Mo,V,Nb,B,Cuの1
種又は2種以上含有することができる。
Crは焼入性の増加による母材の強度向上ならびに組織の
微細化に有効であるが、2%を超すとHAZの硬化性を高
め割れ感受性を高めるので上限を2%とした。
Niは、母材の靭性及び強度を向上させるために添加され
るが、5%を超すと、HAZの硬化性を高めるため上限を
5%とした。
Moも焼入性の増加による母材の強度向上、組織の微細化
に有効であるが、0.5%を超すとHAZの硬化性を高めるの
で上限を0.5%とした。
Vは炭、窒化物を形成して母材の強度向上、γ粒微細化
に有効であるが、0.15%を超すとHAZの靭性劣化をひき
おこすので上限を0.15%とした。
NbについてもVと効果は同じであるが、0.15%を超すと
HAZの靭性劣化をひきおこすので上限を0.15%とした。
Bは母材の焼入性の増加による強度を向上させ、HAZ粗
粒域の初析フェライト低減のために添加されるが、0.00
3%を超すと、HAZの割れ感受性を高めるので上限を0.00
3%とした。
Cuは母材の強度を向上するため添加されるが2%を超す
とHAZの割れ感受性を高める傾向があるため、上限を2
%とした。
また本発明においては、粗粒域の外側のHAZの結晶粒粗
大化防止のため、すなわち酸化物、硫化物、もしくは窒
化物、およびこれらの混合微小析出物形成元素としての
役割を果たさせるため、原子番号57-71番のランタノイ
ド系元素およびYの1種以上からなる希土類元素、Ca,M
g,Zrの1種又は2種以上を添加することができる。
希土類元素は酸化物、硫化物、もしくは酸・硫化物を形
成させ、粗粒化域の外側のHAZの結晶粒粗大化防止をは
かるために、また母材中の介在物の方向性の解消のため
に添加される。
Caは硫化物の形状制御のため添加される。
MgはCaと同様に硫化物の形状制御に有効である。
Zrは窒化物を形成してHAZの結晶粒粗大化防止に有効で
ある。
しかしてこれら元素の1種又は2種以上の合計が0.0050
%超となると、フェライト核生成に効果のあるTi酸化物
が生成し難くなるとともにTiNが単独に生成し易くなっ
て大入熱溶接時のボンド靭性を劣化させるので上限を0.
0050%とした。
次に本発明の最大の特徴とするところは、溶接ボンド
部、HAZの粗粒化域においてその冷却時γ→α変態を制
御して粒内フェライトを生成させるため、Ti酸化物もし
くはTi酸化物とTi窒化物との複合体のいずれか1種、あ
るいは2種を含有することである。
而して、本発明者らの知見によれば該粒子径は0.1〜3.0
μの範囲にないと有効な核生成個所となり得ない。0.1
μ未満の径では核生成効果は極めて弱くなる。また3.0
μ超になるフェライト核生成能はあるが、形成されるフ
ェライト径自体が大きくなると共にそれ自身が破壊の発
生個所となり易くなりHAZ靭性が低下する。
さらに、該化合物粒子数が5×103ケ/mm3未満では、大
入熱溶接時に十分なフェライト核生成能が得られないの
で、5×103ケ/mm3以上の該粒子を存在させる必要があ
る。粒子数が増加するに従って、得られるフェライトは
微細化して溶接ボンド部、HAZ粗粒域の靭性が向上する
が1×107ケ/mm3超となると母材の延性が低下する傾向
があるので、粒子数の上限は1×107ケ/mm3でなければ
ならない。
なお、Ti酸化物、もしくはTi酸化物とTi窒化物との複合
体の含有量については特に定めないが、Ti量に換算して
鋼中に0.003〜0.05%存在すれば十分な効果が期待され
る。この場合Ti量が0.003%未満ではフェライトの核生
成を促進させるに足る上記化合物を十分に生成すること
がむずかしい。また0.05%超では清浄度が低下して母材
の靭性を低下させるおそれがあり望ましくない。
上記酸化物は溶鋼中にて既に生成しており、鋼が再び溶
けて酸化物が消失あるいは凝集しない限り、それ以降の
いかなる製造工程を経ても微細フェライト生成能は失わ
れない。
OはTi酸化物を形成させるために不可欠の元素であり、
0.001%未満ではTi酸化物の粒子数が不足し、粒内フェ
ライト生成が不十分となる。また、0.005%を超えると
粗大な酸化物を形成するようになり靭性低下の原因とな
る。
次に本発明の効果を実施例によってさらに具体的に述べ
る。
〔実施例〕
第1表は試作鋼の化学成分であつて、40から80キロ級鋼
まで試作した。ここで第1−1表、第1−2表、第1−
3表および第1−4表は、それぞれ請求項(1)、請求
項(2)、請求項(3)および請求項(4)に関する本
発明例とその比較例の化学成分である。
これらの中、第1表の内1−hを除く鋼、2-a,2-b,2-g,
2-h,2-i,2-j及び2−kは40キロ級鋼、1-h,2-c,2-f,第
1−3表の鋼及び4−dは50キロ級鋼、2-l,4-a,4-b,4-
f及び4−gは60キロ級鋼、2-m,4-h,4-iは70キロ級鋼、
2-d,2-e,4-c,4-e,4-jは80キロ級鋼である。
いずれの試作材も圧延により20および30mmの鋼板とし、
それぞれX開先による両面一層溶接を行った。20mm材に
対しては電流700A、電圧32V、溶接速度30cm/分、入熱量
45kJ/cmの1電極潜弧溶接、30mm材に対しては、電流100
0A(L極),950(T極),電圧36V(L極),40V(T
極),溶接速度44cm/分、入熱100kj/cmの2電極潜弧溶
接を行い、第1図に示す如く鋼材5,5′を溶接して溶接
金属1を形成せしめた後、切欠位置4を溶接ボンド部6
からHAZ側へ1mm入った所としてシャルピー衝撃試験片3
を採取し、試験を行った。
溶接材料は試験結果の統一解析のため、対応する40〜80
キロ級溶接材料によった。
第2−1表、第2−2表、第2−3表および第2−4表
には本発明の特徴であるTi酸化物、Ti窒化物の有無、同
化合物の平均粒径、粒子数を示す。
第3−1表、第3−2表、第3−3表および第3−4表
にはHAZの靭性を示す。同表から明らかなように本発明
はいずれも比較例に比し高いHAZ靭性を有することが明
らかである。
すなわち、40キロ級鋼1-a,1-b,1-c,1-d,1-e,1-f,1-g,1-
i,2-a,2-b,2-g,2-h,2-i,2-j,2-kのうち発明例1-a,1-b,1
-c,1-g,2-a,2-b,2-g,2-h,2-i,2-j,2-kは平均0.15〜1.2
μのTi酸化物、もしくはTi酸化物とTi窒化物との複合体
を含み、粒子数も6.0×103〜6.6×106ケ/mm3であっ
て、入熱100kj/cmの溶接時、−40℃の靭性も平均が8.2
〜11.6kg・mと良好であって最小値も3.5kg・m以上と
安定している。
一方比較例において、1−d鋼はTi酸化物を含有する
が、3μ超のものも同時に存在し、−40℃の靭性が平均
値ではかろうじて3.5kg・m以上であるが、最小値は1.0
kg・mと低値を示した。
1−e鋼はTiを全く含有しないためフェライトの核生成
能が得られず、HAZのフェライトが粗粒となり、靭性は
極めて低かった。
1−f鋼は、Alが多いことと関連してTi酸化物が存在し
ないためフェライトが粗粒となり、−40℃の靭性の平均
値はともかくも最低値で3.5kg・mを下まわるものが出
た。また1−i鋼Nの含有量が0.0070%と高いため、含
Ti酸化物が存在するにもかかわらず、最低値に1.9kg・
mと低いものがあった。
次に50キロ級鋼1-h,2-c,2-f,3-a,3-b,3-c,3-d,3-e,3-f,
3-g,3-k,3-iのうち、本発明例2-c,2-f,3-a,3-b,3-c,3-
d,3-g,3-iは、それぞれ適した粒径、粒子数のTi酸化物
もしくはTi酸化物とTi窒化物の複合体を含み、その結果
フェライトが微細化して靭性も良好である。すなわち平
均粒径は0.12〜0.80μ、粒子数は6.4×104〜8.5×106
/mm3の範囲にありvE-40も最低値も含めすべて3.5kg・
m以上となっている。
一方比較例1−hはCが0.24%と高いためvE-40の最低
値が2.4kg・mと低い値を示した。比較例3−eはRENの
添加量が0.007%と高かったため含Ti酸化物の粒子数が
2.5×102ケ/mm3と十分に存在せずフェライトの細粒化
が不十分でvE-40値が3.5kg・m以下となつた。Alの添加
量が多い(0.026%)4−dは、含Ti酸化物が皆無とな
り、これも十分な靭性が得られなかった。
60キロ級鋼2-l,4-a,4-b,4-f,4-gの内、本発明4-a,4-b,4
-f,4-gはTi酸化物を適量含有し、入熱45kJ/cmのvE-60値
も平均値が10kg・m以上と優れた靭性を示した。2-lはM
oが0.55%と高く脆化が生じ、十分な靭性が得られなか
った。
70キロ級鋼及び80キロ級鋼2-d,2-l,2-m,4-c,4-e,4-h,4-
i,4-jのうち本発明2-d,4-c,4-h,4-iはそれぞれ適した粒
径、粒子数のTi酸化物、もしくはTi酸化物とTi窒化物の
複合体を含み、その結果フェライトが微細化し、靭性も
良好である。
しかしながら比較例2−eおよびMgとZrを過剰添加した
4−eには含Ti窒化物しか存在せず、十分な靭性が得ら
れなかった。
またCr量の高い4−jは十分な靭性が得られていない。
〔発明の効果〕
本発明の鋼は以上のとおり、溶接熱サイクル時、高温で
安定に存在し、かつγ−α変態時に粒内フェライトの核
生成を促進してフェライトの微細化能を持つ化合物を含
有し、溶接熱影響部における切欠靭性に優れ、最近の大
型鋼構造物の材質特性に対する要求値を充分満足するも
のでその工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1図はシヤルピー衝撃試験片の採取位置を示す断面説
明図である。 1:溶接金属、2:HAZ、3:シャルピー衝撃試験片、4:同切
欠位置、5,5′:被溶接鋼材、6:溶接ボンド部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 昭一 神奈川県相模原市淵野辺5−10―1 新日 本製鐵株式会社第2技術研究所内 (72)発明者 向井 俊夫 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式会社第1技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭55−47366(JP,A) 特開 昭59−185760(JP,A) 特開 昭57−51243(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で C 0.18%以下 Si 0.80%以下 Mn 0.40〜2.0% P 0.020%以下 S 0.020%以下 Ti 0.003〜0.05% O 0.001〜0.005% Al 0.0060%以下 N 0.0050%以下 を基本成分とし、残部はFe及び不可避的不純物からな
    り、且つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103〜1×1
    07ケ/mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒化物と
    の複合体のいずれか1種あるいは2種を含有することを
    特徴とする溶接用高靭性鋼。
  2. 【請求項2】重量%で C 0.18%以下 Si 0.80%以下 Mn 0.40〜2.0% P 0.020%以下 S 0.020%以下 Ti 0.003〜0.05% O 0.001〜0.005% Al 0.0060%以下 N 0.0050%以下 を基本成分とし、さらに鋼の強度を調整するために Cr 2%以下 Ni 5%以下 Mo 0.5%以下 V 0.15%以下 Nb 0.15%以下 B 0.003%以下 Cu 2%以下 1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的不純
    物からなり、且つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×10
    3〜1×107ケ/mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi
    窒化物との複合体のいずれか1種あるいは2種を含有す
    ることを特徴とする溶接用高靭性鋼。
  3. 【請求項3】重量%で C 0.18%以下 Si 0.80%以下 Mn 0.40〜2.0% P 0.020%以下 S 0.020%以下 Ti 0.003〜0.05% O 0.001〜0.005% Al 0.0060%以下 N 0.0050%以下 を基本成分とし、さらにTiよりも酸化力が強く、介在物
    の形態制御などのために添加される、希土類元素、Ca,M
    g,Zrの1種又は2種以上を合計で0.0050%以下含有し、
    残部はFe及び不可避的不純物からなり、且つ粒子径が0.
    1〜3.0μ、粒子数が5×103〜1×107ケ/mm3のTi酸化
    物、あるいはTi酸化物とTi窒化物との複合体のいずれか
    1種あるいは2種を含有することを特徴とする溶接用高
    靭性鋼。
  4. 【請求項4】重量%で C 0.18%以下 Si 0.80%以下 Mn 0.40〜2.0% P 0.020%以下 S 0.020%以下 Ti 0.003〜0.05% O 0.001〜0.005% Al 0.0060%以下 N 0.0050%以下 を基本成分とし、さらに鋼の強度を調整するために Cr 2%以下 Ni 5%以下 Mo 0.5%以下 V 0.15%以下 Nb 0.15%以下 B 0.003%以下 Cu 2%以下 1種又は2種以上を含有し、又はさらにTiよりも酸化力
    が強く、介在物の形態制御などのために添加される、希
    土類元素、Ca,Mg,Zrの1種又は2種以上を合計で0.0050
    %以下含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
    且つ粒子径が0.1〜3.0μ、粒子数が5×103〜1×107
    /mm3のTi酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒化物との複
    合体のいずれか1種あるいは2種を含有することを特徴
    とする溶接用高靭性鋼。
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