JPH0448048A - 溶接熱影響部靭性の優れた鋼材及びその製法 - Google Patents

溶接熱影響部靭性の優れた鋼材及びその製法

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JPH0448048A
JPH0448048A JP2157220A JP15722090A JPH0448048A JP H0448048 A JPH0448048 A JP H0448048A JP 2157220 A JP2157220 A JP 2157220A JP 15722090 A JP15722090 A JP 15722090A JP H0448048 A JPH0448048 A JP H0448048A
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JP
Japan
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steel
toughness
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weld heat
less
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JP2157220A
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Inventor
Shuichi Suzuki
秀一 鈴木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野) この発明は、溶接熱影響部靭性の優れた鋼材及びその製
造方法に関するものである。
〈従来技術とその課題〉 近年、鉄鋼材料の製造並びにその施工に関する技術革新
には目を見張るものがあるが、その結果として合金元素
の添加量が少なくても優れた低温靭性を有する鋼板が製
造できるようになったこともあり、海洋構造物、低温用
各種貯蔵容器、氷海船、ラインパイプ等の各種鋼構造物
の性能も著しい向上を遂げてきた。
しかしながら、これらの低温用鋼材にあっても、一般に
低温での素晴らしい靭性を安定して確保できるのは母材
としての部位だけであり、溶接時に熱影響を受けて材質
が変化する母材の一部(“溶接熱影響部”と呼ばれる)
について見れば、その低温靭性は必ずしも安定して良好
なレベルを確保し得るとは言い難い。例えば、板厚の厚
い海洋構造物用鋼板等では強度確保のために炭素当量値
が高くなりがちであるが、このため溶接熱影響部はベイ
ナイト組織に変化しやす(、良好な靭性を確保すること
は難しい。また、近年における溶接施工の合理化指向に
よって溶接パス数の少ない大入熱溶接施工が普及するよ
うになったが、この場合、溶接熱影響部は長時間に亘っ
て高温に保持されると共に非常にゆっくりとした速度で
冷却するため、組織が粗大化して靭性の低下を招くこと
となる。
特に、溶接熱影響部の脆化が一般に顕著となるのは、上
述の如き肉厚鋼板の極端な大入熱溶接の場合と逆に小人
熱溶接の場合とであり、前者は溶接熱による溶接金属近
傍の溶接熱影響部におけるオーステナイト結晶粒の粗大
化が脆化の主因であるのg対して、後者の場合は、溶接
によって硬化した溶接熱影響部が後続の溶接熱によって
変質し、島状マルテンサイト 又はM−A Con5t
ituentと呼ばれる靭性上好ましくない組織を生成
するためであると言われている。
このように、制御圧延や加速冷却法のような製造プロセ
スの改善によって如何に高い母材靭性が得られたとして
も、溶接熱影響部は母材靭性に関係せずに鋼材毎に定ま
った成る低レベルに下がってしまうのが普通であるため
、従来の低温用鋼材は溶接組み立て構造物用として見た
場合には十分に満足できるものではなかった。
そこで、これまでにも溶接熱影響部靭性向上に関する数
多くの鋼材処理法が検討されてきた。
例えば、小人熱溶接を施した場合における溶接熱影響部
の靭性劣化を防止すべく、島状マルテンサイトの生成を
抑制するためにSi量を低く抑えようとの提案が見られ
る(特開昭54−43116号、特開昭54−4311
7号)、これは、Siがセメンタイト中に固溶しないた
めに、Si量が多くなるとセメンタイトの生成が抑制さ
れてマルテンサイト化しやすいとの性質を利用し、低S
i化により逆にマルテンサイト変態を抑制しようとした
ものである。しかしながら、この低Si化は大入熱溶接
の場合には余り効を奏さないものであった。
また、これとは別に、鋼中におけるN、0.P。
S等の有害元素を極力低下させることによって組織素地
の靭性自体を向上させ、これによって溶接熱影響部靭性
の向上を狙った提案も見られる(特開昭52−5461
1号、特開昭52〜54612号、特開昭61−237
14号)。しかし、この方法は同時にマルテンサイト化
防止の観点からも望ましい手段であることが知られてい
て溶接熱影響部靭性改善の効果は認められるものの、靭
性向上の程度はそれほど顕著であるとは言えなかった。
一方、特に大入熱溶接に着目すると、高温域においても
安定な析出物を鋼中に微細に分散させておき、溶接熱影
響部におけるオーステナイト粒の粗大化を抑制しようと
言う考え方が古くからあり、この思想に従った数多くの
INを見ることができる。例えば、特公昭55−261
64号、特公昭56−11742号、特開昭52−73
19号。
特公昭60−10105号、特公昭54−43970号
、特公昭55−31819号、特公昭5531820号
、特公昭5B−52007号、特公昭59−18465
号、特公昭59−39494号或いは特公平1−176
016号等に係る提案は、ZrN、TiN等の安定な窒
化物粒子を鋼中に微細に分散させたり、REM(希土類
元素)等の酸化物、硫化物又は窒化物を鋼中に微細に分
散させることによって溶接熱影響部靭性の改善を狙った
ものである。しかし、分散粒子が窒化物の場合には、溶
接熱影響部の最高到達温度が1350℃を超える部分で
はその殆んどが溶解してしまうために結晶粒の粗大化阻
止効果は十分と言えない、また、REVの酸化物や硫化
物は、余りに安定であるために鋼材の溶接時にスラグと
して抜けてしまうか、或いは残留してもやや粗大な析出
物となるので、溶接時のオーステナイト粒粗大化防止の
効果を十分に引き出すことができなかった。
ところで、上記提案において利用される窒化物は“鋼の
溶融温度に近い高温域乃至は熔融状態にて生成するもの
”であるが、この他に、比較的低温域でのオーステナイ
ト中に析出する窒化物粒子を溶接熱影響部靭性靭性の劣
化抑制のために利用しようとの提案も見られる。例えば
、特公昭592733号、特公昭58−1184号、特
公昭59−45747号、特公昭60−30724号。
特公昭59−3537号或いは特開昭61−27035
4号等では、溶接時のオーステナイト粒粗大化抑制のた
めに“オーステナイトの比較的低温領域で生成するBN
析出物”の活用が図られている。BNは1000〜11
00℃の温度領域でオーステナイト中に微細析出するが
、この析出物はフェライト変態核となってフェライト変
態を促進し、靭性に有害なベイナイト組織の生成を抑制
する作用を発揮する。もっとも、BNは冷却速度の遅い
場合には主にオーステナイト粒界に析出してしまうが、
溶接のように冷却速度の比較的速い場合ではオーステナ
イト粒内にも微細に析出してオーステナイト粒内からの
フェライト生成を促す。
従って、例え溶接熱によりオーステナイト粒径が粗大化
したとしても、γ−α変態時に多数の微細フェライトが
オーステナイト粒内に析出して変態後の組織が細かくな
ると同時に硬化組織の量が少なくなり、溶接熱影響部の
靭性改善に資する訳である。しかしながら、このように
BN粒子の活用は溶接熱影響部靭性改善のために効果が
あるが、B(ボロン)元素には[鋼中に固溶されると鋼
の焼入れ性を上げて硬化組織を生成しやすい」と言う性
質があり、B添加は逆に靭性を劣化させる危険性を孕ん
でいるとも言える。そのため、Bを利用する場合には、
Bの添加量と共にC,N、 Ti、 Aj等の添加元素
についても最適な量を狭い範囲でコントロールする必要
があり、大量生産時にはかなり高度の製造管理が要求さ
れる。
このように、これまでの窒化物を活用した溶接熱影響部
靭性改善技術では一般に窒化物形成元素以外の元素に対
しても細かな管理が必要となるため、実用的にはこのよ
うな厳密な管理を必要としない技術が望まれる。そして
、窒化物活用技術に指摘される上記問題は、窒化物が溶
接時にその一部又は全部が熔解してしまいがちである点
に起因したものであることから、溶接熱によっても溶解
しない“窒化物よりも更に安定な析出物”を鋼中に微細
分散させ得る手段が開発されれば、溶接時におけるオー
ステナイト粒の成長抑制及びT→α変態後の組織微細化
・軟質化のために理想的であると考えられる。
窒化物より溶解しにくい化合物は硫化物か酸化物である
が、REMの酸化物や硫化物に代表される通り、一般に
これらの化合物は熱的に非常に安定なため溶鋼中でスラ
グとして抜けてしまい、例え鋼中に残留したとしても大
型の介在物となってしまう。そのため、所望の効果をこ
れら硫化物・酸化物で達成することは非常に難しい、た
だ、酸化物の中でもTiOはその安定度が比較的低いこ
とから鋼中への微細分散の可能性があり、そのためこの
TiOの活用を口論んだ提案も幾つかなされた(特開昭
59−190313号、特開昭60−245768号、
特開昭61−79745号、特開昭63−210235
号等)。
これらの提案は、何れも溶鋼の脱酸に際しTiを脱酸剤
として使用することによりTi0粒子を鋼中に微細分散
させて溶接熱影響部靭性の劣化抑制を図るものであり、
比較的良好な効果が得られるものではあったが、実際に
はTi01i細分散化に限度があって、十分な効果を引
き出し得るような微細なTiOを狙い通りに生成させる
ことは非常に難かしかった。
このようなことから、本発明が目的としたのは、大入熱
溶接を行った場合でも従来鋼よりも優れた溶接熱影響部
靭性を示すと同時に、母材及び溶接金属部靭性も従来鋼
に劣らず、しかも製造の容易な低温用鋼材を安定して提
供することであった。
く課題を解決するための手段〉 本発明は、上記目的を達成すべく様々な観点から重ねら
れた実験・研究の結果等を基に完成されたものであり、 [低温用として好適な鋼材を、 C: 0.03〜0.20%(以降、成分割合を表わす
%は重量割合とする)。
Si : 0.05〜0.60%、   Mn : 0
.40〜2.00%。
Nb : 0.003〜0.050%、  Ti : 
0.003〜0.050%。
N : 0.0040〜0.0080%、 O:o、o
oos〜0.0060%を含有するか、或いは更に Cu : 0.5N以下、   Ni : 1.0%以
下。
Cr : 0.5N以下、   Mo : 0.5N以
下。
V:0.10%以下、   Ca : 0.0050%
以下の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不
純物である化学組成を有し、かつ母地中にo、ooi〜
o、ioo重量%の割合で粒径:0.5悶以下の(Ti
、Nb)(0,N)複合結晶相を有した酸化物系介在物
が分散して成る構成としたことによって、十分な母材及
び溶接金属部靭性は勿論のこと、優れた溶接熱影響部靭
性も確保した点」 に特徴を有し、更には 「予備脱酸にて溶存酸素量が20〜aoppmに調整さ
れ、かつ溶存窒素量が40〜80ppmに調整されたN
b添加溶鋼を、鋳込み直前にTi脱酸して連続鋳造する
ことにより、前記母材靭性、溶接金属部靭性並びに溶接
熱影響部靭性が共に優れた鋼材を工業的に安定して量産
し得るようにした点」をも特徴とするものである。
上述のように、本発明は、Af、Si等による予備脱酸
等で溶鋼中の溶存酸素量と窒素量を所定の範囲にコント
ロールすると共に微量のNbを併用して溶鋼調整を実施
しておき、連続鋳造の鋳込み直前にタンデイツシュ中等
でTiを添加し脱酸してから鋳込みを行うことによって
、Ti酸化物を主成分とした所定粒径の微細介在物が多
数の密度で母地中に分散したところの、優れた母材靭性
、溶接金属部靭性並びに溶接熱影響部靭性を有する特定
化学組成の鋼材を安定して提供し得るようにしたことを
特徴としているが、以下、本発明鋼材における溶接金属
部靭性向上の機構について説明する。
く作用) 鋼材の溶接に際し、溶接金属近傍の溶接熱影響部(HA
Z)は溶接熱によって綱の融点直下まで加熱されるため
一般の鋼ではオーステナイト粒が極端に粗大化してしま
う、また一方で、この部分においてはその後の冷却速度
が非常に速いと言う事情がある。このように、溶接熱影
響部ではオーステナイト粒が大きいために焼入れ性が上
昇すると同時に冷却速度も速いことから、この部分では
マルテンサイト変態或いはベイナイト変態が支配するこ
ととなり、一般には硬く粗い組織が生成して靭性が低下
する訳である。
しかしながら、本発明に係る鋼材では、母地中に溶接熱
によっても溶解消失しない(Ti、 Nb)系複合酸窒
化物の特定粒径に規制された微細粒が所定の高い密度で
分散されているので、これらの酸窒化物が次の2つの作
用を通して溶接熱影響部組織を変化させる。
(イ)微細酸窒化物がオーステナイト粒の成長を抑制し
てその粗大化を防止し、ベイナイト変態マルテンサイト
変態が容易に起きるのを妨げることで溶接熱影響部組織
を若干なりとも微細化、軟化させる。
(υ)T−α変態時に、分散した酸窒化物が核となって
フェライト生成を促進し、溶接熱影響部の組織を“フェ
ライトサイドプレートを主体にしたウィドマンステンテ
ン状”或いは“フェライト・パーライトを主体とした状
態“に変化させる。
このため、大入熱溶接を施したとしても溶接熱影響部組
織の靭性劣化は非常に小さく、良好な溶接熱影響部靭性
を保つこととなる。
一方、本発明に係る鋼材では、これを構成する各化学成
分の含有量割合も相互にバランス良く規制されているた
め、母材及び溶接金属部靭性も従来綱に劣らない優れた
値を示すこととなる。
なお、前記(イ)項に示した作用のためには、−般には
析出物の径が0.02μm以下であればその効果が大き
いと一般に言われている。しかし、析出物が酸化物の場
合には、このように小さいものは言うに及ばず、粒径:
0.5pm以下の析出物ですら鋼中に残存させることは
難しい。そこで、本発明ではTi、 OによるTi酸化
物(Tie)生成に際して、Nb。
Nを同時に所定量添加しておき、生成する結晶相をTi
−Nb−0−N複合相とさせた。この場合、これら複合
相はTiOより生成しにくいと同時に成長速度も遅く、
結果としてTiO単独析出の場合に比べてより微細に分
散析出するようになり、しかも平均粒径が0.5印以下
であっても前記(イ)項に示した作用を活用できること
が分かり、本発明の完成に結び付いた。
また、析出する(Ti、 Nb)系複合酸窒化物は径が
0.05〜0.5 usOものが最も高いフェライト核
生成能を有しており、前記(U)項に示した作用のため
には鋼母地中に分散する(Ti、 Nb)系複合酸窒化
物の平均粒径を0.5p以下にする必要のあることが本
発明者の研究で明らかとなった。その上、酸化物径が3
Mを超えた場合に顕著となる母材靭性への悪影響は、平
均粒径:0.5rua以下の(Ti、 Nb)系複合酸
窒化物析出物の場合では全く見られない。
続いて、本発明に係わる鋼材の組成や製造条件を各々前
記の如くに限定した理由について詳述する。
(A)  鋼材の化学成分割合 (a)  C Cは鋼材の強度確保に必要な成分であるが、その含有量
が0.03%を下回ると溶接熱影響部の軟化を招くと共
に、溶接金属を希釈してその焼入れ性を低下させ、アシ
キュラーフェライトの形成を阻んで溶接金属の靭性を劣
化させる。一方、0.20%を超えてCを含有させると
溶接熱影響部組織の硬化を促して溶接性を悪化させ、溶
接割れを起こしやすくなる。従って、C含有量は0.0
3〜0.20%と限定した。
(b)  5i Siは、!1iil溶製時の脱酸剤としての作用のほか
、鋼材に所望強度を確保するために添加される成分であ
るが、その含有量が0.05N未満では前記作用による
所望の効果かえられず、一方、0.60%を超えて含有
させると溶接性の劣化を招くようになることから、Si
含有量は0.05〜0.60%と定めた。
(C)  Mn Mnは、鋼材の強度向上作用のほか、圧延を通じての鋼
の靭性を確保する上で必要な成分であるが、その含有量
が0.40%未満では前記作用による所望の効果が得ら
れず、一方、2.00%を超えて含有させると溶接熱影
響部の硬化を招いて溶接性を劣化させることから、Mn
含有量は0.40〜2.00%と定メた。
(C)  Tit Nbl O,及びNTi、 Nb、
 0及びNは、本発明に係る鋼材の溶接熱影響部組織を
特徴づける重要な成分である。即ち、溶鋼にTiを添加
する場合、溶鋼中の溶存酸素量が比較的多い状態でTi
添加を行うとTi酸化物が形成されはするが、このとき
形成されるTi酸化物は一般に粗大であって数も少なく
、そのため本発明が目的とする溶接熱影響部靭性の著し
い改善効果を期待することができない。本発明が目的と
する上記効果を十分に発揮する“微小な(Ti、 Nb
)系複合酸窒化物が高密度で鋼中に分散生成した組織”
を形成させるためには、溶鋼中の溶存酸素量と同時に溶
存窒素量をも所定の範囲内で高めに調整し、かつ微量N
bを併用して添加調整した状態の溶鋼を、鋳込み直前に
Ti脱酸して連続鋳造する必要がある。
そして、このような平文てを講じることにより初めて、
生成する酸化物が(Ti、Nb) (0、N)系の複合
結晶相となり、鋼中に極めて微細な形でかつ高密度で分
散することとなる。
その目的のためには、Ti、 Nbとしては共に少なく
とも0.003%の含有量を確保する必要があり、Ti
、 Nbの含有量がこれよりも少ないと所望の微細な(
Ti、 Nb)系複合酸窒化物を確保することができな
い。一方、何れも0.050%を超えて含有させると過
剰な酸窒化物の生成やその粗大化が懸念されるほか、母
材及び溶接金属の靭性劣化を招く。従って、Ti及びN
bの含有量はそれぞれ0.003〜0.050%と定め
たが、Ti含有量については0.03%以下に調整する
のが望ましい。
また、0及びNについても、それぞれの含有量が0.0
005N、 0.0040%を下回った場合には所望の
微細な(Ti、 Nb)系複合Ti系酸窒化物を確保で
きず、一方、0及びNの含有量がそれぞれ0.0060
%及び0.0080%を超えた場合には、やはり過剰な
酸窒化物の生成やその粗大化、母材及び溶接金属の靭性
劣化を招くことから、O含有量については0.0005
〜0.0060%と、N含有量については0.0040
〜0.0080%と限定した。
上述のように、所定量のTi、 Oは本発明鋼材の基礎
を成すTi酸化物を網中に生成させるために不可欠な成
分であり、一方、所定量のNb、 NはこのTi酸化物
を(Ti、Nb) (0、N)複合結晶相に変えること
によって確保される微細分散作用のためになくてはなら
ない成分である。そして、上記(Ti、 Nb)(0,
N)複合結晶相を有した酸化物系介在物が、鋼のオース
テナイトからの冷却過程でオーステナイトの粒界とは独
立して粒内からフェライトの生成を促進すると共に、溶
接熱影響部組織が粗大ベイナイトのみとなるのを防止し
て溶接熱影響部の靭性向上に資することは既に述べた通
りである。
なお、これら(Ti、 Nb)系複合酸窒化物の平均粒
径が0.54を超えた場合には、オーステナイト粒の成
長抑制作用やフェライト生成作用が十分発揮されずに所
望の溶接熱影響部靭性改善効果を安定して確保できない
ことは前述した通りであるが、この(Ti、 Nb)系
複合酸窒化物の数量密度については、それなりに高くな
いと生成するフェライト核の数が少なくて溶接熱影響部
靭性の向上効果を確保できない。従って、約5 Xl0
Q/u+’以上の数量密度が必要である。そして、(T
i、 Nb)系複合酸窒化物粒子数が増加するに従って
得られるフェライトは微細化し、溶接熱影響部靭性が向
上するが、余りに多くなり過ぎて10’ケ/龍3を超え
た場合には母材の靭性及び延性が低下する傾向を見せる
。このような(Ti、 Nb)系複合酸窒化物の数量密
度は、粒子径:0.5M以下として母地中の含有割合に
換算すると約0.001〜0.100重量%に相当する
(d)  以上が本発明に係る鋼材の基本成分であるが
、母材に係る強度・靭性等の特性を変えて種々の構造物
の要望に見合った鋼材を提供するため、鋼材成分として
Cu、 Ni、 Cr、 Mo、  V及びCaのうち
の1種又は2種以上を選択的に添加することもできる。
Cu及びNi Cu、 Niは、溶接熱影響部の低温靭性に悪影響を及
ぼすことなく鋼材の強度と靭性を同時に高める作用を有
しているので必要に応じて添加されるが、この場合、C
u含有量が0.5Nを、またNi含有量が1.0%をそ
れぞれ超えると鋳造・圧延したスラブ表面に割れが発生
しやすくなり、また製造コストも上昇することから、C
u含有量は0.5N以下、Ni含有量は1.0%以下と
それぞれ定めた。
肪及グ傾 Cr、 Moは、焼入れ性改善作用を通じて母材の強度
上昇に有効であると同時に、高温での強度低下を抑える
効果を有しているので必要に応じて添加されるが、各々
0.5Nを超えて含有させると溶接熱影響部の硬化を招
いて靭性を劣化させたり、溶接低温割れを起こしやすく
なることから、それぞれの含有量を何れも0.5N以下
と定めた。
■ ■は、鋼材圧延時にオーステナイト中で炭窒化物を形成
して制御圧延の効果を促進し、母材の強度・靭性を向上
させる作用を有しているので必要に応じて添加されるが
、0.10%を超えて含有させると溶接熱影響部靭性を
劣化することから、■含有量は0.10%以下と定めた
Ca CaはMnS介在物の形状をコントロールするために添
加しても良いが、0.0050%を超えて含有させると
前記Ti系酸窒化物を還元して本発明の効果を損なうよ
うになることから、Ca含有量は0.0050%以下と
定めた。
(B)  製造条件 本発明鋼材では、溶接熱影響部の粗粒化域において冷却
時のγ−α変態を制御し、粒内から多数のフェライトを
生成させて良好な溶接熱影響部靭性を確保するために、
(Ti、 Nb)系複合酸窒化物を微細分散させておい
たことが大きな特徴となっているが、特定粒径の上記(
Ti、 Nb)系複合酸窒化物を所定の密度で母地中に
分散させるためには格別な処理が必要となる。即ち、適
正な(Ti、 Nb)系複合酸窒化物を生成させるため
には、溶鋼中の溶存窒素量を40〜80ppm!二また
溶鋼中の溶存酸素量をAf、Si等による予備脱酸にて
20〜80ppm+にそれぞれ調整すると共に、適量の
Nbを添加しておき、このように調整された溶鋼を鋳込
み直前にTi脱酸し、連続鋳造する処理である。この場
合、溶存酸素は最終製品になるまでに一部介在物として
抜けてしまい、最終的にはO含有量が0.0005〜0
.0060%の適正範囲となる。
そして、このような連続鋳造工程にて凝固した鋳片では
、母地中に粒径:0.5aa以下の主に(Ti、Nb)
(0,N)複合結晶相を有した酸化物系介在物が多数微
細分散した組織が安定して得られ、優れた溶接熱影響部
靭性を有した鋼材となるが、Tiを添加して最終脱酸す
る前の溶鋼中るおける溶存酸素量や溶存窒素量が上記範
囲から外れていると、微細分散(Ti、 Nb)系複合
酸窒化物を所望通りに形成することができず、狙いとす
る溶接熱影響部靭性の優れた鋼材の安定製造が叶わない
ところで、上記処理において、Ti脱酸の前後を通じ雰
囲気からの酸化が起きないように鋼浴面をArガス等の
不活性ガスによって被覆することは好ましいことである
。また、Ti脱酸の時期が早かったり、鋼浴の温度が高
過ぎたりするとTi酸化物が粗大化してしまうので、T
i脱酸はなるべく遅くして連続鋳造間近に実施するよう
にした方が良い。
更に、(Ti、 Nb)系複合酸窒化物の微細分散を効
率良く行うため、Ti脱酸を2回に分けて実施しても良
い。
なお、連続鋳造法の代わりにインゴット法で鋳込みを行
った場合には、鋳込み直前にTi脱酸したとしても凝固
までの冷却速度が遅いことがら酸化物は粗大化してしま
い、所望の効果を得ることはできない。
そして、連続鋳造後は、鋳片を圧延したままでも、制御
冷却、焼入れ・焼戻し、焼きならし等の何れの処理を施
した場合であっても、その処理種別に係わりなく前述の
優れた性能を有する鋼材が得られる。
次に、本発明の効果を実施例によって更に具体的に説明
する。
〈実施例〉 まず、Nbを始めとした所要成分を含むと共に、予備脱
酸されて溶存酸素量が20〜80ppm、溶存窒素量が
40〜80ppmの範囲内に調整された溶鋼を、タンデ
イツシュ内で鋳込み直前にTi脱酸して連続鋳造し、そ
の後に圧延等の処理を施して鋼板(板厚25mm)を製
造した。
次に、上記各鋼板から試験片を切り出してその(母材の
)機械的性質を測定すると共に、これに溶接熱影響部を
想定した“第1図の如き熱サイクルを付与する再現熱処
理”を施した後の試験片についてもシャルピー試験を実
施した。
なお、再現熱処理は、同種試験片につき“相当溶接入熱
”と“800−500℃区間の冷却時間”を下記第3表
に示した3種とし、それぞれについてシャルピー試験を
行った。
第   3   表 なるなど、 産業上極めて有用な効果がもたらされ る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、溶接熱影響部を想定した再現熱処理での熱サ
イクルを示すグラフである。 これらの試験結果を第2表に示した。 第2表に示される結果からも明らかなように、本発明に
よると比較材に比して母材靭性、溶接熱影響部靭性の何
れにおいても十分に満足できるところの、性能的に極め
てバランスのとれた低温用鋼が安定して得られることが
分かる。 く効果の総括〉

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)重量割合にて C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜0.60
    %、Mn:0.40〜2.00%、Nb:0.003〜
    0.050%、Ti:0.003〜0.050%、N:
    0.0040〜0.0080%、O:0.0005〜0
    .0060% を含むと共に残部がFe及び不可避不純物である化学組
    成を有し、かつ母地中に0.001〜0.100重量%
    の割合で粒径:0.5μm以下の(Ti、Nb)(O、
    N)複合結晶相を有した酸化物系介在物が分散して成る
    ことを特徴とする、溶接熱影響部靭性の優れた鋼材。
  2. (2)重量割合にて C:0.03〜0.20%、Si:0.05〜0.60
    %。 Mn:0.40〜2.00%、Nb:0.003〜0.
    050%、Ti:0.003〜0.050%、N:0.
    0040〜0.0080%、O:0.0005〜0.0
    060% を含有し、かつ Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.
    5N以下、Mo:0.5%以下、V:0.10%以下、
    Ca:0.0050%以下の1種以上をも含むと共に残
    部がFe及び不可避不純物である化学組成を有し、かつ
    母地中に0.001〜0.100重量%の割合で粒径:
    0.5μm以下の(Ti、Nb)(O、N)複合結晶相
    を有した酸化物系介在物が分散して成ることを特徴とす
    る、溶接熱影響部靭性の優れた鋼材。
  3. (3)予備脱酸にて溶存酸素量が20〜80ppmに調
    整され、かつ溶存窒素量が40〜80ppmに調整され
    たNb添加溶鋼を、鋳込み直前にTi脱酸して連続鋳造
    することを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶接熱
    影響部靭性の優れた鋼材の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0984072A1 (en) * 1998-09-02 2000-03-08 Japan as represented by Director General of National Research Institute for Metals Oxide dispersion steel

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JPS63210235A (ja) * 1987-02-27 1988-08-31 Nippon Steel Corp 溶接熱影響部の低温靭性が優れた鋼の製造法
JPH02194115A (ja) * 1989-01-23 1990-07-31 Nippon Steel Corp チタン酸化物を含有する溶接部靭性の優れた低温用高張力鋼の製造法

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