JP2008280573A - 大入熱溶接における溶接熱影響部の靭性に優れた鋼板 - Google Patents

大入熱溶接における溶接熱影響部の靭性に優れた鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】S含有量が約0.005%以下に低減された低S化鋼板について、溶接入熱量が例えば60kJ/mm以上となる超大入熱溶接を行った場合のみならず、溶接入熱量が例えば15kJ/mm以上となる比較的大きな入熱量で溶接を行った場合でも優れたHAZ靭性を発揮できる鋼板を提供する。
【解決手段】C、Mn、P、S、Al、Ti、N、Ca、Oを夫々含有し、また必要によりSiを含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板について、該鋼板に含まれる固溶N量を0.0010〜0.0060%とすればよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、船舶、建築、海洋構造物等の溶接構造物に適用される鋼板に関するものであり、殊に、溶接入熱量が約15kJ/mm程度以上の大入熱溶接したときにおける鋼板の靭性を向上させる鋼材に関するものである。
船舶、建築、海洋構造物等の各分野における構造物は、鋼材を溶接によって接合して構築されるのが一般的であるが、こうした構造物に使用される鋼材には、安全性確保の観点から、鋼材自体の強度はもちろん溶接部の靭性も良好であることが要求される。
また、近年では、溶接構造物の大型化に伴い、構造物の施工効率の向上と施工コストの低減の観点から、溶接施工効率の向上が求められ、溶接入熱の増大が指向されている。特に、溶接入熱が60kJ/mm以上となるような超大入熱溶接が実施される傾向がある。
上記のような超大入熱溶接を実施するに当たっては、溶接母材(被溶接材としての鋼板)の熱影響を受ける部位(以下、「溶接熱影響部」または「HAZ」と呼ぶことがある)における靭性が問題となる。このHAZは、溶接金属と母材との界面(ボンド部)よりも母材側数mmの位置であり、溶接時に母材が溶融点直下の高温に晒され、金属組織におけるオーステナイト粒が粗大になり易く、しかも溶接入熱の増大によって冷却速度も遅くなるので、粗大組織が形成されやすい。こうしたことが原因して、HAZ靭性が低下しやすいという問題があった。
HAZ靭性を改善する技術として、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば、非特許文献1には、鋼板中にTiNを微細に分散させることで溶接ボンド部の靭性が向上することが記載されており、この非特許文献1では、この靭性改善機構について検討されている。そしてこの非特許文献1には、靭性改善効果は、鋼板中の固溶Nの減少に起因して得られるのではなく、HAZ組織を上部ベイナイト組織から微細なフェライト+パーライト組織に変化させることによる効果が大きいことが明らかにされている。
また非特許文献2には、固溶Nが多過ぎるとHAZ靭性が劣化することが記載されており、HAZ靭性を改善するには鋼板中のN含有量を低N化(具体的には、Nの含有量を0.0015%程度に極低化)すればよいことが記載されている。
また特許文献1には、超大入熱溶接におけるHAZ靭性を改善するために、靭性に悪影響を及ぼす固溶N量を0ppm付近まで徹底的に低減すると共に、溶融点近傍の高温域でも粒径微細化効果を有する酸化物を活用すればよいことが記載されている。具体的には、固溶N量を徹底的に低減するという観点から、Tiと十分な量のAlを含有させ、更に微細酸化物としてCa酸化物を活用することによって、超大入熱溶接におけるHAZ靭性を向上させることが記載されている。ちなみにこの特許文献1では、HAZ靭性を0℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーを測定することによって評価している。
特開2001−107177号公報 溶接学会論文集、第2巻,第1号,P.33−39,(1984年発行) 溶接学会論文集、第3巻,第4号,P.758−766,(1985年発行)
上述したように、非特許文献1や2では、鋼板中にTiNを分散させたり、固溶N量を低減させることによりHAZ靭性を向上させることについて検討されている。しかし非特許文献1や2の技術が開示された時代(1984年〜1985年)は、製鋼段階での脱S能力が極めて低かったため、非特許文献1や2に開示されている鋼板に含まれるS含有量は多く(具体的には、0.0060%以上)なっていた。
これに対し、上記特許文献1の技術が開示されたのは2001年であり、製鋼段階での脱S能力は上記非特許文献1や2が開示された時代と比べると向上している。そのためこの特許文献1には、S含有量を0.002〜0.006%に抑えた鋼板について超大入熱溶接熱影響部の靭性を改善する技術が提案されている。しかしこの特許文献1に開示された技術においても、HAZ靭性を改善するために、固溶N量を0ppm付近まで低減しており、非特許文献1や2の時代であっても、現代に近い特許文献1の時代であってもHAZ靭性を改善するためには固溶N量を低減することが望まれていた。
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、S含有量が約0.005%以下に低減された低S化鋼板について、溶接入熱量が例えば60kJ/mm以上となる超大入熱溶接を行った場合のみならず、溶接入熱量が例えば15kJ/mm以上となる比較的大きな入熱量で溶接を行った場合でも優れたHAZ靭性を発揮できる鋼板を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低温でも良好なHAZ靭性を示す鋼板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る鋼板とは、C:0.03〜0.15%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.50%以下(0%を含む)、Mn:1〜2.0%、P:0.020%以下(0%を含まない)、S:0.005%以下(0%を含まない)、Al:0.005〜0.06%、Ti:0.005〜0.030%、N:0.005〜0.015%、Ca:0.001〜0.0035%およびO:0.0015%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板であり、該鋼板に含まれる固溶N量が0.0010〜0.0060%である点に要旨を有する。
前記鋼板に含まれる化学成分の含有量は、下記(1)式および/または下記(2)式で規定される関係を満足することが好ましい。但し、[ ]は、各元素の含有量(%)を示す。
1.00≦[Ti]/[N]≦2.5 …(1)
2.00≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(2)
本発明の鋼板は、更に、他の元素として、
(a)B:0.0035%以下(0%を含まない)、
(b)Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素、
(c)Mo:0.5%以下(0%を含まない)、
(d)Nb:0.035%以下(0%を含まない)および/またはV:0.1%以下(0%を含まない)、
(e)Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
(f)Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)、
(g)Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)、
(h)REM:0.01%以下(0%を含まない)、
等を含有することができる。
本発明では、S含有量が約0.005%以下の低S化鋼板の化学成分組成を適切に制御すると共に、S量を約0.006%以上含む従来の鋼板のみならず、今日の低S化鋼板においても長らくHAZ靭性に悪影響を及ぼすと考えられていた固溶Nを低S化鋼板中に積極的に含有(或いは、残存)させることで、大入熱溶接したときのHAZ靭性を改善できる。特に本発明の低S化鋼板は、溶接入熱量が例えば60kJ/mm以上となる超大入熱溶接を行った場合でも優れたHAZ靭性を示すため、各種建築構造物等の素材として極めて有用である。また、本発明によれば、−55℃レベルの低温でも良好なHAZ靭性を示す鋼板を提供できる。
本発明者らは、S量が約0.005%以下に低減された低S化鋼板について、溶接入熱量が約15kJ/mm以上の大入熱溶接を行ったときのHAZ靭性の劣化に及ぼす要因について様々な角度から研究を重ねた。その結果、溶接時に高温に加熱された領域においてオーステナイトが粗大化するのを抑制すると共に、溶接後の冷却時に生成するフェライトの粗大化を防止すれば、低S化した鋼板についてもHAZ靭性を向上させることができるとの知見を得た。
そこで本発明者らは、フェライト粒の粗大化を抑制する観点から更に検討を重ねた。その結果、溶接後の冷却時に、オーステナイトからフェライトへの変態が高温で起こると、冷却が完了するまでの間に粒成長を起こし易いため、フェライト変態の開始温度ができるだけ低くなるように鋼板の化学成分組成を設計すればよいこと、また固溶Nを0.0010〜0.0060%の範囲で含有させれば、フェライト変態の開始温度を低くすることができ、溶接後の冷却時にフェライトの粗大化を防止できるため、HAZ靭性を向上させることができることを見出した。
フェライト変態の開始温度を低くするためには、オーステナイトを安定化しやすいオーステナイト安定化元素をできるだけ多量に固溶させればよいと考えられる。このオーステナイト安定化元素としては、CやNi、Mnなどが知られている。しかしこれらの元素は、いずれも炭素当量を著しく高めるため、溶接時に低温割れなどを発生させ易くする元素であり、溶接性を悪化させる。この炭素当量は、溶接脆化を考慮して鋼板に含有する合金元素量から算出される値であり、下記式で算出される。炭素当量(PCM)の値が大きくなるほど、溶接割れが発生し易くなる。なお、式中、[ ]は、各元素の含有量(%)を示している。
PCM(%)=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]
そこで本発明者らは、炭素当量を高めて溶接性を悪化させることなく、フェライト変態の開始を遅延させて変態開始温度を低温側へシフトさせるべく検討を重ねた。その結果、固溶Nは、炭素当量には殆んど影響を及ぼさないため、溶接性は良好なまま維持できることを明らかにした。しかも−55℃レベルでの低温でも良好なHAZ靭性を達成できることも明らかになった。
即ち、製鋼過程における脱S能力が低かった時代では、鋼板中に多くの硫化物系介在物が生成していたため、オーステナイトが粗大化し難く、かつフェライト変態核としても作用するため、このような鋼板に更に固溶Nを多く含有させると、固溶Nによる悪影響ばかりが目立ち、HAZ靭性が劣化していた。しかし現在のように、製鋼過程での脱S能力が向上し、鋼板が低S化されると、鋼板中に存在する硫化物系介在物量が低減するため、このような鋼板に固溶Nを含有させてもHAZ靭性の低下という不具合は発生せず、むしろ固溶Nを積極的に含有させることによって炭素当量を高めることなく、フェライト変態の開始を遅延させることができるのである。
但し、固溶N量が0.0010%未満では、フェライト変態の開始を遅延させる効果が得られないため、固溶N量は0.0010%以上とする。固溶N量は、好ましくは0.0013%以上、より好ましくは0.0015%以上、更に好ましくは0.0018%以上とするのがよい。しかし固溶N量が0.0060%を超えて過剰になると、固溶Nが鋼中の転位に固着するため、HAZ靭性を却って劣化させる。従って固溶N量は0.0060%以下とし、好ましくは0.0055%以下、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.004%以下とする。
以上の通り、本発明の鋼板は、従来ではできるだけ低減することが望まれていた固溶Nを逆に積極的に含有させることで、溶接後の冷却時におけるフェライト変態の開始温度を下げることができ、HAZ部におけるフェライト粒成長が抑制されることによって、HAZ靭性を改善できるものであり、該鋼板の化学成分組成についても適切に調整する必要がある。鋼板の化学成分組成については後述する。
ところで、本発明の鋼板は、溶接後の冷却時に生成するフェライト粒ができるだけ微細であることが望ましいが、フェライト粒を微細化するために、溶接時の熱影響を受けてオーステナイトが粗大化しないようにピン止めすると共に、溶接後の冷却時にオーステナイトからフェライトに変態するときの変態核となる介在物が鋼板中に微細分散していることが好ましい。こうしたピン止め効果を発揮すると共に、フェライト変態核となる介在物としては、例えば、CaSやTiNがあり、これらを核として生成するMnSも同様な効果を発揮する。これらの介在物を微細分散させるには、後述するように鋼板の化学成分組成を適切に調整したうえで、TiとNの含有量が下記(1)式を満足するか、Ca、S、Oの含有量が下記(2)式を満足することが好ましい。もちろん下記(1)式と下記(2)式を同時に満足していることが特に好ましい。
下記(1)式は、TiとNの含有量のバランスを示している。TiNを微細に分散し、フェライトの生成核を多数存在させるには、TiとNの含有量が下記(1)式を満足するように成分調整することが好ましい。但し、(1)式中、[Ti]と[N]は、夫々TiおよびNの含有量(質量%)を示す。
1.00≦[Ti]/[N]≦2.5 ・・・(1)
[Ti]/[N]の値(以下、「P値」と呼ぶことがある)が、1.00未満では、TiNの生成量が少なくなり、HAZ靭性改善効果が充分に発揮されない。従ってP値は1.00以上とすることが好ましく、より好ましくは1.30以上、更に好ましくは1.50以上、特に好ましくは1.60以上とする。しかしP値が2.5を超えると、TiNが粗大化し、HAZ靭性が却って悪くなる傾向がある。従ってP値は2.5以下とすることが好ましく、より好ましくは2.30以下、更に好ましくは2.20以下、特に好ましくは2.10以下とする。
下記(2)式は、CaとSとOの含有量のバランスを示している。鋼板の製造過程で、溶鋼を凝固させる段階においてCaOが生成した後、CaSを微細分散させるには、CaとSとOの含有量が下記(2)式を満足するように成分調整することが好ましい。夫々の成分に対する係数は、各元素がCaSの微細化に寄与する度合いを表しており、本発明者らが繰り返し行なった実験によって求めたものである。即ち、本発明で規定する化学成分の範囲のもとでは、O、SおよびCaの順でCaSを高密度に分散させる傾向が強いことを示している。但し、(2)式中、[Ca]、[S]および[O]は、夫々Ca、SおよびOの含有量(質量%)を示す。
2.00≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 ・・・(2)
1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])の値(以下、「Q値」とよぶことがある)が、2.00未満では、CaSの生成量が少なくなり、HAZ靭性改善効果が充分に発揮されない。従ってQ値は2.00以上とすることが好ましく、より好ましくは3.00以上、更に好ましくは4.00以上とする。しかしQ値が10.0を超えると、CaSが粗大化し、HAZ靭性が却って悪くなる傾向がある。従ってQ値は10.0以下とすることが好ましく、より好ましくは9.00以下、更に好ましくは8.00以下、特に好ましくは7.00以下とする。
本発明の鋼板では、その特性を発揮させるために、その化学成分組成も適切な範囲に制御することも重要な要件である。上記固溶N量や上記(1)〜(2)式に関与する元素(Ti,N,Ca,SおよびO)も含め、その範囲を限定した理由は、次の通りである。
[C:0.03〜0.15%]
Cは、鋼板(溶接母材)の強度を確保するために必要な元素であり、所望の強度を確保するためには0.03%以上含有させる必要がある。C含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.055%以上である。しかしながら、Cを過剰に含有させると、HAZ靭性が却って低下することになる。こうしたことから、その上限は0.15%とする必要がある。C含有量は、好ましくは0.13%以下、より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.080%以下、特に好ましくは0.075%以下である。
[Si:0.50%以下(0%を含む)]
Siは、鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、必要により含有させる。しかしながら、過剰に含有させると鋼材(母材)に島状マルテンサイト相(M―A相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.50%とした。Si含有量の好ましい上限は0.40%、より好ましい上限は0.30%である。なお、Siを積極的に含有させるときの好ましい下限は0.1%である。Siは0%であってもよい。
[Mn:1〜2.0%]
Mnは、焼入れ性を向上させて鋼板の強度を確保する上で有効な元素であり、こうした効果を発揮させるためには、1%以上含有させる必要がある。Mn含有量の好ましい下限は1.3%である。しかしながらMnを過剰に含有させると、鋼板のHAZ靭性が劣化するので上限は2.0%とする。Mn含有量の好ましい上限は1.8%、より好ましい上限は1.7%である。
[P:0.020%以下(0%を含まない)]
Pは、不可避的に混入してくる不純物であり、鋼板の靭性およびHAZ靭性に悪影響を及ぼすのでできるだけ少ない方が好ましい。こうした観点から、Pは0.020%以下に抑制する。P含有量は、好ましくは0.017%以下、より好ましくは0.015%以下、更に好ましくは0.010%以下、特に好ましくは0.0075%以下である。
[S:0.005%以下(0%を含まない)]
Sは、鋳造時に溶鋼が凝固するときにCaSを形成し、溶接後にCaSを生成核としてMnSを形成させて、HAZ部にフェライトを形成させるのに有効に作用する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Sを0.0003%以上含有させることが好ましく、その含有量が増加するにつれてその効果は増大する。しかし0.005%よりも過剰に含有させると、母材の靭性およびHAZ靭性が劣化する。従ってS含有量は0.005%以下とする。S含有量は、好ましくは0.0030%以下、より好ましくは0.0020%以下、更に好ましくは0.0010%以下、最も好ましくは0.0007%以下である。Sを所定範囲に低減するには、脱硫時間を比較的長く(例えば、25分以上)すればよい。
[Al:0.005〜0.06%]
Alは、脱酸剤として有効に作用する元素であると共に、鋼板のミクロ組織を微細化して母材靭性を向上させる効果も発揮する元素である。こうした効果を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする。Al含有量の好ましい下限は0.010%であり、より好ましい下限は0.020%である。しかしながら、過剰に含有させると鋼板(母材)に島状マルテンサイト相(M―A相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限は0.06%とする。Al含有量の好ましい上限は0.040%、より好ましい上限は0.035%である。
[Ti:0.005〜0.030%]
Tiは、窒化物を形成し、大入熱溶接時に旧オーステナイト粒が粗大化するのを抑制し、HAZ靭性を向上させるのに有効に作用する元素である。こうした効果を発揮させるには、Ti含有量は0.005%以上とする。Ti含有量の好ましい下限は0.0080%であり、より好ましい下限は0.010%である。しかしながら、Tiを過剰に含有させると粗大な介在物を析出させて、却ってHAZ靭性を劣化させる。従ってTi含有量の上限は0.030%とする。Ti含有量の好ましい上限は0.025%である。
[N:0.005〜0.015%]
Nは、所定量の固溶N量を確保し、HAZ靭性を向上させるのに必要な元素である。また、Nは、旧オーステナイト粒内にTiNを微細析出させてピンニング効果により旧オーステナイト粒が粗大化するのを防止し、大入熱溶接したときのHAZ靭性を高めるのに有効に作用する元素である。また、TiNはフェライト変態核としても機能し、HAZ組織を微細化させるのにも作用する。こうした効果を発揮させるためには、N含有量は0.005%以上とする必要がある。N含有量の好ましい下限は0.0060%である。しかしながら、N含有量が過剰になって0.015%を超えると粗大なTiNが析出してHAZ靭性が低下する。N含有量の好ましい上限は0.012%であり、より好ましい上限は0.010%であり、更に好ましい上限は0.0090%であり、特に好ましい上限は0.0080%である。
[Ca:0.001〜0.0035%]
Caは、鋼板中の硫化物の形態を制御してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。こうした効果を発揮させるには、0.001%以上含有させる必要がある。Ca含有量は、好ましくは0.0013%以上であり、より好ましくは0.0015%以上であり、更に好ましくは0.0020%以上である。しかし0.0035%を超えて過剰に含有させてもHAZ靭性が却って劣化する。従ってCa含有量は0.0035%以下とする。Ca含有量は、好ましくは0.0030%以下とする。
[O(酸素):0.0015%以下(0%を含まない)]
Oは、不可避的不純物として混入するが、鋼中では酸化物として存在する。しかしながら、その含有量が0.0015%を超えると粗大な酸化物(例えば、CaOなど)が生成してHAZ靭性が劣化する。こうしたことからO含有量は、0.0015%以下とする。O含有量の好ましい上限は0.0013%である。
本発明の鋼板において、上記化学成分の他は、鉄および不可避的不純物(例えば、Sb,Se,Te等)であるが、その特性を阻害しない程度の微量成分(許容成分)も含み得るものである。こうした微量成分を含む鋼板も本発明の範囲に含まれる。
また、本発明の鋼板は、必要によって、更に他の元素として、(a)B、(b)Cu、NiおよびCrよりなる群から選ばれる1種以上の元素、(c)Mo、(d)Nbおよび/またはV、(e)Mg、(f)Zrおよび/またはHf、(g)Coおよび/またはW、(h)REM、等の元素を含有することも有効である。これらの成分を含有させるときの範囲とその範囲を設定した理由は、次の通りである。
[(a)B:0.0035%以下(0%を含まない)]
Bは、超大入熱溶接したときのHAZのボンド部付近でBNを核とした粒内フェライトを生成させて、HAZ靭性を改善するのに有効に作用する元素である。しかしながら、B含有量が過剰になるとボンド部の組織が粗大なベイナイト組織となるため、却ってHAZ靭性が劣化する。こうしたことから、Bを含有させるときは、その上限を0.0035%とするのがよい。B含有量は好ましくは0.0025%以下である。なお、B含有量の好ましい下限は0.0010%である。
[(b)Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素]
Cu、NiおよびCrは、いずれも焼入れ性を高めて鋼板の強度を向上させるのに有効に作用する元素である。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、HAZ靭性が却って低下する。従ってCuについては、2%以下とするのが好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下とするのがよい。Niについては、2%以下とするのが好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下とするのがよい。Crについては1.5%以下とするのが好ましく、より好ましくは1.0%以下とするのがよい。上記効果を有効に発揮させるための好ましい下限は、いずれも0.20%であり、より好ましい下限は0.40%である。
[(c)Mo:0.5%以下(0%を含まない)]
Moは、焼入れ性を向上させて強度を確保するのに有効に作用する元素であり、焼戻し脆性を防止するのにも作用する元素である。こうした効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、Mo含有量が過剰になるとHAZ靭性が劣化するので、0.5%以下とするのが好ましい。Mo含有量は、より好ましくは0.3%以下とするのがよい。上記効果を有効に発揮させるためのMo含有量の好ましい下限は、0.05%である。
[(d)Nb:0.035%以下(0%を含まない)および/またはV:0.1%以下(0%を含まない)]
NbとVは、焼入れ性を向上させて母材の強度を向上させるのに作用する元素である。またVは、焼戻し軟化抵抗を高くする作用も発揮する。しかしながら、多量に含有させるとHAZ靭性が劣化するため、Nb含有量は0.035%以下とするのが好ましく、より好ましくは0.030%以下とするのがよい。V含有量は0.1%以下とするのが好ましく、より好ましくは0.050%以下とするのがよい。こうした効果を有効に発揮させるには、Nb含有量は0.005%以上とすることが望ましく、V含有量は0.010%以上とすることが推奨される。
[(e)Mg:0.005%以下(0%を含まない)]
Mgは、鋼板中にMgOを形成し、このMgOがHAZ部でオーステナイト粒が粗大化するのを抑制するのに作用し、HAZ靭性を向上させる効果を発揮する元素である。しかしながらMg含有量が過剰になると、介在物(MgO)が粗大化してHAZ靭性が却って劣化するため0.005%以下とすることが好ましい。Mg含有量は、より好ましくは0.0035%以下である。上記効果を有効に発揮させるためのMg含有量の好ましい下限は、0.001%である。
[(f)Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)]
ZrとHfは、Tiと同様、Nと結合して窒化物を形成し、この窒化物が溶接時におけるHAZのオーステナイト粒を微細化し、HAZの靭性改善に有効に作用する元素である。しかし過剰に含有するとHAZ靭性を却って低下させる。このためこれらの元素を含有させるときには、Zrは0.1%以下とすることが好ましく、Hfは0.05%以下とすることが好ましい。上記効果を有効に発揮させるためのZr含有量の好ましい下限は0.001%であり、Hf含有量の好ましい下限は0.001%である。
[(g)Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)]
CoとWは、焼入れ性を向上させて母材強度を高めるのに作用する元素である。しかし、過剰に含有するとHAZ靭性が劣化するため、CoとWの上限は、いずれも2.5%とするのがよい。Co含有量のより好ましい上限は2%であり、更に好ましい上限は1.5%である。W含有量のより好ましい上限は2%であり、更に好ましい上限は1.5%である。Co含有量の好ましい下限は0.1%であり、W含有量の好ましい下限は0.1%である。
[(h)REM:0.01%以下(0%を含まない)]
REM(希土類元素)は、鋼板中に不可避的に混入してくる介在物(例えば、酸化物や硫化物等)の形状を微細化・球状化することによって、HAZの靭性向上に寄与する元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、REMの含有量が過剰になると、REM自体の介在物が粗大化してHAZ靭性が却って劣化するため、0.01%以下に抑えることが好ましい。REMはより好ましくは0.0080%以下に抑えるのがよい。REM含有量の好ましい下限は0.0005%である。
尚、本発明において、REMとは、ランタノイド元素(LaからLnまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。
本発明の鋼板を製造する方法は特に限定されず、常法に従い、化学成分組成とそのバランス、および固溶N量を上記範囲に調整すればよい。
固溶N量を上記範囲に調整するには、例えば、所定の温度にスラブを加熱した後、熱間圧延を行ない、必要に応じて焼入れ処理を行えばよい。
スラブを加熱する温度は、例えば、総合熱力学計算ソフトウェア(Thermo−calc、CRC総合研究所から入手可能)に、鋼板の化学成分組成を入力して熱力学的計算によって適切なスラブ加熱温度を算出する方法が例示される。即ち、固溶N量は、スラブの加熱温度や、母材のN量、或いはTiやNbなどの窒化物形成元素の添加量、CやSi、Alなど他の元素の添加量によって影響されることが知られているが、熱力学計算によってスラブの加熱温度と鋼板の化学成分の関係につき目安を得ることができる。
そこで本発明では、固溶N量を上記範囲に調整するために、予め総合熱力学計算ソフトウェア(Thermo−calc)による熱力学的計算によって母材に含まれる合金元素量を代入して、固溶N量とスラブ加熱温度との関係式を求めて、所定の固溶N量の範囲に調整するためのスラブ加熱温度の範囲を算出し、この温度範囲になるようにスラブを加熱してから熱間圧延したものである。
なお、固溶N量は、スラブ加熱温度以外に、熱間圧延後の冷却速度にも影響を受け、冷却速度が小さい場合は、窒化物が析出し易いため、固溶N量が少なくなる。従ってスラブ加熱温度以外のファクターとして、熱間圧延後の800℃から500℃の温度域における平均冷却速度を例えば、7〜12000℃/minの範囲に制御して固溶N量を微調整してもよい。
CaとSとOの含有量のバランスが上記(2)式を満足するように、特に酸素量(O量)を制御するには、製鋼段階における脱酸時間を通常より長くすればよい。即ち、通常の脱酸時間は、おおよそ20分程度であるが、酸素量を低減するために、脱酸時間を30分以上と比較的長くすることが好ましい。脱酸時間の上限は特に限定されないが、例えば、40分程度である。
本発明で対象とする鋼板は、基本的には板厚が60mm以上の厚鋼板を想定したものであるが、それ以下の板厚においても同等の特性を有するものとなり、本発明の対象に含まれるものとなる。また、本発明の鋼板を溶接するときの入熱量は60kJ/mm以上を想定したものであり、こうした超大入熱量で溶接を行ったときに良好なHAZ靭性を示すものとなるが、こうした入熱量に限らず、例えば15kJ/mm以上となる入熱量であっても良好なHAZ靭性を示すものとなる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例1]
下記表1または表2に示す成分組成の鋼(残部は、鉄および不可避不純物)を通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を鋳造してスラブとした後、該スラブを表3または表4に示す温度(実測値)に加熱して熱間圧延を行ない、板厚が60mmの熱間圧延板とし、熱間圧延終了後に水冷して焼入れ処理を行ない、引張強度が490〜780MPa級(50〜80kg/mm2級)の各種高張力鋼板(試験板)を製造した。なお、製鋼段階では、脱酸時間を30分間とした。
下記表1と表2において、REMは、Laを50%程度とCeを25%程度含有するミッシュメタルの形態で添加した。
上記スラブの加熱温度は、上述したように、固溶N量との関係でThermo−calcから計算したスラブ加熱温度(計算値)を考慮しつつ制御した。
下記表3または表4には、下記表1または表2に示した成分組成から、本発明で規定するP値([Ti]/[N])とQ値[1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])]を算出した結果も併せて示した。
得られた各種高張力鋼板の実際の固溶N量を測定した。固溶N量は、電解抽出法で窒化物を抽出し、窒化物となっているN量をインドフェノール吸光光度法で測定し、鋼板に含まれる全N量から窒化物となっているN量を引いた値とした。測定結果を下記表3または表4に示す。
固溶N量(質量%)=鋼板に含まれる全N量(質量%)−窒化物となっているN量(質量%)
次に、得られた各種高張力鋼板(板厚は60mm)について、下記の条件で溶接施工を行ない、溶接部を作製し、HAZ靭性を評価した。
[溶接条件]
溶接方法 :エレクトロガスアーク溶接
溶接電流 :400A
溶接電圧 :40V
溶接速度 :0.6mm/秒
入熱量 :60kJ/mm
溶接ワイヤ:DWS−50GTR、DWS−50GTF
開先形状 :開先角度18°(逆V開先)、ルート間隔10mm
得られた溶接部において、図1に示すように、鋼板のt/4(tは板厚)の位置から、JIS Z2202で規定されるシャルピー衝撃試験片(高さ10mm×幅10mm×長さ55mm)を採取し、ボンド部から+0.5mm母材側の位置にノッチを入れ、−55℃でのVノッチシャルピー衝撃値(vE-55)を測定し、HAZ靭性を評価した。測定結果を下記表3または表4に示す。このとき溶接入熱量が60kJ/mmにおけるVノッチシャルピー衝撃値(vE-55)が100J以上を合格とした。
下記表1〜表4に示した結果から、次のように考察できる。No.1〜29は、本発明で規定する要件を満足する例であり、鋼板の化学成分組成と固溶N量が適切に制御されているため、溶接入熱量が60kJ/mmの超大入熱溶接を行った場合でも優れたHAZ靭性を発揮できている。特に、No.1〜19とNo.26〜28は、鋼板の化学成分組成が、本発明で規定するP値とQ値を満足しているため、HAZ靭性が特に300J以上と良好になっている。
これに対して、No.31〜40は、本発明で規定するいずれかの要件を欠く例である。このうちNo.31〜34は、鋼板の化学成分組成は本発明で規定する範囲を満足しているが、鋼板に含まれる固溶N量が本発明で規定する範囲を外れる例であり、HAZ靭性が悪い。No.35〜40は、鋼板に含まれる固溶N量は本発明で規定する範囲を満足しているが、鋼板の化学成分組成が本発明で規定する範囲を外れている例であり、HAZ靭性が悪い。
No.11とNo.33、No.14とNo.34、No.19とNo.32は、夫々化学成分組成(鋼種)が同じであるが、スラブ加熱温度を変えたため、固溶N量が変化している。即ち、No.32〜34は、スラブ加熱温度が適切でなく、固溶N量が適切な範囲に入っていないため、HAZ靭性が悪い。
[実施例2]
上記実施例1に示した鋼板を対象に、溶接条件を変えたときのHAZ靭性を評価した。
上記実施例1で得られた各種高張力鋼板(板厚は60mm)から厚みが25mmの板を切り出し、入熱量を15kJ/mmとしてエレクトロガスアーク溶接を行ない、溶接継ぎ手を作製した。他の溶接条件は、上記実施例1と同じである。
得られた溶接部において、上記実施例1と同じ条件で−55℃でのVノッチシャルピー衝撃値(vE-55)を測定し、HAZ靭性を評価した。測定結果を下記表3または表4に併せて示す。このとき溶接入熱量が15kJ/mmにおけるVノッチシャルピー衝撃値(vE-55)が100J以上を合格とした。
本発明の鋼材(No.1〜29)は、入熱量を15kJ/mmとして溶接を行なっても、HAZ靭性は良好であった。従って本発明の鋼板(No.1〜29)は、入熱量が15kJ/mmの大入熱溶接を行なっても、上記実施例1で示したように、60kJ/mmの超大入熱溶接を行なっても、良好なHAZ靭性を示すことが分かる。
これに対し、本発明で規定する範囲から外れる鋼板(No.31〜40)は、入熱量が15kJ/mmの大入熱溶接であっても、上記実施例1で示したように、入熱量が60kJ/mmの超大入熱溶接であっても、HAZ靭性が悪くなることが分かる。
Figure 2008280573
Figure 2008280573
Figure 2008280573
Figure 2008280573
図1は、溶接部からシャルピー衝撃試験片の採取位置を示す概略説明図である。

Claims (11)

  1. C :0.03〜0.15%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.50%以下(0%を含む)、
    Mn:1〜2.0%、
    P :0.020%以下(0%を含まない)、
    S :0.005%以下(0%を含まない)、
    Al:0.005〜0.06%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    N :0.005〜0.015%、
    Ca:0.001〜0.0035%および
    O :0.0015%以下(0%を含まない)を夫々含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなる鋼板であり、
    該鋼板に含まれる固溶N量が0.0010〜0.0060%であることを特徴とする大入熱溶接における溶接熱影響部の靭性に優れた鋼板。
  2. 前記鋼板に含まれる化学成分の含有量が、下記(1)式で規定される関係を満足する請求項1に記載の鋼板。
    1.00≦[Ti]/[N]≦2.5 …(1)
    但し、[ ]は、各元素の含有量(%)を示す。
  3. 前記鋼板に含まれる化学成分の含有量が、下記(2)式で規定される関係を満足する請求項1または2に記載の鋼板。
    2.00≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(2)
    但し、[ ]は、各元素の含有量(%)を示す。
  4. 更に、他の元素として、
    B:0.0035%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板。
  5. 更に、他の元素として、
    Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板。
  6. 更に、他の元素として、
    Mo:0.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の鋼板。
  7. 更に、他の元素として、
    Nb:0.035%以下(0%を含まない)および/またはV:0.1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の鋼板。
  8. 更に、他の元素として、
    Mg:0.005%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜7のいずれかに記載の鋼板。
  9. 更に、他の元素として、
    Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の鋼板。
  10. 更に、他の元素として、
    Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜9のいずれかに記載の鋼板。
  11. 更に、他の元素として、
    REM:0.01%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜10のいずれかに記載の鋼板。
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