JPH0782170B2 - 強誘電性液晶素子 - Google Patents

強誘電性液晶素子

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JPH0782170B2
JPH0782170B2 JP62315268A JP31526887A JPH0782170B2 JP H0782170 B2 JPH0782170 B2 JP H0782170B2 JP 62315268 A JP62315268 A JP 62315268A JP 31526887 A JP31526887 A JP 31526887A JP H0782170 B2 JPH0782170 B2 JP H0782170B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、強誘電性液晶素子に関し、さらに詳しくは基
板、電圧印加手段、配向制御層、強誘電性液晶層及び電
圧印加手段と配向制御層との間に少なくとも1層の配向
制御層と異なる下地層を有する強誘電性液晶素子に係
り、電界に対する応答諸特性が改善された新規な強誘電
性液晶素子構成に関するものである。
[従来の技術] 液晶は既に種々の光学変調素子として応用され、特に表
示素子として時計、電卓等に実用化されている。
これは、液晶素子が消費電力が極めて少なく、また装置
の薄型、軽量化が可能であることと、更に表示素子とし
ては受光素子であるため長時間使用しても目の疲労が少
ないという特長によるものである。
現在実用化されている液晶素子のほとんどが、例えばエ
ム シャット(M.Schadt)とダブルユヘルフリッヒ(W.
Helfrich)著“アプライドフィジックス レターズ”
(“Applied Physics Letters")Vo>18,No.4(1971.2.
15)P.127〜128の“Voltage Dependent Optical Activi
ty of a Twisted Nematic liquid Crysutal"に示された
TN(Twisted Nematic)型の液晶を用いたものである。
これらは、液晶の誘電的配列効果に基づいており、液晶
分子の誘電異方性のために平均分子軸方向が、加えられ
た電場により特定の方向に向く効果を利用している。
これらの素子の光学的な応答速度の限界は数msecである
といわれ、液晶素子の応用分野拡大へ障害となってい
る。例えば、大型平面ディスプレーへの応用では、価
格、生産性などを考え合わせると、単純マトリクス方式
による駆動が最も有力である。
単純マトリクス方式においては、走査電極群に順次周期
的にアドレス信号を選択印加し、信号電極群には所定の
情報信号をアドレス信号と同期させて並列的に選択印加
する時分割駆動方式が採用されている。
しかし、この様な駆動方式の素子に前述したTN型の液晶
を採用すると、走査電極が選択され、信号電極が選択さ
れない領域或いは走査電極が選択されず、信号電極が選
択される領域(所謂“半選択点”)にも有限に電界がか
かってしまう。
選択点にかかる電圧と、半選択点にかかる電圧の差が充
分に大きく、液晶分子を電界に垂直に配列させるのに要
する電圧閾値がこの中間の電圧値に設定されるならば、
表示素子は正常に動作するわけであるが、走査線(N)
を増加して行なった場合、画面全体(1フレーム)を走
査する間に1つの選択点に有効な電界がかかっている時
間(duty比)が1/Nの割合で減少してしまう。
このため、くり返し走査を行なった場合の選択点と非選
択点にかかる実効値としての電圧差は、走査線数が増え
れば増える程小さくなり、結果的には画像コントラスト
の低下やクロストークが避け難い欠点となっている。
この様な現象は、双安定性を有さない液晶(電極面に対
し、液晶分子が水平に配向しているのが安定状態であ
り、電界が有効に印加されている間のみ垂直に配向す
る)を時間的蓄積効果を利用して駆動する(即ち、繰り
返し走査する)ときに生ずる本質的には避け難い問題点
である。
この点を改良するために、電圧平均化法、2周波駆動法
や、多重マトリクス法等が既に提案されているが、いず
れの方法でも不充分であり、液晶素子の大画面化や高密
度化は走査線数が充分に増やせないことによって頭打ち
になっているのが現状である。
低消費電力、受光型といった液晶素子の特長を生かし、
なおかつ、エレクトロルミネッセンスなど発光型素子に
匹敵する応答性を確保するには、TN型液晶素子に変わる
新しい液晶素子の開発が不可欠である。
そうした試みの1つとして、双安定性を有する液晶素子
の使用が、クラーク(Clark)およびラガウェル(Lager
wall)により提案されている(特開昭56−107216号公
報、米国特許第4367924号明細書等)。
双安定性液晶としては、一般にカイラルスメクティック
C相(SmC*相)又はH相(SmH*相)を有する強誘電性液
晶が用いられる。
この強誘電性液晶は電界に対して第1の光学的安定状態
と第2の光学的安定状態からなる双安定状態を有し、従
って前述のTN型の液晶で用いられた光学変調素子とは異
なり、例えば一方の電界ベクトルに対して第1の光学的
安定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトルに対して
は第2の光学的安定状態に液晶が配向されている。ま
た、この型の液晶は、加えられる電界に応答して、上記
2つの安定状態のいずれかを取り、かつ、電界の印加の
ないときはその状態を維持する性質(双安定性)を有す
る。
以上の様な双安定性を有する特徴に加えて、強誘電性液
晶は高速応答性であるという優れた特徴を持つ。それは
強誘電性液晶の持つ自発分極と印加電場が直接作用し
て、配向状態の転移を誘起するためであり、誘電率異方
性と電場の作用による応答速度より3〜4オーダー速
い。
この様に強誘電性液晶はきわめて優れた特性を潜在的に
有しており、この様な性質を利用することにより上述し
た従来のTN型液晶素子の問題点の多くに対して、かなり
本質的な改善が得られる。特に、高速光学光シャッター
や高密度,大画面ディスプレイへの応用が期待される。
一方、薄層での配向制御方法や画像品質の向上,双安定
性の向上を試みるために、強誘電性液晶素子に用いられ
る配向制御材料、強誘電性を持つ液晶材料、および電圧
印加手段と配向制御層との間に設けられる下地材料に関
し広く研究がなされているが、現在まで報告されている
強誘電性液晶素子で、薄層での配向制御手段、上下電極
間のショート防止、画素チラツキ等による画像欠陥,双
安定性、湿温度に対する耐久性・安定性等諸特性を満足
するものはほとんど無く、実用化された強誘電性液晶素
子は皆無である。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、前述の欠点を解消し、配向制御性が良
好で、上下電極間のショートを防止し、画素チラツキ等
による画像欠陥を改善した双安定性の良好な強誘電性液
晶素子を提供することにある。
[問題点を解決するための手段]および[作用] 即ち、本発明は、少なくとも基板、電圧印加手段、配向
制御層、強誘電性液晶層及び電圧印加手段と配向制御層
との間に少なくとも1層の配向制御層と異なる下地層を
有する強誘電性液晶素子において、前記下地層の膜厚
(d1)と配向制御層の膜厚(d2)、下地層材料の誘電率
(ε)と配向制御層材料の誘電率(ε)との間に下
記の関係式(1)、関係式(2)が成り立ち、かつ該強
誘電性液晶層に下記一般式[1]で示される液晶性化合
物を少なくとも1種以上含有することを特徴とする強誘
電性液晶素子である。
関係式(1) d1>d2 関係式(2) ε>ε 一般式[1] R1−A1−X−A2−R2 (式中、R1,R2は置換基を有していても良い分岐または
直鎖の鎖状基を示し、R1とR2は同一であっても異なって
いても良く、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式
[2]で示され、 一般式[2] から選らばれ、mは0〜8の整数を示し、nは0または
1を示す。R3は置換基を有していても良い炭素原子数1
〜18の分岐または直鎖のアルキル基または置換基を有し
ていても良い炭素原子数1〜18の分岐または直鎖のアル
キル基を有するアルコキシ基、アルコキシカルボニル基
を示し、Zはメチル基、ハロゲン原子、シアノ基、トリ
フルオロメチル基を示し、*は光学活性な不斉炭素原子
を示す。) A1,A2は夫々独立に置換基を有していても良い2価の含
六員環基を示し、Xは R1,R2の好ましい具体例としては、置換基を有していて
も良い分岐または直鎖のアルキル基、または置換基を有
していてもよい分岐または直鎖のアルキル基を有するア
ルコキシ基,アシル基,アシルオキシ基,アルコキシカ
ルボニル基,アルコキシカルボニルオキシ基から選ばれ
たものが用いられる。
その具体例を示すと、メチル,エチル,プロピル,ブチ
ル,ペンチル,ヘキシル,イソプロピル等のアルキル
基、アセチル,プロピオニル,ブチニル,バレリル,パ
ルミトイル,2−メチル−プロピオニル等のアシル基、ア
セチルオキシ、プロピオニルオキシ,ブチニルオキシ,2
−メチル−プロピオニルオキシ等のアシルオキシ基、メ
トキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,2−メチル−
ブトキシ等のアルコキシ基、メトキシカルボニル,エト
キシカルボニル,ブトキシカルボニル,2−メチル−ブト
キシカルボニル等のアルコキシカルボニル基、メトキシ
カルボニルオキシ,エトキシカルボニルオキシ,ブトキ
シカルボニルオキシ,2−メチル−ブトキシカルボニルオ
キシ等のアルコキシカルボニルオキシ基があげられる。
さらに、好ましくはR1,R2の少なくともいずれか一方
は、不斉炭素原子を有する光学活性な鎖状基を示す。
R1,R2が示す不斉炭素原子を有する光学活性な鎖状基の
好ましい具体例としては、下記の一般式[2]で示され
る。
一般式[2] から選らばれ、mは0〜8の整数を示し、nは0または
1を示す。
R3は置換基を有していても良い炭素原子数1〜18の分岐
または直鎖のメチル,エチル,プロピル,ブチル,イソ
プロピル等のアルキル基、または置換基を有していても
良い炭素原子数1〜18の分岐または直鎖のアルキル基を
有するメトキシエトキシ,ブトキシ,2−メチル−ブトキ
シ等のアルコキシ基、メトキシカルボニル,エトキシカ
ルボニル,ブトキシカルボニルオキシ,2−メチル−ブト
キシカルボニルオキシ等のアルコキシカルボニルオキシ
基を示す。
Zはメチル基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロ
メチル基を示し、*は光学活性な不斉炭素原子を示す。
R1,R2およびR3の示す基の更なる置換基としては、フッ
素,塩素,臭素等のハロゲン原子、メトキシ,エトキ
シ,プロポキシ,ブトキシ等のアルコキシ基、トリフル
オロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
次に、一般式[1]において、A1,A2の示す2価の含六
員環基の好ましい具体例としては、下記一般式[3]で
示される。
一般式[3] 式中、A3,A4は置換基を有していてもよい より選択されるのが好ましく、p,qは0,1または2で示さ
れる。
A3,A4の示す基の更なる置換基としては、フッ素,塩
素,臭素等のハロゲン原子、メチル,エチル,プロピ
ル,ブチル等のアルキル基、メトキシ,エトキシ,プロ
ポキシ等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、シア
ノ基等が挙げられる。
Xは単結合または2価の鎖状基を示し、好ましくは単結
合基, から選ばれることが望ましい。
さらに好ましくは、下地層がシリコン窒化物、水素を含
有するシリコン窒化物、シリコン炭化物、水素を含有す
るシリコン炭化物、シリコン酸化物、硼素窒化物、水素
を含有する硼素窒化物、セリウム酸化物、アルミニウム
酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物及びフッ化
マグネシウムから選択された1種以上を含有しているこ
とが望ましい。
また、配向制御層が好ましくはポリビニルアルコール、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、
ポリパラキシレン、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアミド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラ
ミン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂、フォトレジト樹
脂から選択された1種以上を含有していることが望まし
い。
さらに好ましくは配向制御層の厚みが500Å以下である
ことが望ましく、また、配向制御層材料の誘電率ε
10.0以下であることが望ましい。
以下に一般式[1]で示される化合物についての代表例
をあげる。
化合物No. 次に、本発明で用いる液晶性化合物の代表的な合成例を
下記に示す。
合成例(前記例示化合物No.1の合成) 30mlナスフラスコに下記カルボン酸2.0g(8mmol)を入
れ、 冷却下、塩化チオニル7mlを加え、攪拌しながら室温ま
で昇温させ、さらに冷却管を取りつけ、外浴70℃〜80℃
で4時間加熱還流を行なった。反応後、過剰の塩化チオ
ニルを留去し、酸塩化物を得た。これをトルエン15mlに
溶解し、0〜5℃に冷却した下記フェノール誘導体1.44
g(8mmol) のピリジン溶液に滴下していった。その後、約2時間、
0℃〜5℃で攪拌を続け、さらに室温にて16時間攪拌し
た。反応終了後、約200mlの氷水にあけ、ベンゼンにて
抽出を行ない、5%塩酸水溶液で3回洗った後、イオン
交換水で1回、さらに水層のpH値が中性になるまで5%
K2CO3水溶液を加え、その後もう1度イオン交換水で水
洗を行なった。
有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥
し、溶媒留去して粗製物を得た。これを展開液ベンゼン
を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精
製を行なった。
溶媒留去して得た結晶をn−ヘキサンを用いて再結晶し
て精製目的物を得た。さらに、室温にて減圧乾燥を行な
い、最終精製目的物0.95gを得た。収率は28.7%であっ
た。
合成例2(前記例示化合物No.69の合成) 30mlナスフラスコに下記アルコール誘導体2.1g(6.73mm
ol)を入れ、 冷却下、塩化チオニル6mlを加え、攪拌しながら室温ま
で昇温させ、さらに冷却管を取りつけ、外浴70℃〜80℃
で4時間加熱還流を行なった。反応後、過剰の塩化チオ
ニルを留去し、酸塩化物を得た。これをトルエン15mlに
溶解した。
次に、200mlの三つ口フラスコに60%油性水酸化ナトリ
ウム0.5gを入れ、乾燥n−ヘキサンで数回洗った後、下
記フェノール誘導体1.79g (6.73mmol)のTHF溶液15mlを室温下に滴下し、さらにD
MSOを20ml加え1時間攪拌した。これに先に述べた塩化
物のトルエン溶液をゆっくりと滴下し、滴下終了後、さ
らに室温にて16時間攪拌を続けた。
反応終了後、約200mlの氷水にあけ、有機層を分離し、
さらに水層をベンゼン50mlにて2回抽出を行なった。
これを、先に分離した有機層と共に5%塩酸水溶液で2
回洗った後、イオン交換水で1回、さらに5%NaHO水溶
液で1回洗い、その後水層のpH値が中性を示すまで、イ
オン交換水で有機層を水洗した。
有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥
し溶媒留去して粗製物を得た。
これを展開液n−ヘキサン/ジクロロメタン=3/10を用
いてシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行なっ
た。
溶媒を留去して得た結晶をn−ヘキサンを用いて再結晶
して精製目的物を得た。さらに、室温にて減圧乾燥を行
ない、最終精製目的物を0.74g得た。収率は19.7%であ
った。
合成例3(前記例示化合物No.78の合成) 30mlナスフラスコに下記カルボン酸2.2g(6.43mmol)を
入れ、 冷却下、塩化チオニル6mlを加え、攪拌しながら室温ま
で昇温させ、さらに冷却管を取りつけ、外浴70℃〜80℃
で4時間加熱還流を行なった。反応後、過剰の塩化チオ
ニルを留去し、酸塩化物を得た。これをトルエン15mlに
溶解し、0〜5℃に冷却した下記チオフェノール誘導体
1.53g(6.43mmol) のピリジン溶液に滴下していった。その後、約2時間0
℃〜5℃で攪拌を続け、さらに、室温にて16時間攪拌し
た。反応終了後、約200mlの氷水にあけ、ベンゼンにて
抽出を行ない、5%塩酸水溶液で3回洗った後、イオン
交換水で1回、さらに水層のpH値が中性になるまで5%
K2CO3水溶液を加え、その後もう1度イオン交換水で水
洗を行なった。
有機層を取り出し無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥
し、溶媒留去して粗製物を得た。
これを展開液ベンゼンを用いてシリカゲルクロマトグラ
フィーにて精製を行なった溶媒留去して得た結晶を、n
−ヘキサンを用いて再結晶して精製目的物を得た。さら
に、室温にて減圧乾燥を行ない、最終精製目的物を1.06
g得た。収率は29.3%であった。
合成例4(前記例示化合物No.108の合成) 50mlナスフラスコに下記アルコール誘導体3.5g(24.0mm
ol)と ピリジン10mlを入れ、冷却下p−トルエンスルホン酸ク
ロライド5.5g(28.8mmol)を少量ずつ30分間をかけて加
えていった。
さらに、20℃以下で4時間攪拌を行なった。
これを氷水200mlにあけ、さらに6N塩酸水溶液を加え、
酸性にした。これをイソプロピルエーテル80mlで3回抽
出を行ない、抽出した有機層を4回イオン交換水で水洗
を行なった後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒
留去して粗製物を得た。これを展開液ベンゼンを使用
し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、中間体
のトシル化合物6.13gを得た。
次に、200ml三つ口フラスコに下記のフェノール誘導体
4.0g(14.0mmol) とブタノール70mlを入れ、さらに水酸化カリウム1.6gを
加え約1時間攪拌した後、さらに50℃〜60℃にて2時間
攪拌した。
これに、先に作成した中間体トシル化合物4.2g(14.0mm
ol)のブタノール15mlをゆっくりと加えた後、約1時間
攪拌した。その後、冷却管を取り付け、加熱還流を6時
間行なった。反応終了後、反応液を氷水250mlにあけ、6
N塩酸水溶液を加えpH値を1〜2とした。
これをイソプロピルエーテル80mlで3回抽出を行なった
後、有機層をイオン交換水で水洗し、水層のpH値が中性
を示したところで有機層を分取し、無水硫酸マグネシウ
ムを用いて乾燥し、溶媒留去し目的粗製物を得た。
さらに、この粗製物を展開液ベンゼンを用いてシリカゲ
ルクロマトグラフィーにて精製を行なった。流出展開溶
媒を留去し精製物を得た。
これをn−ヘキサンを用いて再結晶を行なった後、室温
にて減圧乾燥を行ない、最終精製目的物を0.65g得た。
収率は11.3%であった。
合成例5(前記例示化合物No.161の合成) 50mlナスフラスコに下記アルコール誘導体2.5g(14.2mm
ol)と ピリジン15mlを入れ、冷却下p−トルエンスルホン酸ク
ロライド3.23g(16.9mmol)を少量ずつ30分間をかけて
加えていった。
さらに、20℃以下で4時間攪拌を行なった。
これを氷水200mlにあけ、さらに6N塩酸水溶液を加え、
酸性にした。これをイソプロピルエーテル80mlで3回抽
出を行ない、抽出した有機層を4回イオン交換水で水洗
を行なった後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒
留去して粗製物を得た。これを展開液ベンゼンを使用
し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、中間体
のトシル化合物4.5gを得た。
次に、200ml三つ口フラスコに下記のフェノール誘導体
3.5g(11.2mmol) とDMF30mlを入れ、さらに水酸化カリウム1.0gを加え約
1時間攪拌した後、さらに90〜95℃にて2時間攪拌し
た。
これに、先に作成した中間体トシル化合物4.0g(12.1mm
ol)のDMF10mlをゆっくりと加えた後、約1時間攪拌し
た。その後、冷却管を取り付け、加熱還流を6時間行な
った。反応終了後、反応液を氷水250mlにあけ、6N塩酸
水溶液を加えpH値を1〜2とした。
これをベンゼン80mlで3回抽出を行なった後、有機層を
イオン交換水で水洗し、水層のpH値が中性を示したとこ
ろで有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾
燥し、溶媒留去し目的粗製物を得た。
さらに、この粗製物を展開液ベンゼンを用いてシリカゲ
ルクロマトグラフィーにて精製を行なった。流出展開溶
媒を留去し精製物を得た。
これをエタノールを用いて再結晶を行なった後、室温に
て減圧乾燥を行ない、最終精製目的物を2.4g得た。収率
は45.5%であった。
以上の合成例以外の化合物についても、一般的にカルボ
ン酸誘導体を常法により酸塩化物にし、次いで対応する
アルコール、チオール等の誘導体とアルカリ存在下で反
応させるか、あるいはアルコール誘導体を常法によりハ
ロゲン化物あるいはトシル化物とし、対応するアルコー
ル誘導体とアルカリ存在下で反応させる手法で容易に製
造することができる。
本発明による強誘電性液晶素子における強誘電性液晶層
は、前記一般式で示される液晶性化合物1種以上を適当
な割合で混合せしめて強誘電性液晶層組成物を作り、こ
れを真空中、等方性液体温度まで加熱し、素子セル中に
封入し、徐々に冷却し、液晶層を形成させ、常圧にもど
すことが好ましい。
上記強誘電性液晶組成物中の各液晶性化合物の配合割合
は、それぞれ1〜99%とすることが望ましい。
第1図は本発明の強誘電性液晶素子の構成の説明のため
に強誘電性液晶層を有する液晶表示素子の一例を示す断
面概略図である。
第1図において符号1は強誘電性液晶層、2はガラス基
板、3は透明電極、4は下地層、4′は配向制御層、5
はスペーサー、6はリード線、7は電源、8は偏光板、
9は光源を示している。
2枚のガラス基板2にはそれぞれIn2O3、SnO2あるいはIT
O(Indium−Tin Oxide)等の薄膜から成る透明電極が被
覆されている。
その上に本発明においては下地層が設けられ、さらにそ
の上に液晶を一定の方向に配向させるための配向制御層
が設けられている。
さらに、本発明においては下地層の厚み(d1)および誘
電率(ε)と配向制御層の厚み(d2)および誘電率
(ε)が下記関係式(1),(2)を満足する様に構
成されている。
関係式(1) d1>d2 関係式(2) ε>ε この関係式を満足する様にして作成された本発明による
強誘電性液晶素子が、諸特性(薄層での配向性向上、上
下電極間のショート防止、画素チラツキ等による画像欠
陥、双安定性)を著しく改善しうる事は後述する実施例
の中で示すが、その理由は、界面における残留電荷の影
響の違い等によるものと推察できるが定かでは無い。
本発明に使用する下地層は、一般に蒸着法、前駆体塗布
加熱反応焼結法などで形成でき、また配向制御層は、配
向制御材料を溶解させた溶液またはその前駆体溶液(溶
剤に0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%溶解)を
用いて、スピンナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印
刷法、スプレー塗布法、ロール塗布法等で塗布し、所定
の硬化条件下(例えば加熱下)で硬化させ形成させるこ
とができる。
この2枚のガラス基板2はスペーサー5によって任意の
間隔に保たれている。例えば、所定の直径を持つシリカ
ビーズ、アルミナビーズをスペーサーとしてガラス基板
2を挟持し、周囲をシール材、例えばエポキシ系接着材
等を用いて密封する方法がある。
その他、スペーサーとして高分子フィルムやガラスファ
イバー等を用いても良い。この2枚のガラス基板の間に
強誘電性液晶が封入されている。
強誘電性液晶が封入された強誘電性液晶層は、一般には
0.5〜20μm、好ましくは1.0〜5.0μmである。
透明電極3からはリード線によって、外部電源7に接続
されている。また、ガラス基板2の外側には偏光板8が
貼り合わされている。第1図は透明型なので光源9を備
えている。
第2図は、強誘電性液晶子の動作説明のために、セルの
例を模式的に描いたものである。21aと21bは、それぞれ
In2O3、SnO2あるいはITO(Indium−Tin Oxide)等の薄膜
から成る透明電極が被覆された基板(ガラス板)であ
り、その間に液晶分子層22がガラス面に垂直になるよう
配向したSmC*相又はSmH*相の液晶が封入されている。太
線で示した線23が液晶分子を表わしており、この液晶分
子23はその分子に直交した方向に双極子モーメント(P
)24を有している。基板21aと21b上の電極間に一定の
閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子23のらせん構造
がほどけ、双極子モーメント(P)24がすべて電界方
向に向くよう、液晶分子23は配向方向を変えることがで
きる。液晶分子23は、細長い形状を有しており、その長
軸方向と短軸方向で屈折率異方性を示し、従って例えば
ガラス面の上下に互いにクロスニコルの偏光子を置け
ば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液晶光学変
調素子となることは、容易に理解される。
本発明における光学変調素子で好ましく用いられる液晶
セルは、その厚さを充分に薄く(例えば10μ以下)する
ことができる。このように液晶層が薄くなるにしたが
い、第3図に示すように電界を印加していない状態でも
液晶分子のらせん構造がほどけ、その双極子モーメント
(PaまたはPbは上向き(34a)又は下向き(34b)のどち
らかの状態をとる。このようなセルに、第3図に示す如
く一定の閾値以上の極性の異なる電界Ea又はEbを電圧印
加手段31aと31bにより付与すると、双極子モーメント
は、電界Ea又はEbの電界ベクトルに対応して上向き34a
又は下向き34bと向きを変え、それに応じて液晶分子
は、第1の安定状態33aかあるいは第2の安定状態33bの
何れか一方に配向する。
このような強誘電性液晶素子を光学変調素子として用い
ることの利点は、先にも述べたが2つある。
その第1は、応答速度が極めて速いことであり、第2は
液晶分子の配向が双安定性を有することである。第2の
点を、例えば第3図によって更に説明すると、電界Eaを
印加すると液晶分子は第1の安定状態33aに配向する
が、この状態は電界を切っても安定である。又、逆向き
の電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の安定状態33b
に配向して、その分子の向きを変えるが、やはり電界を
切ってもこの状態に留っている。又、与える電界Eaある
いはEbが一定の閾値を越えない限り、それぞれ前の配向
状態にやはり維持されている。このような応答速度の速
さと、双安定性が有効に実現されるにはセルとしては出
来るだけ薄い方が好ましく、一般的には、0.5μ〜20
μ、特に1μ〜5μが適している。
[実施例] 以下実施例により本発明について、更に詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 誘電率の測定 Si(n+)ウェハー上にSiO2を常法により蒸着させた。段差
測定法により厚みを測定したところ1.12μmであった。
さらに、この上にアルミニウム電極を直径1mmになるよ
うに蒸着法にて形成させた。
Si(n+)ウェハーとアルミニウム電極間の電気容量を電気
容量計[横河ヒューレッド・パッカー社製、モデル4192
A]を使用して測定し、下記式より算出した。
その結果、SiO2の誘電率ε=3.8であった。同様にし
て、ポリイミド樹脂[東レ(株)製、SP710]前駆体の
2%ジメチルアセトアミド溶液を用い、Si(n+)ウェハー
上にスピンナー塗布し、成膜後、60分間、300℃に加熱
し縮合焼成処理を施した後アルミニウム電極を形成さ
せ、容量測定より、このポリイミド樹脂の誘電率を算出
した。
その結果ポリイミド樹脂[SP710]の誘電率ε=3.2で
あった。このSiO2を下地層に、ポリイミド樹脂を配向制
御層に用いて下記に述べる様に強誘電性液晶素子を作成
した。
素子の作成 2枚の0.7mm厚のガラス板を用意し、それぞれのガラス
板上にITO膜を形成して電圧印加電極を作成し、さらに
この上にSiO2をその膜厚が500Åになるように蒸着させ
た。ガラス板上にシランカップリング剤[信越化学
(株)製、KBM−602]0.2%イソプロピルアルコール溶
液を回転数2000r.p.mの回転速度で、15秒間塗布し表面
処理を施した。この後120℃にて20分間加熱乾燥処理を
施した。
さらに表面処理を行なったITO膜付きのガラス板上にポ
リイミド樹脂前駆体[東レ(株)製、SP−710;ε=3.
2]1.3%ジメチルアセトアミド溶液を回転数2100r.p.m
のスピンナーで15秒間塗布した。成膜後、60分間、300
℃加熱縮合焼成処理を施した。この時の塗膜の膜厚は約
180Åであった。
この焼成後の被膜には、アセテート植毛布によるラビン
グ処理がなされ、その後イソプロピルアルコール液で洗
浄し、平均粒径2μmのアルミナビーズを一方のガラス
板上に散布した後、それぞれのラビング処理軸が互いに
平行となる様にし、接着シール剤[リクソンボンド(チ
ッソ(株))]を用いて、ガラス板を貼り合わせ、60分
間、100℃にて加熱乾燥しセルを作成した。このセルの
セル厚をベレック位相板によって測定したところ、約2
μmであった。
次に、下記No.の前記例示化合物を下記重量部で混合せ
しめ強誘電性液晶組成物を作成した。
例示化合物No. 真空中、等方相下、均一混合液体状態で、前述の方法で
作成したセル内に注入した。等方相から5℃/hで30℃ま
で徐冷した後常圧にもどし、強誘電性液晶素子を作成し
た。
この強誘電性液晶素子を使って、ピーク・トゥ・ピーク
電圧20Vの電圧印加により、直交ニコル下での光学的な
応答(透過光量変化0〜90%)を検知して、応答速度
(以後、光学応答速度という)を測定した。その結果を
次に示す。
15℃ 30℃ 45℃ 1100μsec 290μsec 135μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは16で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。また、この素子内の均一配向性は良好であり、モノ
ドメイン状態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際
の双安定性も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。また、作成した強誘電性液晶素子を35℃、湿度90%
の環境下で24時間連続駆動させ、さらに1週間放置する
環境耐久試験を行なった後、上記特性評価を再度行なっ
たところ、何ら変化は無かった。
実施例2 実施例1で用いたSiO2[ε=3.8]に代えて、Si3N3[ε
=6.6]を用いて下地層を形成し、またポリイミド樹脂
前駆体〔東レ(株)、SP710;ε=3.2〕に代えてポリビ
ニルアルコール〔クラレ(株),PVA117,ε=6.2〕を使
用して配向制御層を形成した以外は、実施例1と同様の
方法で強誘電性液晶素子を作成し、実施例1と同様の検
討を行なった。その結果は下記の通りである。
15℃ 30℃ 45℃ 1100μsec 305μsec 140μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは15で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。素子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状
態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性
も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは1つ生じただ
けだった。また、実施例1と同様の環境耐久試験を行な
ったが、何ら変化は無かった。
実施例3 実施例1で用いた強誘電性液晶組成物に代えて、下記N
o.の前記例示化合物を各重量部で用いた以外は、実施例
1と全く同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、実施
例1と同様の検討を行なった。その結果を下記に示す。
例示化合物No. 15℃ 30℃ 45℃ 890μsec 385μsec 160μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは16で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。素子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状
態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性
も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。
また、実施例1と同様の方法で、環境耐久試験を行なっ
たが、特性評価結果に何ら変化は無かった。
実施例4 実施例3で用いた下地層、配向制御層に代えて、実施例
2で用いた下地層、配向制御層を用いた以外は、実施例
3と同様の方法で強誘電性液晶セルを作成し、実施例3
と同様の検討を行なった。その結果を次に示す。
15℃ 30℃ 45℃ 900μsec 390μsec 175μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは16で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。また、均一配向性は良好であり、モノドメイン状態
が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性も
良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。
また、実施例1と同様の環境耐久試験を行なったが、特
性評価結果に何ら変化は無かった。
実施例5 実施例1で用いた強誘電性液晶組成物に代えて、下記化
合物No.で示す前記例示液晶性化合物を用いた以外は、
実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、実
施例1と同様の検討を行なった。その結果を下記に示
す。
例示化合物No. 15℃ 30℃ 45℃ 280μsec 150μsec 105μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは15で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。また、素子内の均一配向性は良好であり、モノドメ
イン状態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双
安定性も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。
また、実施例1と同様の方法で環境耐久試験を行なった
が、特性評価結果に何ら変化は無かった。
実施例6 実施例1で用いたポリイミド樹脂〔東レ(株),SP710,
誘電率ε=3.2〕に代えてポリイミド樹脂〔日産化学工
業(株),サンエバー150,誘電率ε=3.1〕を用いて配
向制御層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で強
誘電性液晶素子を作成し、実施例1と同様の検討を行な
った。その結果は下記に示す。
15℃ 30℃ 45℃ 1055μsec 280μsec 125μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは14で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。素子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状
態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性
も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。
また、実施例1と同様の環境耐久試験を行なったが、特
性評価結果に何ら変化は無かった。
実施例7 実施例3で用いたSiO2に代えてAl2O3〔誘電率ε=10.
0〕を用いて下地層を形成し、ポリイミド樹脂〔東レ
(株),SP710,ε=3.2〕に代えて、他のポリイミド樹脂
〔日産化学工業(株),RN305,ε=5.5〕を用いて配向制
御層を形成した以外は、実施例3と同様の方法で強誘電
性液晶素子を作成し、実施例3と同様の検討を行なっ
た。その結果を下記に示す。
15℃ 30℃ 45℃ 885μsec 375μsec 155μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは15で、明瞭なスイッチング動作が観察され
た。素子内の均一配向性は良好であり、モノドメイン状
態が得られた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性
も良好であった。
同様の方法で、同様の強誘電性液晶素子を50個作成し、
同様の測定・観察等を行なったが、いずれの素子も同様
の結果を示し、また上下電極間ショートは皆無であっ
た。
また、実施例1と同様の環境耐久試験を行なったが、特
性評価結果に何ら変化は無かった。
実施例8 実施例1で使用した強誘電性液晶化合物、および作成し
た強誘電性液晶組成物を各々、サンプルビンに40mgずつ
取り、これを温度35℃、湿度90%の環境下1週間放置す
る環境耐久試験を行なった。放置後、各試料の変化を薄
層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、
DSC等で放置前との変化の比較を行なったが、何ら変化
は認められなかった。
比較例1 実施例1で用いたSiO2の厚みを50Åにした以外は、実施
例1と全く同様の方法で強誘電性液晶素子を作成したと
ころ、上下電極間ショートが頻発し、再現性のある測定
結果が得られなかった。
また、測定し得た素子においても、部分的スイッチング
動作が観察されないなどの現象が現われた。
比較例2 実施例1で用いたポリイミド樹脂の厚みを800Åにした
以外は実施例1と全く同様の方法で強誘電性液晶素子を
作成し、実施例1と同様の検討を行なった。その結果、
次に示す様に光学応答性の著しい低下を生じた。
15℃ 30℃ 45℃ 1850μsec 620μsec 445μsec また、素子内の均一配向性はやや乱れ、モノドメイン状
態は得られなかった。
比較例3 実施例1で用いたポリイミド樹脂に代えて、ポリビニル
アルコール樹脂〔クラレ(株),誘電率ε=9.8〕を用
いた以外は全く実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素
子を作成し、同様の検討を行なった。その結果を次に示
す。
15℃ 30℃ 45℃ 1200μsec 310μsec 150μsec また、30℃におけるこの強誘電性液晶素子の駆動時のコ
ントラストは12であったが、チラツキ等のスイッチング
不良が見られ、画像欠陥となっていた。また、素子内の
均一配向性はやや乱れ、さらに電圧印加を止めた際の双
安定性も安定していなかった。
比較例4 実施例1で用いた強誘電性液晶組成物に代えて、下記構
造式で示す強誘電性液晶化合物を下記重量部で用いた以
外は、実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成
し、実施例1と同様の方法で検討を行なった。その結果
を次に示す。
15℃ 30℃ 45℃ 80℃ − − − 100μsec 作成した素子を、実施例1と同様の環境耐久試験を行な
ったところ、光学応答速度が著しく低下し、またスイッ
チング動作も著しく観察しずらくなってしまった。
比較例5 比較例4で使用した強誘電性液晶化合物を実施例8と同
様の方法で環境耐久試験を行なった。
その結果、比較例4で使用した強誘電性化合物は、高温
高湿度下分解等の化学変化を生じていることが、薄層ク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、DSC
等の結果より認められた。
以上の結果からも明らかな様に、本発明による強誘電性
液晶素子は配向制御性が良好で、上下電極のショート防
止効果が向上し、画素チラツキ等による画像欠陥が改善
され、双安定性の良好な温度・湿度に対する耐久性・安
定性の向上した強誘電性液晶素子であることが解る。
実施例9〜20 実施例1で用いた下地層、配向制御層のいずれか一方、
あるいは両方に代えて表1に示す下地層材料あるいは配
向制御材料を表1に示す膜厚に形成させ用いた以外は、
実施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、実
施例1と同様の検討を行なった。
作成した強誘電性液晶素子はいずれも明瞭なコントラス
ト、スイッチング動作が観察された。また、均一配向性
は良好であり、モノドメイン状態が得られた。さらに、
電圧印加を止めた際の双安定性も良好であり、上下電極
間ショートを生じた素子は皆無であった。
また、実施例1と同様の方法で環境耐久試験を行ない、
再度特性評価を行なったが、何ら変化は無かった。
実施例21〜34 実施例1で用いた強誘電性液晶組成物に代えて、表2に
示す強誘電性液晶組成物を各重量部で用いた以外は、実
施例1と同様の方法で強誘電性液晶素子を作成し、実施
例と同様の検討を行なった。
作成した強誘電性液晶素子はいずれも駆動時において明
瞭なコントラストとスイッチング動作が観察された。ま
た、均一配向性は良好であり、モノドメイン状態が得ら
れた。さらに、電圧印加を止めた際の双安定性も良好で
あり、検討中において上下電極間ショートを生じた素子
は皆無であった。
また、実施例1と同様の方法で環境耐久試験を行ない、
再度評価を行なったが、何ら変化は無かった。
[発明の効果] 前述した実施例より明らかな様に、本発明の強誘電性液
晶素子によれば、薄層での配向制御性が良好で、上下電
極間ショート防止効果が向上し、画素チラツキ等による
画像欠陥が改善され、双安定性の良好な強誘電性液晶素
子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の強誘電性液晶を用いた、液晶表示素子
の一例を示す断面概略図、第2図および第3図は、強誘
電性液晶素子の動作説明のための素子セルの一例を模式
的に表わす斜視図である。 1…強誘電性液晶層、2…ガラス基板 3…透明電極、4…下地層 4′…配向制御層、5…スペーサー 6…リード線、7…電源 8…偏光板、9…光源 IO…入射光、I…透過光 21a…基板、21b…基板 22…液晶分子層、23…液晶分子 24…双極子モーメント(P) 31a,31b…電圧印加手段 33a…第1の安定状態 33b…第2の安定状態 34a…上向き双極子モーメント 34b…下向き双極子モーメント Ea…上向きの電界 Eb…下向きの電界

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも基板、電圧印加手段、配向制御
    層、強誘電性液晶層及び電圧印加手段と配向制御層との
    間に少なくとも1層の配向制御層と異なる下地層を有す
    る強誘電性液晶素子において、前記下地層の膜厚(d1
    と配向制御層の膜厚(d2)、下地層材料の誘電率
    (ε)と配向制御層材料の誘電率(ε)との間に下
    記の関係式(1)、関係式(2)が成り立ち、かつ該強
    誘電性液晶層に下記一般式[1]で示される液晶性化合
    物を少なくとも1種以上含有することを特徴とする強誘
    電性液晶素子。 関係式(1) d1>d2 関係式(2) ε>ε 一般式[I] R1−A1−X−A2−R2 (式中、R1,R2は置換基を有していても良い分岐または
    直鎖の鎖状基を示し、R1とR2は同一であっても異なって
    いても良く、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式
    [2]で示され、 一般式[2] から選らばれ、mは0〜8の整数を示し、nは0または
    1を示す。R3は置換基を有していても良い炭素原子数1
    〜18の分岐または直鎖のアルキル基または置換基を有し
    ていても良い炭素原子数1〜18の分岐または直鎖のアル
    キル基を有するアルコキシ基,アルコキシカルボニル基
    を示し、Zはメチル基、ハロゲン原子、シアノ基、トリ
    フルオロメチル基を示し、*は光学活性な不斉炭素原子
    を示す。) A1,A2は夫々独立に置換基を有していても良い2価の含
    六員環基を示し、Xは
  2. 【請求項2】前記一般式[1]において、R1,R2が置換
    基を有していても良い分岐または直鎖のアルキル基、ま
    たは置換基を有していてもよい分岐または直鎖のアルキ
    ル基を有するアルコキシ基,アシル基,アシルオキシ
    基,アルコキシカルボニル基,アルコキシカルボニルオ
    キシ基から選らばれる特許請求の範囲第1項記載の強誘
    電性液晶素子。
  3. 【請求項3】一般式[1]において、A1,A2が夫々独立
    に下記一般式[3]で示される特許請求の範囲第1項記
    載の強誘電性液晶素子。 一般式[3] で表される置換基を有していてもよい含六員環基であ
    り、p,qは0,1または2を示す。)
  4. 【請求項4】一般式[2]において、Zがフッ素原子で
    ある特許請求の範囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
  5. 【請求項5】一般式[1]において、R1,R2の置換基が
    ハロゲン原子、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、
    シアノ基から選らばれる特許請求の範囲第1項記載の強
    誘電性液晶素子
  6. 【請求項6】一般式[2]において、R3の置換基がハロ
    ゲン原子、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、シア
    ノ基から選らばれる特許請求の範囲第1項記載の強誘電
    性液晶素子
  7. 【請求項7】一般式[3]において、A3,A4の置換基が
    ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオ
    ロメチル基、シアノ基から選らばれる特許請求の範囲第
    3項記載の強誘電性液晶素子
  8. 【請求項8】下地層がシリコン窒化物、水素を含有する
    シリコン窒化物、シリコン炭化物、水素を含有するシリ
    コン炭化物、シリコン酸化物、硼素窒化物、水素を含有
    する硼素窒化物、セリウム酸化物、アルミニウム酸化
    物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物及びフッ化マグ
    ネシウムの少なくとも1種以上を含有する特許請求の範
    囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
  9. 【請求項9】配向制御層がポリビニルアルコール、ポリ
    イミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリ
    パラキシレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
    ビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
    ポリアミド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラミン
    樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂、フォトレジスト樹脂
    の少なくとも1種以上を含有する特許請求の範囲第1項
    記載の強誘電性液晶素子。
  10. 【請求項10】配向制御層の厚みが500Å以下である特
    許請求の範囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
  11. 【請求項11】配向制御層材料の誘電率εが10.0以下
    である特許請求の範囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
  12. 【請求項12】強誘電性液晶素子が液晶光学変調素子で
    ある特許請求の範囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
  13. 【請求項13】強誘電性液晶素子が液晶表示素子である
    特許請求の範囲第1項記載の強誘電性液晶素子。
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