JPH0780020A - 創傷被覆材 - Google Patents

創傷被覆材

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JPH0780020A
JPH0780020A JP5255124A JP25512493A JPH0780020A JP H0780020 A JPH0780020 A JP H0780020A JP 5255124 A JP5255124 A JP 5255124A JP 25512493 A JP25512493 A JP 25512493A JP H0780020 A JPH0780020 A JP H0780020A
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JP
Japan
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wound
wound dressing
film
weight
pores
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JP5255124A
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English (en)
Inventor
Toshitatsu Hirayama
俊達 平山
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0780020A publication Critical patent/JPH0780020A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度・柔軟性・透明性を持ち、創面に密着し
て容易に剥離でき、滲出液の排出性に優れ、創傷治癒に
必要な環境を整備する創傷被覆材を提供する。 【構成】 一方の面から他方の面まで連続した孔径20
〜500μmの孔を有するフィルムに好中球走化性能を
有する親水性物質を被覆した創傷被覆材である。 【効果】 切傷、擦傷、火傷等の外傷の治癒に好適な創
傷被覆材が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切傷、擦傷、火傷等の
外傷の治療に好適な創傷被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、外傷による皮膚欠損傷の治療
に用いる種々の創傷被覆材が開発されている。該被覆材
には、強度・柔軟性・透明性の他、創傷面に密着して容
易に剥離できること、滲出液の排出性に優れかつ貯留を
防止できること、真皮を乾燥から防いで創傷治癒に必要
な環境を整備できることが要求される。
【0003】凍結乾燥豚真皮、コラーゲン不織布、キチ
ン不織布等の生体由来材料を用いた被覆材は、生体適合
性が高く、滲出液の排出性に優れているが、強度・柔軟
性に劣る、真皮を乾燥させて創傷治癒を遅延させる、滲
出液が多い場合には該滲出液中の酵素により被覆材自体
が融解して細菌の培地になる恐れがある、等の問題があ
った。
【0004】シリコーン膜/ナイロンファブリック/コ
ラーゲン複合膜(バイオブレンと呼ばれる)等の生体・
合成複合材料を用いた被覆材は、創傷面との密着性に優
れているが、ナイロンファブリックと創傷面との密着が
強すぎて創傷面の上皮化が阻害されるという問題があっ
た。
【0005】一方、湿潤環境が創傷治癒に適していると
の考えから、閉塞性の創傷被覆材も近年開発されてい
る。その例として、ポリウレタン等の熱可塑性高分子材
料からなるフィルムや、ハイドロコロイドドレッシング
と呼ばれる創傷被覆材がある。これらは、強度・柔軟性
は良好であるが、滲出液を貯留させて創傷治癒を遅延さ
せるという問題があった(W.B.Rockwell and H.P.Ehrli
ck,Journal of Burn Care and Rehabilitation,11,93-9
5 (1990); "Should Burn Blister Fluid Be Evacuated
?")。
【0006】滲出液の排出性を改善するため、ポリウレ
タン等の多孔質フィルムを用いた創傷被覆材が提案され
ている(米国特許公報第4625720号,特表平2−
503283号公報,特開平2−43231号公報)。
これらは、滲出液を孔内部に吸収することにより創面に
貯留させないことを意図したものであり、かつ真皮を乾
燥から防ぐための親水性の裏張り層を有する。しかし、
孔内部に貯留した滲出液が細菌の培地になる、繊維芽細
胞が孔内部に侵入し創傷被覆材と創傷面の密着が強固に
なるため創傷面の上皮化が遅延し創傷被覆材が除去不可
能になる、等の問題があった(丹生智史ら、人工臓器、
19、1287-1291(1990);「治癒促進型高有孔性人工血管−
超極細ポリエステル繊維によるAngiogenesis−」な
ど)。
【0007】創傷面との密着性をよくするために創傷面
との接触面にキチンやキトサンなど生体由来の親水性物
質を導入した創傷被覆材が提案されている(実公平4−
33859号公報)。該被覆材は、ポリテトラフルオロ
エチレンフィブリルにキチン層を添着したもので、繊維
芽細胞が孔内部に侵入することによる創傷面との過度の
密着を防ぐため、孔径0.01〜1μmの孔をもつ。し
かし、孔径が小さすぎるため滲出液の排出性が不十分で
あり熱傷深度の深い創面などでは多量の滲出液を排出で
きずに貯留させ治癒を遅延させるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記の要
求性能を持ち、外傷の治療に好適な創傷被覆材を開発す
べく鋭意検討した結果、特定の性状の孔を持つフィルム
に好中球走化性能を有する親水性物質を被覆した創傷被
覆材が好適であることを見い出し、かかる知見に基づい
て本発明を完成するに到った。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、一方の面から他方の面まで連続した孔径20〜50
0μmの孔を有するフィルムに好中球走化性能を有する
親水性物質を被覆して成る創傷被覆材が提供される。
【0010】(フィルム)本発明の創傷被覆材を構成す
るフィルムの材質は、創傷被覆材の基材として一般に用
いられるものであれば特に制限されないが、柔軟性・加
工性及び創傷面を保護するために必要な強度を有し、か
つ吸水率が、通常、20重量%未満、好ましくは5重量
%未満の疎水性物質が好ましい。その例としては、ポリ
ウレタン、シリコーン、ポリブタジエン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム、ブチル
ゴム等が挙げられる。その中でも、生体に炎症を生じさ
せないなどの生体適合性と安全性とを兼ね備えている点
で、ポリウレタン、シリコーンが好ましい。前記吸水率
は、試料を37℃の蒸留水中に24時間浸漬して増加し
た重量の浸漬前の試料の重量に対する割合として求めら
れる。吸水率が高すぎるものを使用すると、体液との接
触によりフィルム自体が膨潤して孔が小さくなるため、
本発明の効果が得られにくくなる。
【0011】フィルムの孔径は20〜500μm、好ま
しくは25〜400μm、更に好ましくは30〜300
μmである。孔径が20μm未満では滲出液の排出性が
悪くなり、好中球走化性能を有する親水性物質の被覆も
困難になる。500μmを超えると機械的強度が低下す
る他、創傷面の乾燥壊死が起きやすくなるため、創傷被
覆材としての実用性が低下する。また、孔はフィルムの
一方の面から他方の面まで連続していることが必要であ
る。孔が一方の面から他方の面まで連続していないと滲
出液の排出性が悪くなる。
【0012】フィルムの空隙率(フィルムの単位体積当
りの空隙体積の割合)の好ましい範囲は60〜95%、
より好ましい範囲は80〜90%である。空隙率が小さ
すぎるとフィルムの一方の面から他方の面まで孔が連続
しにくくなるため滲出液の排出性が悪くなり、大きすぎ
るとフィルムの機械的強度が低下する。
【0013】フィルムの厚さの好ましい範囲は0.00
5〜0.5mm、より好ましい範囲は0.01〜0.3
mmである。薄すぎると機械的強度が不足し、厚すぎる
とフィルムの一方の面から他方の面まで連続した孔の割
合が小さくなるため滲出液の排出性が悪くなり透明性も
低下する。
【0014】フィルムの製造は公知の方法によればよ
い。その例としては、水溶性物質粒子を分散させた前記
疎水性物質の溶液をナイフコーターにより離型紙上に均
一な厚さに塗布し、その後溶媒を揮発させてフィルムを
得、フィルムを水洗して水溶性物質粒子を溶解・除去
し、乾燥させる方法が挙げられる。該溶媒は疎水性物質
のみを溶解し水溶性物質粒子を溶解しないものであれば
特に限定されない。疎水性物質がポリウレタンやシリコ
ーンであり水溶性物質粒子がショ糖やブドウ糖である場
合は、例えば、テトラヒドロフランやジメチルホルムア
ミドを使用する。
【0015】溶媒の量は、疎水性物質100重量部に対
し、通常、500〜5000重量部、好ましくは100
0〜2000重量部とする。溶媒の量が少なすぎると疎
水性物質溶液の粘度が高くなるためナイフコーターによ
る塗布が困難になり、多すぎると十分な厚さを有したフ
ィルムの製造が困難になるほか、疎水性物質溶液の粘度
が低くなって水溶性物質粒子が均一に分散しにくいため
孔が一方の面から他方の面まで連続したフィルムが得に
くくなる。
【0016】水溶性物質粒子は疎水性物質の溶液に分散
可能なものであれば特に制限なく使用できる。その例と
しては、食塩、塩化カリウムなどの水溶性塩類や、ショ
糖、ブドウ糖などの水溶性糖類が挙げられる。水溶性物
質粒子の粒径は、通常、20〜500μm、好ましくは
25〜400μm、更に好ましくは30〜300μmと
する。粒径が小さすぎるとフィルムの孔径が小さくなり
すぎ、大きすぎるとフィルムの孔径が大きくなりすぎ
る。
【0017】水溶性物質粒子は、疎水性物質100重量
部に対し、通常、100〜3000重量部、好ましくは
200〜2500重量部、さらに好ましくは300〜2
000重量部の割合で用いる。量が少なすぎると孔が一
方の面から他方の面まで連続したフィルムが得にくくな
り、多すぎると疎水性物質溶液の粘度が高くなるためナ
イフコーターでの塗布が困難となるほか、フィルムの機
械的強度が低下する。
【0018】(好中球走化性能を有する親水性物質)本
発明の創傷被覆材を構成する好中球走化性能を有する親
水性物質は、吸水率が、通常、50重量%以上、好まし
くは100重量%以上、より好ましくは200重量%以
上であり、かつ水に不溶のものである。好中球走化性能
とは生体組織中に試料を埋入した場合に接触部位付近に
白血球等の好中球を誘引する能力をいい、埋入後の接触
部位の変化をコントロールと比較しながら常法に従って
組織学的に観察することにより判別できる。観察方法の
例としては、ヘマトキシリン−エオシン染色による観察
が挙げられる。吸水率が低すぎるもの、または水に溶解
するものを用いた場合は、創傷被覆材を創傷面に貼付け
たときに該被覆材が滲出液により溶出してしまい、被覆
材の構成成分が経時的に変化し、さらには、被覆材が創
傷面へ取り込まれるという問題が生じる。
【0019】好中球走化性能を有する親水性物質の例と
しては、セルロース、酸化セルロース、架橋デキストラ
ン、アルギン酸カルシウム、デンプン、寒天、キチン、
キトサン、これらの誘導体、またはこれらの混合物が挙
げられる。誘導体の例としては、キチンやキトサンの脱
アセチル化誘導体や硫酸化誘導体が例示される。これら
の中でも、創傷面に接触した場合に優れた好中球走化性
能を示す物質が好ましく、その見地から、アルギン酸カ
ルシウム、寒天、キチン、キトサン、これらの誘導体、
またはこれらの混合物などが、特に好ましくは、キチ
ン、キトサン、これらの誘導体、またはこれらの混合物
などが賞用される。
【0020】(創傷被覆材)本発明の創傷被覆材は、好
中球走化性能を有する親水性物質を、通常、フィルムの
創傷面との接触面及び孔内部に、被覆方法によってはフ
ィルムの両面及び孔内部に被覆して成る。被覆は親水性
物質を不溶化できる限りは公知の方法によればよく、そ
の例としては、好中球走化性能を有する親水性物質の溶
液とアンモニア等のアルカリ溶液にフィルムを順次浸漬
するか、前記親水性物質の溶液をフィルムにスプレーし
た後該フィルムをアルカリ溶液に浸漬する方法などが挙
げられる。
【0021】好中球走化性能を有する親水性物質の溶液
に用いる溶媒は該物質を溶解可能なものであれば特に限
定されない。例えば、好中球走化性能を有する親水性物
質がキトサンの場合は酢酸を用いる。溶液濃度は、通
常、2〜50重量%、好ましくは10〜20重量%とす
る。濃度が低すぎると、被覆される親水性物質の量が少
なくなりすぎて創傷被覆材の好中球走化性能が不足し、
好中球やマクロファージなどの細胞の層が該被覆材の創
傷面との接触面及び孔内部に形成されないために創傷面
の乾燥が進行し、上皮化による治癒が遅延する。濃度が
高すぎると溶液粘度が高くなり過ぎるためフィルムに親
水性物質を均一に被覆することができなくなる。
【0022】好中球走化性能を有する親水性物質の被覆
状態の確認方法は特に限定されず、例えば該物質に対し
親和性を有する色素を用いて染色した創傷被覆材を観察
すればよい。該色素の例としては、アニリンブルー、コ
ンゴーレッド、オレンジG、ピクリン酸、酸性フクシン
が挙げられる。
【0023】好中球走化性能を有する親水性物質の被覆
量は該物質を被覆していないフィルムをコントロールと
して常法により重量を測定し求めればよい。被覆量は、
通常、0.2〜0.6mg/cm2、好ましくは0.3
〜0.5mg/cm2とする。被覆量が少なすぎると創
傷被覆材の好中球走化性能が不足し、好中球やマクロフ
ァージなどの細胞の層が該被覆材の創傷面との接触面及
び孔内部に形成されないために創傷面の乾燥が進行し、
上皮化による治癒が遅延する。多すぎると被覆された親
水性物質によりフィルムの孔が詰まりやすくなるため滲
出液の排出性が悪くなる。
【0024】本発明においては、好中球走化性能を有す
る親水性物質が被覆されたフィルムをそのまま創傷被覆
材として使用することもできるが、フィルムのポリマー
鎖間に架橋構造を導入して機械的強度を向上させたフィ
ルムを用いることもできる。例えば、疎水性物質がポリ
ウレタンから成るフィルムであれば、ジイソシアネート
を用いる。
【0025】本発明においては、創傷被覆材の機械的強
度を保持するために、ナイロン繊維等の素材の目の粗い
メッシュ状物を層内に埋め込んだフィルムや、該メッシ
ュ状物を表面上に積層したフィルムを用いてもよい。さ
らに、創傷被覆材の創傷面への固定を容易にするため、
所定の部位に粘着剤の層を形成してもよい。
【0026】本発明の創傷被覆材は、湿潤時にはASTM E
96-80 procedure BWに準じた方法による水蒸気透過性が
35℃、相対湿度0%において、通常、7500g/m
2/24hr以上で、かつ非閉塞性である。また、乾燥
時にはASTM E96-80 procedure Aに準じた方法による水
蒸気透過性が40℃、相対湿度75%において、通常、
4000〜5500g/m2/24hrである。この値
は創傷被覆材として好適なものである。
【0027】本発明の創傷被覆材の創傷面への貼付は常
法によればよい。例えば、創傷被覆材を外科用テープ、
外科用ステープラー等で固定した後、滲出液の吸収のた
め、外側に滅菌ガーゼおよび滅菌脱脂綿を重層し、軽く
圧迫包帯する。創傷面よりの滲出液の一部は外側のガー
ゼおよび脱脂綿に吸収されるので適宜外側のガーゼおよ
び脱脂綿を交換する。
【0028】本発明の創傷被覆材において、過剰な滲出
液は孔を通して排出されるため創傷被覆材中に貯留しに
くい。孔内に滲出液が侵入し過剰な滲出液が排出・除去
されることにより創傷被覆材と創傷面が密着する。一
方、孔内の空気が滲出液に置換されることにより該被覆
材の透明性が向上するので、創傷被覆材を貼付したまま
創傷面の状態を観察できる。
【0029】本発明の創傷被覆材に被覆された好中球走
化性能を有する親水性物質は滲出液中の好中球やマクロ
ファージなどの細胞を誘引し、創傷面ないしは創傷被覆
材の創傷面との接触面及び孔内部に好中球やマクロファ
ージなどの細胞の層を形成させる。該層により創傷被覆
材と創傷面の間に隔たりが生じ、繊維芽細胞などが孔の
中に侵入することによる創傷被覆材と創傷面との過度の
密着の防止、真皮の過剰な乾燥の防止の他、上皮化に必
要な環境が整えられることによる治癒の促進が可能とな
る。上皮化は表皮細胞の進展によって起こる。表皮細胞
は乾燥した好中球やマクロファージの層の下を進展し、
この部分で創傷被覆材は自然に剥離する。繊維芽細胞は
殺菌作用をも有し感染による治癒の遅延を防ぐが、より
細菌感染の危険性が高い創傷面に使用する場合は、本発
明の創傷被覆材を貼付した上から抗菌性の軟膏・クリー
ム等を適用して治癒を促進させても良い。
【0030】本発明の創傷被覆材を用いることにより創
傷治癒が促進されるのは、好中球走化性能を有する親水
性物質をフィルムの創傷面との接触面及び孔内部に被覆
していることにより該物質が被覆されている部分の表面
積が大きくなって好中球やマクロファージなどの細胞の
誘引に寄与する親水性物質の量が相対的に増えること、
及び前記細胞の層が水蒸気の過剰な透過を防止すること
により真皮の乾燥が上皮化に支障のない範囲で抑えられ
ることによると推定される。
【0031】通常、深い傷には、キチンやコラーゲンな
どからなる創傷被覆材は融解等の危険から使用されず、
また、閉塞性の創傷被覆材も滲出液の貯留による感染の
危険から使用されないが、本発明の創傷被覆材は、疎水
性物質からなるフィルムを用いているために体液に含ま
れる酵素によって分解・融解することがなく、また創傷
面との密着性、材質の安定性に優れ、炎症の原因となる
親水性物質を不溶化させているために該物質の被覆材か
らの脱落が起こり難いので、深い傷の場合にも使用可能
であり、創傷面の自家移植までの間の保護としても有用
である。
【0032】
【実施例】以下に製造例、実施例、比較例および試験例
を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0033】製造例1 テトラヒドロフラン100mlに、ポリウレタン(Pell
ethane 2363 55DE、DowChemical社製)5gを溶解し、無
水結晶ブドウ糖粉末(粒径20〜250μm、平均粒径
170μm、日本食品化工社製、#500)80gを加
えて攪拌し分散させた。
【0034】この溶液を、ナイフコーターを用いて、シ
リコーン皮膜を有する離型紙(セパレート用紙100G
S(3)K、本州製紙製)上に幅10cm、厚さ0.8
mmに塗布し、乾燥気流下に24時間放置してテトラヒ
ドロフランを揮発させ、温水中に浸漬し、十分に洗浄し
てブドウ糖を洗い流した。これを乾燥気流下に24時間
放置した後、40℃、10torrの気圧下に8時間放
置して十分に乾燥して、フィルムを得た。このフィルム
の一部を3cm四方に切断し、好中球走化性能を有する
親水性物質の被覆量の測定に用いた。
【0035】このフィルムをキトサン(君津化学工業株
式会社製)の2重量%酢酸溶液中に減圧下浸漬した後、
更にアンモニア水(2重量%)中に浸漬してキトサンを
不溶化し、蒸留水により十分に洗浄した後、40℃、1
0torrの気圧下に8時間放置して十分に乾燥して、
キトサンをフィルムの両面および孔内部に被覆した創傷
被覆材を得た。
【0036】製造例2 製造例1と同様にして得たフィルムをアルギン酸ナトリ
ウム(君津化学工業株式会社製)の1重量%水溶液中に
減圧下浸漬した後、更に塩化カルシウムの1重量%水溶
液中に浸漬してアルギン酸ナトリウムをアルギン酸カル
シウムとして不溶化し、このものを製造例1と同様の方
法で処理して、アルギン酸カルシウムをフィルムの両面
および孔内部に被覆した創傷被覆材を得た。
【0037】製造例3 キトサンを被覆しない以外は製造例1と同様にして創傷
被覆材を得た。
【0038】製造例4 無水結晶ブドウ糖粉末として20μmの篩を通したもの
(粒径1〜20μm、平均粒径10μm)を用いた以外
は製造例1と同様にして創傷被覆材を得た。
【0039】製造例5 無水結晶ブドウ糖粉末を使用しない以外は製造例1と同
様にして創傷被覆材を得た。
【0040】実施例1 製造例1で得られた創傷被覆材を以下の方法により評価
した。結果を表1に示す。
【0041】(1) 孔径 創傷被覆材の断面(長さ約10mm)を走査型電子顕微
鏡で3点観察し視野内に見られる最大・最小の孔径を測
定した。なお、1つの孔の孔径は長径と短径の平均値で
表した。
【0042】(2) 空隙率 重量x(g)の創傷被覆材を蒸留水中に浸漬し、10t
orr以下の減圧下で孔内部の空気を蒸留水と完全に置
換した後、蒸留水中から取り出し、表面に付着する水滴
をタオルペーパーで拭い去った後の重量y(g)を求め
た。この重量に対する孔内部に侵入した蒸留水の重量の
比率w1(%)を
【0043】
【数1】
【0044】により求め、空隙率とした。
【0045】(3) 水蒸気透過性 創傷被覆材が水と接触しない条件では、測定カップの水
蒸気透過部の直径が12mmであること及び恒温恒湿槽
の条件が温度40℃、相対湿度75%であることを除
き、ASTM E-96-80 procedure Aに準じた方法で測定し
た。また、創傷被覆材が水と接触する条件では、測定カ
ップの水蒸気透過部の直径が10mmであること及び恒
温恒湿槽の条件が温度35℃、相対湿度0%であること
を除き、ASTM E-96-80 procedure BWに準じた方法で測
定した。
【0046】(4) ドレナージ性 本測定により、一方の面から他方の面まで連続した孔の
相対的な量を求めた。生理食塩水を含ませた直径90m
m、厚さ10mmのスポンジ(孔径約100μm)上に
直径65mmの円状に切断した被覆材を置き、更にその
上に直径55mmの定性濾紙(ADVANTEC N
o.2)25枚(重量a(g))を置き、上から10g
f/cm2の荷重をかけた。1分後に荷重を取り去り、
生理食塩水を吸収した濾紙の重量b(g)を求め、被覆
材を置かない以外は同様の処理をした濾紙の重量c
(g)を基準として濾紙の増加重量w2
【0047】
【数2】
【0048】により求め、ドレナージ性とした。
【0049】(5) 透過視性 JIS K−7105に準じた方法により積分球を用い
て測定し、試料を置かないときの全光線透過量に対する
試料を透過する全光線透過量の比率(%)で表した。
【0050】(6) 引張強度及び引張伸び JIS K−7113−1981に準じた方法により測
定した。
【0051】(7) 好中球走化性能を有する親水性物質の
被覆量 各創傷被覆材を1cm四方に切断し、このものの重量を
好中球走化性能を有する親水性物質を被覆する前に切断
したフィルム(1cm四方に切断してある)の重量と比
較して、単位面積当りの被覆量を求めた。
【0052】(8) 好中球走化性能を有する親水性物質の
被覆状態 各創傷被覆材をアニリンブルーで染色し、表面と断面
(孔内部)を肉眼及び光学顕微鏡で観察した。
【0053】実施例2、比較例1〜3 実施例1と同じ方法で製造例2〜5で得られた創傷被覆
材を評価した。結果を表1に示す。
【0054】比較例4 市販の創傷被覆材である凍結乾燥豚真皮(大鵬薬品製、
アロアスクD)について実施例1と同様に評価した。結
果を表1に示す。
【0055】比較例5 市販の創傷被覆材であるバイオブレン(米国Woodroof L
aboratories Inc.製、Biobrane薄手)について実施例1
と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】試験例 体重約3kgの家兎を用いて、ペンタバルビタールナト
リウム全身麻酔下に、背部を剃毛、消毒後、フリーハン
ドデルマトームにより切除して、深さ約0.7mm、直
径約15mmの分層皮膚欠損創を7ヶ所作った。実施例
1〜2、比較例1〜5の創傷被覆材で各創傷面を被覆
し、周囲を外科用テープで固定し、その上に滅菌ガーゼ
及び滅菌脱脂綿をのせ弾性包帯で圧迫固定して7日後に
取り外し、創傷面及び創傷被覆材の状態を観察した。
【0058】比較例3の創傷被覆材は創傷面と密着して
いなかったが、それ以外はいづれの創傷被覆材も創傷面
とよく密着していた。また、滲出液の貯留が比較例2、
3で認められたが、それ以外の創傷被覆材では認められ
なかった。
【0059】創の断面をヘマトキシリン−エオシン染色
により組織学的に観察した結果、比較例1、4の創傷被
覆材で被覆された創傷面では真皮の乾燥が認められ、特
に比較例4の創傷被覆材で被覆された創傷面の乾燥は顕
著であった。それ以外の創傷被覆材で被覆された創傷面
では真皮の乾燥は認められなかった。
【0060】実施例1、2、比較例2の創傷被覆材の孔
中は乾燥壊死した好中球で満たされていた。比較例1、
4の創傷被覆材の孔中は特に変化は認められなかった。
比較例5の創傷被覆材はナイロンファブリック中に肉芽
が入り込み剥離が困難になっていた。
【0061】実施例1、2では、創傷面の創傷被覆材と
接触する面に乾燥した好中球とマクロファージからなる
層ができ、その下で表皮細胞がそれぞれ3.1mm、
2.8mm進展しており、良好な治癒の進行が認められ
た。
【0062】比較例1、4では乾燥した真皮の下で、表
皮細胞がそれぞれ1.9mm、2.1mmしか進展して
いなかった。さらに、比較例2、3、5では、真皮は乾
燥していなかったものの、表皮細胞がそれぞれ0.8m
m、1.8mm、0.7mmしか進展していなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明の創傷被覆材は、創傷面と適度な
密着性を有し、生体適合性が高く、滲出液の排出性に優
れている。本発明の創傷被覆材を用いることにより、切
傷、擦傷、火傷等の外傷の治癒が効果的に促進される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の面から他方の面まで連続した孔径
    20〜500μmの孔を有するフィルムに好中球走化性
    能を有する親水性物質を被覆して成る創傷被覆材。
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