JPH0779696A - ホイップヨーグルト及びその製造方法 - Google Patents

ホイップヨーグルト及びその製造方法

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JPH0779696A
JPH0779696A JP25219593A JP25219593A JPH0779696A JP H0779696 A JPH0779696 A JP H0779696A JP 25219593 A JP25219593 A JP 25219593A JP 25219593 A JP25219593 A JP 25219593A JP H0779696 A JPH0779696 A JP H0779696A
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Mamoru Tomita
守 冨田
Akinori Hiramatsu
明徳 平松
Haruhiko Isomura
晴彦 磯村
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳脂肪含量が0.21%(重量)以下、無脂
乳固形分含量が12.0〜20.0%(重量)、pHが
4.70以上5.00未満、かつオーバーランが250
〜500%であって、添加剤を一切含有していないこと
を特徴とする微細な気泡を安定に含有するホイップヨー
グルト。当該ホイップヨーグルトは、乳脂肪含量及び無
脂乳固形分含量が、それぞれ0.21%(重量)以下及
び12.0〜20.0%(重量)であって、添加剤を一
切含まない発酵乳の原料を、殺菌し、乳酸菌を接種して
発酵し、pH4.70以上5.00未満の範囲で発酵を
停止し、得られた発酵乳の品温を5〜25℃に調整し、
ホイップすることにより製造される。 【効果】 乳化剤、ゲル化剤、起泡剤、安定剤等の添加
剤を用いることなく、かつ簡単な製造工程により、安
定、かつ微細な気泡を含有し、クリーミィーな食感を有
し、長期間の保存によっても気泡が安定に保持され、ヨ
ーグルト本来の風味を有するホイップヨーグルトが得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来、乳化剤、ゲル化
剤、起泡剤、安定剤等の添加剤を使用することなしには
製造することができないとされていた微細な気泡を安定
に含有する高品質のホイップヨーグルトを当該添加剤を
用いることなく製造することを可能にするものであり、
このような添加剤を一切含まず、安定、かつ微細な気泡
を含有し、クリーミィーな食感を有し、長期間の保存に
よっても気泡が安定に保持され、ヨーグルト本来の風味
を有するホイップヨーグルト及びその製造方法に関す
る。
【0002】更に詳しくは、本発明は、乳脂肪含量が
0.21%(重量)以下、無脂乳固形分含量が12.0
〜20.0%(重量)、pHが4.70以上5.00未
満、かつオーバーランが250〜500%であって、添
加剤を一切含有していないことを特徴とする微細な気泡
を安定に含有するホイップヨーグルト、及び乳脂肪含量
及び無脂乳固形分含量が、それぞれ0.21%(重量)
以下及び12.0〜20.0%(重量)であって、添加
剤を一切含まない発酵乳の原料を、殺菌し、乳酸菌を接
種して発酵し、pH4.70以上5.00未満の範囲で
発酵を停止し、ホイップすることを特徴とする添加剤を
使用しないホイップヨーグルトの製造方法、である。本
明細書において百分率は、特に断りのない限り重量によ
る値である。
【0003】
【従来の技術】近年、わが国においては、健康志向の風
潮の高まりと共に発酵乳の消費量が年々増加し、また発
酵乳製品の研究開発が活発に行われ、市場における発酵
乳製品に対するニーズも多様化してきている。一方、デ
ザートにクリーミィーで軽い食感を付与することを目的
として、各種のデザートの製造法においてホイップ処理
が採用され、ホイップ・デザート等が種々製造されてお
り、例えば、発酵乳をホイップ処理してなるホイップヨ
ーグルトも市販されている。
【0004】ところで、ホイップ・デザートの工業的規
模の製造における従来技術の課題は、ヨーグルトが酸性
であるため、微細な気泡を最終製品中に均一に分散でき
ないこと、及びその分散の状態を長時間安定に保持し得
ないことであり、換言すれば、各種添加剤及び/又は油
脂等を使用するか、又は特殊な製造法を採用か、のいず
れかの手段を用いない限り、ホイップヨーグルトを工業
的規模で製造することは、不可能であったといっても過
言ではない。
【0005】このような状況の中で、従来、ホイップヨ
ーグルトの製造方法等が種々開発されているが、その代
表的なものを例示すれば、次のとおりである。 (1)2種類以上のゲル化剤を含むデザート用混合液
を、最も高いゲル化温度のゲル化剤のゲル化温度以下で
かつ最も低いゲル化温度のゲル化剤のゲル化温度を超え
る温度範囲で、ホイップすることを特徴とするホイップ
デザートの製造方法(特開昭59−113857号公
報)。
【0006】(2)連続的にホイップされたホイップ済
みクリームと、pH4.0〜5.5でSNF含量4〜1
5%の発酵乳を含むカスタードクリームとを密閉式混合
装置に供給し、密閉下で短時間連続混合することを特徴
とする泡入りサワーカスタードクリームの製造方法(特
開昭61−170339号公報)。
【0007】(3)ゲル化剤を含むヨーグルトベースと
ホイップ済みクリームを混合装置に供給し、密閉下で短
時間連続混合することを特徴とするホイップヨーグルト
の製造方法(特開昭64−37248号公報)。
【0008】(4)生クリームを乳酸発酵させpHを
3.5〜4.5にしたサワークリームにペクチンを最終
製品に対し0.15〜1.5%になる様に添加し、混
合、加温、均質化並びに殺菌、冷却した後、通常のホイ
ップ用クリームと1:2から2:1の範囲で混合し、ホ
イッピングさせることを特徴とする混合サワーホイッピ
ングクリームの製造方法(特開昭62−215340号
公報)。
【0009】(5)油相と水相とを酸性物質の存在下で
乳化してpH3.5〜5.5の酸性ホイッピングクリー
ムを製造するに当たり、乳化剤としてO/W型乳化性の
強められたレシチンを使用することを特徴とする酸性ホ
イッピングクリームの製造法(特開昭63−14674
号公報)。
【0010】(6)油脂20〜42%、蛋白質2〜10
%、クエン酸のアルカリ金属塩0.05〜2.5%、酸
性物質及び乳化剤を含有し、pH3.5〜5.5である
ことを特徴とする高蛋白低脂肪酸性ホイッピングクリー
ム(特開昭64−51054号公報)。
【0011】しかしながら、前記従来技術の(1)の方
法では、ヨーグルトベースに多量のゲル化剤及び乳化剤
を用いることを必須の要件とするものであり、かつその
ことにより発酵乳本来の自然な風味を害する不都合があ
り、更にゲル化剤の多くが低温でゲル化し易いことから
温度管理が難しく、かつ製造工程が複雑になるという不
都合があった。
【0012】また、前記従来技術の(2)及び(3)の
方法では、最終製品のオーバーランを高くするために
は、多量のホイップ済みクリームを混合する必要があ
り、最終製品中の脂肪量が、通常のヨーグルトに比べ顕
著に高くなり、ヨーグルトに期待される健康感が阻害さ
れると言う不都合があり、更にホイップ済みクリーム中
に乳化剤、ゲル化剤を用いることを必須の要件とするも
のであり、そのことにより発酵乳本来の自然な風味を害
する不都合があった。
【0013】更に、前記従来技術の(4)乃至(6)の
方法等では、ホイップする発酵乳に多量の乳化剤等を用
いることを必須の要件とするものであり、そのことによ
り発酵乳本来の自然な風味を害し、かつ健康イメージを
低下させるという不都合があり、更に発酵乳を殺菌する
ため、厚生省令(昭和26年12月27日厚生省令第5
2号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」)にお
いて規定する発酵乳ではなくなるという不都合があり、
市販されているホイップヨーグルトも各種添加剤が含ま
れているものばかりであった。
【0014】このように、従来市販されているホイップ
ヨーグルトを含め、ホイップヨーグルトの従来の製造方
法が種々提案されているものの、いずれも前記の如き問
題点を有するものであり必ずしも満足の行くものではな
いものであることから、当業界においてそれらの問題点
を根本的に解決した新しいホイップヨーグルト及び、そ
れらを根本的に解決し得る新しい製造方法を開発するこ
とが強く要請されている状況にあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、このような状況を踏まえ、前記の如き従来の方法及
び製品における不都合を改善し、かつ従来前記の如き添
加剤を使用することなしには製造することができなかっ
た微細な気泡を安定に含有する高品質の製品、即ち、安
定、かつ微細な気泡を含有し、クリーミィーな食感を有
し、保存性及び風味において優れた新規なホイップヨー
グルト及びホイップヨーグルトの新しい製造法を開発す
ることを目標として鋭意研究を行った結果、特定の組成
及び特定のpH範囲の発酵乳を、特定の温度でホイップ
することにより、各種添加剤及び/又は油脂を一切使用
せずに、前記目標とするところの安定、かつ微細な気泡
を含有し、クリーミィーな食感を有し、保存性及び風味
において優れた新しいタイプのホイップヨーグルトが得
られることを見出し、本発明を完成した。
【0016】本発明の目的は、乳化剤、ゲル化剤、起泡
剤、安定剤等の添加剤、油脂等を一切使用せずに自然の
原料を用いて製造される微細な気泡を安定に含有する新
規ホイップヨーグルト及びその製造方法を提供すること
である。
【0017】本発明の他の目的は、特殊な製造法を採用
することなく、微細な気泡を最終製品中に均一に分散す
ることが可能なホイップヨーグルトの製造方法を提供す
ることである。
【0018】本発明の他の目的は、安定、かつ微細な気
泡を含有し、クリーミィーな食感を有し、長期間保存に
よっても気泡が安定に保持され、ヨーグルト本来の風味
を有するホイップヨーグルト及びその製造方法を提供す
ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第一の発明は、乳脂肪含量が0.21%(重量)以
下、無脂乳固形分含量が12.0〜20.0%(重
量)、pHが4.70以上5.00未満、かつオーバー
ランが250〜500%であって、添加剤を一切含有し
ていないことを特徴とする微細な気泡を安定に含有する
ホイップヨーグルト、である。
【0020】前記課題を解決する本発明の第二の発明
は、乳脂肪含量及び無脂乳固形分含量が、それぞれ0.
21%(重量)以下及び12.0〜20.0%(重量)
であって、添加剤を一切含まない発酵乳の原料を、殺菌
し、乳酸菌を接種して発酵し、pH4.70以上5.0
0未満の範囲で発酵を停止し、得られた発酵乳の品温を
5〜25℃に調整し、ホイップすることを特徴とする添
加剤を使用しないホイップヨーグルトの製造方法、であ
る。
【0021】次に本発明について更に詳述する。本発明
のホイップヨーグルトは、乳脂肪含量が0.21以下、
望ましくは0.19%以下であり、無脂乳固形分含量が
12.0〜20.0%、望ましくは14.0〜18.0
%の範囲であり、pHが4.70以上5.00未満、望
ましくは4.75〜4.89の範囲であり、かつオーバ
ーランが250〜500%、望ましくは300〜480
%の範囲であり、ゲル化剤、安定剤、起泡剤、乳化剤等
の添加剤を一切含有しておらず、全く天然の材料からの
み構成されている。しかも、本発明のホイップヨーグル
トは、安定かつ微細な気泡を含有し、クリーミィーな食
感を有し、長期間の保存によっても気泡が安定に保持さ
れ、ヨーグルト本来の風味を有し、従来のホイップヨー
グルトにはない、優れた特性を有している。尚、本発明
のホイップヨーグルトに、必要に応じてクリーム、プレ
ザーブ、他のホイップしていない発酵乳等の1種又は2
種以上を適宜添加し、均一に混合することもできる。
【0022】本発明のホイップヨーグルトは、次に記載
する本発明の製造方法により製造することができる。本
発明において、発酵に使用する原料(以下発酵原料と記
載することがある)は、乳脂肪含量が0.21%以下で
あって、無脂乳固形分(SNF)含量が12.0〜2
0.0%であり、ゲル化剤、安定剤、起泡剤、乳化剤、
もしくはこれらと同効のもの等の添加剤は一切含まれて
いない。このように、本発明においては、このような特
定の組成の原料を使用し、かつゲル化剤、安定剤、起泡
剤、乳化剤、もしくはこれらと同効のもの等の添加剤を
一切使用しないことが重要、かつ不可欠の要件である。
このような乳脂肪含量の少ない発酵原料として、脱脂粉
乳又はホエー蛋白質濃縮物を水に溶解した還元乳、及び
これらと同効のもの等を例示することができる。
【0023】発酵原料の乳脂肪含量は、脱脂粉乳又はホ
エー蛋白質濃縮物等に由来する極めて少量にとどめるこ
とが必須であり、0.21%以下、望ましくは0.19
%以下に調整する。当該乳脂肪含量の範囲は、所期の目
的を達成し得る限界値を示すものとして規定されるもの
であり、後記する試験例から明らかなように、微量の乳
脂肪を添加するのみで、発酵乳のホイップ状態(以下ホ
イップ性と記載することがある)が著しく劣化し、かつ
ホイップヨーグルトに含まれる気泡の安定性も低下す
る。
【0024】発酵原料のSNF含量は、12.0〜2
0.0%に調整することが必要であり、望ましくは1
4.0〜18.0%に調製する。当該SNF含量の範囲
は、所期の目的を達成し得る限界値を示すものとして規
定されるものであり、後記する試験例から明らかなよう
に、SNF含量が12.0%未満の場合は、ホイップ性
及びホイップヨーグルトの安定性が顕著に低下する。S
NF含量が20.0%を超える場合は、得られた発酵乳
のカードが著しく粗くなり、ホイップヨーグルトの食感
が悪化すること及び得られた発酵乳の後酸度(即ち、発
酵終了後の酸度)の増加が著しく、後記する試験例から
明らかなように、ホイップ時の酸度調整が困難になる不
都合が生じる。以上のようにして調製された発酵原料の
殺菌、発酵に使用する乳酸菌、乳酸菌の接種、及び発酵
方法は、特に限定されるものではなく、常法により行う
ことができる。
【0025】発酵を終了した発酵乳を、最良の条件でホ
イップするため、ホイップ時のpHは4.70以上5.
00未満に調製することが必要であり、望ましくは4.
75〜4.89、の範囲に調整する。当該pHの範囲
は、所期の目的を達成し得る限界値を示すものとして規
定されるものであり、後記する試験例から明らかなよう
に、5.00以上のpHでは、ホイップ性は優れている
が、ホイップヨーグルトの安定性が極めて悪化する。ま
た、4.70未満のpHでは、ホイップ性及びホイップ
ヨーグルトの安定性が悪化する。尚、発酵終了時からホ
イップするまで品温を調整する間に、後酸度が増加する
ことがあるので、この後酸度の増加を見込んで発酵の終
了時点のpHが決定される。
【0026】発酵乳をホイップする時の品温は、5〜2
5℃に調整することが必要であり、望ましくは10〜2
0℃に調整する。当該品温の範囲は、所期の目的を達成
し得る限界値を示すものとして規定されるものであり、
更に、5℃未満に品温を低下させることは実際の製造工
程では容易ではなく、また、後記の試験例から明らかな
ように、25℃を超える温度では、ホイップに長時間を
要するという不都合が生じる。
【0027】pH及び品温を調整した発酵乳は、常法に
より回分式又は連続式ホイッパーによりホイップするこ
とによりオーバーランを250〜500%に調整するこ
とが必要であり、望ましくはオーバーラン300〜48
0%、の範囲でホイップされる。当該オーバーランの範
囲は、所期の目的を達成し得る限界値を示すものとして
規定されるものであり、オーバーランが250%未満の
場合、気泡が不安定、かつ粗くなって望ましくなく、ま
た、オーバーランが500%を超える場合、気泡が不安
定、かつ粗くなるとともに食感が悪化して望ましくな
い。
【0028】このようにして得られたホイップヨーグル
トに、必要に応じてクリーム、プレザーブ、他のホイッ
プしていない発酵乳、又はそれらと同効のもの等の1種
又は2種以上を適宜添加し、均一に混合することもでき
る。ホイップされた発酵乳又は他の食品を混合したホイ
ップヨーグルトは、常法により容器に充填し、密封し、
最終製品を得ることができる。
【0029】以上の方法により製造されたホイップヨー
グルトは、安定、かつ微細な気泡を含有し、クリーミィ
ーな食感を有し、長期間の保存によっても気泡が安定に
保持され、ヨーグルト本来の風味を有すると共に、添加
剤を一切含まないと云う優れた特性を有するものである
が、かかる特性は、乳脂肪含量、無脂乳固形分含量、p
H及び品温もしくはオーバーランが前記の全ての条件を
満たしている場合にのみ得られるものであり、前記の条
件のいずれかを満たしていない場合には、このような特
性を有するホイップヨーグルトを製造することは不可能
である。
【0030】尚、従来、ホイップヨーグルトに関する製
造技術が種々提案されており、その一部の条件において
本発明のものと近似するものが使用されているものの、
いずれも、乳化剤、ゲル化剤、起泡剤、安定剤等の添加
剤を使用して、そのホイップ性の改善を図るものがほと
んどであり、本発明者らの知るところによれば、このよ
うな添加剤を一切使用することなしに前記の如き特性を
有するホイップヨーグルトを製造した例はこれまでにな
く、本発明に係る前記の如きホイップヨーグルト及びそ
の製造方法は、本発明者らによってはじめて提案された
新規なものである。
【0031】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例1 この試験は、発酵原料のSNF含量がヨーグルトのホイ
ップ状態に及ぼす影響を調べるために行った。 (1)試料の調製 発酵原料のSNF含量を表1に示すとおり変更したこと
を除き、実施例1と同一の方法により試料1〜試料5を
調製した。
【0032】(2)試験方法 各試料500gをホイッパー(KEN WOOD CHEF愛工舎
製)により、10℃に保持しながら489r.p.m.
で攪拌し、その一部を経時的に採取し、オーバーラン
(常法)及びペネトロメーター測定値[ペネトロメータ
ー(中村医化理科製)により先端角度20°、12gの
重りを入れたペネトロコーンを用いて測定した際の、ペ
ネトロメーターの示す値]を測定した。また、前記と同
時に採取した試料の一部について、ホイップ直後及び室
温に1時間放置後、顕微鏡でホイップヨーグルトの気泡
を、そして肉眼で組織の状態を、それぞれ観察し、次の
基準により気泡の状態を試験した。 粗い気泡:全起泡中直径1mm以上の起泡が大半を占め
る状態。 細かい気泡:全起泡中直径1mm未満0.5mm以上の
起泡が大半を占める状態。 微細な気泡:全起泡中直径0.5mm未満の起泡が大半
を占める状態。
【0033】尚、ペネトロメーター測定値は、ホイップ
ヨーグルトの硬さを示す値であり、240〜360の範
囲が望ましい値である。この値が240未満の場合は、
硬過ぎ、360を超える場合(表には測定不能と表示し
ている)は、柔らか過ぎて望ましくない。
【0034】(3)試験結果 この試験の結果は、表1及び図1に示すとおりである。
表1は、最高のオーバーランが得られた時点におけるオ
ーバーラン、ペネトロメーター測定値、気泡及び組織の
状態を示す。また、図1は、SNF含量の相違によるホ
イップ時間とオーバーランとの関係を示し、図の縦軸及
び横軸は、それぞれオーバーラン(%)及びホイップ時
間(分)を示す。図中○、●、△、▲及び□は、それぞ
れ試料1、試料2、試料3、試料4及び試料5を示す。
【0035】表1から明らかなように、発酵原料のSN
F含量が12.0〜20.0%の範囲では、オーバーラ
ンが296〜489%、ペネトロメーター測定値が24
4〜340であり、気泡及び組織の状態も良好であっ
た。表1には示していないが、発酵原料のSNF含量が
21.0%の試料では、得られた発酵乳のカードが著し
く粗く、硬いものとなり、均質化等の処理をしなけれ
ば、次のホイップ処理ができない状態であった。これに
対して、発酵原料のSNF含量が12.0%未満の場
合、オーバーランが155%と低く、ペネトロメーター
測定値が測定不能であり、気泡の状態も不良であった。
【0036】一方、図1から明らかなように、経時的な
オーバーランの状態は、発酵原料のSNF含量の増加と
ともに、短時間で高いオーバーランが得られ、発酵原料
のSNF含量が12.0%未満の場合、オーバーラン開
始10分以後オーバーランの増加が認められなかった。
これに対して、発酵原料のSNF含量が12.0〜2
0.0%の場合、オーバーラン開始から遅くとも14分
以内に約300%以上のオーバーランが得られた。従っ
て、本発明においては発酵原料のSNF含量を12.0
〜20.0%の範囲に調整することが必要であり、望ま
しくは14.0〜18.0%の範囲に調整する。尚、発
酵乳の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得
られた。
【0037】
【表1】
【0038】試験例2 この試験は、発酵原料の脂肪含量がヨーグルトのホイッ
プ状態に及ぼす影響をを調べるために行った。 (1)試料の調製 発酵原料の脂肪含量を、乳脂肪含量45%のクリーム
(森永乳業社製)を添加して表2に示すとおり変更した
ことを除き、実施例1と同一の方法により試料6〜試料
10を調製した。
【0039】(2)試験方法 試験例1と同一の方法により試験した。
【0040】(3)試験結果 この試験の結果は、表2及び図2に示すとおりである。
表2は、最高のオーバーランが得られた時点におけるオ
ーバーラン、ペネトロメーター測定値及び気泡の状態を
示す。また図2は、脂肪含量の相違によるホイップ時間
とオーバーランとの関係を示し、図の縦軸及び横軸は、
それぞれオーバーラン(%)及びホイップ時間(分)を
示す。図中○、●、△、▲及び□は、それぞれ試料6、
試料7、試料8、試料9及び試料10を示す。
【0041】表2から明らかなように、発酵原料の脂肪
含量が0.21以下では、オーバーランが350%以
上、ペネトロメーター測定値が260以上であり、気泡
の状態も良好であった。
【0042】一方、図2から明らかなように、経時的な
オーバーランの状態は、発酵原料の脂肪含量の増加とと
もに、オーバーランが低下し、発酵原料の脂肪含量が
0.21%未満の場合、オーバーラン開始8分で最高の
オーバーランが得られた。これに対して、発酵原料の脂
肪含量が0.21を超える場合、オーバーラン開始から
20分を経過しても、オーバーランは200%以下であ
った。従って、本発明においては発酵原料の脂肪含量を
0.21以下に調整することが必要であり、望ましくは
0.19%以下に調整する。尚、発酵乳の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0043】
【表2】
【0044】試験例3 この試験は、発酵乳のpHがヨーグルトのホイップ状態
に及ぼす影響を調べるために行った。 (1)試料の調製 実施例1と同一の方法により発酵原料を調整し、スター
ター接種直前(試料11)、スターター接種2時間後
(試料12)、3時間後(試料13)、4時間後(試料
14)、5時間後(試料15)、発酵終了1日後(試料
16)、2日後(試料17)、3日後(試料18)、4
日後(試料19)及び6日後(試料20)の各試料を調
製した。
【0045】(2)試験方法 気泡の状態の試験をホイップ終了30分後にも実施した
ことを除き、試験例1と同一の方法によった。
【0046】(3)試験結果 この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3は、
最高のオーバーランが得られた時点におけるオーバーラ
ン、ペネトロメーター測定値、気泡及び組織の状態を示
す。表3から明らかなように、発酵乳のpHが5.00
以上の場合は、オーバーランが440%以上であり、気
泡の状態は不良であった。また、発酵乳のpHが4.7
0未満の場合は、オーバーランが390%以下、ペネト
ロメーター測定値が測定不能であり、気泡の状態は不良
であった。
【0047】これに対して、発酵原料のpHが4.70
以上5.00未満の場合、オーバーランが415〜47
2%、ペネトロメーター測定値が297〜359であ
り、気泡の状態は極めて良好であった。従って、本発明
においては発酵原料のpHを4.70以上5.00未満
の範囲に調整することが必要であり、望ましくは4.7
5〜4.89の範囲に調整する。尚、発酵乳の種類を変
更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0048】
【表3】
【0049】試験例4 この試験は、発酵乳の品温がヨーグルトのホイップ状態
に及ぼす影響を調べるために行った。 (1)試料の調製 実施例1と同一の方法により発酵乳を調製した。
【0050】(2)試験方法 前記発酵乳各500gをホイッパー(KEN WOOD CHEF愛
工舎製)により、5℃(試料21)、10℃(試料2
2)、15℃(試料23)、20℃(試料24)、25
℃(試料25)及び30℃(試料26)に保持し、以下
試験例1と同一の方法により試験を行った。
【0051】 (3)試験結果この試験の結果は、図3に示すとおりで
ある。図3は、発酵乳の品温の相違によるホイップ時間
とオーバーランとの関係を示し、図の縦軸及び横軸は、
それぞれオーバーラン(%)及びホイップ時間(分)を
示す。図中○、●、△、▲、□及び■は、それぞれ試料
21、試料22、試料23、試料24、試料25及び試
料26を示す。
【0052】図3から明らかなように、ホイップ時の発
酵乳の品温が20℃以下の場合は、短時間(15分以
内)で高いオーバーランが得られ、ホイップ時の発酵乳
の品温が25℃の場合は、高いオーバーランが得られる
が、若干時間(約20分)を要することが判明した。こ
れに対して25℃を超える品温では、高いオーバーラン
が得られないことが明らかとなった。従って、本発明に
おいては、ホイップ時の発酵乳の品温を5〜25℃に調
整することが必要であり、望ましくは10〜20℃に調
整する。尚、発酵乳の種類を変更して試験したが、ほぼ
同様の結果が得られた。
【0053】
【実施例】次に実施例を示して本発明を更に詳述する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 脱脂粉乳(森永乳業社製)6.15kgを水42.35
kgに溶解し(乳脂肪及びSNFをそれぞれ0.13%
及び12.0%含有)、90℃で15分間加熱殺菌し、
40℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス及びス
トレプトコッカス・サーモフィルスからなる混合ヨーグ
ルトスターター(ハンセン社製)を1.5kg接種して
均一に混合し、のち37℃に保った発酵タンクで5時間
発酵させ、pHが4.90になった時点で発酵を終了し
た。発酵終了後、攪拌しながら15℃に冷却し、連続式
ホイッパー(森永乳業社製。MM−50A)によりホイ
ップし、130ml容のヨーグルトカップに40gづつ
充填し、ホイップヨーグルト1200個を得た。
【0054】得られたホイップヨーグルトは、オーバー
ランが300%であり、安定かつ微細な気泡を含有し、
クリーミィーな食感を有し、5℃で14日間保存した後
も、組織、風味、及び食感が良好であった。
【0055】実施例2 脱脂粉乳(森永乳業社製)17.6kgを水79.4k
gに溶解し(乳脂肪及びSNFをそれぞれ0.18%及
び17.0%含有)、90℃で15分間加熱殺菌し、4
0℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス及びスト
レプトコッカス・サーモフィルスからなる混合ヨーグル
トスターター(ハンセン社製)を3.0kg接種して均
一に混合し、のち37℃に保った発酵タンクで5時間発
酵させ、pHが4.80になった時点で発酵を終了し
た。発酵終了後、攪拌しながら15℃に冷却し、連続式
ホイッパー(森永乳業社製。MM−50A)によりホイ
ップし、130ml容のヨーグルトカップに40gづつ
充填し、ホイップヨーグルト2400個を得た。
【0056】得られたホイップヨーグルトは、オーバー
ランが300%であり、安定かつ微細な気泡を含有し、
クリーミィーな食感を有し、5℃で14日間保存した後
も、組織、風味、及び食感が良好であった。
【0057】実施例3 脱脂粉乳(森永乳業社製)10.36kgを水38.1
4kgに溶解し(乳脂肪及びSNFをそれぞれ0.21
%及び20.0%含有)、90℃で15分間加熱殺菌
し、40℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス及
びストレプトコッカス・サーモフィルスからなる混合ヨ
ーグルトスターター(ハンセン社製)を1.5kg接種
して均一に混合し、のち37℃に保った発酵タンクで5
時間発酵させ、pHが4.70になった時点で発酵を終
了した。発酵終了後、攪拌しながら15℃に冷却し、連
続式ホイッパー(森永乳業社製。MM−50A)により
ホイップし、130ml容のヨーグルトカップに40g
づつ充填し、ホイップヨーグルト1200個を得た。
【0058】得られたホイップヨーグルトは、オーバー
ランが300%であり、安定かつ微細な気泡を含有し、
クリーミィーな食感を有し、5℃で14日間保存した後
も、組織、風味、及び食感が良好であった。
【0059】実施例4 実施例1を反復し、ホイップヨーグルトを得た。これと
は別に、ゼラチン(新田ゼラチン社製)0.3kg、砂
糖(三井精糖社製)2.5kgを水7.2kgに混合
し、90℃で15分間加熱溶解・殺菌し40℃迄冷却
し、前記のホイップヨーグルトと混合し、130ml容
のヨーグルトカップに100gづつ充填し、ホイップヨ
ーグルト600個を得た。
【0060】得られたホイップヨーグルトは、安定かつ
微細な気泡を含有し、クリーミィーな食感を有し、5℃
で14日間保存した後も、組織、風味、及び食感が良好
であった。
【0061】実施例5 脱脂粉乳(森永乳業社製)8.00kgを水40.5k
gに溶解し(乳脂肪及びSNFをそれぞれ0.16%及
び15.5%含有)、90℃で15分間加熱殺菌し、4
0℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス及びスト
レプトコッカス・サーモフィルスからなる混合ヨーグル
トスターター(ハンセン社製)を1.5kg接種して均
一に混合し、37℃に保った発酵タンクで5時間発酵さ
せ、pHが4.80になった時点で発酵を終了した。発
酵終了後、攪拌しながら10℃まで冷却し、連続式ホイ
ッパー(森永乳業社製。MM−50A)によりホイップ
し、ホイップヨーグルトを得た。得られたホイップヨー
グルトのオーバーランは、300%であった。
【0062】このホイップヨーグルトに乳脂肪含量45
%のクリーム(森永乳業社製)20kg及びストロベリ
ープレザーブ(長谷川香料社製)30.0kgを加え、
良く攪拌し、130mlのヨーグルトカップに80gづ
つ充填し、ストロベリー入りホイップヨーグルト120
0個を得た。
【0063】得られたホイップヨーグルトは、安定かつ
微細な気泡を含有し、クリーミィーな食感を有し、5℃
で14日間保存した後も、組織、風味、及び食感が良好
であった。
【0064】実施例6 脱脂粉乳(森永乳業社製)7.00kgを水41.5k
gに溶解し(乳脂肪及びSNFをそれぞれ0.14%及
び13.6%含有)、90℃で15分間加熱殺菌し、4
0℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス及びスト
レプトコッカス・サーモフィルスからなる混合ヨーグル
トスターター(ハンセン社製)1.5kgを接種して均
一に混合し、37℃に保った発酵タンクで5時間発酵さ
せ、pHが5.00になった時点で発酵を終了した。発
酵終了後、攪拌しながら10℃まで冷却し、連続式ホイ
ッパー(森永乳業社製。MM−50A)によりホイップ
し、ホイップヨーグルトを得た。得られたホイップヨー
グルトのオーバーランは、300%であった。
【0065】これとは別に生乳20kg、脱脂粉乳(森
永乳業社製)3.5kg、乳脂肪含量45%クリーム
(森永乳業社製)1kg及び砂糖(三井製糖社製)5k
gを水19.0kgに混合し、90℃で15分間加熱殺
菌し、40℃に冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクス
及びストレプトコッカス・サーモフィルスからなる混合
ヨーグルトスターター(ハンセン社製)1.5kgを接
種して均一に混合し、37℃に保った発酵タンクで5時
間発酵させた。発酵終了後、攪拌しながら10℃に冷却
し、これを前記のホイップヨーグルトと混合し、130
mlのヨーグルトカップに80gずつ充填し、ホイップ
ヨーグルト1200個を得た。
【0066】得られたホイップヨーグルトは、安定かつ
微細な気泡を含有し、クリーミィーな食感を有し、5℃
で14日間保存した後も、組織、風味、及び食感が良好
であった。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明のホイップ
ヨーグルトは、特定の組成、特定のpH及びオーバーラ
ンを有し、かつ添加剤を一切含まないことを特徴とする
ものであり、また、本発明のホイップヨーグルトの製造
方法は、特定の組成及び特定のpH範囲の発酵乳を、特
定の温度でホイップすることを特徴とするものであり、
かかる本発明によって奏せられる効果は次のとおりであ
る。 1)安定剤、ゲル化剤、乳化剤等の添加物を一切用いる
ことなく、かつ簡単な製造工程により、従来、このよう
な添加剤を使用することなしには製造することができな
かった微細な気泡を安定に含有する高品質のホイップヨ
ーグルトを得ることができる。 2)安定、かつ微細な気泡を含有し、クリーミィーな食
感を有し、長期間の保存によっても気泡が安定に保持さ
れ、ヨーグルト本来の風味を有すると共に、添加剤を一
切含まないと云う優れた特性を有するホイップヨーグル
トが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SNF含量の相違によるホイップ時間とオーバ
ーランとの関係を示す。
【図2】乳脂肪含量の相違によるホイップ時間とオーバ
ーランとの関係を示す。
【図3】ホイップヨーグルトの品温の相違によるホイッ
プ時間とオーバーランとの関係を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳脂肪含量が0.21%(重量)以下、
    無脂乳固形分含量が12.0〜20.0%(重量)、p
    Hが4.70以上5.00未満、かつオーバーランが2
    50〜500%であって、添加剤を一切含有していない
    ことを特徴とする微細な気泡を安定に含有するホイップ
    ヨーグルト。
  2. 【請求項2】 乳脂肪含量及び無脂乳固形分含量が、そ
    れぞれ0.21%(重量)以下及び12.0〜20.0
    %(重量)であって、添加剤を一切含まない発酵乳の原
    料を、殺菌し、乳酸菌を接種して発酵し、pH4.70
    以上5.00未満の範囲で発酵を停止し、得られた発酵
    乳の品温を5〜25℃に調整し、ホイップすることを特
    徴とする添加剤を使用しないホイップヨーグルトの製造
    方法。
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