JPH0778344B2 - 樋付きパネルの組立構造およびその組付方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建屋の内側から組み付け
られるようにした樋付きパネルの組立構造およびその組
付方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、工場や倉庫等の比較的大きな建屋
のパネルは、鉄骨構造の外側に足場を組んで、外部から
一枚ずつ取り付けられていた。つまり、パネルを固定す
るためのパネル枠は鉄骨構造に予め組み付けられてお
り、そのパネル枠に対して外側の足場から当てがったパ
ネルをビス止めやリベット等により固定していた。従っ
て、そのパネルの外側に横方向に取り付けられる樋も外
側の足場から取り付けられていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、パネ
ルや横樋を鉄骨構造の外側から組み付ける方法では、鉄
骨構造の周囲に足場を組むためのスペースを必要とする
上に、足場上でのビス止めやリベット作業が多くて組付
作業の能率が低いという難点がある。また、比較的大き
な横樋によって異物感が生じて建屋の外観が低下すると
いう難もあった。

【０００４】本発明はこのような実情を考慮してなさ
れ、建屋の内側から能率よく組み付けられる外観の良好
な樋付きパネルの組立構造およびその組付方法を提供す
ることを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するための手段を以下のように構成している。すなわ
ち、第１の発明では、表面に壁パネルを張設したパネル
枠の上部から外側方に突設させた支持部材の先端に、上
縁を外方に傾斜させて横方向に展張される横貼部材が取
り付けられ、その横貼部材と前記壁パネルとの間には、
前記支持部材の上方に横方向に配置される樋を、その外
側が前記横貼部材で覆われるように設けられるととも
に、前記パネル枠の内側に取付部材が取り付けられて、
これらが樋付きパネルユニットを形成し、その樋付きパ
ネルユニットの取付部材が、柱部材等の下地部材に取り
付けられた受部材に固定されることを特徴としている。

【０００６】第２の発明では、パネル枠の表面に壁パネ
ルを張設し、そのパネル枠の上部から外側方に突設させ
た支持部材の先端に、上縁を外方に傾斜させて横方向に
展張される横貼部材を取り付け、その横貼部材と前記壁
パネルとの間には、前記支持部材の上方に横方向に配置
される樋を、その外側が前記横貼部材で覆われるように
設けるとともに、前記パネル枠の内側に取付部材を取り
付けて、これらで樋付きパネルユニットを形成する一
方、柱部材等の下地部材に受部材を取り付け、その樋付
きパネルユニットの取付部材を、柱部材等の下地部材に
取り付けられた受部材に建屋の内側から固定することを
特徴としている。

【０００７】

【作用】第１の発明では、第２の発明に記載したよう
に、予め地上で、パネル枠に取付部材や壁パネル、支持
部材、横貼部材を一体化した樋付きパネルユニットを形
成するとともに、柱部材等の下地部材に受部材を取り付
け、クレーン等によってその樋付きパネルユニットを吊
持・搬入して、これを建屋の内部から受け取り、その樋
付きパネルユニットの取付部材を、柱部材等の下地部材
の受部材に固定すれば組み付けが完了する。その樋付き
パネルは高所に取り付けられることが多いが、予めユニ
ット化することにより、高所への部材の搬入を容易迅速
かつ安全におこなえ組付作業の能率が飛躍的に向上す
る。

【０００８】組み付けられた状態では、樋が横貼部材に
よって隠蔽されて外部から見えることがなく、スッキリ
とした良好な壁外観を呈する。

【０００９】

【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。図１は本発明の樋付きパネルの組立構造の一実施
例における要部縦断面図で、格子枠状に形成されたパネ
ル枠１の表面には壁パネル２が張設され、そのパネル枠
１の上部から外側方に支持部材３を突設させてその先端
に、上縁を外方に傾斜させて横方向に展張される横貼部
材４が取り付けられ、その横貼部材４と壁パネル２との
間には、パネル枠１の上部に一端を固定されて他端を横
貼部材４の内側上部に固定された樋受金具５に抱持され
た横樋６が配設されており、そのパネル枠１の裏面に
は、柱部材７に取り付けられた受部材８に固定される取
付部材９が予め溶接等によって取り付けられ、これらが
予め地上で一体化されて樋付きパネルユニット10（図５
参照）を形成し、建屋13の内側からその樋付きパネルユ
ニット10を下地材である柱部材７に対して容易かつ能率
よく組み付けることができるようにしている。すなわ
ち、組み付けに際しては、クレーン等によって吊持・搬
送される樋付きパネルユニット10を建屋13の内側から受
け取り、そのパネル枠１の裏面に取り付けた取付部材９
を柱部材７の受部材８に対応させてボルト11とナット12
の締結によって固定すればよい。

【００１０】そして、組み付けられた状態（図３および
図４参照）では、横樋６は横貼部材４によって隠蔽され
ているため、壁外観がスッキリとして見映えが良好とな
る。なお、図４にて符号33は屋根部材である。

【００１１】さらに詳細に説明すると、パネル枠１は、
図２に示すように、太い角パイプ（１００×１００×
２．３ｔ）よりなる縦桟14と横桟15とを接合して矩形状
（４．５ｍ×７．５ｍ程度）に形成され、各横桟15間に
はチャンネル材よりなる縦方向の補助桟16を設けて軽量
かつ堅牢に形成され、各補助桟16の外面側にはアングル
材を溶接して壁パネル２を取り付けるためのパネル受17
を形成するとともに、上部に配置される２つの横桟15，
15の間にはチャンネル材よりなる一対の支持桟22，22を
縦方向に設け、その両支持桟間に横貼部材４を支持する
ための角パイプよりなる支持部材３を溶接により固定し
ている。

【００１２】一方、その横桟15の裏面には、柱部材７
（図１参照）に取り付けられたアングル材よりなる受部
材８に固定するためのアングル材よりなる取付部材９が
溶接されている。

【００１３】前述のパネル受17に取り付けられる壁パネ
ル２は断熱材の両面を薄鋼板で被った軽量なサンドイッ
チパネルと称されるサイディング部材でビス止め21によ
り予め地上でパネル受17に取り付けられる。その取付作
業は、パイプ材等により櫓状に形成されて地上に据え置
かれた作業台上にパネル枠１を載置してその上に配置し
たサンドイッチパネル２を作業者が下方からドリルによ
りパネル受17に対してビス止め21するようにおこなわれ
る。なお、サンドイッチパネル２における支持部材３を
貫通させる個所は予め切り欠かれている。

【００１４】前述の支持部材３には、横貼部材４を取り
付けるための角パイプよりなる横長に形成された枠体25
が上開き状に傾斜して溶接により取り付けられており、
サンドイッチパネル２をパネル枠１に取り付けた後に、
その枠体25に横貼部材４がビス止め等によって張設され
る。

【００１５】その横貼部材４は矩形状の薄鋼板の周縁を
内側に向けてフランジ状に屈曲させたボックスパネルと
称される化粧鋼板で、その上部は、枠体25の上縁に沿っ
て被着されたかさぎと称される防水を兼ねた化粧用のキ
ャップ部材26によって覆われるとともに、その下部も、
枠体25の下縁に沿って被着された水切りを兼ねた化粧用
のカバー部材27に覆われている。なお、その化粧用のカ
バー部材27と壁パネル２との間に若干の間隙を設けて水
切り効果を良好ならしめるとともに、壁パネル２に止具
を設けたり孔を開設したりせずその防水性を向上させて
いる。

【００１６】この横貼部材４と壁パネル２との間には、
一端をビス止め27によってパネル枠１の上部に固定され
て他端を取付部材28を介してビス止め29等によって枠体
25の上部に固定された帯板状の樋受金具５に抱持された
横樋６が設けられている。その横樋６の底部と樋受金具
５との間には横樋６を補強するための合板30を介在さ
せ、雨水や風等によっても横樋６が過度に橈まないよう
にしている。

【００１７】なお、図１中、符号31は横樋６に接続され
る縦樋32の開口を覆う網状体よりなるゴミ除去用のキャ
ップである。

【００１８】上述のように構成される樋付きパネルユニ
ット10を、予め地上において組み付けを終了した後、ク
レーンにより吊持して柱部材７の所定位置に搬入し（図
５参照）、これを柱部材７間に架設した足場上の作業者
が内側に引き込み、柱部材７の受部材８にパネル枠１の
取付部材９を対応させてボルト11とナット12によって締
結固定すれば、樋付きパネルユニット10の組み付けを完
了することができる。つまり、建屋13の外部に足場を設
けることなく、予め地上で一体化した樋付きパネルユニ
ット10を、建屋13の内部に設けた足場上で受け取り組み
付けることにより、容易迅速かつ安全に組付作業を済ま
せることが可能となった。

【００１９】樋付きパネルユニット10が組み付けられた
状態（図４参照）では、隣接し合う壁パネル２，２間に
目地が発生するが、その目地部分には、別途用意された
縦樋付きの目地カバーユニット35が組み付けられ、その
目地部分で縦樋36の上端を横樋６に接続させている。な
お、その目地カバーユニット35は、目地部分を覆う目地
カバー37に支持部材（図示省略）を介して縦樋36を一体
的に取り付けてなり、樋付きパネルユニット10と略同一
高さに形成され、目地部分における両横貼部材４，４の
端縁が半円弧状に切り欠かれ、その切欠き部分に縦樋36
の上端をすき間なく貫挿させるとともに、その縦樋36よ
りも上方の両横貼部材４，４間の目地を別途用意した目
地カバー38で覆っている。

【００２０】上述のように組み付けられた建屋13は、化
粧用の横貼部材４，…によって横樋６が隠蔽されるので
スッキリとした壁外観を呈して見映えが良い。なお、横
貼部材４はボックスパネルに代えてサンドイッチパネル
やその他のパネル材を用いてもよいことはいうまでもな
い。

【００２１】また、横樋６の底部が合板30によって補強
されているので、横樋６の耐久性が良好なものとなる。

【００２２】そして、その合板30は、横樋６の底部に対
接して設けられるので雨水にさらされることがないため
劣化され難く耐久性が良好となる。なお、この合板30を
用いることにより、横樋６を薄くて軽量なものとするこ
とができるが、横樋６に充分な強度を与えれば合板30を
省くこともできる。また、その横樋６を支持している帯
状体の樋受金具５の底部は支持部材３に上載させてもよ
く、また、支持部材３との間にすき間を設けるようにし
てその樋受金具５の両端をパネル枠１と枠体25とに吊持
固定させてもよい。さらに、横樋６に充分な強度を与え
て、その外端を枠体25に、その内端をパネル枠１に、そ
れぞれ止具等を用いて固定して樋受金具５を省くことも
できる。この場合、横樋６の底部は直接支持部材３に上
載させればよい。さらにまた、横貼部材４または枠体25
の下縁をアングル材等の支持部材を介してパネル枠１に
固定してもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の樋付きパ
ネルの組立構造およびその組付方法によれば、表面に壁
パネルを張設したパネル枠の上部から外側方に突設させ
た支持部材の先端に、上縁を外方に傾斜させて横方向に
展張される横貼部材を取り付けるとともに、その横貼部
材と前記壁パネルとの間には、前記支持部材の上方に横
方向に配置される樋を、その外側が前記横貼部材で覆わ
れるように設けるとともに、前記パネル枠の内側に取付
部材が取り付けられて、これらで樋付きパネルユニット
を形成しているので、その樋付きパネルユニットを予め
地上で形成するとともに柱部材等の下地部材に受部材を
取り付け、建屋の外側に足場を設けることなく、その樋
付きパネルユニットをクレーン等で吊持・搬入して建屋
の内側からこれを受け取って柱部材等に取り付けられた
受部材に、樋付きパネルユニットの取付部材を固定すれ
ば容易迅速かつ安全に樋付きパネルの組み付けを完了す
ることができる。

【００２４】組み付けられた状態では、樋が横貼部材に
よって隠蔽されて外部から見えることがなく、スッキリ
とした良好な壁外観を呈する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の樋付きパネルの組立構造の一実施例に
おける要部拡大縦断面図である。

【図２】同パネル枠の斜視図である。

【図３】同パネルユニットが建屋に組み付けられた状態
の縦断面図である。

【図４】同建屋の正面図である。

【図５】同パネルユニットを吊持・搬入している状態を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１…パネル枠、２…壁パネル、３…支持部材、４…横貼
部材、６…樋、７…柱部材、８…受部材、９…取付部
材、10…パネルユニット。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内野 則行 愛知県名古屋市中区錦１丁目18番22号 株 式会社竹中工務店 名古屋支店内 (72)発明者 吉村 秀男 愛知県名古屋市中区錦１丁目18番22号 株 式会社竹中工務店 名古屋支店内 (72)発明者 岡山 徳之 愛知県名古屋市中区錦１丁目18番22号 株 式会社竹中工務店 名古屋支店内 (72)発明者 武内 隆 大阪府大阪市中央区南本町４丁目１番１号 株式会社淀川製鋼所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に壁パネルを張設したパネル枠の上
   部から外側方に突設させた支持部材の先端に、上縁を外
   方に傾斜させて横方向に展張される横貼部材が取り付け
   られ、その横貼部材と前記壁パネルとの間には、前記支
   持部材の上方に横方向に配置される樋を、その外側が前
   記横貼部材で覆われるように設けられるとともに、前記
   パネル枠の内側に取付部材が取り付けられて、これらが
   樋付きパネルユニットを形成し、その樋付きパネルユニ
   ットの取付部材が、柱部材等の下地部材に取り付けられ
   た受部材に固定されることを特徴とする樋付きパネルの
   組立構造。
2. 【請求項２】 パネル枠の表面に壁パネルを張設し、そ
   のパネル枠の上部から外側方に突設させた支持部材の先
   端に、上縁を外方に傾斜させて横方向に展張される横貼
   部材を取り付け、その横貼部材と前記壁パネルとの間に
   は、前記支持部材の上方に横方向に配置される樋を、そ
   の外側が前記横貼部材で覆われるように設けるととも
   に、前記パネル枠の内側に取付部材を取り付けて、これ
   らで樋付きパネルユニットを形成する一方、柱部材等の
   下地部材に受部材を取り付け、その樋付きパネルユニッ
   トの取付部材を、柱部材等の下地部材に取り付けられた
   受部材に建屋の内側から固定することを特徴とする樋付
   きパネルの組付方法。