JPH0623622Y2 - ド−マの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は、屋根飾り用ドーマの取付作業を能率化できか
つ防水性能を高めうるドーマの取付構造に関する。

〔背景技術〕

近年、家屋には、その屋根に取付き外観に変化を与える
ことにより家屋の見映えを向上する屋根飾り用ドーマが
多用されている。

又このようなドーマを用いた家屋においては、従来、屋
根形成用の小屋根上に添設される野地板にドーマを取付
け、しかる後屋根葺材の載設を行なういわゆる積み上げ
工法による屋根葺施工が施されていた。

しかしこのような屋根葺施工においては、ドーマ周壁と
屋根葺材との接合部分に施される水切り、防水処理等の
雨仕舞が複雑化するため施工作業に工数、作業日数の増
加を招来し、施工能率に劣るとともに、防水効果も不十
分なものになりがちであった。

〔考案の目的〕

本考案は、屋根葺材が敷設された屋根パネルの前記屋根
葺材上面に予め固定された結合片に、ドーマ下端に設け
た取付片をボルト結合することを基本として、防水効果
に優れかつ施工能率を高めうるドーマの取付構造の提供
を目的としている。

〔考案の開示〕

本考案は、屋根葺材２が敷設されかつ屋根架構材３への
取付けにより家屋の屋根５を形成する屋根パネル６の前
記屋根葺材２上面に予め結合片７を水密材８を介して固
定するとともに、屋根５上に配される屋根飾り用のドー
マ９下端に設けた取付片１０を、前記結合片７にボルト
１１を用いて結合することによりドーマ９を固定するこ
とを特徴とするドーマの取付構造１であって、これによ
りドーマの取付作業を容易としている。

以下本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

第１〜５図においてドーマの取付構造１は、屋根パネル
６の屋根葺材２に予め固定された結合片７に、ドーマ９
下端に設けた取付片１０をボルト１１を用いて結合して
おり、本例では屋根葺材２は波状体からなるとともに、
結合片７は波溝３２を通るアングル材によって形成され
る。

屋根パネル６は、矩形な枠組１７に野地板１９を介して
屋根葺材２を敷設しており、又枠組１７は、上の枠材１
２、下の枠材１３、側の枠材１４、１４を四辺に配しか
つ、上、下の枠材１２、１３間には、側の枠材１４と平
行な中の枠材１５を適宜の間隔を隔てて並置される。な
お側の枠材１４、中の枠材１５は、屋根２におけるたる
木を形成し、又夫々上下の端面２１、２１は、屋根パネ
ル６の取付けによって垂直となるように、斜めに切り落
とされる。

又前記上、下の枠材１２、１３は本実施例では、側、中
の枠材１４、１５間を継ぐ短尺材からなり、釘等の斜め
打ち等によって、該側、中の枠材１４、１５をその両端
で連結する。なおＬ字状の固定金具を用いて連結するこ
ともでき、さらには上、下の枠材１２、１３として、側
の枠材１４間を継ぐ長尺材を用いるとともに、中の枠材
１５を上、下の枠材１２、１３間に架け渡す如く形成す
ることもできる。

又上下の枠材１２、１３は、各外向き面２２を、前記端
面２１に沿わして配設され、従ってその外向き面２２
は、屋根パネル６の取付けにより垂直となり、このよう
な、外向き面２２は前記端面２１とともに、取付により
垂直となる枠組１７の上辺、下辺を形成する。なお側、
中の枠材１４、１５には、下の枠材１３の内向き面近傍
に、下開放の切込み２３を設けるとともに、枠組１７の
上面には、野地板１９が添設される。野地板１９は、耐
水性、強度に優れる適宜の合板等の板材であり、枠組１
７の下辺とは小間隙ｇを控える一方、枠組１７の上辺、
側辺と面一となるように、枠組１７の全面に亘って添
設、固定される。この固定によって、枠組１７を強固に
補強したパネル基体が形成される。

又枠組１７の下辺には、野地板１９から前記小間隙ｇを
こえてはみ出す平板状の桟木２６が全巾に亘って固定さ
れる一方、桟木２６の上面には、野地板１９の上辺から
のび野地板全面を覆って敷設される防水シート２７がそ
の下辺まで載置される。又枠組１７の下辺の前記端面２
１、外向き面２２には、前記端面２１と同巾の面戸板２
９を取付けており、又前記野地板１９には、前記防水シ
ート２７を介して屋根葺材２が固定される。

屋根葺材２は、本例では、厚さ０．５mm程度を有しかつ
フッ素樹脂等により防水処理した鋼板を用いた板状体３
０であって、該板状体３０は、巾方向には、波頭３１、
波溝３２を連続して繰り返した波形の瓦状に折り曲げら
れるとともに、上下方向即ち屋根２流れ方向には、瓦が
順次重なるごとく、ほぼ瓦長さの間隔を隔てて、瓦全面
を成す段差３３を折り曲げにより夫々一体に形成したい
わゆるプレーゲル（商品名）を用いている。なお、三角
の山状に折曲げることもできる。このような板状体３０
からなる本例の屋根葺材２は、その下辺を前記枠組１７
の下辺からはみ出すとともに、上辺、側辺は、該枠組１
７と夫々整一しうる寸法を有し、従って該屋根葺材３
は、屋根２の流れ方向と直角の向きに波形を連続させて
取付けることにより、枠組１７の全面を覆って屋根葺き
できる。なお屋根葺材２は、波頭３１を通る釘等の固定
具を野地板１９に固着することにより固定される。

又下辺即ち軒先側では、前記屋根葺材２と面戸板２９と
の間を、軒先水切り板３４を用いて遮蔽する。

軒先水切り板３４は、前記桟木２６の下辺から該桟木２
６に沿って上辺側に延びる載置片３６の内縁に、前記屋
根葺材２の下面の折曲げ形状に一致する形状の上縁部を
有する立片３７を直角に設けるとともに、外縁には、前
記面戸板２９の上端下方にのびかつ下縁にＶ字の内向き
の折返し部３８を形成した垂下片３９を具えており、前
記載置片３６を釘打ち等を用いて固定することによっ
て、屋根葺材２と桟木２６との間を水切りしており、こ
のように、パネル基体に桟木２６、防水シート２７、屋
根葺材２、軒先水切り板３４を取付けることによって、
屋根パネル６が形成される。

なお屋根パネル６には、屋根葺材２上に結合片７、７が
固定される。

結合片７は、本例では、第１、４、５図に示すように、
下片部４１の側縁から立片部４２を直角に立上げるいわ
ゆる山形鋼等からなるＬ字状アングルが用いられ、屋根
葺材２の波溝３２を通って、互いに平行かつ立片部４
２、４２を夫々向き合わせて配されるとともに、下片部
４１に透設する小孔３５…及び波溝３２を通る例えばル
ーフボルト等の固定具４０を野地板１９に固着すること
により、屋根葺材２上面に屋根の流れ方向に沿って固定
される。

なお、前記中の枠材１５…を予め、結合片７を固定する
波溝３２の位置に合わせて配置することにより、固定具
４０は野地板１９を貫通しつつ中の枠材１５に固定でき
結合片７をより強固に取付けしうる。

又結合片７には、第４〜５図に示すように、その下片部
４１下面と波溝３２上面とで囲まれうる空所Ｈに予めコ
ーキング材等の水密材８が注填され、従って以後の固定
具４０が屋根葺材３及び野地板１９を貫通する貫通部で
の防水性を確実化しうる。

又結合片７には、立片部４２にボルト９挿通用の小孔４
８…が透設される。

又水密材８を介して結合片７を固定する屋根パネル６
は、第２図に示すごとく、鼻母屋５０、棟木等を含む屋
根架構材３に取付けることにより傾斜屋根５を形成す
る。なお屋根パネル６は、上辺を図示しない棟木で保持
されるとともに下辺は鼻母屋５０で支持される。

前記鼻母屋５０はウエブ４３の上下にフランジ４４、４
５を有する綴り合わせ梁であって、又下のフランジ４５
両縁には下向きのリップ４６を設けることにより、該リ
ップ４６、４６間で、壁パネル４７の上端を支持でき
る。

又屋根パネル６は支持金具５２と固定金具５３とを用い
て鼻母屋５０に支持される。支持金具５２は、上のフラ
ンジ４４の上面に固定される下片５４の外縁に立設する
立上げ片５５を前記切込み２３に嵌入することにより、
屋根パネル６のズレを防止している。又固定金具５３
は、上のフランジ４４の屋内部分から、前記側又は中の
枠材１４、１５までのびる基片５７を具え、又基片５７
の下方に、該フランジ４４への打入より該フランジ４４
を狭着しうるスリット５９を設けるとともに、上方に
は、前記枠材１４、１５と合う位置に複数個の透孔６０
を設けている。従って、前記スリット５９をフランジ４
４に打入するとともに透孔６０を通る釘、ビス等の固定
具を用いて枠材１４、１５に固定することによって、該
固定金具５３は屋根パネル６を鼻母屋５０に固定でき
る。なお固定金具５３には、その取付けにより枠材１
４、１５下面に接触する当接片６１を有するアングル片
が固定される。

さらに、前記面戸板２９には、前記鼻母屋５０を遮蔽す
る幕板６２と下水切板６３とを介して、雨樋６５を支持
する受金具６６が付着される。

前記幕板６２は、前記面戸板２９を覆う基片６７の下端
に、外向きに張り出す突片６９を介して前記鼻母屋５０
に沿い下方に垂下する覆片７０を形成し、又覆片７０の
下端には、前記壁パネル４７とリップ４６との間に挿入
される立上げ片７１を内端に有する内向き片７２に設け
ている。

又前記基片６７は、その上端部が前記面戸板２９と、軒
先水切り板３４の垂下片３９との間に挿入されるととも
に、上端には外向きに折り返す折り返し部７３を設けて
いる。又前記下水切板６３は、前記基片６７に重置する
基部７４の下端に、前記突片６９上面で軒先側に突出し
かつ外縁に下方に向いて折曲がる折曲げ部を有する水切
部７５を形成する。

なお前記受金具６６は、軒先に沿い適宜間隔で面戸板２
９に固定され、雨樋６５を保持している。なお雨樋６５
には、外壁コーナ部に縦樋７６が設けられる。このよう
に屋根パネル６は、屋根架構材３への取付により家屋の
屋根５を形成できる。

ドーマ９は、本例では、第３図に示すように、Ｌ字状の
アングル材によって枠組された基枠体８０を具え、又基
枠体８０に底板、壁板、小屋根葺材等を周設することに
よりドーマ９を形成する。

基枠体８０は、屋根５の流れ方向に沿ってのびる斜桁部
材８１と、該斜桁部材８１前端で垂直に立ち上がる前支
柱片８２とを、一端が前支柱片８２上端に取付きかつ他
端が後方にのびる水平桁部材８３によって連結する三角
トラス状をなす一対の側枠８５、８５を互いに平行に配
し、又該側枠８５、８５間には、ドーマの小屋根部形成
用の小屋根枠８６Ａ、８６Ｂを架け渡す。

小屋根枠８６Ａ、８６Ｂは、内端が棟木受け金具８７を
介して連結されかつ外端が小屋根の流れ勾配で下方に傾
くたる木部材８９、８９を夫々具え、小屋根部材８６Ａ
は、各たる木部材８９、８９外端を継ぎ金具９０Ａを介
して前記前支柱片８２上端に、又小屋根枠８６Ｂは、た
る木部材８９、８９外端を継ぎ金具９０Ｂを介して前記
斜桁部材８１後端に夫々取付ける。

又基枠体８０は、棟木受け金具８７、８７間に架設する
棟木部材９１及び前記前支柱片８２間に継ぎ金具９０
Ａ、９２を介して架設する張り部材９３、９３によって
その剛性を強化する。なお前記各部材は溶接、ボルト結
合等適宜の固定手段によって連結しうる。

又前記斜桁部材８１下面には、取付片１０、１０が設け
られる。

取付片１０は、本例ではＬ字状アングル材からなり、そ
の一片を斜桁部材５１下面に溶接、ボルト結合等によっ
て固着することにより、他片によって垂下片部９９を形
成する。

又取付片１０、１０は、夫々垂下片部９９外向き面９９
Ａを結合片７の前記立片部４２外向き面４２Ａに対置し
うるごとく間隙を隔てて互いに平行に取付られる。

又基枠体８０は、例えば底板、壁板、小屋根葺材及び飾
りサッシ等を周設することによりドーマ９を形成でき、
従って取付片１０、１０はドーマ下端に形成されうる。

又垂下片部９９には立片部４２に設ける前記小孔３５…
と対置しうる位置に透孔１０２…を穿設するとともに垂
下片部９９内向き面には、ボルト１１螺結用のナット金
具４９が前記小孔１０２と同芯に溶着される。

従って、該小孔３５、透孔１０２を通るボルト１１がナ
ット金具４９に固着することにより結合片７と取付片１
０とをボルト１１…を用いて結合でき、又該結合により
ドーマ９を屋根５に容易に固定しうる。

なお結合片７、取付片１０は不錆金属又は、メッキ、塗
装等により不錆処理を施したものを用いるのが好まし
い。

〔作用〕

然して、屋根葺材２上に結合片７を固定した屋根パネル
６を、屋根架構材３へ取付けることによって、屋根パネ
ル６は傾斜屋根５を形成する。

又屋根パネル６の取付によって形成される屋根５には結
合片７に、ドーマ９下端に形成する取付片１０をボルト
止めする。

このように、本考案のドーマの取付構造１は、ドーマ９
が、屋根葺材２を前面に亘り載設する屋根５上に結合片
５を介して取付られるため、ドーマ９と屋根５との間の
水切り等の防水処理が不要となり、又ボルト結合により
容易に固定しうるため、その取付作業性を大巾に向上で
き、施工工数、施工日数を短縮化しうるとともに現場で
の高所作業を減じ、作業の安全性を高めうる。

〔実施例〕

本考案のドーマの取付構造１において、結合片７を波頭
３１…上端を跨がり屋根５の流れ方向と直角に向けて屋
根葺材２上に取付けるとともに、取付片１０を斜桁部材
８１間に架設してもよく、又屋根葺材２を平板状の板材
を用いて形成するのもよい。

又ドーマ９は、現場において、基枠体８０を取付片１０
に固定した後、底板、壁板、小屋根葺材等を周設しても
よく、さらには屋根パネル６の屋根架構材３への取付に
際しても、第２図に示したものの他、鼻母屋５から軒先
側に屋根パネル６の下端部を突出させて取付けるなど種
々な変形が可能である。

〔考案の効果〕

このように、本考案のドーマの取付構造１は、屋根架構
材への取付けにより屋根を形成する屋根パネルの屋根葺
材に水密材を介して予め結合片を設けており、従ってド
ーマ下端の取付片を結合片にボルト止めすることによ
り、防水処理を要することなく、ドーマを水密に固定で
き、ドーマ取付作業を能率化するとともに、工期の短縮
を計りうる。

又結合片は、工場等において予め取付るため、水密材の
注填作業を便宜とし又その防水性も確実かつ均一したも
のとなり、さらには現場での高所作業を減じうるため、
作業の安全性を高めうるなど多くの効果を奏しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２図は屋根
パネルの取付状態を示す断面図、第３図はドーマを示す
斜視図、第４〜５図はその取付状態を示す斜視図及び正
面図である。 ２……屋根葺材、３……屋根架構材、５……屋根、６…
…屋根パネル、７……結合片、８……水密材、９……ド
ーマ、１０……取付片、１１……ボルト、１９……野地
板、４０……固定具、４１……下片部、４２……立片
部、９９……垂下片部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】屋根の野地板上に、屋根の流れ方向と直角
   な向きに連続した波形の屋根葺材を敷設し、かつ前記屋
   根の流れ方向に沿って、前記屋根葺材の波溝上に水密材
   を介して載置される下片部と、この下片部から立上がる
   立片部とを有する結合片を、前記下片部を屋根葺材、野
   地板を貫通する固定具により予め取付けるとともに、屋
   根上に配される屋根飾り用のドーマ下端に設けた取付片
   の下向きの垂下片部を、前記結合片の立片部にボルトを
   用いて結合することによりドーマを固定することを特徴
   とするドーマの取付構造。