JPH0776797A - 有機被膜及びその形成方法 - Google Patents

有機被膜及びその形成方法

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JPH0776797A
JPH0776797A JP22313193A JP22313193A JPH0776797A JP H0776797 A JPH0776797 A JP H0776797A JP 22313193 A JP22313193 A JP 22313193A JP 22313193 A JP22313193 A JP 22313193A JP H0776797 A JPH0776797 A JP H0776797A
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film
water
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coating
particles
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JP22313193A
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English (en)
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Katsumi Muroi
克美 室井
Yukiko Ikeda
由紀子 池田
Hiroshi Kusumoto
寛 楠本
Mitsuaki Haneda
光明 羽田
Nobuatsu Watanabe
信淳 渡辺
容宝 ▲鄭▼
Youhou Tei
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱交換器のフィン等の被膜として好適な、撥
水性に優れた有機被膜を提供する。 【構成】 撥水性の基としてパ−フルオロアルキル基/
パ−フルオロアルキレン基をもつフッ素系樹脂の粒子を
分散させたカチオン系の電着用塗料と、界面活性剤とか
らなる電着溶液中に導電性基体を浸漬し、塗料と基体と
の間に通電して基体表面に被膜を形成させ、この被膜表
面に生じる細孔が平均径5〜35μmになるまで通電を
続けて成膜し、成膜後に細孔を有する被膜を脱イオン水
で洗浄し、焼き付けることにより形成された有機被膜で
あって、表面にフッ素系樹脂の粒子を露出させたもの。 【効果】被膜表面の平均径5〜35μmの細孔が水との
接触角を大きくし、被膜の撥水性をよくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機、冷凍機等
の熱交換器の性能を維持するに好適な撥水性に優れた有
機被膜及び吸水性に優れた有機被膜、およびそれらの形
成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、撥水性の基をもつ物質を代表す
る化合物としては、パ−フルオロアルキル基やパ−フル
オロアルキレン基を含むフッ素系物質があり、このフッ
素系物質は撥水撥油性以外にも、潤滑性、耐摩耗性等を
有することが知られている。主なフッ素系物質としては
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、PFA
(パ−フルオロアルコキシ樹脂)、FEP(フッ化エチ
レンプロピレン樹脂)等がある。
【0003】従来、電着法を用いてフッ素系物質の被膜
を形成する方法として、特開昭48−52830号公報
に提案されたものがある。これはフッ素系物質としてP
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合物等を用
い、これら粒子の表面をビニル系モノマ−の乳化重合に
より被覆させ被塗装体に電着法により付着させ、その
後、焼成してビニル系樹脂を分解除去し、平滑でピンホ
−ルの無いフッ素樹脂の被膜を形成せしめる方法であ
る。
【0004】一方、電着塗料にフッ素系物質粒子を分散
させ、電着により被膜を形成する方法があり、ニュ−ペ
イトン アブレスフロン(上村工業(株)の商品名)、
エレコ−トナイスロン((株)シミズの商品名)等がそ
の塗料として市販されている。これらはフッ素系物質粒
子としてPTFE粒子を用いている。そしてこれらの電
着塗料を用いて電着法により、均一でピンホ−ル欠陥が
無い、潤滑性、耐摩耗性の電着被膜を提供している。
【0005】また熱交換器のフィンにフッ素系物質の被
膜を適用した例としては、特開平4−369393号公
報に提案されたものがある。これはPTFE樹脂を塗布
し、加熱溶融させて、アルミニウムフィン上に撥水性被
膜を形成して、熱交換器の効率の向上を図っている。
【0006】また熱交換器のフィンに親水性塗料を塗布
し、水との接触角を40度以下になるようにして親水性
化し、水滴になる前に凝縮水をフィンの塗膜表面に広が
るようにして通風抵抗値の減少を図ったものがある。
(文献;塗料の研究、76頁、109巻、1984年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】電着被膜は、膜厚が均
一、かつ面が平滑、ピンホ−ル等の欠陥が無い等の特徴
があり、種々の分野で利用されている。上記従来技術の
電着被膜は、潤滑性、耐摩耗性に関しては十分ではある
が、水との接触角はニュ−ペイトン アブレスフロン被
膜、エレコ−トナイスロン被膜いずれも95度前後であ
り、またPTFE被膜の水との接触角は108度であ
る。いずれも撥水性被膜としては未だ不十分であり、さ
らに優れた撥水性を有する被膜、例えば水との接触角が
150度以上の被膜が望まれている。
【0008】現在、空気調和機の小型、軽量化が進んで
おり、空気調和機の構成要素である熱交換器には運転中
に通風抵抗の増大せず、また伝熱性能の低下しないこと
が要求されている。しかしながら、上記各被膜は撥水性
または親水性が十分でなく、この被膜で被覆されたフィ
ンの表面に水滴が多数付着し、低温時には水滴がそのま
氷結してフィンの目詰まりが発生し、従って通風抵抗が
著しく増加する。そのため暖房運転を一時停止して除霜
運転を行ない、その後に暖房運転を再開するという操作
が必要となる。その操作により室内温度が変動し、空調
の快適性が損なわれるという問題がある。
【0009】本発明の目的は、熱交換器のフィン等の被
膜として好適な、撥水性または吸水性に優れた有機被膜
およびその形成方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的のために、本発
明では被膜の厚さのコントロ−ルが容易な電着技術を被
膜形成手段として選び、さらに被膜に撥水性をもたせる
ために、電着液としてパ−フルオロアルキル基やパ−フ
ルオロアルキレン基を含むフッ素系物質粒子を分散させ
た塗料を用い、またフッ素系物質粒子が実質的に表面に
露出する割合を増加するように表面の凹凸を助長させる
ために、被膜中に多数の細孔を有する多孔状構造とし
た。
【0011】多孔状の細孔を有する被膜の生成は、電着
処理時、陰陽両電極において水の電気分解により発生す
るガスと、フッ素系物質粒子と、さらに電着処理時に発
生するジュール熱とを利用することにより達成されるこ
とを、鋭意検討した結果見出した。またその被膜生成過
程において、細孔の大きさにより得られる被膜の性質が
変化する、即ち撥水性を呈する被膜が細孔の大きさが増
大すると吸水性を呈する被膜になることを見出した。
【0012】次に電着に関して説明する。電着塗料とし
てカチオン系の塗料を用いる場合、塗装される被電着基
材は陰極に接続される。そして陰極、陽極の両電極間に
直流電圧を印加すると、陰極では
【0013】
【化1】
【0014】陽極では
【0015】
【化2】
【0016】の水の電気分解反応が生じ、陽極では酸素
ガスが、陰極では水素ガスが発生する。陰極に接続する
被電着基材の表面には薄膜状の被膜が析出されるが、水
素ガスは被膜が析出される間に析出被膜を通過して表面
に到達する。これにより被膜中に細孔が形成されて析出
被膜は多孔性となる。一般にはこの多孔性析出被膜はそ
の後の加熱処理により熱流動を起して細孔が塞がれ、平
滑化されてピンホ−ルの無い被膜となる。
【0017】一方、フッ素系物質粒子を分散させたカチ
オン電着液を用いる電着によれば、多孔性でかつフッ素
系物質粒子が電気泳動及び撹拌により被膜中に取り込ま
れた薄膜状の析出被膜が形成される。電着塗料中に分散
されるフッ素系物質粒子の量を、塗料とフッ素系物質粒
子の総量に対して8重量%以上にすると、被膜形成後の
加熱処理工程で電着塗料の熱流動が阻害されて、被膜は
多孔性のままで硬化して多孔質構造の被膜となる。また
フッ素系物質粒子の表面張力は極めて低く、電着塗料と
フッ素系物質粒子との濡れ性が悪いために、被膜の表面
では、加熱処理時に電着塗料が流動してフッ素系物質粒
子の表面が露出する。図1に撥水性を示す多孔質被膜の
模式構造を示す。
【0018】本発明の多孔質の有機被膜表面は、フッ素
系物質粒子を露出して含有する電着塗料と細孔とから構
成され、しかもフッ素系物質粒子が電着塗料部に集中し
て析出しているため、この有機被膜は高い撥水性を呈す
る。水との接触角は171度を示す。この有機被膜中の
細孔の大きさは、電着条件により異なるが、平均径で5
μmから35μmであり、望ましくは30μm以下が高
い撥水性を有して好ましい。また細孔の被膜表面に占め
る面積率は10%以上が好ましい。フッ素系物質粒子の
添加量が8重量%未満の場合、電着時に形成された細孔
はその後の加熱時にフッ素系物質粒子により、一部は残
るものの、ほとんどは封止されてしまい、表面に露出す
るフッ素系物質粒子も少なくなる。そのため、この被膜
と水との接触角は100度以下となる。
【0019】またフッ素系物質粒子を、塗料とフッ素系
物質粒子の総量に対して40重量%を超えて含む電着液
では、電着液の調整及び電着液の粘度が増大して取扱い
が難しくなり、また形成された被膜も強度が非常に低く
なるので、好ましくない。フッ素系物質粒子の大きさは
0.1μmから50μm、望ましくは0.5μmから2
0μmが粒子の分散性および成膜性から好ましい。
【0020】次に印加条件を種々変化させて被膜の形成
を行った。その結果を図2に示す。印加電圧と時間を変
えた場合、撥水性を呈する領域ばかりでなく、吸水性を
呈する領域が存在することが分かった。被膜を観察した
ところ、被膜中に存在する細孔の形態が異なることを見
出した。即ち細孔の大きさは印加電圧と時間に依存し、
それぞれの因子を増加させると細孔の大きさは増大す
る。これは印加電圧と時間を増加させると電着工程時に
発生するジュール熱が増大し、その熱量により形成され
た塗膜の粘性が低下するため、水の電気分解により発生
する多くのH2ガスの圧力によりガスの流路が増加する
ためである。被膜の細孔の平均径が55μmを超える
と、表面の性状は吸水性に変化する。この原因について
説明する。図3は吸水性被膜の断面図である。吸水性の
被膜は撥水性の被膜とは異なり、細孔は大きく、また三
次元多孔質構造を示していることが分かる。その表面に
はフッ素系粒子が多く露出している。したがって被膜表
面は撥水性を呈し、水滴は付着しにくくなっており、吸
水性被膜表面に水滴を落下させても、あるいは凝縮水が
発生しても、水滴は表面に形成される前に被膜内部の細
孔を伝わって浸透し易くなるためと考えられる。吸水性
の有機被膜における表面の細孔は平均55〜250μm
径である。細孔の平均径が250μmを超えると、細孔
が粗大化して表面が粗くなり、そのため被膜強度が低下
するので、好ましくない。
【0021】なお、細孔の大きさが平均径として55μ
m以上の吸水性の場合でも、あるいは35μmを超えて
撥水性が良くない被膜においても、最適な電着条件を選
択して再度電着処理を行い、細孔の内部に微細な細孔を
有する被膜を形成することにより、被膜の性質を高い撥
水性に変えることが可能である。いずれにしろ被膜内の
細孔の大きさにより被膜の性質が左右される。
【0022】また電着塗料として接着強度の高い例えば
エポキシ樹脂等を用いることにより、高い強度の有機被
膜が得られ、被膜寿命も延ばすことができ、また耐熱性
樹脂を用いることにより高温の使用環境への対応が可能
となる。
【0023】また本発明にかかる電着処理によれば、被
電着基材の前処理は、例えばアルミニウム基材に対して
脱脂処理程度で十分であり、工程が簡素化される。また
耐食性を向上させるため、下地処理として一般に採用さ
れている陽極酸化処理、クロメート処理等を施したアル
ミニウム基材に対しても本発明の電着処理を適用するこ
とができる。
【0024】また電着処理により被膜を形成後、さらに
耐久性のあるエポキシ樹脂電着塗料により再度電着を行
って、基材に残存する基材露出部を電着して被覆し、撥
水性、撥油性、吸水性あるいは吸油性を損なうことな
く、耐食性を向上させることもできる。
【0025】一方、電着塗料としてアニオン系を用いる
場合、撥水性の基をもつ物質の粒子を、アニオン系の界
面活性剤を利用して電着塗料に良く分散させた電着液に
より、被膜をカチオン系と同様にして形成することがで
きる。しかしながらアニオン系電着液の場合、被膜側に
発生するガスは酸素で、その量が少なく、したがって形
成される細孔も少ない。この被膜は表面にフッ素系粒子
が多く存在しているため、水との接触角は170度前後
と高い撥水性を示すが、フッ素系粒子は軟らかく、外力
により容易に傷がつき変形したり、フッ素系粒子が剥離
する。そしてその変形部分は凹凸がなくなり撥水性を損
なう。また被塗装体は陽極に接続されるため、被塗装体
の金属イオンが溶出するので、銅、銅合金等の金属に対
しては適用できず、使用する金属は限定される。
【0026】
【作用】上記構成の有機被膜は、フッ素系物質粒子、電
着塗料および細孔から構成され、電着条件により細孔の
大きさを制御することができ、細孔の大きさにより水に
対して高い撥水性あるいは吸水性を呈する。また電着塗
料として接着強度の高い例えばエポキシ樹脂等を用いる
ことにより、有機被膜の強度の向上を図ることができ
る。またこの被膜を熱交換器のフィンへ適用した場合に
は、撥水性被膜ではフィン表面に凝縮水が発生して水滴
に成長しても容易に表面から転がり落ち、吸水性被膜で
はフィン表面に被膜内部に容易に浸透しフィン端部から
落下する。そのためフィン表面上には水滴が少なくなり
あるいはなくなり、着霜減少も著しく低減し、通風抵抗
の増大及び伝熱性能の低下を抑制することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 電着塗料としてカチオン系エポキシ樹脂塗料(日本油脂
(株)製、商品名:アクア4200)を、フッ素系物質
粒子としてPTFE粒子(旭硝子(株)製、商品名:ル
ブリカント、平均粒径:3μm)を用いた。またこのP
TFE粒子をカチオン系エポキシ樹脂塗料に分散させる
ために、カチオン系フッ素系界面活性剤(大日本インキ
化学工業(株)製、メガファックF−150)を使用し
た。調整した電着液の組成を以下に示す。 エポキシ樹脂電着塗料 500g PTFE粒子 120g 界面活性剤(1wt%水溶液) 120g つぎに陽電極としてステンレス鋼板(SUS316L)
を、陰極としてアルミニウム板(A1100相当)を、
上記電着液中に浸漬し、電着液温度を28℃に保って両
電極間に直流電圧40Vを60秒間印加してアルミニウ
ム板表面に被膜を形成した。続いてアルミニウム板を電
着液からとりだし、脱イオン水にて水洗し、60℃にて
30分間乾燥後、さらに175℃にて30分間焼き付け
をおこなった。得られた電着被膜の厚さは10μmであ
り、この被膜の水に対する接触角は170度であった。
なお接触角の測定は約0.2μlの蒸留水を被膜表面上
に落し、その接触角を測定した。
【0028】実施例2 電着塗料としてカチオン系エポキシ樹脂塗料として上記
アクア4200を、フッ素系物質粒子としてPFA粒子
(旭硝子(株)製、商品名:アフロンPFA、平均粒
径:7μm)を用いた。このPFA粒子をカチオン系エ
ポキシ樹脂塗料に分散させるために、実施例1と同様に
カチオン系フッ素系界面活性剤のメガファックF−15
0を使用した。
【0029】調整した電着液の組成を以下に示す。 エポキシ樹脂電着塗料 500g PFA粒子 120g 界面活性剤(1wt%水溶液) 120g つぎに陽電極としてSUS316L製板を、陰極として
アルミニウム板(A1100相当)を、上記電着液中に
浸漬し、電着液温度を28℃に保って両電極間に直流電
圧80Vを30秒間印加してアルミニウム板表面に被膜
を形成した。続いてアルミニウム板を電着液からとりだ
し、脱イオン水にて水洗し、60℃にて30分間乾燥
後、さらに175℃にて30分間焼き付けをおこなっ
た。
【0030】得られた電着被膜の厚さは15μmであ
り、この被膜の水に対する接触角は168度であった。
【0031】実施例3 電着塗料としてカチオン系アクリル樹脂塗料(日本油脂
(株)製、商品名:アクア4800系)を、フッ素系物
質粒子としてPTFE粒子(セントラル硝子(株)製、
商品名:セフラルル−ブ−I、平均粒径:5μm)を用
いた。またこのPTFE粒子を塗料に分散させるため
に、実施例1同様にカチオン系フッ素系界面活性剤のメ
ガファックF−150を使用した。
【0032】調整した電着液の組成および電着条件は実
施例1と同様とした。この結果、得られた電着被膜の厚
さは24μmであり、この被膜の水に対する接触角は1
72度であった。
【0033】実施例4 電着塗料として上記のカチオン系エポキシ樹脂塗料であ
るアクア4200を、フッ素系物質粒子としては前記P
TFE粒子セフラルル−ブ−I、平均粒径:5μmを用
いた。またこのPTFE粒子をカチオン系エポキシ樹脂
塗料に分散させるために、実施例1同様にカチオン系フ
ッ素系界面活性剤のメガファックF−150を使用し
た。調整した電着液の組成を以下に示す。 エポキシ樹脂電着塗料 500g PTFE粒子 120g 界面活性剤(0.5wt%水溶液) 120g 電着条件は実施例1と同様とした。得られた電着被膜の
厚さは8μmであり、この被膜の水に対する接触角は1
72度であった。
【0034】実施例5 図4に本発明の有機被膜を施した空気調和機用熱交換器
を示す。この熱交換器は複数のアルミニウム製プレ−ト
フィン5と、プレ−トフィン5を貫通するチュ−ブ6と
から構成され、チュ−ブ6内には冷媒8が流れる。プレ
−トフィン5の表面には実施例1から3のいずれかの条
件下で作成した撥水性有機被膜7が施されている。この
熱交換器を冷媒蒸発器として使用した場合、チュ−ブ6
内を流れる冷媒8とプレ−トフィン5間を通過する空気
とが熱交換することによりプレ−トフィン5の表面温度
が低下する。このため空気中の水分がプレ−トフィン5
の表面で凝縮し成長して水滴となる。ところがプレ−ト
フィン5の表面は撥水性であるため、この水滴は自重に
てプレ−トフィン5から落下する。そのためプレ−トフ
ィン5の表面には着霜が起きにくくなり、除霜サイクル
時間を大幅に延ばすことが可能となる。
【0035】さらにプレ−トフィン5表面の被膜を実施
例4に示すような条件で形成した吸水性被膜として冷媒
蒸発器として使用した場合、プレ−トフィン5の表面に
凝縮水が発生しても、水滴としては成長せず被膜内に吸
収されてしまい、プレ−トフィン5から落下する。その
ためプレ−トフィン5の表面には着霜が起きにくくな
り、除霜サイクル時間を大幅に延ばすことが可能とな
る。
【0036】実施例6 実施例4に示すような条件にて形成される吸水性被膜を
産業用冷凍機で用いられる空気冷却用熱交換器に適用し
た。熱交換器のフィンは、複数の銅製プレートフィンに
直角にチューブが貫通している構造をしている。フィン
の表面に発生する凝縮水は吸水性被膜内に浸透し、フィ
ン端部すら落下する。それ故フィン表面上には水滴が形
成されず、空気流量が確保でき、通風抵抗の増大および
伝熱抵抗の低下を抑制することができる。
【0037】実施例7 電着塗料としてアニオン系アクリル樹脂塗料((株)シ
ミズ製、商品名:エレコ−トAM−1)を、フッ素系物
質粒子としては前記PTFE粒子のセフラルル−ブ−
I、平均粒径:5μmを用いた。またこのPTFE粒子
をカチオン系エポキシ樹脂塗料に分散させるために、ア
ニオン系フッ素系界面活性剤(ダイキン工業(株)製、
ユニダインDS−102)を使用した。
【0038】調整した電着液の組成を以下に示す。 アクリル樹脂電着塗料 500g PTFE粒子 120g 界面活性剤(1wt%水溶液) 120g つぎに陰極としてステンレス鋼板(SUS316L)
を、陽電極としてアルミニウム板(A1100相当)
を、上記電着液中に浸漬し、電着液温度を28℃に保っ
て両電極間に直流電圧80Vを30秒間印加しアルミニ
ウム板表面に被膜を形成した。続いてアルミニウム板を
電着液からとりだし、脱イオン水で水洗し、60℃で3
0分間乾燥後、さらに180℃で30分間焼き付けをお
こなった。得られた電着被膜の厚さは18μmであり、
この被膜の水に対する接触角は170度であった。次に
この被膜に紙をあてがえて手で軽く2回こすったとこ
ろ、紙が接した幅に被膜表面に傷が発生した。この部分
の水との接触角は、約107度であり、撥水性が低下し
た。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、有機被膜を、撥水性の
基をもつ物質の粒子を分散させた電着塗料を用いて導電
性基材面に成膜し、表面に粒子を露出させ、かつ表面に
平均径5〜35μmの細孔を多孔状に有するものとした
ので、被膜と水との接触角を大きくでき、有機被膜の撥
水性を向上させることができる。この撥水性の有機被膜
を熱交換器のフィンへ適用した場合、フィン表面に水分
が凝縮して形成された水滴は自重により落下し、フィン
間での着霜形成時間を大幅に遅らすことができ、熱交換
器の効率を向上させることができる。
【0040】また、別の有機被膜を、撥水性の基をもつ
物質の粒子を分散させた電着塗料によって導電性基材面
に形成させ、表面に粒子を露出させ、かつ表面に平均径
55〜250μmの細孔を多孔状に有し、表面から内部
にわたって多孔状のものとしたので、膜表面に生じた水
を表面から内部の細孔に浸透させることができ、有機被
膜の吸水性を向上させることができる。この吸水性の有
機被膜を熱交換器のフィンへ適用した場合、フィン表面
に水滴が形成されずに被膜に浸透し落下するため、上記
同様に着霜形成時間の遅延および熱交換器の効率向上を
図ることができる。
【0041】さらに本発明によれば、有機被膜の形成方
法を、撥水性の基をもつ物質の粒子を分散させた電着塗
料と界面活性剤とからなる電着溶液中に導電性基体を浸
漬し、電着塗料と基体との間に通電して基体の表面に被
膜を形成させ、この膜表面に生じる細孔を成長させるも
のとしたので、通電時間の短長によって、撥水性の膜ま
たは吸水性の膜を生成することができ、同一装置、同一
材料でそれぞれ性質を異にする有機被膜をでき、従って
この有機被膜の形成方法は有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撥水性有機被膜の構造を示す模式
図である。
【図2】本発明による撥水性有機被膜および吸水性有機
被膜それぞれを形成する電着条件範囲を示す図である。
【図3】本発明による吸水性有機被膜の構造を示す模式
図である。
【図4】本発明による有機被膜を被覆した熱交換器を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 フッ素系粒子 2 電着塗料 3 細孔 4 基材 5 プレ−トフィン 6 チューブ 7 撥水性被膜 8 冷媒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 13/10 B (72)発明者 羽田 光明 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 渡辺 信淳 京都府京都市左京区田中大堰町49番地 財 団法人 応用科学研究所内 (72)発明者 ▲鄭▼ 容宝 京都府京都市左京区田中大堰町49番地 財 団法人 応用科学研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥水性の基をもつ物質の粒子を分散させ
    た電着塗料によって導電性基材面に形成された有機被膜
    において、表面に前記物質の粒子を露出し、かつ表面に
    平均径5ないし35μmの細孔を多孔状に有することを
    特徴とする有機被膜。
  2. 【請求項2】 撥水性の基をもつ物質の粒子を分散させ
    た電着塗料によって導電性基材面に形成された有機被膜
    において、表面に前記物質の粒子を露出し、かつ表面に
    平均径55ないし250μmの細孔を多孔状に有し、表
    面から内部にわたって多孔状であることを特徴とする有
    機被膜。
  3. 【請求項3】 撥水性の基をもつ物質の粒子を分散させ
    た電着塗料と前記粒子の分散を促進させる界面活性剤と
    からなる電着溶液中に導電性基体を浸漬し、前記電着塗
    料と前記基体との間に通電して前記基体の表面に被膜を
    形成させ、該被膜表面に多孔状に生じる細孔が平均径5
    ないし35μmになるまで通電を続けて成膜する工程
    と、前記細孔を有する被膜を脱イオン水で洗浄する工程
    と、前記洗浄された被膜を焼き付ける工程とからなるこ
    とを特徴とする有機被膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 撥水性の基をもつ物質の粒子を分散させ
    た電着塗料と前記粒子の分散を促進する界面活性剤とか
    らなる電着溶液中に導電性基体を浸漬し、前記電着溶液
    と前記基体との間に通電して該基体の表面に被膜を形成
    させ、該被膜表面に生じる多孔状の細孔が平均径55な
    いし250μm径になり表面から内部まで多孔質になる
    まで通電を続けて成膜する工程と、前記細孔を有する被
    膜を脱イオン水で洗浄する工程と、前記洗浄された被膜
    を焼き付ける工程とからなることを特徴とする有機被膜
    の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記電着塗料はカチオン系塗料であるこ
    とを特徴とする請求項3または4に記載の有機被膜の形
    成方法。
  6. 【請求項6】 前記撥水性の基は、パ−フルオロアルキ
    ル基およびパ−フルオロアルキレン基の少なくとも一つ
    であり、前記物質はフッ素系物質であることを特徴とす
    る請求項5記載の有機被膜の形成方法。
  7. 【請求項7】前記撥水性の基をもつ物質の粒子は、重量
    比で前記電着溶液の8ないし40%を占めることを特徴
    とする請求項3ないし6のいずれかに記載の有機被膜の
    形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2記載の有機被膜を表面
    に形成されたフィンを有することを特徴とする熱交換
    器。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の熱交換器を搭載したこと
    を特徴とする空気調和機。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の熱交換器を搭載したこ
    とを特徴とする冷凍機。
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