JP2019167622A - 金属製部材、熱交換器、空気調和機及び冷蔵庫 - Google Patents

金属製部材、熱交換器、空気調和機及び冷蔵庫 Download PDF

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悠太郎 丹治
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Abstract

【課題】 金属表面に、ごく薄い被膜で金属自体にはない特性を付与しつつ、金属本来の特性維持できる部材を実現する。【解決手段】 本発明の一態様に係る金属製部材は、金属からなる部材であって、該金属表面にカーボンナノチューブが含有された金属酸化膜を備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属表面に該金属固有の特性以外の特性が付与されている機器に関する。
近年、様々な分野で使われる多くの部材において、精密化と機能高度化が進んでいる。金属からなる金属部材においても、その表面にコーティングを施すことにより、基材である金属そのものが持つ特性以外の特性を付与する機能高度化や、微細化等に対応するための精密化が図られてきた。
しかしながら、機能高度化するためのコーティングでは、被膜が厚くなるため、金属そのものが持つ熱伝導率、電気伝導率等の金属固有の特性の発現を阻害すると共に、被膜の厚さ分布の為に高精度に加工された部材の寸法精度等に悪影響を及ぼすという問題がある。
特開2017−61626号公報(2017年3月30日公開) 特開2015−92109号公報(2015年5月14日公開)
近年、空気調和機においては、益々低消費電力化が求められている。そのため、特許文献1のように、粉塵等による汚れを、熱交換器に設けられているA1等の金属製フィンに防汚コーティングを塗布することによって抑制し、粉塵等が付着することによる熱交換器の熱交換効率の低下を防止していた。
しかし、特許文献1のようにフッ素樹脂コーティングを用いた場合、金属本来の熱伝導性が損なわれ、また、防汚機能が劣化しやすいという問題があった。
また、鋼又はチタン製のネジ等においては、締結・脱着時に発生する焼き付きを防止するために、特許文献2のようにフルオロポリマーベースのコーティングをネジ部に施していた。
このように、部材の金属表面は様々な理由により、コーティングを施す事により、金属そのものにはない機能が付与されていた。
しかしながら、特許文献2のコーティング厚は、10〜40μmと厚く、金属本来の熱伝導性や導電性や精度が損なわれるといった問題が有った。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属表面に、ごく薄い被膜で金属自体にはない特性を付与しつつ、金属本来の特性維持を実現することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る金属製部材は、金属からなる部材であって、該金属表面にカーボンナノチューブが含有された金属酸化膜を備えている。
また、本発明の一態様に係る金属製部材は、前記金属酸化膜の表面から内部に向かって炭素組成の濃度が単調に減少する濃度勾配を有する。
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る金属製部材は、上記金属酸化膜の表面に最大直径が0.01μm〜0.60μmの微細な凹部が形成されてなる。また、上記凹部の最大直径は、0.01μm〜0.20μmに形成されてなるものでも好ましい。
上記凹部の大きさは、金属酸化膜の上面からのFE-SEM観察により確認される凹部の最大直径の大きさである。十分な撥水性を発現するためには、上記の凹部が表面全体に分布し、隣接する微細凹部間の距離が概ね100nm未満であることが好ましい。
また上記最大直径は、各凹部について、その凹部の全体を内接して含む円の直径を示すものとする。
また、上記微細凹部は、明確な筒状の凹部である場合もあるが、微細な粒子あるいは繊維状のものが集合して凹部を形成している場合もある。
さらにまた、本発明の一態様に係る熱交換器は、周囲の空気と熱交換を行う熱交換器であって、上記周囲の空気と接触して熱交換をおこなうフィン及び/または冷媒が通る冷媒管が上記金属製部材を備えている。
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、冷媒と水との熱交換を行う熱交換器であって、各々前記冷媒管と水管とを繋ぐように構成されたフィン、冷媒管、及び水管のうちから選択される少なくとも1つ以上のものが上記金属製部材を備えていることとしても好ましい。また、上記熱交換器は冷媒と水の熱交換を例とするが、本発明の別の態様として、他の液体同士の熱交換器であってもよく、それらの液体を流す管を繋ぐフィン、及び管のうちから適宜選択される部材が、上記金属製部材を備えている場合もある。
さらに、上記熱交換器が設けられてなる空気調和機、若しくは冷蔵庫とすることができる。
本発明の一態様によれば、金属製部材に金属本来の特性を損なうことなく、機能を付加できる効果を奏する。
本発明の実施形態1に係るボルトを示す図である。 本発明の実施形態1に係るボルトの一部を示す拡大図である。 本発明の実施形態1を作製するための設備を示す図である。 本発明の実施形態1を作製するための負荷電解密度のタイムチャートを示す図である。 本発明の実施形態1のネジ締め付け試験結果を示す図である 本発明の実施形態2に係るフィンを示す図である。 本発明の実施形態2に係るボルトの一部を示す拡大図である。 本発明の実施形態2を作製するための設備を示す図である。 本発明の実施形態2を作製するための負荷電解密度のタイムチャートを示す。
〔実施形態1〕
以下、図1〜図5に基づき、本発明の一実施の形態について説明する。なお、実施形態1、および後述の実施形態2において、部材とは、構造物や装置を構成する板材等、構成物を構成する為に加工された部品等を意味し、具体的には、板材やネジ等が挙げられる。
<部材の構成>
図1は、本発明の一形態を示す部材の具体的例であるボルト100(金属製部材)を示す図である。ボルト100は、軸部101、頭部103からなり、軸部101には、ネジ部102を備えている。
図2は、図1に示すA部の断面拡大図である。ネジ部102において、図2に示すように、ボルト100を形成する主要材料(ステンレス、鋳鉄、アルミニウム等)からなる金属素地104上(金属表面)に機能を付与する酸化膜105(金属酸化膜)(以降、機能性酸化膜と言う。)を備えている。
軸部101、頭部103は、ボルト100を形成する1つの主要材料である金属を鍛造、プレス、転造等の加工を施す事で形成されている。各部の大きさ、形状等は特に限定されるものではなく、使用目的により適宜決定される。
機能性酸化膜105は、カーボンナノチューブが含有された金属素地材料と同じ又は同様の金属の酸化物であり、その膜厚は、10〜500nmであることが好ましく、より精度や金属本来の特性を維持するために10〜50nmである事がより好ましい。500nmを超えて厚くなると、機能性酸化膜を作製するための時間がかかり、製造コストが高くなるおそれがある。上記機能性酸化膜に含有されるカーボンナノチューブの含有比率は表面(金属素地と接触する面の反対面)から3〜6nmの地点で10〜40atm%であれば良く、金属本来の特性をより維持しつつ、カーボンナノチューブが含有されたことによって付与される特性を備えさせるために、15〜30atm%である事が好ましい。
<実施例1>
以下に、図3〜5に基づき実施形態1に係る実施例1を説明する。実施例におけるボルト100は、M8×30mmのSUS304製六角ボルト106からなる。上記六角ボルト106のネジ部102におけるSUS304(金属素地104)の表面に、機能性酸化膜105を設ける為に以下の処理を行った。
上記六角ボルト106を、アルカリ性脱脂液にて浸漬脱脂(浸漬時間:5分)した後、水酸化ナトリウムと、5%のカーボンナノチューブ分散液を、それぞれ濃度1.7g/l、40ml/lとなるように精製水に添加され、液温が30℃となるように温度調整された処理液301が入った浴槽300に図3に示すように電気回路400に接続した上で、同様に電気回路400に接続したSUS304製電極404、405と共に浸漬する(処理液温度は30℃となるように温度調整)。
その後、図3に示す矢印の方向に電流が流れる場合を+方向とした場合、図4に示すようなパターンで、整流器401と整流器402と切り替えスイッチ403により、六角ボルト106に電流を流した。
最後に、水洗し、恒温槽内で乾燥(80℃ 50分)を行う事で、六角ボルト106の表面に機能性酸化膜105を40nm設け、ボルト100とした。前記膜厚は、以下の手順にて決定した。ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)にて、Arイオンスパッタを行いつつ深さ方向の元素分析を実施し、酸素(O)濃度が概0atm%以下となる厚みを測定し、これを機能性酸化膜の膜厚とした。尚、上記厚みは、ArイオンスパッタによるSiO2のエッチング速度が、機能性酸化膜でも同じになると仮定して算出したものである。また、膜厚に相当する範囲で、O(酸素)に加えFe、Crが検出され、金属酸化膜が形成されていることを確認した。さらに、上記同様ESCAを用いた深さ方向の元素分布より炭素量を測定することで、カーボンナノチューブが金属酸化膜と共存していることを確認した。測定された炭素組成は、表面から3nmにおいて25atm%、6nmで19atm%、32nmで概0atm%に達し、表面からの深さが深くなるにつれて、炭素組成が単調に減少する組成変化を確認した。このような、組成分布は、カーボンナノチューブの作用が発現する表面にカーボンナノチューブが偏在することを意味し、この組成分布により高価なカーボンナノチューブを少量用いて、高い耐摩耗性と耐焼き付き性を実現することが可能となる。
<実証試験>
ここで、ボルトの焼付きについて説明する。焼き付きとは、ボルトを締めつける際の摩擦熱でねじが膨張し、ねじ山が溶着し、取り外しが出来なくなる事である。特にステンレスボルトにおいては、焼き付きの発生率が高い事から、装置のメンテナンス時等で問題となる事が多い。
この問題を解決するためには、ネジ部への二硫化モリブデン等の潤滑剤塗布や、Snめっきやフッ素系樹脂によるコーティングが行われている。
しかしながら、潤滑剤塗布は作業時に周辺が汚れ、Snめっきやフッ素系樹脂によるコーティングでは、被膜が厚くなり、ナットとの間に十分なクリアランスを設ける事が出来ないといった問題があった。また、めっきやコーティングでは、被膜自体の耐摩耗性が低く摩耗粉が発生するため、コンタミを嫌う工場等では使用できないといった問題もある。さらに、Snめっきやフッ素系コーティングは、耐熱性に乏しい為、高温下での使用は出来ないといった問題点もあった。
一方、本発明の実施例1である上記ボルト100は、機能性酸化膜105に含有される耐熱性に優れ摺動性があるカーボンナノチューブにより、焼き付きを防止している。そのため、300℃以上の高温にさらされる状況においても、摺動性を維持でき、焼き付きを防止できる。更に、機能性酸化膜のベースは通常のSUS304六角ボルトの表面と同等の酸化膜であるため、摩耗粉等の問題も生じない。
なお、本発明のボルト100の焼き付き防止性能を、日本計測システム(株)製NST-1000NMにてJISb1084に準拠したネジの締め付け試験を行い、図5に示すように通常のSUS304製ボルトでは、焼き付きが発生するまでの回数が2回程度である事に比較して、10回ネジの締め付けと緩めを繰り返しても焼き付きが生じないという効果を確認した。
なお、本実施例1では、機能性酸化膜105を形成する為に、上記条件での湿式での電解処理を用いたが、これに限られるものではなく、他の条件や他の処理法(カーボンナノチューブを含有した金属酸化物ターゲットを用いたスパッタやゾルゲル法等)により、形成しても良い。ただし、湿式での電解処理は、上記手法よりコストの点で優れる。
また、本発明の実施形態1は、ボルトに限られるものではなく、例えば、はめ合い工法で組み立てられるピンやプレス加工を行う為の圧延金属板等でも良い。はめ合い工法で組み立てられるピンにおいては、組立時のカジリが防止でき、プレス加工においては、付与される摺動性により、プレス加工時の生産性が向上できるという効果が得られる。また、機能性酸化膜105は部材の耐食性を向上させるという効果も奏する。
〔実施形態2〕
以下に、本発明の他の実施形態について、図6〜9に基づいて説明する。
<部材の構成>
図6、及び図6のa−a断面図である図7は、本発明の一形態を示す部材の具体的例である熱交換器を構成するフィン500(金属製部材)を示す図である。図7に示すようにフィン500は、フィン500を形成する主要材料(アルミニウム、銅等)からなる金属素地504上(金属表面)に機能を付与する機能性酸化膜505(金属酸化膜)と、機能性酸化膜505に形成されてなる微細凹凸506を備えている。
フィン500は、圧延アルミニウム板、又は圧延銅板からなり、厚さは0.05〜0.50mmであれば良く、熱交換器として構成した際に、同じ体積の熱交換器で、フィンより表面積を広く出来るよう0.05〜0.20mmが望ましい。大きさは、使用目的に応じて適宜決定される。
機能性酸化膜505は、カーボンナノチューブが含有された金属素地材料と同じ又は同様の金属の酸化物であり、その膜厚は、10〜500nmであることが好ましく、より精度や金属本来の特性を維持するために10〜50nmである事がより好ましい。500nmを超えて厚くなると、機能性酸化膜を作製するための時間がかかり、製造コストが高くなるおそれがある。上記機能性酸化膜に含有されるカーボンナノチューブの含有比率は表面(金属素地と接触する面の反対面)から3〜6nmの地点で10〜40atm%であれば良く、金属本来の特性をより維持しつつ、カーボンナノチューブが含有されたことによって付与される特性を備えさせるために、15〜30atm%であれる事が好ましい。
微細凹凸506は、機能性酸化膜表面に設けられており、図7に示すように、凹部506aを形成する凹部506aの最大直径Dが0.01〜0.60μm以下であれば良く、より撥水性を付与する為、前記凹部506aの最大直径Dが0.01μm〜0.20μmであることがより望ましい。
<実施例2>
以下に、図8〜9に基づき実施形態2に係る実施例2を説明する。実施例2におけるフィン500は、67mm×100mm×0.2mmのアルミニウム板507からなる。上記アルミニウム板507におけるアルミニウム(金属素地504)の表面に、機能性酸化膜505を設ける為に以下の処理を行った。
上記アルミニウム板507を、アルカリ性脱脂液にて浸漬脱脂(浸漬時間:5分)した後、水酸化ナトリウムと、5%のカーボンナノチューブ分散液を、それぞれ濃度1.7g/l、40ml/lとなるように精製水に添加され、液温が30℃となるように温度調整された処理液301が入った浴槽300に図8に示すように電気回路400に接続した上で、同様に電気回路400に接続したSUS304製電極404、405と共に浸漬する(処理液温度は30℃となるように温度調整)。
その後、図8に示す矢印の方向に電流が流れる場合を+方向とした場合、図9に示すようなパターンで、整流器401と整流器402と切り替えスイッチ403により、アルミニウム板507に電流を流した。
最後に、水洗し、恒温槽内で乾燥(80℃ 30分)を行う事で、アルミニウム板507の表面に機能性酸化膜505を40nm設けると同時に、機能性酸化膜505表面に最大直径10〜80nmの微細な凹部506aによって構成されてなる凹凸506を設け、フィン500とした。上記機能性酸化膜505の厚みは、FE-SEMの断面観察より、金属素地504と機能性酸化膜505との境界から機能性酸化膜505の最表面までの厚さを測定した。また、機能性酸化膜505表面に形成された微細な凹凸506は、FE-SEMによるフィン500の上面からの観察により、凹部506aがあることから確認した。また、上記機能性酸化膜について、膜上面からEDS(Energy dispersive X-ray spectrometry)分析を実施したところ、アルミニウム板507では検出されなかった炭素が検出され、カーボンナノチューブが含まれていることが確認できた。また、同時にAlとOも検出されアルミの酸化物膜が形成されていることを確認した。
<実証試験>
ここで、熱交換器を構成するフィンで求められている特性について説明する。熱交換器は、周囲の空気と熱交換を行う。熱交換器は、外部から熱を奪う為に使われる際には、フィン表面に結露が生じる。上記結露は、暖房運転時の空気調和機の室外機や冷蔵庫においては、結露が霜になり、熱交換器の熱交換効率を著しく阻害する。また、冷房運転時の室内機においても、結露が熱交換の熱交換効率を阻害する。このように、結露を防止することで、熱交換器の熱交換効率を著しく向上させることができる。しかしながら、結露発生自体を防止することは困難であり、現実的には、結露水をフィン方面から滑落させることで対応するしかない。そのための処理としては、通常、フッ素系コーティングを行う事での撥水処理が想定されるが、撥水性を示す水との接触角は高いものの、水滴の滑落性が低く、水滴を滑落させるには不適である。更に、撥水性を維持する耐久性も乏しいという問題があった。
その為、熱交換器を構成するフィンには、現在、親水性コーティングが行われている。親水性コートにすることにより、結露による水滴のフィン表面からの滑落性を高めている。しかしながら、親水性コートにおいても、コーティングである以上、1.0μm以下の膜厚にすることは困難であり、且つその材料(主にシリカ)の熱伝導性から、アルミニウム本来の熱伝導性が失われ熱交換効率を低下させる。更に、一旦結露すると常に濡れている状態である為、粉塵等が付着しやすく、それによる熱交換効率を低下させる。このように、親水性コートにも多くの問題があり、消去法的に用いられているといった状況であった。
しかしながら、本発明の熱交換を構成するフィン500は、その表面に、ごく薄い40nmの厚さのアルミニウムに比較して熱伝導性の極めて高いカーボンナノチューブが含有された機能性酸化膜505が設けられているだけであるので、フィンの主要材料であるアルミニウムの熱交換効率をほぼ阻害しない。更に、機能性酸化膜表面に設けられて微細凹凸により滑落性に富む撥水性が得られるため、滑落の為に結露発生後は常に濡れて熱交換効率や粉塵付着を伴う親水性コートに比較して、結露に対する対策としても優れる。
なお、本発明の熱交換器を構成する実施例2に係るフィン500の撥水性を協和界面科学株式会社製接触角測定器CA−Dにて、水との接触角を測定すると120°とPTFE(代表的なフッ素樹脂の接触角:114°)であり、滑落角29°(代表的なフッ素樹脂:40°)といずれもPTFEより優れており、滑落速度でもPTFEをはるかに上回る。
また、機能性酸化膜505は、その表面に微細な凹凸が設けられていること、すなわち物理的形状により撥水性を発現するため、PTFE等のフッ素樹脂のように劣化せず、PTFE等のフッ素樹脂に比較して、長期間にわたって撥水性を維持するという効果を奏する。
また、耐熱性にも優れ、アルミニウム熱交換器は、フィンを、ろう付けすることで製造されるが、フィン表面への処理は、フィン状に切り出す前のコイル状のアルミニウム圧延材の状態で実施することがコストの面で望ましい。
しかしながら、フッ素系樹脂では、ろう付け温度(約600℃)の温度に耐えることができず、撥水性が失われる。しかしながら、フィン500は、600℃の高温炉にて30分加熱しても、加熱前と同じ撥水性が得られる。すなわち、上述の工法での製造が可能になるといった効果を奏する。
なお、実施例2では、表面に微細凹凸506を有する機能性酸化膜505を形成する為に、上記条件での湿式での電解処理を用いたが、これに限られるものではなく、他の条件や他の処理法(カーボンナノチューブを含有した金属酸化物ターゲットを用いたスパッタやゾルゲル法等)により、形成しても良い。ただし、湿式での電解処理は、上記手法よりコストの点で優れる。
このように、本発明のフィン500は、従来の親水コートやフッ素樹脂コートに比較して、熱交換器を構成する部材として、熱交換器の熱交換率を改善できるという効果を奏する。
また、本発明の実施形態2は、フィンに限られるものではなく、例えば、冷媒が通る銅製のラジエーター用冷却水配管(冷媒管)や、パワーデバイスを冷却するための水冷ジャケットを構成する部材であっても良く、いずれの場合も、フィン500と同様の効果を奏する。また、機能性酸化膜505は部材の耐食性を向上させるという効果も奏する。
また、上記フィン500等の部材で構成される熱交換器は、フィン500と同様の効果を奏する。
さらに、フィン500等の部材で構成された熱交換器が設けられている空気調和機や冷蔵庫も、フィン500と同様の効果を奏することは明らかであるので、結果的に消費電力が低減できるという効果を奏する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、摺動性、撥水性、耐食性が必要とされる金属製部材に利用することができる。
100 ボルト
105 機能性酸化膜
300 処理槽
400 電気回路
500 フィン
505 機能性酸化膜
506 微細凹凸

Claims (7)

  1. 金属からなる部材であって、該金属表面にカーボンナノチューブが含有された金属酸化膜が設けられていることを特徴とする金属製部材。
  2. 前記金属酸化膜の表面から内部に向かって炭素組成の濃度が単調に減少する濃度勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の金属製部材。
  3. 上記金属酸化膜の表面に最大直径が0.01μm〜0.60μmの微細な凹部が形成されてなることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の金属製部材。
  4. 上記凹部の最大直径が0.01μm〜0.20μmであることを特徴とする請求項3に記載の金属製部材。
  5. 周囲の空気と熱交換を行う熱交換器であって、上記周囲の空気と接触して熱交換をおこなうフィン及び/または冷媒が通る冷媒管が請求項3又は4に記載の金属製部材であることを特徴とする熱交換器。
  6. 請求項3若しくは4に記載の金属製部材、又は請求項5に記載の熱交換器が設けられていることを特徴とする空気調和機。
  7. 請求項3若しくは4に記載の金属製部材、又は請求項5に記載の熱交換器が設けられていることを特徴とする冷蔵庫。
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