JPH0776286B2 - フェノール樹脂系発泡体 - Google Patents

フェノール樹脂系発泡体

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JPH0776286B2
JPH0776286B2 JP62250267A JP25026787A JPH0776286B2 JP H0776286 B2 JPH0776286 B2 JP H0776286B2 JP 62250267 A JP62250267 A JP 62250267A JP 25026787 A JP25026787 A JP 25026787A JP H0776286 B2 JPH0776286 B2 JP H0776286B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は建築用部材、冷凍冷蔵庫・プラント用断熱保温
材、防音・防振材、構造用パネル等の用途に有用なフェ
ノール樹脂系発泡体に関する。
更に詳しくは、鉄・アルミニウム等の金属部材に対する
腐蝕性、アルカリ系被着物質との接着性又は表面脆性な
どに対して極めて優れた防止ないしは改善機能性を有
し、かつ有毒な亜硫酸ガスの発生を伴うことのない新規
なフェノール樹脂系発泡体に関するものである。
〔従来の技術〕
近年、フェノール樹脂系発泡体はプラスチック発泡体の
中でも一段と優れた耐熱性・耐火性・低発煙性・寸法安
定性等の性能を有することから特に建築基準法の改正に
伴いプラスチック発泡体の見直しが求められている建築
分野において非常に注目を集め、一部では実用に供され
ている。
従来、フェノール樹脂系発泡体は発泡剤、整泡剤または
必要に応じて配合される各種添加剤の存在下で、レゾー
ル型フェノール樹脂に有機系スルホン酸等の酸性硬化剤
を作用させて低温で発泡硬化させる方法、或いはノボラ
ック型フェノール樹脂に硬化剤としてヘキサメチメンテ
トラミンを配合しこれを高温加熱して発泡硬化させる方
法により製造されてきた。
然し、前記分野で使用されている最近のフェノール樹脂
系発泡体としては、従来より製品品質が大幅に向上して
きたこと、また連続発泡、現場発泡、注入発泡等の各種
発泡手段への適応性に富みしかも生産性に優れているこ
と等の理由から広く採用されるに至った前者方法により
製造された酸硬化型フェノール樹脂系発泡体が一般的で
ある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、酸硬化型フェノール樹脂系発泡体は、
(1)酸性硬化剤が残留酸として内在するため長期にわ
たる使用において鉄、アルミニウム等の金属部材の腐蝕
を引き起こす危険性を有すること(2)アルカリ系面
材、アルカリ系充填材、アルカリ系補強材又はコンクリ
ートないしはモルタル下地材等(以下、アルカリ系被着
物質という)との接着性に劣ること(3)常温において
発泡硬化させた場合に表面脆性を生じ易いこと(4)高
温又は火災に曝されると酸性硬化剤が熱分解して人体に
有毒な亜硫酸ガスを発生させることなど幾多の問題を有
する。
本発明は、かかる観点に鑑みてなされたものであって、
その目的とするところは、第一に金属部材に対する腐蝕
作用を防止ないしは軽減したフェノール樹脂系発泡体を
提供すること、第二にアルカリ系被着物質との接着性に
極めて優れたフェノール樹脂系発泡体を提供すること、
第三に優れた耐表面脆性を有しかつ有毒な亜硫酸ガスの
発生を伴うことのないフェノール樹脂系発泡体を提供す
ることにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結
果、酸性硬化剤を用いる従来発泡体とは全く異なる技術
思想に立脚した新規なフェノール樹脂系発泡体を創造
し、かつ該樹脂系発泡体は前述の問題解消に極めて有効
であることを見出して本発明を達成するに至つた。
すなわち、本発明はメチロール基を有するアルカリ性フ
ェノール樹脂、ゲル化剤、発泡剤および整泡剤を必須成
分とする混合物を発泡硬化させてなり、かつ該ゲル化剤
が有機エステル類(第1の要旨)または環状炭酸エステ
ル類(第2の要旨)であることを特徴とするフェノール
樹脂系発泡体を提供するものである。
以下、本発明のフェノール樹脂系発泡体について具体的
に説明する。
本発明に係るフェノール樹脂は、メチロール基を有しか
つアルカリ性であることを必須とするものであり、かか
る必須要件を具備するフェノール樹脂であればレゾール
樹脂、アンモニアレゾール樹脂、ベンジルエーテル樹
脂、又はノボラック樹脂にメチロール基を付加させたノ
ボラック・レゾール樹脂などで例示される如何なるタイ
プのフェノール樹脂をも単独又は2種以上の混合物とし
て使用することができる。
該フェノール樹脂は、通常200〜2000好ましくは400〜15
00に調節された重量平均分子量を有するが、分子量200
未満の場合には発泡硬化が緩慢であるため実用性に乏し
く、又2000を越えると粘性が高くなり取り扱いが困難と
なる。また使用目的によって異なり一概に限定されない
が、一般的には固形分含量約30〜80重量%の水性系樹脂
として使用される。
かかるフェノール樹脂は、例えばフェノール樹脂とアル
デヒド類を触媒の存在下に約30℃〜還流温度で0.5〜24
時間反応させて所定の重量平均分子量を有する初期縮合
物を調製し、次に適当な濃縮手段(例えば減圧、デカン
テーションなど)を用いて該初期縮合物を濃縮して使用
目的に応じた固形分含量に調整して、または濃縮せずに
調製される。また調製された樹脂は必要に応じて硬化特
性の調節、アルカリ系への転換、分離防止(貯蔵安定性
の向上)などを図るために適量のアルカリ金属化合物又
はアルカリ土類金属化合物、特にアルカリ金属化合物を
さらに追加配合して調整される。
なお、本発明に係るフェノール樹脂には、その使用目的
に応じて低粘性化を図る必要性がある場合、例えばエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、N−メチル−
2−ピロリドン等の希釈剤を発泡特性を阻害しない範囲
内で配合することも可能である。また、所望に応じて配
合させる無機系充填材、無機系又は鉱物系繊維補強材等
との接着性向上を図るため、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系シラ
ン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等
のアミノ系シラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン等のメルカプト系シランなどのシランカップリ
ング剤を混入内含せしめることができる。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシ
レノール、パラターシャリブチルフェノール、パラクミ
ルフェノール、フェニルフェノール等の1価フェノール
類、又はレゾルシノール、カテコール、ハイドロキノ
ン、ピロガロール、ビスフェノール類(例えばビスフェ
ノールA、ビスフェノールF等)等の多価フェノール
類、或いはフェノール類の製造時に副生するフェノール
系残渣(例えばレゾルシノール残渣、カテコール残渣ク
レゾール残渣、キシレノール残渣等)などが例示され、
これらの中でも特にフェノール、クレゾール、ビスフェ
ノール類およびフェノール系残渣類などが好ましく使用
される。一方、アルデヒド類としては、例えばホルムア
ルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセ
タール類、ヘキサメチレンテトラミン等の如きホルムア
ルデヒド供給物質、グリオキザール、フルフラール、ベ
ンズアルデヒドなどが使用される。
フェノール類に対するアルデヒド類の配合量としては、
フェノール類1モル当たり0.6〜5.0モルが適当であり、
樹脂の製造に用いる触媒種に応じたメチロール基の生成
が可能な配合量、例えばアルカリ性触媒又は二価金属塩
触媒を使用する場合にはフェノール類1モル当たり0.6
モル以上のアルデヒド類を配合し、また無機酸、有機酸
等の強酸性触媒を使用する場合には約1モル以上のアル
デヒド類を配合するなど適宜選択することが必要であ
る。
樹脂の製造に用いる反応触媒は、所望の樹脂タイプに応
じてアルカリ性触媒又は酸性触媒から任意に選択し、最
終的にメチロール基を有するフェノール樹脂が得られる
限り単独又は同種組み合わせ或いは異種組み合わせ(例
えば酸性反応系からアルカリ性反応系への転換など)な
どの方法で使用することができる。
アルカリ性触媒としては、例えばアルカリ金属の水酸化
物、酸化物、燐酸塩、炭酸塩又は炭酸水素塩等のアルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物
等のアルカリ土類金属化合物およびアミン系化合物など
が使用される。
このアルカリ性触媒の代表的なものとしては、例えばKO
H、NaOH、LiOH、K2O、Na2O、K3PO4、Na3PO4、K2CO3、KH
CO3Ba(OH)、Ca(OH)、CaO、MgO、アンモニア、
ヘキサメチレンテトラミン、トリエチルアミン、トリエ
タノールアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。
前記アルカリ性触媒の中でもアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物およびこれらの混合物(以下、アル
カリ金属化合物等という)は、発泡体作成時における硬
化(架橋)反応の促進作用を呈するため好適であるが、
とりわけ硬化(架橋)反応の促進機能が大きくかつ貯蔵
安定性に優れた樹脂の提供に資するアルカリ金属化合物
がより好適に使用される。
かかるアルカリ金属化合物等の使用量は、フェノール類
1モル当たり0.01〜3.0好ましくは0.1〜2.5モルであ
り、該金属化合物等は前述したごとく樹脂の製造時又は
製造後に配合されて本発明において好適に用いられる金
属イオン含有フェノール樹脂が得られる。
また、アミン系化合物触媒の使用量としては、フェノー
ル類1モル当たり0.005〜0.5モルが適当である。しか
し、該触媒で調製された樹脂は一般的に硬化が遅い傾向
にあるため前記アルカリ金属化合物等を樹脂の製造時又
は製造後に併用することが望ましい。
酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸、修
酸、有機スルホン酸等の有機酸、二価金属塩(例えばカ
ルボン酸,ナフテン酸又は硼酸等のMn・Zn・Pb塩など)
およびルイス酸(例えば塩化亜鉛等)などが用いられ
る。その使用量としては、フェノール類1モル当たり0.
001〜0.05モルが適当である。なお、酸性触媒のみで調
製した樹脂は、硬化特性の面から樹脂製造後に前記アル
カリ金属化合物等でアルカリ性に転換することが必要で
ある。
なお、前述したアルカリ金属化合物等やシランカップリ
ング剤は、必ずしもフェノール樹脂に内含させる必要は
なく発泡性混合物の調製時に配合しても差支えない。
次に、本発明のフェノール樹脂系発泡体の製造に際しア
ルカリ性フェノール樹脂と共に用いるゲル化剤、発泡剤
及び整泡剤について説明する。
本発明においてフェノール樹脂のゲル化剤として用いる
有機エステル類としては、例えばβ−プロピオラクト
ン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カ
プロラクトン等のオキシ酸環状エステル類;又は例えば
蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、エチレングリコ
ールモノアセテート、エチレングリコールジアセテー
ト、ジアセチン、トリアセチン等の脂肪族エステル類な
どが好適な例として挙げられる。これらの有機エステル
類は単独又は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
一方、環状炭酸エステル類としては、例えばジオキソロ
ン−2(通称、エチレンカーボネート)4−メチルジオ
キソロン(通称、プロピレンカーボネート)、4−エチ
ルジオキソロン、4−ブチルジオキソロン、4,4′−ジ
メチルジオキソロン、4,5−ジメチルオキソロン、4−
ペンチルジオキソロンなどが挙げられる。これらの中で
もとりわけ商業的に入手し易く、コスト的に低廉かつ低
毒・低臭のエチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ートおよびこれらの混合物が好ましく用いられる。
ゲル化剤の配合量としては、フェノール樹脂100重量部
当たり通常2重量部以上、好ましくは5〜70重量部の範
囲で選択される。配合量が2重量部未満の場合には発泡
硬化が緩慢であるため実用上問題である。
なお、上述の有機エステル類と環状炭酸エステル類は併
用も可能であり、本発明の目的を何ら阻害するものでは
ない。
本発明で用いる発泡剤としては、例えば塩化メチレン、
四塩化炭素、トリクロルエタン、トリクロロモノフルオ
ロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、1.1.2−トリ
クロロトリフルオロエタン、1.2−ジクロロテトラフル
オロエタン等のハロゲン化炭化水素類、又は例えばブタ
ン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類などが例
示的に挙げられるが特にこれらに限定されるものではな
い。
発泡剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用するこ
とが可能であり、配合量としては、通常フェノール樹脂
100重量部当たり1〜50重量部である。
本発明で用いる整泡剤としては、例えばテトラアルキル
アンモニウム塩等のカオチン系界面活性剤、例えばアル
キルフェノールスルホン酸塩等のアニオン系界面活性
剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、シロキサン・
オキシアルキレン共重合体等のノニオン系界面活性剤な
どが例示的に挙げられるが、これらの中でもとりわけノ
ニオン系界面活性剤を主体とする整泡剤の使用が好適で
ある。整泡剤の配合量としては、通常フェノール樹脂10
0重量部当たり0.1〜10重量部である。
次に、本発明のフェノール樹脂系発泡体の製造方法につ
いて説明する。
先ず、所定量の整泡剤をあらかじめ内含させたアルカリ
性フェノール樹脂(又は樹脂に整泡剤を配合し)に必要
に応じて種々の添加剤(例えば難燃剤、充填材、補強
材、pH調整剤、可塑剤、着色剤など)を加えて予備混合
した後、引き続き所定量の発泡剤およびゲル化剤を順次
又は同時に添加し、更に撹拌混合して均一な発泡性混合
物を調製する。
次に、調製された発泡性混入物は直ちに常温ないしは所
望の温度に調節された成型模型内に注入し、常圧又は加
圧下に発泡硬化させて本発明のフェノール樹脂系発泡体
を製造することができる。
そのほか、当該次術分野で一般的に採用されている発泡
方法、例えばバッチ式又は連続式高速混合、スプレー混
合、フロス混合等の混合方法により調製した発泡性混合
物を、エンドレスコンベア上に連続的に流出させて単体
又は各種面材との自己接着を促進しつつ発泡硬化させる
方法(連続発泡)、成型体又は組み立て枠等の空間部に
圧入しながら充填し発泡硬化させる方法(注入発泡)又
はスプレー方式による現場発泡、更には含浸発泡なども
制約なく適用し得、通常の発泡操作によって本発明のフ
ェノール樹脂系発泡体を製造することができる。
なお、本発明のフェノール樹脂系発泡体は、アフターキ
ュアーを施すことによって、残存メチロール基を完全に
硬化させて発泡体の強度をより向上させることが可能で
あり、アフターキュアーは有用な手段として推奨され
る。
本発明のフェノール樹脂系発泡体は、アルカリ成分の種
類又は量、ゲル化剤の種類等の選択・調節によってはフ
ェノール性水酸基の酸性に基づく程度の弱酸性を示すこ
ともありうるが一般的にはアルカリ性を呈するものであ
る。
この様にして得られた本発明のフェノール樹脂系発泡体
は、鉄板、アルミニウム板、鉄枠、アルミニウム枠、釘
等の金属製固着具などの金属部材に対する防蝕性;アス
ベスト紙、ロツクウール繊維、モルタルセメント板、コ
ンクリート又はモルタル下地材等のアルカリ系被着物質
との接着性;耐表面脆性;又は火災/高温においても有
毒な亜硫酸ガスの発生を伴わない安全性などの性能が要
求される発泡体の利用分野、例えば天井材、内壁材、外
壁材、床下地材、雨戸などの建築用部材、自動車用天井
材、冷凍・冷蔵庫用断熱材、プラント用保温材、防音・
防振材、構造用パネル等の用途に好適である。
〔作用〕
本発明におけるフェノール樹脂系発泡等の生成機構又は
効果の発現機構については、未だ論理的には解明なされ
ていない面もあるが次のように推定される。ゲル化剤の
分解および硬化(架橋)の促進に対し触媒的に作用する
アルカリ成分の存在下に惹起する、ゲル化剤の開環分解
ないしは加水分解生成物(アルコール成分と酸性成分)
とメチロール基を有するフェノール樹脂とのエステル交
換反応等または樹脂自体の縮合反応などの硬化(架橋)
反応に基づく樹脂の高分子化機構と、該樹脂に結合する
アルカリ成分と前記酸性成分(例えば二酸化炭素、オキ
シ酸、カルボン酸等)との中和反応によるアルカリ成分
の脱離に伴って生じる樹脂の疎水化機構とが相乗して高
分子化かつ疎水化された樹脂系発泡体が形成されるもの
と推定される。更に、該発泡体は前記中和反応により生
成した中性ないしはアルカリ性の塩類又は余剰アルカリ
成分を内含するためにアルカリ性ないしはフェノール性
水酸基の酸性に基づく程度の弱酸性を示すものと推定さ
れる。
本発明のフェノール樹脂系発泡体は、上述したごとくア
ルカリ性ないしは弱酸性を呈するために鉄、アルミニウ
ム等の金属部材に対する腐蝕作用を防止ないしは軽減す
る効果を奏するものと考えられる。また有機スルホン酸
等の酸性硬化剤を使用しない本発明においては、従来技
術で観察されるような、アルカリ系被着物質による硬化
剤機能の低下に基づく未硬化に起因した接着剤阻害を受
けることがなく、むしろアルカリ成分によって硬化(架
橋)が促進されるのみならず同質的な面も相俟って強固
な結合を形成して本発明発泡体とアルカリ系被着物質と
の間に優れた結合強度を発現し、かつ火災又は高温に曝
されても有毒な亜硫酸ガスを発生させることがなく人体
への安全性が確保され、しかも発泡用樹脂としては比較
的高分子量の樹脂を用いること又は発泡体の生成機構の
相違等によって良好な耐表面脆性が発揮されるなどの特
徴を有するフェノール樹脂系発泡体が提供されるものと
推察される。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、実
施例は技術思想の限定を意図したものではない。なお、
実施例中の「%」は特に断わりのない限りすべて重量基
準である。
[実施例1] 1.アルカリ性フェノール樹脂の調製 還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた反応
フラスコにフェノール1000gを47%ホルマリン1358gを仕
込んだ後、撹拌混合しながら50%水酸化カリウム水溶液
715gを分液ロートより滴下させつつ徐々に昇温し75℃で
8時間反応させた。引き続き、得られた反応混合物を減
圧下で固形分含量70%になるまで濃縮して30℃における
粘度5000CP(B型粘度計)重量平均分子量800の水性系
アルカリ性フェノール樹脂を調製した。これを樹脂Aと
する。
2.発泡操作 前記樹脂A100gに対し整泡剤としてトーレシリコーン社
製商品名SH−193(シロキサン・オキシアルキレン共重
合体ノニオン系界面活性剤)2gを添加して予備混合し、
次に発泡剤として旭ガラス社製商品名フロン11(トリク
ロロモノフルオロメタン)を20g配合してホモジナイザ
ー(回転数約5000r.p.m)で10秒間混合し、引き続きゲ
ル化剤として80%エチレンカーボネート水溶液を15g
(樹脂に対して純分で12%)添加しさらに10秒間混合し
て均一な発泡性混合物を調製した。
調製した発泡性混合物は、プレス熱盤上で予め約80℃に
予熱しておいた4個の200×100×25mm金型(敷設材料:
0.5mm鉄板、0.5mmアルミニウム板、9mmモルタルセメン
ト板及び離型紙)内に手早く注入し加圧下に10分間保持
しつつ発泡硬化させて本発明の発泡体を得た。
さらに、この発泡体をオーブンに装入し100℃で10分間
アフターキュアーを行なった。
作成した発泡体の評価(密度,pH,SO2ガス発生濃度,金
属部材に対する防蝕性,面材との接着性など)は後述の
方法により実施し、その結果は表−1に示す通りであっ
た。なお離型紙を用いて作成した面材なしの発泡体は釘
腐蝕試験に供した。
[比較例1] 酸硬化型フェノールフォーム用樹脂システムである旭有
機材工業社製商品名フェノール樹脂PF−0009(整泡剤含
有)100gに対しフェノールスルホン酸系硬化剤CA−045
を20g及び旭ガラス社製商品名フロン113(1.1.2−トリ
クロロトリフルオロエタン)20gを用いる以外は実施例
1と同様に操作処理して発泡体を作成した。なお実施例
1に準じて行なった発泡体の評価結果は表−1に示す通
りであった。
[実施例2〜3] エチレンカーボネートに代えて、樹脂Aに対して純分で
γ−ブチロラクトン20%(実施例2)又は蟻酸メチル10
%(実施例3)のゲル化剤を用いる以外は実施例1と同
様に操作処理して発泡体を作成した。なお実施例1に準
じて行なったそれぞれの発泡体の評価結果は表−1に示
す通りであった。
[実施例4および比較例2] 樹脂A100gに対し整泡剤としてSH−193を2g、発泡剤とし
てフロン11を30g及びゲル化剤としてプロピレンカーボ
ネート40g(樹脂に対して純分で40%)を用いて実施例
1と同様にして均一な発泡性混合物を調製した。次いで
これを手早くステンレス製上端開放型容器に注入したの
ち自由発泡させて常温硬化の発泡体(実施例4)を作成
した。また比較対照のためフェノール樹脂PF−0009を10
0g、フェノールスルホン酸系硬化剤CA−045を30gおよび
フロン113を30g準備しこれを用いて実施例4と同様に操
作処理して発泡体(比較例2)を作成した。
次に、作成した発泡体の耐表面脆性を調べるため、発泡
体の表層面を指で擦り脆性の度合いも観察した結果、実
施例4の発泡体は粉化現象もなく優れた耐表面脆性を示
したのに対し、比較例2の発泡体は表面の粉化を生じて
耐表面脆性に劣るものであった。
以上のごとく本発明のフェノール樹脂系発泡体は、従来
の酸硬化型フェノール樹脂系発泡体より(1)金属部材
に対する腐蝕性又はアルカリ系被着物質との接着性の面
で優れた防止ないしは改善効果を有することが認められ
た。また(2)非常に良好な耐表面脆性を示し、更には
(3)高温にさらされても有毒な亜硫酸ガスの発生もな
く発泡体として有用な特徴を有することが確認された。
本発明におけるフェノール樹脂の重量平均分子量の測定
および発泡体の評価は以下の方法により実施した。
注1.重量平均分子量の測定方法 試料はアルカリ性フェノール樹脂を蟻酸でpH5〜6に調
整して得られた樹脂分をテトラヒドロフラン(THF)に
溶解して作成した。
次に、東洋曹達工業社製高速液体クロマトグラフイーHL
C802(THF溶離液流量・・1.2ml/分,分離カラム・・G10
00H8×G2000H8,プレカラム・・GH8P)とデーター処理器
クロマトプロセッサーCP8000(ポリスチレン基準検量線
内蔵)からなる分子量分布測定装置を用いて試料の重量
平均分子量を求めた。
注2.発泡体の密度(Kg/m3)はJIS A 9514に準じて測定
した。
注3.pHの測定方法 粉状発泡体0.5gをビーカーに秤取後、蒸留水(100cc)
を加えて30分間撹拌して得た上澄液のpHをpHメーターで
測定した。
注4.亜硫酸ガル濃度の測定方法 高温管状炉(温度700℃)中に粉状発泡体0.5gを挿入
後、手早くガス補集袋を取り付けて10分間発生ガスを補
集し、北川式検知管によって亜硫酸ガス濃度(%)を測
定した。
注5.防蝕性の試験方法 (1)厚み20mmの発泡体中央部に釘を差し込んだ試験体
を温度60℃/湿度90%の恒温恒湿器中に入れて30日間放
置し、釘の腐蝕状態を観察した。
(2)発泡成型時に所定の金属面材を自己接着させて作
成した試験体を温度60℃/湿度90%の恒温恒湿器中に入
れて30日間放置し、金属面材の腐蝕状態を観察した。
注6.接着性の測定方法 発泡成型時に所定の面材を自己接着させて作成した試験
体の面材端部にバネ秤りを固定したのち面材を剥離して
その接着力(Kg/100mm幅)を測定した。
〔発明の効果〕 以上詳述したごとく、本発明のフェノール樹脂系発泡体
は、(1)金属部材に対する防蝕性が酸硬化型の従来発
泡体より極めて優れているため、金属腐蝕による事故防
止や改修工事の低減などが図れること、また(2)アル
カリ系被着物質との接着性が非常に良好なために、従来
より実施されてきた該被着物質に対する表面処理/プレ
コート等の煩雑な前処理を行なう必要もなく簡単に且つ
耐久性に優れた複合発泡体を提供し得ること、更には
(3)常温発泡させた場合に優れた耐表面脆性を示すこ
とから特に現場発泡に有効であり、加えて火災/高温に
さらされても有毒な亜硫酸ガスの発生が無く人体に対す
る安全性を確保しうるなど有用な効果を奏するものであ
り産業用資材として極めて適用幅が広く利用価値の高い
ものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メチロール基を有するアルカリ性フェノー
    ル樹脂、ゲル化剤、発泡剤および整泡剤を必須成分とす
    る混合物を発泡硬化させてなり、かつ該ゲル化剤がオキ
    シ酸環状エステル類および/または脂肪族エステル類で
    あることを特徴とするフェノール樹脂系発泡体。
  2. 【請求項2】アルカリ性フェノール樹脂がアルカリ金属
    又はアルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種の金
    属イオンを含有し、かつ重量平均分子量が2.00〜2000の
    水性樹脂である特許請求の範囲第1項記載のフェノール
    樹脂系発泡体。
  3. 【請求項3】メチロール基を有するアルカリ性フェノー
    ル樹脂、ゲル化剤、発泡剤および整泡剤を必須成分とす
    る混合物を発泡硬化させてなり、かつ該ゲル化剤が環状
    炭酸エステル類であることを特徴とするフェノール樹脂
    系発泡体。
  4. 【請求項4】アルカリ性フェノール樹脂がアルカリ金属
    又はアルカリ土類金属から選ばれた少なくとも1種の金
    属イオンを含有し、かつ重量平均分子量が200〜2000の
    水性樹脂である特許請求の範囲第3項記載のフェノール
    樹脂系発泡体。
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