JPH0775768B2 - 射出成形装置における成形品の良否判別方法 - Google Patents

射出成形装置における成形品の良否判別方法

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JPH0775768B2
JPH0775768B2 JP2283527A JP28352790A JPH0775768B2 JP H0775768 B2 JPH0775768 B2 JP H0775768B2 JP 2283527 A JP2283527 A JP 2283527A JP 28352790 A JP28352790 A JP 28352790A JP H0775768 B2 JPH0775768 B2 JP H0775768B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はダイカストマシンやプラスチック用射出成形機
等の射出成形装置において成形品の良否を射出工程中に
判別する成形品の良否判別方法に関するものである。
[従来の技術] ダイカストマシンやプラスチック用射出成形機等の射出
成形装置において、型締された金型のキャビティ内へ
は、溶湯または溶融樹脂が射出され、これらの溶融物が
固化することによって成形品が得られる。
このような射出動作においては、溶融物がプランジャ等
で押出されるときに空気が巻き込まれてキャビティ内へ
侵入し、溶融物中に混在することがあり、この結果、成
形品中に巣が発生して品質を低下させるという問題があ
った。
そこで従来、成形品にX線を当て、密度によるX線の透
過吸収差によって巣の有無を検査するX線検査や、成形
品に超音波を送りその反射音を受信することによって巣
の有無を検査する超音波検査等を用いて成形品の良否を
判別していた。しかしながら、このような従来の成形良
否判別方法においては、必ずしも満足した判別結果が期
待できないばかりでなく、射出工程の後の工程で検査が
行なわれるために、不良品が多発した場合の対策が遅れ
たり、あるいは製造ロット別の不良品発生率が把握しに
くいという問題があった。
そこで従来、射出開始時における加速度の大きさや、低
速射出から高速射出への切替に要する時間などを測定し
て成形の良否を判別する方法が試みられている。
第4図はこれを説明するために示すダイカストマシンに
おける射出開始から充填完了までの時間と射出速度およ
び射出圧力との関係線図であって、曲線L1は、横軸に時
間t、縦軸に射出速度vをとって示す曲線であり、また
曲線L2は、横軸に時間t、縦軸に射出圧力Pをとって示
す曲線である。図において、射出速度vは、射出開始
後、立上り角度θで示す加速度により定速射出速度v1
なり、t0点において高速射出に切替えられて速度v2まで
加速されたのち停止する。また、射出圧力Pは、高速射
出に切替えられたのち溶湯の射出が開始されると圧力P0
となり、充填開始から充填完了までの時間t2の間に圧力
P1まで加圧される。そして、従来の成形良否判別方法に
おいては、上記立上り角度θと、高速射出への切替に要
する時間t1、充填に要する時間t2を管理値として用いて
いた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような従来の成形良否判別方法に用
いられる管理値θ,t1,t2はいずれも平均値であるた
め、第4図に対応しこれとすべて同符号を付して第5図
に示すように、速度vや圧力Pにハンチングがある場合
でも出力が同じかあるいはほとんど同じであって、この
値によって成形品の良否を判別することはきわめて困難
であった。
このことは、前記空気の巻込みが品質不良の原因となる
ことが多いことと、空気の巻込みの結果現われる現象と
してはプランジャのハンチングが主であることから考え
ると、従来の方法では成形品の良否を判別する方法とし
ては不充分であった。
[課題を解決するための手段] そこで、第4図に示す射出速度曲線L1と成形品の品質と
の関係を鋭意研究した結果、第4図に符号L3で示す加圧
完了前におけるプランジャの運動が各ショットごとに微
妙に異なることに着目し、この間におけるプランジャの
速度変化状態を監視とることにより成形の良否を判別す
るようにした。
すなわち、本発明においては、キャビティ内へ溶融物が
充填され終る直前から充填完了までの間における射出プ
ランジャの速度変化状態を監視することによって成形品
の良否を判別するに際して、横軸と縦軸とにそれぞれ充
填完了点直前の信号位置数個とその信号位置における射
出プランジャの前進速度の逆数とを取り、この前進速度
の逆数を図表化して線図を作成することによって得られ
るこの線図と前記横軸,縦軸とで囲まれた部分の面積の
大小によって成形品の良否を判別するようにした。
[作用] 成形品への空気の巻込量が多いときに前記線図と前記横
軸、縦軸とで囲まれた部分の面積は大きくなり、成形品
への空気の巻込量が少ないときにこの面積は小さくなる
ので、この面積の大小によって成形品への空気の巻込量
の多少の度合いを知ることがでる。勿論、成形品への空
気の巻込量が多いほど、成形品の内部に巣が発生し、成
形品の表面にブリスタが発生しやすいので、成形品の品
質は悪くなり、逆に、成形品への空気の巻込量が少ない
ほど、成形品の品質は良い。したがって、この面積の大
小によって成形品の品質の悪さの度合いを知ることがで
きる。
[実施例] 第1図ないし第3図は本発明に係る成形良否判別方法を
説明するために示す図であって、第1図はダイカストマ
シンの概略構成図と成形良否判別装置のブロック図、第
2図(a),(b),(c)はダイカストマシンにおけ
る射出プランジャの射出時間と射出速度およびストロー
クとの関係線図を示し、第2図(a)は空気の巻込量が
少ない場合の線図、第2図(b)は空気の巻込量が中ぐ
らいの場合の線図、第2図(c)は空気の巻込量が多い
場合の線図、第3図は第2図(a),(b),(c)に
それぞれ対応して示す充填完了点直前の射出速度曲線に
表われるハンチングの数個の信号位置とその信号位置に
おける射出プランジャの前進速度の逆数との関係線図で
ある。
図において、ダイカストマシンは固定プラテン1に装着
された固定金型1aと、可動プラテン2に装着されて固定
金型1aに対し遠近方向へ進退することにより型締,型開
される可動金型2aとを備えており、型締された両金型1
a,2aの分割面3の両側には、キャビティ4が形成されて
いる。固定プラテン1のスリーブ孔には、注湯口5aを有
する射出スリーブ5が挿入されており、その内孔とキャ
ビティ4とは金型1a,2aに設けたスリーブ1bとゲート6
とを介して連通されている。7は射出スリーブ5と同心
状に配設された射出シリンダであって、その油圧で進退
するピストンロッド8にはプランジャ9がカップリング
10を介して連結されており、このプランジャ9の頭部で
あるプランジャチップ11は、射出スリーブ5の内孔に進
退自在に嵌合されている。このように構成されているこ
とにより、図示の状態において、注湯口5aから射出スリ
ーブ5内へ溶湯12を供給して射出シリンダ7の油圧でピ
ストンロッド8を前進させると、プランジャチップ11が
射出スリーブ5内とスリーブ1b内とで前進し、溶湯12が
押出されてゲート6を介しキャビティ4内へ射出され
る。キャビティ4内へ溶湯12が充填され終ったら、さら
に押し続ける射出シリンダ7の作用による押圧力によっ
てキャビティ4内の溶湯はさらに押されて押湯作用を受
け、キャビティ4内の溶湯はより緻密になって充填が完
了する。その後、溶湯の固化,冷却を待ち、型開して固
化した鋳造品をキャビティ4から押出す。
このように構成されて動作するダイカストマシンには、
全体を符号20で示す成形良否判別装置が付設されてい
る。すなわち、前記カップリング10には、ピストンロッ
ド8と平行しこれと一体的に進退する磁気スケール21が
固定されており、この磁気スケール21には、演算器22に
電気接続された磁気ヘッド23がマシンベース側に固定さ
れて対向している。そして、磁気ヘッド23が、磁気スケ
ール21が1mm移動するたび、すなわちプランジャチップ1
1のストロークstの1mmごとに信号を発して演算器22へ伝
送するように構成されている。また、演算器22には、電
流を流すことにより固有振動数で発振する水晶発振器24
が電気接続されており、さらに演算器22にはモニタ装置
25が電気接続されている。
このように構成されていることにより、溶湯12をキャビ
ティ4内へ射出するためにプランジャ9を前進させる
と、磁気スケール21が移動し、これに対向する磁気ヘッ
ド23が、磁気スケール21の1mm移動ごとに信号を発し、
プランジャチップ11の1mmごとのストロークstを演算器2
2に入力する。また、水晶発振器24に電流を流すと固有
振動数で発振し演算器22へ入力する。この結果、演算器
22ではプランジャチップ11が1mm移動する時間が演算さ
れ、モニタ装置25には、第2図(a)に符号L4で示す時
間−速度線図が表示される。すなわち、第2図(a)に
おいて、曲線L4は、射出開始から充填を完了して製品が
取出されるまでにおけるプランジャチップ11のストロー
ク1mmごとの速度を示すものであって、第4図,第5図
と同じくt0は高速射出への切替点を示している。また、
t3は最終直前信号パルス位置を示しており、t4は最終信
号パルス位置すなわち押湯作用も終った充填完了位置を
示している。t1,v1,v2は第4図,第5図の場合と同じ
である。さらに曲線L5は時間−ストローク曲線を示して
いる。第2図(a)は空気の巻込量が少ない場合を示し
ており、図から明らかなように、充填完了直前t3から充
填完了t4までの間にハンチンクがない。第2図(b)は
空気の巻込量が中ぐらいの場合を示しており、t3からt4
までの間に符号Hで示すハンチングが見られる。また第
2図(c)は空気の巻込量が多い場合を示しており、例
えば、t3からt4までの間にハンチングHが3回見られ
る。このようにモニタ装置25によって充填完了直前t3
ら充填完了t4までの速度曲線を監視しておれば空気の巻
込量を知ることができ、成形の良否が判別できる。なお
t4点以降のハンチングは、製品取出時の状態を示してい
る。
第3図は、横軸に充填完了点直前における射出速度曲線
に表われるハンチングの数個の信号位置をとり、縦軸に
射出プランジャの前進速度の逆数1/v(sec/mm)をとっ
てこの前進速度の逆数を図表化したものであって、この
図表化された線図と、この図表の縦軸,横軸とで囲まれ
た部分の面積を比較することによって成形品の良否を判
別するものである。図において実線(a)は第2図
(a)、点線(b)は第2図(b)、鎖線(c)は第2
図(c)にそれぞれ対応する線図を示している。図から
明らかなように、空気の巻込量が多いほど、線図と縦
軸,横軸とで囲まれた3角形状の面積が大きくなり、こ
の面積の大小を比較することによって空気の巻込量を知
ることができる。
このようにして充填完了直前の速度変化を監視すること
によって成形良否が判別できるとともに、いわゆるショ
ックレスショットと呼ばれる衝撃のない射出が行なわれ
るように監視することができる。なお、本実施例は本発
明をダイカストマシンに実施した例を示したがプラスチ
ック用射出成形機にも同様に実施することができる。
[発明の効果] 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、キャビ
ティ内へ溶融物が充填され終る直前から充填完了までの
間における射出プランジャの速度変化状態を監視するこ
とによって成形の良否を判別するに際して、横軸と縦軸
とにそれぞれ充填完了点直前の信号位置数個とその信号
位置における射出プランジャの前進速度の逆数とを取
り、この前進速度の逆数を図表化して線図を作成するこ
とによって得られるこの線図と前記横軸,縦軸とで囲ま
れた部分の面積の大小によって成形品の良否を判別する
ようにしたので、成形品に対する空気などの巻込み状態
を確実に見つけることができ、かつ、1ショット完了ご
とに成形の良否を適切に判別することができるので、不
良品の発生時における対策が迅速かつ適切に行なわれ、
不良品の発生率が減少する。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は本発明に係る成形良否判別方法を
説明するための図を示し、第1図はダイカストマシンの
概略構成図と成形良否判別装置のブロック図、第2図
(a),(b),(c)はダイカストマシンにおける射
出プランジャの射出時間と射出速度およびストロークと
の関係線図を示し、第2図(a)は空気の巻込量が少な
い場合の線図、第2図(b)は空気の巻込量が中ぐらの
場合の線図、第2図(c)は空気の巻込量が多い場合の
線図、第3図は第2図(a),(b),(c)にそれぞ
れ対応して示す充填完了点直前の信号位置数個とその信
号位置における射出プランジャの前進速度の逆数との関
係線図、第4図は従来における成形良否判別方法を説明
するために示す射出開始から充填完了までの時間を射出
速度および射出圧力との関係線図、第5図は同じく空気
を巻込んだ場合における曲線を第4図に対応して示す関
係線図である。 1a……固定金型、2a……可動金型、4……キャビティ、
11……プランジャチップ、12……溶湯、20……成形良否
判別装置、22……磁気スケール、22……演算器、23……
磁気ヘッド、24……水晶発振器、25……モニタ装置、L4
……プランジャチップのストローク1mmごとの速度線
図、H……ハンチング。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティ内へ溶融物が充填され終る直前
    から充填完了までの間における射出プランジャの速度変
    化状態を監視することによって成形品の良否を判別する
    に際して、横軸と縦軸とにそれぞれ充填完了点直前の信
    号位置数個とその信号位置における射出プランジャの前
    進速度の逆数とを取り、この前進速度の逆数を図表化し
    て線図を作成することによって得られるこの線図と前記
    横軸、縦軸とで囲まれた部分の面積の大小によって成形
    品の良否を判別するようにしたことを特徴とする射出成
    形装置における成形品の良否判別方法。
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