JP3817652B2 - ダイカスト鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイカスト鋳造においては、一般に図5に示すように、給湯口1を有する射出スリーブ2内に、前記給湯口1を通してラドル3から溶湯Mを定量給湯し(▲1▼)、この給湯終了後、所定のタイミングで駆動手段(図示略)によりプランジャチップ4を前進させ(▲2▼)、射出スリーブ2の前端側の射出口5から金型のキャビティ(図示略)へ溶湯を高圧で射出する(▲3▼)ようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したダイカスト鋳造方法においては、ラドル3からの給湯により射出スリーブ2内の溶湯Mに波が発生し、この波が、プランジャチップ4の前進に応じて増幅して、図5▲2▼に示すように波立ちM´が発生し、場合によっては、この波立ちM´が過大になって、図5▲3▼に示すように溶湯Mの内部に空気層Aがトラップされてしまい、これが鋳造品質を悪化させる大きな原因になっていた。
なお、例えば、特開昭62−68667号公報には、射出スリーブの先端開口部内に配置した分流子をアクチュエータにより移動させることにより射出スリーブの内容積を可変とし、射出スリーブ内に溶湯を100%充填した後、前記分流子をプランジャチップの前進と同期して後退させて、空気層が形成されないようする対策を採っている。しかし、このような対策では、分流子を移動させるアクチュエータを金型に設けられなければならないため、金型が複雑大型化し、メンテナンスも面倒になってコスト負担の増大が避けられないようになる。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、金型の複雑大型化を招くことなく射出スリーブ内における溶湯の波立ち現象を抑え、もって鋳造品質の向上に大きく寄与するダイカスト鋳造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記波立ち現象について種々検討した結果、ラドル3による給湯終了直後に該給湯部位に湯面が一時的に下がる段差波が発生し、この段差波がプランジャチップ4の前端に衝突して、その反射波が射出スリーブ2の先端側で波立ちM´として立上がることに原因がある、との結論に至った。
本発明に係るダイカスト鋳造方法は、上記した検討結果に基づいてなされたもので、その特徴とするところは、射出スリーブ内に給湯した溶湯をプランジャチップの前進により金型のキャビティに射出するダイカスト鋳造方法において、前記給湯終了直後の、プランジャチップの前面の湯面高さをセンサにより検知し、該検知した湯面高さが、予め実験により求めた湯面高さの変化から把握される湯面上昇のピークの前段階に設定した基準値を超えた時点で、該プランジャチップを前進させるようにした点にある。
このように行うダイカスト鋳造方法においては、給湯終了直後に形成される段差波がプランジャチップに衝突した際の湯面の上昇をセンサにより監視し、湯面レベルが適当に上昇したタイミングでプランジャチップを前進させることで、プランジャチップ前面の溶湯の立上りと段差波の反射波とが同調し、大きな塊となって流動し、波立ちの発生が抑制される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0007】
図1は、本発明に係る射出装置を含むダイカスト鋳造装置の全体的な構造を示したものである。同図において、10は本発明に係る射出装置、20は金型であり、本射出装置10は、従来(図5)と同様に基端部に給湯口11を、先端部に射出口12をそれぞれ有する射出スリーブ13を備え、射出スリーブ13はその先端部を金型20に結合させた状態で配置されている。金型20は、前記射出スリーブ13を結合した一方の側が固定型21として、この固定型21に対向する他方の側が可動型22として構成されており、固定型21に対して可動型22を合せた状態すなわち型閉じ状態で、両者の間には鋳造空間としてのキャビティ23と前記射出スリーブ13の射出口12をこのキャビティ23に導く湯道部24とが画成されるようになっている。なお、ここでは、説明の便宜のため、射出スリーブ13を、先端が閉じられた有底構造として示しているが、実際には、射出スリーブ13の先端を開放して、この開放端部内に可動型22に内装した分流子を配置する型構造となっている。
【0008】
本射出装置10はまた、射出スリーブ13に摺動可能に配設されたプランジャチップ14とこのプランジャチップ14を駆動する駆動手段15とを備えている。プランジャチップ14は、射出スリーブ13の基端側に寄せられた図示の状態が原位置となっており、前記給湯口11は、この原位置に位置決めされているプランジャチップ14の直前に開口するように射出スリーブ13の上部に設けられている。
【0009】
本射出装置10はさらに レーザ変位センサ(レーザ変位計)16と、このレーザ変位センサ16からの信号に基づいて前記駆動手段15の作動を制御する制御手段17とを備えている。レーザ変位センサ16は、給湯口11の直上位置にレーザの出射口を下方へ向けて位置固定的に配置されている。このレーザ変位センサ16は、プランジャチップ14の前面の湯面高さを検知する役割をなすもので、給湯口11を通してレーザを射出スリーブ13内の溶湯Mへ出射し、かつ溶湯Mの上面(湯面)で反射したレーザの反射光を受光する機能を有している。なお、このレーザ変位センサ16は、非接触式の他の変位センサ、例えば超音波センサ、赤外線センサ、ミリ波レーダー等に変更することができる。
一方、制御手段17は、前記レーザ変位センサ16で検知した湯面高さと予め記憶した設定値(基準値)とを比較し、湯面高さが設定値を超えたときに前記駆動手段15へ出力指令を送出する機能を有しており、駆動手段15は、この制御手段15からの出力指令に応じてプランジャチップ14を前進動作させる。
【0010】
以下、上記構成の射出装置10を備えたダイカスト装置によるダイカスト鋳造の実施形態を図2も参照して説明する。
鋳造に際しては、先ず、図2▲1▼に示すように、射出スリーブ13の給湯口11の上方に前記ラドル3を搬入して、該ラドル3から給湯口11を通して射出スリーブ13内に溶湯Mを給湯する。この時、ラドル3は、レーザ変位センサ16およびレーザ光と干渉しないように平面視で斜め方向から給湯口11の上方に搬入する。ラドル3からの給湯により、給湯終了直後には、図2▲2▼に示すように、該給湯部位に湯面が一時的に下がる段差波Fが発生し、この段差波Fがプランジャチップ4の前端に衝突して、その前面の湯面が上昇する。そこで、本実施形態においては、図2▲3▼に示すように、ラドル3による給湯終了と同時にレーザ変位センサ16より照射して、給湯口11を通して前記プランジャチップ4の前面の湯面高さを連続的に検知する。このレーザ変位センサ16の信号は制御手段17(図1)へ送出されるようになっており、制御手段17は、レーザ変位センサ16による測定値と基準値とを比較し、測定値(湯面高さ)が基準値を超えると、駆動手段15へ出力指令を送出し、これによりプランジャチップ14が前進を開始する。なお、レーザ変位センサ16による照射は、給湯開始と同時に開始してもよく、この場合は、給湯終了と同時に計測を開始するようにする。
【0011】
ところで、プランジャチップ14の前端に衝突した段差波Fは、プランジャチップ14の前面で湯面上昇を起こした後、反射波として前方へ移動する。そこで、本実施の形態においては、予め実験によりプランジャチップ14の前面の湯面高さの変化を測定し、図3に示すように、この湯面上昇がピークPに達する前段階に前記制御手段17に設定する基準値Aを決定している。したがって、プランジャチップ14が前進を開始する時点Bでは、前記段差波Fの反射波が発生する直前でプランジャチップ14が前進することになり、この結果、プランジャチップ14の前進による湯面の立上りと前記段差波Fの反射波とが同調し、図2▲4▼に示すように、溶湯Mがプランジャチップ14の前面で大きな塊M″となって前方へ流動する。すなわち、プランジャチップ14の前方に前記した波立ちM´(図5▲2▼)が生じることがなくなり、これにより、射出スリーブ13内の空気は溶湯Mに先行して前記金型20内のキャビティ23へ押出され、さらに後続の溶湯により金型20外へと排出される。したがって、このように行うダイカスト鋳造によれば、ブローホールのような鋳造欠陥の著しく少ない品質良好な鋳造品が得られるようになる。
【0012】
【実施例】
約880×104Nの型締力を有するダイカストマシンを用い、前記給湯口11より、690℃のアルミニウム溶湯を、250℃に予熱した射出スリーブ13に2kg/sの速度で給湯し、図3に示すようにプランジャチップ14の前面の湯面高さが50mm(A)を超えた時点(B)と、この時点より0.2s及び0.4s遅れた時点との3つの時点でプランジャチップ14の前進を開始(射出開始)し、最初、ストローク400mmまでは0.5m/sの速度で、その後、2.5m/sに増速してストローク550mmまでプランジャチップ14を前進させて前記キャビティ23に溶湯を充填し、大きさ2.5×450×500mm、重量1.5kgの薄板状試験片を鋳造した。そして、鋳造後、各試験片について、X線透過試験による内部欠陥の検査を行い、内部欠陥の面積を求めた。
【0013】
図4は、上記内部欠陥の検査結果を示したもので、これより、湯面上昇がピークPに達する前段階の時点(B)で射出開始したものが最も内部欠陥が少なく、その時点より時間が遅れるほど(遅延時間0.2s、0.4s)、内部欠陥が拡大している。これは、射出開始の遅れにより、前記した波立ちM´(図5▲2▼)が生じ易くなって、空気層が溶湯Mにトラップされた(図5▲3▼)たためと推定される。なお、プランジャチップ14の前面の湯面高さがピークP(図3)に達する時点は、給湯量によっても左右されるので、給湯量に応じた湯面高さの変化を事前に把握しておく必要がある。
【0014】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るダイカスト鋳造方法によれば、プランジャチップ前面の湯面高さの変化に応じて適当なタイミングで射出開始を行うことで、射出スリーブ内における溶湯の波立ち現象を抑えることができ、金型の複雑大型化を招くことなく鋳造品質の向上を達成でき、その利用価値は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出装置を含むダイカスト鋳造装置の全体的な構造を示す模式図である。
【図2】本発明に係るダイカスト鋳造方法の実施状況を経時的に示す模式図である。
【図3】本ダイカスト鋳造方法における射出開始タイミングを示すグラフである。
【図4】本ダイカスト鋳造方法により得た鋳造品の内部欠陥に及ぼす射出開始時間の影響を示すグラフである。
【図5】従来のダイカスト鋳造方法の実施状況を経時的に示す模式図である。
【符号の説明】
10 射出装置
11 給湯口
12 射出口
13 射出スリーブ
14 プランジャチップ
15 駆動手段
16 レーザ変位センサ(非接触式変位センサ)
17 制御手段
20 金型
23 キャビティ
M 溶湯
Claims (1)
- 射出スリーブ内に給湯した溶湯をプランジャチップの前進により金型のキャビティに射出するダイカスト鋳造方法において、前記給湯終了直後の、プランジャチップの前面の湯面高さをセンサにより検知し、該検知した湯面高さが、予め実験により求めた湯面高さの変化から把握される湯面上昇のピークの前段階に設定した基準値を超えた時点で、該プランジャチップを前進させることを特徴とするダイカスト鋳造方法。
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