JP2021169111A - ダイカスト製造方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティゲート部分での引け巣を有効に防止するダイカスト装置及びダイカスト法を提供すること。【解決手段】ダイカスト金型に射出する第1加圧手段により鋳込み完了時点をダイカストマシンの射出速度または射出圧力から捉え、前記射出速度の低下時または射出圧力の上昇時を鋳込み起点ポイントとしてキャビティに連通するランナーを加圧する第2加圧手段を作動させる。【選択図】図1
Description
本発明はダイカスト製造方法および装置に係り、特にダイカスト製品のランナーを加圧する為の加圧手段を備えたダイカスト方法および装置に関する。
近年、ダイカスト製品は、形状では複雑さ、大型化、薄肉化を求められ、内部品質では巻き込み巣がなく高密度であることが求められる。それに対応する手段として短時間充填法が増加している。短時間充填法では真空ダイカスト法が多用されるが、その方法は、金型キャビティ内ガス(空気)を高速で外部に排出するために、射出中に減圧タンク(真空タンク)とキャビティを接続してガスを高速で排出する仕組みだが、真空バルブ内及び真空タンク内にアルミ溶湯が入り込むとアルミ詰まりが発生するため、排出口(真空バルブ)へ溶湯が達する前に真空バルブを閉める必要がある。真空ダイカスト法でアルミ詰まりの無い安定した生産をしようとすると、真空バルブに溶湯が到達するのを回避するために製品と真空バルブまでの真空ランナーを大きくして真空バルブを製品より遠くに配置し、真空タンクの容積も増大しなければならない。この結果、溶湯はダイカスト製品となるキャビティに入り、これが満たされた後に更に大きな真空ランナーも満たすこととなり、真空ランナー増分だけ充填完了時点が遅れる。製品の密度を高めたり、巣の発生を抑えるための加圧が行えるのは金型内が溶湯で満たされていることが前提条件となるが、充填完了が遅れるため加圧が遅れることとなる。すなわち加圧タイムラグが発生する。換言すれば二次充填時間が長くなる。この時間、製品に対して巣の発生を抑制するための十分な加圧力が得られない。製品のゲートや製品部に引け巣が発生し、製品を加工または切断したときに巣が残り、製品不良となる。
このようなことから、スリーブ内の溶湯をダイカスト金型の内部に画成されたキャビティに向けて充填する第1の加圧手段と、ランナーの溶湯を加圧する第2の加圧手段を設けるようにしたダイカスト装置が知られている(特許文献1)。この特許文献1では、第2の加圧手段によるランナーの溶湯への加圧を第1の加圧手段による溶湯のキャビティ内への充填完了よりも前、好ましくは完了直前に行うことを示唆している。
しかし、コールドチャンバ―ダイカストは給湯装置で溶湯を炉からすくいスリーブに注ぐが、溶湯量にバラツキが発生してショットエンド位置が毎回変化する。射出の移動した位置(第1加圧)で第2加圧を切り替える信号を出すと加圧のタイミングが毎回変化してバリが出たり、加圧遅れを発生させる原因となる。このように、第1加圧から設定された位置で第2加圧をスタ―トさせる信号を出すと目標の給湯量より多い場合第2加圧は早目に作動してバリが発生する,逆に給湯量が少ないと到達時間が遅れ加圧タイミングが遅れる事によりゲート部が固まりかけ押湯効果得られない場合が発生する。
上記目的を達成するために、本発明では第1加圧手段でのスリーブによる低速充填、その後の高速充填を経て製品キャビティへの溶湯充填が完了したタイミングを第1加圧手段による鋳込み完了時点とし、それ以後は溶湯量のバラツキの影響を受けない起点(鋳込み起点ポイント)として捉える。ダイカストマシンの射出速度または射出圧力に注目して、射出圧力の上昇時点または射出速度の低下時点を鋳込み起点ポイントとして捉える事で給湯量などの変化に影響しない安定した第2加圧の起点ポイントとすることで、バリの発生を抑制しつつ、ゲートが凝固する前に加圧を行って製品密度を高めるようにした。製品密度向上、巣の発生抑止には、バラツキが排除された鋳込み起点ポイントから以降の二次充填や巣の発生を抑止する第2加圧のやり方が重要となる。そのため、第2加圧シリンダの変位量を制御して金型特性やダイカストマシン特性によって決まる最適加圧制御が必須となる。第2加圧シリンダ変位量の制御には、二通りの方法が考えられる。
1つは、ソレノイド方向切替弁のON/OFF制御を利用した「第2加圧手段の作動ポイント」の制御である。射出圧力の上昇時点または射出速度の低下時点を鋳込み起点ポイントとして捉え、「鋳込み起点ポイント」からの設定目標時間を経過した時に第2加圧シリンダを作動させ、前回の鋳込みサイクルの鋳込み起点ポイントから目標シリンダ変位までの所要時間を計測取得して、設定目標値との差を次回鋳込みサイクルで修正するものである。
もう一つは、mSec単位の流量制御が可能なサーボバルブを利用して装置が持つ可能最小制御単位ごとに目標シリンダ変位曲線に追随するようにリアルタイム制御するものである。
第2加圧手段を作動させる流量弁をON/OFF制御のソレノイド方向切替弁またはmSec単位の流量制御が可能なサーボバルブを使い、第2加圧シリンダ変位が目標の時間で所定位置になるように学習制御、またはリアルタイムフィードバック制御するものである。
具体的には、本発明に係るダイカスト製造方法は、ダイカスト金型に溶湯を射出する第1加圧手段による鋳込み完了時点を前記第1加圧手段の射出速度または射出圧力から捉え、前記射出速度の低下時または射出圧力の上昇時を鋳込み起点ポイントとしてキャビティに連通するランナーを加圧する第2加圧手段を作動させるようにしたものである。この鋳込みポイントから第2加圧手段を作動させるまでは設定時間経過後にランナーを加圧すればよい。
前記第2加圧手段の作動には当該第2加圧手段の目的変位までの経過時間を管理時間とし、この管理時間に到達するように作動開始時間を設定することを特徴としている。
前記管理時間の変動に対し第2加圧手段を出力させるシリンダバルブをソレノイドバルブとし、前回鋳込みサイクルの前記管理時間を学習させ次回鋳込みサイクルの管理時間を調整するようにすればよい。
前記第2加圧手段の作動前に当該第2加圧手段を予備加圧し、当該第2加圧手段の動作に即応性を持たせるようにしてもよい。
前記第2加圧手段の作動前に当該第2加圧手段を予備加圧し、当該第2加圧手段の動作に即応性を持たせるようにしてもよい。
前記管理時間を固定値とするとともに第2加圧手段を出力させるシリンダバルブをサーボバルブとし、第2加圧手段の前記固定値へのリアルタイム制御を行わせるようにしてもよい。
本発明に係るダイカスト製造装置は、ダイカスト金型に溶湯を射出する第1加圧手段と、キャビティに連通するランナーを加圧する第2加圧手段と、前記第1加圧手段による鋳込み完了時点からの前記第1加圧手段の射出圧力の上昇時点または射出速度の低下時点を鋳込み起点ポイントとし、この鋳込み起点ポイントから設定時間経過後に前記第2加圧手段を作動させる制御部と、を備えている。
この場合において、前記第2加圧手段がダイカスト金型の型開方向に直交する方向に向けて進退する加圧ロッドを備えた構成とすることが望ましい。あるいは、前記第2加圧手段がダイカスト金型の型開方向に沿った方向に向けて進退する加圧ロッドを備えた構成とすることもできる。
更に、本発明に係るダイカスト製造装置は、キャビティと該キャビティに連通するランナーを画成するダイカスト金型と、該キャビティ内に向けて溶湯を充填する第1加圧手段と、該ランナーの溶湯を加圧する第2加圧手段と、前記第1加圧手段によるシリンダ圧力センサーまたはシリンダ速度センサーの第1計測信号を入力し、前記第1計測信号から前記第1加圧手段により鋳込まれた瞬間を鋳込み起点ポイントとし、この鋳込み起点ポイントから設定時間経過後に前記第2加圧手段を作動させる制御部と、前記第2加圧手段の油圧シリンダの位置を検出して前記制御部へ第2計測信号を入力し、前記第2加圧手段の目標変位管理を設定する第2加圧ピン位置検出センサーと、を備えた構成とすることができる。
上記構成によれば、キャビティ内への溶湯の充填完了時を捉えてランナーを加圧した場合は給湯量がバラついてもバリを発生することなく十分な押湯効果が得られるので、キャビティ内で成形されるダイカスト品の品質を向上させることができる等の効果を奏する。
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して、詳細に説明する。なお、上記実施例は本発明の一実施例を示すものに過ぎない。
本発明の一実施形態に係るダイカスト装置1について図1〜図3に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係るダイカスト装置1について図1〜図3に基づき説明する。
図1に示されるように、ダイカスト金型10は、固定型20と可動型30とを備えている。固定型20は固定ホルダ21及び固定ダイス22からなり、固定ホルダ21には射出スリーブ23(スリーブ)が配設されている。射出スリーブ23内にはプランジャロッド24の先端に連結されたプランジャチップ25が配設されている。射出シリンダ27を作動させて該プランジャチップ25を射出スリーブ23内で摺動させることで射出スリーブ23の給湯孔26から供給されたアルミニウム合金等の溶湯を後述のキャビティ53内に充填可能である。プランジャチップ25、プランジャロッド24及び射出シリンダ27が第1加圧手段に相当する。
可動型30は可動ホルダ31、可動ダイス32及び分流子33からなり、矢印A←→A´で示される可動型の移動方向(ダイカスト金型10の型開き方向)に移動可能である。図1に示す型締め状態においては、ダイカスト金型10の内部にはランナー50、ゲート52及びキャビティ53が画成され、射出スリーブ23内の空間はランナー50及びゲート52を介してキャビティ53と連通する。ランナー50は、射出スリーブ23の軸線方向(ダイカスト金型10の型開き方向)に略一致する方向に延びる第1ランナー50Aと、射出スリーブ23の軸線方向に略直交する方向に延びる第2ランナー50Bとを備えている。第1ランナー50Aは、固定型20に配設された射出スリーブ23と可動型30の分流子33とにより画成されている。第2ランナー50Bは、射出スリーブ23と分流子33とにより画成される部分と、固定ダイス22と可動ダイス32とにより画成される部分とを有している。ゲート52及びキャビティ53は、固定ダイス22と可動ダイス32とにより画成されている。
分流子33には図示せぬブラケットを介して油圧シリンダ40が固定されている。油圧シリンダ40のピストンロッド41にはカップリング42を介して加圧ロッド43が連結されている。加圧ロッド43は分流子33に形成された貫通孔34に挿入され、加圧ロッド43の先端部43Aが貫通孔34の上側開口34Aを塞いでいる。加圧ロッド43は油圧シリンダ40の作動によりダイカスト金型10の型開き方向に略直交する方向に向けて進退可能とされ、油圧シリンダ40を作動させた場合には図1に示す後退位置から第2ランナー50B内に進入し、図6に示す前進位置まで進出可能である。従って、加圧ロッド43を第2ランナー50B内に進出させることにより、第2ランナー50Bの溶湯を介してキャビティ53内の溶湯を加圧することが可能である。油圧シリンダ40、ピストンロッド41及び加圧ロッド43は第2加圧手段に相当する。
一方、第2加圧手段を加圧制御するために制御部60が設けられ、制御部60には射出シリンダ27の射出速度を検出する速度センサー61と、射出シリンダ27の射出圧力を検出するための圧力センサー62の信号が入力されるようになっている。この計測信号を第1計測信号という。また、制御部60の出力側にはバルブ機構63が配置され、制御信号によってバルブ機構63を駆動可能としている。更に、油圧シリンダ40の位置検出センサー64が設けられており、これは油圧シリンダに給排される油量を計測し、その位置を計測するもので、油圧シリンダ40のピストン位置を検出できるものとなっている。この計測信号を第2計測信号という。この位置検出センサー64の計測結果も制御部60に入力されるようになっている。この制御部60での制御は以下のようになる。
図2はダイカスト射出時の一般的な模式特性図を含んでおり、射出速度は、その開始位置からは一定の低速区間(速度V1)を移動し、溶湯がゲートに達したときに高速区間に移行し、キャビティ内に充填されるまではプランジャー速度は上昇し(ΔV1)、溶湯充填が完了した時点で定速移動(速度V2)するように調整される。そして、キャビティ内の充填が完了し、充填完了による抵抗でプランジャー速度は急激に降下し(ΔV2)、高速移動区間が終了する。同時に圧力が増加し、プランジャーは増圧動作に入り、最後はオーバーフロー部やエアチャンバ部などに二次充填して終了する(速度ΔV3)。
また、この時のメタル圧は、プランジャー高速移動開始時(ΔV1)で充填が開始して(圧力ΔP1)、キャビティへの充填中は定圧となり(圧力P2)、プランジャーが射出シリンダにより押圧されてから急激に高まる(圧力ΔP2)。高速移動する射出シリンダが停止ポイントに達した時、ピーク圧(圧力P3)を示す。この後、キャビティ末端部、真空ランナー及びオーバーフロー部やエアチャンバ部への二次充填が発生して圧力が下降に移り(圧力ΔP4)、二次充填が終了して増圧シリンダの増圧作用が効いてくると、溶湯の凝固も進み、圧力は高まり(圧力ΔP5)最終的には定圧(圧力P6)となってキャビティ製品が出来上がる。
このような製造時の特性波形に鑑み、本件実施態様では、キャビティ内に溶湯が充填され、プランジャー速度が高速区間V2から降下して二次充填が開始されるまでの間(ΔV2)、ランナーを含む溶湯が完全に冷え固まらないうちに、プランジャー速度の高速V2からの急激な降下ポイントやメタル圧力のP2からの上昇ポイント、あるいはピーク圧P3をインパクトポイントとして、それ以後のランナーを加圧することにより密度の高い製品とすることができる、との知見から得られたものである。
すなわち、本制御は充填終了直後にランナー加圧のための油圧シリンダ―40を制御し、ゲートが冷え固まる前にダイカストマシンの鋳込み圧力の数倍で加圧して、ゲート部の引け巣を無くし、製品密度を高めるようにしたものである。
本実施例では、図1〜2に示すように、制御部60に圧力センサー62からの信号(第1計測信号)を入力し、メタル圧が立ち上がることを検知し、定圧(P2)となったときに溶湯がキャビティに充填しつつあり、この圧力(P2)からメタル圧が急激に立ち上がった(ΔP2)ときに、キャビティ充填完了となると把握することが出来る。すなわち、圧力線図のP2からΔP2に移行するコーナ部である。このP2線の末端位置ではキャビティへの充填完了し、溶湯が固化しつつあり、いまだ完全には固化していない。したがって、この鋳込み起点ポイントEでランナーを加圧することが望ましい。実際には、この急激に圧力が上昇してきたときを鋳込み起点ポイントEとして捉えるためには、第1加圧手段として射出シリンダ27の計測値を見て圧力P2から+αを考慮して、α分増加した圧力で充填完了時点として捉えるのである。これはキャビティ53への充填完了を確実に決定するためで、実際の図2に示す波形は波があるため、一律に決定するために圧力値を定め、圧力スイッチで簡単に検出するようにしている。
あるいは、制御部60に速度センサー61からの信号(これも第1計測信号ということができる)を入力し、プランジャーが停止ポイントV2に達し、速度の降下ΔV2が所定以上となったときがキャビティ53内の溶湯固化が始まっていると考えられるので、速度の降下ΔV2が急激となる点(ΔV2=V2−β)でランナーを加圧する油圧シリンダ40を作動するようにすればよい。図2では鋳込み起点ポイントE2として表している。
この鋳込み起点ポイントE(以下E2を含む)は鋳込み量のバラつきがあっても、変化しない。すなわち、キャビティへの充填完了したときに給湯量が少ない場合には圧力変化図によれば、圧力P2からΔP2が早く立ち上がり、速度V2がΔV2のように早く減速する。しかし、充填完了したことはE(E2)で変わらずに把握することが出来る。給湯量が多くても同じである。したがって、この圧力変化(P2+α)や速度変化(V2−β)を制御の基準として用いることが出来る。このαやβは設定値であり、圧力P2は速度V2の変動がなくなったところをαやβとして採用すればよい。
この鋳込み起点ポイントE(以下E2を含む)から直接ランナー加圧をしてもよいが、鋳込み完了からすぐであればバリが発生する。またランナー加圧が遅れればゲート固化が始まって加圧ができなくなる。そこで、ゲートが固化する時点で油圧シリンダ40の作動が終了する位置として油圧シリンダ40の最大ストロークを合わせればよい。実際のランナー作動開始から作動終了までは限られた時間(金型の大きさに依存するが、略100〜200mSec)内にする必要があるため、本実施例では第2加圧手段の油圧シリンダ40の位置検出センサー64からの計測値を制御部60に入力させ、油圧シリンダ40が略作動が終了する時点としてストロークが最大値の90%までの位置を変位目標ポイントとし、ここに到達する時間を管理時間Gとしている。この管理時間Gは変化せず設定値である。次に油圧シリンダ40のバルブ作動時間は略一定(T)であるので、油圧シリンダ40の作動開始ポイントFは自動的に決定できる。これにより鋳込み起点ポイントEからの油圧シリンダ40を起動させるポイントが定まる。したがって、鋳込み起点ポイントEからの第2加圧手段の油圧シリンダ40を起動させるまでの待ち時間Dが決定できるのである。
これにより前述したように、第1加圧手段である射出シリンダ27によるキャビティ53への充填完了が確認された射出圧力の上昇時点(P2+α)または射出速度の低下時点(ΔV2−β)を鋳込み起点ポイントE(E2)として定まる。第2加圧手段の油圧シリンダ40の最大ストロークの90%となるストローク位置を目標変位として、その目標変位に達するまでの鋳込み起点ポイントE(E2)からの経過時間として管理時間Gを定め、この管理時間Gに達するように作動時間Tが決定され、鋳込み起点ポイントE(E2)からの油圧シリンダ40の起動待ち時間Fが決まるのである。
この時、ランナーの加圧ロッド43の先端部43Aの直径と、先端部43Aの挿通孔を形成する対応形状部51との隙間を設定して、この箇所で溶湯が固まるチル層ができるようにしている。隙間が狭い場合には、隙間で凝固したチル層が加圧ピンのスリーブ壁にへばり付き局部加圧の動作を阻害する。また、隙間が厚い場合には、加圧ロッド43で第2ランナー50B内の溶湯を加圧した際に溶湯が隙間から逆流することを充分に防ぐことができず、キャビティ53内の溶湯に充分な押湯効果を与えることができない。第2ランナー50B内の溶湯の流動性が良い場合には隙間から逆流が生じやすいので、キャビティ53内への溶湯の充填完了前に加圧ロッド43で第2ランナー50B内の溶湯を加圧する場合には、第2ランナー50Bの対応形状部51を画成する面51Aと加圧ロッド43の先端部43Aとの隙間を3.0mm以下とすることが極めて重要である。本実施形態では図1にXで示される範囲の第2ランナー50Bの部分が対応形状部51とされているが、固定ダイス22と可動ダイス32により画成される第2ランナー50Bの所定範囲にのみ対応形状部51を設けるようにしてもよい。
本実施形態によるダイカスト製造方法では、先ず、可動型30を図1にA←→A´で示される可動型30の移動方向に移動させることによりダイカスト金型10の型締めを行い、ダイカスト金型10の内部にランナー50、ゲート52及びキャビティ53を画成する。
次に、射出スリーブ23内に溶湯を供給し、プランジャチップ25を射出スリーブ23内で摺動させることにより、射出スリーブ23内の溶湯をランナー50とゲート52を介してキャビティ53内に充填する。次に、溶湯のキャビティ53内への充填が完了した後、メタル圧が大幅に上昇して設定圧力Pに達したときに、制御部60の圧力スイッチが投入され、ランナーの操作回路67が働き、加圧ロッド43を第2ランナー50B内に進出させて加圧を行う。この時、加圧ロッドの先端部43Aの周囲ではチル層ができ、加圧する力がキャビティに伝わるようにしている。この状態を図7に示す。このようにすることによって、メタル圧は加圧ロッド43のランナー加圧によりキャビティ圧が図2の線図のように増圧され、ゲート部分の引け巣を無くすことができるのである。
その後は、キャビティ53内の溶湯が凝固したら可動型30を移動させて型開きを行い、加圧ロッド43を後退させた後に可動型30からダイカスト品を取り出す。
その後は、キャビティ53内の溶湯が凝固したら可動型30を移動させて型開きを行い、加圧ロッド43を後退させた後に可動型30からダイカスト品を取り出す。
第2加圧手段を制御部60で作動させるための流量弁としてソレノイドバルブをバルブ機構63に採用した場合には、次のような学習制御が行われる。これは高速区間が終了する時間が各鋳込みサイクルで変わる場合があり(例えば、給湯量のバラツキなどで毎鋳込みサイクルで変化する)、このフィードバックにより鋳込み起点ポイントを追随させるようにしている。
これらの具体的制御方法のフローチャートを図3に示す。これは、制御部60による第2加圧手段の油圧シリンダ40が、バルブ機構63を構成しているソレノイドバルブ(ON/OFF制御)でダイカストマシンの1サイクルごとにフィードバック制御(学習制御)する場合のフローチャートである。
最初に、Aはダイカスト製造装置のプランジャー低速起動ポイント、Cはプランジャー高速切替ポイント、Dは鋳込み起点ポイントからの油圧シリンダが起動されるまでの待ち時間、Eは鋳込み起点ポイント(溶湯がキャビティ内に充満し、プランジャー速度が急降下を開始するポイントまたはダイカストマシンチップ圧力が急上昇するポイント)、Fは油圧シリンダの起動ポイント、Gは鋳込み起点ポイントから変位目標ポイントまでの設定時間、Hは第2加圧手段の油圧シリンダの目標変位(最大値Kに対する割合Jで指定(例:90%)、Jは第2加圧手段の油圧シリンダ最大変位に対する目標ポイント割合(%)(例:90%)、Kは第2加圧手段の油圧シリンダ最大変位、と定義しておく。
まず、第1加圧装置(ダイカストマシン)の運転開始を行う(ステップ100)と、固定値としてG、Jを設定し、初期設定値(D、K,H=K×J)を設定しておく(ステップ102)。次に各設定時間にて下記の処理を行う(ステップ104)。すなわち、1.ダイカストマシン低速起動(A)、2.ダイカストマシン高速移動(C)である。次いで、ステップ108に行き、E(鋳込み起点ポイント)になったらポイント値を取得する。ステップ110に行き、E「鋳込み起点ポイント」から第2加圧手段の油圧シリンダ起動ポイントまでの待ち時間をカウントし、Fの「第2加圧手段の油圧シリンダ40の切替ポイント」に到達したら油圧シリンダ40を起動する。次に、ステップ116にて、油圧シリンダ40の位置検出センサー64の測定値が、H「油圧シリンダ40の目標変位」に到達した時の「鋳込み起点ポイント」からの経過時間実測値を取得する。その値と管理時間Gとの差分でD(鋳込み起点ポイントから油圧シリンダ起動ポイントまでの待ち時間)を修正する。次いで、ステップ118にて、油圧シリンダ40の位置検出センサー64の測定値より今回の油圧シリンダ40の最大変位を取得して、K「油圧シリンダ40の最大変位」、H「油圧シリンダ40の目標変位(H=K×J)」の値を変更する。このステップ118が終了したらステップ104に戻って繰り返す。なお、ステップ116で修正値が指定可能範囲を超えたら異常終了させればよい(ステップ120)。
次に第2実施形態を説明する。この第2実施例は第2加圧手段の油圧シリンダ40の起動の即応性を図るために予備加圧を含めた点と、この油圧シリンダ40の制御を、サーボバルブを用いたバルブ機構により、リアルタイムフィードバック制御となすように構成した点である。
第2実施形態に係るダイカスト製造装置は、図1に示した第1実施形態の制御部60の制御対象であるバルブ機構63をサーボバルブとしたものである(図示省略)。
この例は第2加圧手段の油圧シリンダ40の制御を、図4に示すダイカスト波形図に基づいて説明する。この図でキャビティ53に溶湯充填が完了したであろうとする点を鋳込み起点ポイントE(E2)として求めるまでは先の方法と同様である。キャビティへの充填完了した溶湯がバリを形成しない程度に柔らかく、かつゲートに充満している溶湯が固まらない範囲で、ランナー加圧をする必要がある。油圧シリンダ40の作動曲線(時間ごとのシリンダ変位)は略一義的に定まるので、最大ストロークをゲート固化位置とし、その90%のストローク位置を目標位置とし、この目標位置に達するまでの時間を管理時間Gとしている。これは変化しない。
油圧シリンダ40の起動をスムーズに行わせるため、この第2実施例では予備加圧をするように構成されている。予備加圧は油圧シリンダ40をランナーの加圧に影響しない範囲で低速移動させるもので、第1加圧手段の射出シリンダ27が低速移動するときに行うようにしている。図4のB点が第2加圧手段の油圧シリンダ40が低速起動ポイントであり、これは射出シリンダ27が低速移動する範囲内であればいつでもよい。そして、油圧シリンダ40に作動油を継続して定格作動し、ダイカストマシンの鋳込み圧力の数倍で加圧するのであるが、この2段階速度切替ポイントDの位置は、次のようにして求める。
油圧シリンダ40のバルブ作動時間は略一定(T)であるので、油圧シリンダ40の作動開始ポイントFは自動的に決定できるが、予備加圧しているため、予備加圧線と作動曲線との交点として、2段階速度切替ポイントDの位置を定める。これにより鋳込み起点ポイントEからの油圧シリンダ40を定格作動させるポイントDが定まる。したがって、鋳込み起点ポイントEからの第2加圧手段の油圧シリンダ40を作動させるまでの待ち時間Dが決定できるのである。
この油圧シリンダ40の作動曲線B、D、Hに位置制御するために、バルブ機構63としてサーボバルブ機構を用いている。これによれば、作動曲線に合わせるためにサーボバルブの可能スキャン能力最小幅を設定し、この幅に合わせて作動曲線上のポイントが定まる。制御部60はサーボバルブを駆動し、作動曲線に乗るように制御し、目標時間Gに目標位置管理ポイントHに油圧シリンダ40のストローク制御を行うのである。
このような制御を行うために、図5に示した作業を行う。まず、Aはダイカストマシンプランジャー低速起動ポイント、Bは第2加圧手段の予備加圧起動ポイント、Cはプランジャー高速切替ポイント、Dは鋳込み起点ポイントから第2加圧手段の油圧シリンダの定格作動ポイントまでの待ち時間、Eは鋳込み起点ポイント、Fは油圧シリンダ40の定格作動ポイント、Gは鋳込み起点ポイントから第2加圧手段の油圧シリンダ目標変位管理ポイントHまでの目標時間、Hは油圧シリンダ40の目標管理ポイント、Lは油圧シリンダ40の予備加圧起動ポイントBから油圧シリンダ40の定格作動切替ポイントFまでの待ち時間、Sはスキャン能力最小幅毎の目標変位管理ポイント(サーボバルブ流量をリアルタイム補正期間)、Tは装置の可能スキャン能力最小幅、Uはスキャン能力最小幅毎の目標変位、と定義しておく。
第1加圧装置(ダイカストマシン)の運転開始を行う(ステップ200)と、最初に固定値としてB、D、G、L、T、Uを設定し(ステップ202)。次に各設定時間にて下記の処理を行う(ステップ204)。すなわち、1.ダイカストマシン低速起動(A)、2.第2加圧手段の予備加圧の起動(B)、3.ダイカストマシン高速移動(C)である。
次いで、鋳込み起点ポイントEになったらポイント値を取得し、同時にEとDから第2加圧第2段階速度(高速)切替ポイントFを設定する(ステップ206)。そして、Fとなったら、第2加圧手段の油圧シリンダ40の定格作動(高速移動)を行う(ステップ207)。次に、T:装置の可能スキャン能力最小幅毎に第2加圧ピン位置検出センサー64の計測値を取得し、U:スキャン能力最小幅毎の目標圧力と比較する。各ポイントの目標値と差があるならば、第2加圧手段の油圧シリンダ40が該当ポイントを通過し計測完了後とに、W(サーボバルブ制御信号)にその差を解消する値の信号を出力する(ステップ208)。その後、目標変位設定期間が終了したかどうかの判定がなされ(ステップ210)、圧力が設定されている間は繰り返す(ステップ210)。Nであればステップ208を繰り返し、Yであれば、ステップ204に戻り、作業を繰り返すのである。このときサーボバルブ制御信号Wがサーボバルブ能力限界を超えた時点で異常信号を出力するものとなっている(ステップ212)。
これから理解できるように、ランナー加圧はソレノイドバルブを用いた学習制御によっても、サーボバルブを用いたリアルタイムフィードバック制御によっても実現できる。
これから理解できるように、ランナー加圧はソレノイドバルブを用いた学習制御によっても、サーボバルブを用いたリアルタイムフィードバック制御によっても実現できる。
このような作業によって、バリの発生がなく的確にゲート部分の巣の発生も防止できるのである。
なお、上記実施形態では、加圧ロッド43は油圧シリンダ40の作動により、ダイカスト金型10の型開き方向に略直交する方向に向けて進退可能とされているが、これは型開き方向に沿った方向としてもよい。すなわち、プランジャロッド24と平行な方向である。
なお、上記実施形態では、加圧ロッド43は油圧シリンダ40の作動により、ダイカスト金型10の型開き方向に略直交する方向に向けて進退可能とされているが、これは型開き方向に沿った方向としてもよい。すなわち、プランジャロッド24と平行な方向である。
さらに、前記第2加圧手段による増圧信号は、第1加圧手段の高速切替信号からタイマーを作動させタイムアウト後に動作させるものとすることができる。タイムアウトとはキャビティ内溶湯がまだ固化しない範囲に達する時間であり、設定圧Pに達するまでの時間である。また、第2実施例で説明した予備加圧動作は省略することができる。
本発明によるダイカスト用装置及びダイカスト法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
本発明によるダイカスト用装置及びダイカスト法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
1……ダイカスト装置、10……ダイカスト金型、20……固定型、21……固定ホルダ、22……固定ダイス、23……射出スリーブ、24……プランジャロッド、25……プランジャチップ、26……給油口、27……射出シリンダ、30……可動型、33……分流子、34……貫通孔、34A……上側開口、40……油圧シリンダ、41……ピストンロッド、42……カップリング、43……加圧ロッド、43A……(加圧ロッド)先端部、50……ランナー、50A……第1ランナー、50B……第2ランナー、52……ゲート、53……キャビティ、60……制御部、61……速度センサー、62……圧力センサー、63……バルブ機構、64……位置検出センサー。
Claims (9)
- ダイカスト金型に溶湯を射出する第1加圧手段による鋳込み完了時点を前記第1加圧手段の射出速度または射出圧力から捉え、前記射出速度の低下時または射出圧力の上昇時を鋳込み起点ポイントとしてキャビティに連通するランナーを加圧する第2加圧手段を作動させることを特徴とするダイカスト製造方法。
- 前記第2加圧手段の作動には当該第2加圧手段の目的変位までの経過時間を管理時間とし、この管理時間に到達するように作動開始時間を設定することを特徴とする請求項1に記載のダイカスト製造方法。
- 前記管理時間の変動に対し第2加圧手段を出力させるシリンダバルブをソレノイドバルブとし、前回鋳込みサイクルの前記管理時間を学習させ次回鋳込みサイクルの管理時間を調整することを特徴とする請求項2に記載のダイカスト製造方法。
- 前記第2加圧手段の作動前に当該第2加圧手段を予備加圧し、当該第2加圧手段の動作に即応性を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト製造方法。
- 前記管理時間を固定値とするとともに第2加圧手段を出力させるシリンダバルブをサーボバルブとし、第2加圧手段の前記固定値へのリアルタイム制御を行わせることを特徴とする請求項1に記載のダイカスト製造方法。
- ダイカスト金型に溶湯を射出する第1加圧手段と、
キャビティに連通するランナーを加圧する第2加圧手段と、
前記第1加圧手段による鋳込み完了時点からの前記第1加圧手段の射出圧力の上昇時点または射出速度の低下時点を鋳込み起点ポイントとし、この鋳込み起点ポイントから設定時間経過後に前記第2加圧手段を作動させる制御部と、
を備えたことを特徴とするダイカスト製造装置。 - 前記第2加圧手段がダイカスト金型の型開方向に直交する方向に向けて進退する加圧ロッドを備えていることを特徴とする請求項6に記載のダイカスト製造装置。
- 前記第2加圧手段がダイカスト金型の型開方向に沿った方向に向けて進退する加圧ロッドを備えていることを特徴とする請求項6に記載のダイカスト製造装置。
- キャビティと該キャビティに連通するランナーを画成するダイカスト金型と、
該キャビティ内に向けて溶湯を充填する第1加圧手段と、
該ランナーの溶湯を加圧する第2加圧手段と、
前記第1加圧手段によるシリンダ圧力センサーまたはシリンダ速度センサーの第1計測信号を入力し、前記第1計測信号から前記第1加圧手段により鋳込まれた瞬間を鋳込み起点ポイントとし、この鋳込み起点ポイントから設定時間経過後に前記第2加圧手段を作動させる制御部と、
前記第2加圧手段の油圧シリンダの位置を検出して前記制御部へ第2計測信号を入力し、前記第2加圧手段の目標変位管理を設定する第2加圧ピン位置検出センサーと、
を備えたことを特徴とするダイカスト製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020072805A JP2021169111A (ja) | 2020-04-15 | 2020-04-15 | ダイカスト製造方法および装置 |
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JP2021169111A true JP2021169111A (ja) | 2021-10-28 |
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ID=78149932
Family Applications (1)
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JP2020072805A Pending JP2021169111A (ja) | 2020-04-15 | 2020-04-15 | ダイカスト製造方法および装置 |
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2020
- 2020-04-15 JP JP2020072805A patent/JP2021169111A/ja active Pending
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