JPH0773744A - 絶縁電線 - Google Patents
絶縁電線Info
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- JPH0773744A JPH0773744A JP5216410A JP21641093A JPH0773744A JP H0773744 A JPH0773744 A JP H0773744A JP 5216410 A JP5216410 A JP 5216410A JP 21641093 A JP21641093 A JP 21641093A JP H0773744 A JPH0773744 A JP H0773744A
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Abstract
を有し、耐加工性にすぐれた絶縁電線を提供する。 【構成】 電線の表面に下引層を形成し、その上に、下
記一般式(1) : 【化1】 [上記式中R1 ,R2 ,m,nは明細書に記載のとお
り。]で表される芳香族ジイソシアネート化合物を10
〜80モル%の範囲内で含有するジイソシアネート成分
と、酸成分とを原料とするポリアミドイミド系塗料の塗
布、焼付けにより上引層を積層して2層構造の絶縁被膜
を形成する。
Description
に捲き付けられる、耐加工性にすぐれた絶縁電線に関す
るものである。
い、モータについても、より小型、軽量で、しかも高性
能のものが要求されるようになってきた。この要求に答
えるには、モータのコアにより多くの絶縁電線を捲き付
ける必要があるが、コアのスロット内に絶縁電線を強引
に詰め込むことになり、捲線工程で絶縁被膜に損傷を生
じる危険性がある。そして、絶縁被膜に損傷が生じる
と、レアー不良やアース不良等が発生し、モータの電気
特性に不具合を生じるという問題がある。
しうる塗料の開発が進められており、それと同時に、絶
縁被膜を多層構造として、損傷を生じにくくさせること
も検討されている。多層構造の絶縁被膜の例としては、
たとえば、従来の絶縁被膜のうち機械的強度にすぐれ
た、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートと
トリメリット酸無水物との反応生成物であるポリアミド
イミド系の塗料の塗布、焼付けにより形成される被膜を
上引層として、この上引層を、他の塗料からなる下引層
を介して導体上に積層した2層構造の絶縁被膜などが検
討されている。
に小型、軽量で性能のよいモータが要求され、それに対
応すべく、絶縁電線の捲線量がさらに増大する傾向にあ
り、上記のような多層構造の絶縁被膜でも、損傷の発生
を十分に防止しきれない可能性が高くなってきた。
損傷の発生を減少できるが、単に機械的強度を向上させ
たのでは、被膜が剛直で可撓性に劣るものとなり、電線
を曲げた際に割れたり剥離したりしやすくなって、絶縁
電線の加工性が悪化するという問題がある。本発明は、
以上の事情に鑑みてなされたものであって、可撓性にす
ぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜を有し、耐加工性にす
ぐれた絶縁電線を提供することを目的としている。
決するため、本発明者らは、上引層に使用するポリアミ
ドイミドの構造について検討した。その結果、下記一般
式(1) :
水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
子を示す。m,nは同一または異なって1〜4の数を示
す。〕で表される芳香族ジイソシアネート化合物を、原
料としてのジイソシアネート成分中に含有させて、ポリ
アミドイミドの構造中にビフェニル部分を導入すると、
絶縁被膜の弾性率が向上して、可撓性にすぐれ、しか
も、損傷し難い絶縁被膜を形成できることを見出した。
そして、上記一般式(1) で表される芳香族ジイソシアネ
ート化合物の含有割合についてさらに検討を行った結
果、本発明を完成するに至った。
互いに組成の異なる下引層と上引層の少なくとも2層を
備えた絶縁被膜が形成された絶縁電線であって、上引層
が、上記一般式(1) で表される芳香族ジイソシアネート
化合物を、全ジイソシアネート成分中10〜80モル%
の範囲内で含有するジイソシアネート成分と、酸成分と
を含むポリアミドイミド系塗料の塗布、焼付けにより形
成されていることを特徴とする。
の原料の一つであるジイソシアネート成分のうち、一般
式(1) で表される芳香族ジイソシアネート化合物の具体
例としては、たとえばビフェニル−4,4′−ジイソシ
アネート、ビフェニル−3,3′−ジイソシアネート、
ビフェニル−3,4′−ジイソシアネート、3,3′−
ジクロロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
2,2′−ジクロロビフェニル−4,4′−ジイソシア
ネート、3,3′−ジブロモビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネート、2,2′−ジブロモビフェニル−4,
4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニ
ル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−
ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
3,3′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシア
ネート、2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−
4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメトキシビ
フェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,3′−ジ
メトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、
3,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシ
アネート、2,2′−ジエトキシビフェニル−4,4′
−ジイソシアネート、2,3′−ジエトキシビフェニル
−4,4′−ジイソシアネート等があげられる。これら
は単独で、あるいは2種以上混合して使用される。
でも、入手のしやすさやコスト等の点で、下記式(2) で
表される3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジ
イソシアネートが、本発明に最も好適に使用される。
ート化合物とともにジイソシアネート成分中に含まれる
他のジイソシアネートとしては、たとえばジフェニルメ
タン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン
−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−
3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−
4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,
4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,
4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシ
アネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−
キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシ
アネート等、従来公知の種々のジイソシアネート化合物
があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合
して使用される。
入手のしやすさやコスト等の点で、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートが、好適に使用される。上
記ジイソシアネート成分とともに、上引層用のポリアミ
ドイミド系塗料を構成する酸成分としては、トリメリッ
ト酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸クロライ
ド、または、トリメリット酸の誘導体のうちの三塩基酸
等があげられる。とくに、入手のしやすさやコスト等の
点で、下記式(3) で表されるトリメリット酸無水物が、
好適に使用される。
物や二塩基酸、たとえば、ピロメリット酸二無水物、ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカ
ルボン酸二無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、スル
ホテレフタル酸、ジクエン酸、2,5−チオフェンジカ
ルボン酸、4,5−フェナントレンジカルボン酸、ベン
ゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、フタルジイミド
ジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−
ジカルボン酸、アジピン酸等を、一部添加することもで
きる。
アネート化合物の、ジイソシアネート成分中に占める割
合が10〜80モル%の範囲内に限定されるのは、以下
の理由による。つまり、一般式(1) で表される芳香族ジ
イソシアネート化合物の割合が10モル%未満では、当
該芳香族ジイソシアネート化合物の添加効果が得られ
ず、上引層、ひいては絶縁被膜が損傷しやすいものとな
ってしまう。一方、一般式(1) で表される芳香族ジイソ
シアネート化合物の割合が80モル%を超えると、絶縁
被膜の全体が剛直で可撓性に劣り、割れたり剥離したり
しやすいものとなってしまう。
シアネート化合物の、ジイソシアネート成分中に占める
割合は、上記範囲の中でもとくに、30〜60モル%の
範囲内であるのが好ましい。一般式(1) で表される芳香
族ジイソシアネート化合物の、ジイソシアネート成分中
に占める割合が60〜80モル%である場合には、絶縁
被膜全体の可撓性を維持するため、酸成分中に、下記式
(4) :
れ曲がり構造を有する酸を、好ましくは5〜40モル%
の範囲内、より好ましくは10〜30モル%の範囲内で
含有させるのがよい。分子中に折れ曲がり構造を有する
酸としては、上記イソフタル酸の他、o−フタル酸、ベ
ンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカ
ルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸等があげられ
る。
ると、ポリアミドイミドの構造中に、上記酸に起因する
屈曲部分が生じて、上引層、ひいては絶縁被膜全体の可
撓性が向上する。なお、分子中に折れ曲がり構造を有す
る酸の割合が5モル%未満では可撓性向上の効果が十分
に得られないおそれがあり、逆に40モル%を超える
と、一般式(1) で表される芳香族ジイソシアネート化合
物の添加による弾性率向上の効果が阻害され、絶縁被膜
が損傷しやすいものとなるおそれがある。
ら、本発明に使用される上引層用のポリアミドイミド系
塗料を製造するには、たとえば、略化学量論量のジイソ
シアネート成分と酸成分とを適当な有機溶媒中で共重合
させる、従来のポリアミドイミド系塗料と同様の製造方
法を採用することができる。より詳細には、一般式(1)
で表される芳香族ジイソシアネート化合物を前記の割合
で配合したジイソシアネート成分を、略等モル量の酸成
分とともに、適当な有機溶媒中で0〜180℃の温度で
1〜24時間反応させると、上記芳香族ジイソシアネー
ト化合物を含むジイソシアネート成分と酸成分との共重
合体であるポリアミドイミドが、有機溶媒中に溶解また
は分散したポリアミドイミド系塗料が得られる。
アミドイミド系塗料としては、一般式(1) で表される芳
香族ジイソシアネート化合物と酸成分とを原料として製
造したポリアミドイミド系塗料と、上記芳香族ジイソシ
アネート化合物以外のジイソシアネート化合物と酸成分
とを原料として製造したポリアミドイミド系塗料とを配
合したものも使用可能である。この場合には、原料とし
ての全ジイソシアネート成分中の、一般式(1) で表され
る芳香族ジイソシアネート化合物の割合が10〜80モ
ル%の範囲内になるように、両塗料の配合割合を調整す
ればよい。
を、あらかじめ電線の表面に形成された下引層の上に塗
布し、焼付けることで形成される。下引層は、上引層用
のポリアミドイミド系塗料とは組成の異なる下引層用の
塗料を電線の表面に塗布し、焼き付けることで形成され
る。下引層用の塗料としては、従来公知の種々の絶縁被
膜用塗料が使用可能であり、その好適な例としては、た
とえば、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポリ
エステルアミドイミド系等の、主鎖中にエステル結合を
有する樹脂系の塗料や、ポリウレタン系、ポリエステル
ポリウレタン系、エポキシポリウレタン系、ポリエステ
ルイミドポリウレタン系等の、主鎖中にウレタン結合を
有する樹脂系の塗料、あるいはポリイミド系、ポリアミ
ドイミド系等の、主鎖中にイミド結合を有する樹脂系の
塗料等があげられる。このうちポリアミドイミド系塗料
については、前記上引層用のポリアミドイミド系塗料
と、含まれるポリアミドイミドの構造の違うものが採用
される。
性、経済性、汎用性等を考慮すれば、市販品を使用する
のが好ましい。但し市販品がない場合や、市販品の中に
最適なものがない場合には、別途合成品を使用すること
も差し支えない。市販の下引層用塗料の製造メーカー、
商品名ならびに品番の一例を示す。 *ポリエステル系塗料 Liton(ライトン)2100、Liton220
0、Liton3200、Liton3300(以上、
東特塗料社製)。
60、デラコートE−270、デラコートE520(以
上、日東電工社製)。 ブリジノールE1080(大日精化社製)。 ISONEL(アイソネル)−200RH(日触スケネ
クタディ社製)。 WH−405(日立化成社製)。 *ポリエステルイミド系塗料 ISOMID(アイソミッド)40ST、ISOMID
40SH、ISOMID40SM(以上、日触スケネク
タディ社製)。
0T、TPU−5600、TPU−6100、TPU−
6200、TPU−F1(以上、東特塗料社製)。
製)。 *ポリイミド系塗料 パイヤーML(デュポン社製)。 トレニース(東レ社製)。
S(以上、宇部興産社製)。 LARC−TPI(三井東圧化学社製)。 *ポリアミドイミド系塗料 HI−400、HI−406(以上、日立化成社製)。 また、下引層用のポリアミドイミド系塗料としては、前
述したジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート
とトリメリット酸無水物との反応生成物であるポリアミ
ドイミド系の塗料も好適に使用される。
は、絶縁電線の用途、グレード等を考慮して決定すれば
よい。たとえば絶縁被膜の強度向上には、ポリエステル
イミド系、ポリエステルアミドイミド系、ポリイミド系
およびポリアミドイミド系の下引層を、ポリアミドイミ
ド系の上引層と組み合わせるのが最適である。また、絶
縁被膜の耐熱性を向上するには、ポリエステルポリウレ
タン系やポリエステルイミドポリウレタン系の下引層が
好適である。さらに、価格と特性のバランスを考慮する
と、ポリエステル系、ポリエステルイミド系、ポリエス
テルアミドイミド系の下引層が好適に採用される。
必要に応じて、顔料、染料、無機または有機のフィラ
ー、潤滑剤等の各種添加剤を添加してもよい。下引層、
上引層の2層からなる絶縁被膜の、トータルの膜厚につ
いてはとくに限定されず、電線のサイズ等に応じて、従
来と同程度の膜厚に形成することができる。
の割合についても、本発明ではとくに限定されないが、
被膜の機械的強度等を考慮すれば、下引層と上引層の膜
厚比(下/上)が、5/95〜95/5の範囲内である
のが好ましい。絶縁被膜の上層には、絶縁被膜の表面に
潤滑性を付与すべく、表面潤滑層を設けてもよい。
形パラフィンといったパラフィン類の塗膜も使用できる
が、耐久性等を考慮すると、各種ワックス、ポリエチレ
ン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の潤滑剤をバインダ
ー樹脂で結着した表面潤滑層がより好ましい。
比較例に基づいて説明する。実施例1 〈ポリアミドイミド系塗料の合成〉温度計、冷却管、塩
化カルシウム充填管、攪拌器、窒素吹き込み管を取り付
けたフラスコ中に、上記窒素吹き込み管から毎分150
mlの窒素ガスを流しながら、108.6gのトリメリッ
ト酸無水物(以下「TMA」という)と、29.9gの
3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシア
ネート(以下「TODI」という)と、113.1gの
ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(以下
「MDI」という)とを投入した。TODIの全ジイソ
シアネート中に占める割合は20モル%であった。
メチル−2−ピロリドンを入れ、攪拌器で攪拌しつつ8
0℃で3時間加熱し、さらに、3時間かけて140℃ま
で昇温した後、140℃で1時間加熱した。そして、1
時間経過した段階で加熱を止め、放冷して、濃度25%
のポリアミドイミド系塗料を得た。 〈絶縁電線の作製〉直径1.0mmの銅線表面に、市販の
ポリウレタン系塗料(東特塗料社製の商品名TPU−5
100)を常法によって塗布、焼付けして膜厚29μm
の下引層を形成した。
ミド系塗料の合成で得たポリアミドイミド系塗料を、常
法によって塗布、焼付けして、膜厚5μmの上引層を形
成し、上記下引層と上引層の2層構造の絶縁被膜〔膜厚
の合計34μm、下引層と上引層の膜厚比(下/上)=
85/15〕を有する絶縁電線を作製した。実施例2〜5、比較例1,2 ポリアミドイミド系塗料作製時のTODIおよびMDI
の仕込み量(g)を、下記表1に示す値としたこと以外
は、実施例1と同様にして、絶縁電線を作製した。
特塗料社製の商品名TPU−5100)を、直径1.0
mmの銅線表面に、常法によって塗布、焼付けして、膜厚
34μmの単層構造の絶縁被膜を有する絶縁電線を作製
した。実施例6 下引層用のポリウレタン系塗料として、日東電工社製の
商品名UM−303を使用したこと以外は、実施例3と
同様にして絶縁電線を作製した。
商品名TPU−F1を使用したこと以外は、実施例3と
同様にして絶縁電線を作製した。実施例8〜11 下引層と上引層の膜厚比(下/上)を表2に示す値とし
たこと以外は、実施例3と同様にして絶縁電線を作製し
た。
商品名WD−4305を使用したこと以外は、実施例3
と同様にして絶縁電線を作製した。上記各実施例、比較
例の絶縁電線について、以下の各試験を行った。外観評価 上記各実施例、比較例の絶縁電線の外観を、目視にて観
察した。
20%急伸させた後、直径1mmのものから1mmずつ段階
的に直径が大きくなる複数の丸棒を順次あてがって、電
線を丸棒の外形に対応させて曲げた際の、絶縁被膜の割
れや剥離を観察し、絶縁被膜に異状が見られなかった最
小の丸棒の直径d(mm)を記録した。
渡し、その上に、2本のピアノ線を直交させて載せ、さ
らにその上に重さ1kgの荷重を載せた。そして荷重を、
絶縁電線の張り渡し方向と平行に引っ張った際に、荷重
が動き出した引張荷重を測定し、この値から摩擦係数を
算出した。
合わせ、ピアノ線に種々の重さの荷重をかけた状態でピ
アノ線を引抜き、絶縁被膜が損傷する荷重を記録した。
以上の結果を表2、表3に示す。
中にTODIを含有しないポリアミドイミド系塗料によ
って上引層を形成した比較例1、ならびに、上引層を形
成しなかった比較例3の絶縁電線はいずれも、損傷しや
すいものであることがわかった。また、ジイソシアネー
ト成分が全てTODIであるポリアミドイミド系塗料に
よって上引層を形成した比較例2の絶縁電線は、絶縁被
膜の可撓性が悪く、やはり損傷しやすいものであること
がわかった。
ずれも、可撓性にすぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜を
有し、耐加工性にすぐれたものであることがわかった。
また実施例1〜5の結果より、密着可撓性や損傷荷重等
を考慮すると、TODIの割合が30〜60モル%の範
囲内にある実施例2〜4がとくにすぐれたものであるこ
とがわかった。
上)が同じで、下引層の種類が違う実施例3,6,7,
12を比較すると、いずれもほぼ同程度の特性を有する
ことがわかった。さらに、下引層、上引層の種類が同じ
で、下引層と上引層の膜厚比(下/上)が違う実施例3
および実施例8〜11を比較すると、上引層の割合が高
いほど、絶縁被膜は損傷しにくくなることがわかった。
デラコートE−220)にて形成したこと以外は、実施
例1と同様にして絶縁電線を作製した。実施例14〜17、比較例4,5 ポリアミドイミド系塗料作製時のTODIおよびMDI
の仕込み量(g)を、下記表4に示す値としたこと以外
は、実施例13と同様にして、絶縁電線を作製した。
(日東電工社製の商品名デラコートE−220)を、直
径1.0mmの銅線表面に常法によって塗布、焼付けし
て、膜厚34μmの単層構造の絶縁被膜を有する絶縁電
線を作製した。比較例7 直径1.0mmの銅線表面に、市販のポリエステルイミド
系塗料(日触スケネクタディ社製の商品名ISOMID
40−SH)を、常法によって塗布、焼付けして、膜厚
34μmの単層構造の絶縁被膜を有する絶縁電線を作製
した。
商品名Liton2100を使用したこと以外は、実施
例15と同様にして絶縁電線を作製した。実施例19 下引層を、ポリエステルイミド系塗料(大日精化社製の
商品名FS−201)にて形成したこと以外は、実施例
15と同様にして絶縁電線を作製した。
たこと以外は、実施例15と同様にして絶縁電線を作製
した。実施例24 下引層を、ポリエステルイミド系塗料(日触スケネクタ
ディ社製の商品名ISOMID40−SH)にて形成し
たこと以外は、実施例15と同様にして絶縁電線を作製
した。
て、前記の各試験を行った。結果を表5、表6に示す。
中にTODIを含有しないポリアミドイミド系塗料によ
って上引層を形成した比較例4、ならびに、上引層を形
成しなかった比較例6,7の絶縁電線はいずれも、損傷
しやすいものであることがわかった。また、ジイソシア
ネート成分が全てTODIであるポリアミドイミド系塗
料によって上引層を形成した比較例5の絶縁電線は、絶
縁被膜の可撓性が悪く、やはり損傷しやすいものである
ことがわかった。
いずれも、可撓性にすぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜
を有し、耐加工性にすぐれたものであることがわかっ
た。また実施例13〜17の結果より、密着可撓性や損
傷荷重等を考慮すると、TODIの割合が30〜60モ
ル%の範囲内にある実施例14〜16がとくにすぐれた
ものであることがわかった。
上)が同じで、下引層の種類が違う実施例15,18,
19,24を比較すると、下引層がポリエステルイミド
系の塗料からなる実施例19,24は、下引層がポリエ
ステル系の塗料からなる実施例15,18にくらべて、
さらに絶縁被膜が損傷しにくいものであることがわかっ
た。
下引層と上引層の膜厚比(下/上)が違う実施例15お
よび実施例20〜23を比較すると、上引層の割合が高
いほど、絶縁被膜は損傷しにくくなることがわかった。実施例25 下引層を、ポリイミド系塗料(デュポン社製の商品名パ
イヤーML)にて形成したこと以外は、実施例1と同様
にして絶縁電線を作製した。
の仕込み量(g)を、下記表7に示す値としたこと以外
は、実施例25と同様にして、絶縁電線を作製した。
ュポン社製の商品名パイヤーML)を、直径1.0mmの
銅線表面に常法によって塗布、焼付けして、膜厚34μ
mの単層構造の絶縁被膜を有する絶縁電線を作製した。実施例30 下引層用のポリイミド系塗料として、宇部興産社製の商
品名U−ワニスSを使用したこと以外は、実施例27と
同様にして絶縁電線を作製した。
品名U−ワニスAを使用したこと以外は、実施例27と
同様にして絶縁電線を作製した。実施例32〜35 下引層と上引層の膜厚比(下/上)を表8に示す値とし
たこと以外は、実施例27と同様にして絶縁電線を作製
した。
水溶性潤滑塗料(東芝ケミカル社製の品番TEC−96
01)を常法によって塗布、焼付けして表面潤滑層を形
成したこと以外は、実施例27と同様にして絶縁電線を
作製した。上記各実施例、比較例の絶縁電線について、
前記の各試験を行った。
中にTODIを含有しないポリアミドイミド系塗料によ
って上引層を形成した比較例8、および、上引層を形成
しなかった比較例10の絶縁電線はいずれも、損傷しや
すいものであることがわかった。また、ジイソシアネー
ト成分が全てTODIであるポリアミドイミド系塗料に
よって上引層を形成した比較例9の絶縁電線は、絶縁被
膜の可撓性が悪く、やはり損傷しやすいものであること
がわかった。
いずれも、可撓性にすぐれ、しかも損傷し難い絶縁被膜
を有し、耐加工性にすぐれたものであることがわかっ
た。また実施例25〜29の結果より、密着可撓性や損
傷荷重等を考慮すると、TODIの割合が30〜60モ
ル%の範囲内にある実施例26〜28がとくにすぐれた
ものであることがわかった。
上)が同じで、下引層の種類が違う実施例27,30,
31を比較すると、いずれもほぼ同程度の特性を有する
ことがわかった。さらに、下引層、上引層の種類が同じ
で、下引層と上引層の膜厚比(下/上)が違う実施例2
7および実施例32〜35を比較すると、上引層の割合
が高いほど、絶縁被膜は損傷しにくくなることがわかっ
た。
実施例27と実施例36の結果より、絶縁被膜上に表面
潤滑層を形成すると、他の特性はそのまま維持しつつ、
絶縁被膜をさらに損傷しにくくできることがわかった。
引層の2層構造の絶縁被膜のうち上引層を構成するポリ
アミドイミドの構造中にビフェニル部分を導入して、そ
の密着性を向上させることで、可撓性にすぐれ、しか
も、損傷し難い絶縁被膜を形成することができる。した
がって、本発明の絶縁電線は耐加工性にすぐれており、
たとえばモータの捲線に使用する場合には、コアへの捲
線量を従来より増大させても、捲線工程で絶縁被膜に損
傷を生じるおそれがなく、より小型、軽量で性能の良い
モータの要求に対応することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】導体上に、互いに組成の異なる下引層と上
引層の少なくとも2層を備えた絶縁被膜が形成された絶
縁電線であって、上記上引層が、下記一般式(1) : 【化1】 〔式中R1 ,R2 は同一または異なって、水素原子、ア
ルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。
m,nは同一または異なって1〜4の数を示す。〕で表
される芳香族ジイソシアネート化合物を、全ジイソシア
ネート成分中10〜80モル%の範囲内で含有するジイ
ソシアネート成分と、酸成分とを含むポリアミドイミド
系塗料の塗布、焼付けにより形成されていることを特徴
とする絶縁電線。 - 【請求項2】下引層が、主鎖中にエステル結合を有する
樹脂系の塗料、主鎖中にウレタン結合を有する樹脂系の
塗料、および主鎖中にイミド結合を有する樹脂系の塗料
のうち少なくとも1種の塗料の塗布、焼付けにより形成
されている請求項1記載の絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21641093A JP3424273B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21641093A JP3424273B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 絶縁電線 |
Publications (2)
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JPH0773744A true JPH0773744A (ja) | 1995-03-17 |
JP3424273B2 JP3424273B2 (ja) | 2003-07-07 |
Family
ID=16688129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP21641093A Expired - Lifetime JP3424273B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 絶縁電線 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007016097A (ja) * | 2005-07-06 | 2007-01-25 | Hitachi Chem Co Ltd | ポリアミドイミド樹脂系耐熱性樹脂組成物、シームレス管状体、塗膜、塗膜板及び耐熱性塗料 |
WO2008132978A1 (ja) * | 2007-04-12 | 2008-11-06 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 絶縁電線、電機コイル及びモータ |
WO2013150991A1 (ja) * | 2012-04-02 | 2013-10-10 | 住友電気工業株式会社 | 絶縁電線及びその製造方法 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP21641093A patent/JP3424273B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5351011B2 (ja) * | 2007-04-12 | 2013-11-27 | 住友電気工業株式会社 | 絶縁電線、電機コイル及びモータ |
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