JPH0772326A - 紫外線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法 - Google Patents
紫外線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法Info
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- JPH0772326A JPH0772326A JP24075493A JP24075493A JPH0772326A JP H0772326 A JPH0772326 A JP H0772326A JP 24075493 A JP24075493 A JP 24075493A JP 24075493 A JP24075493 A JP 24075493A JP H0772326 A JPH0772326 A JP H0772326A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 優れた紫外線遮蔽性能を有する特定の無機物
質を液相から成膜させることができる溶液および製造方
法を提供する。 【構成】 紫外線遮蔽膜形成用溶液は、酸化亜鉛による
紫外線遮蔽膜を製造するための溶液であって、亜鉛アセ
チルアセトネート100重量部、アミノアルコール類3
0〜600重量部(好ましくはエタノールアミン類30
〜300重量部)および溶媒130重量部以上を含む混
合物を加熱して、好ましくは還流して得られる。紫外線
遮蔽膜の製造方法は、上記紫外線遮蔽膜形成用溶液を基
板上に塗布、乾燥し、さらに200℃以上の温度で焼成
する。
質を液相から成膜させることができる溶液および製造方
法を提供する。 【構成】 紫外線遮蔽膜形成用溶液は、酸化亜鉛による
紫外線遮蔽膜を製造するための溶液であって、亜鉛アセ
チルアセトネート100重量部、アミノアルコール類3
0〜600重量部(好ましくはエタノールアミン類30
〜300重量部)および溶媒130重量部以上を含む混
合物を加熱して、好ましくは還流して得られる。紫外線
遮蔽膜の製造方法は、上記紫外線遮蔽膜形成用溶液を基
板上に塗布、乾燥し、さらに200℃以上の温度で焼成
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛からなる紫外
線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の
製造方法に関し、さらに詳しくは、充分な可視光の透過
性を有するとともに、紫外線の可視光域に近い領域の紫
外線遮蔽性能に優れた紫外線遮蔽膜を、安価に製造する
ための溶液および方法に関する。
線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の
製造方法に関し、さらに詳しくは、充分な可視光の透過
性を有するとともに、紫外線の可視光域に近い領域の紫
外線遮蔽性能に優れた紫外線遮蔽膜を、安価に製造する
ための溶液および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家庭用家具および自動車の内
装品に使われている高分子材料は、長時間太陽光に曝さ
れるため、耐紫外線性等の非常に高度の耐久性が要求さ
れている。しかしながら、これらの高分子材料は、一般
に紫外線に対して弱いため、該高分子材料に紫外線遮蔽
性を付加したり、あるいは該高分子材料が太陽光に曝さ
れる前に紫外線による影響を防止することが望まれてい
る。前者の場合には、紫外線遮蔽性能に優れた高分子材
料を用いたり、あるいは該高分子材料を紫外線遮蔽性能
に優れた機能材料で被覆したりすることが行われてい
る。後者の場合には、例えば家庭用窓ガラスや自動車用
窓ガラスおよびスカイルーフに紫外線遮蔽性能を付与さ
せるなどして、家具および内装部品に光が照射される前
に紫外線を遮蔽することが行われており、この方法によ
れば家具および内装部品を構成する高分子材料の適用範
囲をより広くすることができる。
装品に使われている高分子材料は、長時間太陽光に曝さ
れるため、耐紫外線性等の非常に高度の耐久性が要求さ
れている。しかしながら、これらの高分子材料は、一般
に紫外線に対して弱いため、該高分子材料に紫外線遮蔽
性を付加したり、あるいは該高分子材料が太陽光に曝さ
れる前に紫外線による影響を防止することが望まれてい
る。前者の場合には、紫外線遮蔽性能に優れた高分子材
料を用いたり、あるいは該高分子材料を紫外線遮蔽性能
に優れた機能材料で被覆したりすることが行われてい
る。後者の場合には、例えば家庭用窓ガラスや自動車用
窓ガラスおよびスカイルーフに紫外線遮蔽性能を付与さ
せるなどして、家具および内装部品に光が照射される前
に紫外線を遮蔽することが行われており、この方法によ
れば家具および内装部品を構成する高分子材料の適用範
囲をより広くすることができる。
【0003】また、自動車の運転者においても紫外線に
よる日焼けが生じるが、この日焼けを防止するために、
窓ガラスやスカイルーフに紫外線遮蔽性能を付与するこ
とは非常に有効である。
よる日焼けが生じるが、この日焼けを防止するために、
窓ガラスやスカイルーフに紫外線遮蔽性能を付与するこ
とは非常に有効である。
【0004】このような紫外線遮蔽性能を家庭用窓ガラ
スや自動車用窓ガラスおよびスカイルーフに付与する方
法としては、 ガラス組成中に、酸化セリウム,酸化チタン,酸化鉛
等の紫外線吸収剤を添加し、溶融,成形する方法、 紫外線遮蔽性能を有する膜を、ガラス基板上に形成す
る方法、などがある。
スや自動車用窓ガラスおよびスカイルーフに付与する方
法としては、 ガラス組成中に、酸化セリウム,酸化チタン,酸化鉛
等の紫外線吸収剤を添加し、溶融,成形する方法、 紫外線遮蔽性能を有する膜を、ガラス基板上に形成す
る方法、などがある。
【0005】しかし、このの方法においては、ガラス
自体の組成を変えなければならず、生産性からも非常に
コスト高となる。さらに、紫外線遮蔽ガラスを作製中
に、ガラス内への不純物やゴミの混入、組成のばらつき
等が生じる可能性が大きくなり、また紫外線吸収剤を混
入することによりガラスが着色するという問題がある。
自体の組成を変えなければならず、生産性からも非常に
コスト高となる。さらに、紫外線遮蔽ガラスを作製中
に、ガラス内への不純物やゴミの混入、組成のばらつき
等が生じる可能性が大きくなり、また紫外線吸収剤を混
入することによりガラスが着色するという問題がある。
【0006】また、前記の方法においては、紫外線遮
蔽性能を有する物質として有機物質や無機物質など種々
のものがあり、現在、これらの物質を用いて紫外線遮蔽
性能を持った材料の開発が活発に行われている。しかし
ながら、これらの材料を自動車の窓ガラスやスカイルー
フなどに適用する場合、有機物質を用いた材料は耐候
性,耐傷付き性の点から制約があり、要求を充分に満足
できない。一方、無機物質を採用した例としては、酸化
チタンあるいは酸化セリウム等を用いて基板表面の濡れ
性および紫外線遮蔽性能を改善した「光学機能素子」
(特開昭63−104028号公報参照)が提案されて
いる。しかしながら、この光学機能素子を構成する膜
は、波長が360nm以下の領域の紫外線遮蔽に対して
は優れているものの、波長が360〜380nmの可視
光領域に近接した領域の紫外線遮蔽性能は不十分である
という問題がある。
蔽性能を有する物質として有機物質や無機物質など種々
のものがあり、現在、これらの物質を用いて紫外線遮蔽
性能を持った材料の開発が活発に行われている。しかし
ながら、これらの材料を自動車の窓ガラスやスカイルー
フなどに適用する場合、有機物質を用いた材料は耐候
性,耐傷付き性の点から制約があり、要求を充分に満足
できない。一方、無機物質を採用した例としては、酸化
チタンあるいは酸化セリウム等を用いて基板表面の濡れ
性および紫外線遮蔽性能を改善した「光学機能素子」
(特開昭63−104028号公報参照)が提案されて
いる。しかしながら、この光学機能素子を構成する膜
は、波長が360nm以下の領域の紫外線遮蔽に対して
は優れているものの、波長が360〜380nmの可視
光領域に近接した領域の紫外線遮蔽性能は不十分である
という問題がある。
【0007】また、紫外線遮蔽性能に優れた無機物質を
採用した膜の製造方法に関しては、一般に真空を利用し
た気相からの成膜方法(PVD,CVD等)が知られて
いる。しかしながら、これらの手法による成膜では真空
を用いなければならず、成膜の大面積化が困難であり、
その装置などを考えると製造コストが高くなり、また成
膜効率も悪いという問題がある。
採用した膜の製造方法に関しては、一般に真空を利用し
た気相からの成膜方法(PVD,CVD等)が知られて
いる。しかしながら、これらの手法による成膜では真空
を用いなければならず、成膜の大面積化が困難であり、
その装置などを考えると製造コストが高くなり、また成
膜効率も悪いという問題がある。
【0008】一方、従来の液相からの成膜方法は、真空
装置などを用いず、比較的低コストで成膜できる特徴が
あるが、溶液の調製が難しく、またその溶液の特性にあ
った成膜方法を選択しなければならない。例えばバイン
ダ中に酸化亜鉛粒子を分散させた塗料(特開平3−37
273号公報参照)およびその塗料を用いた紫外線遮蔽
フィルム(特開平4−152131号公報参照)が開示
されているが、この技術の場合は、溶液の長期保存性が
問題となり、また、バインダが有機物の場合には、その
耐候性,耐傷付き性が問題となってくる。
装置などを用いず、比較的低コストで成膜できる特徴が
あるが、溶液の調製が難しく、またその溶液の特性にあ
った成膜方法を選択しなければならない。例えばバイン
ダ中に酸化亜鉛粒子を分散させた塗料(特開平3−37
273号公報参照)およびその塗料を用いた紫外線遮蔽
フィルム(特開平4−152131号公報参照)が開示
されているが、この技術の場合は、溶液の長期保存性が
問題となり、また、バインダが有機物の場合には、その
耐候性,耐傷付き性が問題となってくる。
【0009】さらにまた、紫外線カットフィルタの製法
として、亜鉛化合物を芳香族系炭化水素類,アルコール
類,ケトン類,精油系テルペン炭化水素類,含窒素化合
物のいずれかに属する化合物の少なくとも1種を含む溶
剤に溶かし、コーティング溶液を調製する方法が開示さ
れている(特開平1−271707号公報参照)。しか
し、亜鉛化合物を単に溶剤に溶解しただけでは、乾燥時
に再度亜鉛化合物が析出してしまうため、結果的には基
板に亜鉛化合物を塗布し、焼成分解したにすぎず、膜の
基板への密着性が劣り、また、膜が多孔質になるという
問題がある。実際にこの開示に準拠し、亜鉛アセチルア
セトネート5g,エチルアルコール10g,ピリジン0
〜1.7gを用いて溶液を調製したところ、亜鉛アセチ
ルアセトネートは溶解せず白色の沈澱を生じてしまう。
これは、含窒素化合物であるピリジンが溶媒中で必ずし
も亜鉛アセチルアセトネートと安定な化合物を形成せ
ず、その結果、亜鉛アセチルアセトネートが溶媒中に溶
解しなかったものと思われる。しかも、含チッ素化合部
は一般に非常に強い不快臭を放ち、溶液の合成時あるい
は溶液が得られたとしてもその成膜時に環境を悪化させ
ることがわかった。以上のことから、この従来の技術で
は、亜鉛化合物として亜鉛アセチルアセトネートを用い
た場合には、高濃度の溶液を調製することは困難であ
る。すなわち、亜鉛アセチルアセトネートを溶剤に溶解
させ、さらに溶剤を徐々に除去していった場合に沈澱を
生じない状態とすることは困難であった。
として、亜鉛化合物を芳香族系炭化水素類,アルコール
類,ケトン類,精油系テルペン炭化水素類,含窒素化合
物のいずれかに属する化合物の少なくとも1種を含む溶
剤に溶かし、コーティング溶液を調製する方法が開示さ
れている(特開平1−271707号公報参照)。しか
し、亜鉛化合物を単に溶剤に溶解しただけでは、乾燥時
に再度亜鉛化合物が析出してしまうため、結果的には基
板に亜鉛化合物を塗布し、焼成分解したにすぎず、膜の
基板への密着性が劣り、また、膜が多孔質になるという
問題がある。実際にこの開示に準拠し、亜鉛アセチルア
セトネート5g,エチルアルコール10g,ピリジン0
〜1.7gを用いて溶液を調製したところ、亜鉛アセチ
ルアセトネートは溶解せず白色の沈澱を生じてしまう。
これは、含窒素化合物であるピリジンが溶媒中で必ずし
も亜鉛アセチルアセトネートと安定な化合物を形成せ
ず、その結果、亜鉛アセチルアセトネートが溶媒中に溶
解しなかったものと思われる。しかも、含チッ素化合部
は一般に非常に強い不快臭を放ち、溶液の合成時あるい
は溶液が得られたとしてもその成膜時に環境を悪化させ
ることがわかった。以上のことから、この従来の技術で
は、亜鉛化合物として亜鉛アセチルアセトネートを用い
た場合には、高濃度の溶液を調製することは困難であ
る。すなわち、亜鉛アセチルアセトネートを溶剤に溶解
させ、さらに溶剤を徐々に除去していった場合に沈澱を
生じない状態とすることは困難であった。
【0010】さらにまた、成形直後の高温のガラス成形
品に対して有機金属化合物を塗布し、紫外線遮蔽性ガラ
ス製品を製造する方法が開示されている(特開昭62−
3045号公報参照)。しかし、この場合には、高温状
態のガラス表面に有機金属化合物を吹き付けるため、ガ
ラス表面で有機金属化合物の分解物が粒子状に付着し、
表面に凹凸のない平滑膜が得られにくく、また、基板の
熱気流により塗膜が均一に基板上に形成されないという
欠点がある。
品に対して有機金属化合物を塗布し、紫外線遮蔽性ガラ
ス製品を製造する方法が開示されている(特開昭62−
3045号公報参照)。しかし、この場合には、高温状
態のガラス表面に有機金属化合物を吹き付けるため、ガ
ラス表面で有機金属化合物の分解物が粒子状に付着し、
表面に凹凸のない平滑膜が得られにくく、また、基板の
熱気流により塗膜が均一に基板上に形成されないという
欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術が解決し得なかった課題、すなわち優れた紫外線遮
蔽性能を有する特定の無機物質を液相から成膜させるこ
とができる溶液および製造方法を提供するものである。
より具体的には、本発明の目的は、波長380nm以下
の紫外線を充分に遮蔽し、かつ波長380〜780nm
の範囲の可視光を充分に透過する性質を有する紫外線遮
蔽膜を、真空を使わず、特定の溶液を塗布,乾燥,焼成
するという簡易なプロセスによって、安価に、密着性よ
く、かつ大面積で製造できる溶液および成膜方法を提供
することにある。
技術が解決し得なかった課題、すなわち優れた紫外線遮
蔽性能を有する特定の無機物質を液相から成膜させるこ
とができる溶液および製造方法を提供するものである。
より具体的には、本発明の目的は、波長380nm以下
の紫外線を充分に遮蔽し、かつ波長380〜780nm
の範囲の可視光を充分に透過する性質を有する紫外線遮
蔽膜を、真空を使わず、特定の溶液を塗布,乾燥,焼成
するという簡易なプロセスによって、安価に、密着性よ
く、かつ大面積で製造できる溶液および成膜方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の問題を解決する手段として、以下のことに着眼した。
すなわち、まず、一般に紫外線遮蔽性能に優れているこ
とが知られている酸化亜鉛に着目し、溶液を加熱分解す
ることで酸化亜鉛を形成する物質について検討した。特
に、溶液を調製する際に、亜鉛化合物は単に溶剤に溶解
するだけではなく、溶液内で化合物を形成し、かつ、そ
の化合物が溶液内で安定に分散し、さらに溶媒を除去し
た後も結晶化して沈澱を生じないものであることを考慮
した。
の問題を解決する手段として、以下のことに着眼した。
すなわち、まず、一般に紫外線遮蔽性能に優れているこ
とが知られている酸化亜鉛に着目し、溶液を加熱分解す
ることで酸化亜鉛を形成する物質について検討した。特
に、溶液を調製する際に、亜鉛化合物は単に溶剤に溶解
するだけではなく、溶液内で化合物を形成し、かつ、そ
の化合物が溶液内で安定に分散し、さらに溶媒を除去し
た後も結晶化して沈澱を生じないものであることを考慮
した。
【0013】その結果、本発明者らは、原料として特定
の組成比を有する、亜鉛アセチルアセトネートとアミノ
アルコール類と溶媒とを混合し、加熱することによっ
て、亜鉛濃度が高濃度であり、1回の成膜で紫外線を遮
蔽するに充分な膜厚が得られ、また、沈澱を生じない溶
液を調製することに成功した。
の組成比を有する、亜鉛アセチルアセトネートとアミノ
アルコール類と溶媒とを混合し、加熱することによっ
て、亜鉛濃度が高濃度であり、1回の成膜で紫外線を遮
蔽するに充分な膜厚が得られ、また、沈澱を生じない溶
液を調製することに成功した。
【0014】本発明の紫外線遮蔽膜形成用溶液は、酸化
亜鉛による紫外線遮蔽膜を製造するための溶液であっ
て、 亜鉛アセチルアセトネート 100重量部、 アミノアルコール類 30〜600重量部、 および 溶媒 130重量部以上 を含む混合物を加熱して得られることを特徴とする。
亜鉛による紫外線遮蔽膜を製造するための溶液であっ
て、 亜鉛アセチルアセトネート 100重量部、 アミノアルコール類 30〜600重量部、 および 溶媒 130重量部以上 を含む混合物を加熱して得られることを特徴とする。
【0015】また、本発明の紫外線遮蔽膜の製造方法
は、請求項1に記載の紫外線遮蔽膜形成用溶液を基板上
に塗布、乾燥し、さらに200℃以上の温度で焼成する
ことを特徴とする。
は、請求項1に記載の紫外線遮蔽膜形成用溶液を基板上
に塗布、乾燥し、さらに200℃以上の温度で焼成する
ことを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明の紫外線遮蔽膜形成用溶液は、化学的に
安定で加水分解などの影響を受けにくく、塗布→乾燥→
焼成が容易に行える。なお、原料として亜鉛アセチルア
セトネート、アミノアルコール類および溶媒を用いるこ
とによって、なぜ安定な溶液とすることができるかにつ
いては、いまだ明確にはわかっていないが、以下のよう
に考えられる。すなわち、亜鉛アセチルアセトネートが
アミノアルコール類と錯塩を形成し、その錯塩がアルキ
ル基およびアルコキシル基などの官能基を有しているた
め溶媒に溶解しやすい状態になるものと考えられる。ま
た、この錯塩を形成することによって亜鉛化合物が安定
化し、溶媒中に水分が混入しても容易に加水分解するこ
となく、水酸化亜鉛などの沈澱を生じることがないもの
と考えられる。
安定で加水分解などの影響を受けにくく、塗布→乾燥→
焼成が容易に行える。なお、原料として亜鉛アセチルア
セトネート、アミノアルコール類および溶媒を用いるこ
とによって、なぜ安定な溶液とすることができるかにつ
いては、いまだ明確にはわかっていないが、以下のよう
に考えられる。すなわち、亜鉛アセチルアセトネートが
アミノアルコール類と錯塩を形成し、その錯塩がアルキ
ル基およびアルコキシル基などの官能基を有しているた
め溶媒に溶解しやすい状態になるものと考えられる。ま
た、この錯塩を形成することによって亜鉛化合物が安定
化し、溶媒中に水分が混入しても容易に加水分解するこ
となく、水酸化亜鉛などの沈澱を生じることがないもの
と考えられる。
【0017】この溶液を基板上に塗布し、乾燥,焼成す
ることにより、溶媒がまず気化し、次に官能基が分解
し、最終的に酸素原子を介して酸化亜鉛が基板と結合す
るため、密着性のよい膜が得られるものと考えられる。
ることにより、溶媒がまず気化し、次に官能基が分解
し、最終的に酸素原子を介して酸化亜鉛が基板と結合す
るため、密着性のよい膜が得られるものと考えられる。
【0018】また、この溶液を用いた製造方法によれ
ば、系外部からの水分の混入によっても、加水分解によ
る固形物の沈澱が急速に生じることなく、安定して溶液
の貯蔵ができる。また、この溶液を用いて成膜すること
により、溶液を塗布,乾燥した段階で基板表面に亜鉛化
合物の結晶が析出することもなく、また、得られた膜中
に塩素などの不純物が残留することもなく、しかも大面
積の紫外線遮蔽膜を密着性よく低コストで安定して製造
することができる。さらにまた、溶液中の亜鉛化合物濃
度を高濃度とすることができるため、1回の成膜で紫外
線を遮蔽するに充分な膜厚が得られる。
ば、系外部からの水分の混入によっても、加水分解によ
る固形物の沈澱が急速に生じることなく、安定して溶液
の貯蔵ができる。また、この溶液を用いて成膜すること
により、溶液を塗布,乾燥した段階で基板表面に亜鉛化
合物の結晶が析出することもなく、また、得られた膜中
に塩素などの不純物が残留することもなく、しかも大面
積の紫外線遮蔽膜を密着性よく低コストで安定して製造
することができる。さらにまた、溶液中の亜鉛化合物濃
度を高濃度とすることができるため、1回の成膜で紫外
線を遮蔽するに充分な膜厚が得られる。
【0019】
【発明の効果】本発明の紫外線遮蔽膜形成用溶液を用い
た製造方法によれば、波長380nm以下の紫外線を充
分に遮蔽することができるとともに、波長380〜78
0nmの範囲の可視光を充分に透過する性質を有する膜
を、溶液を基板に塗布し、乾燥,焼成することにより、
大面積で密着性よく、しかも低コストで安定して製造す
ることができる。
た製造方法によれば、波長380nm以下の紫外線を充
分に遮蔽することができるとともに、波長380〜78
0nmの範囲の可視光を充分に透過する性質を有する膜
を、溶液を基板に塗布し、乾燥,焼成することにより、
大面積で密着性よく、しかも低コストで安定して製造す
ることができる。
【0020】また、本発明によって得られる溶液は、空
気中からの水分の影響による加水分解を生じにくく化学
的に安定しているので、基板への塗布時に雰囲気ガスを
考慮する必要がなく、空気中で容易に塗布することがで
き、この点でも低コストで安定して成膜することがで
き、製造上極めて有利である。
気中からの水分の影響による加水分解を生じにくく化学
的に安定しているので、基板への塗布時に雰囲気ガスを
考慮する必要がなく、空気中で容易に塗布することがで
き、この点でも低コストで安定して成膜することがで
き、製造上極めて有利である。
【0021】
【発明の構成】本発明の紫外線遮蔽膜形成用溶液および
これを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法について、その構
成を詳細に説明すると以下のようになる。
これを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法について、その構
成を詳細に説明すると以下のようになる。
【0022】本発明において用いられる亜鉛アセチルア
セトネートは、白色の粉末であり、比較的安定な、ま
た、亜鉛アルコキシドと比較して非常に安価な化合物で
ある。この化合物は、溶媒に溶解しにくく、例えばアル
コール類と混合して加熱還流しても、メチルアルコール
以外のアルコール類にはほとんど溶解しない。すなわ
ち、メチルアルコール以外のアルコール類では、一時的
には溶解状態を呈してもわずかな還流時間の違いで沈澱
が生じてしまう。また、メチルアルコールの溶液では、
メチルアルコールを乾燥除去すると亜鉛アセチルアセト
ネートの針状結晶が析出してしまい、基板上に均一な酸
化亜鉛膜を形成することは困難である。
セトネートは、白色の粉末であり、比較的安定な、ま
た、亜鉛アルコキシドと比較して非常に安価な化合物で
ある。この化合物は、溶媒に溶解しにくく、例えばアル
コール類と混合して加熱還流しても、メチルアルコール
以外のアルコール類にはほとんど溶解しない。すなわ
ち、メチルアルコール以外のアルコール類では、一時的
には溶解状態を呈してもわずかな還流時間の違いで沈澱
が生じてしまう。また、メチルアルコールの溶液では、
メチルアルコールを乾燥除去すると亜鉛アセチルアセト
ネートの針状結晶が析出してしまい、基板上に均一な酸
化亜鉛膜を形成することは困難である。
【0023】また、本発明において用いられるアミノア
ルコール類としては、エタノールアミン類,メタノール
アミン類,プロパノールアミン類等があげられる。エタ
ノールアミン類としては、モノエタノールアミン,ジエ
タノールアミン,トリエタノールアミン等があるが、得
られた溶液の安定性およびエタノールアミン類の取り扱
い易さ(トリエタノールアミンは非常に粘性が高い)か
らジエタノールアミンが特に好適である。メタノールア
ミン類,プロパノールアミン類などは、その粘度,水分
の吸収性から、エタノールアミン類よりは取り扱いが難
しい。
ルコール類としては、エタノールアミン類,メタノール
アミン類,プロパノールアミン類等があげられる。エタ
ノールアミン類としては、モノエタノールアミン,ジエ
タノールアミン,トリエタノールアミン等があるが、得
られた溶液の安定性およびエタノールアミン類の取り扱
い易さ(トリエタノールアミンは非常に粘性が高い)か
らジエタノールアミンが特に好適である。メタノールア
ミン類,プロパノールアミン類などは、その粘度,水分
の吸収性から、エタノールアミン類よりは取り扱いが難
しい。
【0024】さらに、溶媒としては、極性溶媒および非
極性溶媒があり、極性溶媒としてはアルコール類,ケト
ン類等があげられ、また、非極性溶媒としては、ベンゼ
ン,トルエン,キシレン,ヘキサン,石油類等があげら
れるが、亜鉛アセチルアセトネートとアミノアルコール
類の溶解性を考慮すると、アルコール類のなかでも特に
低級アルコール類が好適である。
極性溶媒があり、極性溶媒としてはアルコール類,ケト
ン類等があげられ、また、非極性溶媒としては、ベンゼ
ン,トルエン,キシレン,ヘキサン,石油類等があげら
れるが、亜鉛アセチルアセトネートとアミノアルコール
類の溶解性を考慮すると、アルコール類のなかでも特に
低級アルコール類が好適である。
【0025】次に、これらの物質の混合量について述べ
る。まず、アミノアルコール類はその種類および溶媒の
量によって適当な量が異なるが、その使用量は、亜鉛ア
セチルアセトネート100重量部に対して、30〜60
0重量部が望ましい。アミノアルコール類が30重量部
より少ない場合には、溶媒によっては亜鉛アセチルアセ
トネートが充分溶解しないので適当でない。また、アミ
ノアルコール類が600重量部よりも多い場合には、乾
燥,焼成時にアミノアルコール類が残留し、あるいは、
分解生成物である炭素が残留するおそれがあるために適
当でない。アミノアルコール類としてエタノールアミン
類、特にジエタノールアミンを用いる場合には、その使
用量は30〜300重量部であることが好ましい。この
範囲の使用量でエタノールアミン類を用いると、均一な
溶液が得られ、また、成膜した場合に均一な膜が得られ
る。
る。まず、アミノアルコール類はその種類および溶媒の
量によって適当な量が異なるが、その使用量は、亜鉛ア
セチルアセトネート100重量部に対して、30〜60
0重量部が望ましい。アミノアルコール類が30重量部
より少ない場合には、溶媒によっては亜鉛アセチルアセ
トネートが充分溶解しないので適当でない。また、アミ
ノアルコール類が600重量部よりも多い場合には、乾
燥,焼成時にアミノアルコール類が残留し、あるいは、
分解生成物である炭素が残留するおそれがあるために適
当でない。アミノアルコール類としてエタノールアミン
類、特にジエタノールアミンを用いる場合には、その使
用量は30〜300重量部であることが好ましい。この
範囲の使用量でエタノールアミン類を用いると、均一な
溶液が得られ、また、成膜した場合に均一な膜が得られ
る。
【0026】また、溶媒は、均一な溶液を調製するため
に必要なものであり、アミノアルコール類の量にもよる
が、亜鉛アセチルアセトネート100重量部に対して、
130重量部以上あればよい。溶媒が130重量部より
少ないと、亜鉛アセチルアセトネートが充分に溶解せず
適当でない。また、特に溶媒が200〜800重量部で
あると、溶液が希釈され過ぎず、適度な濃度の溶液を調
製することができ、また成膜時に所定の膜厚の紫外線遮
蔽膜ができるので適当である。
に必要なものであり、アミノアルコール類の量にもよる
が、亜鉛アセチルアセトネート100重量部に対して、
130重量部以上あればよい。溶媒が130重量部より
少ないと、亜鉛アセチルアセトネートが充分に溶解せず
適当でない。また、特に溶媒が200〜800重量部で
あると、溶液が希釈され過ぎず、適度な濃度の溶液を調
製することができ、また成膜時に所定の膜厚の紫外線遮
蔽膜ができるので適当である。
【0027】さらにまた、この溶媒中に予め少量の水を
加え、この溶媒を使って溶液を調製し、あるいは溶液中
に直接少量の水を添加し、これらの溶液で成膜すること
によって、成膜時の酸化亜鉛の生成をより促進させるこ
ともできる。この際、添加される水の量は、溶媒に対
し、0〜15重量%であることが望ましい。
加え、この溶媒を使って溶液を調製し、あるいは溶液中
に直接少量の水を添加し、これらの溶液で成膜すること
によって、成膜時の酸化亜鉛の生成をより促進させるこ
ともできる。この際、添加される水の量は、溶媒に対
し、0〜15重量%であることが望ましい。
【0028】本発明の溶液は、これらの物質を混合した
後、加熱、好ましくは還流によって得ることができる。
このときの加熱温度は80〜130℃が好ましい。さら
に、これらの物質を還流するに際しては、混合物が完全
な溶液となるまで充分な還流を行う必要がある。あるい
は、混合物を撹拌しながら加熱することにより溶液を調
製してもよい。還流が短い場合、あるいは、溶液を撹拌
しながら加熱する時間が短い場合には、亜鉛アセチルア
セトネートの一部が固形物として残留してしまい、溶液
の塗布,乾燥,焼成によって得られた膜の組成が当初の
目的のものとならない場合がある。
後、加熱、好ましくは還流によって得ることができる。
このときの加熱温度は80〜130℃が好ましい。さら
に、これらの物質を還流するに際しては、混合物が完全
な溶液となるまで充分な還流を行う必要がある。あるい
は、混合物を撹拌しながら加熱することにより溶液を調
製してもよい。還流が短い場合、あるいは、溶液を撹拌
しながら加熱する時間が短い場合には、亜鉛アセチルア
セトネートの一部が固形物として残留してしまい、溶液
の塗布,乾燥,焼成によって得られた膜の組成が当初の
目的のものとならない場合がある。
【0029】また、得られた溶液を基板上に塗布,乾
燥,焼成するに際しては、基板としては特に制限はない
が、金属,ガラス,セラミックス,高分子樹脂板(プラ
スチック)などを使用することができる。ただし、焼成
温度を考慮すると、金属,ガラス,セラミックスなど
の、300℃以上で熱変形せず、また、焼失しないよう
な基板が好ましい。
燥,焼成するに際しては、基板としては特に制限はない
が、金属,ガラス,セラミックス,高分子樹脂板(プラ
スチック)などを使用することができる。ただし、焼成
温度を考慮すると、金属,ガラス,セラミックスなど
の、300℃以上で熱変形せず、また、焼失しないよう
な基板が好ましい。
【0030】また、塗布方法に関しては、溶液を基板上
に均一に塗布することができればよく、特にその方法に
制限はない。好ましい塗布方法としては、例えば、ディ
ップコーディング,スピンコーディング,スプレーコー
ディングなどがあげられる。
に均一に塗布することができればよく、特にその方法に
制限はない。好ましい塗布方法としては、例えば、ディ
ップコーディング,スピンコーディング,スプレーコー
ディングなどがあげられる。
【0031】また、乾燥に関しては、溶媒が充分に気化
し、さらに焼成した場合に膜が均一に基板上に付着する
ように、80〜150℃で2分以上行うのが適当であ
る。
し、さらに焼成した場合に膜が均一に基板上に付着する
ように、80〜150℃で2分以上行うのが適当であ
る。
【0032】さらにまた、焼成に関しては、空気中にお
いて200℃以上で5分以上行うのが適当である。焼成
温度が200℃より低いと乾燥工程で残留した溶媒の揮
発、アミノアルコール類の揮発、溶液中で形成されてい
る化合物の分解、および分解生成物の酸化,揮発が充分
に行われないので好ましくない。不純物の残留がなく、
かつ、紫外線遮蔽性能が低下しない温度範囲としては、
特に300℃以上が好ましく、中でも500〜700℃
がより好ましい。さらに高温で焼成しても紫外線遮蔽機
能は良好であり、特に問題はない。なお、乾燥工程を省
くと、溶媒の揮発が急激に生じることにより、膜が非常
にポーラスになり、膜の密度、硬度等が低下するために
適当でない。
いて200℃以上で5分以上行うのが適当である。焼成
温度が200℃より低いと乾燥工程で残留した溶媒の揮
発、アミノアルコール類の揮発、溶液中で形成されてい
る化合物の分解、および分解生成物の酸化,揮発が充分
に行われないので好ましくない。不純物の残留がなく、
かつ、紫外線遮蔽性能が低下しない温度範囲としては、
特に300℃以上が好ましく、中でも500〜700℃
がより好ましい。さらに高温で焼成しても紫外線遮蔽機
能は良好であり、特に問題はない。なお、乾燥工程を省
くと、溶媒の揮発が急激に生じることにより、膜が非常
にポーラスになり、膜の密度、硬度等が低下するために
適当でない。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例について実験例に基いて
説明する。なお、これらの実施例によって、特許請求の
範囲が限定されるものではない。第1実験例 この実験例では、原料組成と溶液化の関係および溶液か
ら成膜する場合の成膜性について検討した。
説明する。なお、これらの実施例によって、特許請求の
範囲が限定されるものではない。第1実験例 この実験例では、原料組成と溶液化の関係および溶液か
ら成膜する場合の成膜性について検討した。
【0034】市販の亜鉛アセチルアセトネート[C10H
14O4 Zn・H2 O],ジエタノールアミン[HN(C
2 H4 OH)2 ],エチルアルコール[C2 H5 OH]
を原料として用いた。
14O4 Zn・H2 O],ジエタノールアミン[HN(C
2 H4 OH)2 ],エチルアルコール[C2 H5 OH]
を原料として用いた。
【0035】まず、表1に示す組成比で亜鉛アセチルア
セトネート,ジエタノールアミン,エチルアルコールを
混合し、フラスコに入れ、130〜140℃で2時間還
流し、溶液を調整した。
セトネート,ジエタノールアミン,エチルアルコールを
混合し、フラスコに入れ、130〜140℃で2時間還
流し、溶液を調整した。
【0036】その結果、試料No. 1〜4,6,7につい
ては、沈澱がなく淡黄色透明の溶液が生成し、目的とす
る溶液が得られた。これら6種の溶液をスピンコート法
によりガラス基板(20mm×20mm×0.5mm)
上にコートした。なお、スピンコートの条件は、回転数
3000rpmで20秒である。その後、乾燥器にて1
20℃で30分間乾燥し、さらに500℃で1時間空気
中で焼成して、目的とする紫外線遮蔽性能を有する膜を
得た。なお、試料No. 5,8,9,10については、沈
澱物が生じてしまい、均一な溶液を得ることができなか
った。
ては、沈澱がなく淡黄色透明の溶液が生成し、目的とす
る溶液が得られた。これら6種の溶液をスピンコート法
によりガラス基板(20mm×20mm×0.5mm)
上にコートした。なお、スピンコートの条件は、回転数
3000rpmで20秒である。その後、乾燥器にて1
20℃で30分間乾燥し、さらに500℃で1時間空気
中で焼成して、目的とする紫外線遮蔽性能を有する膜を
得た。なお、試料No. 5,8,9,10については、沈
澱物が生じてしまい、均一な溶液を得ることができなか
った。
【0037】この実験例の検討から得られた、原料の組
成と溶液化との関係、および得られた溶液と膜の状態と
の関係を表1に示した。表1において、「溶液化」の項
目で、○は均一な溶液が得られたもの、×は均一な溶液
が得られなかったものを示す。表1において、「膜の状
態」の項目で、○は均一な膜厚が得られたもの、△は若
干のムラ(膜厚ムラ(干渉色の違いによる色ムラが見ら
れる状態)および/または溶媒の乾燥時に生じたものと
思われる斑点状のムラ)を有する膜が得られたもの、−
は膜が得られなかったものを示す。
成と溶液化との関係、および得られた溶液と膜の状態と
の関係を表1に示した。表1において、「溶液化」の項
目で、○は均一な溶液が得られたもの、×は均一な溶液
が得られなかったものを示す。表1において、「膜の状
態」の項目で、○は均一な膜厚が得られたもの、△は若
干のムラ(膜厚ムラ(干渉色の違いによる色ムラが見ら
れる状態)および/または溶媒の乾燥時に生じたものと
思われる斑点状のムラ)を有する膜が得られたもの、−
は膜が得られなかったものを示す。
【0038】また、表1の結果、すなわち原料の組成比
と溶液の均一性との関係を、正三角形の座標によって示
すと図1のようになる。図1において、符号Aで示す領
域が、目的とする均一な溶液を得るための組成比の範囲
を示す。さらに、表1の結果、すなわち得られた溶液と
膜の状態との関係を、正三角形の座標によって示すと図
2のようになる。図2において、符号Bで示す領域が、
目的とする均一な膜厚を得るための組成比の範囲を示
す。
と溶液の均一性との関係を、正三角形の座標によって示
すと図1のようになる。図1において、符号Aで示す領
域が、目的とする均一な溶液を得るための組成比の範囲
を示す。さらに、表1の結果、すなわち得られた溶液と
膜の状態との関係を、正三角形の座標によって示すと図
2のようになる。図2において、符号Bで示す領域が、
目的とする均一な膜厚を得るための組成比の範囲を示
す。
【0039】これらの結果から、亜鉛アセチルアセトネ
ート,ジエタノールアミン,エチルアルコールを用いた
系では、均一な溶液を得るにはその組成比が亜鉛アセチ
ルアセトネート100重量部に対し、ジエタノールアミ
ン30〜600重量部、エチルアルコール130重量部
以上が適当であることがわかった。また、さらに溶液を
用いて成膜した場合に、均一な膜厚が得られる範囲を考
慮すると、亜鉛アセチルアセトネート100重量部に対
し、ジエタノールアミン30〜300重量部、エチルア
ルコール200〜800重量部がより適当であることが
わかった。
ート,ジエタノールアミン,エチルアルコールを用いた
系では、均一な溶液を得るにはその組成比が亜鉛アセチ
ルアセトネート100重量部に対し、ジエタノールアミ
ン30〜600重量部、エチルアルコール130重量部
以上が適当であることがわかった。また、さらに溶液を
用いて成膜した場合に、均一な膜厚が得られる範囲を考
慮すると、亜鉛アセチルアセトネート100重量部に対
し、ジエタノールアミン30〜300重量部、エチルア
ルコール200〜800重量部がより適当であることが
わかった。
【0040】なお、これらの均一膜のできる範囲は、ス
ピンコートによる成膜条件によってもことなり、たとえ
ば、スピン回転数が高い場合には、若干のムラが生じて
いた領域においても均一な膜となることもある。第2実験例 この実験例においては、焼成温度と膜の特性について検
討した。
ピンコートによる成膜条件によってもことなり、たとえ
ば、スピン回転数が高い場合には、若干のムラが生じて
いた領域においても均一な膜となることもある。第2実験例 この実験例においては、焼成温度と膜の特性について検
討した。
【0041】表1に示した試料No. 6の組成の溶液を用
いて、焼成温度を変えて成膜処理し、膜の状態、膜の透
過率および膜の結晶性を調べた。成膜方法は、溶液のコ
ート工程および乾燥工程については、石英ガラス基板
(25mm×25mm×1mm)を用いた以外は前記第
1実験例と同様とし、焼成温度のみを150℃から70
0℃まで5段階で変化させた。このようにして表2に示
す試料No. 11〜15の5種のサンプルを得た。なお、
試料No. 14は試料No. 6の膜と同一である。得られた
膜の膜厚は、試料No. 13〜15については約1500
オングストロームであった。
いて、焼成温度を変えて成膜処理し、膜の状態、膜の透
過率および膜の結晶性を調べた。成膜方法は、溶液のコ
ート工程および乾燥工程については、石英ガラス基板
(25mm×25mm×1mm)を用いた以外は前記第
1実験例と同様とし、焼成温度のみを150℃から70
0℃まで5段階で変化させた。このようにして表2に示
す試料No. 11〜15の5種のサンプルを得た。なお、
試料No. 14は試料No. 6の膜と同一である。得られた
膜の膜厚は、試料No. 13〜15については約1500
オングストロームであった。
【0042】これらの各試料について、分光特性を自記
分光光度計(日立(株)製330型)を用いて測定し、
紫外線の遮蔽性能を評価した。測定条件としては、波長
範囲が200〜500nm、測定速度が60nm/分で
ある。測定結果を表2および図3に示した。表2におい
て、「透過率」の項目は波長350nmでの数値を示
し、また「膜の状態」の項目で、○はほぼ均一な硬質膜
が得られたもの、△は柔らかく、布でこすると容易に傷
が付く状態の軟質膜が得られたもの、×は粘性を有し手
で触れるとべとついた状態であり、膜が得られなかった
ものを示す。
分光光度計(日立(株)製330型)を用いて測定し、
紫外線の遮蔽性能を評価した。測定条件としては、波長
範囲が200〜500nm、測定速度が60nm/分で
ある。測定結果を表2および図3に示した。表2におい
て、「透過率」の項目は波長350nmでの数値を示
し、また「膜の状態」の項目で、○はほぼ均一な硬質膜
が得られたもの、△は柔らかく、布でこすると容易に傷
が付く状態の軟質膜が得られたもの、×は粘性を有し手
で触れるとべとついた状態であり、膜が得られなかった
ものを示す。
【0043】さらに、得られた膜についてX線回折測定
を行い、膜の結晶性を評価し、その結果を表3および図
4に示した。
を行い、膜の結晶性を評価し、その結果を表3および図
4に示した。
【0044】この結果、焼成温度が150℃程度と低い
場合には、膜がまだべとついた状態であり、200℃以
上の焼成温度が必要であることがわかった。また、分光
特性の測定結果から、焼成温度が高いほど紫外線の遮蔽
性能が優れており、特に300℃以上で紫外線の遮蔽性
能が徐々に向上することがわかった。また、X線回折の
結果から、300℃では、膜はアモルファスの状態であ
るが、さらに温度が高くなるに連れてZnOに基づく回
折線ピークが見られ、結晶化していることがわかった。
膜の結晶度が高くなるに従い、紫外線の遮蔽性能も向上
していくものと考えられる。
場合には、膜がまだべとついた状態であり、200℃以
上の焼成温度が必要であることがわかった。また、分光
特性の測定結果から、焼成温度が高いほど紫外線の遮蔽
性能が優れており、特に300℃以上で紫外線の遮蔽性
能が徐々に向上することがわかった。また、X線回折の
結果から、300℃では、膜はアモルファスの状態であ
るが、さらに温度が高くなるに連れてZnOに基づく回
折線ピークが見られ、結晶化していることがわかった。
膜の結晶度が高くなるに従い、紫外線の遮蔽性能も向上
していくものと考えられる。
【0045】以上のことから、焼成温度としては、20
0℃以上が必要であり、特に、300℃以上で結晶化が
進み、紫外線の遮蔽性能がより向上することがわかっ
た。第3実験例 この実験例においては、溶媒の種類について検討した。
0℃以上が必要であり、特に、300℃以上で結晶化が
進み、紫外線の遮蔽性能がより向上することがわかっ
た。第3実験例 この実験例においては、溶媒の種類について検討した。
【0046】亜鉛アセチルアセトネート,ジエタノール
アミンを一定量とし、溶媒の種類を変えて溶液化の検討
を行った。具体的には、亜鉛アセチルアセトネート10
0重量部に対し、ジエタノールアミン33重量部を一定
とし、溶媒として、メチルアルコール,エチルアルコー
ル,iso-プロピルアルコール,n-ブチルアルコール,n-
ヘキシルアルコール,n-ヘキサンをそれぞれ200重量
部加えて、試料No. 16〜21の溶液の調整を試みた。
その結果を表4に示す。表4において、○はほぼ均一な
溶液が得られたもの、△は少し沈澱が生じたものを示
す。
アミンを一定量とし、溶媒の種類を変えて溶液化の検討
を行った。具体的には、亜鉛アセチルアセトネート10
0重量部に対し、ジエタノールアミン33重量部を一定
とし、溶媒として、メチルアルコール,エチルアルコー
ル,iso-プロピルアルコール,n-ブチルアルコール,n-
ヘキシルアルコール,n-ヘキサンをそれぞれ200重量
部加えて、試料No. 16〜21の溶液の調整を試みた。
その結果を表4に示す。表4において、○はほぼ均一な
溶液が得られたもの、△は少し沈澱が生じたものを示
す。
【0047】この結果、溶媒としては、あまり重要な限
定はないが、アルコール類が好適であり、特に低分子の
もの例えばメチルアルコール,エチルアルコールが優れ
ていることがわかった。
定はないが、アルコール類が好適であり、特に低分子の
もの例えばメチルアルコール,エチルアルコールが優れ
ていることがわかった。
【図1】第1実験例における組成比と溶液の状態との関
係を示す三角座標である。
係を示す三角座標である。
【図2】第1実験例における組成比と膜の状態との関係
を示す三角座標である。
を示す三角座標である。
【図3】第2実験例における焼成温度と光の透過率との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図4】第2実験例における焼成温度と膜の結晶性との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【表1】
【表2】
【表3】
Claims (2)
- 【請求項1】 酸化亜鉛による紫外線遮蔽膜を製造する
ための溶液であって、 亜鉛アセチルアセトネート 100重量部、 アミノアルコール類 30〜600重量部、 および 溶媒 130重量部以上 を含む混合物を加熱して得られることを特徴とする紫外
線遮蔽膜形成用溶液。 - 【請求項2】 請求項1に記載の紫外線遮蔽膜形成用溶
液を基板上に塗布、乾燥し、さらに200℃以上の温度
で焼成することを特徴とする紫外線遮蔽膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24075493A JPH0772326A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 紫外線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24075493A JPH0772326A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 紫外線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0772326A true JPH0772326A (ja) | 1995-03-17 |
Family
ID=17064220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24075493A Withdrawn JPH0772326A (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 紫外線遮蔽膜形成用溶液およびこれを用いた紫外線遮蔽膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0772326A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115491194A (zh) * | 2021-06-18 | 2022-12-20 | 广东聚华印刷显示技术有限公司 | 氧化锌的前驱体溶液及其制备方法与发光器件 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP24075493A patent/JPH0772326A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115491194A (zh) * | 2021-06-18 | 2022-12-20 | 广东聚华印刷显示技术有限公司 | 氧化锌的前驱体溶液及其制备方法与发光器件 |
CN115491194B (zh) * | 2021-06-18 | 2023-11-03 | 广东聚华印刷显示技术有限公司 | 氧化锌的前驱体溶液及其制备方法与发光器件 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20001031 |