JPH0772250B2 - 無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物及びその製造方法ならびにその用途 - Google Patents

無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物及びその製造方法ならびにその用途

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JPH0772250B2
JPH0772250B2 JP4180127A JP18012792A JPH0772250B2 JP H0772250 B2 JPH0772250 B2 JP H0772250B2 JP 4180127 A JP4180127 A JP 4180127A JP 18012792 A JP18012792 A JP 18012792A JP H0772250 B2 JPH0772250 B2 JP H0772250B2
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博之 内藤
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    • C09D183/00Coating compositions based on macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon, with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Coating compositions based on derivatives of such polymers
    • C09D183/14Coating compositions based on macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon, with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Coating compositions based on derivatives of such polymers in which at least two but not all the silicon atoms are connected by linkages other than oxygen atoms

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状オルガノポリシロ
キサンを主成分とする無溶剤のオルガノシロキサン液組
成物及びその製造方法ならびにその用途に関するもので
あって、より詳しくは、塗膜ないしは繊維、塗料もしく
は結着剤、複合構造体、複合シートあるいは建材に応用
されるポリシロキサン結合を主鎖として柔軟性を有し付
着性に優れたシロキサン硬化体が、300℃以下の水も
しくは熱との接触により形成される無溶剤のオルガノシ
ロキサン液組成物及びその製造方法ならびにその用途に
関する。
【0002】
【従来技術】従来、塗料における溶剤の役割は重要で、
その使用量から見ても塗料用素材の45ないし50%を溶剤
が占めており、その種類も主要なものだけでも50種類以
上が挙げられる。特に有機溶剤は塗膜形成材料を溶解分
散せしめて流動性を与え、塗装適性ならびに塗膜形成適
性を与える上で重要で、欠かすことのできない素材であ
る。このように有機溶剤は塗料にとって切っても切れな
い縁にある。しかるに有機溶剤は可燃性が高く危険物取
扱指定を受けているばかしでなく、人体が有機溶剤と接
する時には各種の障害症状(例えば、麻酔作用、中枢神
経系や自律神経系障害、肝臓や腎臓障害、皮膚や眼の炎
症等)の発生があり、その取り扱いには充分な管理と注
意が求められている。
【0003】このように可燃性危険物であり、人体への
障害症状を発生させる有機溶剤を、生活環境で汎用する
商品に使用し、提供することは地球環境を保全し守って
いく上から許されることではない。塗料等の分野でも無
溶剤の塗料の開発が強く望まれている。しかし、無溶剤
塗料として水系エマルジョン塗料や粉体塗料が開発され
てはいるが、これら塗料では未だ充分な性能が得られず
満足されていない。
【0004】本発明の主材であるオルガノシロキサン
は、シランと共に有機ケイ素の代表化合物として知られ
ており、R3SiO(R2SiO)nSiR3、(R2SiO)n等の示性式が与え
られている。このようにオルガノシロキサンは、無機化
合物の範疇にあるSi-O結合のシロキサン結合に有機基
(アルキル基、フェニル基、アリール基、アルコキシ
基、アシロキシ基等)が結合した形で構成されている。
したがって、オルガノシロキサンはシラノール結合(-Si
-OH)が有する無機化合物の性質と-C-C- 結合やC-O 結合
を有する有機化合物の性質を兼ね備えている。
【0005】一方、C-C 結合とSi-O結合の原子間結合エ
ネルギーを比較すると、C-C 結合は84.9 kcal/mol であ
り、C-O 結合は80.9 kcal/mol であるのに対して、Si-O
結合は106 kcal/molと約25%大きく、有機化合物の構成
単位の原子間結合エネルギーよりシロキサン結合の原子
間結合エネルギーの方が熱や光等の物理的エネルギーや
酸化等の化学的エネルギーに対し安定であることが理解
できる。さらに、有機樹脂類は300 ないし350 nmの波長
領域に感度波長域を有していることから紫外線領域の波
長でラジカル分解を起こしやすい。これに対して、メチ
ル系シリコン樹脂類は紫外線領域での波長吸収はほとん
どないこと[宝田:防錆管理、p 244 〜252 (1991)]が
知られており、紫外線に対して不活性であり、耐候性に
強いことを示唆している。
【0006】また、シロキサン結合は約50%がイオン結
合であるといわれており、その結合距離が長く電子密度
も低いため、結合の回転は容易であり、比較的小さいエ
ネルギーで結合角が変わる。したがって、シロキサン結
合による鎖は、C-C 結合による鎖より屈曲性に富み柔軟
性を有し、熱や物理的エネルギーによる衝撃に強く、フ
レキシビリティーに富んだ素材となる。以上のようにSi
-O結合を有するオルガノシロキサンは、-C-C- 結合やC-
O 結合から構成されている有機化合物とは多くの点で異
なった性質を示している。特に酸化や燃焼に対して弱い
有機化合物とは明確に区別することができる。
【0007】オルガノシロキサンが架橋重合した-Si-O-
結合を主鎖とするシロキサンの高分子化合物は、シリコ
ーンもしくはシリコーン樹脂の名称で呼ばれて汎用され
ている。特に同一分子内に異なる二種の官能基を有する
オルガノポリシロキサンは、一般にシランカップリング
剤の名称で総称され、無機質材料や有機質材料の改質処
理剤、添加剤として広く研究され、汎用されている。ま
た、シリコーン樹脂は撥水、耐熱、耐候、耐寒、電気絶
縁性等の性質に優れていることから電気・電子製品、生
活関連製品等に広く使用されている。
【0008】オルガノシロキサンがポリマー化し、硬化
体を形成してゆく反応機構は、水共存下における反応性
シロキサンの縮合反応もしくは付加反応によるとされて
いる。常温における本発明オルガノシロキサンにおいて
も、第一段で官能基のアルコキシ基に水が反応して脱ア
ルコールが起こりシラノール基を生成する。ついで第二
段でこのシラノール基に架橋剤のアルコキシ基が金属触
媒の許で反応して脱アルコール、脱オキシム、脱酢酸等
が起こる縮合反応によるポリマー化が進行し、三次元網
目構造のポリマー硬化体が形成されるものと思われる。
【0009】一般に、ワニス、塗料、接着剤等の材料は
有機樹脂類を主原料に構成されている。しかるに、近年
変化していく生活環境の中で、不燃・難燃性で無公害が
求められる分野はますます広範囲となっている。こうし
た中で、塗料等は危険性ならびに公害等の弊害性を有す
る有機溶剤を使用していることと共に、主原料の有機樹
脂類が熱や火に弱く、燃えやすいことが問題視されてい
る。こうした欠点を持たず無公害で地球環境に優しい代
替製品の開発が強く求められている。
【0010】また、塗料や被覆材料等を造膜させる場合
に、加熱により硬化造膜させる方法もあるが、加熱によ
る場合その応用範囲がおのずと限定される。したがって
汎用性の上から常温で造膜を完了させることが好まし
い。しかし、常温造膜を可能にするために、併用される
溶剤の揮散によるか、硬化触媒添加により手段が採用さ
れている。硬化触媒添加による場合、材料の棚寿命性の
点から施工直前に硬化剤を添加せざるを得ず、施工材料
は二液タイプとならざるを得ない。したがって、施工直
前に材料調製を行わざるを得ず、材料保管、作業管理、
施工手順等が煩雑とならざるを得ない。一液タイプの塗
料で湿気硬化による場合も棚寿命性を確保するために空
気との遮断可能な容器、例えばチューブやカートリッジ
等に材料を保存しておき、使用時に空気中に開放する方
法が採用されている。こうしたことから一液タイプで汎
用的棚寿命性を有する常温施工可能な塗料等材料が強く
求められている。
【0011】以上の要望に答えるために、上記の知見か
らも理解されるようにシロキサン化合物は、熱、光や酸
化に強い−Si−O−結合を有しており、耐候性に優
れ、耐熱性でフレキシビリティーを有している材料であ
ることから研究の対象材料として広く取り上げられ、そ
の成果は一部実用化されている。この研究成果の代表例
ならびに従来技術の問題点等を、塗料や被覆材分野を中
心に以下に列挙する。
【0012】オルガノシロキサンを塗料に応用したポピ
ュラーな例として、第二次大戦中に開発されたジンクリ
ッチペイントが挙げられる。このペイントはほぼ同量の
イソプロピルアルコール溶剤で希釈されたテトラエトキ
シシラン等の加水分解物に約2倍量の亜鉛粉末を配合し
た塗料で、この塗料は常温乾燥で塗膜を形成さる防錆塗
料として汎用されている。この技術の改良の一例が特公
昭63−61987号公報等に開示されている。
【0013】オルガノシロキサンもしくはその変性オル
ガノシロキサンの重合体、さらに各種の有機化合物との
共重合体を、それ自体や他の各種有機樹脂類と共に有機
溶剤に一旦希釈して塗料化することは、当業界における
常套手段であり、大半の技術がこの常套手段の応用とし
て開発されている。例えば、同量以上の溶剤共存下の変
性テトラアルコキシシランを造膜剤として調製し、これ
を塗布後自然乾燥もしくは熱風乾燥して、耐熱性で防錆
性塗料とする技術が特公昭63-28942号公報に、ラダー型
シリコンオリゴマーを有機溶媒で希釈した塗料が特開平
1-115966号公報等に開示されている。
【0014】特公昭63-33512号公報には、平均分子量が
2000ないし30000 と高分子量のオルガノシロキサンのビ
ニル系重合体を溶剤の共存下で5 ないし20重量%の含有
量で予め共重合させ、アミン系化合物や含金属化合物等
の硬化触媒を加え、常温放置か60ない150 ℃で焼き付け
て塗膜化する塗料組成物が開示されている。特公昭64-1
0551号公報には、カルボキシ官能性シロキサンにヘキサ
ン等の溶剤で希釈されたチタネート触媒を添加して室温
で乾燥し、硬化体表面から凍結水を除去する技術につい
て開示されている。特開平1-123861号公報には、ジメチ
ルポリシロキサンとアルミニウム3水和物の反応物にト
リクロロエチレン等の溶剤の基でアミノシラン化合物を
触媒とし、大気中の湿度(水分)で室温硬化させ電気特
性に優れたコーティング剤とする技術が開示されてい
る。
【0015】有機化合物(有機樹脂類)とオルガノシロ
キサンとを単に複合化させて被覆材等に応用する技術例
は大変多く、そのほとんどが加熱により造膜を行ってい
る。その代表的例として、テトラエトキシシランとメチ
ルトリエトキシシランをポリビニルブチラールブチル化
メチロールメラミンに混合して塗布し、塗布体を130℃
に加熱して塗膜を得ている方法が特公昭55-41274号公報
等に開示されており、これに類似した技術は特開昭64-1
6868号公報、特開平1-115966号公報等多く開示されてい
る。
【0016】オルガノシロキサンを耐熱塗料の塗膜剤に
利用しようとする研究は多く、その代表例として、耐熱
性の無機質材料(リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜
鉛、炭酸カルシウム、ケイ酸塩亜鉛粉末等)50ないし80
重量%にわずかのアルミニウムキレート化合物を加え、
これに変性シリコーン樹脂20ないし50重量%加えた塗料
を基材に塗布後180 ℃で焼き付けて耐熱被覆する技術と
して特公昭63-35183号公報を挙げることができる。また
これに類似した技術として特開昭63-23975号公報等を挙
げることができる。同様にイソプロピルアルコールで希
釈されたテトラエトキシシランにほうろうフリット等を
配合して常温乾燥する耐熱塗料の技術が特開昭56-12182
4 号公報等に開示されている。
【0017】またオルガノシロキサンの加水分解物をプ
ラスチックス製品の表面に塗布し60ないし120 ℃で加熱
硬化して表面硬度に優れた塗膜を形成させる技術は、特
公昭50-39449号公報、特公昭51-2343 号公報、特公昭55
-4148 号公報、特公昭55-40631号公報、特公昭55-41271
号公報、特公昭55-41272号公報、特公昭55-41273号公報
および特開昭64-11167号公報等に開示されている。ま
た、アルコキシシラン自身を上記同様の加熱硬化にり塗
膜を形成させる塗布剤に用いてる例として、特公昭53-1
5743号公報および特公昭55-36216号公報が挙げられる。
【0018】オルガノシロキサンを有機溶媒中で塗料化
し、常温もしくは加熱下に造膜させている技術の開示も
大変多い。例えば、特公昭63-58191号公報、特公昭63-6
2556号公報、さらに特開昭59-64671号公報、特開昭60-1
66281 号公報、特開昭62-256873 号公報、さらに特開昭
62-106968 号公報、さらにまた特開昭62-221473 号公
報、特開昭62-275170 号公報等に開示されている。
【0019】純粋なオルガノシロキサンを応用している
例としては、ジメチルシリコーンオイルや直鎖アルキル
基含有のシリコーンオイルをコンクリート内添用撥水剤
に調製している技術(特公平1-58148 号公報)、さらに
オルガノポリシロキサン、有機錫化合物、揮発性ジメチ
ルポリシロキサンからなる耐久性で汚れ防止の透明膜に
調製している技術(特開平3-68676)等を挙げることがで
きる。また、オルガノシロキサンのシラン化合物とアル
コキシチタンとの反応生成物を無機系コーティング剤と
する技術は特開昭63-12671号公報に記載されている。
【0020】特開平1-152167号公報には、重合度のn が
5 ないし5000とかなり高いジオルガノポリシロキサン化
合物をベースにフェニル(ジエチルケトオキシム)シラ
ンを架橋剤にし、硬化剤にジブチル錫ジラウレートを用
い常温硬化させ、この硬化体を電蝕防止剤に用いる技術
が開示されている。この場合、用いるジオルガノポリシ
ロキサン化合物の液粘度は6000センチポイズとかなり高
く、電蝕防止剤用としては好適であっても、該技術の液
状態では溶剤等の希釈剤なしで塗料等として一般的塗布
作業に付するには好適でない。しかも、用いているジオ
ルガノポリシロキサン化合物はシラノール基を有してお
り、この状態で硬化剤と共存させる時はすぐに縮合反応
を開始して増粘していくため、混合物の一液保存性(棚
寿命性)はなく、また一液保存性を確保するための工夫
は何ら施されていない。
【0021】さらにまた、オルガノシロキサンとフッ素
含有化合物との組み合わせによる応用例としては、シリ
コン系ワニスにポリフルオロアルキル基を有するオルガ
ノシロキサンを配合して塗料とする技術が特開昭64-514
77号公報に記載されており、その他特公平1-16405 号公
報、特開昭63-320号公報等に類似した技術が開示されて
いる。
【0022】塗料中のケイ素分濃度を向上させる技術と
して、コロイダルシリカを併用する技術が特公昭52-396
91号公報、特公昭53-5914 号公報、特公昭55-8548 号公
報等に開示されている。しかしこの場合のケイ素分はあ
くまでもSiO2固体のコロイド状シリカでオルガノシロキ
サンに結合したシラノール基や有機ケイ素基等のケイ素
元素とは異った状態で存在している。
【0023】つぎに、硬化触媒として用いる含金属有機
化合物をポリマー形成母体のオルガノシロキサン中で安
定に共存させるために、ケト・エノール型互変異性化合
物を組み合わせる技術が、分子内にカルボキシル基を有
する線状共重合体とアルミニウムアルコラート錯化合物
と溶剤との混合組成物の例で特公昭48-17859号公報に開
示されている。また、同様の技術は、一部アルコキシシ
ラン基もしくはヒドロキシシラン基を反応させたイソシ
アネート基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基およ
びアミノ基の官能基を有する樹脂とエポキシ樹脂を有機
溶剤併用の許でキレート化合物の硬化剤を用いるに際
し、ケト・エノール型互変異性化合物を併用する技術が
特開平1-129066号公報に開示されている。
【0024】また、オルガノシロキサンを含む各種の樹
脂類に予めβ- ジケトン類を水と共に反応させる応用技
術が特開昭64-1769 号公報に開示されている。これらの
場合ケト・エノール型互変異性化合物の応用は、有機溶
剤中に分散された有機樹脂もしくは一部シロキサン結合
を有する有機樹脂類の硬化剤安定化に使用しているに止
まっており、有機溶剤を併用しないオルガノシロキサン
単独系での応用技術は開示されていない。
【0025】一方、Si-Oシロキサン結合を有する無機系
化合物として、シラノール基を有する水ガラス等のケイ
酸アルカリが知られている。しかも、水ガラスは安価で
常温施工でシロキサン結合のポリマーを形成する材料で
あることから多くの研究が行われてきた。この水ガラス
等無機系シラノール化合物を耐酸性、耐熱性の被覆材料
や固化体とする応用研究も大変多い[木村、茂木:日本
接着協会誌、18,116(1982)等参照]。しかし、これら
のケイ酸アルカリ等を原料として硬化させたシロキサン
結合のポリマーは、そのポリマー中にアルカリ成分が共
存することから多くの問題点が指摘されている。しか
も、一般に無機系ポリマーは硬くて柔軟性に欠け、無機
系ポリマーで形成されている硬化体にフレキシビリティ
を期待することは基本的に不可能である。
【0026】水ガラスは水を含有していることから、所
謂水硬性タイプで硬化体が完成される。この結果、硬化
体中に残存する水分が揮散した固化体には多くの細孔が
生ずる。この細孔のため、固化体の吸水性ならびに透水
性は避けられない。したがって、このような水硬性無機
系ポリマーで鉄やコンクリート等基材の保護被覆材を形
成させても、外界条件を遮断して基材を保護し、腐食等
を防止することは不可能である。今日このような材料で
保護被覆材としての役目を完成させている技術はない。
【0027】さらに、無機系もしくは有機系何れの材料
から形成された-Si-O-結合であれ、-Si-O-結合は一般に
アルカリ金属イオンとの反応性が高く、ナトリウム等の
アルカリ金属イオンが共存すると容易にシロキサン結合
は分解してケイ酸アルカリ化合物を形成してしまう。し
たがって、-Si-O-結合を有する化合物は、例え高ポリマ
ーの状態に縮合していも耐アルカリ性に乏しい傾向にあ
る。このため、シロキサン結合を有する化合物をポルト
ランドセメントやコンクリート等のアルカリ性を示す材
料と接触させたり、耐海水性や耐アルカリ性が求められ
る場所に使用する時は、その応用に自ずと制限や条件が
求められてきた。
【0028】また、以上の無機系コーティング材や被覆
剤は、有機系材料との相溶性に乏しく、有機系材料への
密着性を有していないのが一般的である。したがって、
例えばメンテナンス作業等で既存塗布材料が有機系塗料
である場合、その既存塗料を予め完全に除去しなけれ
ば、一般的無機系材料によるメンテナンス施工を完成す
ることはできない。即ち、下地に有機系塗料等がある場
合、その上に無機系塗料による重ね塗り等の塗装施工を
行うことは望めない。
【0029】
【発明が解決しようとする問題点】以上の従来技術に見
られるように、オルガノポリシロキサンの塗料等への応
用技術は、その大半が塗膜・造膜性能、溶剤による希釈
性能、塗布後の乾燥特性等に優れている-C-C- 結合を主
鎖とする有機質ポリマーや有機樹脂類を主たる材料と
し、これら有機化合物の塗料への応用において、その欠
点を補うためにシロキサン化合物を補足付加させること
の方法・技術から始まっている。したがって、これらの
従来技術の塗料では危険・障害性を有する有機溶剤の併
用は避けられず、不燃・難燃性の-Si-O-結合を有するオ
ルガノシロキサンを主材にして無溶剤で塗料等を製造す
る積極的な具体的試みは見られない。
【0030】即ち、従来技術の塗料では、ポリマーを
不燃・難燃化するためにその構成主鎖をポリシロキサン
結合[(-Si-O-)n] のみに求め、含有するケイ素成分濃度
を50重量%以上に高めること、しかも塗料中のケイ
素、チタン、ジルコニウム、ホウ素、アルミニウムの金
属成分を MOy/2酸化物基準で表わして40重量%以上の高
濃度に無溶剤で複合維持させること、さらに調製した
塗料を一液状態でその保存性を可能にすること、この
塗料を湿気硬化法により常温で硬化させて有効な塗膜と
すること等を目的にして総合的に完成させてる技術は見
当たらない。
【0031】しかも、無溶剤で形成せしめたシロキサン
結合のポリマーが、-Si-O-結合を主鎖としていながらフ
レキシビリティを有し、耐熱性、耐アルカリ性、耐透水
性等の物性を兼ね備えた塗料として完成させている技術
は未だ見られない。また、原料となるオルガノポリシロ
キサンに液状有機金属化合物、特に液状のアルコキシボ
レートを複合させて高機能を発揮する無機質塗料の開発
を試みている例は見られない。なお本明細書では、以下
アルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウム
の金属元素成分濃度もしくは含有量を酸化物基準による
重量%で表現するに際して、その表示を省略して「MO
y/2 重量%」で示すことがある。
【0032】さらにまた以上の従来技術において、無溶
剤のオルガノシロキサン組成物を調製するに際して、液
組成物が水分やシラノール基(-SiOH) を有していると、
塗料として保存中にゲル化や固化等の硬化反応が進行し
てしまう。このトラブルを回避するために、予め水非存
在下で 100℃以下の条件に付する養生工程を経ることに
よってオルガノシロキサンもしくは添加配合される填剤
等が有している水分やシラノール基を予め除去し、塗料
の一液保存性を安定に確保し、棚寿命性を長期に保証で
きる塗料の具体的調製法の開示は見られない。特に、着
色塗料調製上必須な顔料、着色剤等の填料の配合に際し
て、これら填料が保有している水分等を予め除去するた
めに特別な養生工程を具体的に設けて塗料製造を行い、
製造工程中や保存中に起きる湿気硬化反応を回避して目
的とする塗料商品をトラブルなく完成させている工夫・
技術の開示は見られない。
【0033】本発明者等は、従来使用されてきたポリマ
ー応用の透明膜、塗料、被覆材、結着剤、構造体等が、
基本的に下記の諸問題点を抱えていることにまず着目し
た。 1) -C-C-結合を主鎖とする有機化合物を主材とする時; (a) 危険・障害性を有する有機溶剤の使用が避けられな
いこと。 (b) 熱や火による酸化に対して大変弱いこと。 (c) 燃えた時、有毒・有害ガスを発生すること。 (d) 耐候性に大変乏しいこと。 2) 不燃性の-Si-O-結合を主鎖とするケイ素化合物を主
材とする時; (a) 柔軟性がなくフレキシビリティに欠けること。 (b) アルカリ金属元素との反応性が強く、耐アルカリ性
に乏しいこと。 (c) 水硬性による-Si-O-結合硬化体では細孔が生成し耐
透水性に欠けること。 (d) 有機系材料に無機-Si-O-結合材料は密着性がなく重
ね塗りできないこと。
【0034】本発明者等は、以上に加えて従来のシロキ
サン結合ポリマーの応用技術では、加熱施工方式はあ
っても、一液タイプで常温施工を可能にする省エネルギ
ー・省力化技術が未だ未完成であること、不燃・難燃
性で、美麗・光沢性を有する現場施工可能な被覆材・塗
料等の材料が未だ汎用されていないこと、燃えた時に
有毒・有害ガスを発生しない無機質材料での造膜被覆材
が完成されていないこと、オルガノシロキサンの塗料
等への応用にあっても無溶剤に着目した技術の完成がな
いこと等、地球の環境保全と省エネルギー・省力化に配
慮した技術の欠如を痛感すると共にそこに注目した。
【0035】本発明者等は、シロキサン結合(Si-O結
合)が基本的に(a) 原子間結合エネルギーは大きく熱や
光また酸化等に強いこと、(b) 紫外線領域における波長
吸収が小さいく耐候性に優れていること、(c) 原子間結
合距離が長くて電子密度が低く結合回転が容易で、屈曲
性が大きくフレキシビリティーであること等の特長を有
していることを前提に、その応用利用のために実験・研
究を重ねた結果、特定されたオルガノシロキサンの液組
成物が下記の特性を有していることを見出した。 特定されたオルガノポリシロキサン液と有機金属化合
物の架橋剤から構成さ れる液組成物は無溶剤で塗料
状組成物となること。 水分やシラノール基を予めオルガノシロキサン液中で
養生処理しておく時は硬化触媒を共存させても一液保存
性が可能となること。 特定されたオルガノシロキサン液組成物に含金属有機
化合物を共存させ、大気中の水分と常温で接触させると
ポリマー硬化体を形成すること。 B-O 結合、Ti-O結合、Zr-O結合等を包含させた-Si-O-
結合を主鎖とするポリマーは従来にない高機能ポリマー
性能を発揮すること。
【0036】
【発明の目的】本発明は、透明塗膜、被覆材、塗料、結
着剤、構造体等の用途に適合する材料を省資源で地球環
境に優しい素材と方法で得ることを目的とし、従来技術
では達成されなかった上記の諸問題を技術的に解決し、
オルガノポリシロキサン液が持つ特長を生かし、ポリシ
ロキサン(−Si−O−)結合を主鎖とするポリマー
形成を可能にする無溶剤で一液タイプの常温硬化型オル
ガノシロキサン組成物を提供することにある。
【0037】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、以上に
示した本発明の目的を達成するために鋭意研究を重ね、
本発明に到達したものである。すなわち、本発明によれ
ば、下記一般式(1) (式中:Rは水素原子もしくはCからCのアルキ
ル基あるいはアシル基;RないしRはそれぞれが水
素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれ
た同一もしくは異なる基、nは1ないし15の数)で表
される化合物の1種または2種以上からなり、且つその
中のケイ素成分をSiO酸化物基準で表して50重量
%以上含有している液状オルガノポリシロキサン(A) 下記一般式(2)もしくは(3) R M・(OR3−p‥‥‥‥‥(2) R Q・(OR4−m‥‥‥‥‥(3) (式中:Mはアルミニウムまたはホウ素元素;Qはケイ
素、チタンまたはジルコニウム元素;Rは水素原子も
しくはCないしCのアルキル基、アシル基あるいは
オキシム基;Rは水素原子、OR基もしくは一価の
炭化水素基より選ばれた基;pは2以下の整数;mは3
以下の整数)で表される有機金属化合物の1種または2
種以上からなる架橋剤(B)、および、亜鉛、コバル
ト、アルミニウムまたは錫元素の1または2種以上の含
金属有機化合物であり、触媒反応ブロッキング剤が配合
された硬化触媒(C)、からなり、且つ該三成分混合液
組成物が含有する全金属元素成分をMOy/2酸化物基
準(Mはアルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジル
コニウム元素、yは金属元素の価数)で表わして40重
量%以上含有していることを特徴とする無溶剤の常温硬
化型オルガノシロキサン組成物が提供される。
【0038】また、本発明によれば、前記の液状オルガ
ノポリシロキサン(A)に、官能性側鎖のOR基(Rは
水素原子、CないしCのアルキル基あるいはアシル
基)を有したシリコンレジンが50重量%以下の量が溶
解されている無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組
成物が提供される。
【0039】また、本発明によれば、前記の液状オルガ
ノポリシロキサン(A)に、カルボキシル基を有する線
状有機高分子化合物の熱可塑性樹脂が30重量%以下の
量で溶解されている無溶剤の常温硬化型オルガノシロキ
サン組成物が提供される。また、本発明によれば、前記
の架橋剤(B)が、液状オルガノポリシロキサン(A)
に対し50重量%以下の量で混合されている無溶剤の常
温硬化型オルガノシロキサン組成物が提供される。
【0040】また、本発明によれば、前記の触媒反応ブ
ロッキング剤が、アルキル基またはトリフルオロ基を有
するβ−ケト酸エステル、β−ジケトン化合物およびマ
ロン酸エステルの群より選ばれた1ないし2種以上の組
合わせからなるケト・エノール型互変異性化合物である
常温硬化型オルガノシロキサン組成物が提供される。
【0041】また、本発明によれば、前記触媒反応ブロ
ッキング剤が、一価もしくは多価のアルコールの群より
選ばれた1ないし2種以上の組合わせからなるアルコー
ル類である無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成
物が提供される。
【0042】また、本発明によれば、前記の液状オルガ
ノポリシロキサン(A)に対し、ケト・エノール型互変
異性化合物またはアルコール類が配合された含金属有機
化合物もしくは単独の含金属有機化合物からなる硬化触
媒(C)が10重量%以下の量で配合されている無溶剤
の常温硬化型オルガノシロキサン組成物が提供される。
【0043】また、本発明によれば、前記の液状オルガ
ノポリシロキサン(A)の単独もしくは架橋剤(B)と
の混合物を、予め水非存在下の100℃以下で10分以
上の養生工程に付して含有シラノール基を除去し、つい
で硬化触媒(C)が配合されることを特徴とする一液保
存性可能な無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成
物の製造方法が提供される。
【0044】また、本発明によれば、前記無溶剤の常温
硬化型オルガノシロキサン組成物が、水分との接触によ
り生成するポリシロキサン結合を主鎖とするポリマー硬
化体からなることを特徴とする透明膜が提供される。
【0045】また、本発明によれば、前記無溶剤の常温
硬化型オルガノシロキサン組成物100重量部に対し、
活性剤、充填剤、顔料、着色剤の群より選ばれた1ない
し2種以上の組み合わせ填剤が1ないし400重量部の
範囲で予め配合された塗料状混合物が、水分との接触に
より生成するポリシロキサン結合を主鎖とする複合ポリ
マー硬化体からなることを特徴とする被覆材が提供され
る。
【0046】また、本発明によれば、前記の填剤が、液
状オルガノポリシロキサン(A)または架橋剤(B)の
単独もしくは混合物に配合された後、水非存在下で予め
100℃以下の養生工程に付して含有水分もしくはシラ
ノール基を除去し、ついで硬化触媒(C)が配合された
一液保存性可能な塗料状液混合物である被覆材が提供さ
れる。
【0047】また、本発明によれば、前記の塗料状混合
物に予め配合される活性剤が、ホウ酸含有化合物、クロ
ム酸含有化合物もしくはリン酸含有化合物の1または2
種以上の組み合わせ粉末である被覆材が提供される。
【0048】また、本発明によれば、前記無溶剤の常温
硬化型オルガノシロキサン組成物100重量部に対し、
活性剤、充填剤、顔料、着色剤の群より選ばれた1ない
し2種以上の組合わせ填剤が1ないし500重量部の範
囲で予め配合された流動性ないし可塑性混合物が、水分
との接触により生成するポリシロキサン結合を主鎖とす
るで複合ポリマー硬化体である結着剤が提供される。
【0049】また、本発明によれば、前記の填剤が、液
状オルガノポリシロキサン(A)または架橋剤(B)の
単独もしくは混合物に配合された後、水非存在下で予め
100℃以下の養生工程に付して含有水分もしくはシラ
ノール基を除去し、ついで硬化触媒(C)が配合された
一液保存性可能な流動性ないし可塑性混合物である結着
剤が提供される。
【0050】また、本発明によれば、前記の流動性ない
し可塑性混合物に予め配合される活性剤が、ホウ酸含有
化合物、クロム酸含有化合物もしくはリン酸含有化合物
の1または2種以上の組み合わせ粉末である流動性ない
し可塑性混合物である結着剤が提供される。
【0051】また、本発明によれば、前記塗料状混合物
もしくは流動性ないし可塑性を有する混合物100重量
部に対し、補強材、骨材ないしは成型体の群より選ばれ
た1ないし2種以上の組合わせ材料が1ないし2000
重量部の範囲で予め配合された混合物が、水分との接触
により生成するポリシロキサン結合を主鎖とする複合ポ
リマーをバインダーに一体化している構造体が提供され
る。
【0052】なお、本明細書で用いる透明塗膜、被覆
材、結着剤、構造体の用語はつぎのように定義され、後
述する発明の具体的説明で詳細に述べる。 透明塗膜:透き通る塗膜で、基材(プラスチック類、金
属、無機質材料等)のクリヤー、コーティング材や保護
材等。 被覆材:塗料・ワニス、下地材やある程度の肉厚を有す
る被覆保護材等。 結着剤:接着剤、バインダー、目地剤、ならびに各種骨
材等の固め剤やまとめ剤、さらにセメンティング材やア
ンカー固定材等。 構造体:建材、床・壁材、構造加工体用各種の塊状、板
状、網状、繊維状、織物状等の補強材、骨材、加工成型
材を一体化した固化体や構造物等。
【0053】
【作 用】本発明で重要なことは、オルガノポリシロキ
サン化合物を無溶剤状態で取り扱い、塗料としての施工
作業を容易に可能とし、生成塗膜に希望する諸物性を発
揮させることにある。本発明者等は、オルガノポリシロ
キサン化合物の重合度を特定範囲に維持し、特定された
架橋剤ならびに硬化触媒をこれに併用する時は、無溶剤
で好適な塗料状混合液状組成物が得られることを見出し
た。しかも、ここに用いる架橋剤は、後述する架橋剤と
しての役割を発揮すると共に、塗料として好適な液状態
を調製確保するための重要な役割を演ずることを見出し
た。
【0054】Si-O結合に有機基が結合しているオルガノ
シロキサンの場合、Si-O結合の特長を生かして不燃・難
燃性で耐熱性に優れた製品を開発するためには、熱に弱
い有機成分を低濃度に抑え、Si-O結合濃度を高める必要
がある。そのためには、製品の基礎母体となるオルガノ
ポリシロキサン液の-Si-O-結合のケイ素成分を、便宜上
SiO2酸化物基準で表わして、50重量%以上、好ましくは
53重量%以上に維持する必要がある。当然、このオルガ
ノポリシロキサン液が重合してポリマー硬化体を形成す
る過程で脱アルコール反応が起る。その結果、含有して
いた有機基の一部はアルコールとなって系外に去るた
め、生成ポリマー硬化体で完成された製品中のケイ素成
分含有量は原料中のそれよりも高濃度となる。
【0055】また、本発明のオルガノポリシロキサン
(A) と架橋剤(B) と硬化触媒(C) の三成分からなる特定
された混合液組成物の場合も、この混合液組成物が含有
する金属元素成分(アルミニウム、ホウ素、ケイ素、チ
タン、ジルコニウム)を、上記と同様便宜上 MOy/2酸化
物基準で表わして、少なくとも40重量%以上、好ましく
は45重量%以上に維持する時に、不燃・難燃性で耐熱性
に優れた製品を開発することが可能となる。勿論、完成
したポリマー硬化体製品中の金属元素成分含有量は原料
中のそれよりも高濃度となるのは上記と同様である。
【0056】Si-O結合に有機ケイ素基と官能性側鎖であ
るOR基を保有するオルガノシロキサンとして、炭素数の
最も少ないメチルトリメトキシシラン[CH3Si(OCH3)3]を
例に挙げ、この化合物のケイ素分含有量を求めるとSiと
して20.6重量%であり、SiO2換算で44.1重量%に相当す
る。またこれより炭素数が一つ多いメチルトリメトキシ
シラン[C2H5Si(OC2H5)3]を例に挙げ、ケイ素分含有量を
求めるとSiとして14.6重量%であり、SiO2換算で31.2重
量%と低い値に相当する。当然のことながら先に示した
一般式 (1)においてR1ないしR6基の炭素数が多いオルガ
ノシロキサンを選べば有機成分の占める割合はさらに増
加し、ケイ素分含有量は減少する。このようなケイ素分
含有量がSiO2換算で50重量%以下となる化合物に不燃・
難燃性で耐熱性を期待することは難しい。
【0057】オルガノシロキサン中のケイ素分含有量を
SiO2換算で50重量%以上、好適には53重量%以上と高濃
度にするためには、オルガノシロキサンをオリゴマー以
上に重合させて有機基を少なくする、即ち先に示した一
般式(1) の[-Si-O-]n 項のnが少なくとも2 以上のポリ
マーとすることが必要である。例えば、上記で示したSi
O2濃度44.1重量%のメチルトリメトキシシラン2 モルを
脱アルコールによる縮合反応させダイマーとした場合の
ケイ素成分含有量を求めると、Siとして24.7重量%であ
り、SiO2換算で53.0重量%に相当することになり、縮合
反応によりケイ素成分含有量は増加し高濃度側にシフト
する。
【0058】しかし一方、n の数が大きくなり重合度が
大きくなってしまうと、オルガノポリシロキサンの液粘
性が向上してしまい、液粘性調整するための有機溶剤等
の希釈剤添加なしで塗料としての良好な施工作業性を確
保することは困難となる。ただし、本発明が地球環境に
優しい素材と方法を採用することを目的とし、各種の弊
害を起こす有機溶剤を使用しない立場にあることから、
有機溶剤による希釈手段を採用することはできない。し
たがって、本発明の組成物に良好な液状態を確保し、施
工作業性を保証するためには、そのケイ素分含有量や重
合度にも自ずと上限が生じてくる。
【0059】本発明のオルガノシロキサンは、有機基が
酸素を介いさずケイ素に直接結合している有機ケイ素基
を保有していることが、無機系シロキサン結合によるポ
リマーの物性と異なる点で重要である。特に無機系シロ
キサン結合によるポリマーが持たない撥水性、耐透水性
ならびに耐アルカリ性の物性を有効に発揮させるために
は、シロキサン結合を十分に保護できる大きさの有機
基、例えばアルキル基、フェニル基、グリシドキシ基、
メタクリロキシ基等からなる有機ケイ素基を有している
ことが大切である。
【0060】特に、従来技術では無機系ならびに有機系
を問わず-Si-O-結合を有する化合物は耐アルカリ性が乏
しかった事実に比べ、本発明によるポリマー硬化体が-S
i-O-結合を有していながら、後述する実施例にも示され
ているように、優れた耐アルカリ性を示すことは驚きに
値する。その理由については定かでないが、上述してき
たように、本発明のポリマー硬化体が特定化された架
橋化反応で緻密で強固な網目構造を形成していること、
しかもSi-O結合が約22Å2 の平均面積を有しているの
に対し、例えば-CH3結合は約12Å2 の平均面積を有して
いることから、少なくとも-CH3結合を2個有している時
はSi-O結合を面積的にも充分にカバー保護し得ること、
以上のことから本発明の硬化ポリマーは優れた撥水性と
耐透水性を発揮するものと思われる。
【0061】以上の見地から本発明においては、オルガ
ノポリシロキサンの液状態を特定範囲に維持しながら、
そのSiO2濃度を50重量%以上に確保する条件を見出すこ
とが重要である。そのためには、オルガノシロキサンの
縮合を低分子量の縮合体に抑え、結合している有機基の
数を少なくすると共に有機基の炭素数は少ない化合物を
選ぶことが大切である。本発明者等は、オルガノポリシ
ロキサンのケイ素成分含有量と液状態をコントロールす
るために、用いる原料オルガノシロキサンの組成内容、
構成・組み合わせ、縮合の程度、諸物性等を充分に検討
し、実験を繰り返し、原料となるオルガノポリシロキサ
ンの設計、選択、調製を慎重に行い、本発明に特定され
る条件を見出すことによって、本発明を完成させた。
【0062】さらに、本発明ポリマー硬化体の基本骨格
となるSi-O結合は、既に -Si-O-Si-結合をある程度形成
しているオルガノポリシロキサン液であることが、その
SiO2濃度を高めるだけでなく、求めるポリマー骨格の基
本構造を設計し、目的とする硬化体の構造形態をある程
度予測して生成管理し、有用な物性を発揮し得るポリマ
ー硬化体構造を得る上で重要である。ある程度縮合して
-Si-O-Si- 結合を形成しているオルガノポリシロキサン
液としては、ケイ素成分濃度を高めるために調製した一
般式 (1)の nが2以上のオリゴマーもしくは低分子量の
液状ポリマーであることが、本発明において好適に使用
される。
【0063】さらに本発明者等は、予め高分子化してい
るシリコーンレジン粉末を上述したオルガノシロキサン
液、特にシラン化合物に溶解せしめた分散液組成物は、
塗料状液混合物として好適に使用し得ることを見出し
た。この場合、高分子化状態が明確になっているシリコ
ーンレジンが液組成物中に特定量の範囲で配合されるこ
とによって、液組成物の液粘性を増粘方向で調節できる
と共に、目的とするポリマー硬化体の構造設計と特性を
予め特定できるメリットがある。
【0064】さらに本発明者等は、オルガノシロキサン
液に溶解する線状有機高分子化合物である熱可塑性樹脂
を30重量%以下の範囲で溶解せしめ、有機高分子化合物
が複合化された液組成物も塗料状液混合物として好適に
使用し得ることを見出した。この場合、有機高分子化合
物が配合されたことによって、液組成物中の金属元素成
分の濃度は減少し、不燃・難燃性特性は軽減する傾向に
ある。しかるに、本発明塗料が有機質材料上での塗布が
求められる場合、配合された有機高分子化合物が相溶性
材料として有機質材料への密着性を向上させるメリット
がある。
【0065】なお、オルガノシロキサンによるポリマー
硬化体中のケイ素成分含有量を向上させる他の手段とし
て、原料オルガノシロキサン中に固体のコロイド状もし
くは微粉末状シリカやケイ酸塩等を添加配合する方法も
ある。しかしこの場合、添加されたシリカもしくはケイ
酸塩等が、原料オルガノシロキサンと反応して一つの化
合物となり、シロキサン結合の一員としてのポリマー形
成は期待できず、所詮混合物である。したがって、添加
混合したシリカもしくはケイ酸塩等に不燃・難燃性を期
待することはできても、シリカもしくはケイ酸塩等をま
とめるポリマー硬化体自身に不燃・難燃性の造膜形成能
がない限り、不燃・難燃性が維持できて耐熱性の付与さ
れた被覆膜製品を期待することはできない。
【0066】オルガノポリシロキサン液を用いて、造膜
性能や接着性能を有する高分子ポリマーを常温で形成せ
しめる機構は、従来技術の項で述べたように、有機金属
化合物の架橋剤と水分(湿気)と含金属有機化合物の硬
化触媒との共存下において、オルガノシロキサンに保有
せしめたシラノール基もしくは一部のアルコキシ基やア
シロキシ基の加水分解により生成した水酸基が、アルコ
キシ基等の官能基との間で脱アルコール、脱オキシム、
脱酢酸の縮合反応を連続的に起こす過程が主となってお
り、所謂湿気硬化機構に依存している。この常温におけ
るポリマー形成機構にとって重要な条件を、混合液組成
物の有機基(R) が炭素数が最も少ないメチル基(CH3-)で
ある場合を例に挙げて説明するとつぎの通りである。 液状オルガノポリシロキサン(A) :メチルメトキシシラ
ンのオリゴマー[一般式(1) のR1〜R3は-CH3基、他のR
は-OCH3 基、n は8 ] 架橋剤(B) :メチルトリメトキシ
シラン[一般式(2) のR1とR7は-CH3基、m は1 ] 硬化触媒(C) :ジブチル錫ジラウレ
ート
【0067】上記の混合液組成物は、該混合液組成物
が水分と接触すると、分極傾向を強めているメチルメト
キシシランオリゴマーのメトキシ基(-OCH3) は、加水分
解して脱アルコールによりシラノール基(Si-OH) に変化
する、シラノール基を有したメチルメトキシシランオ
リゴマーにおいては、該シラノール基と架橋剤(B) のメ
チルトリメトキシシランのメトキシ基とがジブチル錫ジ
ラウレートによる触媒作用により脱アルコール反応を起
す、この脱アルコール反応の縮合により高分子状 -Si
-O-Si-結合が生成し、メチルメトキシシランオリゴマー
の架橋が成立する、以上のの反応が官能基を有
する各所で連続的に進行してシロキサン結合を主鎖とす
る三次元の網目構造ポリマーが形成するものと思われ
る。
【0068】本発明のポリマー硬化体をオルガノポリシ
ロキサン液を用いて常温で形成させるには、以上のポリ
マー形成機構からも理解されるように、液状態にあるオ
ルガノポリシロキサンならびに有機金属化合物(架橋
剤)の構成内容、特に有機ケイ素基、水酸基もしくはア
ルコキシ基やアシロキシ基の種類と組成、ケイ素成分含
有濃度、重合度合、養生工程、さらには配合される含金
属有機化合物の触媒作用等を慎重に選択・管理コントロ
ールすることによってはじめて達成される。
【0069】しかも、ここに形成したポリマーが良質な
物性を発揮し、有用な硬化体であるためには、緻密で丈
夫な三次元に広がった網目状ポリマーを形成させること
が有効である。しかるに例えば、架橋剤の官能基が2個
以下の場合は線状ポリマーのみが形成されたり、ポリマ
ーの末端官能基部分だけでの重合に終り、三次元に広が
った有効な網目状ポリマーを形成させることはできな
い。緻密で丈夫な三次元の網目状ポリマーを形成させる
ためには、母体となっているポリマーの中間各所のポイ
ント・ポイントで少なくとも3個の官能基を有する架橋
剤により、つなぎ役架橋や交差による結合を上下・左右
の三次元方向で進行せしめ線上や平面でなく立体的に広
がった構造体を形成させる必要がある。
【0070】以上の理由から本発明を完成させるために
は、用いる架橋剤が果す役割が重要である。この役割を
有効に果たす架橋剤には一般式(2) [R7 pN・(OR1)3-p] も
しくは一般式(3)[R7 mQ・(OR1)4-m](式中:N は3価のア
ルミニウムまたはホウ素元素;Q は4価のケイ素、チタ
ンまたはジルコニウム元素;R1は水素原子もしくはC1
いしC5のアルキル基、アシル基あるいはオキシム基;R7
は水素原子、OR1基もしくは一価炭化水素基より選ばれた
基;p は2 以下、m は3 以下の整数)で表わされ、-OR
の反応性官能基を有している有機金属化合物が好適であ
る。
【0071】さらに、本発明の架橋剤に関して重要なこ
とは、該架橋剤の有機金属化合物のアルミニウム、ホウ
素、ケイ素、チタンもしくはジルコニウムが、硬化ポリ
マーを構成するSi-O結合に直接結合して構成員の一員と
しての役割を果すところにある。特に本発明において
は、ポリマーの主鎖中にケイ素元素以外に部分的ではあ
るがこれらの3価もしくは4価の金属元素を含有させる
ことにより、寸法大きさの異なる金属元素をSi-O結合中
に部分的に混在させることになる。その結果、硬化体自
身を全く規則的構造から一部不規則的構造に変化させる
ことになり、硬化体構造に遊びや余裕の空間を生じせし
めることになり、結果的に硬化体にタフネスな強靭さが
発揮される。この事実は本発明の目的を達成し、完成さ
せる上で大変重要である。
【0072】さらにまた、本発明の架橋剤(B) に関して
重要なことは、詳しくは後述するように、該架橋剤(B)
のアルミニウム、ホウ素、チタンもしくはジルコニウム
の有機金属化合物が、架橋剤であると共に硬化触媒とし
ての機能を兼ね備えていることにある。したがって、該
架橋剤(B) の有機金属化合物を選ぶ時は、後述する硬化
触媒(C) の内容と配合量を充分に考慮して配合内容を決
定する必要がある。
【0073】さらに、本発明のオルガノシロキサン組成
物が、水ガラス等の無機系シロキサン組成物の場合と基
本的に異なる点は、アルカリ金属成分を含有していない
ことにある。しかも、本発明のオルガノシロキサン組成
物では、縮合に関与したアルキル基等は脱アルコールに
よりキロキサン結合より外れると共に、硬化体系より揮
散してしまう。その結果、無機系シロキサン組成物の場
合に起るアルカリ金属成分等が組成物内そ残存すること
により生ずる弊害が解消されるばかりでなく、オルガノ
シロキサン組成物においてはSi-O結合周辺における電子
密度が低くて自由度が高くなる。したがって、オルガノ
シロキサン組成物によるSi-O結合には屈曲性が生じ、本
発明のSi-O結合を主鎖とするポリマー硬化体にフレキシ
ビリティーが付与され、基材の屈曲等に追随できる有用
材料として使用可能となる。
【0074】したがって本発明を実行することによっ
て、緻密で丈夫なポリマーの生成が可能となることに関
連して、不燃・難燃性で耐熱性、密着性等の優れた諸
物性を発揮するポリマーが得られること、該ポリマー
に一部有機ケイ素基が結合されていることに関連して、
優れた撥水性で耐透水性ならびに耐アルカリ性を有する
ポリマーが得られること、しかも-Si-O-結合ポリマー
が屈曲性に富んだフレキシビリティーを発揮すること、
有機質材料を含み各種基材への密着性に優れているこ
と等の有用で有効な特長が発揮される。
【0075】さらに本発明にとって重要なことは、本発
明の組成物が硬化触媒の共存下においても一液保存性を
保持し得ることにある。本発明の組成物を、所謂二液タ
イプの方法で施工することも厭わないが、施工上好適に
は一液タイプであることが煩雑さがなく望ましい。この
一液タイプを可能にするには、原料液状オルガノポリシ
ロキサン組成物中のOR基のR は硬化触媒の存在下でも安
定に存在する有機基のアルコキシ基やアシロキシ基等の
みであることが重要である。もしも、液状オルガノポリ
シロキサン原液のOR基のR が水素原子である所謂シラノ
ール基を有している時は、水の非存在下でも硬化触媒が
共存すると、このシラノール基のOH基は共存するアルコ
キシ基やアシロキシ基との間で脱アルコール反応による
縮合反応を起こし、原液をポリマー化させる方向で変質
する。このため本組成物の一液保存性は損なわれ、品質
管理を困難にし、製品の目的とする諸物性発現を望めな
い材料としてしまうことから充分注意する必要がある。
【0076】さらに本発明にとって重要なことは、本発
明組成物を塗料等用途に応用するためには、該オルガノ
シロキサン組成物に着色剤や顔料等の填料を均質分散状
態に配合分散させることににある。オルガノシロキサン
組成物は上述してきたように本来湿気硬化作用を有して
おり、必要な着色剤や顔料等の填料を湿気のあるオープ
ン状態でオルガノシロキサン組成物に分散混合する工程
は不可能となる。しかるに、本発明者等は、本発明で特
定する養生工程に予め付して、オルガノシロキサン自身
もしくは配合填料等からくる水やシラノール基を予め10
0 ℃以下の条件下で養生工程に付して完全に除去してお
くことによって、系内に硬化触媒が共存していても縮合
反応は保留され、ゲル化や硬化が極端に抑制される現象
を見出した。この現象を利用することによって、従来困
難であった着色剤や顔料等の填料をオルガノシロキサン
組成物に容易に分散混合させることを可能とした。
【0077】しかも、この一液タイプの組成物にとって
重要なことは、施工後は直ちに重合反応をスタートして
目的とする高分子のポリマー硬化体を形成することにあ
る。この現象を可能にする条件は、上述した硬化機構か
ら理解されるように、硬化触媒(C) が配合された本発明
の組成物が、施工により湿気を有する大気もしくは水に
接触することにある。したがって、本発明組成物が三次
元で丈夫な網目状のポリマー硬化体を形成して造膜を完
成するには、本発明組成物を一般的塗布施工により大気
中の暴露することによって達成される。
【0078】上記の架橋化反応を促進させる硬化触媒
(D)として、本発明においては、亜鉛、コバルト、ア
ルミニウムまたは錫元素の1または2種以上の含金属有
機化合物であり、触媒反応ブロッキング剤を配合したも
のを用いる。上記架橋剤(B)の有機金属化合物は、架
橋剤であるとともに上記含金属有機化合物と組み合わせ
て硬化触媒としても作用する点で注目される。したがっ
て、硬化触媒(C)の配合量はこの点も注意して決定し
なければならない。
【0079】触媒反応ブロッキング剤は、上記亜鉛、コ
バルト、アルミニウムまたは錫元素の1または2種以上
の含金属有機化合物の触媒反応を予め封鎖ブロックして
おくものであり、この時用いるブロッキング剤は、金
属成分であるケイ素をSiO換算で50重量%以上含有
する液状オルガノシロキサン中で安定に存在させるこ
と、保存中、オルガノシロキサン中の含金属有機化合
物を分解してしまわないこと、施工スタートによるな
んらかの条件でブロッキングされていた硬化触媒が本来
の役割を充分に果たせる条件に復帰できること、の三点
を確保できる性能を有していることが重要である。
【0080】本発明者等は、無水状態で以上の条件を満
足するブロッキング剤として、ケト・エノール型互変異
性化合物やアルコール類が有効であることを見出した。
一般にケト・エノール型互変異性化合物は、アセト酢酸
エチルエステルに代表されるようにケト型(βケト酪酸
エチルエステル)とエノール型(βオキシクロトン酸エ
チルエステル)との間で平衡関係を保って共存する性質
を有している。このケト・エノール型互変異性化合物は
分子内で水素結合によるキレート化が起っているため、
分子間における水素結合が起りにくく分子間会合を起こ
さずブロッキング効果を発揮するものと思われる。
【0081】ケト・エノール型互変異性化合物のエノー
ル型は、水素結合によるキレート化が起るため安定化し
ている[梅沢純夫「有機化学 I」(丸善)p.209 (195
4) 参照] と考えられている。しかるに、水、アルコー
ルや酢酸のような水酸基を有する化合物が共存すると、
この水酸基はケト型カルボニル基の酸素原子と水素結合
をつくりやすく、金属元素のキレート化を妨害する。し
たがって、このように水酸基を共存する時はブロッキン
グ効果が解消され、金属元素を有する化合物本来の役割
である触媒作用を発揮するものと思われる。本発明のオ
ルガノシロキサンが水の作用により縮合反応を開始する
と、脱アルコール反応が起りアルコール類が該系内に副
生することは既に述べた通りである。この副生アルコー
ル類の発生が封鎖ブロッキングしていた金属元素を開放
し本来の触媒役割を発揮させるものと思われる。
【0082】さらに本発明においては、硬化の反応速度
を遅延コントロールさせるために、一価もしくは多価の
アルコール類を配合しておくことが有効である。その理
由は定かでないが、これらのアルコール類が既に共存し
ていることにより、新たに起る脱アルコール反応を抑制
し、反応速度を遅延させるものと思われる。
【0083】本発明の液状オルガノポリシロキサン(A)
と架橋剤(B) と硬化触媒(C) の三成分で構成される無溶
剤一液タイプの液組成物は、既に述べてきたように、塗
布等の施工により大気中に暴露され湿気硬化の条件が与
えられると、大気中の湿気により直ちに硬化反応を開始
し、高分子のポリマー硬化体を形成する。勿論、該反応
は常温においても充分可能であるが、300 ℃以下、好ま
しくは 250℃以下の加熱下において湿気硬化条件が与え
られてもポリマー硬化体の形成を損なうことはなく、寧
ろ硬化体形成の速度を促進させる。したがって、本発明
の反応を工場ライン等の物理的ならびに時間的制約を受
けてる条件で行う時は、加熱下の硬化反応は有効であ
る。
【0084】上述してきた本発明のポリマーで形成され
た硬化体は、有機化合物からなる一般高分子が膜を形成
したり、結着剤となったり、構造体を構成する固め材等
に使用されているように、各種の用途に有効に供するこ
とができる。特に本発明のオルガノシロキサン液組成物
は常温における湿気硬化により容易に透明な膜を形成す
る。ここに生成したシロキサン結合を主鎖とするポリマ
ーにより形成された透明膜は、耐候性、耐熱性、耐アル
カリ性、耐透水性、フレキシビリティ等の有用な物性を
有していることから有機・無機を問わず各種の材料や基
材の透明被覆・保護膜として有効に供することが可能と
なる。
【0085】さらに本発明の無溶剤一液型の硬化組成物
は、その用途目的に応じて活性剤、充填剤、顔料、着色
剤等を選択して特定された量割合で予め配合しておいて
湿気硬化の条件に付するとシロキサン結合を主鎖とする
ポリマーを形成し、活性剤、充填剤、顔料、着色剤等と
の複合硬化体を生成する。この複合硬化体は、 250℃以
上の耐熱性を有し、耐候性、耐熱性、耐アルカリ性、耐
透水性、フレキシビリティ等の有用な物性を有している
ことから有機・無機を問わず各種の材料や基材の被覆
材、塗料、被覆保護材、結着剤、バインダー、目地剤、
アンカー材、セメンティング材等の各種用途に有効に供
することが可能となる。
【0086】さらに本発明では、活性剤、充填剤、顔
料、着色剤等を選択して特定された量割合で予め配合さ
れている無溶剤一液型の硬化組成物に、補強剤、骨材、
成型体等を配合しておいて湿気硬化の条件に付すると、
この時生成したシロキサン結合を主鎖とするポリマーが
形成された硬化体がバインダーとなって、配合された補
強剤、骨材、成型体等と一体化した複合硬化体となり、
250℃以上の耐熱性を有し、耐候性、耐熱性、耐アルカ
リ性、耐透水性、フレキシビリティ等の有用な物性を有
していることから、建材、各種基材の固化体や構造体等
として有効に供することが可能となる。
【0087】
【発明の具体的説明】液状オルガノポリシロキサン(A)
は、無溶剤で液状混合組成物を調製し、本発明のポリマ
ー硬化体を形成する基礎母体である。したがって、原料
になる液状オルガノポリシロキサン(A) の内容は、施工
作業性や生成したポリマー硬化体の物性を決定する上で
重要であり、その選択には充分な検討を行う必要があ
る。
【0088】本発明で用いる液状オルガノポリシロキサ
ン(A) の有機ケイ素基(X-Si)を構成するX は、水素原子
もしくは一価の炭化水素基からなり、炭素数がC1ないし
C5の範囲にあり、X の原子団が直鎖もしくは分岐したア
ルキル基、フロロアルキル基、ビニル基、アリル基、ア
ルケニル基、フェニル基、キセニル基、ナフチル基、ア
リール基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、ベ
ンジル基、アルアルキル基、アラルアリール基、エポキ
シ基等であることが本発明の目的を達成する上で好まし
い。以上の条件が満足される時、液状オルガノポリシロ
キサン(A) のケイ素成分含有量は可能な限り高濃度に維
持され、施工作業性に良好な液状態は確保され、目的と
する物性、特に撥水性、耐アルカリ性、耐透水性等の諸
物性発現が可能となる。この時のX 原子団がアルキルの
メチル基やエチル基、またフェニル基であることが、特
に耐熱性や密着性に優れたポリマー硬化体を得る上で好
適である。
【0089】一方、本発明の液状オルガノポリシロキサ
ン(A) が保有する官能性側鎖のOR基は、湿気硬化による
重合反応を進めていく拠点の官能基として重要である。
したがって、このOR基は水との加水分解により脱アルコ
ールされてシラノール基を形成したり、硬化触媒の共存
によりOH基を有するシロキサンと脱アルコールによる重
合反応を促進する官能基であることが重要である。その
ためには、このOR基のR は、一価の CnH2n+1原子団であ
るアルキル基、もしくはアセチル基等で代表されるR・CO
- 原子団であるアシル基であることが好ましく、したが
って、OR基はアルコキシ基やアシロキシ基等であること
が好ましい。
【0090】また本発明においては、このOR基のR が水
素原子であることも厭わないが、上述したように水素原
子でシラノール基(OH基)を構成している時は、オルガ
ノシロキサンの一液保存性を確保する上から、架橋剤
(B) と共に予め養生工程に付して、シラノール基を消滅
させておく必要がある。その養生条件は、水非存在下の
常温ないし100 ℃以下で少なくとも10分以上の養生工程
に付することで充分であり、常温ならば24時間以上の条
件で充分である。この養生により、シラノール基と架橋
剤のアルコキシ基やアシロキシ基等との間に脱アルコー
ル反応がを起り、シラノール基を消去改質しておくこと
が可能となる。
【0091】本発明の硬化ポリマーを不燃・難燃性で確
保するためには、硬化ポリマーの主鎖を構成しているケ
イ素と酸素からなる結合単位を高濃度の50重量%以上に
確保する必要がある。ケイ素成分含有量を50量%以上の
高濃度に維持ためには、液状オルガノポリシロキサン
(A) は、一般式(1) で表わして、その[-SiO]n 項のn が
2 以上の数であるオリゴマーもしくはポリマーを選ぶこ
とによって達成される。しかし、オルガノポリシロキサ
ン(A) の重合度があまりにも大きくなると、オルガノポ
リシロキサン(A) を液状態で確保することが不可能とな
る。したがって前記一般式のn は15より小さい数である
ことが好適である。このように用いるオルガノシロキサ
ンの重合度を管理することにより、液の粘度を3000セン
チポイズ以下の施工上取り扱いやすい状態に確保するこ
とが可能となり、従来技術にあるような有機溶剤等の希
釈剤による液粘度の調整を行う必要はなく、無溶剤のオ
ルガノシロキサン単独による材料での施工が可能とな
る。
【0092】さらに、本発明のオルガノポリシロキサン
(A) には、ある程度重合された化合物で大枠の骨格がで
き上がっており、しかも官能性側鎖のOR基を保有してい
るオルガノポリシロキサンを選ぶことが、目的の特定さ
れた骨格を有するポリマー硬化体を設計する上で有効で
ある。このオルガノポリシロキサンとしては、側鎖基が
メチル基やフェニル基で、官能基を2個有するD 単位や
官能基を3個有するT単位のシロキサン化合物の単独も
しくはその組み合わせからなるTD単位で構成され、一般
式(1) の[-Si-O-]項の nが少なくとも2 以上のポリマー
であればよく。一方、n の上限はポリマーが液状態を失
う寸前までを選ぶことができ、一般にその分子量が102
ないし105 オーダーの低分子量のポリシロキサン化合物
が好適である。
【0093】また、本発明においては、前記液状のオル
ガノシロキサン(A)に、さらに粉末状のシリコンレジ
ンを配合することができる。ただしこの場合、本組成物
を液状態で取り扱うとに鑑み、粉末状シリコンレジンを
オルガノシロキン液で溶解させてから使用する必要があ
る。この場合、シリコンレジンは原料オルガノシロキサ
ン中に50重量%以下、好適には45重量%以下の範囲
で配合されることが、上記の目的が達成できると共に良
好な施工作業性を確保する上で重要である。しかし、こ
れらのシリコンレジンは、一般にシラノール基を3ない
し8重量%含有している傾向にあることから、上述した
ような養生工程に付してシラノール基を予め封鎖変質し
ておかないと、一液保存性を確保することが不可能とな
る。
【0094】液状オルガノポリシロキサン(A) 中の官能
性側鎖のOR基を含めた有機基の側鎖(R) は、Si-O結合を
Siで表わして、そのR/Siの比が1/3 ないし2/2 の範囲で
あることがSiO2濃度を高濃度に保ち、重合反応を効率よ
く進め、目的とするポリマー硬化体を有効に形成させる
上で重要である。本発明で好適に用いられる液状オルガ
ノポリシロキサン(A) の代表例として、つぎの化合物、
メチルメトキシシロキサンのオリゴマー、R/Siの比が1/
3 ないし2/2 の範囲にあるアルキル基、フロロアルキル
基、ビニル基、アリル基、アルケニル基、フェニル基、
キセニル基、ナフチル基、アリール基、シクロヘキシル
基、シクロヘキセニル基、ベンジル基、アルアルキル
基、アラルアリール基、エポキシ基等を有するシリコン
レジン、特に好適にはメチル基もしくはフェニル基を有
するシリコンレジン、テトラメチルもしくはエチルオル
ソシリケイトのオリゴマー、メチルもしくはビニルトリ
アセトキシシランのオリゴマー等を挙げることができ
る。しかも、これらの化合物は単独もしくは2種以上の
組み合わせで使用することが好適である。
【0095】さらに本発明においては、有機質材料への
密着性向上や塗料としてのマイナーな改質のために、前
記液状オルガノシロキサン(A)に熱可塑性樹脂を溶解
共存させておくことができる。本発明で用いられる熱可
塑性樹脂としては、オルガノシロキサンに溶解するカル
ボキシル基を有する線状有機高分子化合物が好適であ
る。カルボキシル基を有する線状有機高分子化合物と
は、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリ塩化ビニール樹脂、セルローズ等の樹脂および
その誘導体、ならびに不飽和カルボン酸との非水溶液中
での共重合体等をいうものであり、単量体としては、エ
チレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロ
プレン、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メチル
もしくはエチルアクリレート、もしくはアクリル酸エス
テル等であり、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン
酸等を挙げることができる。
【0096】本発明によるオルガノシロキサン液を緻密
な立体的網目構造を有する高分子ポリマーとするために
は、ポリシロキサン末端の重合だけでなく、ポリシロキ
サン中間の各所でつなぎ役架橋や交差による結合を上下
・左右で進行が可能な架橋剤(B) が必要がある。この目
的を遂行させる本発明で用いる架橋剤(B) は、硬化触媒
(C) の共存下でシラノール基と縮合反応を進行させる官
能性側鎖OR基を有する一般式(2) [R7 pN・(OR1)3-p] 3価
のアルミニウム、ホウ素の液状有機化合物もしくは一般
式(3) [R7 mQ・(OR1)4-m] で表わされるケイ素、チタン、
ジルコニウムの液状有機化合物であることが重要であ
る。
【0097】以下にその代表的な例を示す。一般式(2)
のN がアルミニウム元素である場合、p が0でR1がイソ
プロピルもしくはセカンダリーブチル等であり、またN
がホウ素元素である場合、p が0でR1がメチル、エチル
もしくはブチル等であるトリアルコキシ基を有する有機
金属化合物であることが好適である。
【0098】一般式(3) のQ がケイ素元素である場合、
R7がメトキシ基もしくはエトキシ基であるテトラメチル
もしくはエチルオルソシリケイト、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、ビニルトリメトキシシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシ
シラン、ヂメチルメチルトリフロロプロピルシラン等の
有機金属化合物であることが好適である。
【0099】一般式(3) のQ がチタン元素である場合、
テトラ−i−プロピルチタネイト、テトラ−n−ブチル
チタネイト等の有機金属化合物であることが好適であ
る。また、一般式(3) のQ がジルコニウム元素である場
合、テトラエチルジルコネイト、テトラ−i−プロピル
ジルコネイト、テトラ−n−ブチルジルコネイト等の有
機金属化合物であることが好適である。
【0100】これらの有機金属化合物はモノマーである
ことが架橋効果を発揮する上で好適であるが、一部ダイ
マー等の重合を開始している化合物を使用することも本
発明の目的を損なうものではなく有効である。また、以
上の有機金属化合物は、目的や作業性等に合わせて単独
もしくは2種以上の組み合わせで使用することが好適で
ある。本発明で用いる架橋剤(B) は、液状オルガノポリ
シロキサン(A) に対して50重量%、好ましくは45重量%
以下で配合されていることが硬化ポリマーの架橋効果を
向上させる上で有効である。
【0101】該架橋剤(B) は有機金属化合物であること
から、上述してように、これらの金属化合物は架橋剤で
あると共に硬化触媒としての役割も兼ねていることに配
慮する必要がある。したがって、これらの有機金属化合
物、特にアルミニウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム
化合物の配合量は、本発明の硬化触媒(C) の種類や配合
割合とも関連するが、本発明組成物中25重量%以内に限
定することが、一液保存性や硬化速度、さらに生成膜物
性を管理する上から望ましい。
【0102】本発明で用いる硬化触媒(C) は、亜鉛、コ
バルト、アルミニウムもしくは錫元素からなる含金属有
機化合物の単独もしくは2種以上の組み合わせの中から
選ぶことが本発明の目的を達成する上から好適である。
勿論、上述したように本発明架橋剤(B) のチタンもしく
はジルコニウム有機化合物も硬化触媒としての役割を果
す点を考慮しておく必要がある。硬化触媒(C) としての
具体的含金属有機化合物の例としては以下の化合物を挙
げることができる。ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバル
ト、ナフテン酸コバルト、アルミニウムトリメトキシド
ジ、トリス(アセチルアセテネート)アルミニウム、ア
ルミニウムトリ-n- ブトキシド、ジアセチル錫ジアセテ
ート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテー
ト、ジオクチル錫ジラウレート、ジアセチル錫ジオクト
エート、オクチル酸錫等の公知公用の一般的硬化触媒を
使用することができる。
【0103】本発明において重要なことは、用いる硬化
触媒(C) をケト・エノール型互変異性化合物で予め封鎖
ブロッキングして、液状オルガノポリシロキサン(A) と
架橋剤(B) と硬化触媒(C) との三成分混合液よりなる本
発明組成物の一液貯蔵安定性を長期に亙り確実に確保す
ることが可能となることにある。ケト・エノール型互変
異性化合物については作用の項で述べたように、ケト型
とエノール型との間で平衡関係を保って共存する化合物
で、分子内に水素結合によるキレート化が起っている。
この化合物としてアセト酢酸エチルエステルが代表的で
本発明でも好適に用いられる。その他本発明で用いられ
るケト・エノール型互変異性化合物としては、マロン酸
ジエステル、β−ジケトン類であるアセチルアセトン
等、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、β位に
水酸基を有するケトン類であるダイアセトンアルコール
等、β位に水酸基を有するエステル類であるサルチル酸
メチル類等を、さらに上記化合物中のアルキル基がトリ
フルオロ基で構成されている場合等を有効な例として挙
げることができる。
【0104】ケト・エノール型互変異性化合物の使用量
は、用いる硬化触媒(C) の種類や配合量、さらには硬化
条件等によって異なるが、予め簡単な予備実験を行うこ
とによって容易に決定することができる。一般には硬化
触媒(C) 中に50重量%以下の量で配合されていることが
ブロッキング効果を挙げる上から有効である。さらに本
発明において重要なことは、用いる硬化触媒(C) を一価
もしくは多価のアルコール等のアルコール類で縮合の反
応速度を遅延させることが可能になることにあり、この
ことによって、本発明において硬化ポリマーを形成させ
る時の硬化速度を管理コントロールすることが可能とな
ることにある。
【0105】本発明で有効に用いられる遅延剤としての
アルコール類の例として、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール等の一価のアルコール、さらにエチレン
グリコール、グリセリン、エリスリトール等の多価のア
ルコールを挙げることができる。縮合反応速度の遅延剤
となるアルコール類は、用いる硬化触媒(C) の種類や配
合量、さらには硬化条件や遅延の程度等によって異なる
が、これも簡単な予備実験を予め行うことによって容易
に決定することができる。一般には硬化触媒(C)中に50
重量%以下の量で予め配合されていることが触媒効果を
損なわない点から有効である。勿論、上記ブロッキング
剤のケト・エノール型互変異性化合物と遅延剤のアルコ
ール類とを併用する場合は、その配合量は両者合わせ
て、硬化触媒(C) 中に50重量%以下の量で配合されてい
ることが好適である。
【0106】以上のケト・エノール型互変異性化合物で
ブロッキングされた硬化触媒(C) や反応遅延剤のアルコ
ール類が配合された硬化触媒(C) や単独の硬化触媒(C)
の使用量は、液状オルガノポリシロキサン(A) や架橋剤
(B) の内容、種類、量割合、さらに硬化触媒(C) の内
容、種類等によって異なるが、一般には0.1 ないし10.0
重量%の範囲でよい。特に架橋剤(B) としてアルミニウ
ム、ホウ素、チタンもしくはジルコニウムの有機金属化
合物が配合されている時、硬化触媒(C) の使用量は限り
なく少量であってもよい。以上の配合条件により硬化縮
合反応は順調に進行し、本発明が目的とするポリマー硬
化体の生成を好適に完成させることが可能となる。
【0107】本発明の液状オルガノポリシロキサン(A)
と架橋剤(B) と硬化触媒(C) との三成分液組成物は、水
分と接触により硬化反応をスタートする。この時の水分
は空気中の湿気で充分であるが、積極的に水と接触させ
ることでも構わない。水分と接触させる条件は、常温で
も良く、また 300℃以下、好ましくは250 ℃以下なら加
熱下でも、加圧下、脱気下等の条件で施工することも可
能である。また所望により減圧下、窒素ガス等の不活性
ガス雰囲気中で施工することも可能である。要は液組成
物中の官能基であるOR基が水により加水分解されてまず
OH基であるシラノール基を生成し、ついでこのシラノー
ル基が残る官能基であるOR基と脱アルコール反応を起こ
してシロキサン結合の縮合生成させる条件が整っていれ
ばよい。
【0108】本発明によれば液状オルガノポリシロキサ
ン(A) と架橋剤(B) と硬化触媒(C)との三成分組成物を
基材表面に塗布したりして、湿気を持った大気中に暴露
する時は、作業環境に有機溶剤等の有害物質を拡散汚染
させる心配がなく、また燃焼状態にさらされた時も有害
・有毒ガスの発生がなく、本発明の組成物が地球環境に
優しく材料として安心して使用することができる。した
がって本発明によれば、各種の有用基材を透明で有用な
硬化ポリマーで被覆することが常温で可能となり、先に
定義した透明膜、被覆材、結着剤等の用途への使用が可
能となる。特に、基材の持つ地肌をそのまま表現して、
その地肌を熱や、紫外線や、他の物理的エネルギーや、
各種の条件(酸性、アルカリ性、塩類等)から保護した
い時に、本発明のオルガノシロキサンによる硬化ポリマ
ーは透明膜な保護膜として有効に働く。また、生成膜が
フレキシビリテーを有していることから、基材のたわみ
や屈曲に追随し得る点でもたわみや屈曲が求められる各
種機材の保護膜等として有効である。
【0109】本発明のオルガノシロキサン組成物には、
硬化体に求められる物性、機能性、施工性、用途目的等
に応じて、200 ミクロン以下の粉末状の活性剤、充填
剤、顔料、着色剤を填剤として配合使用することができ
る。これらの填剤は、作業性や諸物性を損なわない範
囲、オルガノポリシロキサンを主原料とする三成分の混
合液 100重量部に対して1ないし 400重量部の範囲で、
該填料を単独もしくは2 種以上の組み合わせで予め添加
配合して硬化させ、ポリマーを形成させることにより複
合硬化体を生成させることができる。その内容例の一部
を下記に示す。
【0110】用いる活性剤としては、ホウ酸含有化合
物、クロム酸含有化合物やリン酸含有化合物の粉末品を
選ぶことができる。この活性剤をオルガノシロキサン組
成物に予め配合しておくことによって、例えば鉄等の金
属類を基材に選ぶ時は、オルガノシロキサンによる被覆
材や結着剤と基材との密着性を向上させる傾向にある。
このホウ酸、クロム酸やリン酸含有の化合物である活性
剤として、ホーケイ酸ガラス、ホウ酸亜鉛、リン酸ホウ
素、ホウ酸のアルカリ土類金属塩、ホウ酸のアルカリ金
属塩、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、クロム
酸鉛、リン酸ケイ素、リン酸アルミニウム、リン酸亜
鉛、リン酸のアルカリ土類金属塩等の粉末もしくはその
変性品を使用することができる。
【0111】充填剤としては、ステンレス、シリコン、
亜鉛、アルミニウムや鉄等の金属および合金の粉末、ガ
ラス粉末、陶磁器粉末、ダイヤモンド粉末、酸化ケイ素
(硅砂粉末、硅石粉末、シリカ粉末、シリカヒューム
等)、溶融アルミナ粉、マグネシヤ粉、炭酸カルシウ
ム、ジルコンサンド、各種粘土(ベントナイト、スメク
タイト、ガイロメ、木節粘土等の精製品)、焼成クレー
(ボーキサイト、モンモリロナイト、カオリン等の焼成
品)、石膏、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、
硫酸バリウム、フッ化アルミニウム、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、炭酸バリウ
ム、水酸化バリウム、ケイ酸アルミニウム、各種組成内
容の釉薬、タルク、マイカ、フライアッシュ等の粒度 2
00ミクロン以下の粉末の中から適宜選んで使用すること
ができる。
【0112】顔料としては、二酸化チタン、弁柄、酸化
クロム、黄鉛、カーボンブラック、群青等の無機質有色
顔料、さらに合金や酸化物等からなる焼成顔料、さらに
またシリカ系ホワイトカーボン、アルミナ、酸化亜鉛、
磁性酸化鉄、窒化ホウ素、炭化ケイ素、各種の粘土粉末
等の無機質機能性顔料、さらには有機質顔料が目的に応
じて使用することができる。
【0113】着色剤としては、上記無機質顔料も使用可
能であるが、本発明のオルガノシロキサンは有機基を有
していることから、当業界で汎用されてる公知の有機系
顔料ならびに染料等を単独もしくは組み合わせによって
使用することによって、希望する色相を本発明の硬化ポ
リマーに与えることができる。
【0114】以上の各填剤は、オルガノシロキサン組成
物の使用目的等を考慮して、その粒度構成、形状、細孔
容積、比表面積、吸水性、吸油性等の性状に充分配慮し
て粉砕、分級、混合、燒結、精製等の施された材料を単
独もしくは2種以上の組み合わせで使用することが可能
である。
【0115】また、上述したようにこれらの填剤が保有
する水分が湿気硬化型のオルガノシロキサンと接触する
と縮合反応を促進させ塗料状混合物が得られない。した
がって、填剤をオルガノシロキサン液の共存下で予め常
温ないし100 ℃で処理する養生工程に付する必要があ
る。この場合も、大半の含有水分は予め加熱脱水等の処
理により除去しておく必要がある。また作業性や使用目
的等に合わせて、これら填剤が各種のカップリング材や
界面活性剤等で表面処理された粉末をも使用することも
できる。
【0116】本発明のオルガノシロキサン組成物には、
組成物の分散性、含浸性、消泡性、流動性、塗布性等の
諸性能を改善するために、該オルガノシロキサン組成物
の物性ならびに作業性等を損なわない範囲で、フッ素系
等の界面活性剤や各種の有機化合物、樹脂、必要により
溶剤等を予め添加配合しておくこともできる。本発明の
オルガノシロキサンの混合液と上記の填剤との混合工程
は、組成物が湿気等の水分と接触してしまうと硬化反応
をスタートすることから、湿気や水分を避けた条件で行
う必要がある。そのためには混合工程を乾燥空気中や減
圧下で行うよう配慮する必要がある。また、他の方法と
して、硬化触媒を組成物に添加する前にこれら填料を混
合配合し、ついで、前記で示した養生工程に付して養生
した後、最後に硬化触媒(C) を所定量添加する方法も採
用できる。
【0117】混合方法は、オルガノシロキサン組成物の
内容や使用目的等により自ずと異なるが、土木業界、セ
メント業界、コンクリート業界、塗料業界、食品業界、
化学品製造業界等で一般に用いられている混合機、例え
ば、モルタルミキサー、撹拌機、混合機、ロール、ホモ
ジナイザー等の中から適宜選んで、均質な液状、ペース
ト状もしくはモルタル状の混合物が得られる方法を採用
すればよい。混合時ならびに作業時の気象条件や環境条
件等、例えば冬や夏等を考慮して、混合前の材料(液部
や粉部)を予め冷却もしくは加温等の処理調整を行って
から使用することもできる。
【0118】均質液状態に混合調製されたモルタル状、
ペースト状もしくは液状の本発明オルガノシロキサン組
成物は、それ自体公知の方法、例えば、吹き付け法、ス
プレー法、ハケ塗り、ローラー塗り、コテ塗り、浸漬
法、流し塗り、流し込み、盛り付け法、パッチング法等
の当業界で汎用されている施工方法で自動もしくは手動
で目的や用途等に合わせ塗装、被覆、保護、接着、固
め、まとめ、アンカー等の施工に付することができる。
勿論、重ね塗りや下地と上塗りとを異なった内容と種類
の組成物で組合わせ施工することも目的、条件、方法等
によっては充分有効である。
【0119】本発明では、本発明のオルガノシロキサン
組成物を一種のバインダーとして、その硬化体に求めら
れる施工性、物性、機能性、用途目的等に応じて、骨
材、補強材、成型体等を一体化させた複合硬化体の固化
体もしくは構造体を提供することができる。この時好適
に使用される骨材、補強材、成型体は粒度 200ミクロン
以上の大きめの粉体もしくは下記する材料の中から選ぶ
ことができる。これらの材料は、用途目的、作業性、諸
物性等を損なわない範囲、例えば、オルガノシロキサン
組成物 100重量部に対し 100ないし2000重量部の広い範
囲の量割合で接触させて一体化された複合硬化体の固化
体もしくは構造体にすることができる。
【0120】本発明で用られる粒度 200ミクロン以上の
好適な補強材、骨材、成型体等としては、例えば、硅
石、硅砂、ロウ石、長石、シャモット、ムライト、アル
ミナ、ドロマイト、マグネシヤ、ジルコニヤ、カルシ
ヤ、ジルコン、炭素、黒鉛、炭化もしくは窒化物、各種
雲母、アスベスト、フレーク状金属粉等の各種骨材を使
用することができる。さらに、人工的に製造された大小
のガラスビーズ、中空ガラス微細粒、ガラスフレーク、
金属フレーク、パーライト、各種の合成軽量骨材、スラ
ッグやフライアッシュ等の産業廃棄物よる粉末状もしく
は顆粒状の人工骨材等を使用することができる。さらに
また、木、竹、植物性繊維、フレーク状もしくは繊維状
金属や、ガラス繊維、ロックウール、天然鉱物繊維、カ
ーボン繊維等の無機質繊維や、有機系繊維等のステーブ
ル、織物、スライバー、網、ネット、マット、織布、不
織布等の繊維質補強材や成型体も使用できる。さらに、
以上の骨材等を素材として組み合わせ成型されたハニカ
ム状等の成型体も使用することができる。
【0121】本発明で用られる以上の骨材、補強材、成
型体等は各種の粒度構成ならびに形状を有しているが、
それらは用途目的や求められる諸物性等により適宜選び
使用することができる。また、施工作業上や用途目的等
によっては、各種カップリング材、界面活性剤、樹脂類
等で予め処理された材料をも使用することができる。こ
れらの骨材、補強材、成型体等に対して本発明のオルガ
ノシロキサン組成物をバインダーに一体化した複合硬化
体の固化体もしくは構造体とする方法は種々あるが、例
えば、骨材、補強材、成型体等と本発明のオルガノシロ
キサン組成物を一緒に混合した後一定の型枠や容器内で
全体を一緒に硬化させる方法や、さらには骨材、補強
材、成型体等を予め型枠や容器内に投入、もしくは放置
された状態で、本発明組成物をその中に流し込んだり、
含浸させて硬化させて一体化させ複合硬化体とする方法
等がある。これらの方法は、目的、用途、環境条件等に
より適宜選んで採用することができる。
【0122】以上の内容から理解されるように本発明の
組成物が結着剤、被覆材、構造体等の用途目的に使用さ
れる対象基材は幅広く、社会・生活関連、製造・工業
界、建設・土木業界、サービス業界等から必要に応じて
選ぶことができ、特に限定されるものではないが次の被
施工場所や対象物等を例として挙げることができる。紙
やパルプ、鉄等金属、ステンレス等合金、岩石、ガラ
ス、石膏、セラミックス、スラッグ、アスファルト、木
材、繊維等で構成されている部品、各種材料、構造物、
各種装置、床、壁、ブロック、煙道、煙突、炉および炉
回り、道路、トンネル、橋、建材、建造物等の表面;ま
た、ロットマーキングの必要なインゴットや装置等の
面;また、被含浸対象物として上記材料による各種織
物、成型体、構造物、ハニカム体等をそれぞれ有用な被
施工場所や対象物等として挙げることができる。
【0123】また、本発明のオルガノシロキサン組成物
は、上記の各箇所における補修、下地処理、前処理、穴
埋め材、仕上げ材、盛り付け材、耐スベリ材等の材料と
して有用に使用することができる。さらにまた、本発明
の組成物に各種の窯業材料、繊維質材料、研磨材、耐摩
耗材、各種無機化合物等が配合されて、耐水、耐熱、耐
火、耐酸等の各種ニーズに応える複合材料に応用でき、
上記と同様の各種材料の固化材、加工材、接着剤、結着
剤、目地材等として、化学工場、食品工場、メッキ工
場、温泉、食堂、ホテル等の厨房、煙道、排水溝、建材
等に応用できる。
【0124】さらにまた、本発明のオルガノシロキサン
組成物は、各種成型用型材の流し込み成型固め材とし
て、また、耐火炉材、煙突、ボイラー、構造物等の損傷
箇所の流し込み補修材料として、さらにまた、ガラクタ
状(不規則形状)もしくは特定な形状に成型された産業
廃棄物、例えば、原子力発電所から廃棄される放射性廃
棄物の固形体等を処理処分する注入固化材として有用に
使用することもできる。さらにまた本発明のオルガノシ
ロキサン組成物は、タンク、タワー、建造物等の構造物
や装置類等のアンカー固定材、さらに上記した各分野で
の埋め込みや可塑性パッチング材等が求められる箇所で
の固定セメント材としても使用することができる。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、SiO濃度50重量
%以上のオルガノポリシロキサンを原料として、アルミ
ニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウムの有機
金属化合物を架橋剤と含金属有機化合物が配合された液
状オルガノシロキサン組成物を湿気硬化させることによ
り、不燃・難燃性で耐熱性、耐アルカリ性、耐透水性が
付与されフレキシビリティを有するポリシロキサン結合
を主鎖とするポリマーを形成させ、透明塗膜、被覆材、
結着剤および構造体等に有効に応用され、地球環境に優
しい無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物が一
液タイプで提供される。
【0126】
【実施例】以下本発明の無溶剤の一液タイプ常温硬化型
オルガノシロキサン組成物とその用途について具体的実
施例を以って説明する。なお以下本実施例において、原
料液状オルガノポリシロキサン(A) を「OS−A」、液
状オルガノポリシロキサン(A) と架橋剤(B) との二成分
混合組成物を「OS−AB」、また無溶剤の一液タイプ
常温硬化型オルガノシロキサン組成物を「OS−組成
物」と省略する。
【0127】I 本発明組成物(OS組成物)の原料な
らびにその調製と内容。 1) 液状オルガノポリシロキサン(A) (OS−A)の原
料とそのケイ素成分濃度(SiO2 %)を表1に併せ示す。 a): 製造社 SS ; 信越化学工業 MR
; 三菱レイヨン TD ; 東レ・ダウコーニング・シリコーン
【0128】2) 液状オルガノポリシロキサン(A) (O
S−A)2種以上の組み合わせによる混合OS−Aの組
成内容とそのケイ素成分濃度(SiO2 %)および養生工程条
件を表2に示す。
【0129】3) 架橋剤(B) 用原料とその金属成分濃度
(MOy/2 %) を表3示す。 b): 製造社 TM:多摩化学工業 SS:信
越化学工業 NS:日本曹達 CM:市販試薬 KK:郡山化成 DC:大八化学工業 TD:東レ・ダウコーニング・シリコーン
【0130】4) 表2に示した混合OS−A組成物と架
橋剤(B) で調製された二成分混合液組成物(OS−AB
組成物)の配合内容とその MOy/2濃度(%) を表4に示
す。
【0131】5) 硬化触媒(C) 用原料の含金属有機化合
物ならびにブロッキング剤、反応遅延剤(それぞれ市販
試薬より選択)を併せ表5に示す。
【0132】6) 含金属有機化合物、ブロッキング剤お
よび反応遅延剤が組み合わされた硬化触媒(C) の組成内
容を表6に示す。
【0133】II オルガノシロキサン組成物の内容とそ
の一液保存性および硬化条件 本実施例の液状オルガノシロキサン組成物(OS−組成
物)の内容と下記に示す一液保存性試験法による結果、
およびポリマー硬化体を得るための硬化条件を7表に併
せ表示する。なお比較例として、OH基を有するシリコー
ンレジン配合の混合OS−A組成物を養生工程に付する
ことなくAB−4配合(表4参照)の場合(試料番号:
H- 1)と、架橋剤を配合しなかった場合(試料番号:H-
2)とを選び、また有機化合物を原料とする汎用塗料
(市販品)からアクリル系塗料(試料番号:H- 3)と市
販品の焼き付け硬化型水ガラス系塗料(試料番号:H-
4)を選び併せて評価した。一液での保存性の試験方法 :供試料の液状オルガノシロ
キサン組成物を密封した容器に採り、室温に6ヶ月間放
置した後の供試料が全く変化していない場合を一液保存
性「あり」とし、ゲル化や皮張り現象等を起こしている
場合を一液保存性「なし」とした。塗布試験板の作成方法: JIS K 5400記載の塗料一般試験
方法に準拠して、JIS G 3141に規定されている鋼板基材
に、試料の液組成物を吹き付け法により膜厚約25ミクロ
ンになるように塗布し、大気中の表7に示す条件で造膜
硬化させた。塗膜の表面硬度試験法: 硬化条件に付した試験片をJIS
K 5400の6.14記載の 鉛筆引っかき試験法で測定し、そ
の結果を鉛筆の硬度記号で表7に併せ示した。
【0134】
【0135】III透明塗膜としての応用 表7に示した液状オルガノシロキサン組成物(OS−組
成物)をIの項記載の塗料一般試験方法に準拠し鋼板基
材に吹き付け法で塗布し、表7記載の造膜条件で透明塗
膜試験片を作成した。この試験片を下記に示す各試験に
付して評価した。これらの試験結果を表8に併せ表示す
る。なお比較例として、OH基を有するシリコーンレジ
ン配合の混合OS−A組成物を養生工程に付することな
く調製してOS−組成物とした場合(AB−4配合;表
4参照)(試料番号:H−1)と、架橋剤が配合されて
いない混合OS−A組成物の場合(A−1;表2参照)
(試料番号:H−2)とを選び、また有機化合物を原料
とする汎用塗料(市販品)からアクリル系塗料(試料番
号:H−3)と市販品の焼き付け硬化型水ガラス系塗料
(試料番号:H−4)を選び同様に併せて評価した。
【0136】各試験方法はつぎの通り。 (1) 密着性:試験片を、JIS K 5400の6.15記載の碁盤目
試験法に準拠して、試験塗板の塗布面にカッターナイフ
で1.0 mm間隔の碁盤目状の切込を6本づつ入れ、切込ん
だ碁盤目に上にセロハンテープを密着させてから剥が
し、この時の塗膜面の剥れ状態を観察して、全く剥れや
傷がない場合を25/25 で評価し、剥れや損傷が生じた碁
盤目の数を25/25 の分子より減じて表示した。 (2) 耐熱性:試験片を、JIS K 5400記載の7.1 記載の塗
膜加熱試験方法に準拠し、250 ℃の電気炉内に20分間暴
露し、電気炉より取り出し室温で放冷し、その時の試験
片膜面に膨れ、クラック、剥れ等がなく、堅牢な状態に
ある時を耐熱性「あり」とした。 (3) 不燃性:試験片を、JIS K 5400記載の7.1 記載の塗
膜加熱試験方法に準拠し、酸素が充分に通う500 ℃の電
気炉内に暴露し、この時試験片が自燃焼して燃え上がら
ない場合を不燃性「あり」とした。 (4) 耐透水性:東洋濾紙No6 を基材として塗布した試験
片を、自然濾過用ロートに敷き、その中に水を入れ、こ
の時試験片を通過する水の量を求め、通過水量が全くな
いものを耐透水性「あり」と評価した。 (5) 耐酸性:板ガラスを基材に調製した試験片を、JIS
K 5400の7.5 記載の試験方法に準拠し、20℃の5 重量%
濃度硫酸溶液に30日間浸漬し、該試験板の表面に膨れ、
あわ、剥れ、穴、軟化、溶出の発生がない時を耐酸性
「あり」とした。 (6) 耐アルカリ性:試験片の塗布面の上に5 重量%濃度
の苛性ソダー(NaOH)溶液約5 ccを載せ、その上を湾曲し
た時計ガラスで被い揮散を防止しつつ室温に放置し、24
時間後塗布面洗浄し、この時の塗布面上の変化を観察
し、変化がない時を耐アルカリ性「あり」とした。 (7) たわみ性 試験片をJIS K 5400記載の6.16記載の屈曲試験機を用い
て、心棒の直径10mmφ丸棒を介して屈曲させ、その屈曲
により塗膜面に異常がない場合を折り曲げに「耐える」
とした。 (8) 耐候性(ウェザーメーター):試験片をQUV 式ウェ
ザーメーター(波長域280 ないし320 nm)を用いて55±
15℃で照射と結露のサイクルで2500時間暴露し、暴露後
の試験片塗布面の光沢度を測定し、暴露前の試験片塗布
面の光沢度と比較した時の光沢度減少率(%)を求めて
示した。光沢度減少率が10%以内の場合を耐候性「あ
り」とした。
【0137】以上の結果、本発明の液状オルガノシロキ
サン組成物は一液保存性を充分に有し、塗布後は湿気硬
化により透明な硬化膜を形成し、その透明塗膜は耐熱
性、耐酸性、耐アルカリ性、たわみ性、耐候性等に優れ
ていることが、比較例と比較する時よく理解される。
【0138】IV 被覆材や結着剤への応用 まず、200 ミクロン以下の粉末状である填剤(活性剤、
充填剤、顔料、着色剤等)に混合OS−A組成物(表2
参照)より選択した組成物(表10に表示)で配合混合
し、この混合物を表10に示す条件の養生工程に付して安
定化させた後、填料が配合された混合OS−A組成物に
架橋剤と硬化剤を配合し混合OS−AB組成物として塗
料状混合物もしくは流動性ないし可塑性混合物のOS−
組成物を調製した。このOS−組成物を湿気硬化させる
ことによって、ポリシロキサン結合を主鎖とするポリマ
ーで形成された複合硬化体からなる被覆材や結着剤を試
作した。本実施例で用いた填剤を表9に示す。なお、こ
れら填剤は予め約200 ℃の乾燥処理に付し一応脱水処理
してから使用した。
【0139】表7に示したOS−組成物より選択した組
成内容と配合内容(表7の試料番号で表示)中、まず混
合OS−A組成物と填料を混合して表10に示した条件で
養生処理を行う。ついで、各填料の配合された混合OS
−A組成物に当該OS−組成物(表7の試料番号に対
応)の残り配合物(架橋剤と硬化剤)を混合配合し、塗
料状混合物もしくは流動性ないし可塑性混合物(OSP
−組成物)を調製し、この各OSP−組成物について下
記の試験法により被覆材ならびに結着剤としての評価を
行った。以上の結果を表10に併せ示す。各試験方法はつ
ぎの通り。 (1) タック発生時間:供試料の液状オルガノシロキサン
組成物を塗布した試験片を各硬化条件に付して、塗布表
面を指で圧しても指に付着性が無くなった時間(分)で
示した。 (2) 表面硬度:II項記載の試験方法の場合と同様 (3) 耐熱性:透明膜試験方法の場合と同様 (4) 不燃性:透明膜試験方法の場合と同様 (5) 耐アルカリ性:透明膜試験方法の場合と同様(耐Na
性と表現) (6) 耐候性(ウェザーメーター):透明膜試験方法の場
合と同様 (7) 接着性:透明膜試験片作成の時と同様にして鋼板基
材上に40×40×15 cm に なるように作成した型の中に
調製した試料を流し込み、25℃の条件下で7 日間養生
し、鋼板に試料硬化体が接着した試験片を調製する。次
いで、建設省建築研究所式の接着試験法に準拠して、試
験機アタッチメントをエポキシ樹脂系接着剤で接着さ
せ、試験機の油圧で上部の方向に引っ張り、被接着体と
試験固化体との接着面が剥離させた時の荷重(P) から、
接着力(kg/cm2)を測定し結着性とした。 以上の結果、本発明の液状オルガノシロキサン組成物を
被覆材や結着剤に応用する時、施工後は湿気硬化により
被覆膜や接着材を形成し、耐熱性、不燃性、耐アルカリ
性、耐候性、接着性等に優れていることがよく理解され
る。
【0140】V 構造体への応用 表10で選択用いた200 ミクロン以下の粉末状填剤に混合
OS−A組成物を配合混合し、この混合物を養生工程に
付して安定化させた後、填料が配合された混合OS−A
組成物に架橋剤と硬化剤を配合し混合OS−AB組成物
とした塗料状混合物もしくは流動性ないし可塑性混合物
のOS−組成物を基礎にして、この組成物と表11に示す
200 ミクロン以上の大きさの補強材、骨材、成型体等の
材料と一体化して複合硬化体とした構造体への応用につ
いて説明する。本実施例で用いた補強材、骨材、成型体
等の材料を表11に示す。なお、これらの補強材、骨材、
成型体等は予め約200 ℃の乾燥処理に付し充分脱水して
から使用した。
【0141】本実施例の構造体は表12に示す配合内容と
調製方法で作成し、下記試験法により評価した。以上の
結果を表12に併せ表示する。 (1) 耐熱性:透明膜試験方法の場合と同様 (2) 不燃性:透明膜試験方法の場合と同様 (3) 圧縮強度:JIS A 1108に記載の方法に準拠し、本発
明の構造体組成物を長方形の型(2×2×8 cm) の中で調
製し、室温に7 日間放置してた後脱型して、JIS A 1132
に記載の方法に準拠して圧縮試験機を用いて圧縮強度(k
g/cm2)を求めた。 以上の結果、本発明の液状オルガノシロキサン組成物と
填剤との混合物を、各種の補強材、骨材、成型体等の材
料と共に一体化して複合硬化体の構造体に応用する時
は、施工後は湿気硬化により速やかに構造体を形成し、
この構造体が耐熱性、不燃性、圧縮強度等に優れている
ことがよく理解される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 183/05 JGG 183/06

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) (式中:Rは水素原子もしくはCからCのアルキ
    ル基あるいはアシル基;RないしRはそれぞれが水
    素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれ
    た同一もしくは異なる基、nは1ないし15の数)で表
    される化合物の1種または2種以上からなり、且つその
    中のケイ素成分をSiO酸化物基準で表して50重量
    %以上含有している液状オルガノポリシロキサン(A) 下記一般式(2)もしくは(3) R M・(OR3−p‥‥‥‥‥(2) R Q・(OR4−m‥‥‥‥‥(3) (式中:Mはアルミニウムまたはホウ素元素;Qはケイ
    素、チタンまたはジルコニウム元素;Rは水素原子も
    しくはCないしCのアルキル基、アシル基あるいは
    オキシム基;Rは水素原子、OR基もしくは一価の
    炭化水素基より選ばれた基;pは1または2;mは1な
    いし3の整数)で表される有機金属化合物の1種または
    2種以上からなる架橋剤(B)、および、 亜鉛、コバルト、アルミニウムまたは錫元素の1または
    2種以上の含金属有機化合物であり、触媒反応ブロッキ
    ング剤が配合された硬化触媒(C)、 からなり、且つ該三成分混合液組成物が含有する全金属
    元素成分をMOy/2酸化物基準(Mはアルミニウム、
    ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウム元素、yは金属
    元素の価数)で表わして40重量%以上含有しているこ
    とを特徴とする無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記の液状オルガノポリシロキサン
    (A)に、官能性側鎖のOR基(Rは水素原子、C
    いしCのアルキル基あるいはアシル基)を有し、粉末
    状のシリコンレジンが50重量%以下の量で溶解されて
    いる請求項1記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキ
    サン組成物。
  3. 【請求項3】 前記の液状オルガノポリシロキサン
    (A)に、カルボキシル基を有する線状有機高分子化合
    物の熱可塑性樹脂が30重量%以下の量で溶解されてい
    る請求項1または2記載の無溶剤の常温硬化型オルガノ
    シロキサン組成物。
  4. 【請求項4】 前記の架橋剤(B)が、液状オルガノポ
    リシロキサン(A)に対し50重量%以下の量で混合さ
    れている請求項1ないし3のいずれか1項記載の無溶剤
    の常温硬化型オルガノシロキサン組成物。
  5. 【請求項5】 前記の触媒反応ブロッキング剤が、アル
    キル基またはトリフルオロ基を有するβ−ケト酸エステ
    ル、β−ジケトン化合物およびマロン酸エステルの群よ
    り選ばれた1ないし2種以上の組合わせからなるケト・
    エノール型互変異性化合物である請求項1ないし4のい
    ずれか1項記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサ
    ン組成物。
  6. 【請求項6】 前記の触媒反応ブロッキング剤が、一価
    もしくは多価のアルコールの群より選ばれた1ないし2
    種以上の組合わせからなるアルコール類である請求項1
    ないし4のいずれか1項記載の無溶剤の常温硬化型オル
    ガノシロキサン組成物。
  7. 【請求項7】 前記の液状オルガノポリシロキサン
    (A)に対し、ケト・エノール型互変異性化合物または
    アルコール類が配合された含金属有機化合物もしくは単
    独の含金属有機化合物からなる硬化触媒(C)が10重
    量%以下の量で配合されている請求項1ないし6のいず
    れか1項記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン
    組成物。
  8. 【請求項8】 前記の液状オルガノポリシロキサン
    (A)の単独もしくは架橋剤(B)との混合物を、予め
    水非存在下の100℃以下で10分以上の養生工程に付
    して含有シラノール基を除去し、ついで硬化触媒(C)
    が配合される一液保存性可能な請求項1ないし6記載の
    無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1ないし8のいずれか1項に
    記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物
    が、水分との接触により生成するポリシロキサン結合を
    主鎖とするポリマー硬化体からなることを特徴とする透
    明塗膜。
  10. 【請求項10】 前記請求項1ないし8のいずれか1項
    に記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物
    100重量部に対し、活性剤、充填剤、顔料、着色剤の
    群より選ばれた1ないし2種以上の組み合わせ填剤が1
    ないし400重量部の範囲で予め配合された塗料状混合
    物が、水分との接触により生成するポリシロキサン結合
    を主鎖とする複合ポリマー硬化体からなることを特徴と
    する被覆材。
  11. 【請求項11】 前記の填剤が、液状オルガノポリシロ
    キサン(A)または架橋剤(B)の単独もしくは混合物
    に配合された後、水非存在下で予め100℃以下の養生
    工程に付して含有水分もしくはシラノール基を除去し、
    ついで硬化触媒(C)が配合された一液保存性可能な塗
    料状液混合物である請求項10記載の被覆材。
  12. 【請求項12】 前記の塗料状混合物に予め配合される
    活性剤が、ホウ酸含有化合物、クロム酸含有化合物もし
    くはリン酸含有化合物の1または2種以上の組み合わせ
    粉末である請求項10または11記載の被覆材。
  13. 【請求項13】 前記請求項1ないし7のいずれか1項
    に記載の無溶剤の常温硬化型オルガノシロキサン組成物
    100重量部に対し、活性剤、充填剤、顔料、着色剤の
    群より選ばれた1ないし2種以上の組合わせ填剤が1な
    いし500重量部の範囲で予め配合された流動性ないし
    可塑性混合物が、水分との接触により生成するポリシロ
    キサン結合を主鎖とするで複合ポリマー硬化体であるこ
    とを特徴とする結着剤。
  14. 【請求項14】 前記の填剤が、液状オルガノポリシロ
    キサン(A)または架橋剤(B)の単独もしくは混合物
    に配合された後、水非存在下で予め100℃以下の養生
    工程に付して含有水分もしくはシラノール基を除去し、
    ついで硬化触媒(C)が配合された一液保存性可能な流
    動性ないし可塑性混合物である請求項13記載の結着
    剤。
  15. 【請求項15】 前記の流動性ないし可塑性混合物に予
    め配合される活性剤が、ホウ酸含有化合物、クロム酸含
    有化合物もしくはリン酸含有化合物の1または2種以上
    の組み合わせ粉末である流動性ないし可塑性混合物であ
    る請求項13記載の結着剤。
  16. 【請求項16】 前記請求項10に記載の塗料状混合物
    もしくは請求項13に記載の流動性ないし可塑性を有す
    る混合物100重量部に対し、補強材、骨材ないしは成
    型体の群より選ばれた1ないし2種以上の組合わせ材料
    が1ないし2000重量部の範囲で予め配合された混合
    物が、水分との接触により生成するポリシロキサン結合
    を主鎖とする複合ポリマーをバインダーに一体化してい
    ることを特徴とする構造体。
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