JPH0772097B2 - 炭素繊維強化水硬性複合材料の製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化水硬性複合材料の製造方法

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JPH0772097B2
JPH0772097B2 JP31365286A JP31365286A JPH0772097B2 JP H0772097 B2 JPH0772097 B2 JP H0772097B2 JP 31365286 A JP31365286 A JP 31365286A JP 31365286 A JP31365286 A JP 31365286A JP H0772097 B2 JPH0772097 B2 JP H0772097B2
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、炭素繊維で強化された水硬性原料からなる複
合材料の製造方法に関するものである。
(従来の技術) ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメン
トなどの各種セメント類や石こうなどの水硬性原料に炭
素繊維を強化材として添加した水硬性複合材料は軽量
で、強度が強く、靱性が大きいなどの特徴をもつ材料と
して、建築、土木分野などへの利用が盛んに行なわれつ
つある。
炭素繊維は他の補強繊維に較べ種々の優れた特徴を有す
る。
例えば、ガラス繊維は耐アルカリ性に乏しいのでセメン
ト中での耐久性が劣るのに対し炭素繊維は耐アルカリ性
に優れ耐久性がまさる。ビニロン、ポリプロピレン、ア
ラミドなどの合成繊維は炭素繊維に較べ耐熱性、耐薬品
性などが劣るし、水硬性複合材料を製造する際に、高温
下でオートクレーブ養生する工程に耐え難いなどの不都
合がある。さらに、鋼繊維などの金属繊維は、セメント
マトリツクス中での腐食による劣化の難点がある。
(発明が解決しようとする問題点) このように炭素繊維は補強材として優れる反面、短繊維
状の炭素繊維を水硬性原料中に均一に混合分散するのが
むずかしいため、その補強性能を充分に発揮出来難い問
題があつた。
このため、従来から均一に混合分散しようとして次のよ
うな様々な検討が試みられているが未だ不充分でかつ種
々の問題がある。例えば、 粘度1,000cps〜100,000cpsの水系粘性体と炭素繊維
によりなる混合物を、セメント及び骨材を主体とする水
硬性組成物に添加、混合する方法。
(特公昭60-45142号公報) 本方法によれば、均一な混合分散は可能となろうが、実
施例にもあるように、メチルセルロース水溶液のような
水系粘性体中に高価で特殊なミキサー(“オムニミキサ
ー":撹拌羽根がなく、揺動盤上に可撓自在のゴムボール
を取りつけてなり、機構上、主に拡散混合がなされる)
を用いてあらかじめ炭素繊維を混合しておき、ついで得
られた混合物をさらに傾胴型コンクリートミキサーを用
いて水硬性組成物と混合することから、メチルセルロー
スのような増粘剤の使用が必須であるし、二種類の混合
機を使うなどの経済性、操作性の上で改善すべき問題が
ある。
炭素繊維などの短繊維をバインダーでゆるく結束し
た状態にして、未硬化セメント中に混入し、未硬化セメ
ントの撹拌によつて短繊維の結束を解きながら分散させ
る方法。
(特開昭61-10406号公報) 本方法では結束の程度は“オムニミキサー”などで撹拌
した場合に容易に結束が解かれる程度と説明され、実施
例においても“オムニミキサー”が使われており、特殊
なミキサーを使う不都合がある上に、バインダーの使用
量も繊維/バインダーの容量比として5/5〜9/1とされ、
多量のバインダーを使う不利さや、水未添加のセメント
に較べ、粘度の大きな水を添加したセメントスラリー中
で、繊維を混合分散するためには大きな撹拌動力を要す
ると予想されるなどの不都合もある。
(問題点を解決するための手段) このような従来技術の問題点を改善すべく、用いる炭素
繊維の集束方法と集束の状態、水硬性原料中に炭素繊維
を均一に混合分散させるための混合方法と混合機の構
造、さらには得られる水硬性複合材料の物性について、
深く検討した。この結果、所定限界以上の嵩密度を有す
る短繊維状の炭素繊維束を用い、水硬性原料の混合に通
常用いられる汎用の混合機の中で極く短時間、水硬性原
料と乾式混合(空練り)し、ついで水を加えて混練りす
ると云う、実用性かつ経済性に富む方法により、優れた
物性の水硬性複合材料が製造出来ることを見い出し、本
発明を完成した。
すなわち、本発明は水硬性原料に炭素繊維を混合分散さ
せて複合材料を製造する方法において、炭素繊維として
下記の方法で測定した嵩密度が0.05g/ml以上であつて、
30〜12,000本のモノフイラメントが集束された状態にあ
る短繊維状の炭素繊維束を用い、外殻が回転する混合機
及び/又は撹拌羽根を有する混合機の中で、水硬性原料
と該炭素繊維束とを乾式混合し、ついて得られた混合物
と水とを混練することを特徴とする炭素繊維強化水硬性
複合材料の製造方法に存する。
〔嵩密度の測定方法〕
長さが10mmの炭素繊維束20gを500ml容量のガラス製メス
シリンダー中に入れ、該メスシリンダーを木製台上で3c
mの高さから5回反覆して落下した後の繊維束の容量を
測定し嵩密度を求める。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では建築材料や土木材料に通常用いられる無機系
の各種水硬性原料が使用出来、例えばポルトランドセメ
ント、高炉セメント、アルミナセメント、ケイ酸カルシ
ウム、天然石こう、合成石こうなどが用いられる。
本発明で用いる炭素繊維としては公知の炭素繊維であれ
ば特に限定されることなく使用でき、例えばコールター
ルピツチ、石油系ピツチ、石炭液化物、ポリアクリロニ
トリル、セルロース、ポリビニルアルコール等を原料と
した炭素繊維を用いることができる。
中でも、光学的異方性相を含むピツチから作られる炭素
繊維、すなわちメソフエーズピツチ系炭素繊維は、従来
水硬性原料の補強材として主に用いられている、等方性
相のピツチから作られる等方質ピツチ系炭素繊維に較
べ、繊維自体の引張強度や引張弾性率が大きいことによ
り、本発明に用いると得られる水硬性複合材料の強度や
剛性が大きい製品が得られ好ましい。
特に、メソフエーズピツチ系炭素繊維であつて引張強度
が100kg/mm2以上、及び又は引張弾性率が12T/mm2以上の
ものを用いると、得られる水硬性複合材料の物性はより
一層優れる。
これらの炭素繊維に関し、本発明で用いる所望の嵩密度
を有する集束した炭素繊維束を製造するには種々の方法
が可能である。
例えば、上記原料を紡糸して得られる原料繊維に集束剤
を付着して集束して原料繊維束を得た後、これを不融化
処理或いは耐炎化処理し、炭化し、さらに要すれば黒鉛
化して炭素繊維束を得ることが出来る。この場合、集束
剤の種類、付着量、付着方法などを適宜選択決定するこ
とにより、所望の嵩密度を持つ炭素繊維束を得ることが
出来る。
なお、本発明では黒鉛化処理して得られた黒鉛化繊維束
も炭素繊維束に含めるものとする。
上記の集束剤には種々の物質が使用出来、例えばポリジ
メチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン
などのポリジメチルシロキサン誘導体、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキ
レングリコール誘導体、機械油、タービン油、灯油など
の鉱物油、脂肪酸エステル化合物、スルフイド基含有化
合物、パーフルオロアルキル基含有化合物の内の1種又
はそれらの2種以上の混合物が用いられる。
そして集束剤は単味或いは集束剤を主成分とし公知の静
電防止剤、平滑剤、及び界面活性剤を添加して使うこと
が出来、さらには繊維への付着を均一にしかつ、繊維へ
の抵抗を少なくするために集束剤をストレート付着する
以外に、水、ケロシン、ジメチルシリコンダイマーなど
公知の希釈剤で希釈使用してもよい。
集束剤の原料繊維に対する付着量は通常0.1〜20重量%
の範囲であり、特に0.2〜10重量%が好適である。
付着量が0.1重量%より少ないと得られる炭素繊維束が
ばらけ易く、所望の嵩密度が得られず、水硬性原料と混
合する際にモノフイラメント同志がからみ合つたり、毛
玉状のフアイバーボールが出来て、均一に混合分散出来
ない不都合が起る。
また20重量%以上となると不融化処理もしくは耐炎化処
理の際に付着した集束剤の揮散が不充分となつて繊維上
に残存し、不融化処理もしくは耐炎化処理の反応を阻害
する原因となつたり、繊維から発生する低分子物ガスの
飛散が充分に行なえないためかえつて炭素繊維の物性を
低下させる原因となつたりする。
集束剤を原料繊維に付着させる方法としては、スプレー
により吹き付ける方法、ローラーやガイドに付けて接触
させる方法、浸漬させる方法等が用いられる。
集束剤が付着され、集束された原料繊維束は周知の方法
に従つて、不融化処理もしくは耐炎化処理及び炭化処理
が行なわれる。不融化処理もしくは耐炎化処理は、原料
繊維を酸素、オゾン、空気、窒素酸化物、ハロゲン、亜
硫酸ガス等の酸化性雰囲気下、150〜400℃の温度に5分
〜10時間程度加熱することによつて行なわれる。
また炭化処理は、上記処理により得られた繊維を窒素、
アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、500〜2000℃の温度
に0.5分〜10時間程度加熱することによつて行なわれ
る。
さらに黒鉛化処理を行なう場合には、2000〜3000℃の温
度に1秒〜1時間程度加熱すれば良い。
また別の方法としては、本発明の原料繊維束に集束剤を
付着し、不融化処理もしくは耐炎化処理して得られた不
融化もしくは耐炎化繊維に、再度集束剤を付着して集束
し、炭化し、さらに要すれば黒鉛化して目的の炭素繊維
束を得ることが出来る。
これら不融化もしくは耐炎化繊維に対する具体的な集束
剤の種類、付着量、付着方法などは既述の原料繊維の場
合と同様に実施することが出来、さらに炭化処理及び黒
鉛化処理は原料繊維の場合と同様に実施することが出来
る。
さらに別の方法としては、既述した本発明の方法に従つ
て、原料繊維及び/又は不融化もしくは耐炎化繊維段階
で集束剤を付着して製造した炭素繊維の束、或いは通常
の方法で製造した炭素繊維にサイジング剤を付着して目
的の集束した炭素繊維束を得ることが出来、サイジング
剤の種類、付着量、付着方法などを適宜調節することに
より、所望の嵩密度を持つ集束した炭素繊維束が得られ
る。
具体的なサイジング剤としては、ポリビニルアルコール
(PVA)系として、未ケン化のポリ酢酸ビニル、部分ケ
ン化PVA、完全ケン化PVA、及び変性PVAとしてイタコン
酸変性フタール酸変性、アクリル酸変性PVAがある。
又、酢酸ビニルとエチレン、マレイン酸、クロトン酸、
又はアクリル酸との共重合物、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース誘導体、コーンスタ
ーチ、可溶性デンプン等のデンプン誘導体、ポリアクリ
ル酸ソーダ、ポリアクリルアマイド等のアクリル系重合
体も用いられる。
さらには、ゴムラテツクス、硬化剤を含まない軟化点が
40℃以上のエポキシ樹脂、ポリウレタンも用いることが
出来る。これらのポリマーの内で特にカチオン性を示す
のものはセメントとの接着性を向上するのに有効で、例
えばカチオン変性PVA、カチオン性ポリ酢酸ビニル、カ
チオン性ゴムラテツクス、カチオン化ポリウレタンなど
が用いられる。
以上のサイジング剤は水溶液、エマルジヨン、或いは溶
剤に溶解した溶液の状態で、一種又は二種以上の混合物
として炭素繊維に付着し、その後乾燥又は脱溶剤して、
集束した炭素繊維束が得られる。
サイジング剤の炭素繊維への付着量は通常、0.1〜20重
量%である。0.1重量%未満では集束性が不足し、所望
の嵩密度が得られず、水硬性原料に均一混合分散も出来
難い。又、20重量%を越えると集束が過度に強固にな
り、水硬性原料中での分散度が劣り、水硬性複合材料の
物性が低下したり、サイジング処理する際に、ローラー
に繊維束がとられたりして容易に製造しづらいなどの難
点がある。さらに、より適切な付着量の範囲はサイジン
グ剤の種類に応じて選定され、例えばポリビニルアルコ
ール(PVA)系の未ケン化のポリ酢酸ビニル、部分ケン
化PVA、完全ケン化PVA、及びそれらのカチオン性変性物
の場合は好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは0.5
〜2重量%である。
サイジング剤の付着方法にはスプレーにより吹き付ける
方法、ローラやガイドに付けて接触させる方法、浸漬さ
せる方法等が用いられる。
さらに、本発明に用い得る炭素繊維としては、前述の方
法に従つて炭化或いは黒鉛化処理した後に気相或いは液
相での酸化や電解処理などの表面処理を行なつたもの、
さらにその後サイジング剤で処理したものも用いること
が出来る。
本発明では、このようにして得られる集束した炭素繊維
束を構成するモノフイラメント数が30〜12,000本である
ことが適当で、好ましくは50〜6,000本であることが望
ましい。
30本未満のものは集束した繊維束を製造する際の生産性
が悪いなどの問題があり、一方12,000本を越えると一束
状に集束するのがむずかしかつたり、水硬性原料中での
分散性が悪くなつたりして不つごうである。
又、モノフイラメントの直径は、3〜50ミクロンである
ことが、所望の嵩密度の繊維束を得、均一に分散する上
で好ましい。
つぎに本発明では、集束した炭素繊維束は短繊維状にし
て水硬性原料に混合されるが、該繊維束の製法としては
集束した長繊維束を切断したもの、或いは既に短繊維状
にしたものを集束したもののいずれもが使える。
短繊維化の方法は通常実施される方法が可能で例えば、
ギロチン式カツター、ロービングカツター、或いはダイ
クレトスプレー機のノズルガンなどを用いて切断出来
る。
そして既に集束した長繊維束を切断する時には過度の切
断衝撃などにより集束した束がばらけすぎないようにす
るのが望ましい。
集束した短繊維束の長さは1〜100mmであるのが好まし
い。1mm未満では水硬性原料との混合時の分散性は良い
が充分な補強性能は得られず、一方100mmを越えると逆
に補強性は得られるものの、分散性が悪く均一な製品が
得られない。
本発明で重要なのは、上述のようにして得られる集束し
た短繊維状の炭素繊維束の嵩密度が0.05g/ml以上、好ま
しくは0.07g/ml以上であることである。
嵩密度は長さ10mmの炭素繊維束20gを500ml容量のガラス
製メスシリンダーに入れ、該メスシリンダーを木製台上
で3cmの高さから5回反覆して落下した後の容量(Vml)
を測定し、20/Vなる計算により求められる。
嵩密度が0.05g/ml未満であると、本発明の方法により水
硬性原料と混合する際に、モノフイラメント状にばらけ
たり、からみ合つたり、毛玉状のフアイバーボールを生
成したりして均一に分散することが出来ず、得られる製
品も物性が劣つたり、不均一であつたりする。
従来用いられている短繊維状の炭素繊維は綿状であつた
り、集束の工夫が不充分であつたために、嵩密度が小さ
く、従つて混合分散に際し、高価で、容量の小さな特殊
ミキサー(例えば“オムニミキサー”と称される)を用
い、しかも長い時間を要して混合するなどの不都合があ
つた。
これに対し、本発明では集束方法を工夫した嵩密度が0.
05g/ml以上の繊維束を用いることと、水硬性原料との混
合に汎用されている安価で容量の大きな混合機を用いる
こととを組合せ、ごく短時間で混合分散が出来るように
したことに特徴がある。
本発明で用いる混合機は、外殻が回転する、及び/又は
攪拌羽根を有する構造の次のような汎用混合機があげら
れる。
円筒型、二重円錐型、及び正立方体型の外殻が回転する
混合機として傾胴型コンクリートミキサー、回転ドラム
ミキサーなどがある。
又、パドル型、プロペラ型、櫂型、タービン型、パン
型、リボン型、スクリユー型、ワーナー型、ニーダー型
などの攪拌羽根を有する混合機が用いられる。
さらに、外殻が回転しかつ攪拌羽根を有するパン回転型
強制ミキサー、アイリツヒ型ミキサーなども用いられ
る。
これら本発明で用いる混合機は、混合機構上、主に対流
及び又はせん断混合をなすものである。
つぎに、炭素繊維束と水硬性原料とを混合する際には、
まず水を加えず混合し、ついで水を加えて混練すること
が肝要である。
始めから水を加えると水硬性原料が粘稠なスラリーとな
るため、繊維束を分散するのに大きな攪拌動力を要した
り、長時間かかつたりして不都合である。
これに対し、本発明では水を加えず乾式混合するため、
攪拌動力も小さく、短時間で混合出来、例えば、パドル
型混合機(JIS R5201 規格のセメント練り混ぜ機)を
使つて、10秒乃至数分間の極く短い時間で混合出来生産
性が優れるし、得られる水硬性複合材料の物性も特殊ミ
キサーを使つたものと同等以上にすぐれる。
水硬性複合材料中の炭素繊維配合量は通常0.1〜20容量
%であり、0.1%未満では補強効果が乏しく、一方20%
を越えると混合がしにくかつたり、均一に分散出来なか
つたりするなど好ましくない。
又、砂、ケイ砂、砂利、砕石、シラスバルーン、フライ
アツシユ、超微粉シリカなどの骨材はこの乾式混合時に
あらかじめ配合しておくのが水硬性原料との混合を容易
にし望ましい。
得られた水硬性原料と炭素繊維との混合物は次いで水と
混練するが、その方法としては例えば、得られた混合機
の中の混合物に直接に水を加え引続き混練とする方法、
或いは最初の混合機に水硬性原料と炭素繊維とを連続的
に供給し、得られた混合物と水とを次の混合機に連続的
に供給して混練を行う方法、或いは横長の円筒型混合機
の一端より水硬性原料と炭素繊維、中央部より水を夫々
に連続的に供給し、混合機の前段で混合、後段で混練を
行なう方法などが可能である。
そして、混合及び/又は混練時には、分散剤を添加する
のが好ましく、具体的にはメチルセルロース、エチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアミド型、
ポリアミン型、アルキルピコリニウム塩型、アルキルア
ミンの水溶性酸型等のカチオン性界面活性剤、アルキル
アミンオキサイド型ノニオン性界面活性剤、アルキルグ
リシン型、アルキルアラニン型、アルキルペタイン型、
アルキルイミダゾリン型等の両性界面活性剤の内のいず
れか一種又は二種以上の混合物が添加される。
分散剤の添加量は水硬性原料に対して通常0.1〜10重量
%であり、0.1%未満では分散効果が乏しく、10%を越
えて添加しても格別の効果は得られない。
又、分散剤の他に減水剤、発泡剤、消泡剤などの混和剤
も適宜添加出来る。
本発明で用いる集束した短繊維状の炭素繊維束は、水硬
性原料中に単独で用いられることはもちろん、本発明以
外の炭素繊維、石綿、ガラス繊維、金属繊維、有機繊
維、鉄系補強材等の他の補強材とも併用出来る。
本発明の炭素繊維を配合した水硬性原料は、通常実施さ
れる各種の成形法、例えば型込成形、押出成形、遠心成
形、抄造成形などの方法により成形し、養生、固化さ
れ、枝状、管状、柱状など各種形状の水硬性複合材料が
製造出来る。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 コールタールピツチ系のメゾフエーズピツチを溶融紡糸
して得られたモノフイラメント本数180本の原料繊維
に、10センチストークスの粘度(25℃)を持つポリジメ
チルシロキサンをガイドに付けて接触させる方法によ
り、原料繊維に対し5%付着して集束した。この集束し
た原料繊維束を空気中にて170℃より400℃まで1.2時間
を要して昇温しながら不融化処理し、続いて、アルゴン
雰囲気中において室温から1400℃まで0.5時間を要して
昇温しながら炭化処理を行ない炭素繊維束を得、その性
状を第1表に示した。ついで、該炭素繊維束をギロチン
式カツターにより切断し、長さ10mmの短繊維束を得、前
述の方法によつて測定した嵩密度を第1表に示した。引
続き、該短繊維束、早強ポルトランドセメント(100重
量部)、ケイ砂(50重量部)及びメチルセルロース(0.
5重量部)をJIS R5201規格のセメント練り混ぜ機(丸東
製作所製モルタルミキサー,C-138A型)に投入し、30秒
間乾式混合し、短繊維が充分に分散した混合物を得、つ
いで水(45重量部)を加え1分間、さらに消泡剤を加え
30秒間混練した後、板状のテストピース(長さ16cm、幅
4cm、厚み1cm)を成形し、気中養生(温度20℃、相対湿
度65%)し、炭素繊維含有率3容量%の炭素繊維強化セ
メント材を得た。そして、材令7日の曲げ強度を中央一
点載荷曲げ試験法(スパン10cm)により測定し、テスト
ピース3ケの平均値及び変動巾の値を第1表に示した。
実施例2 コールタールピツチ系のメソフエーズピツチを溶融紡糸
して得られたモノフイラメント本数240本の原料繊維
に、ポリジメチルシロキサンの水エマルジヨン(エマル
ジヨン濃度3.3%)をガイドに付けて接触させる方法に
より、原料繊維に対し10%付着し、集束した。この集束
した原料繊維束を空気中において150℃から310℃まで2.
7時間を要して昇温し、310℃にて0.5時間保持し不融化
処理し、続いて、アルゴン雰囲気中において室温から11
00℃まで4.3時間を要して昇温し、1100℃にて1時間保
持し炭化処理した。
得られた炭素繊維の性状を第1表に示した。
ついで、この炭素繊維をケン化度80%のポリビニルアル
コール(サイジング剤)の水溶液(濃度0.8%)中に連
続的に長繊維状で浸漬し、180℃にて乾燥しサイジング
剤が1.8重量%付着した集束された炭素繊維束を得た。
この炭素繊維束から実施例1と同様にして得た短繊維束
の嵩密度を第1表に示した。
引続き、この短繊維束を用い、実施例1と同じくして得
られた炭素繊維強化セメント材のテストピースの曲げ強
度を第1表に示した。
比較例1 早強ポルトランドセメント(100重量部)、ケイ砂(50
重量部)、及びメチルセルロース(0.5重量部)を実施
例1と同じセメント練り混ぜ機に投入し、30秒間混合し
た後、水(45重量部)を加え30秒間、ついで、実施例2
と同じ短繊維束を加え(3容量%)1分間、さらに消泡
剤を加え30秒間混練した。
引続き、実施例1と同じくして得られた炭素繊維強化セ
メント材のテストピースの曲げ強度を第1表に示した。
比較例2 実施例2の短繊維束、早強ポルトランドセメント(100
重量部)、ケイ砂(25重量部)、及びメチルセルロース
(0.5重量部)を“オムニミキサー”(千代田技研工業
製OM-10E型10l容量)に投入し、1分間乾式混合し、つ
いで水(45重量部)を加え4分間、残りのケイ砂(25重
量部)を加え4分間、さらに消泡剤を加え3分間の合計
11分間混練した後、実施例1と同じくして得られた炭素
繊維強化セメント材のテストピースの曲げ強度を第1表
に示した。
比較例3 実施例2の炭素繊維をサイジング処理することなしに、
実施例1と同様にして切断した短繊維の嵩密度を第1表
に示した。但しこの短繊維は綿状で嵩高なため、嵩密度
測定の繊維量は10gとした。この短繊維を用い実施例1
と同様にして混合したところ、全繊維量の内、約1/4の
量はからみ合つたり、毛玉状のフアイバーボールになり
均一分散が出来ず、第1表に示す曲げ強度も平均値が小
さく、かつ変動巾も大きく劣つていた。
(発明の効果) 本発明によれば、嵩密度が所定限度以上に大きい集束し
た短繊維状の炭素繊維束を水硬性原料と乾式混合し、次
いで水を加え混練する。これらの混合及び混練は汎用の
簡易な混合機で極く短時間で実施出来実用性に富む。
従来技術の炭素繊維では均一な混合分散がむずかしかつ
たり、混合性を良くするため、高価で特殊な混合機を用
いかなり長時間を要して混合していた不都合が改善出来
る。
又、得られる水硬性複合材料は炭素繊維の分散が良いた
め、品質が均一で、繊維と水硬性原料の付着効果も良い
ため、強度、靱性、耐ひび割れ性などの物性にも優れ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水硬性原料中に炭素繊維を混合分散させて
    複合材料を製造する方法において、炭素繊維として、下
    記の方法で測定した嵩密度が0.05g/ml以上であって、30
    〜12,000本のモノフイラメントが集束された状態にある
    短繊維状の炭素繊維束を用い、外殻が回転する混合機及
    び/又は撹拌羽根を有する混合機の中で、水硬性原料と
    該炭素繊維束とを乾式混合し、ついで得られた混合物と
    水とを混練することを特徴とする炭素繊維強化水硬性複
    合材料の製造方法。 〔嵩密度の測定方法〕 長さが10mmの炭素繊維束20gを500ml容量のガラス製メス
    シリンダー中に入れ、該メスシリンダーを木製台上で3c
    mの高さから5回反覆して落下した後の繊維束の容量を
    測定し、嵩密度を求める。
  2. 【請求項2】炭素繊維束の長さが1〜100mmである特許
    請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】炭素繊維束を構成するモノフイラメントの
    直径が3〜50ミクロンである特許請求の範囲第1項又は
    2項記載の方法。
  4. 【請求項4】炭素繊維束が原料繊維を集束する際に集束
    剤を付着させ、次いで不融化処理または耐炎化処理を行
    ない、更に炭化処理を行ない得られたものである特許請
    求の範囲第1ないし3項のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】炭素繊維束が原料繊維を不融化処理または
    耐炎化処理を行ない、次いで集束剤を付着させた後、炭
    化処理して得られたものである特許請求の範囲第1ない
    し3項のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】炭素繊維束が原料繊維を不融化処理または
    耐炎化処理した後炭化処理を行ない、次いでサイジング
    剤を付着して集束して得られるものである特許請求の範
    囲第1ないし5項のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】水硬性原料と炭素繊維束とを混合及び又は
    混練する際に、分散剤として、セルロース誘導体又はカ
    チオン性、ノニオン性もしくは両性の界面活性剤のいず
    れか一種又は二種以上の混合物を添加する特許請求の範
    囲1ないし6項のいずれかに記載の方法。
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