JP2810173B2 - 炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法 - Google Patents
炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法Info
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- JP2810173B2 JP2810173B2 JP32842089A JP32842089A JP2810173B2 JP 2810173 B2 JP2810173 B2 JP 2810173B2 JP 32842089 A JP32842089 A JP 32842089A JP 32842089 A JP32842089 A JP 32842089A JP 2810173 B2 JP2810173 B2 JP 2810173B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、モルタル、コンクリート等のセメント系材
料を炭素繊維で補強した、強度、靱性及び変形能に優れ
たセメント系複合材料の製造方法に関するものである。
料を炭素繊維で補強した、強度、靱性及び変形能に優れ
たセメント系複合材料の製造方法に関するものである。
モルタル、コンクリート等のセメント系材料は、安価
で、しかも耐久性、耐火性に優れた材料であり、さらに
圧縮強度や剛性に関しても優れた物性を有している。し
かし、構造物として使用する場合には、引張強度や衝撃
強度が低く、エネルギー吸収能力が小さいため、物性的
に“もろい”という欠点を持っている。通常この欠点を
補うために、セメント系材料を鉄筋や繊維等によって補
強して、構造材や建材として使用している。このうち繊
維によって補強されたセメント系複合材料は鉄筋コンク
リートと異なり、全体補強となるので、ひび割れに対す
る抵抗性も大きく、フレッシュ・コンクリートにおいて
繊維を含ませることができるので多様な形状のコンクリ
ート製品の生産に適用しやすい利点を持っている。
で、しかも耐久性、耐火性に優れた材料であり、さらに
圧縮強度や剛性に関しても優れた物性を有している。し
かし、構造物として使用する場合には、引張強度や衝撃
強度が低く、エネルギー吸収能力が小さいため、物性的
に“もろい”という欠点を持っている。通常この欠点を
補うために、セメント系材料を鉄筋や繊維等によって補
強して、構造材や建材として使用している。このうち繊
維によって補強されたセメント系複合材料は鉄筋コンク
リートと異なり、全体補強となるので、ひび割れに対す
る抵抗性も大きく、フレッシュ・コンクリートにおいて
繊維を含ませることができるので多様な形状のコンクリ
ート製品の生産に適用しやすい利点を持っている。
セメント系材料の補強用繊維としては、耐アルカリガ
ラス繊維、鋼繊維、ステンレス繊維又は石綿の無機繊維
あるいはアラミド繊維、ポリプロピレン繊維又はビニロ
ン繊維等の合成繊維などが用いられているが、いずれも
アルカリ耐久性、耐熱性、錆の発生、重量あるいは価格
などの点で一長一短があり、全般的に優れた性能を有す
るものとして炭素繊維が注目されている。
ラス繊維、鋼繊維、ステンレス繊維又は石綿の無機繊維
あるいはアラミド繊維、ポリプロピレン繊維又はビニロ
ン繊維等の合成繊維などが用いられているが、いずれも
アルカリ耐久性、耐熱性、錆の発生、重量あるいは価格
などの点で一長一短があり、全般的に優れた性能を有す
るものとして炭素繊維が注目されている。
一般に炭素繊維は、軽量で耐アルカリ性、耐熱性に優
れ、オートクレーブ処理によっても繊維の強度低下が無
く、セメント系材料の補強用繊維として優れた特性を有
している。しかしながら、炭素繊維はセメント系材料に
混合する場合の、両者の比重の差が大きいことや、繊維
のからまり等により、セメント系材料への分散性に難が
あり、混合系中でファイバーボールと呼ばれる毛玉を作
り易いので、均一に混合させることが難しく、また通常
の炭素繊維はセメントマトリックスとの接着性が悪く、
両者の境界面で滑り易く、炭素繊維の添加量の割には充
分な補強効果が得られないため、少ない添加量で充分な
強度を有する炭素繊維補強セメント系複合材料を得るの
は困難であった。
れ、オートクレーブ処理によっても繊維の強度低下が無
く、セメント系材料の補強用繊維として優れた特性を有
している。しかしながら、炭素繊維はセメント系材料に
混合する場合の、両者の比重の差が大きいことや、繊維
のからまり等により、セメント系材料への分散性に難が
あり、混合系中でファイバーボールと呼ばれる毛玉を作
り易いので、均一に混合させることが難しく、また通常
の炭素繊維はセメントマトリックスとの接着性が悪く、
両者の境界面で滑り易く、炭素繊維の添加量の割には充
分な補強効果が得られないため、少ない添加量で充分な
強度を有する炭素繊維補強セメント系複合材料を得るの
は困難であった。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、強度、靱性及
び変形能に優れた炭素繊維補強セメント系複合材料の製
造方法を提供することにある。
び変形能に優れた炭素繊維補強セメント系複合材料の製
造方法を提供することにある。
本発明は、芳香族スルホン酸類又はそれらの塩のメチ
レン型結合による縮合体を紡糸したのち、最高温度400
〜1,600℃で炭化して得られる、0.1〜2.0wt%の硫黄を
含有し、繊維1g当り1〜250μg当量の表面酸性基を有
する炭素繊維を補強材として使用する炭素繊維補強セメ
ント系複合材料の製造方法である。
レン型結合による縮合体を紡糸したのち、最高温度400
〜1,600℃で炭化して得られる、0.1〜2.0wt%の硫黄を
含有し、繊維1g当り1〜250μg当量の表面酸性基を有
する炭素繊維を補強材として使用する炭素繊維補強セメ
ント系複合材料の製造方法である。
本発明において補強材として使用する炭素繊維は次の
ようにして製造される。
ようにして製造される。
先ず、紡糸原料としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタ
レン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、テト
ラセン、ペンタセン等の芳香族炭化水素やこれらの混入
物、さらにこれらの混合物にフェノール類やピリジン類
等のタール酸やタール塩基等の混入した混合物、例えば
軽油、吸収油、ナフタレン油、アントラセン油、減圧蒸
溜残渣油、タール及びピッチ等をスルホン化し、必要に
よりアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム
等で中和して得られる芳香族スルホン酸類又はそれらの
塩を、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチ
レンテトラミン等のアルデヒド類を用いて縮合させて得
られる縮合体を使用する。芳香族スルホン酸類を結合さ
せる連結基としてはその製造、入手の容易さなどから−
CH2−基が特に好ましいが、−(CH2)n−Tx−(CHR)
m−(式中、Tはベンゼン環又はナフタレン環、Rは水
素、低級アルキル基又はベンゼン環、n、m、xはそれ
ぞれ0又は1の整数を表すが、nとmとが共に0である
ことはない)で表される連結基を有する化合物も使用す
ることができる。また、ポリスチレンスルホン酸の如く
ビニル基を有する芳香族スルホン酸類を重合させて得ら
れるメチレン型結合を有する芳香族スルホン酸の重合体
類を使用することもできる。
レン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタ
レン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、テト
ラセン、ペンタセン等の芳香族炭化水素やこれらの混入
物、さらにこれらの混合物にフェノール類やピリジン類
等のタール酸やタール塩基等の混入した混合物、例えば
軽油、吸収油、ナフタレン油、アントラセン油、減圧蒸
溜残渣油、タール及びピッチ等をスルホン化し、必要に
よりアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム
等で中和して得られる芳香族スルホン酸類又はそれらの
塩を、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチ
レンテトラミン等のアルデヒド類を用いて縮合させて得
られる縮合体を使用する。芳香族スルホン酸類を結合さ
せる連結基としてはその製造、入手の容易さなどから−
CH2−基が特に好ましいが、−(CH2)n−Tx−(CHR)
m−(式中、Tはベンゼン環又はナフタレン環、Rは水
素、低級アルキル基又はベンゼン環、n、m、xはそれ
ぞれ0又は1の整数を表すが、nとmとが共に0である
ことはない)で表される連結基を有する化合物も使用す
ることができる。また、ポリスチレンスルホン酸の如く
ビニル基を有する芳香族スルホン酸類を重合させて得ら
れるメチレン型結合を有する芳香族スルホン酸の重合体
類を使用することもできる。
これらの縮合体は使用する芳香族スルホン酸類又はそ
れらの塩の種類及び縮合反応の条件等による種々の性状
のものを得ることができるが、本発明で用い得る縮合体
を構成する量体数の範囲若しくはその数平均分子量範囲
は、芳香族スルホン酸類の種類により最適範囲が定ま
る。例えばナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮
合体では単量体から200量体程度までの混合物で、その
数平均分子量は約2000〜50000程度、クレオソート油ス
ルホン化物の縮合体の場合は単量体から40量体程度まで
の混合物で、その数平均分子量は約2000〜5000程度であ
り、フェナントレンスルホン酸の縮合体では単量体から
30量体程度までの混合物で、その数平均分子量は約2500
〜50000程度のものが好適に使用できる。また、これら
の縮合体は単一組成だけではなく、二種類以上の縮合物
の混合物あるいは共重合、縮合体の形で使用できること
はもちろんである。
れらの塩の種類及び縮合反応の条件等による種々の性状
のものを得ることができるが、本発明で用い得る縮合体
を構成する量体数の範囲若しくはその数平均分子量範囲
は、芳香族スルホン酸類の種類により最適範囲が定ま
る。例えばナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮
合体では単量体から200量体程度までの混合物で、その
数平均分子量は約2000〜50000程度、クレオソート油ス
ルホン化物の縮合体の場合は単量体から40量体程度まで
の混合物で、その数平均分子量は約2000〜5000程度であ
り、フェナントレンスルホン酸の縮合体では単量体から
30量体程度までの混合物で、その数平均分子量は約2500
〜50000程度のものが好適に使用できる。また、これら
の縮合体は単一組成だけではなく、二種類以上の縮合物
の混合物あるいは共重合、縮合体の形で使用できること
はもちろんである。
これらの縮合体を溶媒中に溶解又は分散させ、必要に
より希釈、濃縮等の手段により粘度を調整したのち、紡
糸し、次いで炭化することにより炭素繊維を得ることが
できる。ここで使用する溶媒としては縮合体の特性から
みて、水、メタノール等のアルコール類、アセトニトリ
ルなどの極性溶媒が好ましく、なかでも水あるいは水と
他の水溶性溶媒を混合した水系溶媒が最適である。ま
た、縮合体の紡糸にあたり紡糸助剤として紡糸原料組成
物中の固形分100重量部に対し20重量部以下の水溶性高
分子化合物を添加することにより紡糸性をさらに改善す
ることができる。ここで使用する水溶性高分子化合物と
しては各種の水系溶媒に可溶ないしコロイド状に分散可
能な高分子化合物が使用できるが、エチレンオキシド、
プロピレンオキシド等の縮合物、あるいはこれと各種ア
ルコール、脂肪酸、アルキルアミン、アルキルフェノー
ル類との縮合物などのポリアルキレンオキシド化合物、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポ
リビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミ
ド、アクリル酸−アクリルアミドコポリマーなどのポリ
アクリル酸系化合物などが特に好適である。これらの水
溶性化合物を添加することにより、紡糸速度を速めるこ
とができ、また炭化前の紡糸繊維のハンドリングが容易
となり、さらに得られる炭素繊維の強度が増加するなど
の効果がある。紡糸のための原料組成、すなわち紡糸原
料中に縮合体の占める割合は、縮合体の種類、水溶性高
分子化合物の種類及び溶媒の種類によって異なるが、通
常20〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の範囲であ
り、粘度は100〜5000poise好ましくは300〜1000poiseで
ある。
より希釈、濃縮等の手段により粘度を調整したのち、紡
糸し、次いで炭化することにより炭素繊維を得ることが
できる。ここで使用する溶媒としては縮合体の特性から
みて、水、メタノール等のアルコール類、アセトニトリ
ルなどの極性溶媒が好ましく、なかでも水あるいは水と
他の水溶性溶媒を混合した水系溶媒が最適である。ま
た、縮合体の紡糸にあたり紡糸助剤として紡糸原料組成
物中の固形分100重量部に対し20重量部以下の水溶性高
分子化合物を添加することにより紡糸性をさらに改善す
ることができる。ここで使用する水溶性高分子化合物と
しては各種の水系溶媒に可溶ないしコロイド状に分散可
能な高分子化合物が使用できるが、エチレンオキシド、
プロピレンオキシド等の縮合物、あるいはこれと各種ア
ルコール、脂肪酸、アルキルアミン、アルキルフェノー
ル類との縮合物などのポリアルキレンオキシド化合物、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポ
リビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミ
ド、アクリル酸−アクリルアミドコポリマーなどのポリ
アクリル酸系化合物などが特に好適である。これらの水
溶性化合物を添加することにより、紡糸速度を速めるこ
とができ、また炭化前の紡糸繊維のハンドリングが容易
となり、さらに得られる炭素繊維の強度が増加するなど
の効果がある。紡糸のための原料組成、すなわち紡糸原
料中に縮合体の占める割合は、縮合体の種類、水溶性高
分子化合物の種類及び溶媒の種類によって異なるが、通
常20〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の範囲であ
り、粘度は100〜5000poise好ましくは300〜1000poiseで
ある。
紡糸温度は紡糸原料組成、目的とする繊維の形状等に
よっても異なるが水を溶媒とする場合20〜100℃が好ま
しい。紡糸口金を出た繊維は巻取器、コデットローラ
ー、エアサッカー等で延伸される。紡糸繊維の直径は、
任意に設定することができるが好ましくは10〜100μm
さらに好ましくは20〜40μmである。
よっても異なるが水を溶媒とする場合20〜100℃が好ま
しい。紡糸口金を出た繊維は巻取器、コデットローラ
ー、エアサッカー等で延伸される。紡糸繊維の直径は、
任意に設定することができるが好ましくは10〜100μm
さらに好ましくは20〜40μmである。
この縮合体は融点を持たないので、得られた紡糸繊維
は不融化処理を行うことなく炭化することができる。炭
化は、減圧下あるいは非酸化性雰囲気下に、400〜1600
℃の温度で、繊維中の硫黄含有量が2重量%以下となる
まで加熱することによって行う。所要時間は、加熱温
度、目的とする炭素繊維の性状によって異なるが、通常
は10分以下、好ましくは3〜6分程度で充分である。炭
化がこのように短時間で終了するのは、本発明の縮合体
の場合実質的に不融化工程が不要であることを意味して
いる。なお、400℃までの加熱は、空気雰囲気下で行っ
てもよい。また、炭化時の不活性ガスの流れを制御する
ことにより、炭化時に発生するSO2、SO3等により表面の
酸化処理を行うこともできる。これにより表面の酸性官
能基の量を増やし、また表面の凹凸を助長するのでセメ
ント系マトリックスとの接着性が増大する効果がある。
炭化は、連続糸の状態で行うほか、原糸を裁断し、綿状
とした形で炭化することもできる。ただし綿状で炭化す
る場合には、嵩高となるので炭化所要時間は長くなり、
20〜90分程度となる。紡糸繊維を加熱していくと、約40
0℃までの間にSO2、SO3、H2OあるいはNH3などのアルカ
リ性ガス等が脱離発生する。原料中に含まれるスルホン
基は、炭化の間にほとんど脱離するが一部は炭素繊維中
に残留して酸性官能基を形成する。本発明で使用する炭
素繊維中の酸性官能基は−OH、−COOH、−SO3H等であ
り、炭素繊維の特性に寄与する表面官能基の量は1〜25
0μg当量/gである。
は不融化処理を行うことなく炭化することができる。炭
化は、減圧下あるいは非酸化性雰囲気下に、400〜1600
℃の温度で、繊維中の硫黄含有量が2重量%以下となる
まで加熱することによって行う。所要時間は、加熱温
度、目的とする炭素繊維の性状によって異なるが、通常
は10分以下、好ましくは3〜6分程度で充分である。炭
化がこのように短時間で終了するのは、本発明の縮合体
の場合実質的に不融化工程が不要であることを意味して
いる。なお、400℃までの加熱は、空気雰囲気下で行っ
てもよい。また、炭化時の不活性ガスの流れを制御する
ことにより、炭化時に発生するSO2、SO3等により表面の
酸化処理を行うこともできる。これにより表面の酸性官
能基の量を増やし、また表面の凹凸を助長するのでセメ
ント系マトリックスとの接着性が増大する効果がある。
炭化は、連続糸の状態で行うほか、原糸を裁断し、綿状
とした形で炭化することもできる。ただし綿状で炭化す
る場合には、嵩高となるので炭化所要時間は長くなり、
20〜90分程度となる。紡糸繊維を加熱していくと、約40
0℃までの間にSO2、SO3、H2OあるいはNH3などのアルカ
リ性ガス等が脱離発生する。原料中に含まれるスルホン
基は、炭化の間にほとんど脱離するが一部は炭素繊維中
に残留して酸性官能基を形成する。本発明で使用する炭
素繊維中の酸性官能基は−OH、−COOH、−SO3H等であ
り、炭素繊維の特性に寄与する表面官能基の量は1〜25
0μg当量/gである。
このような方法によって製造された炭素繊維(以下S
含有炭素繊維と称する)は、繊維径が10〜100μmと太
くセメント系材料との親和性が良好でセメント系材料の
補強材として優れた性能を有している。S含有炭素繊維
が通常の炭素繊維に比較して繊維径を太くできる理由
は、ピッチ系あるいはPAN系の炭素繊維では直径が20μ
m以上になると酸化による不融化あるいは耐炎化が難し
くなり、繊維内部まで充分に酸化しようとすると表面が
過酸化の状態となり、炭化時に酸素をCOあるいはCO2の
形で放出するため炭素繊維の欠陥が増大し、その結果繊
維の強度が著しく低下するのに対し、S含有炭素繊維の
場合には、原料が不融化を必要としない、本質的に溶融
しない樹脂であるためである。ちなみに本発明で使用す
るS含有炭素繊維の強度は次のようであり、これはピッ
チ系炭素繊維のおよそ2倍となっている。
含有炭素繊維と称する)は、繊維径が10〜100μmと太
くセメント系材料との親和性が良好でセメント系材料の
補強材として優れた性能を有している。S含有炭素繊維
が通常の炭素繊維に比較して繊維径を太くできる理由
は、ピッチ系あるいはPAN系の炭素繊維では直径が20μ
m以上になると酸化による不融化あるいは耐炎化が難し
くなり、繊維内部まで充分に酸化しようとすると表面が
過酸化の状態となり、炭化時に酸素をCOあるいはCO2の
形で放出するため炭素繊維の欠陥が増大し、その結果繊
維の強度が著しく低下するのに対し、S含有炭素繊維の
場合には、原料が不融化を必要としない、本質的に溶融
しない樹脂であるためである。ちなみに本発明で使用す
るS含有炭素繊維の強度は次のようであり、これはピッ
チ系炭素繊維のおよそ2倍となっている。
直径(μm) 引張強度(kg/mm2) 20 60〜150 30 40〜100 40 30〜60 本発明の方法においては、前記方法によって製造され
たS含有炭素繊維を、チョップまたはフィラメントの形
でモルタル、コンクリート等のセメント系材料の補強材
として使用することを特徴とする。
たS含有炭素繊維を、チョップまたはフィラメントの形
でモルタル、コンクリート等のセメント系材料の補強材
として使用することを特徴とする。
フィラメントで使用する場合も、チョップで使用する
場合も、繊維のセメントペーストやモルタルへの定着性
を高めるため、使用するセメントの粒子は微細であるこ
とが好ましい。とりわけチョップで使用する場合、繊維
の引抜けを抑制するためにセメント粒子は微細であるこ
とが特に好ましい。具体的には早強セメントあるいは超
早強セメントを用いることが好ましい。また、用いる骨
材もセメント粒子と繊維との粒子間隙を埋めるためにシ
リカヒュームや微粒珪砂等のような微細なものが好まし
い。セメントペーストやモルタルの粘度、例えばフロー
値は15〜25cm程度であることが好ましい。フロー値が15
cm未満や25cmを超えても炭素繊維補強コンクリートの製
造は可能であるが、前記範囲内が良好な分散状態を得る
ことができる。高フロー値や低フロー値のペーストやモ
ルタルに対してはCMC等の増粘剤や流動化剤を添加しフ
ロー値を調整する。特に、本発明の方法の場合、ナフタ
レンスルホン酸縮合物系の流動化剤あるいは減水剤が強
度を向上させる上でも効果的である。モルタル中の空気
量は起泡剤や消泡剤で制御すればよい。使用するチョッ
プの長さは、必要に応じて0.5mm未満のミルドファイバ
ーを用いることもできるが、通常0.5〜20mm、特に1.0〜
6.0mmとするのが補強材としての効果が大きく、好まし
い。チョップの配合量は1〜20vol%で補強効果が得ら
れるが、実用上1〜10vol%程度とすることが好まし
い。10vlo%を超えると分散が悪くなり、補強効果は頭
打ちとなる傾向が認められる。炭素繊維とセメントペー
ストあるいはモルタルの混合には、通常オムニミキサー
が用いられるが、本発明で使用するS含有炭素繊維は分
散性が良いのでオムニミキサーやアインリッヒミキサー
等の特殊なミキサーを使用する必要はなく、強制ミキサ
ー、二軸強制ミキサー、モルタルミキサー、傾胴ミキサ
ーのような一般に使用されているミキサーで充分混合す
ることができる。繊維を混合したモルタルあるいはペー
ストは振動下に流し込み法で型込めするか、遠心成型、
あるいはプレス成型等により成形したのちオートクレー
ブ養生、蒸気養生、水中養生、気中養生等により硬化体
を得ることができる。オートクレーブ養生や水蒸気養生
を行わない場合は、低収縮性のセメントを用いることが
望ましい。成形時にあらかじめ鉄筋やS含有繊維を含む
他の繊維からなる支柱を型枠中に配置することで補強効
果を高めることもできる。
場合も、繊維のセメントペーストやモルタルへの定着性
を高めるため、使用するセメントの粒子は微細であるこ
とが好ましい。とりわけチョップで使用する場合、繊維
の引抜けを抑制するためにセメント粒子は微細であるこ
とが特に好ましい。具体的には早強セメントあるいは超
早強セメントを用いることが好ましい。また、用いる骨
材もセメント粒子と繊維との粒子間隙を埋めるためにシ
リカヒュームや微粒珪砂等のような微細なものが好まし
い。セメントペーストやモルタルの粘度、例えばフロー
値は15〜25cm程度であることが好ましい。フロー値が15
cm未満や25cmを超えても炭素繊維補強コンクリートの製
造は可能であるが、前記範囲内が良好な分散状態を得る
ことができる。高フロー値や低フロー値のペーストやモ
ルタルに対してはCMC等の増粘剤や流動化剤を添加しフ
ロー値を調整する。特に、本発明の方法の場合、ナフタ
レンスルホン酸縮合物系の流動化剤あるいは減水剤が強
度を向上させる上でも効果的である。モルタル中の空気
量は起泡剤や消泡剤で制御すればよい。使用するチョッ
プの長さは、必要に応じて0.5mm未満のミルドファイバ
ーを用いることもできるが、通常0.5〜20mm、特に1.0〜
6.0mmとするのが補強材としての効果が大きく、好まし
い。チョップの配合量は1〜20vol%で補強効果が得ら
れるが、実用上1〜10vol%程度とすることが好まし
い。10vlo%を超えると分散が悪くなり、補強効果は頭
打ちとなる傾向が認められる。炭素繊維とセメントペー
ストあるいはモルタルの混合には、通常オムニミキサー
が用いられるが、本発明で使用するS含有炭素繊維は分
散性が良いのでオムニミキサーやアインリッヒミキサー
等の特殊なミキサーを使用する必要はなく、強制ミキサ
ー、二軸強制ミキサー、モルタルミキサー、傾胴ミキサ
ーのような一般に使用されているミキサーで充分混合す
ることができる。繊維を混合したモルタルあるいはペー
ストは振動下に流し込み法で型込めするか、遠心成型、
あるいはプレス成型等により成形したのちオートクレー
ブ養生、蒸気養生、水中養生、気中養生等により硬化体
を得ることができる。オートクレーブ養生や水蒸気養生
を行わない場合は、低収縮性のセメントを用いることが
望ましい。成形時にあらかじめ鉄筋やS含有繊維を含む
他の繊維からなる支柱を型枠中に配置することで補強効
果を高めることもできる。
フィラメントで使用する場合、一軸方向に引き揃えら
れたUDシートまたは棒の形で、または二軸方向に配置さ
れたネット、織物若しくはフィラメントワインディング
状で用いられるほか、三次元的な組紐または不織布の様
なマットの形で用いることができる。これらの炭素繊維
は、繊維全体を、又は繊維束の一部やネット接合部等を
あらかじめ樹脂又はセメント等を含浸させて硬化させた
ものでもよいし、全く固定化することなくセメントモル
タル中に含浸し、セメント硬化時に全体を同時に硬化さ
せてもよい。また、プリテンションを加え、プレストレ
スコンクリートとすることもできるし、他繊維、例えば
鋼繊維、ステンレス繊維、合成繊維あるいは他種の炭素
繊維と組み合わせて使用することもできる。
れたUDシートまたは棒の形で、または二軸方向に配置さ
れたネット、織物若しくはフィラメントワインディング
状で用いられるほか、三次元的な組紐または不織布の様
なマットの形で用いることができる。これらの炭素繊維
は、繊維全体を、又は繊維束の一部やネット接合部等を
あらかじめ樹脂又はセメント等を含浸させて硬化させた
ものでもよいし、全く固定化することなくセメントモル
タル中に含浸し、セメント硬化時に全体を同時に硬化さ
せてもよい。また、プリテンションを加え、プレストレ
スコンクリートとすることもできるし、他繊維、例えば
鋼繊維、ステンレス繊維、合成繊維あるいは他種の炭素
繊維と組み合わせて使用することもできる。
このようなS含有炭素繊維フィラメントを主体とする
構造体を型枠中に設置し、モルタル、コンクリートペー
ストを流し込み、硬化させることによって高強度のセメ
ント系複合材料を得ることができる。
構造体を型枠中に設置し、モルタル、コンクリートペー
ストを流し込み、硬化させることによって高強度のセメ
ント系複合材料を得ることができる。
セメント系材料の強化用炭素繊維としては、セメント
系マトリックス中への繊維の分散性や繊維有効係数を高
めるために、アスペクト比を小さくすることが有効で、
繊維径15〜40μm、繊維長2〜6mmのものが望まれてい
る。本発明で使用する炭素繊維は、繊維径が最大100μ
mと、通常のピッチ系あるいはPAN系の炭素繊維に比較
して太く、アスペクト比を小さくすることができるの
で、セメント系材料と混和する際の繊維のからみが少な
く、分散性が良好となり、また混合時の繊維の損傷が少
なくなる。また、スルホン基等の酸性官能基を多く含む
ため、本来アルカリ性であるセメント系マトリックスと
の接着性が良く、大きな補強硬化を得ることができる。
炭素繊維のセメント系マトリックスへの分散性が良いこ
とは、セメント系材料の補強効果が大きいことに加えて
電気的特性の向上にも寄与し、複合材料における繊維有
効率が高いことを意味している。例えば、通常チョップ
トファイバー配合のコンクリートの場合、引っ張り強度
に寄与する繊維有効率(繊維補強コンクリートの引張強
度/繊維の引張強度)は0.3〜0.33程度であるが、S含
有炭素繊維補強したコンクリートの場合には0.4〜0.7と
することができる。さらに、分散性が良好なため、セメ
ント系材料への導電性付与効果も大きく、特に2vol%以
上の炭素繊維を配合した高配合率のセメント系複合材料
においてその効果が著しく、均一な面発熱性、静電気防
止効果、電磁遮蔽効果を得ることができる。
系マトリックス中への繊維の分散性や繊維有効係数を高
めるために、アスペクト比を小さくすることが有効で、
繊維径15〜40μm、繊維長2〜6mmのものが望まれてい
る。本発明で使用する炭素繊維は、繊維径が最大100μ
mと、通常のピッチ系あるいはPAN系の炭素繊維に比較
して太く、アスペクト比を小さくすることができるの
で、セメント系材料と混和する際の繊維のからみが少な
く、分散性が良好となり、また混合時の繊維の損傷が少
なくなる。また、スルホン基等の酸性官能基を多く含む
ため、本来アルカリ性であるセメント系マトリックスと
の接着性が良く、大きな補強硬化を得ることができる。
炭素繊維のセメント系マトリックスへの分散性が良いこ
とは、セメント系材料の補強効果が大きいことに加えて
電気的特性の向上にも寄与し、複合材料における繊維有
効率が高いことを意味している。例えば、通常チョップ
トファイバー配合のコンクリートの場合、引っ張り強度
に寄与する繊維有効率(繊維補強コンクリートの引張強
度/繊維の引張強度)は0.3〜0.33程度であるが、S含
有炭素繊維補強したコンクリートの場合には0.4〜0.7と
することができる。さらに、分散性が良好なため、セメ
ント系材料への導電性付与効果も大きく、特に2vol%以
上の炭素繊維を配合した高配合率のセメント系複合材料
においてその効果が著しく、均一な面発熱性、静電気防
止効果、電磁遮蔽効果を得ることができる。
本発明の炭素繊維強化セメント系複合材料は、繊維と
マトリックスとの接着性が良く、しかもチョップで配合
したものは炭素繊維の分散状態が良好で繊維の有効率が
高く、高い強度と電気的特性を有する材料である。
マトリックスとの接着性が良く、しかもチョップで配合
したものは炭素繊維の分散状態が良好で繊維の有効率が
高く、高い強度と電気的特性を有する材料である。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中の%は特に断らない限り重量%を表す。
なお、実施例中の%は特に断らない限り重量%を表す。
実施例1 純度98%のナフタレン1280gに98%の硫酸1050gを加
え、145℃で3時間スルホン化したのち、未反応ナフタ
レンと反応生成水を留去した。次いで200gの水を加えて
希釈した後、35%のホルマリン875gを加え、105℃で6
時間反応させ、β−ナフタレンスルホン酸のメチレン結
合型の縮合物を得た。この縮合物をアンモニア水で中和
後不溶解分をろ別した。得られた水溶液の固形分濃度は
0.5%で、縮合物のアンモニウム塩の平均分子量は103.5
であり、最大分子量は104.5であった。このβ−ナフタ
レンスルホン酸のメチレン結合型の縮合物のアンモニア
塩水溶液に、該水溶液中の固形分(110℃/6hr乾燥後の
残分)に対し1%相当量のポリビニルアルコールを水に
溶解させたものを添加し混合後水分を43%に調整して紡
糸液とした。この紡糸液の40℃における粘度は280poise
であった。この紡糸液をL/D=0.3mm/0.1mmの1000ホール
口金を用いて40℃で、600m/minの紡糸速度で乾式紡糸し
た。得られた原糸を4.6mmに切断し、ベルト上に積載
し、入口温度250℃、出口温度950℃に調整した炉中に導
入し、窒素気流中40分間で焼成した。300〜450℃の炉頂
部より採取した排ガスからはSO2、SO3、NH3、H2Oが検出
された。
え、145℃で3時間スルホン化したのち、未反応ナフタ
レンと反応生成水を留去した。次いで200gの水を加えて
希釈した後、35%のホルマリン875gを加え、105℃で6
時間反応させ、β−ナフタレンスルホン酸のメチレン結
合型の縮合物を得た。この縮合物をアンモニア水で中和
後不溶解分をろ別した。得られた水溶液の固形分濃度は
0.5%で、縮合物のアンモニウム塩の平均分子量は103.5
であり、最大分子量は104.5であった。このβ−ナフタ
レンスルホン酸のメチレン結合型の縮合物のアンモニア
塩水溶液に、該水溶液中の固形分(110℃/6hr乾燥後の
残分)に対し1%相当量のポリビニルアルコールを水に
溶解させたものを添加し混合後水分を43%に調整して紡
糸液とした。この紡糸液の40℃における粘度は280poise
であった。この紡糸液をL/D=0.3mm/0.1mmの1000ホール
口金を用いて40℃で、600m/minの紡糸速度で乾式紡糸し
た。得られた原糸を4.6mmに切断し、ベルト上に積載
し、入口温度250℃、出口温度950℃に調整した炉中に導
入し、窒素気流中40分間で焼成した。300〜450℃の炉頂
部より採取した排ガスからはSO2、SO3、NH3、H2Oが検出
された。
得られた炭素繊維は、直径25μm、繊維長さ約3.0mm
で、伸度1.8%、引張強度56.3kg/mm2、弾性率3.1ton/mm
2で、元素組成(%)はC:92.5、H:0.7、N:1.0、S:0.6、
O:5.2であり、中和滴定法で測定した酸性官能基は31.3
μg当量/gであった。
で、伸度1.8%、引張強度56.3kg/mm2、弾性率3.1ton/mm
2で、元素組成(%)はC:92.5、H:0.7、N:1.0、S:0.6、
O:5.2であり、中和滴定法で測定した酸性官能基は31.3
μg当量/gであった。
この炭素繊維(CF−1)及び比較のため市販の長さ3m
mのピッチ系炭素繊維(CF−2、直径14.5mm、伸度2.2
%、引張強度72.0kg/mm2、弾性率3.2ton/mm2)を用いて
炭素繊維補強コンクリートを製造した。
mのピッチ系炭素繊維(CF−2、直径14.5mm、伸度2.2
%、引張強度72.0kg/mm2、弾性率3.2ton/mm2)を用いて
炭素繊維補強コンクリートを製造した。
早強ポルトランドセメントに細骨材として8号硅砂
を、さらにセメントに対し1%量のβ−ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物系減水剤を加え、W/C=0.45、S
/C=0.5の条件で配合したものに、3.0vol%の炭素繊維
を配合し、オムニミキサーで10分間混合した。得られた
炭素繊維配合モルタルを40×40×160mmの成形体とし、
オートクレーブ中、150℃で10時間養生したものを供試
体とし、次の条件で曲げ強度及び体積抵抗率を測定した
結果を表1に示す。
を、さらにセメントに対し1%量のβ−ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物系減水剤を加え、W/C=0.45、S
/C=0.5の条件で配合したものに、3.0vol%の炭素繊維
を配合し、オムニミキサーで10分間混合した。得られた
炭素繊維配合モルタルを40×40×160mmの成形体とし、
オートクレーブ中、150℃で10時間養生したものを供試
体とし、次の条件で曲げ強度及び体積抵抗率を測定した
結果を表1に示す。
曲げ試験 試験機 島津社製オートグラフDCS−2000 載荷方法 3点曲げ、Head:R5mm、Base:R3mm クロスヘッドスピード 0.5mm/min スパン 100mm 体積抵抗率測定試験 試験機 アドバンテスト社直流電圧発生器TR614
2、デジタル電流計TR6851 測定方法 4端子法 表1の結果から、本発明の炭素繊維補強コンクリート
は、フィラーとして使用した炭素繊維自体の強度は低い
にもかかわらず、市販のピッチ系炭素繊維で補強したも
のに比べて高い強度を有していることがわかる。
2、デジタル電流計TR6851 測定方法 4端子法 表1の結果から、本発明の炭素繊維補強コンクリート
は、フィラーとして使用した炭素繊維自体の強度は低い
にもかかわらず、市販のピッチ系炭素繊維で補強したも
のに比べて高い強度を有していることがわかる。
また、両試料の断面を観察すると、CF−2を添加した
ものには繊維が寄り集まった、いわゆる毛玉が認められ
るのに対し、CF−1を添加したものは繊維の分散状態が
極めて良好で均一に分散しているのがわかった。
ものには繊維が寄り集まった、いわゆる毛玉が認められ
るのに対し、CF−1を添加したものは繊維の分散状態が
極めて良好で均一に分散しているのがわかった。
実施例2 ナフタレン8.4%、β−メチルナフタレン33.1%、α
メチルナフタレン13.9%、ジフェニル8.0%、ジメチル
ナフタレン11.5%をが有する芳香族系の油(通称 吸収
油)1420gに98%硫酸1050gを加え、140℃で3時間スル
ホン化したのち、未反応油と反応生成水を留去した。次
いで水200gを添加したのち、35%のホルマリンを加え、
105℃で10時間反応させ芳香族スルホン酸のメチレン結
合型の縮合物を得た。この縮合物をアンモニア水で中和
したのち、不溶解分をろ別した。得られた縮合物の分子
量は、最大で約104.3であり、平均分子量は103.3であっ
た。この芳香族の縮合物のアンモニウム塩水溶液に、該
水溶液中の固形分(110℃/6hr乾燥後の残分)に対し2
%相当量のポリビニルアルコールを水に溶解させたもの
を添加し混合後水分を45%に調整して紡糸液とした。こ
の紡糸液の40℃における粘度は300poiseであった。この
紡糸液をL/D=0.3mm/0.1mmの1000ホール口金を用いて40
℃で、450m/minの紡糸速度で乾式紡糸した。得られた原
糸を12束合糸して12,000本とし、入口温度250℃、出口
温度1100℃の電気炉中に通糸し、窒素気流中で3分間加
熱炭化させた。得られた炭素繊維は、直径35μm、伸度
2.0%、引張強度52.0kg/mm2、弾性率3.2ton/mm2で、元
素組成(%)はC:93.6、H:0.7、N:1.0、S:0.4、O:4.3で
あり、中和滴定法で測定した酸性官能器は8.3μg当量/
gであった。この炭素繊維(CF−3)を長さ3mmに切断し
たものをフィラーとして炭素繊維補強コンクリートを製
造した。製造条件は、W/C=0.375、S/C=0.5(S:3号硅
砂、C:早強セメント)とし、混合をモルタルミキサー中
で5分間とした。混合後のモルタルについてJISR5201の
フロー試験結果を表2に、曲げ強度試験の結果を表3に
示す。
メチルナフタレン13.9%、ジフェニル8.0%、ジメチル
ナフタレン11.5%をが有する芳香族系の油(通称 吸収
油)1420gに98%硫酸1050gを加え、140℃で3時間スル
ホン化したのち、未反応油と反応生成水を留去した。次
いで水200gを添加したのち、35%のホルマリンを加え、
105℃で10時間反応させ芳香族スルホン酸のメチレン結
合型の縮合物を得た。この縮合物をアンモニア水で中和
したのち、不溶解分をろ別した。得られた縮合物の分子
量は、最大で約104.3であり、平均分子量は103.3であっ
た。この芳香族の縮合物のアンモニウム塩水溶液に、該
水溶液中の固形分(110℃/6hr乾燥後の残分)に対し2
%相当量のポリビニルアルコールを水に溶解させたもの
を添加し混合後水分を45%に調整して紡糸液とした。こ
の紡糸液の40℃における粘度は300poiseであった。この
紡糸液をL/D=0.3mm/0.1mmの1000ホール口金を用いて40
℃で、450m/minの紡糸速度で乾式紡糸した。得られた原
糸を12束合糸して12,000本とし、入口温度250℃、出口
温度1100℃の電気炉中に通糸し、窒素気流中で3分間加
熱炭化させた。得られた炭素繊維は、直径35μm、伸度
2.0%、引張強度52.0kg/mm2、弾性率3.2ton/mm2で、元
素組成(%)はC:93.6、H:0.7、N:1.0、S:0.4、O:4.3で
あり、中和滴定法で測定した酸性官能器は8.3μg当量/
gであった。この炭素繊維(CF−3)を長さ3mmに切断し
たものをフィラーとして炭素繊維補強コンクリートを製
造した。製造条件は、W/C=0.375、S/C=0.5(S:3号硅
砂、C:早強セメント)とし、混合をモルタルミキサー中
で5分間とした。混合後のモルタルについてJISR5201の
フロー試験結果を表2に、曲げ強度試験の結果を表3に
示す。
2.0vol%のCF−2及びCF−3を添加したコンクリート
について引張強度試験を行った結果を表4に示す。
について引張強度試験を行った結果を表4に示す。
表2、3及び4の結果から、本発明で使用するS含有
炭素繊維はセメント中での分散性とセメントマトリック
スに対する接着性が良いので、生コンクリートの状態で
の流動性も良好で、得られる炭素繊維補強コンクリート
は高い強度を有していることがわかる。
炭素繊維はセメント中での分散性とセメントマトリック
スに対する接着性が良いので、生コンクリートの状態で
の流動性も良好で、得られる炭素繊維補強コンクリート
は高い強度を有していることがわかる。
本発明の方法においては、アスペクト比が大きくモル
タルやセメントペーストへの分散性が良好で、セメント
系材料と親和性が良好な炭素繊維を補強材として使用す
るので、特殊なミキサーを使用することなく、均質で強
度の高い炭素繊維補強セメント系複合材料を製造するこ
とができる。
タルやセメントペーストへの分散性が良好で、セメント
系材料と親和性が良好な炭素繊維を補強材として使用す
るので、特殊なミキサーを使用することなく、均質で強
度の高い炭素繊維補強セメント系複合材料を製造するこ
とができる。
フロントページの続き (72)発明者 坂田 康二 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社九州研究所内 (72)発明者 那波 利之 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社九州研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 14/38 D01F 9/24
Claims (2)
- 【請求項1】芳香族スルホン酸類又はそれらの塩のメチ
レン型結合による縮合体を紡糸したのち、最高温度400
〜1,600℃で炭化して得られる、0.1〜2.0wt%の硫黄を
含有し、繊維1g当り1〜250μg当量の表面酸性基を有
する炭素繊維を補強材として使用することを特徴とする
炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法。 - 【請求項2】芳香族スルホン酸類又はそれらの塩のメチ
レン型結合による縮合体を紡糸したのち、最高温度400
〜1,600℃で炭化して得られる、0.1〜2.0wt%の硫黄を
含有し、繊維1g当り1〜250μg当量の表面酸性基を有
する直径20〜40μmの炭素繊維を0.5〜20mmに切断した
チョップを、モルタルあるいはコンクリート中に添加、
混合して分散させた後硬化させることを特徴とする炭素
繊維補強セメント系複合材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32842089A JP2810173B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | 炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32842089A JP2810173B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | 炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03193645A JPH03193645A (ja) | 1991-08-23 |
JP2810173B2 true JP2810173B2 (ja) | 1998-10-15 |
Family
ID=18210061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32842089A Expired - Lifetime JP2810173B2 (ja) | 1989-12-20 | 1989-12-20 | 炭素繊維補強セメント系複合材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2810173B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7285167B2 (en) * | 2003-10-08 | 2007-10-23 | Ogden Technologies, Inc. | Fiber reinforced concrete/cement products and method of preparation |
US7341627B2 (en) | 2005-02-18 | 2008-03-11 | Ogden Technologies, Inc. | Fiber reinforced concrete products and method of preparation |
WO2006091185A1 (en) * | 2005-02-18 | 2006-08-31 | Ogden Technologies, Inc. | Fiber reinforced concrete/cement products and method of preparation |
US7396403B1 (en) | 2006-02-17 | 2008-07-08 | Ogden Technologies, Inc. | Concrete reinforced with acrylic coated carbon fibers |
JP6964680B2 (ja) * | 2017-10-27 | 2021-11-10 | Nok株式会社 | 加湿膜用ポリフェニルスルホン中空糸膜の製造法 |
CN115894075B (zh) * | 2022-11-25 | 2023-07-28 | 山东京韵泰博新材料科技有限公司 | 一种碳化制品及其制备方法和应用 |
-
1989
- 1989-12-20 JP JP32842089A patent/JP2810173B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03193645A (ja) | 1991-08-23 |
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