JP4137504B2 - 繊維補強セメント成型物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維で補強されたセメント成型物に関し、さらに詳しくは、ビニロン繊維を含有しながらもセメントマトリックス中での分散性が良好であり、しかも湿潤高温下での養生が可能な繊維補強セメント成型物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セメントをマトリックスとする各種構築物や二次製品などは圧縮強度に優れているものの、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能は低く、大きな短所となっており、これを補う方法として、無機繊維や有機繊維を配合することが行われている。
【0003】
無機繊維としては、石綿を配合したスレートが代表的であるが、耐アルカリガラスを配合した通称GRCと呼ばれているガラス強化セメント製品やグラスウールなども使用されている。無機繊維を配合すると極めて優れた機械的性能を付与することができるが、種々の問題も含んでいる。
【0004】
例えば、石綿については、労働安全衛生法、環境面への配慮が必要であり、近年PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法))の特定物質に指定されている。一方、耐アルカリガラス繊維を配合した場合では、初期の機械的特性は優れているものの耐アルカリ性が不十分であり、セメントなどの高アルカリ性マトリックスへの配合は、耐久性の面で満足できるものではなかった。また、配合原料の混練時に繊維が折れるという欠点もあり、混練度合いの強いミキサーを使用する場合や押し出し成型をする場合には補強効果が期待できない。
【0005】
一方、有機繊維をセメントマトリックスに配合した場合も、曲げ強度、耐衝撃性、耐亀裂性の向上などに効果的ではあるが、その有機繊維の性能としては、セメントマトリックスより高い強度、高いヤング率、適度な伸度が必要であるばかりでなく、耐久性の面からセメントの高濃度アルカリ下に耐え得る性能も必要である。
【0006】
これらの性能の点で、ビニロン繊維はいずれの要求特性においても優れた性能を発揮するので最適な素材の1つであり、セメント補強繊維として幅広く用いられている。
しかしながら、ビニロン繊維は水溶性樹脂であるポリビニルアルコールから得られるため、耐湿熱性(湿潤時の溶解温度は130℃以下)は130℃程度までが限度である。セメントマトリックスの混練時には撹拌水を使用するため、セメント成型物の製造過程で130℃以上(150〜180℃程度)で蒸気養生したり、オートクレーブ中で養生するような場合は溶融してしまい、補強繊維として使用することができなかった。
【0007】
さらに、セメント成型物において繊維の補強効果を最大限に発揮させるためには、繊維をセメントマトリックス中に均一に分散させることが必要であるが、ビニロン繊維をセメントマトリックス中に分散させる場合、繊維長を短くし、注意深く混練りしても繊維が三次元的に絡み、球状となるなど均一な分散状態が得られにくく、その結果、流動性を損なうという問題があった。
【0008】
特公昭62-21743号公報には、複数のビニロン繊維を熱硬化性樹脂からなる接着剤で弱く接着させ、分離可能に一体化したセメント補強繊維が記載されている。この補強繊維はセメントマトリックス中での分散性を考慮したものであり、セメントマトリックス中に混合し攪拌する段階で接着剤が剥離し、接着されていた複数のビニロン繊維が分離するというものである。したがって、耐湿熱性の改良は行われておらず、高温湿熱下での養生を行うと溶融してしまい、補強繊維としての効果を奏することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、ビニロン繊維を含有しながらもセメントマトリックス中での分散性が良好であり、しかも湿潤高温下での養生が可能で、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能が向上した繊維補強セメント成型物を提供することを技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ビニロン繊維の周囲にポリオレフィン層を配した芯鞘型複合繊維を用いることにより、ビニロン繊維の耐湿熱性およびセメントマトリックス中での分散性を大幅に向上させることが可能となり、高温での養生が可能で、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能が向上したセメント成型物を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維を0.5〜5.0容積%含む繊維補強セメント成型物であって、130℃以上の温度で養生されてなることを特徴とする繊維補強セメント成型物を要旨とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の繊維補強セメント成型物は、ビニロン繊維を補強繊維として使用しながら、130℃以上の温度で養生が可能な成型物である。通常のビニロン繊維は、乾熱時には240℃程度の融点を有しているが、湿熱(含水状態)では130℃以下で溶融してしまい、補強繊維としての機能を果たすことができなかったが、本発明においては、補強繊維として、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維を用いることによって、130℃以上の高温湿潤下での養生やオートクレーブ中での養生を可能としたものである。
【0013】
補強繊維として用いるビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維について説明する。
複合繊維の芯部を構成するビニロン繊維は、従来の方法に従いポリビニルアルコールを原料として湿式法、乾式法、乾湿式法、ゲル紡糸法等により得られた繊維であり、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれであってもよく、また、短繊維からなる紡績糸のような繊維集合体であってもよい。なお、ポリビニルアルコールの重合度は1500以上、鹸化度が95モル%以上のものを用いることが好ましい。また、耐熱水性を向上させるために、ホルムアルデヒド、硫酸ナトリウム、硫酸などを含有する液を用いてアセタール化処理したものが好ましく、アセタール化度が30〜40モル%のものとすることが好ましい。
【0014】
中でも、0.5〜10dtexの単繊維のからなるマルチフィラメントであることが好ましく、強度は6cN/dtex以上のものが好ましい。強度が6cN/dtex未満であると、セメント成型物の補強効果が乏しくなりやすい。
【0015】
本発明における複合繊維は、このような芯部のビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆しているものであり、具体的にはビニロン繊維の周囲をポリオレフィン樹脂でコーティングしたものやポリオレフィンフィルムで被覆したもの、ポリオレフィンを繊維とし、ビニロン短繊維とポリオレフィン短繊維との複合紡績糸、いずれか一方が長繊維である長短複合紡績糸、フィラメント加工技術による合撚糸や交絡混繊糸など従来の技術によって製造される複合糸が挙げられる。
【0016】
中でも、本発明においては、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、熱処理を施すことにより、鞘部のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
【0017】
いずれの形態においてもビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層で露出する部分がないように被覆していることが好ましく、かつ複合繊維の長手方向に沿って、斑なく均一に被覆していることが好ましい。このように被覆することにより、複合繊維の芯部を構成するビニロン繊維に水などの侵入を防ぐことができ、ビニロン本来の機能を生かすことができ、高温湿潤下での養生や使用も可能なセメント成型物とすることができる。
【0018】
鞘部を構成するポリオレフィンとしては、特に限定するものではないが、コストなどの面からポリプロピレン、ポリエチレン等を好適に用いることができる。中でも比較的高融点であることからポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0019】
ポリオレフィンを繊維とする場合は、長繊維、短繊維のいずれとしてもよく、従来の方法に従い、溶融紡糸して得られたものであり、ビニロン繊維を被覆するためにはマルチフィラメントとすることが好ましい。なお、ビニロン繊維への水の侵入を抑制する役割という観点からは、強度やヤング率、伸度などの性能については特に限定されるものではない。単繊維繊度についても特に限定されるものではないが、大きすぎると繊維同士の接触面積が小さくなり、ビニロン繊維の周囲を露出する部分がないように被覆することが困難となる場合があるので、0.5〜10dtex程度とすることが好ましい。
【0020】
そして、本発明において最も好ましい複合繊維の形態について説明する。前述したように、芯鞘型複合繊維が、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、熱処理により鞘部のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維であることが好ましい。ビニロン繊維に水などの侵入を防ぐ効果を高めるために、ポリオレフィン繊維同士の溶着状態としては、できるだけ隙間なく繊維同士が溶着した状態が好ましい。このため、ポリオレフィン繊維は元の繊維形状を保持しているよりも、大部分が溶融してビニロン繊維表面を樹脂状、フィルム状となってコーティングした状態で溶着していることが好ましい。
【0021】
また、このような形状の複合繊維とするには、前記したようなビニロン繊維とポリオレフィン繊維を用い、通常の紡績技術やフィラメント加工技術を用いて紡績糸や合撚糸や交絡混繊糸等を製造し、この複合繊維にポリオレフィン繊維の融点以上、(融点+50℃)以下の温度で熱処理することにより得ることができる。
【0022】
したがって、このような形状の複合繊維であると、ポリオレフィン樹脂をコーティングした場合に比べて、芯部と鞘部の複合比率を容易に変更することができ、ポリオレフィン層の被覆の程度を容易に変更することが可能である。
【0023】
複合繊維における芯鞘比率、すなわち、ビニロン繊維とポリオレフィン層の複合比率は、ビニロン繊維を実質的に完全に被覆でき、かつビニロン繊維の性能を有する複合繊維とするために、ポリオレフィン層/ビニロン繊維(質量比)=70/30〜10/90が好ましく、さらには50/50〜20/80が好ましい。
【0024】
このような芯鞘型複合繊維とすることにより、芯部のビニロン繊維への水の浸透を疎水性である鞘部のポリオレフィン層が保護するために、セメントマトリックスの混練時に撹拌水を吸水することがなく、ビニロン繊維が乾熱時に有している240℃程度の融点を保持することが可能となる。なお、このとき、ポリオレフィン層が溶融する温度以上で養生を行ったとしても、溶融状態でポリオレフィンがビニロン繊維を保護し、水の浸透を防ぐ効果を奏するため、ポリオレフィン層が溶融する温度以上での養生も可能となる。
【0025】
さらには、鞘部のポリオレフィン層の被覆により、セメントマトリックスの混練時の補強繊維の流動性も向上する。本発明のセメント成型物は、補強繊維の分散性が良好であるため、セメントスラリー中への混入に際し、特別の繊維分散機を設けることは不要であり、しかもミキサーの機種を選ばず、セメントスラリー混練時のどの時点で投入しても均一分散し、優れた流動性を保持することができ、繊維の補強効果を最大限に利用することができる。
【0026】
本発明のセメント成型物における補強繊維の配合量は、補強効果や繊維の均一分散性、コストなどを考慮してセメントマトリックス全量に対して、0.5〜5.0容量%とすることが必要であり、より好ましくは1.0〜3.0容量%である。0.5容量%未満であると、補強性能が不十分となり、成型物の曲げ強度や衝撃強度が低下しやすい。一方、5.0容量%を超えると、分散不良となり補強性能が十分に発揮できず、成型物の曲げ強度や衝撃強度が低下しやすい。
【0027】
そして、補強繊維である複合繊維は、分散性と補強性能を考慮すると、3〜30mmの長さに切断したものを配合することが好ましい。3mm未満であると、セメント硬化体との臨界付着面積が少なく、補強効果が不十分となり、一方、30mmを超える場合は、混練時に繊維に湾曲が発生し、繊維同士が絡んで分散性が低下しやすく、繊維の補強効果が不十分となりやすい。
【0028】
本発明におけるセメントとは、たとえば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント、アルミナセメント、耐硫酸塩セメント、油井セメント、白色セメント、コロイドセメント、舗装用セメント、低熱セメント、または、マグネシアセメント等を挙げることができる。
【0029】
また、これらのセメント中には効果を損なわない範囲内で種々の混和材を含有させていてもよく、川砂、陸砂などの細骨材や軽量骨材、二酸化珪素や酸化マグネシウムを含有する無機粉末体などを混合することができる。
【0030】
本発明のセメント成型物は、成型後、130℃以上の温度で養生されてなるものである。養生とは、セメントの硬化作用を十分に発揮させるため、適当な温度と湿度を確保し、保護しておくことであるが、本発明のセメント成型物は製品の早期強度の発現や寸法安定性の改善を目的として行われている高温高圧蒸気養生(オートクレーブ養生)も可能となるものである。養生温度としては特に150〜180℃が好ましく、養生時間は特に限定されるものではないが、8〜20時間とすることが好ましい。
【0031】
本発明のセメント成型物を成型する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、型枠流し込み成型、プレス成型、吹き付け成型、振動成型、押し出し成型、遠心成型、抄造成型、真空成型等の成型方法が挙げられる。
【0032】
本発明のセメント成型物は、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能が向上したものであり、広く建築材料、土木材料などの構造物、板状物、円状物、テトラポット、タイル状物等として利用することが可能である。
【0033】
【実施例】
次に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例で用いた各種値の測定及び評価は下記のとおりに行ったものである。
〈流動性〉
補強繊維を投入、攪拌し、混練り終了後(型枠投入の前)のモルタルフロー値の測定をJIS R−5201に記載するセメントの物理試験方法に準じて測定した。
〈曲げ強度〉
得られたセメント成型物を幅4cm×長さ12cm×厚み1cmの試供体とし、2点支持中央載荷にて曲げ試験を行った。すなわち、981N用テンシロン(RTM−100、ORIENTEC(株)製)を用いて、支点距離10cmの中心を2mm/minで載荷し、応力の最高値を測定し、この値を曲げ強度とした。
〈シャルピー衝撃強度〉
得られたセメント成型物を幅1.7cm×長さ9cm×厚み1cmの試供体とし、JIS K−7111に準じて測定した。
〈繊維の残存状態〉
得られたセメント成型物とオートクレーブ養生前の成型物の破断面を目視にて観察し、オートクレーブ養生前の成型物と同等に繊維が残存しているものを○、残存していないものを×とした。
【0034】
実施例1
単繊維繊度2.2dtex、強度6.6cN/dtex、総繊度55万dtexのアセタール化したビニロン短繊維と単繊維繊度2.2dtex、総繊度80万dtex、強度5.3cN/dtex、融点160℃のポリプロピレン(PP)短繊維を引き揃え、芯部がビニロン繊維、鞘部がPP繊維となるようにしてパーロック紡績法により繊度1100dtexの複合繊維を得た。このとき、複合繊維の複合比率(質量比:PP繊維/ビニロン繊維)が50/50のものとした。次に、複合繊維をパーンから引き出し、第1ローラに巻き回して引き取り、第2ローラとの間に熱風乾燥炉を設けて、熱処理温度190℃、熱処理時間を2分として熱処理を行い、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、鞘部のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維とし、繊維長6mmに切断した。
次に、普通ポルトランドセメント1300g、珪砂5号1300g、上記繊維を全量に対して1.0容量%添加し、オムニミキサー(形式:OM−5、容量5リットル、千代田技研工業(株)製)中に投入し、回転数400rpmで1分間撹拌した後、更に水455gとポリカルボン酸系AE減水剤(NRV−100、竹本油脂(株)製)13gを投入し、1分間の混練りを行った。そして専用の型枠(30×30×厚み1cm)中に混練り後のセメントマトリックスを流し込んで成型を行い、60℃×1日間の湿潤養生後に脱型し、続いて150℃×12時間のオートクレーブ養生を行った。
【0035】
実施例2〜3
芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0036】
実施例4〜6
芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表1に示すように変更し、オートクレーブ養生を180℃×10時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0037】
比較例1〜3
繊度2.7dtex、強度12.5cN/dtexの単繊維が750本集まったビニロン繊維を熱硬化型樹脂〔尿素ホルマリン樹脂(住友化学社製SR-260)〕の付与により単繊維間を弱く接着して分離可能に仮集束し、6mmにカットしたものを補強繊維として用い、繊維のセメント中への添加量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0038】
比較例4〜6
単繊維繊度16.7dtex、強度5.0cN/dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維(モノフィラメント)を補強繊維として用い、繊維のセメント中への添加量を表2に示すように変更し、オートクレーブ養生を180℃×10時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0039】
比較例7〜8
芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表2に示すように変更し、オートクレーブ養生を180℃×10時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0040】
実施例1〜6、比較例1〜8における物性値の測定結果と評価結果を表1、2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表1、2より明らかなように、実施例1〜6で得られた繊維補強セメント成型物は、繊維の分散性や流動性に優れ、且つ、高温湿潤養生下でも繊維の溶解もなく、セメント補強性能は優れたものであり、曲げ強度、衝撃強度ともに優れた成型物であった。
一方、比較例1〜3では、150℃の湿潤養生下で繊維が溶解してしまい、補強繊維によるセメント成型物の補強効果は認められなかった。また、繊維配合量の増加とともに、流動性も低下した。比較例4〜6では、繊維配合量の増加とともに流動性が低下し、180℃の湿潤養生下で繊維が溶融してしまい、補強繊維によるセメント成型物の補強効果は認められなかった。比較例7では、繊維配合量が少なく、流動性は良好であったものの、補強繊維による補強効果に劣るものであった。比較例8では、繊維配合量が過剰であったため、流動性が低下し、曲げ強度の低いセメント成型物となった。
【0044】
【発明の効果】
本発明の繊維補強セメント成型物は、補強繊維がセメントマトリックス中で優れた流動性、分散性を有し、かつ、セメント成型物の養生において高温湿潤下での養生が可能であるため、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能が向上した成型物とすることが可能であり、各種のセメントを材料とする建築材料や土木材料などの構造物、板状物、円状物、テトラポット、タイル状物として幅広く利用することが可能である。
Claims (3)
- ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維を0.5〜5.0容積%含む繊維補強セメント成型物であって、130℃以上の温度で養生されてなることを特徴とする繊維補強セメント成型物。
- 芯鞘型複合繊維が、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、鞘部のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維である請求項1記載の繊維補強セメント成型物。
- ポリオレフィンがポリプロピレンである請求項1〜2のいずれかに記載の繊維補強セメント成型物。
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