JP2003321265A - 繊維補強セメント成型物 - Google Patents

繊維補強セメント成型物

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JP2003321265A JP2002128377A JP2002128377A JP2003321265A JP 2003321265 A JP2003321265 A JP 2003321265A JP 2002128377 A JP2002128377 A JP 2002128377A JP 2002128377 A JP2002128377 A JP 2002128377A JP 2003321265 A JP2003321265 A JP 2003321265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニロン繊維を含有しながらもセメントマト
リックス中での分散性が良好であり、しかも湿潤高温下
での養生が可能で、曲げ強度、衝撃強度、耐亀裂性等の
性能が向上した繊維補強セメント成型物を提供する。 【解決手段】 ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層
が被覆している芯鞘型複合繊維を0.5〜5.0容積%
含む繊維補強セメント成型物であって、130℃以上の
温度で養生されてなることを特徴とする繊維補強セメン
ト成型物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維で補強された
セメント成型物に関し、さらに詳しくは、ビニロン繊維
を含有しながらもセメントマトリックス中での分散性が
良好であり、しかも湿潤高温下での養生が可能な繊維補
強セメント成型物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セメントをマトリックスとする各種構築
物や二次製品などは圧縮強度に優れているものの、曲げ
強度、衝撃強度、耐亀裂性等の性能は低く、大きな短所
となっており、これを補う方法として、無機繊維や有機
繊維を配合することが行われている。
【0003】無機繊維としては、石綿を配合したスレー
トが代表的であるが、耐アルカリガラスを配合した通称
GRCと呼ばれているガラス強化セメント製品やグラス
ウールなども使用されている。無機繊維を配合すると極
めて優れた機械的性能を付与することができるが、種々
の問題も含んでいる。
【0004】例えば、石綿については、労働安全衛生
法、環境面への配慮が必要であり、近年PRTR法(特
定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の
促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法))の
特定物質に指定されている。一方、耐アルカリガラス繊
維を配合した場合では、初期の機械的特性は優れている
ものの耐アルカリ性が不十分であり、セメントなどの高
アルカリ性マトリックスへの配合は、耐久性の面で満足
できるものではなかった。また、配合原料の混練時に繊
維が折れるという欠点もあり、混練度合いの強いミキサ
ーを使用する場合や押し出し成型をする場合には補強効
果が期待できない。
【0005】一方、有機繊維をセメントマトリックスに
配合した場合も、曲げ強度、耐衝撃性、耐亀裂性の向上
などに効果的ではあるが、その有機繊維の性能として
は、セメントマトリックスより高い強度、高いヤング
率、適度な伸度が必要であるばかりでなく、耐久性の面
からセメントの高濃度アルカリ下に耐え得る性能も必要
である。
【0006】これらの性能の点で、ビニロン繊維はいず
れの要求特性においても優れた性能を発揮するので最適
な素材の1つであり、セメント補強繊維として幅広く用
いられている。しかしながら、ビニロン繊維は水溶性樹
脂であるポリビニルアルコールから得られるため、耐湿
熱性(湿潤時の溶解温度は130℃以下)は130℃程
度までが限度である。セメントマトリックスの混練時に
は撹拌水を使用するため、セメント成型物の製造過程で
130℃以上(150〜180℃程度)で蒸気養生した
り、オートクレーブ中で養生するような場合は溶融して
しまい、補強繊維として使用することができなかった。
【0007】さらに、セメント成型物において繊維の補
強効果を最大限に発揮させるためには、繊維をセメント
マトリックス中に均一に分散させることが必要である
が、ビニロン繊維をセメントマトリックス中に分散させ
る場合、繊維長を短くし、注意深く混練りしても繊維が
三次元的に絡み、球状となるなど均一な分散状態が得ら
れにくく、その結果、流動性を損なうという問題があっ
た。
【0008】特公昭62-21743号公報には、複数のビニロ
ン繊維を熱硬化性樹脂からなる接着剤で弱く接着させ、
分離可能に一体化したセメント補強繊維が記載されてい
る。この補強繊維はセメントマトリックス中での分散性
を考慮したものであり、セメントマトリックス中に混合
し攪拌する段階で接着剤が剥離し、接着されていた複数
のビニロン繊維が分離するというものである。したがっ
て、耐湿熱性の改良は行われておらず、高温湿熱下での
養生を行うと溶融してしまい、補強繊維としての効果を
奏することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決するものであり、ビニロン繊維を含有し
ながらもセメントマトリックス中での分散性が良好であ
り、しかも湿潤高温下での養生が可能で、曲げ強度、衝
撃強度、耐亀裂性等の性能が向上した繊維補強セメント
成型物を提供することを技術的な課題とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために検討した結果、ビニロン繊維の周囲に
ポリオレフィン層を配した芯鞘型複合繊維を用いること
により、ビニロン繊維の耐湿熱性およびセメントマトリ
ックス中での分散性を大幅に向上させることが可能とな
り、高温での養生が可能で、曲げ強度、衝撃強度、耐亀
裂性等の性能が向上したセメント成型物を得ることがで
きることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、ビニロン繊維の周囲
をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維を
0.5〜5.0容積%含む繊維補強セメント成型物であ
って、130℃以上の温度で養生されてなることを特徴
とする繊維補強セメント成型物を要旨とするものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の繊維補強セメント成型物は、ビニロン繊
維を補強繊維として使用しながら、130℃以上の温度
で養生が可能な成型物である。通常のビニロン繊維は、
乾熱時には240℃程度の融点を有しているが、湿熱(含
水状態)では130℃以下で溶融してしまい、補強繊維
としての機能を果たすことができなかったが、本発明に
おいては、補強繊維として、ビニロン繊維の周囲をポリ
オレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維を用いるこ
とによって、130℃以上の高温湿潤下での養生やオー
トクレーブ中での養生を可能としたものである。
【0013】補強繊維として用いるビニロン繊維の周囲
をポリオレフィン層が被覆している芯鞘型複合繊維につ
いて説明する。複合繊維の芯部を構成するビニロン繊維
は、従来の方法に従いポリビニルアルコールを原料とし
て湿式法、乾式法、乾湿式法、ゲル紡糸法等により得ら
れた繊維であり、モノフィラメント、マルチフィラメン
トのいずれであってもよく、また、短繊維からなる紡績
糸のような繊維集合体であってもよい。なお、ポリビニ
ルアルコールの重合度は1500以上、鹸化度が95モ
ル%以上のものを用いることが好ましい。また、耐熱水
性を向上させるために、ホルムアルデヒド、硫酸ナトリ
ウム、硫酸などを含有する液を用いてアセタール化処理
したものが好ましく、アセタール化度が30〜40モル
%のものとすることが好ましい。
【0014】中でも、0.5〜10dtexの単繊維の
からなるマルチフィラメントであることが好ましく、強
度は6cN/dtex以上のものが好ましい。強度が6
cN/dtex未満であると、セメント成型物の補強効
果が乏しくなりやすい。
【0015】本発明における複合繊維は、このような芯
部のビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層が被覆して
いるものであり、具体的にはビニロン繊維の周囲をポリ
オレフィン樹脂でコーティングしたものやポリオレフィ
ンフィルムで被覆したもの、ポリオレフィンを繊維と
し、ビニロン短繊維とポリオレフィン短繊維との複合紡
績糸、いずれか一方が長繊維である長短複合紡績糸、フ
ィラメント加工技術による合撚糸や交絡混繊糸など従来
の技術によって製造される複合糸が挙げられる。
【0016】中でも、本発明においては、ビニロン繊維
の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、熱処理を施すこ
とにより、鞘部のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯
部のビニロン繊維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維
であることが好ましい。
【0017】いずれの形態においてもビニロン繊維の周
囲をポリオレフィン層で露出する部分がないように被覆
していることが好ましく、かつ複合繊維の長手方向に沿
って、斑なく均一に被覆していることが好ましい。この
ように被覆することにより、複合繊維の芯部を構成する
ビニロン繊維に水などの侵入を防ぐことができ、ビニロ
ン本来の機能を生かすことができ、高温湿潤下での養生
や使用も可能なセメント成型物とすることができる。
【0018】鞘部を構成するポリオレフィンとしては、
特に限定するものではないが、コストなどの面からポリ
プロピレン、ポリエチレン等を好適に用いることができ
る。中でも比較的高融点であることからポリプロピレン
を用いることが好ましい。
【0019】ポリオレフィンを繊維とする場合は、長繊
維、短繊維のいずれとしてもよく、従来の方法に従い、
溶融紡糸して得られたものであり、ビニロン繊維を被覆
するためにはマルチフィラメントとすることが好まし
い。なお、ビニロン繊維への水の侵入を抑制する役割と
いう観点からは、強度やヤング率、伸度などの性能につ
いては特に限定されるものではない。単繊維繊度につい
ても特に限定されるものではないが、大きすぎると繊維
同士の接触面積が小さくなり、ビニロン繊維の周囲を露
出する部分がないように被覆することが困難となる場合
があるので、0.5〜10dtex程度とすることが好
ましい。
【0020】そして、本発明において最も好ましい複合
繊維の形態について説明する。前述したように、芯鞘型
複合繊維が、ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維
が被覆し、熱処理により鞘部のポリオレフィン繊維同士
が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆している芯
鞘型複合繊維であることが好ましい。ビニロン繊維に水
などの侵入を防ぐ効果を高めるために、ポリオレフィン
繊維同士の溶着状態としては、できるだけ隙間なく繊維
同士が溶着した状態が好ましい。このため、ポリオレフ
ィン繊維は元の繊維形状を保持しているよりも、大部分
が溶融してビニロン繊維表面を樹脂状、フィルム状とな
ってコーティングした状態で溶着していることが好まし
い。
【0021】また、このような形状の複合繊維とするに
は、前記したようなビニロン繊維とポリオレフィン繊維
を用い、通常の紡績技術やフィラメント加工技術を用い
て紡績糸や合撚糸や交絡混繊糸等を製造し、この複合繊
維にポリオレフィン繊維の融点以上、(融点+50℃)
以下の温度で熱処理することにより得ることができる。
【0022】したがって、このような形状の複合繊維で
あると、ポリオレフィン樹脂をコーティングした場合に
比べて、芯部と鞘部の複合比率を容易に変更することが
でき、ポリオレフィン層の被覆の程度を容易に変更する
ことが可能である。
【0023】複合繊維における芯鞘比率、すなわち、ビ
ニロン繊維とポリオレフィン層の複合比率は、ビニロン
繊維を実質的に完全に被覆でき、かつビニロン繊維の性
能を有する複合繊維とするために、ポリオレフィン層/
ビニロン繊維(質量比)=70/30〜10/90が好
ましく、さらには50/50〜20/80が好ましい。
【0024】このような芯鞘型複合繊維とすることによ
り、芯部のビニロン繊維への水の浸透を疎水性である鞘
部のポリオレフィン層が保護するために、セメントマト
リックスの混練時に撹拌水を吸水することがなく、ビニ
ロン繊維が乾熱時に有している240℃程度の融点を保持
することが可能となる。なお、このとき、ポリオレフィ
ン層が溶融する温度以上で養生を行ったとしても、溶融
状態でポリオレフィンがビニロン繊維を保護し、水の浸
透を防ぐ効果を奏するため、ポリオレフィン層が溶融す
る温度以上での養生も可能となる。
【0025】さらには、鞘部のポリオレフィン層の被覆
により、セメントマトリックスの混練時の補強繊維の流
動性も向上する。本発明のセメント成型物は、補強繊維
の分散性が良好であるため、セメントスラリー中への混
入に際し、特別の繊維分散機を設けることは不要であ
り、しかもミキサーの機種を選ばず、セメントスラリー
混練時のどの時点で投入しても均一分散し、優れた流動
性を保持することができ、繊維の補強効果を最大限に利
用することができる。
【0026】本発明のセメント成型物における補強繊維
の配合量は、補強効果や繊維の均一分散性、コストなど
を考慮してセメントマトリックス全量に対して、0.5
〜5.0容量%とすることが必要であり、より好ましく
は1.0〜3.0容量%である。0.5容量%未満であ
ると、補強性能が不十分となり、成型物の曲げ強度や衝
撃強度が低下しやすい。一方、5.0容量%を超える
と、分散不良となり補強性能が十分に発揮できず、成型
物の曲げ強度や衝撃強度が低下しやすい。
【0027】そして、補強繊維である複合繊維は、分散
性と補強性能を考慮すると、3〜30mmの長さに切断
したものを配合することが好ましい。3mm未満である
と、セメント硬化体との臨界付着面積が少なく、補強効
果が不十分となり、一方、30mmを超える場合は、混
練時に繊維に湾曲が発生し、繊維同士が絡んで分散性が
低下しやすく、繊維の補強効果が不十分となりやすい。
【0028】本発明におけるセメントとは、たとえば普
通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、
中庸熱ポルトランドセメント、フライアッシュセメン
ト、高炉セメント、シリカセメント、アルミナセメン
ト、耐硫酸塩セメント、油井セメント、白色セメント、
コロイドセメント、舗装用セメント、低熱セメント、ま
たは、マグネシアセメント等を挙げることができる。
【0029】また、これらのセメント中には効果を損な
わない範囲内で種々の混和材を含有させていてもよく、
川砂、陸砂などの細骨材や軽量骨材、二酸化珪素や酸化
マグネシウムを含有する無機粉末体などを混合すること
ができる。
【0030】本発明のセメント成型物は、成型後、13
0℃以上の温度で養生されてなるものである。養生と
は、セメントの硬化作用を十分に発揮させるため、適当
な温度と湿度を確保し、保護しておくことであるが、本
発明のセメント成型物は製品の早期強度の発現や寸法安
定性の改善を目的として行われている高温高圧蒸気養生
(オートクレーブ養生)も可能となるものである。養生
温度としては特に150〜180℃が好ましく、養生時
間は特に限定されるものではないが、8〜20時間とす
ることが好ましい。
【0031】本発明のセメント成型物を成型する方法と
しては、特に限定されるものではなく、例えば、型枠流
し込み成型、プレス成型、吹き付け成型、振動成型、押
し出し成型、遠心成型、抄造成型、真空成型等の成型方
法が挙げられる。
【0032】本発明のセメント成型物は、曲げ強度、衝
撃強度、耐亀裂性等の性能が向上したものであり、広く
建築材料、土木材料などの構造物、板状物、円状物、テ
トラポット、タイル状物等として利用することが可能で
ある。
【0033】
【実施例】次に、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例で用いた各種値の測定及び評
価は下記のとおりに行ったものである。 〈流動性〉補強繊維を投入、攪拌し、混練り終了後(型
枠投入の前)のモルタルフロー値の測定をJIS R−
5201に記載するセメントの物理試験方法に準じて測
定した。 〈曲げ強度〉得られたセメント成型物を幅4cm×長さ
12cm×厚み1cmの試供体とし、2点支持中央載荷
にて曲げ試験を行った。すなわち、981N用テンシロ
ン(RTM−100、ORIENTEC(株)製)を用
いて、支点距離10cmの中心を2mm/minで載荷
し、応力の最高値を測定し、この値を曲げ強度とした。 〈シャルピー衝撃強度〉得られたセメント成型物を幅
1.7cm×長さ9cm×厚み1cmの試供体とし、J
IS K−7111に準じて測定した。 〈繊維の残存状態〉得られたセメント成型物とオートク
レーブ養生前の成型物の破断面を目視にて観察し、オー
トクレーブ養生前の成型物と同等に繊維が残存している
ものを○、残存していないものを×とした。
【0034】実施例1 単繊維繊度2.2dtex、強度6.6cN/dte
x、総繊度55万dtexのアセタール化したビニロン
短繊維と単繊維繊度2.2dtex、総繊度80万dt
ex、強度5.3cN/dtex、融点160℃のポリ
プロピレン(PP)短繊維を引き揃え、芯部がビニロン
繊維、鞘部がPP繊維となるようにしてパーロック紡績
法により繊度1100dtexの複合繊維を得た。この
とき、複合繊維の複合比率(質量比:PP繊維/ビニロ
ン繊維)が50/50のものとした。次に、複合繊維を
パーンから引き出し、第1ローラに巻き回して引き取
り、第2ローラとの間に熱風乾燥炉を設けて、熱処理温
度190℃、熱処理時間を2分として熱処理を行い、ビ
ニロン繊維の周囲をポリオレフィン繊維が被覆し、鞘部
のポリオレフィン繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊
維の全周を被覆している芯鞘型複合繊維とし、繊維長6
mmに切断した。次に、普通ポルトランドセメント13
00g、珪砂5号1300g、上記繊維を全量に対して
1.0容量%添加し、オムニミキサー(形式:OM−
5、容量5リットル、千代田技研工業(株)製)中に投
入し、回転数400rpmで1分間撹拌した後、更に水
455gとポリカルボン酸系AE減水剤(NRV−10
0、竹本油脂(株)製)13gを投入し、1分間の混練
りを行った。そして専用の型枠(30×30×厚み1c
m)中に混練り後のセメントマトリックスを流し込んで
成型を行い、60℃×1日間の湿潤養生後に脱型し、続
いて150℃×12時間のオートクレーブ養生を行っ
た。
【0035】実施例2〜3 芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表1に示すよ
うに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0036】実施例4〜6 芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表1に示すよ
うに変更し、オートクレーブ養生を180℃×10時間
に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0037】比較例1〜3 繊度2.7dtex、強度12.5cN/dtexの単
繊維が750本集まったビニロン繊維を熱硬化型樹脂
〔尿素ホルマリン樹脂(住友化学社製SR-260)〕の付与
により単繊維間を弱く接着して分離可能に仮集束し、6
mmにカットしたものを補強繊維として用い、繊維のセ
メント中への添加量を表2に示すように変更した以外
は、実施例1と同様に行った。
【0038】比較例4〜6 単繊維繊度16.7dtex、強度5.0cN/dte
x、カット長6mmのポリプロピレン繊維(モノフィラ
メント)を補強繊維として用い、繊維のセメント中への
添加量を表2に示すように変更し、オートクレーブ養生
を180℃×10時間に変更した以外は実施例1と同様
に行った。
【0039】比較例7〜8 芯鞘型複合繊維のセメント中への添加量を表2に示すよ
うに変更し、オートクレーブ養生を180℃×10時間
に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0040】実施例1〜6、比較例1〜8における物性
値の測定結果と評価結果を表1、2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1、2より明らかなように、実施例1〜
6で得られた繊維補強セメント成型物は、繊維の分散性
や流動性に優れ、且つ、高温湿潤養生下でも繊維の溶解
もなく、セメント補強性能は優れたものであり、曲げ強
度、衝撃強度ともに優れた成型物であった。一方、比較
例1〜3では、150℃の湿潤養生下で繊維が溶解して
しまい、補強繊維によるセメント成型物の補強効果は認
められなかった。また、繊維配合量の増加とともに、流
動性も低下した。比較例4〜6では、繊維配合量の増加
とともに流動性が低下し、180℃の湿潤養生下で繊維
が溶融してしまい、補強繊維によるセメント成型物の補
強効果は認められなかった。比較例7では、繊維配合量
が少なく、流動性は良好であったものの、補強繊維によ
る補強効果に劣るものであった。比較例8では、繊維配
合量が過剰であったため、流動性が低下し、曲げ強度の
低いセメント成型物となった。
【0044】
【発明の効果】本発明の繊維補強セメント成型物は、補
強繊維がセメントマトリックス中で優れた流動性、分散
性を有し、かつ、セメント成型物の養生において高温湿
潤下での養生が可能であるため、曲げ強度、衝撃強度、
耐亀裂性等の性能が向上した成型物とすることが可能で
あり、各種のセメントを材料とする建築材料や土木材料
などの構造物、板状物、円状物、テトラポット、タイル
状物として幅広く利用することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D02G 3/36 D02G 3/36 3/44 3/44 C04B 111:20 C04B 111:20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニロン繊維の周囲をポリオレフィン層
    が被覆している芯鞘型複合繊維を0.5〜5.0容積%
    含む繊維補強セメント成型物であって、130℃以上の
    温度で養生されてなることを特徴とする繊維補強セメン
    ト成型物。
  2. 【請求項2】 芯鞘型複合繊維が、ビニロン繊維の周囲
    をポリオレフィン繊維が被覆し、鞘部のポリオレフィン
    繊維同士が溶着して芯部のビニロン繊維の全周を被覆し
    ている芯鞘型複合繊維である請求項1記載の繊維補強セ
    メント成型物。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィンがポリプロピレンである
    請求項1〜2のいずれかに記載の繊維補強セメント成型
    物。
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