JP4252369B2 - 解繊性に優れた補強用短繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントなどを代表例とする水硬性硬化材料、特に吹き付け施工用材料の補強用繊維として好適な短繊維状の集束糸であって、解繊性に優れた補強用短繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、セメントなどの水硬性硬化材料を使用した施工品や成形品のひび割れ抑制や曲げ強度、靭性などの機械特性を向上させる目的として、各種の繊維状物を配合することは公知の技術であり、数多く提案されている。
【0003】
しかしながら、繊維をセメントなどの水硬性硬化材料のマトリックス(母材)中に均一に分散させることは極めて困難であり、混練の際に単繊維同士が絡みあったり、湾曲してファイバーボールが発生して、目標とする補強効果が得られにくいという問題がある。
【0004】
このような状況に鑑み、複数本の繊維を集束剤で結合一体化した集束糸(チョップドストランド)を補強材として使用することが提案されており、熱硬化性樹脂により複数本の繊維を弱く接着した集束糸が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような集束糸を使用した場合、まず、集束糸の形態でマトリックス中に分散し、次いで撹拌機中での撹拌羽根やマトリックスとの摩擦や剪断力により樹脂が脱離して集束状態が徐々にはずれて単繊維から複数本の状態に解繊し、分散されていく。したがって、集束されていない繊維を混入する場合に比較して、均一分散性に優れるという特徴を有している。
【0006】
しかしながら、この集束糸は、熱硬化性樹脂により接着されているため、上記のような機械により、長時間攪拌を行わないことには十分に解繊させることが困難であった。攪拌を行うことにより単繊維に解繊されるが、長時間攪拌すると、すでに解繊された繊維は、未解繊の繊維を解繊させるために攪拌を続けるうちにファイバーボールを形成するという問題があった。そして、このようなファイバーボールが形成されると補強効果が損なわれる。
【0007】
また、水溶性高分子樹脂で集束され、PH12における解繊度が50%以上である集束糸が開示されている(特許文献2参照)。この集束糸によると、解繊度が優れており、分散性に優れ、ファイバーボールも形成されにくいものであった。しかしながら、この集束糸は、解繊度の定義からも明らかなように、攪拌プロペラによる攪拌を行うことにより解繊されるものであって、上記と同様に機械的な攪拌が必要であり、十分な解繊性を有しているものではなかった。
【0008】
さらに、水溶性高分子樹脂で固めた集束糸であって、アスペクト比を規定し、コンクリート成型品中では20%以上、単繊維に解繊するものが記載されている(特許文献3参照)。また、疎水性高分子集束剤で固着し、アスペクト比を20〜300となるようにして切断したセメントモルタル又はコンクリート補強用繊維も提案されている(特許文献4参照)。
【0009】
これらの集束糸は集束剤として、水溶性又は疎水性でかつフィルム形成能を有するものを用いているため、集束性は良好であるが解繊性は不十分であり、上記と同様に機械的な攪拌を長時間行うことによりはじめて解繊されるものであり、短時間での解繊性には優れていなかった。
【0010】
ところが、近年、セメントを結合材とする繊維補強モルタルやコンクリートのポンプ打設や吹き付け施工において、施工機器の能力や効率の増強化(改良)により、原材料混合物の撹拌をより短時間で行う必要が生じている。特に止水箇所の施工や吹き付け施工においては、セメントの凝結を著しく促進させて短時間に固化させるためにアルミニウム塩や炭酸塩を主成分とする急結剤を用いることが多く、原材料混合物の撹拌時には、より短時間で集束糸が均一に解繊、分散することが必要であった。そこで、より短時間に均一分散する集束糸が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特公昭62-21743号公報(第1〜5頁)
【特許文献2】
特開平10-183473号公報(第1〜5頁)
【特許文献3】
特公昭64-1424号公報(第1〜11頁)
【特許文献4】
特公平5-43654号公報(第1〜11頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するものであって、セメントなどの水硬性材料に混練り水を加えたときのようなアルカリ雰囲気下においても、機械的な攪拌を長時間を行うことなく、短時間で解繊、均一分散することができ、セメントなどの水硬性材料の補強効果が高く解繊性に優れた補強用短繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、複数本のポリビニルアルコール単繊維が集束剤によって分離可能に一体化された短繊維状の集束糸であって、単繊維のアスペクト比が100〜1000、集束剤が下記の式(1)で示される構成単位を20〜40モル%、下記の式(2)で示される構成単位を10〜30モル%及び下記の式(3)で示される構成単位を50〜60モル%(合計100モル%)の割合で有し、かつ数平均分子量が1000〜100000の(メタ)アクリル酸共重合体である解繊性に優れた補強用短繊維を要旨とするものである。
【化4】
【化5】
【化6】
(式(1)、式(2)、式(3)において、
R1、R2、R3:水素またはメチル基
R4、R5:水素、炭素数1〜10の炭化水素基
Y:−CO2R5で示される有機基、−CH2SO3M2で示される有機基、−OC6H4SO3M3で示される有機基、−C6H4SO3M4で示される有機基のいずれか。
A1:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が3〜200のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
M1、M2、M3、M4:水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン(ただし、同一又は異なっていてもよい))
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の短繊維は、セメントなどの水硬性材料を結合材とするモルタル、コンクリートなどの補強用短繊維として優れた効果が得られる。セメントなどの水硬性材料に混練り水を加えるとセメント中の化合物と水との水和反応が始まるとともに、その原料混合物はアルカリ雰囲気下となる。このとき、撹拌時間が長くなるほど原料混合物の温度は上昇し、水和反応が進んで流動性を失い施工し難くなってしまう。
【0015】
従って、補強繊維用短繊維としては、アルカリ雰囲気下で優れた解繊性を有することが不可欠であり、さらには、水の温度が高く原料混合物の水和反応が進みやすい比較的高温な状態においても優れた解繊性を有することが必要である。
【0016】
本発明の短繊維はセメント等と水とを加えて混練りする際に、水を添加した段階で速やかに解繊しはじめ、混練機での攪拌、混練を行うとさらに解繊が進み、短時間で均一かつ十分に解繊するものである。
【0017】
すなわち、本発明の短繊維は、下記の式(1)で示される構成単位を20〜40モル%、下記の式(2)で示される構成単位を10〜30モル%及び下記の式(3)で示される構成単位を50〜60モル%(合計100モル%)の割合で有し、かつ数平均分子量が1000〜100000の(メタ)アクリル酸共重合体を集束剤として用い、この集束剤により分離可能に一体化された短繊維状の集束糸である。
【化7】
【化8】
【化9】
(式(1)、式(2)、式(3)において、
R1、R2、R3:水素またはメチル基
R4、R5:水素、炭素数1〜10の炭化水素基
Y:−CO2R5で示される有機基、−CH2SO3M2で示される有機基、−OC6H4SO3M3で示される有機基、−C6H4SO3M4で示される有機基のいずれか。
A1:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が3〜200のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
M1、M2、M3、M4:水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン(ただし、同一又は異なっていてもよい))
【0018】
式(1)で示されるものとしてはカルボン酸系ビニルポリマー等、式(2)で示されるものとしてはポリオキシアルキレン系ビニルポリマー等、式(3)で示されるものとしてはスルホン酸系ビニルポリマー等が挙げられる。
【0019】
集束剤が、上記(1)〜(3)で示される構成単位の割合や数平均分子量の範囲外である(メタ)アクリル酸共重合体であると、上記したような優れた解繊性を有する集束糸とすることができなくなる。また、アクリル酸共重合体以外の樹脂であっても、アルカリ雰囲気下で優れた解繊性を有する集束糸とすることができなくなる。
【0020】
なお、アクリル酸共重合体以外の他の樹脂として、たとえば尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂のような熱硬化型樹脂(特許文献1の集束糸に使用)やエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体のような疎水性集束剤(特許文献4の集束糸に使用)により集束した場合、硬化後に樹脂がフィルム状被膜を形成して、機械的な長時間の撹拌でしか解繊は困難となる。また、鹸化度の低いポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(特許文献3の集束糸に使用)を用いて集束した場合、セメント濾水(抽出液)のような強アルカリ条件下では、残存酢酸基がセメント中のアルカリとの鹸化反応によって疎水化されるとともに結晶化度が高くなることによって完全鹸化のポリビニルアルコールとなり、水への溶解性が著しく低下することによって集束糸の解繊は困難となる。
【0021】
そして、本発明の短繊維は、解繊性に優れる指標として、下記で定義する解繊度が70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
なお、解繊度とは、500mlビーカーに40℃、500mlのセメント濾水(セメントと水の比率が1:1の質量比率からなる混合液物を濾紙を使って吸引濾過して採取したセメント濾水抽出液)を入れ、マグネチックスターラーによって渦の中心が300mlの目盛りを指すように回転を合わせ、その水中に短繊維1gを投入し、30秒間攪拌を行い、集束状のもの(A)と解繊したもの(B)を目視にて分別し、絶乾した後、A、Bの質量を測定し、次式にて算出する。
解繊度(%)=〔(Bの質量)/(Aの質量+Bの質量)〕×100
【0022】
解繊度が70%以上であることにより、セメント濾水中のアルカリ雰囲気下で比較的高温の40℃の条件下においても、原材料混合物を混練りする際にミキサー等を使用した機械的な撹拌や混練に依存することなく容易に解繊される。
【0023】
このため、原料混合物の撹拌時間を短縮でき、たとえ夏場等の原料混合物の温度が高く水和反応が進みやすい状態であっても容易に素早く解繊するので、繊維が損傷し難く、ファイバーボールの形成も生じることがない。そして、得られるコンクリート等は繊維の有する性能が十分に発揮された補強効果を有するものとなる。
【0024】
解繊度が70%未満である場合、セメント濾水中のアルカリ雰囲気下で容易に解繊されないので、原料混合物の撹拌時間が長くなり、ファイバーボールが形成されて、得られるコンクリート等は十分な補強効果を有さないものとなりやすい。
なお、解繊度の定義においてマグネチックスターラーでの攪拌を行うのは、機械的な攪拌や混練ではなく、簡単なかき混ぜを行うだけで解繊する状態を示すためのものである。
【0025】
また、本発明の短繊維は、単繊維のアスペクト比が100〜1000であり、好ましくは200〜800、より好ましくは300〜600である。アスペクト比とは、繊維の長さと直径の比(長さ/直径)をいう。アスペクト比が100未満となると分散性は優れているものの、セメント補強効果が乏しくなる。一方、1000を超えると適切な集束剤により分離可能に一体化させた集束糸といえども、単繊維同士が絡みあって均一な分散性が得難くなる。
【0026】
本発明の集束糸を構成するポリビニルアルコール繊維としては、その紡糸方法において特に限定されるものではなく、湿式法、乾式法、乾湿式法などを用い、その後、延伸、中和、湿熱延伸、水洗、乾燥、熱延伸を施した繊維が用いられる。集束糸を構成する単繊維の繊度としては、分散性と補強効果の観点から0.1dtex〜22.2dtex、さらには、0.6dtex〜11.1dtexであることが好ましい。
そして、本発明の集束糸は、単繊維数が100〜1000のフィラメントとすることが好ましく、さらにはこれらのフィラメントを複数本集束したものとして用いてもよく、この場合は、単繊維数を数万〜数百万本とすることが好ましい。
【0027】
また、単繊維強度としては特に限定されるものではないが、補強効果の観点からは6cN/dtex以上であることが好ましい。
【0028】
集束剤の付着量は、ポリビニルアルコール繊維質量に対して3〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは7〜12質量%とする。付着量が3質量%未満の場合は集束性が不十分となりやすく、一方、20質量%を超える場合には十分な集束性は得られるものの、解繊度が低下したり、集束剤を付与させる工程で集束剤のガムアップなどがローラ部分などで生じるために作業性が著しく不良となりやすい。
【0029】
集束剤を付着させる方法としては、単繊維が集まったマルチフィラメント長繊維、さらにはそれを複数本に引き揃えた形状のものやトウ状長繊維をボビンやビームクリールから連続的に送繊されるようにして、集束剤の入った漕の中で含浸させる方法やローラータッチ法によって付着させる方法、スプレー方式により集束剤を噴霧して付着させる方法などが挙げられるが、繊維に均一に付着させるためには集束剤の入った漕の中で含浸させる方法が好ましく、次いで絞りロールで一定の付着量に調整すればよい。
【0030】
そして、集束剤を付与した後には、乾燥処理を施すことが好ましく、装置としては特に限定されるものではないが、非接触型の熱乾燥炉を用いると集束剤による装置への付着や汚れがなく作業しやすい。また、この時の処理温度としては105〜200℃程度、特に120〜180℃程度で乾燥することが好ましい。次いで、得られたトウ状繊維物を公知の切断機によって所定の繊維長になるように切断すればよい。
なお、集束剤の付着量は、上記のようにして付着させた後、乾燥処理を行ってもその付着量はほとんど変化しない。
【0031】
本発明の短繊維のセメント等への添加方法としては特に限定されるものではない。例えば、セメントモルタルやコンクリートなどの補強用として用いる場合には、予めセメントと細骨材、粗骨材等と本発明の短繊維をドライプレミックスとしたのちに水を添加して混練りする方法、または、セメントと細骨材、粗骨材等と水を十分に撹拌したのち、最後に本発明の短繊維を添加して混練りする方法が挙げられる。
本発明の短繊維を配合したマトリックスの撹拌に用いる混練機としては、特に限定するものではないが、パン型ミキサー、可傾式ミキサー、オムニミキサー、トラックミキサー等が挙げられる。
【0032】
セメントなどを代表例とする水硬性硬化材料中への本発明の短繊維の添加量は、補強性と分散性の観点から水硬性硬化材料〔下記に詳述するようなセメント、混和材(砂や骨材等)、混和剤(AE剤、源水剤、増粘剤等)、水〕の容量に対して、0.3〜5容量%、さらには0.5〜3容量%とすることが好ましい。
本発明におけるセメントなどを代表例とする水硬性硬化材料とは、各種ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等のセメント類や石膏、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等であり、これらは、単独もしくは混合して用いてもかまわない。また、細砂、砂利等の骨材、シラスバルーンやパーライト等の軽量骨材、作業性・耐久性の改質や増量効果による経済性を持たせることを目的として、フライアッシュや高炉スラグ、炭酸カルシウム等の混和材、AE剤、減水剤、増粘剤、気泡剤、発泡剤、防錆剤等を混合利用できる。
【0033】
また、本発明の短繊維を配合したモルタル、コンクリート等の用途は特に限定されるものではなく、一般の土木材料や建築材料として使用できる。例えば、吹き付け成型、プレス成型、振動成型、遠心成型等により、法面補強、建築構造物の基礎、二次製品(ブロック、板状物、シート状物、テトラポット等)等、幅広い用途に利用される。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の各種の値の測定は以下のように行った。
1.解繊度
前記のように測定した。なお、攪拌後の溶液から集束状のもの(A)と解繊したもの(B)を目視にて分別する際には、溶液を60メッシュの金網で濾過して繊維状物を採取し、次いで、目視にてピンセットで単繊維状に解繊しているものと集束状態で残っているものを分別し、それぞれを絶乾して質量を測定し、算出式にて解繊度を求めた。そして、濾紙はADVANTEC社製No.2を用いた。
2.アスペクト比
定長カットされた単繊維の長さ(a)をスケールの付いた光学顕微鏡または、マイクロスコープによる断面観察によって測定した単繊維の直径(b)で除した。
アスペクト比=(a)/(b)
3.集束剤付着量
集束剤付与前の繊維と集束剤付与、乾燥後カット前の繊維をそれぞれ10m採取して質量を測定し、次式で算出した。
付着量(質量%)=〔(B−A)/A〕×100
A:集束剤付与前の繊維の質量
B:集束剤付与、乾燥後カット前の繊維の質量
4.セメントモルタル板曲げ強度
細骨材(珪砂5号)/普通ポルトランドセメント比が1/1になるように配合した原材料をオムニミキサー中に投入し、ドライプレミックスした後、水/セメント質量比が4/10になるように水を入れた水硬性硬化材料に、水硬性硬化材料の容量の2容量%となるように短繊維を添加し、30秒間撹拌を行った。その後、この水硬性硬化材料を幅4cm、長さ16cm、厚み4cmの型枠に流し込み、バイブレータで振動、脱泡・締め固め後、室温中で1日間清置して脱型、20℃水中×28日間の養生を施した。その後、60℃に設定したオーブン乾燥機中で24時間乾燥させた後、オートグラフを用いてスパンを10cmとして中央集中荷重をかけて応力の最高点より曲げ強度を測定した。
【0035】
参考例1
単繊維繊度6.7dtex、繊維強度12.4cN/dtexの単繊維が375本集まったマルチフィラメント状ポリビニールアルコール繊維に集束剤を付与した。集束剤としては、前記式(1)で示される構成単位を30モル%、式(2)で示される構成単位を30モル%、式(3)で示される構成単位を40モル%の割合で有し、数平均分子量が50000である(メタ)アクリル酸共重合体を使用し、集束剤140g/L水溶液に繊維を浸漬させ、プレスローラで搾液した後、非接触型の熱乾燥炉を用いて、170℃×3分間乾燥を行い、定長カットして、繊度2500dtex、長さ8mmの短繊維を得た。
【0036】
比較例1、2
繊維のカット長を表1に示すように変更した以外は、参考例1と同様に行った。
【0037】
実施例2
集束剤として、前記式(1)で示される構成単位を30モル%、式(2)で示される構成単位を20モル%、式(3)で示される構成単位を50モル%の割合で有し、数平均分子量が5000である(メタ)アクリル酸共重合体を使用した以外は、参考例1と同様に行った。
【0038】
比較例3
集束剤として、前記式(1)で示される構成単位を50モル%、式(2)で示される構成単位を10モル%、式(3)で示される構成単位を40モル%の割合で有し、数平均分子量が5000である(メタ)アクリル酸共重合体を使用した以外は、参考例1と同様に行った。
【0039】
実施例3
単繊維繊度4.8dtex、繊維強度12.6cN/dtexの単繊維が250本集まったフィラメント状ポリビニールアルコール繊維とした以外は、参考例1と同様に行った。
【0040】
実施例4
単繊維繊度2.7dtex、繊維強度12.9cN/dtexの単繊維が750本集まったフィラメント状ポリビニールアルコール繊維とした以外は、実施例2と同様に行った。
【0041】
比較例4
集束剤として熱硬化性を有する尿素ホルマリン系樹脂を使用し、集束剤125g/L水溶液とした以外は、参考例1と同様に行った。
【0042】
比較例5
集束剤として水溶性を有する部分ケン化型ポリビニルアルコール樹脂(ケン化度88.5モル%)を使用し、集束剤100g/L水溶液とした以外は、参考例1と同様に行った。
【0043】
比較例6
集束剤としてエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体からなる疎水性高分子樹脂を使用し、集束剤125g/L水溶液とした以外は、参考例1と同様に行った。
【0044】
参考例1、実施例2〜4、比較例1〜6で得られた短繊維のアスペクト比(繊維直径、カット長)、解繊度、集束剤付着量、セメントモルタル板曲げ強度を測定した結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかなように、実施例2〜4の短繊維は、集束剤が繊維表面にフィルム状被膜を形成することなく付着しており、解繊度が高く、短時間で解繊、均一分散することができ、セメント補強効果にも優れていた。
一方、比較例1の短繊維は、アスペクト比が小さすぎたため、セメント補強効果に劣るものであった。比較例2の短繊維は、アスペクト比が大きすぎたため、解繊性が悪く、セメント補強効果にも劣るものであった。比較例3の短繊維は、集束剤の組成が適切でなかったため、解繊度が低くなり、セメント補強効果に劣っていた。比較例4〜6の短繊維は集束剤として従来使用されているものを用いたため、解繊度が極めて低く、セメント補強効果にも著しく劣るものであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の補強用短繊維は、セメントなどの水硬性材料に混練り水を加えたときのようなアルカリ雰囲気下においても、機械的な攪拌を長時間を行うことなく、短時間で解繊、均一分散することができ、補強効果が極めて高い。そして、短時間の攪拌での解繊が要求される施工方法においても好適に使用することが可能となる。
Claims (2)
- 複数本のポリビニルアルコール単繊維が集束剤によって分離可能に一体化された短繊維状の集束糸であって、単繊維のアスペクト比が100〜1000、集束剤が下記の式(1)で示される構成単位を20〜40モル%、下記の式(2)で示される構成単位を10〜30モル%及び下記の式(3)で示される構成単位を50〜60モル%(合計100モル%)の割合で有し、かつ数平均分子量が1000〜100000の(メタ)アクリル酸共重合体である解繊性に優れた補強用短繊維。
R1、R2、R3:水素またはメチル基
R4、R5:水素、炭素数1〜10の炭化水素基
Y:−CO2R5で示される有機基、−CH2SO3M2で示される有機基、−OC6H4SO3M3で示される有機基、−C6H4SO3M4で示される有機基のいずれか。
A1:オキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との双方からなるオキシアルキレン単位の繰り返し数が3〜200のポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
M1、M2、M3、M4:水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミン(ただし、同一又は異なっていてもよい)) - 解繊度が70%以上である請求項1記載の解繊性に優れた補強用短繊維。なお、解繊度とは、500mlビーカーに40℃、500mlのセメント濾水(セメントと水の比率が1:1の質量比率からなる混合液物を濾紙を使って吸引濾過して採取したセメント濾水抽出液)を入れ、マグネチックスターラーによって渦の中心が300mlの目盛りを指すように回転を合わせ、その水中に短繊維1gを投入し、30秒間攪拌を行い、集束状のもの(A)と解繊したもの(B)を目視にて分別し、絶乾した後、A、Bの質量を測定し、次式にて算出する。
解繊度(%)=〔(Bの質量)/(Aの質量+Bの質量)〕×100
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