JP2004137119A - セメント系繊維複合材料 - Google Patents

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橋田 俊之
Seiki Miyasoto
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Abstract

【課題】本発明は、比例変形を超えても優れた破断強度および弾性率を呈し、比較的高い破壊エネルギーを発現する、靭性の高いセメント系繊維複合材料を比較的安価で提供すること。
【解決手段】カルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物により表面処理されたポリプロピレン繊維が水硬性セメントマトリックス中に配合されてなり、多重亀裂を生成して曲げ破断するセメント系繊維複合材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセメント系繊維複合材料、詳しくは多重亀裂を生成して曲げ破断する高靭性のセメント系繊維複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、石綿を初めとして、合成繊維を混合してセメント硬化体の性能を向上する試みが広く行われてきた。しかし、これらの繊維補強による従来の改良は、脆性材料であるセメント硬化体の比例変形内での破断強度および弾性率を向上することに向けられてきたものであり、比例変形を超えたときのセメント硬化体の物性を改良しようという思想もなければ、その手段も知られていなかった。
【0003】
最近、比例変形を超えてセメントに最初の亀裂が生じた時、セメントに補強材として配合された短繊維によって亀裂に橋架けを生じさせて応力を分担させることにより、最初の亀裂発生後も直ちに破断に至らず、多重亀裂を発生させることによって応力を分散して、大きい変形と破断応力を付与することによって高い靭性を持たせる技術が研究されつつある。この技術はマトリックスと補強繊維との接着力を調整することによって、セメントに最初の亀裂が生じたときに、亀裂部に存在する補強繊維が同時に破断するのを防止することによって、最初の亀裂発生後にも繊維によって応力を分担させ、硬化体が直ちに破断するのを防止するものである。
【0004】
このために使用されている補強用繊維としては、高強度・高弾性ポリエチレン繊維、PVA繊維が挙げられる。例えば、繊維長が15〜60mm、直径5〜300μの高強度・高弾性率ポリオレフィン繊維が容積混入率で0.2〜5%分散して含有してなる高靭性繊維補強セメント製品(特許文献1)、PVA短繊維を3次元方向にランダムに分散配合してなる高靭性FRC材料(特許文献2)が報告されている。しかしながら、これらの繊維は比較的高価であった。そのため、比較的安価なポリプロピレン繊維を使用すると、比例変形を超えたときの硬化体の破断強度および弾性率が低下し、十分な靭性が得られなかった。
【0005】
一方、セメント硬化体の比例変形内での破断強度および弾性率を向上させることを目的として、具体的には、スラリー中での浮上現象による繊維の有効添加量の低下を防止してクラックを減少させるために、ポリオレフィン系繊維表面をカルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物で表面処理する技術が報告されている(特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−264708号公報(請求項1および2)
【特許文献2】
特開2000−7395号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2000−34146号公報(第2〜3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、比例変形を超えても優れた破断強度および弾性率を呈し、比較的高い破壊エネルギーを発現する、靭性の高いセメント系繊維複合材料を比較的安価で提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物により表面処理されたポリプロピレン繊維が水硬性セメントマトリックス中に配合されてなり、多重亀裂を生成して曲げ破断するセメント系繊維複合材料に関する。
【0009】
本発明において、「多重亀裂」とは次のことを意味する。応力が印加されてセメント硬化体に最初の亀裂が入った段階で、その亀裂部に応力が集中して、通常のセメント硬化体ではそのまま破断に至る。すなわち応力−歪曲線が直線となる弾性変形の段階で破断に至る。そのためエネルギー吸収能が低く脆性破壊を呈する。これに対して最初の亀裂が入ったのちも、直ちに材料全体の破断に至らず、最初の亀裂に続いて複数の亀裂が発生する現象が存在する。これを多重亀裂という。多重亀裂が発生すると、応力が分散されるため、最初の亀裂発生後も増加する荷重に耐えて大きな歪に至るまで破壊せず、高いエネルギー吸収能と高い靭性を示す。
【0010】
また、本発明において、「セメント系繊維複合材料」および「水硬性セメントマトリックス」という場合、これらは硬化体を意味し、一方「水硬性セメント組成物」という場合は、各種原料を配合したセメント組成物に水を混合した未硬化状態のものを意味する。
【0011】
また、ポリプロピレン繊維の体積混入率は以下の方法に従って測定された値を用いている。セメント硬化体を、流し込み方向で裁断し、その裁断面を走査電子顕微鏡を用いて、加速電圧25kVで反射電子像を観察する。セメント硬化体中の繊維混入率Vを、顕微鏡の視野にある観察面の繊維の断面積の合計を、電子顕微鏡の視野の面積で除した値として求める。繊維混入率Vは、試験片の裁断面中の異なる3つの視野について測定した値の平均値を採用する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のセメント系繊維複合材料は、特定の表面処理剤によって処理されたポリプロピレン繊維が水硬性セメントマトリックス中に配合されてなる。
【0013】
表面処理に供されるポリプロピレン繊維(PP繊維)はプロピレンの単独重合体からなり、繊維径10〜50μmを有することが好ましい。
【0014】
表面処理剤はカルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物であり、詳しくは、数平均分子量が1000〜6000の低分子量のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン)に平均して1〜10個のカルボキシル基が導入されたものである。特に、カルボキシルの末端がカリウム塩となっているものが好ましい。カリウム塩の他、ナトリウム塩、カルシウム塩等であってもよい。数平均分子量が小さすぎると、該表面処理剤と繊維との親和性が弱くなり、表面処理剤が脱落しやすくなる。大きすぎると、表面処理剤の繊維への適用が困難になる。またカルボキシル基はより多く導入した方が処理繊維の親水性が上がり、該繊維の水硬性セメント組成物中での分散が良好になるため好ましいが、10個より多く導入することは技術的に難しい。またカルボキシル末端がカリウム塩となっていると、水硬性セメント組成物に含まれるカルシウムと置換され、処理繊維の水硬性セメント組成物中での分散がより良好になる。
【0015】
そのような表面処理剤は表面処理、すなわち該処理剤の繊維への適用を簡便に行う観点から、界面活性剤を用いて既にエマルジョン形態となっているものを使用することが好ましい。
【0016】
PP繊維を表面処理する方法としては、PP繊維表面に表面処理剤を均一に付着(被覆)させることができる限り特に制限されず、例えば、浸漬法、スプレー法、コーティング法を採用できる。いずれの方法を採用する場合においても、繊維製造工程の延伸後の段階で表面処理を行えばよい。詳しくは、例えば、繊維製造工程の延伸後、表面処理剤(特にエマルジョン形態のもの)を水に分散させ、得られた分散液にPP繊維集合体を浸漬し、繊維表面に繊維表面処理剤を均一に被覆させる。繊維に表面処理剤を均一に付着させるためには繊維集合体を表面処理剤分散液に浸漬後、絞りロール等を用いて繊維集合体の内部にまで浸透させることが望ましい。被覆した後は、カッターにて所定の長さに切断してセメント補強用表面処理PP繊維を得ることができる。
【0017】
分散液中の表面処理剤濃度は、本発明の高靭性のセメント系繊維複合材料が得られる限り特に制限されず、通常、0.6〜20重量%が好適である。
【0018】
繊維に対する表面処理剤の付着量は、繊維重量に対して0.2〜20重量%が好ましい。より好ましくは0.8〜2重量%である。且つ繊維重量に対して10〜40重量%の水分が付着していることが好ましい。表面処理剤の付着量が0.2重量%未満であると、高靭性のセメント系繊維複合材料が得られない。すなわち、比例変形を超えたときの破断強度、弾性率および破壊エネルギーが低下し、所望の靭性を達成できない。表面処理剤の付着量が20重量%を越えると過剰処理となり、不経済である。また水分付着量が10重量%未満であると、使用時において水分が蒸発しやすく、水分が蒸発した場合、各繊維が表面処理剤により接着し集束繊維の状態となり、特に湿式抄造法のようにセメント撹拌外力が微小の場合、集束繊維の分散が困難となる。また水分付着量が40重量%を越えると、搬送コストの点で不経済である。
【0019】
表面処理PP繊維は、長さ3〜12mm、特に6〜9mmに切断されていることが好ましい。繊維径は処理前のPP繊維と同様である。また上記のように表面処理されたPP繊維は、引張強度200〜400MPa、引張弾性率2〜5GPaであるのが好ましい。繊維長がより短いまたは繊維径がより大きい場合は、応力が負荷された状態において、最初に亀裂が生じたときに、繊維が架橋しても応力を負担することができず、すぐに引き抜け、セメント硬化体は多重亀裂を発生する前に破壊してしまう傾向がある。繊維長がより長いまたは繊維径がより小さい場合は、応力が負荷された状態において、繊維の引き抜けよりも先に、繊維自体が破断してしまうために多重亀裂が発生しない傾向がある。
【0020】
本明細書中、引張強度はJIS L1013に基づいて測定された値を用いている。
引張弾性率は、JIS L1013に基づいて測定された値を用いている。
また繊維の「アスペクト比」とは、繊維長を繊維断面積の面積と同面積を有する相当円の直径で除した値である。
【0021】
本発明のセメント系繊維複合材料において表面処理PP繊維の使用量は体積混入率が1〜10%、特に1〜3%となるような量である。本発明においては、このような比較的少量の体積混入率を達成するだけで、比例変形を超えても優れた破断強度および弾性率と大きな破壊エネルギーとを呈する靭性の高いセメント系繊維複合材料が得られる。そのため、セメント系繊維複合材料の製造コストを顕著に低減可能となる。体積混入率が1%より小さいと亀裂が入ったときにそこに集中する応力を支えることができず架橋作用を発揮できない。10%より大きくても、それ以上の効果は得られないので、不経済となる。
【0022】
上記のように表面処理されたPP繊維が配合される水硬性セメント組成物は、少なくとも水硬性セメントからなり、さらにシリカ質原料、パルプ、水溶性セルロース、鉱物繊維、減水剤等が配合されてもよい。
【0023】
本発明において、「水硬性セメント」とは水との反応により硬化体を形成することのできるセメントをいう。
本発明で使用する水硬性セメントは特に限定されず、各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、シリカセメント、マグネシアセメント、硫酸塩セメント等をすべて含む。
【0024】
シリカ質原料としては、珪石粉、高炉スラグ、珪砂、フライアッシュ、珪藻土、シリカヒューム、非晶質シリカ等を使用することができる。好ましくは、成形体の強度向上および寸法安定性に寄与する点から、珪石粉、珪砂である。これらのシリカ質原料として好ましくは比表面積(JIS R 5201に記載の方法による)が3000〜15000cm/gのものを使用する。シリカ質原料は水硬性セメント100重量部に対して20〜100重量部、好ましくは30〜60重量部の割合で配合される。シリカ質原料が20重量部より少ないと成形体の強度が低下する上に、エフロレッセンスが発生し易くなり、100重量部より多くても成形体の強度が低下する。
【0025】
パルプは、綿パルプまたは木材パルプ等の天然パルプが好ましい。天然パルプであれば特に限定されず、バージンパルプのみならず古紙からの再生パルプも使用できる。また木材パルプの場合、木材の組織からリグニンを化学的に取り除いた化学パルプ、木材を機械的に処理した機械パルプのいずれも使用できる。パルプは繊維長が0.05〜10mmのものが好ましい。パルプは水硬性セメント100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは2〜30重量部の割合で配合される。1重量部より少ないと補強効果を発揮できず、また40重量部より多いと分散不良となり、成形体の表面平滑性が悪化したりする。
【0026】
水溶性セルロースとしては、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を例示することができる。水溶性セルロースは、水硬性セメント組成物を成形する場合に、組成物に粘性を付与し、成形性を向上させるものである。水溶性セルロースは水硬性セメント100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部の割合で配合される。
【0027】
鉱物繊維としては、セピオライト、ウォラストナイト、タルク、アタパルジャイト、ロックウール等を例示することができる。鉱物繊維は水硬性セメント100重量部に対して1〜40重量部、好ましくは3〜25重量部の割合で配合される。1重量部より少ないと流動性に寄与せず、一方40重量部より多いと成形体の強度が低下する。
【0028】
本発明のセメント系繊維複合材料には、上記以外の添加剤として、必要に応じて、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム等のシリカ以外の無機質材料、パーライト等の軽量骨材、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維等の他の補強繊維、減水剤、界面活性剤、増粘剤等を配合することもできる。
【0029】
減水剤としては、良好な施工性を得るために水量を抑える目的で土木建築業界で通常用いられているものが使用可能であるが、高性能AE減水剤または高性能減水剤と称されているものが好ましく、具体的には、高級多価アルコ−ルのスルフォン酸塩、、ポリオ−ル複合体、オキシカルボン酸塩、β−ナフタリン高縮合トリアジン系化合物リグニンスルホン酸塩(リグニンスルホン酸塩カルシウム等)、アルキルアリルスルホル酸高分子重合体、ヒドロキシカルボン酸塩、芳香族炭化水素高分子重合物等が挙げられる。好適には、アルキルスルホン酸系、ポリカルボン酸系等を使用する。
【0030】
本発明のセメント系繊維複合材料は、少なくとも水硬性セメントおよび水を含んでなるマトリックス成分に、表面処理された前記ポリプロピレン繊維を配合してなる水硬性セメント組成物を成形したのち硬化することによって得ることができる。
【0031】
水硬性セメント組成物に含まれる水の量は本発明のセメント系繊維複合材料を得るための重要な因子であり、水の量によって硬化体の物性は大きく変化する。本発明において水の量は水硬性セメント100重量部に対して30〜90重量部である。
【0032】
成形方法は特に制限されず、一般的な成形方法を使用することができる。例えば、湿式抄造法、押出成形法、流し込み成形法等が挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的、且つより詳細に説明する。
(PP繊維A)
ポリプロピレンで数平均分子量4500、カルボキシル基が該分子量当たり1個変性した低分子量物をPOEアルキルエーテルにて処理した繊維表面処理剤(三洋化成工業(株)製ユーメックスEM−100)を水1に対して3.7の割合で分散し、分散液を得た。得られた分散液に、ポリプロピレン繊維集合体を浸漬して、絞りロールにて絞り、該繊維集合体に繊維表面処理剤を付着させた後、カッターにて切断してPP繊維Aを得た。PP繊維Aは繊維長6mm、繊維径18μm、引張強度360MPa、引張弾性率4.8GPa、アスペクト比333を有していた。また表面処理剤の付着量は繊維重量に対して1重量%であった。
【0034】
(PP繊維B)
PP繊維Aの製造で使用したポリプロピレン繊維集合体を用い、表面処理剤としてラウリルホスフェートカリウムを使用し、PP繊維Aと同様の処理法にて、付着量1重量%のPP繊維Bを得た。PP繊維Bは繊維長6mm、繊維径18μm、引張強度360MPa、引張弾性率4.8GPa、アスペクト比333を有していた。
【0035】
<実施例1>
普通ポルトランドセメント100重量部に、PP繊維A 1.6重量部、珪石粉(比表面積4000cm/g)30重量部、および減水剤(マイティ150;(花王社製))1重量部を加えて、ミキサーにより3分間粉体混合した。粉体混合を続けながらこれに水40重量部を少しずつ加えつつ2分間混合した。
得られたセメントペーストを型枠に流し込み、恒温恒湿器中で蒸気養生して繊維補強セメント硬化体を得た。蒸気養生は、湿度98%の条件下で、70℃で5時間保持した。
【0036】
得られたセメント硬化体の繊維の体積混入率および各種特性を次のようにして評価した。
(繊維の体積混入率の測定)
前記した方法に従って測定した。
【0037】
(曲げ特性の評価法)
セメント硬化体から幅40mm、長さ200mm、厚さ15mmの2点載荷の単純曲げ試験用の試験体を切り出した。
載荷点間距離は50mm、支点間距離は150mm、クロスヘッド速度は0.5mm/minで行った。測定した荷重P−変位曲線をもとに、下記式(1)により曲げ応力σを評価した:
σ=PL/bt      (1)
式中、bは試験片の幅、tは試験片の厚さ、Lは支点間距離を表す。
なお、曲げ強度は、曲げ応力−変位曲線の最大応力を示す。図4に2点載荷の単純曲げ試験の状況を示した。
また、上記曲げ強度を達成したときの、最大試験体変位を測定した。
また、破壊エネルギー:Gは、下記式(2)で示される。
G=A/bt        (2)
式中、Aは上記曲げ試験で得られる荷重P−変位曲線の下部の面積(加重変位曲線と変位軸(横軸)とで囲まれる部分の面積)を表す。
【0038】
(発生した亀裂数の測定)
曲げ試験により発生した亀裂の数は、破断後の試験片について目視により計数した。亀裂数は3個の試験体の平均値で表した。
【0039】
<実施例2〜3および比較例1〜3>
PP繊維AをPP繊維Bに代えたこと、および/または配合比率を表1に記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にしてセメント硬化体を作製した。
セメント硬化体の繊維の体積混入率および各種特性を実施例1と同様の方法に従って評価した。
得られた結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
Figure 2004137119
【0041】
図1には実施例1と比較例1の曲げ試験の応力−変位曲線を示した。
図2には実施例2と比較例2の曲げ試験の応力−変位曲線を示した。
図3には実施例3と比較例3の曲げ試験の応力−変位曲線を示した。
【0042】
【発明の効果】
本発明のセメント系繊維複合材料は、比例変形を超える変形を起こす曲げ応力が加わったとき、多重亀裂を生成して破断し、高い破壊エネルギーを発現することができる。また比較的安価に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1と比較例1の曲げ試験の応力−変位曲線を示す。
【図2】実施例2と比較例2の曲げ試験の応力−変位曲線を示す。
【図3】実施例3と比較例3の曲げ試験の応力−変位曲線を示す。
【図4】セメント硬化体の2点載荷単純曲げ試験状況を示す説明図である。
【符号の説明】
11:セメント硬化体、12:支点、13:載荷点。

Claims (2)

  1. カルボキシル変性ポリオレフィン系低分子量物により表面処理されたポリプロピレン繊維が水硬性セメントマトリックス中に配合されてなり、多重亀裂を生成して曲げ破断するセメント系繊維複合材料。
  2. ポリプロピレン繊維の繊維径が10〜50μm、繊維長が3〜12mm、引張強度が200〜400MPa、引張弾性率が2〜5GPaであり、該ポリプロピレン繊維が硬化後の成形体における体積混入率1〜10%となるように配合された請求項1に記載のセメント系繊維複合材料。
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